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6月8日──宝石呪文 作:コンドル
クラッキング・ドラゴンとハック・ワームは...その強力な効果故、一度制限カードに指定された事実がある。
リンク召喚がまだ現在よりも主流では無かった時代のこと、クラッキング・ドラゴンはハック・ワーム2体で手軽に出せる高攻撃力モンスターで名を馳せていた。
現れて相手に向かって繰り出される強力な攻撃。相手のライフを削り、次の相手のターンには自身の効果でバーンダメージを与える。そして勝利する。
それを味わったことのある当時のデュエリストは、その強大なドラゴンの召喚プロセスを「ハックツークラッキング」と呼んでいたのである。
だが時代は変わり現代では、クラッキング・ドラゴンを召喚しようと、相手は更に強力なカードで立ち向かってくるのだ。そしていつからか、ハックツークラッキングはデュエルの世界では潮が引くように見なくなり、いつしかその言葉は一種の伝説のような扱いへと変わっていった。
だが...伝説とは時を越えても褪せぬものだ。
小柄な体の、その少年の名は倉木龍平。
黒髪の中にピンと一本の槍のように立った輝く緑色の髪が特徴的な彼のフィールドに存在するモンスターはクラッキング・ドラゴン。それを呼び出したのは伝説のハックツークラッキング。
現代において、再びハックツークラッキングを使用する者が現れたのである。
現在の状況
遊駆 LP1000 手札4 場伏1 墓地除外無
龍平 LP4000 手札3 場クラッキング・ドラゴン1伏1 墓地ハック・ワーム2除外無
デュエルが始まり龍平は見事クラッキング・ドラゴンの召喚に成功し、それによって彼の勝利は目前である。しかし遊駆はそばにいる山野巧に「宝石呪文」というカードを発動すると宣言したのだった。
「・・・俺は手札から『JMー縁のクリソコラ』を召喚」
「フッ」LV4 ATK1600DEF1200
黒いローブを身に纏い心臓部分に丸い青色の宝石があるジュエルマジシャンが召喚される。
「クリソコラの効果発動...」
「だめだ遊駆君!クラッキング・ドラゴンがフィールドにいるのにレベル4のクリソコラを召喚しちゃ...」
遊駆が効果を発動しようとした瞬間、巧が遊駆に向かって注意の意味を込めた言葉を言おうとしたが、その前に、クラッキング・ドラゴンの体にある緑色の宝玉のような部分から細長い光線がクリソコラに向かって放たれる。
「クラッキング・ドラゴンの効果発動だい!相手がモンスター1体のみを召喚、特殊召喚した時、その召喚、特殊召喚されたモンスターの攻撃力をターン終了時までそのレベル一つにつき200ダウンさせて、ダウンした数値分相手にダメージを与えるだい!」
そして光線はクリソコラに放たれた。しかし遊駆は平然としており、まるで焦りを見せない。
「・・・クラッキング・ドラゴンの効果発動に対し永続罠カード『マジシャンズ・プロテクション』を発動」
「・・・」クリソコラATK1600→800
ここで遊駆にはクリソコラのダウンした攻撃力800のダメージが与えられる。
「・・・」遊駆LP1000→600
「400しか減ってない!?な、何故...」
「そうか、マジシャンズ・プロテクションには魔法使い族モンスターがフィールドに存在する限り、受けるダメージ全てを半減する効果があるんだ!」
「そしてクリソコラの効果発動。召喚成功時、手札からレベル2以下のJMモンスター1体を特殊召喚する。俺は『JMー主護のマラカイト』を特殊召喚」
「・・・」LV1 ATK/DEF0
目を閉じている小さな女の子のジュエルマジシャン。心臓部分には緑色の綺麗な宝石がある。
「攻撃力がゼロだから...クラッキング・ドラゴンの効果は発動されないだい」
「・・・なら行くぞ。・・・巧」
「メモの準備なら出来てるよ」
それを聞いて遊駆は軽やかに手札から1枚のカードをディスクに置いた。
