DRAW:２３９ 凍る渓谷！氷獄の鼓動　作：人喰い

(239)



───人間界。YAGAMI本社ビル上空。

神星樹と人間界の狭間であるこの地でも、決闘が行われていた───


トリシューラ「───我ノ、ターン」[手札 5]

白銀の翼を羽ばたかせ、悠々と構える決闘機兵───名は『トリシューラ』。

竜貴「───」

対峙するは、白き道着に身を包んだ高校生。
“青龍抜闘術”の後継者───『東雲 竜貴(しののめ りゅうき)』。
精霊のカード『ドラグニティアームズーレヴァテイン』の加護を受け、朱色の翼で浮遊する。

トリシューラ「『氷結界の照魔師』を召喚し───効果を発動」

《氷結界
ひょうけっかい
の照魔師
しょうまし
/Revealer of the Ice Barrier》 †
効果モンスター
星４/水属性/魔法使い族/攻1700/守1000
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分フィールドに他の「氷結界」モンスターが存在する限り、相手はアドバンス召喚できない。
(2)：手札を１枚捨てて発動できる。
デッキから「氷結界」チューナー１体を特殊召喚する。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分は水属性モンスターしか特殊召喚できない。
(3)：自分が「氷結界」モンスターの効果を発動するために、手札を墓地へ送る場合または捨てる場合、
そのカード１枚の代わりに墓地のこのカードを除外できる。

トリシューラ「手札の『クリスタル・ガール』ヲ墓地へ送り、デッキより『氷結界の霜精』ヲ特殊召喚！」[DEF 200]☆1 チューナー

《氷結界
ひょうけっかい
の霜精
そうせい
/Hexa Spirit of the Ice Barrier》 †
チューナー・効果モンスター
星１/水属性/海竜族/攻 400/守 200
このカード名の(2)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分フィールドに他の「氷結界」モンスターが存在する限り、
相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は５００ダウンする。
(2)：自分メインフェイズに発動できる。
デッキからレベル３以下の「氷結界」モンスター１体を墓地へ送る。
このカードのレベルはターン終了時まで、そのモンスターと同じになる。


トリシューラ「『氷結界の霜精』の効果───デッキより『氷結界の番人 ブリズド』ヲ墓地へ」

更に、と機兵は続ける。

トリシューラ「フィールドに氷結界モンスターが存在する場合、このカードは手札より特殊召喚できる───現れよ！『氷結界の依巫』！」[DEF 1800]☆4

《氷結界
ひょうけっかい
の依巫
よりまし
/Speaker for the Ice Barriers》 †
効果モンスター
星４/水属性/魔法使い族/攻1000/守1800
このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分フィールドに「氷結界」モンスターが存在する場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2)：自分フィールドに他の「氷結界」モンスターが存在する限り、
相手フィールドの守備表示モンスターは表示形式を変更できない。
(3)：自分フィールドに「氷結界」モンスターが存在する場合、
墓地のこのカードを除外して発動できる。
自分フィールドに「氷結界トークン」（水族・水・星１・攻／守０）１体を特殊召喚する。


───瞬間、背筋が凍る。

竜貴「───ッ！なんだ……ッ？この感覚───」

竜貴の鍛え上げられた“直感”が、何かを感じ取った。
しかし、それがなんなのか、わからない。

トリシューラ「レベル4、『氷結界の照魔師』と『氷結界の依巫』に、レベル1、『氷結界の霜精』をチューニング！！」

程なくして、不安は確信へと変わる───


◉◉◉☆4+☆4+☆1=☆9◉◉◉


トリシューラ「───シンクロ召喚ッッ！！」

機兵が翼を広げると、豪雪が両者を襲う。
そして列を成した氷結界のモンスター達は天へと昇り───

竜貴「……！！なんだ…っ！？こんな召喚エネルギー…今まで見たことがねぇ…ッ！！」

猛吹雪で霞む視界の奥に、巨大な───影。


トリシューラ「我ハ万物ヲ穿ツ、氷獄ノ霊槍───“トリシューラ”」


機兵はそう宣言し、“白”が、弾けた。

竜貴「…ッ…！！」



トリシューラ「顕現せよ───『氷結界の龍 トリシューラ』ッ！！！」



───『氷結界の龍 トリシューラ』
そう呼ばれたモンスターの姿が、露わとなる。
全身を氷で覆われ、凍てつく“鼓動”を放つ三つ首の氷龍───


『シュラァァァアアァアァアアァァアアアッッ！！！』[ATK 2700]


