第13話：雨竜天征　作：青き眼の凡人

アルフレッド「やれやれ…結局全部買うハメになるとは…」
ゴードン「しょうがねぇだろう。何が当たりで何が外れなのか全然分からないのが悪い。」

人間の手に余る数の缶を持ちながら歩いていくアルフレッドとゴードン。
結局、全部買ったらしい。


アルフレッド「ただいま戻りました。」
ユーリ「おかえりなさい。遅かったですね？」
アルフレッド「申し訳ありません。何を買ったらいいのかまるっきり分からなくて…」
ユーリ「そうなんですか…あっ、『ヴリルの火』ありますか？」
アルフレッド「…ゑ？」

思わず間抜けな声が出てしまうアルフレッド。
無理もない、明らかに地雷な名前の飲み物を要求されたら誰だってこうなるだろう。

アルフレッド「買ってありますが…」
ユーリ「では、それをください。『ヴリルの火』。いい香りのストレートティーだと評判だったんですよね〜。」
麟「あたい、『ヘルダイブスラッシャー』！」
アマンダ「では私は『エターナルアベンジ』をお願いします〜。」


アルフレッド「…どうにも腑に落ちない。」
ゴードン「最近の流行りってやつはわからんなぁ。」


一方、デュエルコートではキングダムクラッシャーズとアンダーグラウンズの第3デュエルが始まろうとしていた。

飛車鳥「さあ、この『ドラゴVSミドラ』という対戦カード！一体どうなるのでしょうか！」
チェック「ミドラ選手が勝てば、キングダムクラッシャーズは二回戦進出ですね。ドラゴ選手、食い止められるか？」


ドラゴ「オラオラいくぜぇ！デュエルモード！」
ミドラ「…ウルサイナァ。デュエルモード。」

飛車鳥「ここで決まるか第3デュエル！お互いの準備は整った！デュエル開始イイ！」


「「デュエル！」」

ドラゴ
LP4000 手札5枚 デッキ35枚

ミドラ
LP4000 手札5枚 デッキ35枚


ミドラ「センコウハワタシ。ワタシハテフダカラ、エイゾクマホウ『雨神楽サミダレ』ショウカン。」

水色の巫女装束を着た少女が出現した。右手の杖には青い宝珠が埋めこまれている。

雨神楽－サミダレ
ATK1500

雨神楽(あめかぐら)－サミダレ
星4/水属性/魔法使い族/攻1500/守500
(1)このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、手札のレベル2以下の『雨神楽』モンスターを対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

ミドラ「サミダレノコウカハツドウ、テフダカラ『雨神楽－シズク』ヲトクシュショウカン。」

水色の巫女装束を着た少女が召喚される。背はサミダレと比べるとかなり低く、年の離れた姉妹に見える。

雨神楽－シズク
ATK0

雨神楽－シズク
星1/水属性/魔法使い族/チューナー/攻0/守0
(1)1ターンに一度、このカードが墓地に存在し、自分フィールドに『雨竜』シンクロモンスターが存在する時、このカードは墓地から特殊召喚できる。この効果で特殊召喚したこのカードはフィールドから離れた場合に除外される。

ミドラ「イクヨ…『雨神楽－サミダレ』ニ『雨神楽－シズク』ヲチューニング！」

シズクが何かの呪文を唱えると、シズクの体が一つの光輪となる。その輪にサミダレが入っていく。
すると、会場に雨が降り始めた。

観客「なんだ？今日は晴れの予報だったのに…」


シンクロショウカン！

ミドラ「『雨竜－レインドラゴン』！」

青い体表の竜が出現する。シンクロ素材となった雨神楽達の面影はどこにもない。

雨竜－レインドラゴン
ATK2000

ミドラ「レインドラゴンノコウカハツドウ！シンクロショウカンニセイコウシタバアイ、カードヲイチマイドロースル。ソノカードガ『雨神楽』ダッタバアイ、コノカードノコウゲキリョクハ1000アップスル！」