「俺は『宝石呪文―回復』(ジュエルスペルキュアー)を発動。手札からJMモンスターカードを1枚墓地へ送り発動する。・・・俺はフィールドに存在するJMモンスター1体につき300のライフを回復する。現在存在するJMは2体。よって600ライフを回復する」
クリソコラの杖とマラカイトの掌から作成された魔方陣が、遊駆の体を囲い、傷を癒して行く。
遊駆LP600→1200
・・・現れろ。
未来へ続くサーキット。
召喚条件は『JMモンスター2体』
俺はJMー縁のクリソコラとJMー主護のマラカイトをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン。
リンク召喚。
リンク2『JMー安楽のトルマリン』
黄色い稲妻のような模様の服を来た男性ジュエルマジシャンがサーキットから現れる。その顔は神妙で、どこか不思議な雰囲気を放っている。
「・・・」LINK2 ATK1200 リンクマーカー下 右下
「トルマリンがリンク召喚に成功した時、デッキからJMモンスター1体を効果を無効にしてこのカードのリンク先に特殊召喚する。俺は『JMー防御のパイライト』を特殊召喚」
「やっ」LV1 ATK0 DEF2100
トルマリンの作成した魔方陣によって小さい少女の見た目をしたジュエルマジシャン、パイライトがフィールドに呼び出される。
・・・再び現れろ。
未来へ続くサーキット
召喚条件は『JMモンスター2体以上』
俺はリンク2のJMー安楽のトルマリンとJMー防御のパイライトをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン。
リンク召喚。
リンク3
『JMー英知のサファイア』
エクストラの右側に現れた長身の男性ジュエルマジシャン、サファイア。黒い魔導衣に光り輝くサファイアの宝石、これが遊駆のエースモンスターだ。
「サ、サファイアだい!あの時の!」
「サファイアの効果発動。特殊召喚成功時、デッキからカードを1枚ドローする」遊駆手札1
「手札から『宝石呪文―風撃』(ジュエルスペルサイクロン)を発動。このカードを発動した時にフィールドに存在しているジュエルマジシャンモンスターの数まで、フィールドの魔法、罠カードを破壊する」
サファイアの魔方陣から生まれ出でるは巨大な風。その風は龍平のセットしたカードになぞ目もくれず、遊駆のマジシャンズ・プロテクションを破壊した。これを見た龍平は驚きの表情を隠せない。
「プレイングミスだい!?」
「いいや、マジシャンズ・プロテクションにはもう一つ効果がある!」
驚愕している龍平に、巧は冷静に真剣な目付きで言い放つ。
風が去ると...遊駆のフィールドにはサファイアのリンク先にジュエルマジシャンが守備体制をとりながら復活している。
「何だ!?そんなやついたか!?」
「マジシャンズ・プロテクションには、墓地へ送られると、墓地の魔法使いモンスター1体を復活させる効果がある。遊駆君の狙いはそれだったみたいだ。そして今フィールドにいるモンスターは...」
龍平がハッと気づく
「そうか、宝石呪文を使った時に墓地へ送られた...!」
「俺が特殊召喚したのは『JMー発展のカオリナイト』」
カオリナイトは白色の杖を持った十代後半の女性らしき見た目のジュエルマジシャン。
「・・・」LV4 ATK1200DEF1400
「おおーっと!レベルがあるんならクラッキング・ドラゴンの効果発動だい!行っけー!」
「ッ!」カオリナイトATK1200→400
クラッキング・ドラゴンの効果を受け、カオリナイトは涙を浮かべるが、耐えて見せた。そして遊駆はダウンした数値分のダメージを受ける。
「・・・だが、サファイアのリンク先にモンスターが特殊召喚された時、相手モンスター1体の攻撃力を500ダウンさせる。クラッキング・ドラゴンの攻撃力をダウン」遊駆LP1200→400
クラッキング・ドラゴンの体がサファイアの魔法攻撃によって少しだけ動きが鈍くなる。
「グオォ...」ATK3000→2500
「更にカオリナイトの効果発動。ライフを半分払い、このカードを墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドローする」遊駆LP400→200
