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第23話 シロちゃんぐるぐるハンマー伽藍 作:白金 将
タイトルの文字制限がなければ「シロちゃんぐるぐるハンマー☆伽藍」とやりたかった()
― ― ― ― ― ― ―
気持ちの良い朝。シロは自分の布団で一人で眠っていた、はずだった。
「む……んんっ!?」
最初に感じたのは顔に当たっているやわらかい物体の感触だった。身体も暖かい何かにしっかりと包み込まれており、身動きが全くと言っていいほどに取れない。頑張ってもがいて顔を出すと、そこにあったのは気持ちよさそうに眠っている伽藍の顔だった。
「ら、らん姉、起きて……!」
「むにゃぁ……あ、シロちゃん、おはよう~」
やっとのことで出した顔をすぐに胸元へうずめさせられてしまう。顔を真っ赤にしながらシロが抵抗していると、伽藍がころんと転がった。そのおかげでシロは伽藍の腕から解放され、布団の上で四つん這いになって辺りの様子を見た。
シロの部屋だ。特に部屋の物に変化は見られない。おそらく、伽藍が忍び込んだのか。朝の日差しを浴びながら伽藍が眠い目をこすり、起き上がってまたシロを抱きしめる。今度は先ほどとは違って優しめであった。無闇に逃げるわけにもいかないのでシロが伽藍の腕の中に包まれていると、伽藍はシロを抱いたまますっと立ってベッドの外に出た。
「わ、ちょっと、らん姉」
「お着換えの時間よ~。いっしょにぬぎぬぎしましょうね~」
「わあぁぁ」
寝起きのかすれた声で反論するもむなしく、伽藍にシロは服を脱がされてしまった。いいようにいじられてしまうシロであったが、これが彼の日常。アルストロメリアに訪れる休日の朝は、いつも伽藍がちょっかいを出すところから始まるのであった。
着替え終わった二人は談話室へ向かう。すると、そこには既に翌檜の姿があった。本でも読んでいるのかと思ったらそうでもなく、窓からぼうっと外を見つめていた。朝食までまだ少しくらい時間があるため伽藍はソファで再び横になる。
「朝早くからご苦労ねぇ」
「……そう」
「考え事でもしているのかしら~」
「うるさい」
いかにも不機嫌そうな顔で翌檜が答える。伽藍は横になったまま目を閉じると、口を半開きにしたままもう一度眠りについてしまった。その辺りに立っていたシロが部屋の中をうろうろとしていると、今度は遊乃と葵が部屋に入ってきた。
「あ、おはよう、シロ君」
「おはよう。朝早くからご苦労だな」
「おはようございます」
ソファで気持ちよさそうに眠っている伽藍を見て遊乃が目を丸くする。シロがいきさつを説明すると、葵はため息をついた。いつも通りの事である。遊乃と葵とシロでデッキの悩みなどを話している内に時計は朝食の時間を指した。シロは慣れた手つきで伽藍をゆさゆさとゆすって起こす。伽藍がシロの背中に乗った。
「それじゃあ、二人で朝ごはんに行きましょうね~」
「う……それじゃ、行ってきます」
「が、頑張ってね、シロ君」
「無理はするなよ」
遊乃と葵に見送られながらシロは伽藍を背中に乗せて部屋を後にする。談話室のある二階から食堂のある一階に降りる時は流石に歩いてもらったが、それ以外は伽藍はシロの背中に乗ったままいけいけごーごーと応援するのみであった。
「こら、シロちゃん、歩くの速いわよ~」
「らん姉が遅いんだ」
「いじわる~」
久しぶりの休日と言うことでシロと伽藍の二人は町に繰り出していた。仕事のことを何も考えずに過ごすことが出来る貴重な時間を、伽藍はシロとのデートに使うことが常であった。シロも特に嫌だとは思っていないところがあるのかそれに毎回付き合っている。
町にやってきていたクレープ屋さんの屋台でおそろいのクレープを買って食べ、アイスが売っていたのでそれを食べ、冷たい物を食べて腹を壊したので同時にトイレに入り、お菓子屋さんで焼き立てのクッキーを食べた。久しぶりのデートを満喫していると、歩いているときに伽藍の視線がとあるお店で止まる。
フラワリングタウンに新しくできた服屋さんだった。主に女の子の物を取り扱っている店らしく、他の町でも「かわいい」と大人気であったことは伽藍の耳にも入っていた。伽藍は店の前で立ち止まってショーウィンドウのコーディネート見本を見ていた。シロが後から彼女の方に戻って来た時、伽藍は天啓に打たれたような発想を得てしまった。
「あっ」
「らん姉、この店に寄りたいの?」
伽藍の視線がシロの方に動く。
「うん。それじゃ、一緒に行きましょ?」
「え、でも、僕待ってるから」
「女の買い物は長いから付き合ってもらうわよぉ」
「わあああ」
