61.惹燃性スイートハート　作：くちなし

☆★☆★

【フィールド】
悠里　LP5400　手札6
閃珖竜 スターダスト　DEF2000
琰魔竜レッド・デーモン　ATK3000
PSYフレームロード・Ω　ATK3000
ブリリアント・フュージョン
伏せカード2枚

詩音　LP6000　手札0
幻奏の音女アリア　DEF1200
幻奏の華歌聖 ブルーム・ディーヴァ　ATK1900
神の居城－ヴァルハラ
伏せカード2枚


Turn20　TP 詩音　(メインフェイズ中)

「華歌聖、、か」

ディーヴァはラテン語で神々しい、イタリア語で女神を意味し、歌姫とも称される。
詩音が悠里に抱く思いを具現化したモンスター、、なのか？

「バトルに移るわよ！ブルーム・ディーヴァでPSYフレームロード・Ω攻撃するわ！
反響歌声(リフレクト・ボイス)！！」

幻奏の華歌聖 ブルーム・ディーヴァ　ATK1900
PSYフレームロード・Ω　ATK3000

「Ωの攻撃力は3000だ」
「ブルーム・ディーヴァの戦闘で発生するダメージは0になるわ！そして、自身は戦闘、効果では破壊されないわ！」
「、、」
「ブルーム・ディーヴァの効果は、自身と戦闘を行った相手モンスターとの攻撃力の差分のダメージを与えて、そのモンスターを破壊するわ！」
「、、！」

本来破壊なら、スターダストの聖羽防壁(エンシェント・フォース)で守れるが、今はダメージ計算時なので、その効果は使えない。
そして、2体のモンスターの攻撃力の差は1100。

悠里LP5400→4300

「私はこれでターンエンドよ」


Turn21　TP 悠里　手札6→7

(最悪だ、、)

悠里の手札は運の悪いことに、この状況を打開できるカードがない。

「牛頭鬼を召喚」

牛頭鬼　ATK1300

「効果で馬頭鬼を墓地におくる」
「、、(馬頭鬼、、アンデット族でも混ざっているのかしら、、？)」
「そして、レッド・デーモンの効果を発動！自身以外の攻撃表示モンスターを全て破壊する！地獄の炎波動！(アブソリュート・レッド・フォース)」
「私のブルーム・ディーヴァも破壊されないわ！」
「無論、レッド・デーモンはスターダストの効果で破壊されない！聖羽防壁！」

破壊されたのは詩音の場のアリアのみだが、これでも堅い盤面を剥がせただけいいほうだ。

「これでターンエンドだ、、」


Turn22　TP 詩音　手札0→1

「バトル！ブルーム・ディーヴァで琰魔竜レッド・デーモンを攻撃！」
「罠発動！くず鉄のかかし！攻撃を無効にした後、再セットする！」
「カードを1枚伏せてターンエンドよ」


Turn23　TP 悠里　手札6→7

「、、(まだだ、まだ来ない、、！)」

悠里の求めるカード。それは、瑞穂が渡したカードでもあり、賭け勝負になるカードである。

(今はスターダストとかかしでブルーム・ディーヴァの攻撃は防げるけど、長期戦は不利か)

「牛頭鬼の効果で、馬頭鬼を墓地に送る。カードを1枚伏せてターンエンド」


Turn24　TP 詩音　手札0→1

「バトル！ブルーム・ディーヴァで琰魔竜レッド・デーモンを攻撃！反響歌声！！」
「くず鉄のかかしを発動！」
「罠カード、幻奏のイリュージョンをブルーム・ディーヴァを対象に発動！このターン、対象のモンスターは相手の魔法・罠カードの効果を一切受けないわ！何度も足止めは受けないわ」

幻奏の華歌聖 ブルーム・ディーヴァ　ATK1900
琰魔竜レッド・デーモン　ATK3000

悠里　LP4300→3200

「さらに、このターン、ブルーム・ディーヴァはもう一度攻撃できるわ！スターダストに攻撃！反響歌声、第二幕！！」
「スターダストの効果で、自身を守る！聖羽防壁！(エンシェント・フォース)」
「ブルーム・ディーヴァの効果は相手モンスターを破壊できなくても発生するわ！」

悠里LP3200→2100

「ターンエンドよ」


Turn25　TP 悠里　手札6→7

「、、(来た、、！)」
「さあ、早くしなさい、観月悠里！これがあなたの「最期の順番」(ファイナルターン)よ！」
「そうだな、、最期、、だな」
「諦めたのかしら？」
「だがな、「最期」じゃなくて「最後」のターンだ！このデュエル、ボクが勝つ！」
「破壊されない華歌聖の前にダメージは通らないわ！」

