72.叛心恐突　作：くちなし

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メンバー一同が控室に集まっている。

「悠里～ちょっとお使い頼まれてくれない、、？」
「おつかい、、なに買って来いってのか、、」

蒼羽の柔い頼みに、面倒くさそうな表情を出す悠里。

「、、グミ。固めの、、」
「、、」
「じゃあ、あたしサイダー」
「何便乗してんだよ、、ってか自分で買えよ」
「あ、えっと、、わたし行きたいので一緒に行きます」

名乗り上げたのはアンドレ。どうやら彼女が欲しいのは、他とは違うものらしい。

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「ええと、、付き合わせて悪いな」
「いいえ。私が行きたかったので、、」

少し硬い会話をしていると、アンドレの携帯に電話がかかる。

「ごめんなさい、、ちょっと出ますね、、」
「ああ」

少し路肩に寄る。

「、、もしもし、、？」
「もしもし、姉さん？大変だよ！」
「、、拓海、、どうしたの？」
「瀬那と玄冬の親父が、、姉さんを連れ戻しに強制送還しに戦闘機でそっち向かってる！」
「せ、戦、、闘機！？」
「と、とりあえず気を付けて！」

携帯を閉じる。

「は！？戦闘機、、！？どんな家だよ、、」

アンドレからかくかくしかじか聞いた悠里。戦闘機をここに飛ばす気って、どんな奴だよ。

「、、悠里くん、、今のうち言っときます、、」
「、、なんだ」
「、、短い間ですがありがとう、、」
「チェストぉぉ！！！」

その時、空から何かが降ってきた。ごつい音、声とともに。

「あ、あわわわわ、、、」
「、、」

身体が小刻みに震えあがっているアンドレの様子からするに、あいつがアンドレの、、

「アンドレ、、帰るぞ、お前にはみっちり我が家としてのふるまい、上品さを叩きこむ！」
「、、」

、、戦闘機の音はうるさいし、来て早々連れて帰るとか、ほんとになんなんだよ。

「ああ、自己紹介が遅れましたわね。あたし、瀬那ですの。2つ下の妹ですわ。、、ところで、そこの冴えない男の子はなんなの？まさか彼氏、、？」
「黙れチビータ」
「な、なんなのよ！なんであんたなんかに言われなきゃいけないのよ！」

効果音にしては「ムキー」が最適だろうか。
ちなみにチビータはロリータとチビの合成造語で、たった今思い浮かんだ言葉である。

「瀬那、、なんで、、」
「WRGP、最初から見てたのよ。優勝すれば話は別だったけど、そこの冴えない子のチームに初戦敗退なんて恥ずかしいわ。だからお父様がわざわざ鍛えおなしてくれるんだって」
「私もどらない！あんなの、、もうこりごりよ！」
「小賢しい、、騒がしい、、！アンドレ！お前には失望した！猶予などない！ここでお前を連れて帰る！！」

街中で親子喧嘩、、いるだけで阿呆だと思われそうだ。あまり介入したくなかったが、、

「親子揃って馬鹿か」
「、、！」
「ゆ、悠里くん、、！なんですかその言い方！わたしだって、、」
「あのな、アンドレ。お前が帰りたくないのはよーくわかる。だけど、ただ帰りたくないの一言で相手が引いてくれたら言い争いは起きない。つまりだ。納得できる理由が全くないんだよ。対して親父さんは失望したから、って理由は一応あるわけだ。だからなんか納得できる理由があればいいんじゃないのか」
「フン、、少しは利口なようだな。まあ、理由なんかつけても連れて帰るがな」
「わ、わたしは、、ここ来ていろんな人といろんなことをして、、友達増えたし、もっとデュエルしたいって思った！だから、、わたしはここでもっといろんなことしたい！だから帰らない！」

涙目で走り去るアンドレ。

「、、！」

なんで、、なんで、、！

「、、アンドレ！」
「、、！」

声をかけたのは思いもよらぬ、蒼羽と詩音だった。

「、、逃げたらそこで試合終了、、よ」
「ったく、、あの父親もあれだけど、肝心のあんたが逃げちゃしょうがないじゃない」
「あと、、これ」
「このケース、、まさか、、！」
「ほら、行ってらっしゃい。私たちは先に戻ってるわね」

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「あなたはアンドレのなんなの？彼氏？」
「、、友達、、だな」
「ならうちの事情には関係ないでしょ。さっさと引っ込んでくれるかしら？」
「ところがどっこい、そういうわけにもいかないんだな、、」
「どうせ無駄よ。代用のカードの束じゃ。デッキ無いんだし」
「、、アンドレのデッキはどこなんだ」
「さあ。今頃誰かの手に渡ってるんじゃないかしら」
「、、どういうことだ」
「、、俺がオークションに出した。あんな物騒なデッキをアンドレに使わせるわけにはいかないからな」
「、、っ！」