カオリナイトの体は光となり、遊駆の方を向き勝利を祈るかのように優しく微笑み、フィールドから消滅する。その光の粒子を掴み遊駆かカードをドローした。
「・・・俺は『宝石呪文―復元』(ジュエルスペルリカバリー)を発動。ライフを半分払い、墓地に存在するジュエルマジシャンモンスターを、フィールドに存在するジュエルマジシャンリンクモンスターのリンク先に任意の数特殊召喚する。俺はJMー防御のパイライトとJMー安楽のトルマリンを特殊召喚」
「やっ」LV1 ATK0 DEF2100
「・・・」LINK2 ATK1200 リンクマーカー下 右下
「サファイアのリンク先に特殊召喚されたためクラッキング・ドラゴンの攻撃力をダウン」
「グオォ」ATK2500→2000→1500
段々弱々しくなって行くクラッキング・ドラゴン。しかし遊駆は攻めの手を止めない。
・・・現れろ。
未来へ続くサーキット。
召喚条件は『JMモンスター2体以上』
俺はJMー安楽のトルマリンとJMー防御のパイライトをリンクマーカーにセット。
サーキットコンバイン。
リンク召喚。
リンク3『JMー歓喜のオパール』
美しい女性のジュエルマジシャンがサファイアのリンク先に白を基調としたドレスの裾を掴みサファイアに、遊駆に、そして龍平にお辞儀をして、自前の白い杖を構える。その杖には、色とりどりに煌めく巨大な宝石がはめ込まれてある。
「ウフフ 」LINK3 ATK2000 リンクマーカー左 下 右上
「サファイアの効果」
「グオォォ!」ATK1500→1000
クラッキング・ドラゴンはもはや浮遊することままならない状態となってしまった。龍平はそんなクラッキング・ドラゴンを見て体を震わせ項垂れた。
「・・・龍平」
「クラッキング・ドラゴン...苦しそうだい...。けど、けど俺っち達はいつもこんなピンチを迎えて戦ってきただい!だから来い!まだデュエルは終わってねーぞ!」
遊駆が頷いた。
「オパールの効果発動。デッキトップのカードをゲームから除外し、墓地のJMモンスター1体を対象として発動する。このターンのエンドフェイズ時までこのカードは、対象のモンスターが持っている効果と同じ効果となる。俺はJMー防御のパイライトを選択する」
プレイ・オブ・カラー!
オパールが持つ効果。その力で、オパールの杖にはパイライトの宝石が写される。これにより、オパールはパイライトの色と輝きを得た。
「バトル。俺はJMー歓喜のオパールで、クラッキング・ドラゴンを攻撃」
宝・石・流・波(ジュエルウェーブ)!!
オパールの杖から放たれる光の波がクラッキング・ドラゴンを飲み込もうとするが、龍平はまだ諦めていない。
「リバースカードオープン!『リミッター解除』!」
龍平のリバースカード、リミッター解除、しかし、その力は発動されない。
「な、何故...」
「JMー英知のサファイアの効果発動。このカードがリンク状態となっている場合一度だけ、相手が発動した魔法カードを無効にできる」
「そんな...」
クラッキング・ドラゴンが叫び声を上げながら飲まれて行く。
「クラッキング・ドラゴン!」LP4000→3000
「JMー英知のサファイアで、直接攻撃」
宝・石・魔・導!!
「クッ!」LP3000→500
「・・・」
バトルフェイズが終了し、龍平を見る。彼は不思議と悔しそうな表情はしていなかった。いや、している。
深く息を吸って、はいて、吸って、はいて。
「クラッキング・ドラゴンが倒れる直前に俺っちにこう言った気がするんだい」
遠くを見るような目で遊駆の方を見る。
「楽しかったって...。遊駆、俺っちはずっとお前とデュエルしてみたかった!こいつもきっと同じ気持ちだと思うだい。だから、俺も楽しかっただい!あ、けど、クラッキング・ドラゴンを、もっと活躍させてやりたかっただい...」
その言葉に遊駆は何も言わなかった。巧は静かに佇んでいる。
「さぁ、メインフェイズ2だい。どうする遊駆?」