竜貴「…！この威圧感……ッ！今まで戦って来た誰よりも……ヤバイ…ッ！」

デュエルが始まる前に竜貴を2度攻撃した時とは明らかにレベルの違うその存在に、竜貴は思わず声を荒げる。

トリシューラ「我ガ効果ヲ行使───」


《氷結界
ひょうけっかい
の龍
りゅう
トリシューラ/Trishula, Dragon of the Ice Barrier》 †
シンクロ・効果モンスター
星９/水属性/ドラゴン族/攻2700/守2000
チューナー＋チューナー以外のモンスター２体以上
(1)：このカードがＳ召喚した時に発動できる。
相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ１枚まで選んで除外できる
（手札からはランダムに選ぶ）。


機兵は間髪入れず、効果の発動を宣言。

トリシューラ「至極ノ一撃ヲ喰らうがいい───〝トリニティ・フリージング・ノヴァ〟───」

───刹那。

竜貴「───」

言葉を発する間も無く、

竜貴「───？」


竜貴の手札が一枚、消し飛んだ。


竜貴「───ぁ？」

トリシューラ「トリシューラのシンクロ召喚成功時、相手の手札・フィールド・墓地それぞれに、龍の裁きは降り注ぐ───」

目にも止まらぬ速さで貫かれた一枚は───『竜の渓谷』。
竜貴の操るデッキ【ドラグニティ】において、展開の要となるフィールド魔法だ。


トリシューラ「───まずは、一枚」

















◉◉◉遊戯王 Ph.X◉◉◉
───DRAW:２３９───
《凍る渓谷！氷獄の鼓動》















竜貴「───は…？」[手札 4]

眼ではまるで追えなかった。神速の一撃。
これが、“トリシューラ”の力───

トリシューラ「───自分のターンを迎えるより前に手札を失う感覚はどうだ？
…残った手札は言わば貴様の“命ノ灯火”───この寒さでは、それもすぐに尽きるだろう…」

竜貴「なん…だと…ッ…？」

言葉の意味が、わからない。
そこで機兵は、ポツリと、呟いた。

トリシューラ「我の墓地の水属性モンスターは、丁度、5体───」

『氷結界の照魔師』
『氷結界の霜精』
『氷結界の依巫』
『氷結界の番人 ブリズド』
『クリスタル・ガール』

竜貴「……一体、何を───」

何を、言っているんだ。
そう問う間も無く、機兵の背後に巨大な影が揺らめく───

トリシューラ「この条件により、手札より現れよ───『氷霊神 ムーラングレイス』！！」


《氷霊神
ひょうれいしん
ムーラングレイス/Moulinglacia the Elemental Lord》 †
特殊召喚・効果モンスター
星８/水属性/海竜族/攻2800/守2200
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の水属性モンスターが５体の場合のみ特殊召喚できる。
このカード名の(1)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。
相手の手札をランダムに２枚選んで捨てる。
(2)：表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合、
次の自分ターンのバトルフェイズをスキップする。


影の正体、それは、氷龍にも引けを取らないほどの“圧”を持った、『霊神』の名を冠するモンスター。

『氷霊神 ムーラングレイス』[ATK 2800]