引きずられるようにして入っていったシロであったが、徐々に心の内に不穏な何かを感じるようになっていく。伽藍が何を考えているかを知る由はない。
店に入って二十分ほどが経った。シロは焦りのような物を感じ始めていた。伽藍は女物の服を選ぶために店の中をぐるぐると回っているのだが、それとなくサイズが小さいような気がしていたのだ。伽藍が着るにはちょっと胸回りとかが小さい。遊乃に買っていくのかなとシロは思っていたが、遊乃に服を買っていく理由が何一つ思いつかない。
そっと伽藍に声を掛けようとした時、伽藍が手にした服を持ってレジの方に行ってしまった。帰って来た伽藍の一言でシロの不安は的中することになる。
「シロちゃん、更衣室に一緒に行くわよ~?」
「あ、あの、それってもしかして……」
「早くするのよ~」
ぐいぐいと引っ張られてシロは伽藍と一緒に更衣室の中に連れ込まれてしまう。そして、数分経って更衣室から出てきたとき、シロは穴があったら入りたいような気分だった。
「わああシロちゃんかわいいのおおぉぉぉぉ!」
「あうっ……早く帰りたい……」
俗に女装という物で、シロは女物の服を身にまとっていた。それがどうも似合いすぎているらしい。伽藍の白髪に合わせた白髪のつけ毛のおかげで二人は姉妹同然である。周りで薄めで見ていた店員さんたちはシロの変貌ぶりに固まってしまっていた。
「それじゃ、一緒に行きましょ? シロちゃん」
「あ、ちょっと、これじゃボク女の子だって」
「ばれないばれない。何かあったら私の妹ってことにするわね~」
手を引っ張られてシロの女装は白昼に晒されてしまう。が、街ゆく誰もがシロが女装しているということに気付くそぶりを見せなかった。それほどまでにシロの女装は完成していたのである。おまけにあまりの可愛さに男性からの視線が多いという有様であった。
誰かに会わないように祈っていたシロだったが、本部へ帰ろうとしていたその時、カードショップの前あたりで見たことのある人と出会ってしまう。
「あ」
「あれ、伽藍さんと……その子は?」
「あら遊乃ちゃん、こんにちは。この子は私の妹よ~」
「伽藍さんに妹なんていたんですねぇ」
妙に納得している遊乃を前にシロは冷や汗をかいてしまっていた。だがここで変に動いてしまってはシロが恥ずかしい目にあってしまう。伽藍と遊乃の会話を聞きながら、早くこれが終わらない物かと肝を冷やすような心地で周りをきょろきょろと見る。逆にその様子が怪しく捉われてしまったのか、遊乃がたずねてきた。
「それで、名前は?」
「っ……!」
純粋な目で見つめられてシロは戸惑ってしまう。本当に気が付いていないのだ。伽藍に目をそらして助けを求めたが、首をひねって「?」と答えを返す彼女にシロは呆然としてしまう。そうして遊乃の前でもじもじとした後、本当に小さな声でこう言った。
「……りん」
「リンちゃん? かわいい名前だねぇ」
頭を撫でられてシロは余計に混乱してしまう。ついに耐え切れなくなったのかシロは伽藍の胸元に飛び込んだっきり動かなくなってしまった。パニックになっているシロの様子など知る由もなく、遊乃は無意識のうちに追撃をかましてしまう。
「ええと、リンちゃんはデュエルするの?」
「は、はい……って、あれ」
「それじゃデュエルしようよ! あの辺り空いてるから!」
無邪気な笑顔にシロは圧殺されそうであった。
― ― ― ― ― ― ―
遊乃 8000
リン 8000
― ― ― ― ― ― ―
先行は遊乃だ。遊乃は手札から1枚のモンスターを召喚する。
「新しいデッキだからどうかわからないけど……頑張るよ! 私は手札から〈ライトロード・マジシャン ライラ〉を通常召喚! そして、自分の場に魔法使い族モンスターがいるから手札の〈稲荷火〉を特殊召喚! そして、2体のモンスターでオーバーレイ!」
白と赤の光が混ざり合い、そこから神聖な輝きを纏った女性が降臨する。慈悲深いその眼差しは聖母の姿をも思わせる。光は暖かかった。全ての弱者に救いを授けるような暖かい光の中にその女性は立っている。
「地に降り立つは正義の光! どうか我らに救いを与えよ! エクシーズ召喚! お願いします、〈ライトロード・セイント ミネルバ〉!」
― ― ― ― ― ― ―
ライトロード・セイント ミネルバ
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/天使族/攻2000/守 800
「ライトロード・セイントミネルバ」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。その中に「ライトロード」カードがあった場合、その数だけ自分はデッキからドローする。