は？デッキをオークションに、、ふざけてんのか、、

「オークションだと、、ふざけてんのか、、？」
「ふざけてなんぞない。アンドレにはもっと品のあるデッキを使ってもらう。ただそれだけだ」
「品のあるデッキってどんなデッキだよ、、どんなデッキにも良くも悪くも思いがあるんだよ。それを勝手に売りさばくだと、、人のデッキをなんだと思ってやがる、、！答えろ！お前はデッキを、、カードをなんだと思ってるんだ！」
「、、思い、、？戯けが！デッキは実力だ！絆？運？思い？そんなもので勝てるなら努力なんて必要ないわ！」
「そうか、、よーくわかった、、」
「悠里くん、、！」

アンドレが戻ってきた。なんで戻ってきた、、！ボク一人でじゅうぶんだってーのに、、

「、、あら。戻ってきたのね」
「、、私の気持ち、デュエルで証明してみせる！」
「、、(どこまでも気に食わない姉さま、、！)」
「アンドレ、、やる気になったのか」
「、、私のデッキで、、見返してやるんだから！」
「いいわよ！あたしのデッキでお姉さまに下克上しますわ！勝負形式は2対2、そっちが負けたらお姉さまは連れて帰りますわ」
「、、異議なしだ」
「この、アンドレ！覚悟しろ！」

『決闘！！』　(アンドレ・悠里 LP8000 VS 瀬那・玄冬 LP8000)

「先攻はあたしがいただくわ」

Turn01　TP 瀬那　手札5

「私は儀式の下準備を発動して、聖占術の儀式とそこに記されたモンスターを手札に加えますわ」
「、、聖占術か」
「裏守備でモンスターをセットしてターンエンド」

ほとんど展開ないか。ただ分かったのは、あのチビータのデッキが儀式モンスターを使うデッキだということか。


Turn02　TP 悠里　手札5

「さてと、、(今動いても意味ないんだよなぁ、、)」
「、、(あの子のデッキは不知火、、エースはスカーレッド・ノヴァ・ドラゴン、、対策済みでしてよ！)」
「牛頭鬼を召喚して、その効果でデッキから馬頭鬼を墓地に」

とりあえず、いつもの準備は整ったか。

「1枚伏せてターンエンドだ」


Turn03　TP 玄冬　手札5→6

「フン、、マスマティシャンを召喚、その効果を発動！デッキからダンディライオンを墓地に送る」

マスマティシャン　☆3　ATK800
綿毛トークン　☆1　DEF100　×2

「儀式魔法、イリュージョンの儀式を発動！手札のサクリボーをリリースし、現れろ！サクリファイス！」

サクリファイス　☆1　ATK0

「サクリボーは儀式素材としてリリースされると1枚ドローできる。ターンエンドだ」

Turn04　TP アンドレ　手札5→6

「瀬那、、お父様、、私のデッキをどうしたか知りませんけど、私、このデッキで戦います！手札からDDスワラル・スライムの効果を発動！」
「、、なんで、、！なんでお姉さまがそのデッキを、、」

DD スワラル・スライム　闇属性　悪魔族　☆2　効果
このカード名の効果はそれぞれターンに１度しか使用できない。
①このカードが手札に存在する場合、自分メインフェイズに発動できる。「DDD」融合モンスターカードによって決められた、このカードを含む融合素材モンスターを手札から墓地へ送り、その融合モンスター１体をEXデッキから融合召喚する。
②墓地のこのカードを除外して発動できる。手札から「DD」モンスター１体を特殊召喚する。

「私は手札のDDスワラル・スライムとネクロ・スライムで融合召喚！DDD烈火王テムジン！」

DDD烈火王テムジン　☆6　ATK2000

「次に、おろかな埋葬を発動し、デッキからDDゴーストを墓地に！そして、墓地に送られたDDゴーストの効果で、2枚目のスワラル・スライムを墓地に送る！さらに、墓地のネクロ・スライムの効果は墓地の【DD】モンスターを除外して融合召喚できる！墓地のスワラル・スライムとネクロ・スライムを除外して融合召喚！DDD信託王ダルク！」

DDD信託王ダルク　☆7　ATK2800

「そして、テムジンの効果！場に【DD】モンスターが特殊召喚された時、墓地の【DD】モンスターを特殊召喚できる！DDゴースト特殊召喚！」

DDゴースト　☆2　DEF300

「☆6のテムジンに、☆2のDDゴーストをチューニング！S召喚！DDD呪血王サイフリート！」

DDD呪血王サイフリート　☆8　ATK2800

「1周目は攻撃できないから、カードを2枚伏せてターンエンド！」


【フィールド】
瀬那　LP8000　手札5
裏守備モンスター1体

悠里　LP8000　手札3
牛頭鬼　ATK1300
伏せカード1枚

玄冬　LP8000　手札3
サクリファイス　ATK0
マスマティシャン　ATK800
綿毛トークン×2　DEF100

アンドレ　LP8000　手札1
DDD信託王ダルク　ATK2800
DDD呪血王サイフリート　ATK2800
伏せカード2枚

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次回予告！
自分のデッキを蒼羽から取り戻し、1ターンで圧倒的展開をしたアンドレは、今までの思い全てをこのデュエルにぶつける。その思いが最高潮に達した時、彼女の圧倒的な力を見せつけられることになる！

次回！第73話「闇黙解放」

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