82 不思議の国のタッグデュエル　作：ギガプラント

奏「あ、アンタ……！」



光輝「２対１ってのはちょっと不公平じゃないかな。」


光輝「僕も参加していいよね？」


奏「光輝……どうしてここに。」



光輝「奏、さっきどうにも様子がおかしかったから。」


光輝「寮とは逆方向に歩いてったのを見たって人がいたから、もしかしたらと思ったけど、こんな用事とはね。」


光輝「でもこんな夜に一人でこんなところまで来るなんて……ちょっと無茶苦茶じゃないか？」


奏「だ、だって…！ジュニア大会があんなことになって、その戦犯が来るかもって思ったら……なんだかじっとして居られなくて…。」


光輝「戦犯…？」


奏「そうよ…アイツらが…！」


光輝「アイツらって、貴方達は………」




ヴァルト（彼はあの時の…。）


アリス「ﾁｯ!面倒臭いわね…！」




光輝「ヴァルトさん……それに確か君はアリスちゃん…。これは一体どういうことだい？」


奏「…どうしたもこうしたもないわよ。アストベリー杯の竜巻騒ぎの犯人よ。」


奏「それに……ジェネシック本社で窃盗したってのも恐らく。」


光輝「竜巻って……あれは事故じゃなかったのか！？」


奏「詳しい話は後！今は早くこいつらを倒さなきゃ。中にまだ仲間がいるみたいなの。」


光輝「こんな時間に…クリスティアホールで一体何を…！」


ヴァルト「それを貴方方が知る必要はありません。」


アリス「ふんっ！そっちから勝手に来てくれて助かったわ！追いかけてぶっ倒す手間が省けるってものよ！」


光輝（この鋭い敵意、どうも冗談ってわけじゃなさそうだ…！）


ヴァルト「デュエルに参加するのは構いません。ですが、」


アリス「やるなら早くしなさいっつーの！！」



光輝「くっ……僕は『Ｒ・Ｆ－スターフレンド』を召喚。」星４・ＡＴＫ５００


光輝「更に永続魔法『光輝球体（レイディアンス・スフィア）』を発動！」


光輝「このカードが存在する限り、僕のフィールドのＲ・Ｆモンスターの攻撃力は５００ポイントアップする！」スターフレンドＡＴＫ５００→１０００


光輝「そしてスターフレンドのモンスター効果発動！このカードの攻撃力が１０００以上の時、手札からＲ・Ｆモンスター１体を特殊召喚する！」


光輝「現れろ！チューナーモンスター『Ｒ・Ｆ－ガッツトレーナー』！」星３・ＤＥＦ１４００
機械的な身体のメカトレーナー。


ヴァルト「チューナーモンスターですか…。」


光輝「僕はレベル４のスターフレンドとレベル３のガッツトレーナーでオーバーレイ！」