「・・・俺は手札から『宝石呪文―火炎』(ジュエルスペルファイア)を発動。ライフを半分払い、フィールドに存在するジュエルマジシャンの数1体につき300のダメージを相手に与える。現在存在するのはオパールとサファイアの2体。よって...」
魔方陣から出現せし炎が、龍平を包み込む。
「それは困るだい遊駆...溶けちまうよ...」LP500→0
デュエル終了。
「いやー、楽しかった楽しかった!じゃあな遊駆!これから頑張れよ!」
スッキリした表情で、龍平は走り去っていった。遊駆と巧はその場に残り、互いに見合う。
「宝石呪文か...成る程、だいたいカードのイメージはついたよ」
巧が小さく笑いながら遊駆に結果を述べた。それに遊駆も満足したのか、特に何も言わない。
「・・・」
「とりあえず、僕はまた別行動を取るよ。・・・じゃあね」
そしてまた、巧は一人で歩きだした。遊駆は黙って、姿が見えなくなるまで、その背中を眺めるのだった。
リンク召喚がまだ現在よりも主流では無かった時代のこと、クラッキング・ドラゴンはハック・ワーム2体で手軽に出せる高攻撃力モンスターで名を馳せていた。
現れて相手に向かって繰り出される強力な攻撃。相手のライフを削り、次の相手のターンには自身の効果でバーンダメージを与える。そして勝利する。
それを味わったことのある当時のデュエリストは、その強大なドラゴンの召喚プロセスを「ハックツークラッキング」と呼んでいたのである。
だが時代は変わり現代では、クラッキング・ドラゴンを召喚しようと、相手は更に強力なカードで立ち向かってくるのだ。そしていつからか、ハックツークラッキングはデュエルの世界では潮が引くように見なくなり、いつしかその言葉は一種の伝説のような扱いへと変わっていった。
だが...伝説とは時を越えても褪せぬものだ。
小柄な体の、その少年の名は倉木龍平。
黒髪の中にピンと一本の槍のように立った輝く緑色の髪が特徴的な彼のフィールドに存在するモンスターはクラッキング・ドラゴン。それを呼び出したのは伝説のハックツークラッキング。
現代において、再びハックツークラッキングを使用する者が現れたのである。
現在の状況
遊駆 LP1000 手札4 場伏1 墓地除外無
龍平 LP4000 手札3 場クラッキング・ドラゴン1伏1 墓地ハック・ワーム2除外無
デュエルが始まり龍平は見事クラッキング・ドラゴンの召喚に成功し、それによって彼の勝利は目前である。しかし遊駆はそばにいる山野巧に「宝石呪文」というカードを発動すると宣言したのだった。
「・・・俺は手札から『JMー縁のクリソコラ』を召喚」
「フッ」LV4 ATK1600DEF1200
黒いローブを身に纏い心臓部分に丸い青色の宝石があるジュエルマジシャンが召喚される。
「クリソコラの効果発動...」
「だめだ遊駆君!クラッキング・ドラゴンがフィールドにいるのにレベル4のクリソコラを召喚しちゃ...」
遊駆が効果を発動しようとした瞬間、巧が遊駆に向かって注意の意味を込めた言葉を言おうとしたが、その前に、クラッキング・ドラゴンの体にある緑色の宝玉のような部分から細長い光線がクリソコラに向かって放たれる。
「クラッキング・ドラゴンの効果発動だい!相手がモンスター1体のみを召喚、特殊召喚した時、その召喚、特殊召喚されたモンスターの攻撃力をターン終了時までそのレベル一つにつき200ダウンさせて、ダウンした数値分相手にダメージを与えるだい!」
そして光線はクリソコラに放たれた。しかし遊駆は平然としており、まるで焦りを見せない。
「・・・クラッキング・ドラゴンの効果発動に対し永続罠カード『マジシャンズ・プロテクション』を発動」
「・・・」クリソコラATK1600→800
ここで遊駆にはクリソコラのダウンした攻撃力800のダメージが与えられる。
「・・・」遊駆LP1000→600
「400しか減ってない!?な、何故...」
「そうか、マジシャンズ・プロテクションには魔法使い族モンスターがフィールドに存在する限り、受けるダメージ全てを半減する効果があるんだ!」