竜貴「───」

直感で分かる。こいつも、“ヤバイ”───！

竜貴「…！！」

悪寒───刹那。

上空から降り注いだ２本の氷の槍が、竜貴の手札を２枚、貫いた。

手札→墓地
『嵐征竜-テンペスト』
『ドラグニティーセナート』

竜貴「…なッ…！？」

トリシューラ「ムーラングレイスの特殊召喚成功時───貴様の手札は、２枚、墓地へと送られる」

竜貴「───ッ」[手札 2]

───先攻から、３枚の手札破壊。
あまりにも唐突な初動に思考が追いつかない。
しかしそんな竜貴を待つはずもなく、機兵は続ける。

トリシューラ「───墓地の『クリスタル・ガール』の効果」

《クリスタル・ガール/Crystal Girl》 †
効果モンスター
星１/水属性/魔法使い族/攻 200/守 100
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
このターンのエンドフェイズに、デッキからレベル５以上の水属性モンスター１体を手札に加える。
(2)：このカードが墓地に存在し、
自分フィールドにレベル５以上の水属性モンスターが存在する場合に発動できる。
このカードを特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。


トリシューラ「このカードを墓地から特殊召喚し、更に特殊召喚成功時に効果を発動する」

(1)：このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
このターンのエンドフェイズに、デッキからレベル５以上の水属性モンスター１体を手札に加える。

トリシューラ「カードを１枚伏せ、我はターンを終了───そしてこのエンドフェイズ、『クリスタル・ガール』の効果処理により、デッキから『氷結界の虎将 ウェイン』を手札に加える───」[手札 2]

手札破壊だけでは飽き足らず、後続の確保まで盤石。まるで隙のない１ターン目。
それを受け、竜貴は、

竜貴「………」

俯き、無言でデッキの上に指を乗せる。


◉TURN:０２◉


竜貴「…俺の、ターン」

顔を上げた竜貴は、僅かに笑みを浮かべていた。

トリシューラ「…！」

これもデュエリストの性だろうか。
これだけの劣勢に立たされても、その足は前に進むことを決してやめない。

竜貴「………ッドローッッ！！」[手札 3]

“このデュエルに勝つ”。
それだけを胸に、勢いよくカードを引き抜く。
そして引き抜いた1枚を高く掲げ、その効果を発動させた。

竜貴「───俺は、手札の『ドラグニティーレムス』を捨て、効果発動ッ！！」


《ドラグニティ－レムス/Dragunity Remus》 †
チューナー・効果モンスター
星２/風属性/ドラゴン族/攻 800/守 800
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できず、
このカードをＳ素材とする場合、「ドラグニティ」モンスターのＳ召喚にしか使用できない。
(1)：このカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「竜の渓谷」１枚を手札に加える。
(2)：自分フィールドに「ドラグニティ」モンスターが存在する場合に発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。
このターン、自分はドラゴン族モンスターしかＥＸデッキから特殊召喚できない。


竜貴「デッキから、『竜の渓谷』を手札に加え、発動ッ！！」

《竜
りゅう
の渓谷
けいこく
/Dragon Ravine》 †
フィールド魔法
(1)：１ターンに１度、手札を１枚捨て、
以下の効果から１つを選択して発動できる。
●デッキからレベル４以下の「ドラグニティ」モンスター１体を手札に加える。
●デッキからドラゴン族モンスター１体を墓地へ送る。


竜貴「１枚除外されたくらいじゃどうって事ねぇ！
行くぜ…！！『竜の渓谷』の効果！！手札の『ドラグニティアームズーグラム』を捨て、デッキからレベル4以下のドラグニティを───」

───手札に加える。
そう言いかけ、口を紡ぐ。

トリシューラ「何か、勘違いをしているようだな───」

竜貴「───！」

トリシューラ「───そこに竜の棲家など、無い」

機兵は言った。ハッキリと、端的に。

トリシューラ「残念だが、伏せカードを発動させて貰った───」

まだ終わっていなかったのだ。目の前の敵───トリシューラの攻撃は。


トリシューラ「罠カード───『トリシューラの鼓動』」


《トリシューラの鼓動
こどう
/Terror of Trishula》 †
通常罠
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分フィールドの「氷結界」Ｓモンスターの種類によって以下の効果を適用する。
●１種類以上：相手フィールドのカード１枚を除外する。
●２種類以上：相手の墓地のカード１枚を除外する。
●３種類以上：相手の手札をランダムに１枚除外する。
(2)：自分フィールドの「氷結界」Ｓモンスターを対象とする
魔法・罠・モンスターの効果を相手が発動した時、
墓地のこのカードを除外して発動できる。
その効果を無効にする。