(2):このカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。自分のデッキの上からカード3枚を墓地へ送る。その中に「ライトロード」カードがあった場合、その数までフィールドのカードを選んで破壊できる。
― ― ― ― ― ― ―
― ― ― ― ― ― ―
稲荷火
効果モンスター
星4/炎属性/炎族/攻1500/守 200
自分フィールド上に魔法使い族モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。フィールド上に表側表示で存在するこのカードがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、次の自分のスタンバイフェイズ時にこのカードを墓地から特殊召喚する。「稲荷火」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。
― ― ― ― ― ― ―
「ライトロード……」
「私はオーバーレイユニットを一つ使ってミネルバの効果発動! デッキの上から3枚を墓地へ送って、その中のライトロードカードの枚数だけドローします!」
ミネルバが杖を振りかざすと、遊乃のデッキから3枚が飛び出して現れた。出てきたカードは「ライトロード・アサシン ライデン」「フレムベル・ヘルドッグ」「おろかな埋葬」の3枚。含まれているライトロードカードは1枚だ。
「私はカードを1枚ドロー! そして、2枚のカードを伏せてターンエンドです!」
「ぼ、ボクのターン、ドロー! ……僕はモンスターを1枚セット、そして3枚のカードを伏せてターンエンドです」
遊乃のデッキがいい具合に回り始めているのに対し、リンことシロのデッキは低速なのだろうか動く気配を見せていない。伽藍はいつものあの笑顔で二人のデュエルを見守っていた。
― ― ― ― ― ― ―
気持ちの良い朝。シロは自分の布団で一人で眠っていた、はずだった。
「む……んんっ!?」
最初に感じたのは顔に当たっているやわらかい物体の感触だった。身体も暖かい何かにしっかりと包み込まれており、身動きが全くと言っていいほどに取れない。頑張ってもがいて顔を出すと、そこにあったのは気持ちよさそうに眠っている伽藍の顔だった。
「ら、らん姉、起きて……!」
「むにゃぁ……あ、シロちゃん、おはよう~」
やっとのことで出した顔をすぐに胸元へうずめさせられてしまう。顔を真っ赤にしながらシロが抵抗していると、伽藍がころんと転がった。そのおかげでシロは伽藍の腕から解放され、布団の上で四つん這いになって辺りの様子を見た。
シロの部屋だ。特に部屋の物に変化は見られない。おそらく、伽藍が忍び込んだのか。朝の日差しを浴びながら伽藍が眠い目をこすり、起き上がってまたシロを抱きしめる。今度は先ほどとは違って優しめであった。無闇に逃げるわけにもいかないのでシロが伽藍の腕の中に包まれていると、伽藍はシロを抱いたまますっと立ってベッドの外に出た。
「わ、ちょっと、らん姉」
「お着換えの時間よ~。いっしょにぬぎぬぎしましょうね~」
「わあぁぁ」
寝起きのかすれた声で反論するもむなしく、伽藍にシロは服を脱がされてしまった。いいようにいじられてしまうシロであったが、これが彼の日常。アルストロメリアに訪れる休日の朝は、いつも伽藍がちょっかいを出すところから始まるのであった。
着替え終わった二人は談話室へ向かう。すると、そこには既に翌檜の姿があった。本でも読んでいるのかと思ったらそうでもなく、窓からぼうっと外を見つめていた。朝食までまだ少しくらい時間があるため伽藍はソファで再び横になる。
「朝早くからご苦労ねぇ」
「……そう」
「考え事でもしているのかしら~」
「うるさい」
いかにも不機嫌そうな顔で翌檜が答える。伽藍は横になったまま目を閉じると、口を半開きにしたままもう一度眠りについてしまった。その辺りに立っていたシロが部屋の中をうろうろとしていると、今度は遊乃と葵が部屋に入ってきた。
「あ、おはよう、シロ君」
「おはよう。朝早くからご苦労だな」
「おはようございます」
ソファで気持ちよさそうに眠っている伽藍を見て遊乃が目を丸くする。シロがいきさつを説明すると、葵はため息をついた。いつも通りの事である。遊乃と葵とシロでデッキの悩みなどを話している内に時計は朝食の時間を指した。シロは慣れた手つきで伽藍をゆさゆさとゆすって起こす。伽藍がシロの背中に乗った。
「それじゃあ、二人で朝ごはんに行きましょうね~」
「う……それじゃ、行ってきます」