戦火に集いし闘志よ！煌々に木霊し、大地に降り立て！！


シンクロ召喚！


『Ｒ・Ｆ－エナジー・コンダクター』！！星７・ＡＴＫ２４００→２９００




アリス「ふんっ！あんなの一匹大した事無いっつーの！」


光輝「僕はカードを１枚セットしてターンエンドだ…。」




光輝「ヴァルトさん……一体何が目的なんだ！」


ヴァルト「先程も申した通りです。貴方方がそれを知る必要はありません。」


アリス「どーせもうちょっとであんた等も消えちゃうんだから関係ないっつーの！」


光輝「消えるだって！？」


奏「あっ…！」



～～～ ～～～ ～～～ ～～～ ～～～ ～～～





仁「人間を滅ぼす。」






仁「…それが奴等の…。」


奏「えぇっ！？」


天音「滅ぼすって…どういうことですか！？」


アストベリー「………………。」


仁「詳しい事は分からん。だが先日接触した奴がそう言っていた。」



～～～ ～～～ ～～～ ～～～ ～～～ ～～～


奏「…信じたくないけど、人間を滅ぼすのが目的って、本当なのね。」


光輝「滅ぼすって…！奏、本当なのか！？」


奏「夜見原君がこいつらの仲間と接触した時に聞いたって……まさか本当だなんて思いもしなかったけど。」


アリス「何？誰かがチクったっての？うわつっかえない誰よ一体！？」


ヴァルト（アリス様もたった今ご自分で口にされていたんですが……。）


ヴァルト「…恐らくはフウジンあたりでしょう。彼はあまり任に忠実とは言えませんでしたから。」


アリス「ふんっ！！まぁいいわ！どーせこいつらもここでお寝んねよ！」


奏「アリスちゃん……貴方達一体何者なの！どうしてそんな事…。」


奏（それにこの娘のこの力、どう見ても普通じゃない…！）



アリス「このターンあんたが耐えられたら教えてあげるわよ。耐えられるもんなら耐えてみなさい！」


アリス「あたしのターン！ドロー！」


アリス「あたしはメルヘン・バトンタッチの効果発動！」


アリス「フィールドのリーゼルを魔法＆罠ゾーンに設置！」


再びモンスター毎本が閉じ、魔法＆罠ゾーンへ後退する。


アリス「そして魔法＆罠ゾーンの御伽現影クイーンオブハートを特殊召喚！」星７・ＡＴＫ２０００


光輝「魔法罠ゾーンからモンスターが…！？」


奏「そう。あの娘のデッキは相当トリッキーみたいよ…子供だからって油断したら……」

アリス「油断する間もなくあんたは終わりよ！！クイーンオブハートは魔法＆罠ゾーンから特殊召喚された場合、魔法＆罠ゾーンのカード１枚につき攻撃力が４００ポイントアップする！」