攻撃───否。
ただ、そこに存在しているだけだ。
そこにいるだけで発せられた鼓動が、猛吹雪を起こし、

トリシューラ「場の氷結界シンクロモンスターの数まで、その氷槍は降り注ぐ───」

やがて渓谷は凍りつき、氷河期を迎える───

トリシューラ「───これで、２枚目。
凍てつく氷の世界では、竜も鳥人も生きられぬ───」

竜貴「……」

冷たい視線、冷たい言葉。
それを受け、竜貴はしばし沈黙。

トリシューラ「我等《終焉の焔》、そして瑞稀様の“勝利条件”のため、貴様にはここで消えて貰う」

───勝利条件。
機兵は、そう言った。

竜貴「───」

それが何を意味しているのかは、なんとなくわかる。

竜貴「人間界との連携を断つのが目的か…？」

トリシューラ「……」

機兵は答える意思を見せない。

竜貴「その為に、罪の無い大勢を巻き込むってのか…？」

トリシューラ「………弱きモノが淘汰されるのは、当然の帰結だ」

竜貴「───ふざけんなよ」

トリシューラ「…なぜ怒る？貴様には関係のない事だろう」

竜貴「…関係ない、か。確かに、そうだな。そうかもしんねぇ。でもな───」

───魂の、拒絶。

竜貴「───だとしても、見捨てて良い理由にはならねェ」

トリシューラ「…これ以上の対話は時間の無駄だ。貴様達が寒波で息絶えるまでの貴重な時間の…な」

竜貴「息絶える…か。残念だが、俺も、俺の墓地に眠るコイツも───そうは思ってねぇみたいだぜ」

瞬間───どこからともなく、炎が噴き上がる。

トリシューラ「───！」

竜貴「俺は！！墓地のドラゴン族・鳥獣族モンスターを2体…ッゲームから除外し───」

墓地→除外
『嵐征竜-テンペスト』
『ドラグニティーレムス』

竜貴「このカードを墓地から特殊召喚するッ！！」

ふと、思い出したのは、いつか闘った少年の姿。

竜貴「氷結する世界に終局を───！
飛翔せよ、疾風の竜騎士！！」

何度打ちのめされても、紅蓮の炎を纏い蘇る───不死鳥を駆る少年の姿。

竜貴「───『ドラグニティアームズーグラム』！！」

叫ぶと同時に、二人の遥か下───地上にて、凍りついた大地がグラグラと揺れ始める。

トリシューラ「…！？これは───ッ」

束の間、大地を割り飛び出した翼竜が、凄まじいスピードで二人の闘う上空へと舞い上がった。
猛き炎を纏い、咆哮を上げながら。

『グラァァァァァァアァァァッッ！！！』[ATK 2900]☆10


《ドラグニティアームズ－グラム/Dragunity Arma Gram》 †
効果モンスター
星１０/風属性/ドラゴン族/攻2900/守2200
このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分の墓地からドラゴン族・鳥獣族モンスター２体を除外して発動できる。
このカードを手札・墓地から特殊召喚する。
(2)：フィールドの表側表示モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターの効果は無効化され、その攻撃力は自分フィールドの装備カードの数×１０００ダウンする。
(3)：相手フィールドのモンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
そのモンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。


