15. 現れた痣　作：くちなし

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翌日の夕方。包帯を外した有利に安楽木が問う。

「悠里くん、どう？」
「うん、、傷の方は大丈夫、、」
「そう、良かった」
「何から何までありがとな」
「うん、大丈夫。」

すると、安楽木は「夜ご飯作って来るね」と言って部屋を出て行った。
それと入れ替わりにある人物が入って来る。

「まぁまぁ、こんな所にいなすって」
「ウミキヨか」
「羨ましいね」
「別に居たくているんじゃ、、」
「はいはい、そうですね(棒)」
「はっ倒すぞ、、」
「冗談だし」
「なってないから」

少し話を交えた時、海清がある事に気付く。

「おい、なんだそれ」
「あ？なんかあんのか？」
「左腕になんかあるぜ。メモ書きでもしたのか？」
「左腕に？」

悠里の左腕には、何やら意味の分からないマークみたいなものがあった。

「なんだ、、これ、、いつの間に、、？」
「知らなかったのか？」
「ああ、」
「でも、先週なかったよな、、」
「ああ。何なんだ、これ、、、」

じっと左腕を見つめるが、一向に何なのかは分からない。

「、、何か思い当たる節は？」
「特に何、、っ！」
「あるみたいだな」
「ああ、」
「、、、」
「僕さ、、有希と会ったんだ」
「有希に、、？どうだったんだ？元気だったか？」
「、、有希は、、過去のトラウマ以来、全てを憎んでいる、、」
「トラウマ、、？」
「ああ。有希は、、変わっちまった、、僕では対処できないくらいに、、」
「、、」
「有希と、、デュエルした。2週間くらい前にな」
「、、」
「何とかしてやりたかった、、だけど、ほとんど手が出せずに、、敗けた、、」
「悠里が負けたのか、、珍しいな」
「ああ、儚さを感じたよ。己の無力さを、、」
「儚さ、ねぇ、、」
「有希は幼馴染だから、ある程度分かってるつもりだった。けど、実際なんも分かっちゃいなかった、、あの時、
本気で自分に刃を向けてきた。狩人の様に、、有希の今まで受けた恨み、憎しみ、怨念がこうさせたのかもな」
「恨み、、か、、有り得るな」
「その塊がモンスターとなった、、と考えるなら、1つだけ思い当たる事がある、、」
「魔王龍ベエルゼ、、かしら？」
「あ、安楽木、、？」
「彼女が安楽木さんなのか」
「私も、、デュエルしたわ。彼女と」
「！？」
「、、」
「2人ともデュエルしたのか、、そんで、安楽木さんが悠里を此処に運んだ、となれば合点がいくな」
「海清！そう言う問題じゃないから！」
「悠里くんが負けた時、私は偶然、そこに居たのよ。私もデュエルしたわ」
「、！？安楽木も、、」
「私も負けたわ」
「そんで、そのベエルゼってモンスターはどんな奴なんだ？」
「僕が教えるよ。デカくて、真っ黒で、、、顔が2つあるな」
「そういう事じゃなくてさ、」
「分かってる。闇属性のドラゴン族Sモンスターで、打点3000、破壊されないモンスターだ」
「ほう、、」

安楽木は服をたくし上げ、右の手のひらの付け根を見せる。

「あ、、！」
「私にも、こんなもの、、痣があったわ。デュエル中に、、」
「これは、、」

安楽木の腕に描かれていたのは数字の4みたいな形をしている。
一方、悠里の左腕の掌側の手首の付け根近くには三日月のような模様。

「っつーことは、有希とデュエルして、」
「かもね」
「でさ、デュエル中、すっごく痛かったのよね」
「あ、僕も、、声には出さなかったけど、ものすごい激痛だったな」
「そんなに痛かったのか」
「まるで、麻酔無しの手術で、傷を抉られているような感じだな」
「もう少し柔和な表現は無かったのか、、グロテスクすぎる、、」
「そうそう、その有希ちゃん、って子の事なんだけど、、」

そう言って、ある物を見せる。

「これは、、」
「有希ちゃんがいると思われる場所、、『アルカディア・ムーヴメント』、、」
「政府施設じゃないか、、治外法権が効いている、、」
「なんでまたこんな所に、、」

アルカディア・ムーヴメント、、政府認定の研究施設である。
この施設では、様々な近代化に伴って、様々な研究をしているらしいが、その内容は一切明かされていない。

「もしかしたら、有希にも似たような物があるかもな」
「そうね」
「、、、有希と、ちゃんと話をしたい、、もう一度、、有希と、昔のように、遊んだりしたい！そんで、今度こそ、
有希の事を受け止めてやりたい！分かってやりたい、、！」
「でも、どうやって？あそこは治外法権効いてるし、無闇に入れないし、、」
「変装すれば、、警備員に」
「警備員か、、いいな。期日は？」
「次のテスト終了後、7月25日はどうだ？夏休み前だし」
「悠里、そう言うのは覚えてるんだな」
「夏休みは誰だって覚えるだろ」
「ま、いいわ。私は協力者を募っておくとするわ」

その日は安楽木の家で食事を3人で取った後、それぞれの自宅に帰った。

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恐る恐る家に入ると、桜花がフライパンとフライ返しを手に待ち構えていた。

「悠里ぃぃ。どぉこ行ってたのかしらぁ、、？？（#^ω^）(怒)」
「こ、これには訳があるんだ」
「へぇ、、学校1週間以上休んで家にも帰らない理由がどぉぅこにあるのかしらぁぁ？？(# ﾟДﾟ)(怒)」

そう言って、腕を前にだす。

「あら、その痣、、私と同じ模様ね」
「え、、？」

キョトンとする悠里。桜花は右の手のひらを上にして、手首の付け根の所を出す。

「あ、、！」

そこには悠里と同じ、、いや、違う。似ているが違う。

「よく見ると、悠里は三日月の形をしているわね、、」
「義姉さんは、反対向き、、？」

悠里の痣の模様は、左側が大きく欠けている。それに対して桜花の痣の模様は、右側が大きく欠けている。

「義姉さん、それ、すっごく痛くなかった？」
「あら、悠里も痛かったの？」
「やっぱり痛かったんだ、、それで、病院行ったら、強制入院させられてさ、、」
「あら、そうだったの。電話入れてくれればよかったのに」
「保険証持ってたから大丈夫だったよ」
「そう。遊んでたなら殴ってたけど、痣の事ならしょうがないわね。早くご飯食べなさい」

さっき安楽木の家で食べてきたばっかりなのに、また腹が空いて、虫が鳴る。
急いでキッチンに出て、荷物を放り出し、席に着き、2回目の夕食を取る。
そして、就寝。久しぶりの自宅就寝。

「ねえ、悠里」
「なに？義姉さん」
「明日、話したい事があるから」
「、、分かった」
「じゃあ、お休み」
「義姉さん、お休み」

真っ暗な夜に三日月の光だけが差し込む。
話したいこと、、一体なんだろう。痣の事かな、、