「が、頑張ってね、シロ君」
「無理はするなよ」
遊乃と葵に見送られながらシロは伽藍を背中に乗せて部屋を後にする。談話室のある二階から食堂のある一階に降りる時は流石に歩いてもらったが、それ以外は伽藍はシロの背中に乗ったままいけいけごーごーと応援するのみであった。
「こら、シロちゃん、歩くの速いわよ~」
「らん姉が遅いんだ」
「いじわる~」
久しぶりの休日と言うことでシロと伽藍の二人は町に繰り出していた。仕事のことを何も考えずに過ごすことが出来る貴重な時間を、伽藍はシロとのデートに使うことが常であった。シロも特に嫌だとは思っていないところがあるのかそれに毎回付き合っている。
町にやってきていたクレープ屋さんの屋台でおそろいのクレープを買って食べ、アイスが売っていたのでそれを食べ、冷たい物を食べて腹を壊したので同時にトイレに入り、お菓子屋さんで焼き立てのクッキーを食べた。久しぶりのデートを満喫していると、歩いているときに伽藍の視線がとあるお店で止まる。
フラワリングタウンに新しくできた服屋さんだった。主に女の子の物を取り扱っている店らしく、他の町でも「かわいい」と大人気であったことは伽藍の耳にも入っていた。伽藍は店の前で立ち止まってショーウィンドウのコーディネート見本を見ていた。シロが後から彼女の方に戻って来た時、伽藍は天啓に打たれたような発想を得てしまった。
「あっ」
「らん姉、この店に寄りたいの?」
伽藍の視線がシロの方に動く。
「うん。それじゃ、一緒に行きましょ?」
「え、でも、僕待ってるから」
「女の買い物は長いから付き合ってもらうわよぉ」
「わあああ」
引きずられるようにして入っていったシロであったが、徐々に心の内に不穏な何かを感じるようになっていく。伽藍が何を考えているかを知る由はない。
店に入って二十分ほどが経った。シロは焦りのような物を感じ始めていた。伽藍は女物の服を選ぶために店の中をぐるぐると回っているのだが、それとなくサイズが小さいような気がしていたのだ。伽藍が着るにはちょっと胸回りとかが小さい。遊乃に買っていくのかなとシロは思っていたが、遊乃に服を買っていく理由が何一つ思いつかない。
そっと伽藍に声を掛けようとした時、伽藍が手にした服を持ってレジの方に行ってしまった。帰って来た伽藍の一言でシロの不安は的中することになる。
「シロちゃん、更衣室に一緒に行くわよ~?」
「あ、あの、それってもしかして……」
「早くするのよ~」
ぐいぐいと引っ張られてシロは伽藍と一緒に更衣室の中に連れ込まれてしまう。そして、数分経って更衣室から出てきたとき、シロは穴があったら入りたいような気分だった。
「わああシロちゃんかわいいのおおぉぉぉぉ!」
「あうっ……早く帰りたい……」
俗に女装という物で、シロは女物の服を身にまとっていた。それがどうも似合いすぎているらしい。伽藍の白髪に合わせた白髪のつけ毛のおかげで二人は姉妹同然である。周りで薄めで見ていた店員さんたちはシロの変貌ぶりに固まってしまっていた。
「それじゃ、一緒に行きましょ? シロちゃん」
「あ、ちょっと、これじゃボク女の子だって」
「ばれないばれない。何かあったら私の妹ってことにするわね~」
手を引っ張られてシロの女装は白昼に晒されてしまう。が、街ゆく誰もがシロが女装しているということに気付くそぶりを見せなかった。それほどまでにシロの女装は完成していたのである。おまけにあまりの可愛さに男性からの視線が多いという有様であった。
誰かに会わないように祈っていたシロだったが、本部へ帰ろうとしていたその時、カードショップの前あたりで見たことのある人と出会ってしまう。
「あ」
「あれ、伽藍さんと……その子は?」
「あら遊乃ちゃん、こんにちは。この子は私の妹よ~」
「伽藍さんに妹なんていたんですねぇ」
妙に納得している遊乃を前にシロは冷や汗をかいてしまっていた。だがここで変に動いてしまってはシロが恥ずかしい目にあってしまう。伽藍と遊乃の会話を聞きながら、早くこれが終わらない物かと肝を冷やすような心地で周りをきょろきょろと見る。逆にその様子が怪しく捉われてしまったのか、遊乃がたずねてきた。
「それで、名前は?」
「っ……!」
純粋な目で見つめられてシロは戸惑ってしまう。本当に気が付いていないのだ。伽藍に目をそらして助けを求めたが、首をひねって「?」と答えを返す彼女にシロは呆然としてしまう。そうして遊乃の前でもじもじとした後、本当に小さな声でこう言った。
「……りん」
「リンちゃん? かわいい名前だねぇ」