アリス「メルヘン・バトンタッチ、御伽現影リーゼル、御伽現影ガリバーの３枚分、１２００ポイントアップ！」ＡＴＫ２０００→３２００


奏「一気に攻撃力が３２００まで！？」


アリス「まだまだ！『御伽現影 トランプ・ソルジャー』を召喚！」星４・ＡＴＫ１９００


アリス「さぁそいつもぶっ飛ばしてやるわ！あたしはクイーンオブハートの効果発動！」


アリス「１ターンに１度、このカードより低い攻撃力のモンスター１体を破壊する！」


奏「！？」


アリス「あんたはもう終わりよ！騎楽極士フェローチェを破壊する！」

ハート型の魔法陣がフェローチェを拘束する。


アリス「ハート・トゥ・ジャッジメント！」

白く魔法陣が発光する。







アリス「ふふ！あとは２体のモンスターで……」








アリス「えっ！？」



フェローチェの身体は光のバリアに守られている。




アリス「何っ！？なんでぶっ飛んでないの！？あんた何したのよ！」


奏「私は何もしていないわ。…私はね。」


アリス「はぁ！？」


奏「自身の攻撃力が２９００以上の時、ターゲットとした自分フィールドのカード１枚はそのターン中カード効果では破壊されない。」


奏「Ｒ・Ｆ－エナジー・コンダクターの効果……これであってるわよね？」


光輝「あぁ、そのとおりだよ。」


光輝「そして、自分フィールドのモンスター効果の対象となった時、デッキからカードを２枚ドローしその後１枚を捨てる。」


光輝「騎楽極士フェローチェの効果……これでよかったかな？」


奏「大正解よ！フェローチェの効果により、私はデッキからカードを２枚ドロー！」


奏「そして１枚を捨てる！」





ヴァルト「タッグパートナーのモンスター効果で守ったのか…いや、それだけじゃなく……」


アリス「タッグデュエルのルールを利用して更に効果を連鎖させたですって～！」


奏「さぁどうするの！まだあなたのターンよアリスちゃん！」


アリス「むっきいいい！！！気安く呼ぶなっつーの！！」


アリス「効果破壊を防いだって攻撃力はこっちが上なのよ！」


アリス「バトルよ！クイーンオブハートで騎楽極士フェローチェを攻撃！！」


奏「手札から『騎楽士 ダカーポ』を墓地へ送って効果発動！」


奏「ターゲットとしたインスターモンスターはこのターン戦闘で破壊されない！！」


奏「悪いけどそっちも防がせてもらうわ！！」



ヴァルト「全てを思い通りには行かせません！私はガーディアンナイト・フェデルタの効果発動！」


奏「なっ！？」


ヴァルト「オーバーレイユニットを１つ取り除く事で、このカード以外のモンスター１体を対象とするカード効果の発動を無効にし破壊する！」

ヴァルト「騎楽士ダカーポの効果を無効にします。ロイヤリティ・バースト！」


奏「くっ…！」


光輝（あちらも一筋縄ではいかないって事か…！）



アリス「あははは！！消えなさい！イーヴィルハート！！」


奏「痛ぅ！！」ＬＰ４０００→３４００


アリス「トランプソルジャー！ダイレクトアタックよ！！」

トランプの兵隊が大槍を振り回す。


奏「っああああ！！！」ＬＰ３４００→１５００


光輝「奏！」


奏「くっ……大丈夫。」



アリス「悪あがきしちゃって、相変わらずうざったいわねあんた。」


アリス「御伽現影モンスターの効果よ！御伽現影モンスターは戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、魔法＆罠ゾーンに設置されるわ。」


