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第3話:帰って来たあの人 作:ドクダミ2号
「やった、勝ったわ!」
櫻が嬉しそうな声で勝利を伝える。周りもそれに合わせて喜ぶ。
「やった!櫻さん勝ったんですね!おめでとうございます!」
同じ様に凛も喜ぶ。雷は余りの凄さに言葉を失なっていた。
「ま、当たり前だよなぁ、俺の娘なんだし。それぐらいできてもらわなきゃ。」
「そうね、私はあの遊亜翔の娘なんですから。」
「おぉ、言うなぁ。ま、今は榊原翔だけどな!」
「それで言ったら私達は本来遊亜櫻、遊亜六花になってるはずなんですけどね。」
頓知で返され、ぐうの音も出ない翔。その目の前でケラケラと笑い勝利の顔を浮かべる櫻。その可笑しい状況に次第に笑いが込み上げてくる。しばらく笑い続けたあと、5人はそれぞれの家に戻り、明日の日に備えた。
「おっはよー!六花ちゃん!」
3年生のクラスにて、大きな声が聞こえる。声の主は六花の親友であり、また人気者である彼女の苦労を知る数少ない人物の、一ノ瀬優香である。
「う、うん。おはよう。今日もテンション高いね〜……。」
「そんなに暗い顔しなさんな!六花は何か今日暗いね!」
「い、いや〜。そんな事……。そっちがいつも元気すぎるだけだと思うよ?」
優香はとにかく明るい性格をしており、クラスの人気者である。ただ、明る過ぎて空気が読めないと言う欠点こそあるが……。
「そんな事より……、また六花のファン達が来てるよ。」
「もう……良い加減にして………。」
「六花。帰るわよ。」
櫻に呼び止められ、ひょこひょこと歩き出す六花。
「わかってるって!」
「今日は大切な日よ。遅れるとあのバカがうるさくなるわよ。」
「自分の父親をあのバカって……。」
大切な日と言うのは、今日……この日は彼女の達の母親がとある用事から帰ってくる日である。彼女達の母親はずっと前からとある用事で家に帰ってなかった。そのとある用事とは良く分かってないが、母親が帰って来ることは彼女達にとっても嬉しいことだった。
「とりあえず、行きましょう?」
「うん!」
校門まで歩くと、そこには車を待機させ煙草を咥え佇む1人の男がいた。その男は櫻達に気づくと歩み寄ってきた。
「来たか、ほれさっさと行くぞ。」
「何してんのよ………。」
男の名は翔。彼女達の父親である。いい歳こいていながら、カッコつけているその姿が櫻達をとても恥ずかしい気分にさせる。
「何って……お前らを待ってたんじゃないか。さっさと乗れ、空港に行くぞ。」
「変にカッコつけないで。こっちが恥ずかしいわ………。」
暫くの間、車を走らせる。着いた場所は空港。
「空港……?一体お母さんはどこへ行っていたの……?」
「人には色々あるんだよ。さて……そろそろかな?」
そう言い、翔は国際便の方へ向かう。
「国際って……海外に行ってたの?何処の国?」
「少し黙ってろ。そろそろ……ほら、来た。」
翔の言葉に2人が目を向けると、そこには大量の人に押し流されながら歩いてくる自分たちの母親の姿があった。
「えぇ……。何か凄い流されてるよぉ………。」
「ナナリア!こっちこっち!」
翔が名前を呼ぶと、母親……もといナナリアがこちらに気付く。人混みを掻き分けながらこちらに向かってくる。
「翔!迎えに来てくれたんだな!」
「あー……ほれ、娘、娘。俺だけじゃないって。」
「あっ……悪い……。」
何故母親が娘に気づかなかったのか……?それは至極簡単な事。だが、今ここでいう事ではない。何故か?それはすぐに分かるからだ。
「お母さん……お願いだから良い歳こいてお父さんとバカップルするのは止めてね……?」
「む……良い歳とは何だ。」
そう、ナナリアと翔は結婚してからもう20年以上経っているのに、未だにラブラブと言う状態なのである。……まぁ、最も仲が悪い状態よりはマシだが……。
「お母さん何歳だと思ってるの?もうーーー」
「止めろ!年齢には触れないでくれ!」
「おーい……もう行くぞーー……。」
「で、お母さんは結局何処に行ってたの?」
六花が質問する。海外に行っていたのだ、きっとただ事ではないのだろう。
「ん?あぁ……両親の命日でな。それで……。」
「ふーん……ん?っという事は……私達の祖父母って事だよね?死んじゃってたなんて聞いてないけど……?」
「あー……言うには少し早かったかなって………死因が死因だからな………。」
「「?」」
そうして車を走らせるうち、自分達の家に着く。
「ふふ……何だか久し振りな気がするな。」
「まぁな……1ヶ月いなかったんだ。懐かしくもなるだろ。」
中に入り、ナナリアがあちこちを見て回る。部屋の散らかりや壁などの汚れを指摘するも、その顔は笑っている。
「あーあ、お父さん怒られてるー。」
「可哀想に……お母さんに頭が上がらないからねぇ………。」
暫くして……もう夜の11時になろうとしてる頃、みんなでリビングで談笑してる時の事だった。笑い声に混じり何か声の様なものが聞こえてきた。