頭を撫でられてシロは余計に混乱してしまう。ついに耐え切れなくなったのかシロは伽藍の胸元に飛び込んだっきり動かなくなってしまった。パニックになっているシロの様子など知る由もなく、遊乃は無意識のうちに追撃をかましてしまう。
「ええと、リンちゃんはデュエルするの?」
「は、はい……って、あれ」
「それじゃデュエルしようよ! あの辺り空いてるから!」
無邪気な笑顔にシロは圧殺されそうであった。
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遊乃 8000
リン 8000
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先行は遊乃だ。遊乃は手札から1枚のモンスターを召喚する。
「新しいデッキだからどうかわからないけど……頑張るよ! 私は手札から〈ライトロード・マジシャン ライラ〉を通常召喚! そして、自分の場に魔法使い族モンスターがいるから手札の〈稲荷火〉を特殊召喚! そして、2体のモンスターでオーバーレイ!」
白と赤の光が混ざり合い、そこから神聖な輝きを纏った女性が降臨する。慈悲深いその眼差しは聖母の姿をも思わせる。光は暖かかった。全ての弱者に救いを授けるような暖かい光の中にその女性は立っている。
「地に降り立つは正義の光! どうか我らに救いを与えよ! エクシーズ召喚! お願いします、〈ライトロード・セイント ミネルバ〉!」
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ライトロード・セイント ミネルバ
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/天使族/攻2000/守 800
「ライトロード・セイントミネルバ」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。その中に「ライトロード」カードがあった場合、その数だけ自分はデッキからドローする。
(2):このカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。自分のデッキの上からカード3枚を墓地へ送る。その中に「ライトロード」カードがあった場合、その数までフィールドのカードを選んで破壊できる。
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稲荷火
効果モンスター
星4/炎属性/炎族/攻1500/守 200
自分フィールド上に魔法使い族モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。フィールド上に表側表示で存在するこのカードがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、次の自分のスタンバイフェイズ時にこのカードを墓地から特殊召喚する。「稲荷火」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。
― ― ― ― ― ― ―
「ライトロード……」
「私はオーバーレイユニットを一つ使ってミネルバの効果発動! デッキの上から3枚を墓地へ送って、その中のライトロードカードの枚数だけドローします!」
ミネルバが杖を振りかざすと、遊乃のデッキから3枚が飛び出して現れた。出てきたカードは「ライトロード・アサシン ライデン」「フレムベル・ヘルドッグ」「おろかな埋葬」の3枚。含まれているライトロードカードは1枚だ。
「私はカードを1枚ドロー! そして、2枚のカードを伏せてターンエンドです!」
「ぼ、ボクのターン、ドロー! ……僕はモンスターを1枚セット、そして3枚のカードを伏せてターンエンドです」
遊乃のデッキがいい具合に回り始めているのに対し、リンことシロのデッキは低速なのだろうか動く気配を見せていない。伽藍はいつものあの笑顔で二人のデュエルを見守っていた。
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138 | 第43話 Dragula | 1012 | 2 | 2017-02-19 | - | |
107 | 閑話休題:キャラクター紹介3 | 1006 | 0 | 2017-02-23 | - | |
118 | 第44話 不穏 | 780 | 4 | 2017-03-19 | - | |
121 | 第45話 BREAK DOWN | 960 | 2 | 2017-03-21 | - | |
122 | 第46話 その少女、黒紫の竜と共に有り | 952 | 2 | 2017-03-23 | - | |