「そしてクリソコラの効果発動。召喚成功時、手札からレベル2以下のJMモンスター1体を特殊召喚する。俺は『JMー主護のマラカイト』を特殊召喚」
「・・・」LV1 ATK/DEF0
目を閉じている小さな女の子のジュエルマジシャン。心臓部分には緑色の綺麗な宝石がある。
「攻撃力がゼロだから...クラッキング・ドラゴンの効果は発動されないだい」
「・・・なら行くぞ。・・・巧」
「メモの準備なら出来てるよ」
それを聞いて遊駆は軽やかに手札から1枚のカードをディスクに置いた。
「俺は『宝石呪文―回復』(ジュエルスペルキュアー)を発動。手札からJMモンスターカードを1枚墓地へ送り発動する。・・・俺はフィールドに存在するJMモンスター1体につき300のライフを回復する。現在存在するJMは2体。よって600ライフを回復する」
クリソコラの杖とマラカイトの掌から作成された魔方陣が、遊駆の体を囲い、傷を癒して行く。
遊駆LP600→1200
・・・現れろ。
未来へ続くサーキット。
召喚条件は『JMモンスター2体』
俺はJMー縁のクリソコラとJMー主護のマラカイトをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン。
リンク召喚。
リンク2『JMー安楽のトルマリン』
黄色い稲妻のような模様の服を来た男性ジュエルマジシャンがサーキットから現れる。その顔は神妙で、どこか不思議な雰囲気を放っている。
「・・・」LINK2 ATK1200 リンクマーカー下 右下
「トルマリンがリンク召喚に成功した時、デッキからJMモンスター1体を効果を無効にしてこのカードのリンク先に特殊召喚する。俺は『JMー防御のパイライト』を特殊召喚」
「やっ」LV1 ATK0 DEF2100
トルマリンの作成した魔方陣によって小さい少女の見た目をしたジュエルマジシャン、パイライトがフィールドに呼び出される。
・・・再び現れろ。
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俺はリンク2のJMー安楽のトルマリンとJMー防御のパイライトをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン。
リンク召喚。
リンク3
『JMー英知のサファイア』
エクストラの右側に現れた長身の男性ジュエルマジシャン、サファイア。黒い魔導衣に光り輝くサファイアの宝石、これが遊駆のエースモンスターだ。
「サ、サファイアだい!あの時の!」
「サファイアの効果発動。特殊召喚成功時、デッキからカードを1枚ドローする」遊駆手札1
「手札から『宝石呪文―風撃』(ジュエルスペルサイクロン)を発動。このカードを発動した時にフィールドに存在しているジュエルマジシャンモンスターの数まで、フィールドの魔法、罠カードを破壊する」
サファイアの魔方陣から生まれ出でるは巨大な風。その風は龍平のセットしたカードになぞ目もくれず、遊駆のマジシャンズ・プロテクションを破壊した。これを見た龍平は驚きの表情を隠せない。
「プレイングミスだい!?」
「いいや、マジシャンズ・プロテクションにはもう一つ効果がある!」
驚愕している龍平に、巧は冷静に真剣な目付きで言い放つ。
風が去ると...遊駆のフィールドにはサファイアのリンク先にジュエルマジシャンが守備体制をとりながら復活している。
「何だ!?そんなやついたか!?」
「マジシャンズ・プロテクションには、墓地へ送られると、墓地の魔法使いモンスター1体を復活させる効果がある。遊駆君の狙いはそれだったみたいだ。そして今フィールドにいるモンスターは...」
龍平がハッと気づく
「そうか、宝石呪文を使った時に墓地へ送られた...!」
「俺が特殊召喚したのは『JMー発展のカオリナイト』」
カオリナイトは白色の杖を持った十代後半の女性らしき見た目のジュエルマジシャン。
「・・・」LV4 ATK1200DEF1400
「おおーっと!レベルがあるんならクラッキング・ドラゴンの効果発動だい!行っけー!」
