71.機魂紅逆　作：くちなし

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準々決勝　チーム『サートゥルス』VS チーム『エイトスターズ』

1.オプス VS 香織　Winner 香織
2.レアー VS 有希　Winner 有希
3.新奈　 VS 悠里

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【フィールド】
新奈　LP8000　手札0
古代の機械混沌巨人　ATK4500
古代の機械超巨人　ATK3300
伏せカード1枚

悠里　LP3200　手札1
伏せカード5枚


Now》Turn18　TP 新奈　

「融合召喚、、！」

古代の機械混沌巨人　☆10　ATK4500
古代の機械超巨人　☆9　ATK3300

「これが進化の証だよ。。」

確かに「進化」というくらいのモンスターは目の前に存在している。攻撃力4500と3300。椎名のデッキをフル活用、そのデッキが持つ能力を惜しみなく発揮したと象徴できるモンスターであろう。
しかし、ただ感心している様なゆとりはない。悠里の場にはモンスターはいない。何かで攻撃すれば、その時点で悠里のLPは尽きる。

「、、凄いな、、」
「ありがとう。でもまだだよ！罠カード発動、リビングデッドの呼び声！この効果で、墓地から古代の機械飛竜を特殊召喚！」

古代の機械飛竜　☆4　DEF1200

「そしてデッキから古代の機械猟犬をサーチ、召喚」

古代の機械猟犬　☆3　ATK1000

「古代の機械猟犬が召喚に成功した時、相手に600のダメージを与えるよ」

悠里　LP3200→2600

「そして、古代の機械猟犬の効果は、、融合なしで融合召喚を行える、、！」
「、、！」

敢えて「驚いたふり」をし、心の中で笑ってみる。なぜだって、、？
ボクが狙っていた一瞬にして最大のチャンスがこの瞬間にやってきたからさ、、！

「融合召喚はもうさせるわけにはいかねぇな、、！」
「、、！？」
「リバースカード発動！次元障壁！！」
「じ、、、！？」
「このカードの効果は知ってるはずだ、、このターン、宣言した召喚方法が使えなくなる、、！もちろん、融合召喚を選ばせてもらう！」

次元障壁。。
その効果は、儀式・融合・シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムのうちどれか1つをターン終了時まで特殊召喚と効果を封じるカードである。
LINKモンスターが規定上採用されないこの大会において、もっとも脅威になるカードの1枚となるだろうと踏んで、デッキに入れておいたのである。

「っく、、予想していたとはいえ、なぜ最初に使わなかったんだい、、？」
「、、」
「答えてくれないか。まあいいよ。これでも十分だから！古代の機械混沌巨人で攻撃！アルティメット・グラヴィティ・パウンド！」
「モンスター効果が使えない、！」
「古代の機械混沌巨人が存在する限り、バトルフェイズ中、モンスター効果は発動できないよ」
「、、罠カード発動！パワー・ウォール！」


パワー・ウォール　通常罠
①相手モンスターの攻撃によって自分が戦闘ダメージを受けるダメージ計算時に発動できる。その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージが0になるように500ダメージにつき1枚、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る。


「デッキから9枚のカードを墓地に送る」
「なるほど。敢えて高レベルのモンスターで攻撃させてデッキからカードを墓地に送ったんだね。次は
古代の機械超巨人で攻撃！アルティメット・スプラッシュ・パウンド！！流石に次はないだろう！」
「、、攻撃力3300、、！」
「古代の機械超巨人が攻撃するときは、魔法・罠カードの発動を封じるよ！」

攻撃が悠里に向かってくる。絶対的ピンチのこの状況はピットにも緊迫感が伝わる。

「それって、、効果がなにも発動できない、、！？」
「悠里、、！」
「観月、、！」
「バカ悠里、、」
「、、いや、まだ敗けてない」
「、、！？」

有希の一言で諦めかけていたほかのメンバーが目を丸くする。

「そうですよ。だって、、彼の目が諦めてませんから。。」


攻撃がどんどん近付いている。ただ、悠里は気付いていた。1つの抜け穴に。

「罠カード発動！！パワーウォール！！」
「え、、！」
「！！？」

その場にいた誰もが驚いたであろう。悠里と有希を除いて。

「2枚目、実はあったんだな～、、」
「な、、なんで、、」
「なんだ、、知らなかったのか。カードの発動前に特殊召喚されていた該当モンスターの効果も次元障壁では無効にできるんだよ！」
「そ、そんな、、！！」

新奈は次元障壁の発動後から効果が適用され、発動以前に場に出していた2体のモンスターは効果を使えると勘違いをしていたのだ。
それが緩みとなり、悠里に防御策を与えてしまったのである。

「なら、混沌巨人の時にもモンスター効果を発動できた、、」
「ああ。演技だ」
「、、っ！」

悔しがる新奈をよそに、悠里はデッキから7枚のカードを墓地に送った。

「古代の機械猟犬で攻撃、、！」
「じゃあ、ここでバトルフェーダーを特殊召喚するぜ。そして攻撃を無効にして、バトルフェイズは終了だ。まあ、もう攻撃するモンスターはいないけどな」
「、、っ！」