確かに、ブルーム・ディーヴァは戦闘でも、効果でも破壊できず、ダメージも与えられない
うえに、攻撃した自分のモンスターが破壊され、おまけの反射ダメージを受けてしまう。悠里には、2人の残した2枚のカードがあり、そのうちの1枚に希望を託すことにした。

「魔法カード、手札抹殺を発動！」
「、、！」

瑞穂がくれたこのカード。確かに手札が切羽詰まったこの状況を変えられるカードだ。

「観月悠里、、あんた、この一瞬の運試しに勝敗を賭けるというの、、！？」
「運が悪いならそこまでの話だ。ボクは今を全力でやり切る、、！効果で互いに手札を捨て、捨てた枚数分ドローする！」

詩音は1枚、悠里は6枚、デッキからカードを引く。悠里が欲しいのは、デッキに眠る1枚の魔法カードだ。その魔法カードをうまく引き当てることができた。

「手札から星邪の神喰を発動して、墓地の馬頭鬼の効果を発動！自身を除外して、墓地に眠るゾンビキャリアを特殊召喚！」

ゾンビキャリア　☆2　DEF0

「星邪の神喰の効果発動！」

星邪の神喰はターンに1度、自分の墓地から1枚だけカードが除外された時、そのモンスターと異なる属性のモンスターを墓地に送ることのできる永続魔法である。

「炎属性の、不知火の鍛師を墓地に送る！」
「不知火、、！」
「そして、2体目の馬頭鬼を除外して墓地の不知火の鍛師を特殊召喚！」

不知火の鍛師　DEF0

「☆4の不知火の鍛師に、☆2のゾンビキャリアをチューニング！」

≪冥途を彷徨う付喪神よ。戦場をかけ、いざ参らん！≫

【S召喚！刀神ー不知火ー！！】

刀神ー不知火ー　☆6　ATK2500

「S素材として墓地に送られた不知火の鍛師の効果で、デッキから不知火の宮司を手札に
加えて、召喚！」

不知火の宮司　ATK1500

「宮司の召喚成功時の効果で、墓地の不知火の鍛師を特殊召喚！さらに、手札を1枚デッキの
上に戻し、墓地のゾンビキャリアを特殊召喚！そして、3体目の馬頭鬼を除外して、墓地の
ペインペインターを特殊召喚！」

ペインペインター　☆2　DEF0
ゾンビキャリア　☆2　DEF0

「、、(馬頭鬼、、手札抹殺で送った手札の中にもあったのね、、)」
「ペインペインターの効果発動！場のアンデット族モンスターのレベルを2にする！これで、牛頭鬼のレベルを2にする！」

牛頭鬼　☆3→2

「☆2となった牛頭鬼に、☆4の不知火の宮司に☆2のゾンビキャリアをチューニング！」

≪烈火の龍よ、今ここに魂の咆哮を上げ、天地を揺るがす覇者となる！≫

【S召喚！レッド・デーモンズ・ドラゴン！】

「やっとお出ましね。観月悠里、、あんたのエースモンスター！」
「いや、まだだ！☆6の刀神ー不知火ーに、☆2のペインペインターをチューニング！」

≪冥途を駆ける戦神よ、妖刀携え、炎の中より現れよ！≫

【S召喚！戦神ー不知火ー！！】

戦神－不知火ー　☆8　ATK3000

「戦神－不知火ーの効果を発動！墓地に眠るアンデット族モンスター1体を除外し、除外したモンスターの攻撃力分、自身の攻撃力をアップする！除外するのは、攻撃力2500の
刀神ー不知火ーだ！」

戦神－不知火ー　ATK3000→5500

「刀神ー不知火ーは除外された時、相手モンスター1体の攻撃力を500下げる！」

幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ　ATK1900→1400

「墓地のグローアップ・バルブは、デッキトップを墓地に送り、特殊召喚できる！」

グローアップ・バルブ　☆1　DEF0

「そして、自分が通常召喚に成功したターン、手札のワンショット・キャノンは手札から
特殊召喚できる！」

ワンショット・キャノン　☆1　ATK0

「観月の場にチューナーが2体、、」
「チューナーばかり展開して、何をする気なの、、悠里、、」
「、、(☆1のワンショット・キャノンとグローアップ・バルブでは☆12のスカーレッド・ノヴァ・ドラゴンはS召喚できない、、どうする気、、？)」
「なら、、選択肢は1つしかないっさ！」

