74.壊常苦嘆　作：くちなし

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【フィールド】
瀬那　LP2100　手札1
伏せカード4枚

悠里　LP8000　手札1
レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント　ATK3200

玄冬　LP4000　手札3

アンドレ　LP5200　手札0
DDD運命王ゼロ・ラプラス　ATK？
地獄門の契約書
常闇の契約書
DD魔導賢者コペルニクス
DD魔導賢者ニュートン


Turn11　TP 玄冬　メインフェイズ

アンドレが苦しい表情で呟いた言葉、、
それにしても、アンドレが言ったのは幼少期のことだろう。それとアンドレのデッキとのつながりが未だわからない。

「、、まあいい。早く終わらせるぞ。こんな退屈な決闘など！ブラック・ホール発動！」

相手もここで引き当てたか、、振出しに戻るのか、、
と思ったとき。ブラック・ホールをさらなる闇が包む。場には何も変化は起きない。

「、、何が起こった！」
「常闇の契約書の効果、、それは、私のPゾーンが2枚とも【DD】カードのとき、相手は場のモンスターを魔法・罠カードの効果対象にできない！」
「、、フン、、厄介な効果め、、(だが、持ってあと2ターン、、)」

場にはモンスターが2体。悠里のレッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラントと、アンドレの場のゼロ・ラプラス。一方、相手の場には総じて伏せカード4枚。

「、、ターンエンドだ」


Turn12　TP アンドレ　手札0→1

「スタンバイフェイズ、、契約書2枚の効果で1000ずつダメージを受ける、、」

アンドレ　LP5200→3200

「地獄門の契約書の効果で、デッキからDDラミアを手札に加え、トレード・インを発動。モンスターを捨て、2枚ドローする」

捨てたのは、、魔導賢者トーマスか、、

「もう、、終わりにするわよ、、！」

【P召喚！来て！私のモンスターたち！】

アンドレは2体のモンスターを特殊召喚した。

「4王の一角、、！DDD死偉王ヘル・アーマゲドン！！」

DDD死偉王ヘル・アーマゲドン　ATK3000

紫色の盾のような形をし、悪魔のような顔つきをした大型モンスター。
攻撃力3000が2体、フィールドに並んだ。

「これで終わりよ！！ヘル・アーマゲドンで瀬那にダイレクト、、」

とどめを刺そうとしたとき、、

「姉さん！！そこまで！！」

若い男の子の声である。人影が2人。誰だ、、また血縁者か、、

「アンドレ、もうよしなさい」
「、、分かったわ、お母様、、」

仕方なくデュエルディスクをおろす。不完全燃焼だな、、
って母親、、！？アンドレの母親か、、！

「玄冬さん、あなたもいい歳こいて何張り合ってるんですか。もう、大人げないったら、、」
「フン、、フランスに連れ戻すための致し方なしだ」
「瀬那も。あなたも公衆の面前でなにをしてるんですか！」
「、、ごめんなさい」
「あなたたちの決闘は最初から観てました。あなたも分かってるんじゃないですか？本当はアンドレの真意に」
「、、フン、、」
「、、アンドレ。もう一度しっかりと伝えなさい」

静かに提言する。さらさらと風が頬にあたる。

「、、私、ここに残りたい、、ここにはここでできた仲間や友達がたくさんいる。だからフランスに戻って暮らすより、ここに残って暮らしたい。そのほうが私にとって有意義だから、、」
「フン、、何度言っても、、」
「あなた、、！」
「ああ、、ちょっといいですかね、、？」

重い雰囲気の中、悠里が言う。

「はじめに言った通り、アンドレの父親が言ったことには筋があるし、納得のいくものだと思う。アンドレの意見が説明不足で、今に至るわけだが、、行動を共にしたのはほんの少しだが、それだけでも表情はすごく楽しそうで、いつも笑ってるんです。。、、どうか、ここで引き離さないでくれないだろうか、、アンドレをここに在留させてくれないろうか、、お願いしますっ！」
「ゆ、悠里くん、、っ、、！」