アリス「そして別のモンスターを入れ替わりで特殊召喚できる！私はクイーンオブハートを設置してリーゼルを特殊召喚！」星４・ＤＥＦ５００


光輝「バトルの度に入れ替わるのか…。」


光輝（後ろに逃げられるんじゃ倒すのは難しいな…。）


アリス「リーゼルの効果発動！デッキの一番上をめくり、御伽現影モンスターなら魔法＆罠ゾーンに設置できる！」


デッキトップがめくられる。


アリス「めくったカードは『御伽現影 マーメイド』、このカードも設置されるわ！」


奏（また設置された本が増えた……実質的にあの娘の手数が増えたと考えてよさそうね…。）


アリス「そしてトランプソルジャーも効果発動！このカードを設置して、設置されていたガリバーを特殊召喚！」星３・ＤＥＦ１７００
船員の格好の青年が本から飛び出す。


アリス「ガリバーが特殊召喚された時、レベルを３つまで上げることができる！私はレベルを１つ上げるわ！」星３→４


奏「レベル調整…まさかまた！？」


アリス「今更気づいても遅いわよ！私はレベル４になったガリバーにレベル４のリーゼルをチューニング！」





無垢なる幻想の旅人よ！軽やかなる足取りで無限の夢幻に揺蕩え！



シンクロ召喚！



現出せよ！『御伽現影ワンダーガール』！星８・ＡＴＫ２３００







お転婆に踊る童話のお嬢様のような少女。大きな本から飛び出しくるくると回り出す。



奏「２体目のシンクロモンスター…！」


アリス「あたしはこれでターンエンド！！」








奏「…さぁ、教えてもらおうかしら？私のライフはまだ残っているわよ。」


アリス「ふん！そんなに知りたきゃ教えてやるわよ！」


ヴァルト「アリス様…！」


アリス「うっさい馬鹿執事！どーせこいつらここでぶっ飛ばすんだから問題ないわ！！冥土の土産ってやつよ！！」


ヴァルト「………」


ヴァルト（こうなるとアリス様は止められない……致し方ないか。）






アリス「あたし達は『アインヘリアル』！」


ヴァルト「全ての人間を滅ぼすという目的の下に集った同士……とでもいいましょうか。」




アリス「ふん！同士でもなんでもないわよ。ただ目的が同じってだけ。」


アリス「皆み～んなぶっ飛ばす！！そんだけよ！」


奏「なんでそんな事する必要があるのよ！貴女みたいな子供が！」


アリス「そんなの………ムカつくからに決まってんでしょバーカ！！」


光輝「ムカつく……だって！？」


アリス「子供子供ってムカつくのよ……口だけの大人が偉っそうに！！」


奏（なんなの……この子…。）


アリス「さぁ話は終わりよ！早くしなさい！」



光輝「…ヴァルトさん。貴方は、貴方はこんな小さい子にこんな事をさせて…」


光輝「貴方も……人間を滅ぼそうなんて考えているんですか？」


ヴァルト「…………」




奏「私のターン！ドロー！」


奏「私は『騎楽士 エレガンテ』を召喚！」星３・ＡＴＫ１１００


奏「そして墓地の『騎楽士 アクツェント』を除外して効果発動！」


奏「ターゲットとしたインスターモンスターのレベルを１つ上げる！ターゲットはエレガンテよ！」星３→４


奏「そしてエレガンテの効果発動！このカードが自分のモンスターの効果のターゲットになった時、デッキからレベル４以下のインスターモンスターを特殊召喚できる！」


奏「デッキから『騎楽士 ラルゴ』を特殊召喚！」星４・ＤＥＦ１８００


奏「更に！インスターモンスターの効果のみでチェーンが発生した時、手札から『騎楽士 ファシーレ』を特殊召喚できる！」星４・ＡＴＫ１９００


ヴァルト「レベル４が３体…。」


ヴァルト（彼女のデッキは効果の連鎖が鍵となっているようですね……これは最初の騎楽士アクツェントを無効化しなかったのはミスでしたか…。）


奏「私はレベル４のエレガンテ、ラルゴ、ファシーレでオーバーレイ！」




響き合え旋律よ！気高き勇気と呼応し、今ここに破邪の力をもたらせ！！



エクシーズ召喚！！



現れよ！壮麗たる協奏の光！『騎楽極士（プレインスター） フォルティッシモ』！！ランク４・ＡＴＫ２５００






奏「フォルティッシモがエクシーズ召喚に成功した事により効果発動！」


奏「手札からレベル４以下のインスターモンスター１体を特殊召喚する。」


奏「『騎楽士 カンタービレ』を守備表示で特殊召喚！」星３・ＤＥＦ１０００


アリス「そんなモンスター程度全然恐くないわよ！」


奏（あの娘のモンスターの攻撃力は２３００…フォルティッシモの方が上…。）


奏（伏せたカードも無いのにあの余裕…あのモンスター何かあるわね。）