トリシューラ「……手札破壊を逆手に取るとは───」

竜貴「───それだけじゃねぇ！除外された『嵐征竜-テンペスト』の効果！！」


(4)：このカードが除外された場合に発動できる。
デッキからドラゴン族・風属性モンスター１体を手札に加える。


竜貴「『ドラグニティーギザーム』をデッキから手札に加え───召喚！！」[ATK 600]☆3 チューナー

《ドラグニティ－ギザーム/Dragunity Guisarme》 †
チューナー・効果モンスター
星３/風属性/ドラゴン族/攻 600/守1600
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の風属性・レベル４以下の、
ドラゴン族または鳥獣族のモンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
(2)：このカードが装備カード扱いとして装備されている場合に発動できる。
装備されているこのカードを特殊召喚する。

竜貴「ギザームが召喚に成功した事で、墓地の『ドラグニティーセナート』を効果を無効にして特殊召喚！！」[DEF 600]☆4

竜貴「─── 一意先進ッ！！竜装一体ッ！！
レベル4の『ドラグニティーセナート』に、レベル3の『ドラグニティーギザーム』をチューニング！！」


◉◉◉☆4+☆3=☆7◉◉◉


竜貴「───同調せし竜騎士よ！フィールドに舞い降り、鋭き一撃で駆け抜けろ！シンクロ召喚！！
現れろ！絶望を断ち切る青き刃ッ！！『ドラグニティナイトーゴルムファバル』！！」[ATK 2600]

《ドラグニティナイト－ゴルムファバル/Dragunity Knight - Gormfaobhar》 †
シンクロ・効果モンスター
星７/風属性/ドラゴン族/攻2600/守2300
「ドラグニティ」チューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードがＳ召喚に成功した時、
自分の墓地の「ドラグニティ」チューナー１体を対象として発動できる。
そのモンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。
(2)：このカードに装備されている自分フィールドの装備カード１枚を墓地へ送り、
相手の墓地のカードを２枚まで対象として発動できる。
そのカードを除外する。
この効果は相手ターンでも発動できる。


竜貴「───ゴルムファバルの効果発動ッ！！墓地のギザームを自身に装備！！」

トリシューラ「…これだけの寒波に見舞われながらも、まだその命を燃やし足掻くと言うのか───」

竜貴「…言っただろ。コイツらは諦めてねェ。魂がそう言ってんだ。
……機械のお前には、わかんねぇか？」

トリシューラ「…クク、魂……か。そうだな───ならば見せてみるが良い！人が！精霊が！散る間際に見せる魂の輝きとやらを！！」

竜貴「言われなくてもそのつもりだッ！！
尤も、散る間際ってのはアンタの見当違いだろうけどなァ！！」

そう言って竜貴は右手で握った拳を天高く掲げ───

竜貴「───『ドラグニティアームズーグラム』の効果発動！！」

(2)：フィールドの表側表示モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターの効果は無効化され、その攻撃力は自分フィールドの装備カードの数×１０００ダウンする。

竜貴「俺の場の装備カードは1枚！よって『氷結界の龍 トリシューラ』の効果を無効にし───その攻撃力は１０００ダウンする！！」

『氷結界の龍 トリシューラ』[ATK 2700→1700]

トリシューラ「…ッ！小癪な真似を───」

竜貴「更に！装備状態のギザームは1ターンに1度、自ら分離しフィールドに特殊召喚できる！再び現れろ！『ドラグニティーギザーム』！！」[DEF 1600]

トリシューラ「……！」

機兵は何かを感じ取ったように身構える。
機兵の従える氷龍も、“何か”の気配を感じ取ってか、静かに唸る───


竜貴「レベル７！『ドラグニティナイトーゴルムファバル』に、レベル3！『ドラグニティーギザーム』をチューニング！！」


◉◉◉☆7+☆3=☆10◉◉◉


竜貴「───同調せし竜騎士よ…、今こそ旋風を巻き起こし……その揺るぎなき“魂”で、立ち塞がるもの全てを貫けッッ！！ シンクロ召喚！！
完全無欠、嵐の神槍！
『ドラグニティナイトーアスカロン』ッッ！！！」