バトルフェーダー　☆1　DEF0

自分の知識のなさを悔いる新奈。しかし、メイン2に入ったとはいえ、手札を使い切った新奈にできることはなかった。

「、、ターンエンドだよ」


Turn19　TP 悠里　手札0→1

「さて、、と！」
「、、なんだい？」
「さっき言った言葉、、そのまま言わせてもらうぜ、、このターンで終わりにする、、！」

悠里は、手札1枚と伏せカード2枚。たった3枚でこのデュエルを終わらせるつもりなのである。

「罠カード発動、強化蘇生！墓地のレベル4以下のモンスターを特殊召喚し、攻守100ポイントとレベルを1つ上げる！」

ジェット・シンクロン　☆1→2　DEF0→100

「☆1のバトルフェーダーに、☆2となったジェット・シンクロンをチューニング！」

≪小さき生命よ！新たな魂吹き込んで、立ち向かう武人となれ！≫

【S召喚！来い！武力の軍奏！】

武力の軍奏　DEF2200

「武力の軍奏がS召喚に成功した時、墓地のチューナーを特殊召喚できる！甦れ！グローアップ・バルブ！」

グローアップ・バルブ　DEF0

「そしてもう1枚！リビングデッドの呼び声を発動！」
「、、！蘇生カード、、！」
「再び舞え！ブラック・ローズ・ドラゴン！！」

ブラック・ローズ・ドラゴン　ATK2400

「☆7のブラック・ローズ・ドラゴンに、☆1のグローアップ・バルブをチューニング！」

≪烈火の龍よ、今ここに魂の咆哮を上げ、天地を揺るがす覇者となる！≫

【S召喚！レッド・デーモンズ・ドラゴン！】

レッド・デーモンズ・ドラゴン　ATK3000

「やっと出たね、、レッド・デーモンズ・ドラゴン、、」
「まだだ！墓地のグローアップ・バルブの効果を発動！デッキの一番上を墓地に送り、墓地から特殊召喚！」
「、、何をする気、、」
「☆8のレッド・デーモンズ・ドラゴンに、、☆1のグローアップ・バルブと、☆3の武力の軍奏を、、ダブルチューニング！！」

≪琰魔に響く魂の囁き、、！真紅の炎を纏い咆哮せよ！≫

【S召喚！スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン！】

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン　☆12　ATK3500

「チューナー2体のS召喚、、噂に聞く数少ないモンスターか、、！」

チューナー2体を使うS召喚によって出るモンスターはそう多くはない。
この大会の中にも、その使い手がいるとは小耳にしていたものの、それが彼本人だとは予想していなかったようで、出す言葉が他に出ないようである。

「でも、攻撃力3500では私のライフは尽きないよ。このターンで勝利は付けられないよ」
「それはどうだろうな。スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンの永続効果を発動！スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンの攻撃力は、墓地のチューナーモンスター1体につき500ポイントアップする！」
「、、！？」
「パワー・ウォールを発動したのはこのためだ。そして、あえて2体を出させたのは、1枚でも墓地に送るチューナーを増やすためだ。おかげで墓地にはチューナーが12枚だ！」
「500掛けること12、、6000アップ！？」

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン　ATK3500→9500
「攻撃力9500、、！」

悠里の墓地の12体のチューナーたちの魂が吸い込まれていく。すると、スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンの身体がみるみる大きくなっていく。

「一番攻撃力が低いのは、、」
「、、しまった！」

新奈の場には古代の機械猟犬が攻撃表示で存在している。スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンでそこを叩けば、、

「さてバトルだ！スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンで、、古代の機械猟犬を攻撃！紅蓮貫壊撃！(アブソリュート・ヘル・スマッシャー)」

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン　ATK9500
古代の機械猟犬　ATK1300

新奈　LP8000→0

「おい、、」
「観月、、」
「彼、やったみたいっさね！、」
「。。ワンショットキルですね」
「、、！やったわよ！準決勝進出よ！！」

瑞穂による歓喜の声がピットに響く中、少し離れて観戦していたオプスとレアーは怪訝そうな目で見ていた。

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Dホイールを降りて、首をコキコキ鳴らす悠里。そばには有希と蒼羽たちがいた。

「ありゃー、、やりすぎたな」
「そんな軽く済むことじゃないよ！観月悠里！相手病院送りにしたら準決勝どころじゃねえぞ！」
「珍しく心配するんだな、天草」
「は！？べ、別にあんたのことじゃねーし！その、、相手のこと心配してただけだし！」
「はいはい」
「でも、、準決勝おめでとうございます、観月くん！」
「さっきから聞いてたら、、やりすぎどころじゃないよ、まったく。当たり所悪かったら死ぬとこだったよ、、」
「よう。無事みたいだな」
「この状況で無事とは言えないから。。バーカ」

満身創痍の新奈が、オプスとレアーに両腕を抱えられてやってくる。

「はぁ、、はぁ、、とりあえず進出おめでと。悠里」
「ありがとさん。でもなんか罪悪感あるな」
「まあ良いよ。あと頑張ってね」

そういうと新奈たちは去っていった。
悠里には罪悪感ともう1つ、新奈の背中から言わずもがなの悔しさがにじみ出ている気がした。

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次回予告！
圧倒的劣勢な状況から圧倒的火力で新奈を破り、準決勝への切符を手にした悠里達。
悠里たちが次の大会に備える中、悠里たちと行動を共にするアンドレのもとにある人物がやってくる！

次回！第72話「叛心恐突」