奏「だったら！騎楽極士フォルティッシモの効果発動！」


奏「自分フィールドの他の戦士族モンスター１体と相手モンスター１体をターゲットとし、その自分のモンスターの攻撃力分、相手モンスターの攻撃力をダウンさせる！」


奏「ターゲットはカンタービレと、ガーディアンナイト・フェデルタ！」


ヴァルト「っ！！」


奏「カンタービレの攻撃力１０００ポイント分ダウン！」ＡＴＫ３０００→２０００


アリス「何やってんのよヴァルト！そんなのさっきみたく無効にしちゃえばいいでしょ！？」


ヴァルト「……いえ、」


奏「そのモンスターは、自身以外のモンスター『１体』をターゲットとする効果を無効にする効果。」


奏「２体以上ターゲットを指定しているフォルティッシモの効果は無効にできない…そうよね？」


ヴァルト「………」


アリス「むううう！！！この無能執事ぃ！！」


奏「こら！なんてこと言い方をするの！」


光輝「ヴァルトさんはさっき君をフォローしてくれたじゃないか！」


アリス「うっさい！敵の事気にするとか馬鹿じゃないの！」


奏「っとにもう！自分のモンスターの効果のターゲットとなったカンタービレの効果！私は１枚ドロー！」


奏「いくわよ！騎楽極士フォルティッシモでガーディアンナイト・フェデルタを攻撃！ブレード・レゾナンス！」


ヴァルト「くっ…！罠カード、『忠義の大盾』発動！」


ヴァルト「このカードは発動後、装備カードとなります。」

フェデルタの盾が大きなものに変わる。


ヴァルト「装備モンスターは１ターンに１度、破壊されない！」


奏「っ！でもダメージは受けてもらうわ！」


ヴァルト「くうっ…！」ＬＰ４０００→３５００




奏「私はこれでターンエンド。この瞬間、ガーディアンナイト・フェデルタの攻撃力は元に戻るわ。」ＡＴＫ２０００→３０００


アリス「あーもーホント使えないグズね！次のターンで挽回しないと許さないわよ！」


ヴァルト「…承知しました。」


奏「貴女……また！！」


アリス「うっさい！！！」





アリス「あんた達みたいな保護者気取りの大人は見てるだけでイライラするのよ！！」




アリス「とっとと終わらせてやるっつーの！！！」




終











--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---

☆おまけコーナー★

『奏先生の補足講座』


初「あの……奏先生、今回のデュエルで質問があるんですけど…。」


奏「質問？ええいいわよ。何でも聞いて頂戴。」


竜太「質問って……真面目だなぁお前。」


奏「茶化さないの。それで？何が訊きたいの？」


初「今回（８２話）の、最初の相手のターンなんですけど…」


奏「最初はデュエルに乱入した光輝のターンだったから、その次のアリスちゃんのターンね。」


竜太「前のターンに召喚されたシンクロモンスターが魔法罠ゾーンから出てきたんだよな。」


初「そのシンクロモンスター『御伽現影 クイーンオブハート』が効果を発動して、奏先生のモンスターを破壊しようとしましたよね？」


奏「そうね。その時フィールドに居たモンスターをまとめるとこのようになるわ。」


※効果は一部のみ抜粋

『御伽現影 クイーンオブハート』
①：１ターンに１度、フィールドのこのカードより低い攻撃力のモンスター１体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。
②：魔法＆罠ゾーンのこのカードが特殊召喚した場合、以下の効果を得る。
●このカードの攻撃力は、自分の魔法＆罠ゾーンのカード１枚につき４００アップする。

『騎楽極士 フェローチェ』
①：フィールドのこのカードが自分（パートナーも含む）のカードの効果の対象になった時、このカードのエクシーズ素材を１つ取り除いて発動できる。デッキから２枚ドローする。その後、手札を１枚捨てる。

『Ｒ・Ｆ－エナジー・コンダクター』
①：このカードの攻撃力が２９００以上の場合、以下の効果を得る。
●１ターンに１度、自分（パートナーも含む）フィールドに表側表示で存在するカード１枚を対象として発動できる。そのカードは、このターン効果では破壊されない。この効果は相手ターンでも発動できる。

『ガーディアンナイト・フェデルタ』
①：フィールドのこのカード以外のモンスター１体を対象とする魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、このカードのエクシーズ素材を１つ取り除いて発動できる。その効果の発動を無効にし破壊する。