「ッ!」カオリナイトATK1200→400
クラッキング・ドラゴンの効果を受け、カオリナイトは涙を浮かべるが、耐えて見せた。そして遊駆はダウンした数値分のダメージを受ける。
「・・・だが、サファイアのリンク先にモンスターが特殊召喚された時、相手モンスター1体の攻撃力を500ダウンさせる。クラッキング・ドラゴンの攻撃力をダウン」遊駆LP1200→400
クラッキング・ドラゴンの体がサファイアの魔法攻撃によって少しだけ動きが鈍くなる。
「グオォ...」ATK3000→2500
「更にカオリナイトの効果発動。ライフを半分払い、このカードを墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドローする」遊駆LP400→200
カオリナイトの体は光となり、遊駆の方を向き勝利を祈るかのように優しく微笑み、フィールドから消滅する。その光の粒子を掴み遊駆かカードをドローした。
「・・・俺は『宝石呪文―復元』(ジュエルスペルリカバリー)を発動。ライフを半分払い、墓地に存在するジュエルマジシャンモンスターを、フィールドに存在するジュエルマジシャンリンクモンスターのリンク先に任意の数特殊召喚する。俺はJMー防御のパイライトとJMー安楽のトルマリンを特殊召喚」
「やっ」LV1 ATK0 DEF2100
「・・・」LINK2 ATK1200 リンクマーカー下 右下
「サファイアのリンク先に特殊召喚されたためクラッキング・ドラゴンの攻撃力をダウン」
「グオォ」ATK2500→2000→1500
段々弱々しくなって行くクラッキング・ドラゴン。しかし遊駆は攻めの手を止めない。
・・・現れろ。
未来へ続くサーキット。
召喚条件は『JMモンスター2体以上』
俺はJMー安楽のトルマリンとJMー防御のパイライトをリンクマーカーにセット。
サーキットコンバイン。
リンク召喚。
リンク3『JMー歓喜のオパール』
美しい女性のジュエルマジシャンがサファイアのリンク先に白を基調としたドレスの裾を掴みサファイアに、遊駆に、そして龍平にお辞儀をして、自前の白い杖を構える。その杖には、色とりどりに煌めく巨大な宝石がはめ込まれてある。
「ウフフ 」LINK3 ATK2000 リンクマーカー左 下 右上
「サファイアの効果」
「グオォォ!」ATK1500→1000
クラッキング・ドラゴンはもはや浮遊することままならない状態となってしまった。龍平はそんなクラッキング・ドラゴンを見て体を震わせ項垂れた。
「・・・龍平」
「クラッキング・ドラゴン...苦しそうだい...。けど、けど俺っち達はいつもこんなピンチを迎えて戦ってきただい!だから来い!まだデュエルは終わってねーぞ!」
遊駆が頷いた。
「オパールの効果発動。デッキトップのカードをゲームから除外し、墓地のJMモンスター1体を対象として発動する。このターンのエンドフェイズ時までこのカードは、対象のモンスターが持っている効果と同じ効果となる。俺はJMー防御のパイライトを選択する」
プレイ・オブ・カラー!
オパールが持つ効果。その力で、オパールの杖にはパイライトの宝石が写される。これにより、オパールはパイライトの色と輝きを得た。
「バトル。俺はJMー歓喜のオパールで、クラッキング・ドラゴンを攻撃」
宝・石・流・波(ジュエルウェーブ)!!
オパールの杖から放たれる光の波がクラッキング・ドラゴンを飲み込もうとするが、龍平はまだ諦めていない。
「リバースカードオープン!『リミッター解除』!」
龍平のリバースカード、リミッター解除、しかし、その力は発動されない。
「な、何故...」
「JMー英知のサファイアの効果発動。このカードがリンク状態となっている場合一度だけ、相手が発動した魔法カードを無効にできる」
「そんな...」
クラッキング・ドラゴンが叫び声を上げながら飲まれて行く。
「クラッキング・ドラゴン!」LP4000→3000
「JMー英知のサファイアで、直接攻撃」
宝・石・魔・導!!