氏家さんと瑞穂が並んでやってくる。氏家さんは満面の笑みを浮かべている。

「、、あいつの新しいモンスターよ」

「☆8のSモンスター、レッド・デーモンズ・ドラゴンに、☆1のグローアップ・バルブと
ワンショット・キャノンを、、」
「まさか、、！」
「、、ダブルチューニング！！」
「2体のチューナーでS召喚！？」

「そんな、、チューナーを2体使うシンクロモンスターなんて聞いたことないわ！」
「、、(悠里の新しい2体のチューナーを使うSモンスター、、)」

、、有希、香織、瑞穂、安楽木、城ヶ崎、氏家さん、ウミキヨ、義姉さん、、みんな、ボクは
今、さらなる高みを目指す！

≪琰魔に交わる微々なる魂よ！その光を得て、真紅の炎を墳散させよ！！≫

【S召喚！現れよ！レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント！！】

レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント　☆10　ATK3500　

「☆10のSモンスター、、大きいわね、、だけど！そのモンスターで攻撃したところで、攻撃力の差、2100のダメージを受けてあんたのライフは尽きるわ！」
「でも、その効果が無くなったらどうなる、、？」
「え、、？」
「(瑞穂、香織、、、！伏せカード、使わせてもらうよ、、！)」

「わたしのカードの出番ですね。。リバース発動！ブレイクスルー・スキル！場に存在する
モンスター1体の効果を無効にします！対象は幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァです！」
「私もよ！リバース発動！シンクロ・ストライク！S召喚したモンスターの攻撃力を、S素材の数×500ポイントアップさせる！対象はレッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラントよ！！」

幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ　効果無効
レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント　ATK3500→5000

「、、攻撃力5000と5500、、！？」
「バトル！戦神－不知火ーで、幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァを攻撃！」

戦神－不知火ー　ATK5500
幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ　ATK1400

不知火の刃が、歌姫の胴体を真一文字に切りつける。
斬られた歌姫はかん高い叫び声をあげて消えていく。

「きゃあ、、！！」

詩音　LP6000→1900

「行くぞ、2人、いや、瑞穂、香織、有希！」

「もう、、仕方ないわね、、行きなさい！レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント！！」
「相手プレイヤーに、、」
「ダイレクトアタックです。。！！」

3人の声に包まれた思いが、レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラントから出された炎に
よって放出される。それは一直線に向かっていく。

「、、！！！」

詩音　LP1900→0

〈なんと！観月悠里選手、レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラントで、、チームを勝利へ
導いた～！〉

「やった～！！」
「勝ったやんね！」
「、、」
「。。悠里。。」
「ふん、、心配させて、、」

〈あれ？どうやら、様子が変だよ？〉

その声をきいて、悠里はふと前を見る。

「、、天草、、！おい、、！」

Dホイールに乗ったまま、呼びかける。詩音の乗ったDホイールのスピードが全く落ちない。
むしろ加速している。何故だ？
詩音が青ざめた声で言う。

「ブレーキが、、Dホイールのブレーキが利かないの！！」
「何だって、、！？」
「詩音！」
「詩音ちゃん！！」

状況を理解しつつあるアンドレと蒼羽も声をかけるが、返事がない。
どうしたらいい、、！

「悠里、、助けて、、！」

そこに現れたのは。

「スターダスト・ドラゴン、、！BF－驟雨のライキリ、、！ブラック・ローズ・ドラゴン！」
「、、(お願い、、『私の・わたしの・あたしの』モンスター！あのDホイールを止めて、、！」

3体のモンスターの羽ばたきが起こした風が、暴走するDホイールを少しずつ失速させていく。

「、、天草！乗れ！」

身を寄せる悠里。詩音は何も言わず悠里の膝の上に乗る。

「、、(やっぱり私の王子様、、)」

Dホイールは、コースのガードレールにあたり、倒れる。

「あ、、ありがと、、」
「ったく、、一時期はどうなるかと思ったよ、、」
「うん、、」

目をキラキラさせつつ、ちょっぴり頬を赤らめる詩音であった。

☆★☆★

次回予告！
どうも。安楽々々木理沙と、、城ヶ崎火憐やんね！
第1戦は何とか勝ち進むことが出来たけど、これからもっと厳しい戦いが待っているわよ。
目指すは優勝、頑張るやんね！
それにしても、あの子、無事助かって良かったわね。(お姫様抱っこなんて羨ましい、、)
理沙、、？顔赤いけど、大丈夫なん、、？
だ、大丈夫よ、、！別に何も考えてないからっ！

次回！第62話　「懸想恋々」

☆★☆★