竜太「そうそう。それで『騎楽極士 フェローチェ』破壊されそうになったところで光輝さんの『Ｒ・Ｆ－エナジー・コンダクター』が守ったんだよな。」


竜太「凄い連携プレーだったぜ。」


初「そこなんですけど……相手の『ガーディアンナイト・フェデルタ』は自分以外のモンスターを対象とする効果を無効化できるんですよね？」


竜太「んん？…そういやそうだ！」


竜太「エナジー・コンダクターは、ガーディアンナイト・フェデルタ以外のモンスターを対象とした効果だから無効化できる！」


初「うん。なのにどうして相手のヴァルトさんって人はフェデルタの効果を使わなかったんだろう…。」


竜太「確かに、あそこで効果を使えばフェローチェは勿論、光輝さんのエナジー・コンダクターも破壊出来て一石二鳥なのに。」


竜太「もしかしてあの執事素人なのか…？」



奏「成程、良いところに目を付けたわね。」


奏「それじゃあ、解説していきましょう。」




奏「彼はフェデルタの効果を使わなかったのではなく、使えなかったのよ。」


初「えっ！？」


奏「これを見て、その時のチェーン処理をまとめてみたの。」


--- --- ---


▼チェーン１
アリス『御伽現影 クイーンオブハート』効果発動。
対象は「騎楽極士フェローチェ」

↓

▼チェーン２
光輝『Ｒ・Ｆ－エナジー・コンダクター』効果発動。
対象は「騎楽極士フェローチェ」

↓

▼チェーン３
奏『騎楽極士フェローチェ』効果発動。


--- --- ---


初「あ、エナジー・コンダクターにチェーンしてフェローチェの効果が発動されてる。」


竜太「そっか、ドローして捨てる効果を使ってたな。」


奏「フェデルタみたいな発動を無効化する効果は、基本的に条件を満たしていても『直前の効果しか無効にできない』の。」


奏「この場合、エナジー・コンダクターの効果を無効にするならチェーン３で効果を使うしかないわ。」


奏「でも今回は、私が先にチェーン３でフェローチェの効果を使っちゃったから、そのタイミングが無くなっちゃったってわけ。」


初「成程…。」


竜太「じゃあフェローチェより先にフェデルタの効果を使われたらヤバかったんだな。」


初「ん？あれ？そもそも光輝兄の発動した効果に対して、２人が同時にチェーン発動しようとした場合ってどっちが先に発動できるの？」


竜太「そりゃお前、優先権が移動して……って、この場合誰に移るんだ？タッグデュエルなんてやった事ないから分かんないぞ？？」



奏「今回のルールで優先権は次のように移るわ。」


アリス→奏→ヴァルト→光輝→アリス→奏→ヴァルト→光輝→………


奏「光輝の発動した効果にチェーンする場合、早く優先権が廻ってくるのは……」


初「光輝兄の次はアリスさん…けどアリスさんは何も発動しないで優先権を破棄したから、次は…」


竜太「奏先生だ！そうか！優先権が先に廻ってきたから相手より先に効果の発動ができたんだな！」


奏「そういうこと。優先権の移り変わりまで細かくまとめるとこんな感じね。」

--- --- ---

▼チェーン１
優先権：アリス
『御伽現影 クイーンオブハート』効果発動。
対象は「騎楽極士フェローチェ」
↓
優先権：奏
破棄
↓
優先権：ヴァルト
破棄
↓
優先権：光輝
▼チェーン２
光輝『Ｒ・Ｆ－エナジー・コンダクター』効果発動。
対象は「騎楽極士フェローチェ」
↓
優先権：アリス
破棄
↓
優先権：奏
▼チェーン３
奏『騎楽極士フェローチェ』効果発動。
↓
優先権：ヴァルト
破棄（エナジー・コンダクターにフェローチェがチェーンした為、フェデルタは効果を発動できない。）
↓
優先権：光輝
破棄
↓
優先権：アリス
破棄

--- --- ---

竜太「なんか凄くややこしいな。」


奏「普通のデュエルと比べると、プレイヤーが４人に増えているからちょっとややこしく感じるかもね。」


奏「でも実際はそこまで複雑ではないわ。」


初「タッグデュエルならではの優先権かぁ…。」


初「奏先生、ありがとうございました。」


奏「ふふ、貴方達もタッグデュエルをする時は、ここら辺のルールを確認してみてね。」



奏「では、今日の授業はここまで！」



--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---










--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---


（次回予告）


光輝「この間、家でアルバムが出てきてさ。皆で見ていたんだけど、子供の頃の僕の写真って泣いてるのばかりだったんだよね。」


奏「へぇ、ちょっと意外。」


光輝「昔は結構泣き虫って言われてたな。恥ずかしいけど。」


奏「…それはそれで可愛らしいかもね。」


光輝「奏は子供の頃はこうだった～とかそういうのあるかい？」


奏「べ、別に普通よ普通！」


奏「それに…そんな小さな子供の頃の事なんて、あんまり覚えてないし。」


光輝「はは、それもそうか。僕も写真を見るまで忘れてた事とかあったしね。」


光輝「次回！『幸せの記憶』」


奏「そうそ、そんな急に昔の事を思い出したりはできないわよ。」
--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---
・おまけの内容はあくまで作中のタッグデュエルでのルールです。タッグデュエルに明確な公式ルールは無いらしいので、あくまで本編中の補足とお考え下さい。