《ドラグニティナイト－アスカロン/Dragunity Knight - Ascalon》 †
シンクロ・効果モンスター
星１０/風属性/ドラゴン族/攻3300/守3200
「ドラグニティ」チューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
このカード名の(2)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分の墓地から「ドラグニティ」モンスター１体を除外し、
相手フィールドのモンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを除外する。
(2)：Ｓ召喚したこのカードが相手によって破壊された場合に発動できる。
ＥＸデッキから攻撃力３０００以下の「ドラグニティ」Ｓモンスター１体をＳ召喚扱いで特殊召喚する。


現れたのは、竜霊山に眠っていた精霊のカード。
神々しい光を放ち、天を舞うその姿は、地上に居る人々の目をも魅了する程の美しさだった。

『ガァアアアァアァアァアアァァアァアアッッ！！』[ATK 3300]

舞い降りた天龍は、激しく咆哮する。
そしてそれに呼応し、

『シュラァァァアアァアァアアァァアアアッッ！！』[ATK 2700]

対する氷龍───トリシューラもまた、叫びを上げる。

トリシューラ「…呼応……しているのか…？
2体の天龍が───」

竜貴「───『ドラグニティナイトーアスカロン』の効果！！墓地の『ドラグニティ』カード1枚を除外する事で、フィールドのモンスター1体を───除外する！！」

現在、墓地のドラグニティは3体。
更にこの効果に、1ターンに1度の誓約など、無い。

竜貴「セナートとゴルムファバルの魂を───受けてみろッ！！」

墓地→除外
『ドラグニティーセナート』
『ドラグニティナイトーゴルムファバル』

対象
『氷霊神 ムーラングレイス』
『クリスタル・ガール』

天へと昇った2つの魂は2本の槍となって対象のモンスターへと襲いかかり、衝突。

トリシューラ「───！」

直撃を受けた氷霊神とクリスタルガールは霧となり消滅し───

トリシューラ「…氷霊神がフィールドを離れた事で……我の次のバトルフェイズはスキップされる───」

竜貴「…やっぱりな…！強ェカードには相応のデメリットがあるってもんだ！
───行くぜ…！このままバトルだ！」


◉バトルフェイズ◉


竜貴「アスカロン！！トリシューラを───撃ち…ッ貫けェ！！
───〝滅龍神槍・アスカロン・シェイバー〟！！！」


『ドラグニティナイトーアスカロン』
[ATK 3300]
───VS───
[ATK 1700]
『氷結界の竜 トリシューラ』


グラムの炎を受け弱体化した氷龍に勝ち目は無い───自身を神槍と化し突進するアスカロンの決死の一撃は、竜貴の宣言通り氷結界の龍を撃ち貫いた。


トリシューラ「───ッ」【LP 8000→6400】


自身の分身である氷龍が倒された事で、機兵の身体にも確かなダメージが入る。竜貴はそれを見逃さない。

竜貴「───まだだ！この瞬間！『ドラグニティアームズーグラム』の更なる効果発動！！」

(3)：相手フィールドのモンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
そのモンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。


竜貴「バトルで破壊されたトリシューラを、グラムに装備する！！」

神槍に貫かれた氷龍の身体は朽ち果てる寸前のところでグラムの持つ炎刃へと吸い込まれるように宿っていく───

トリシューラ「───ッ」

竜貴「アスカロンに続け！！トリシューラを装備したグラムで、プレイヤーへ直接攻撃！！
───〝怒りの氷炎刃・ノートゥング〟！！」


『ドラグニティアームズーグラム』
[ATK 2900]
───ATTACK───
【LP 6400】
『トリシューラの決闘機兵』


爆風と氷風を纏い猛進するグラムによる一撃───

トリシューラ「───ッッ…！！」【LP 6400→3500】

それは、先程の一撃と合わせ、機兵の身体に確実にダメージを与えることに成功していた。しかし───


竜貴「…俺はこれで、ターンエンドだ」

苦し紛れと、言わざるを得ない。

竜貴「……」[手札 1]