言いたいことは言った。即興なんで言い方に関しては勘弁願いたいのだが。

「お父様、、僕からも、、頼みます、、」
「あなた、、どうします、、？」

悠里とアンドレ弟が頭を下げている状況のなか、断りづらくなったのか、

「、、好きにしろ、、愚かな娘よ、、」

一言だけ残して、その場を後にした。
これは、、承諾したということでいいんだよな、、？

「、、やった、、やったわ！私、ここに残れる！」
「アンドレ、だからと言って気を抜いてはいけませんよ。今回は、そこのパートナーさんに免じて猶予を与えたのに過ぎないのですから。家紋に泥を塗る事の無いよう、これからも精進しなさい」
「ありがとう、お母様、、」

よし、一件落着、、

「あなた、名前は、、？」
「、、”観月悠里”」
「そうですか。改めて、私、海老坂洋子。アンドレたちの母親です。観月君、、娘をよろしく頼みますよ」
「、、それは、、そこにいるあいつらに行ってください。生憎、ボクは同じ学校じゃないので」

指さす先には隠れてみていた詩音と蒼羽。
悠里が手で合図を出す。「早くこっち来い」と。

「ったく、、最後まで隠れてるつもりなのに」
「だったらもう少しうまく隠れろ、、」
「では改めて、、2人とも、アンドレのこと、これからも仲良くしてあげてください」
「、、友達であり、仲間なんだから、、何があっても見捨てるようなことはないですよ」
「、、なら安心です。では、この辺でおいとましますわね。行きますわよ、拓海、瀬那」

母親に続いて、２りは軽く頭を下げ、母親に続いていく。

「じゃあ、私たちは先に戻っているから、早く買ってきて頂戴ねー」
「うわっ！ちょ、何すんの、、」

詩音を引っ張って戻っていく蒼羽。
って、！だからグミくらい自分で買えっつーの！！

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帰り道のことである。

「悠里くん、、今日、ありがとね」
「別に、、言いたいことを言っただけだ。何もしてない」
「そう、、少しだけ、昔の話をしてもいいかい？」

アンドレが小学生の時にさかのぼる。
アンドレの家庭は、父親が厳しい性格、鉄拳制裁だったため、多様な事を取り組ませたそうだ。ピアノ、総合格闘技、バレエ、水泳、塾、語学、、毎日習い事で、遊ぶ暇なんてなかった。いや、遊べなかったというほうが正しいのか。その結果。誰とも遊べなかったアンドレは、交友関係に乏しくなってしまった。

「、、なるほど。だからここに来たんだな。ここに来れば友達ができるかもって思ったのか」
「うん。今だから言えるけど、あの2人には、ほんと感謝しているよ。もし2人が話しかけてくれなかったら、私、たぶん一人だった。『中途半端な時期に舞い込んできた日本語下手な転校生』というフダツキでいじられるだけだったからね。その時、まだここに来たばかりだったし」
「鉄拳制裁な、、愛ある拳のつもりなんだろうが、辛みが効きすぎだな、、」
「ほんとそうだよ、、誕生日プレゼントに島ひとつ買うなんて思わないからね、、」
「島1つ誕生日に、、ってことは、、今個人で島16個持ってるのか、、？」
「まさか。それっきりだよ。そしたら、翌年、ショッピングモール貸し切っちゃってさ」
「おいおい、、甘すぎだな、、」
「それにしても【DD】、、久しぶりだけあって、少し慣らしが必要だね」
「ま、頑張れ」
「ありがとう」

人と話しながら歩くと、あっという間に時間は過ぎ去ってしまうせいか、宿に着いた。

「さて、今日は疲れた。ゆっくり休ませてもらうか」
「悠里くん、、仕事終わりのサラリーマンみたいだよ」
「うるせぇ、、」

さて、、お腹すいたなぁと思いながら部屋に戻ると、重い雰囲気が漂っていた。

「おいおい、なんなんだよ、この空気は」
「、、あたし、次のデュエルには出ないわ」
「、、どういうことだ」
「そのまんまの意味よ」
「そのまんまって、、」
「言わなきゃわかんないの、、？あたしは、次の試合は出ないって言ってんの！」

強い口調で言うと悠里とすれ違う形で部屋を後にした。

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次回予告！
突然、準決勝をボイコットすると宣言した瑞穂。
明けてやってくる日。亀裂が入った状態で臨む準決勝で、チームに致命的な危機が訪れる！
そして、瑞穂が本心を吐露したとき、チームにある変化が起こる、、！

次回！第75話「妬思吐漏」

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