ミドラ「ドロー！『雨神楽－シグレ』！ヨッテ1000アップ！」

雨竜－レインドラゴン
ATK2000→3000

ミドラ「マダマダ。『雨神楽－シグレ』ハ、ジブンフィールドジョウニ『雨竜』シンクロモンスターガソンザイスルバアイ、テフダカラトクシュショウカンデキル！」


雨神楽－シグレ
ATK1200

ミドラ「ボチノ『雨神楽－シズク』ノコウカハツドウ！ジブンフィールドニ『雨竜』シンクロモンスターガソンザイスルバアイ、ボチカラトクシュショウカンデキル！」


飛車鳥「これでまたチューナーと非チューナーが揃いました。」

観客A「連続シンクロ！？すげえ！」
観客B「これが大企業チームの本気かよ！…つーか、雨強くなってね？」


良経「観客は何もわかっちゃいねーな。」
竜泉「…ああ。」
プレア「ミドラちゃんの本気はまだまだこんなもんじゃないヨー。」
羅刹「……」


ミドラ「『雨神楽－シグレ』ニ『雨神楽－シズク』ヲチューニング！」

シンクロショウカン！

ミドラ「『恵雨竜－ストリームドラゴン』！」

恵雨竜－ストリームドラゴン
ATK2000

ミドラ「ターンエンド。」

ドラゴ「はっ！3000と2000で終わりかよ！」
ミドラ「…ハヤクシタラ？」
ドラゴ「ああ、はいはい。俺のターン！」

ドラゴ「…へっ、面白いもんを引けたぜ！これは俺の勝ちが決まったかもなぁ！？」
ミドラ「…アーハイハイ、スゴイデスネー。」
ドラゴ「ちっ、面白くねぇ奴だ！マァ、いいか！手札から『融合』発動！『アックス・ドラゴニュート』『コドモドラゴン』『デコイドラゴン』『フェルグラントドラゴン』『ダークブレイズドラゴン』を融合！」

飛車鳥「なっ、なんとお！？ドラゴ、いきなり手札全消費の融合だぁ！？」

ドラゴ「どうせなら派手にやってやる！五体の竜混じり合う時、世界をぶんどる神が生まれる！」

融合召喚！

ドラゴ「現れろ！『F・G・D』！」

五つの首を持った巨大なドラゴンが降臨する。その圧倒的な威圧感によって、観客達は静まりかえってしまった。
声を出せば殺される。そう思わせるような雰囲気を醸し出していた。

F・G・D
ATK5000

ミドラ「…『恵雨竜－ストリームドラゴン』ノコウカハツドウ。」

その時、ミドラが効果発動の宣言をした。恵雨竜には『サイバー・ドラゴン・インフィニティ』や『セイクリッド・プレアデス』のような効果がついているのだろうか。

その時、雨が一層強くなる。


観客「お…おい、やべえんじゃねえか？この雨…」





良経「ミドラの奴、やるみてぇだな。」
竜泉「しかし、毎回これやる時に雨が降るな。どういうことなんだろうな、羅刹。」
羅刹「…古来より、雨は命を潤す天の恵み、命を奪う天の怒りと、二つの姿を持ってきた。」

羅刹「…もしかすると、今のこの雨は天の怒りを表しているのかもしれんな。」










ミドラ「アイテターンノメインフェイズジニハツドウデキル。」










ミドラ「コノカードヲフクムジブンフィールドノモンスターヲシンクロソザイトシテ」









ミドラ「シンクロショウカンスル。」




ドラゴ「…は？」









ミドラ「『雨竜－レインドラゴン』ニ『恵雨竜－ストリームドラゴン』ヲチューニング！」




風が吹き荒れ、雷が落ち、雨が抉るように地面を叩く。まさに『嵐』の光景だった。






アクセルシンクロ。










『嵐雨竜(らんうりゅう)－ストームバハムート！』






嵐の中でも十分に響き渡る咆哮を上げながら、『それ』は現れる。
天の怒りと呼ぶにふさわしい竜の降臨である。










－－－次回予告


飛車鳥「な、なんと！アクセルシンクロです！スタンディングでも使える人がいるとは！」

ドラゴ「だからなんだよ？5000の『F・G・D』は超えられない！」

ミドラ「…アナタコソ、タカガ5000デチョウシニノラナイデクレル？」

次回、天の怒り

ユーリ「…これが、キングダムクラッシャーズ…！」