手札は残り1枚。墓地リソースもギザーム1体残して使い切った。
ここでトドメを刺しきれなかったのが、本当に痛い。


◉TURN:０３◉


トリシューラ「───我のターン、ドロー」[手札 3]

機兵は引いたカードを確認すると、流れるような動作でカードを切り始める───

トリシューラ「『氷結界の霜精』を召喚し───効果発動！」

(2)：自分メインフェイズに発動できる。
デッキからレベル３以下の「氷結界」モンスター１体を墓地へ送る。
このカードのレベルはターン終了時まで、そのモンスターと同じになる。

トリシューラ「デッキより『氷結界の鏡魔師』を墓地へ送り───霜精のレベルを２に変更する！」

更に、と機兵は続ける。

トリシューラ「墓地へ送られた鏡魔師の効果発動！！」

《氷結界
ひょうけっかい
の鏡魔師
きょうまし
》 †
チューナー・効果モンスター
星２/水属性/水族/攻1000/守 400
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分フィールドの他の効果モンスター１体をリリースして発動できる。
自分フィールドに「氷結界トークン」（水族・水・星１・攻／守０）を３体まで特殊召喚し、
その数だけこのカードのレベルを上げる。
このターン、自分は水属性ＳモンスターしかＥＸデッキから特殊召喚できない。
(2)：このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。
「氷結界の鏡魔師」以外の自分のデッキ・除外状態の「氷結界」カード１枚を手札に加える。


トリシューラ「デッキから『氷結界の晶壁』を手札に加え───発動」


《氷結界
ひょうけっかい
の晶壁
しょうへき
/Freezing Chains of the Ice Barrier》 †
永続魔法
このカード名のカードは１ターンに１枚しか発動できない。
(1)：このカードの発動時に、自分の墓地のレベル４以下の「氷結界」モンスター１体を対象にできる。
その場合、そのモンスターを特殊召喚する。
(2)：このカードが魔法＆罠ゾーンに存在し、自分フィールドに「氷結界」モンスターが３体以上存在する限り、
自分フィールドの「氷結界」モンスターはＥＸデッキから特殊召喚された相手モンスターが発動した効果を受けない。


トリシューラ「発動時の効果により、墓地より現れよ！『氷結界の鏡魔師』！」[DEF 400]☆2 チューナー

トリシューラ「場の霜精をリリースし、鏡魔師の更なる効果発動！」

(1)：自分フィールドの他の効果モンスター１体をリリースして発動できる。
自分フィールドに「氷結界トークン」（水族・水・星１・攻／守０）を３体まで特殊召喚し、
その数だけこのカードのレベルを上げる。
このターン、自分は水属性ＳモンスターしかＥＸデッキから特殊召喚できない。

トリシューラ「3体の氷結界トークンを特殊召喚し、鏡魔師のレベルは3つ上昇する！」

『氷結界トークン』[DEF 0]☆1

『氷結界トークン』[DEF 0]☆1

『氷結界トークン』[DEF 0]☆1

『氷結界の鏡魔師』☆2→☆5

竜貴「…！！一度に3体ものトークンを生み出しただと…！？

トリシューラ「驚くのはまだ早い───我は手札より、『氷結界の虎将 ウェイン』を自身の効果により特殊召喚！！」[ATK 2100]☆5

《氷結界
ひょうけっかい
の虎将
こしょう
ウェイン/General Wayne of the Ice Barrier》 †
効果モンスター
星５/水属性/戦士族/攻2100/守 400
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：相手フィールドにモンスターが存在し、
自分フィールドに「氷結界」モンスターが存在する場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2)：このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「氷結界」魔法・罠カード１枚を手札に加える。
(3)：このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
フィールドから相手の墓地へ送られる魔法・罠カードは墓地へは行かず除外される。