「クッ!」LP3000→500
「・・・」
バトルフェイズが終了し、龍平を見る。彼は不思議と悔しそうな表情はしていなかった。いや、している。
深く息を吸って、はいて、吸って、はいて。
「クラッキング・ドラゴンが倒れる直前に俺っちにこう言った気がするんだい」
遠くを見るような目で遊駆の方を見る。
「楽しかったって...。遊駆、俺っちはずっとお前とデュエルしてみたかった!こいつもきっと同じ気持ちだと思うだい。だから、俺も楽しかっただい!あ、けど、クラッキング・ドラゴンを、もっと活躍させてやりたかっただい...」
その言葉に遊駆は何も言わなかった。巧は静かに佇んでいる。
「さぁ、メインフェイズ2だい。どうする遊駆?」
「・・・俺は手札から『宝石呪文―火炎』(ジュエルスペルファイア)を発動。ライフを半分払い、フィールドに存在するジュエルマジシャンの数1体につき300のダメージを相手に与える。現在存在するのはオパールとサファイアの2体。よって...」
魔方陣から出現せし炎が、龍平を包み込む。
「それは困るだい遊駆...溶けちまうよ...」LP500→0
デュエル終了。
「いやー、楽しかった楽しかった!じゃあな遊駆!これから頑張れよ!」
スッキリした表情で、龍平は走り去っていった。遊駆と巧はその場に残り、互いに見合う。
「宝石呪文か...成る程、だいたいカードのイメージはついたよ」
巧が小さく笑いながら遊駆に結果を述べた。それに遊駆も満足したのか、特に何も言わない。
「・・・」
「とりあえず、僕はまた別行動を取るよ。・・・じゃあね」
そしてまた、巧は一人で歩きだした。遊駆は黙って、姿が見えなくなるまで、その背中を眺めるのだった。
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61 | 過ぎ去った日常風景 | 739 | 0 | 2018-10-03 | - | |
145 | 5月29日──焦り | 782 | 4 | 2018-12-08 | - | |
94 | 5月30日──立ち上がる | 766 | 0 | 2018-12-25 | - | |
75 | 6月1日──新しい日常の始まり | 747 | 2 | 2019-01-24 | - | |
73 | エターナルタイムキャラクター紹介② | 752 | 0 | 2019-01-26 | - | |
66 | 6月8日──ハックツークラッキング! | 689 | 2 | 2019-02-04 | - | |
63 | 6月8日──宝石呪文 | 597 | 0 | 2019-02-12 | - | |
70 | 6月8日──火炎の闘志 | 683 | 0 | 2019-02-28 | - | |
89 | 6月8日──熱い炎 | 701 | 0 | 2019-03-12 | - | |
77 | 6月8日──友情の炎 | 716 | 0 | 2019-03-14 | - | |
61 | 6月8日──恋愛相談 | 701 | 0 | 2019-03-30 | - | |
103 | 6月8日ー1日目終了直前 | 788 | 0 | 2019-09-07 | - | |
57 | 打ち切りのお知らせ | 549 | 0 | 2022-05-01 | - |
更新情報 - NEW -
- 2024/06/08 新商品 TACTICAL-TRY DECK 征服王エルドリッチ カードリスト追加。
- 06/16 09:00 掲示板 オリカコンテスト投票所
- 06/16 08:28 評価 6点 《フレムベル・ヘルドッグ》「フレムベルの上澄みに位置する下級。…
- 06/16 08:01 評価 5点 《灼熱ゾンビ》「アンデットに見えて炎族。 さんざん言われている…
- 06/16 07:47 評価 5点 《暗黒のマンティコア》「2体で無限ループできることがウリ。 《…
- 06/16 03:50 SS 65話 指名、確信、脈動
- 06/16 01:12 評価 8点 《スプリガンズ・バンガー》「 どうみても戦闘系の見た目なのに、…
- 06/16 00:45 評価 4点 《スプリガンズ・ピード》「 《スプリガンズ》下級で段違いに弱い…
- 06/16 00:36 評価 10点 《ギガンティック“チャンピオン”サルガス》「 【《スプリガンズ…
- 06/16 00:21 評価 9点 《スプリガンズ・ブラザーズ》「 メインデッキの《スプリガンズ》…
- 06/16 00:10 評価 10点 《王の棺》「手札1枚が、戦闘無敵のレベル8高打点に変わるカード …
- 06/16 00:06 掲示板 オリカコンテスト投票所
- 06/16 00:04 デッキ 昔のデッキを改良したいです
- 06/16 00:00 コンプリート評価 asdさん ⭐ストラクチャーデッキR-炎王の急襲-⭐
- 06/16 00:00 コンプリート評価 みめっとさん ⭐ストラクチャーデッキ-オーバーレイ・ユニバース…
- 06/16 00:00 コンプリート評価 ねこーらさん ⭐デュエリストパック-神代兄妹編-⭐
- 06/16 00:00 コンプリート評価 ねこーらさん ⭐デュエリストパック-遊馬編2 ゴゴゴ&ドドド-…
- 06/15 23:01 デッキ トマホーク
- 06/15 22:53 評価 7点 《合体術式-エンゲージ・ゼロ》「《閃刀起動-リンケージ》同様レ…
- 06/15 22:29 評価 9点 《ナンバーズ・エヴァイユ》「異なるランクの4枚のNo.を素材にし、…
- 06/15 22:15 ボケ クロスカウンターの新規ボケ。はい、虫歯取りますよー。拳で。
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