90 | 第47話 おかえり | 929 | 4 | 2017-03-26 | - | |
120 | 第48話 大切な人 | 928 | 3 | 2017-03-29 | - | |
102 | 第49話 炎 | 760 | 4 | 2017-04-28 | - | |
106 | 第50話 Find Your Way | 878 | 2 | 2017-05-17 | - | |
99 | 第51話 Force Your Way | 957 | 4 | 2017-06-17 | - | |
115 | 第52話 四人目の姫 | 1033 | 2 | 2017-07-22 | - | |
121 | 第53話 一寸先は闇 | 923 | 4 | 2017-07-25 | - | |
108 | 第54話 月夜に咲く姫 | 841 | 4 | 2017-08-22 | - | |
140 | 第55話 OVERLAP | 963 | 0 | 2017-09-16 | - | |
124 | 第56話 幽雅に咲かせ、紫毒の華 | 789 | 5 | 2017-09-21 | - | |
103 | 第57話 帰る場所 | 884 | 4 | 2017-10-01 | - | |
136 | 閑話休題:キャラクター紹介4&作者の呟き | 994 | 0 | 2017-10-01 | - | |
121 | 第58話 前哨戦(△) | 856 | 5 | 2017-11-09 | - | |
127 | 第59話 混沌を制す者(△) | 1048 | 2 | 2017-11-12 | - | |
54 | 第60話 侵略者の領域 | 921 | 4 | 2018-02-20 | - | |
111 | 【報告】現状と暗い見通し【更新できねぇ】 | 1148 | 0 | 2018-05-31 | - |
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- 2024/04/27 新商品 INFINITE FORBIDDEN カードリスト追加。
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- 04/28 10:01 評価 6点 《宵星の閃光》「カード名の通り《宵星の騎士ギルス》が描かれた1…
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- 04/28 08:55 評価 10点 《ギミック・パペット-キメラ・ドール》「《ギミック・パペット…
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Amazonのアソシエイトとして、管理人は適格販売により収入を得ています。
お喋りしたり女装したり、忙しい日々を送っていますな。
ライロに鞍替えした遊乃ちゃんの実力は如何に? (2016-06-06 20:16)
しかもこれは白金さんが使ってたフレムベルロードじゃないか!
ミネルバ様の召喚口上もカッコイイしシロは可愛いしご馳走様です(←殴 (2016-06-06 23:48)
さて女装したシロちゃんに気付かない遊乃とのデュエルなわけですが、遊乃の新デッキはライトロードですか。確かに前までのデッキと比べると取れる戦術の幅は広がったかのように思えますね。ただライトロードの性質上七皇の剣とは相性が悪いので、そこがどうなるかが見ものですね。 (2016-06-07 09:31)
シロちゃんは伽藍さんにぶん回されて大変な日々を送っております。
今回のように無茶ぶりをされることも多く……?
遊乃ちゃんの新しいデッキの回り方をお楽しみに……(`・ω・´)
<<ハカラメ さん
やはりあなただったか()
そうですな、あそこにあげていたフレムベルロードが遊乃ちゃんのデッキになります。
若干ながら変更も入っているのでお楽しみに(`・ω・´)
召喚口上考えるの楽しいけど難しいのよぉコレ
<<光芒 さん
シロちゃんがラキスケというよりも伽藍さんがアレすぎるんですよねぇ(´・ω・`)
女装したシロちゃんがお好き……ふむ、アナタはそういう(殴
遊乃ちゃんの今回のデッキにはセブンスワンは入っていない、ということになっております。(前回葵さんに預けました) ただ、これでセブンスワンの出番が終わり、という訳でもないので楽しみにお待ちください。今回の遊乃ちゃんのデッキは自信ありますぞぉ(`・ω・´) (2016-06-07 16:13)