トリシューラ「特殊召喚時の効果！！
我はデッキから『氷結界に至る晴嵐』を手札に加え───発動！！」


《氷結界
ひょうけっかい
に至
いた
る晴嵐
せいらん
/Winds Over the Ice Barrier》 †
通常魔法
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分フィールドの「氷結界」モンスターを任意の数だけリリースして発動できる。
リリースした数だけ、デッキからレベル４以下の「氷結界」モンスターを特殊召喚する（同名カードは１枚まで）。
(2)：このターンに墓地へ送られていないこのカードを墓地から除外し、
自分の墓地・除外状態の「氷結界」モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを手札に加える。


トリシューラ「我は鏡魔師が生み出した氷結界トークンのうち、2体をリリースし───デッキより2体の氷結界を特殊召喚する！
現れよ───『氷結界の守護陣』！！『氷結界の御庭番』！！」

『氷結界の守護陣』[DEF 1600]☆3 チューナー

『氷結界の御庭番』[DEF 1600]☆2

竜貴「いくらモンスターを並べようが、お前のエースである氷結界の龍は既に倒した…！それに、ムーラングレイスの効果でお前はこのターン、バトルを行えない！」

トリシューラ「───本当に、そう思っているのか？」

竜貴「…何……言ってんだ…？」

トリシューラ「貴様の身体は、氷龍の放つ鼓動に震えているではないか」

竜貴「───！？」

機兵の言う通り、竜貴の身体は、僅かに震えていた。

竜貴「───ッ」

竜貴自身、気づいていなかった訳では無い。
猛吹雪が吹き荒れるこの中だ。寒さで震えているのだと信じて疑わなかった。

トリシューラ「───見せてやろう。我の本当の姿を」

しかし、それが誤りであったと気づく事になる。

トリシューラ「レベル5の『氷結界の虎将 ウェイン』とレベル1の『氷結界トークン』に…ッ、レベル5となった『氷結界の鏡魔師』をチューニング───！」


レベルの合計は───11。



トリシューラ「その鼓動は───絶対零度。
行きとし生きる全てを“零”に帰せ───ッ！
還帰シ、振ルエ、ソノ“チカラ”ヲ───」


◉◉◉☆1+☆5+☆5=☆11◉◉◉


トリシューラ「───シンクロ召喚！！」

痛いほどの吹雪に襲われ、竜貴は一度眼を閉じる。

竜貴「───ッ…！！」

再び眼を開くと、そこには倒したはずの、巨大な影。


───否。


否否否否否。



それよりも大きく、悍ましい存在が、そこにはあった。



トリシューラ「見るがいいッ！！これが我の本来の姿だッ！！
現れよ───『氷結界の還零龍 トリシューラ』ッッ！！！」



───白銀の翼を煌めかせ、全身を氷で覆われた三つ首の龍は、咆哮する。


『ガァァシュラァァァアアァアァアアァァアアアッッ！！！』[ATK2700]


先程までと違うのは、ところどころ赤みがかった痣のようなものが浮かび上がっており、より凶暴性が増したその風貌。そして、比べ物にならない程の威圧感───


トリシューラ「『氷結界の還零龍 トリシューラ』の効果───」

───シンクロ召喚成功時。
すかさず発動された還零龍の恐るべき能力、それは───


竜貴「───」




パキッ。




音。



何かが、割れる音


竜貴「───は…？」


─── 一瞬。

その一瞬で。

竜貴の場の。

アスカロンと、グラム。

2体の龍が。

氷漬けとなり───音を立てて砕け散った。


竜貴「───ッ！？」


トリシューラ「シンクロ召喚した還零龍の効果…それは───相手フィールドのカードを3枚まで選び───除外する」


ガラガラと音を立てて崩れ落ちる竜達を見て、竜貴は思わず声を漏らす。

竜貴「……あ…？」

そこで初めて下を見た竜貴の視界に映ったのは───


竜貴「…ぁ………ぁ…ッ…！」


還零龍による今の“攻撃”で氷漬けとなった───YAGAMI本社ビルの変わり果てた姿だった。







To Be Continued…