「何?今の……。」
「あら……?何かしら……?」
「……見てこよっか?」
翔が名乗りをあげる。他のみんなは特に意見がなく、仕方なく見に行く事になった。
「確か……この辺からぁ……あ……あぁ!?な……何だぁこれはぁ!」
「「「!?」」」
次回に続く
櫻が嬉しそうな声で勝利を伝える。周りもそれに合わせて喜ぶ。
「やった!櫻さん勝ったんですね!おめでとうございます!」
同じ様に凛も喜ぶ。雷は余りの凄さに言葉を失なっていた。
「ま、当たり前だよなぁ、俺の娘なんだし。それぐらいできてもらわなきゃ。」
「そうね、私はあの遊亜翔の娘なんですから。」
「おぉ、言うなぁ。ま、今は榊原翔だけどな!」
「それで言ったら私達は本来遊亜櫻、遊亜六花になってるはずなんですけどね。」
頓知で返され、ぐうの音も出ない翔。その目の前でケラケラと笑い勝利の顔を浮かべる櫻。その可笑しい状況に次第に笑いが込み上げてくる。しばらく笑い続けたあと、5人はそれぞれの家に戻り、明日の日に備えた。
「おっはよー!六花ちゃん!」
3年生のクラスにて、大きな声が聞こえる。声の主は六花の親友であり、また人気者である彼女の苦労を知る数少ない人物の、一ノ瀬優香である。
「う、うん。おはよう。今日もテンション高いね〜……。」
「そんなに暗い顔しなさんな!六花は何か今日暗いね!」
「い、いや〜。そんな事……。そっちがいつも元気すぎるだけだと思うよ?」
優香はとにかく明るい性格をしており、クラスの人気者である。ただ、明る過ぎて空気が読めないと言う欠点こそあるが……。
「そんな事より……、また六花のファン達が来てるよ。」
「もう……良い加減にして………。」
「六花。帰るわよ。」
櫻に呼び止められ、ひょこひょこと歩き出す六花。
「わかってるって!」
「今日は大切な日よ。遅れるとあのバカがうるさくなるわよ。」
「自分の父親をあのバカって……。」
大切な日と言うのは、今日……この日は彼女の達の母親がとある用事から帰ってくる日である。彼女達の母親はずっと前からとある用事で家に帰ってなかった。そのとある用事とは良く分かってないが、母親が帰って来ることは彼女達にとっても嬉しいことだった。
「とりあえず、行きましょう?」
「うん!」
校門まで歩くと、そこには車を待機させ煙草を咥え佇む1人の男がいた。その男は櫻達に気づくと歩み寄ってきた。
「来たか、ほれさっさと行くぞ。」
「何してんのよ………。」
男の名は翔。彼女達の父親である。いい歳こいていながら、カッコつけているその姿が櫻達をとても恥ずかしい気分にさせる。
「何って……お前らを待ってたんじゃないか。さっさと乗れ、空港に行くぞ。」
「変にカッコつけないで。こっちが恥ずかしいわ………。」
暫くの間、車を走らせる。着いた場所は空港。
「空港……?一体お母さんはどこへ行っていたの……?」
「人には色々あるんだよ。さて……そろそろかな?」
そう言い、翔は国際便の方へ向かう。
「国際って……海外に行ってたの?何処の国?」
「少し黙ってろ。そろそろ……ほら、来た。」
翔の言葉に2人が目を向けると、そこには大量の人に押し流されながら歩いてくる自分たちの母親の姿があった。
「えぇ……。何か凄い流されてるよぉ………。」
「ナナリア!こっちこっち!」
翔が名前を呼ぶと、母親……もといナナリアがこちらに気付く。人混みを掻き分けながらこちらに向かってくる。
「翔!迎えに来てくれたんだな!」
「あー……ほれ、娘、娘。俺だけじゃないって。」
「あっ……悪い……。」
何故母親が娘に気づかなかったのか……?それは至極簡単な事。だが、今ここでいう事ではない。何故か?それはすぐに分かるからだ。
「お母さん……お願いだから良い歳こいてお父さんとバカップルするのは止めてね……?」
「む……良い歳とは何だ。」
そう、ナナリアと翔は結婚してからもう20年以上経っているのに、未だにラブラブと言う状態なのである。……まぁ、最も仲が悪い状態よりはマシだが……。
「お母さん何歳だと思ってるの?もうーーー」
「止めろ!年齢には触れないでくれ!」
「おーい……もう行くぞーー……。」
「で、お母さんは結局何処に行ってたの?」
六花が質問する。海外に行っていたのだ、きっとただ事ではないのだろう。
「ん?あぁ……両親の命日でな。それで……。」
「ふーん……ん?っという事は……私達の祖父母って事だよね?死んじゃってたなんて聞いてないけど……?」
「あー……言うには少し早かったかなって………死因が死因だからな………。」
「「?」」
そうして車を走らせるうち、自分達の家に着く。
「ふふ……何だか久し振りな気がするな。」
「まぁな……1ヶ月いなかったんだ。懐かしくもなるだろ。」
中に入り、ナナリアがあちこちを見て回る。部屋の散らかりや壁などの汚れを指摘するも、その顔は笑っている。
「あーあ、お父さん怒られてるー。」
「可哀想に……お母さんに頭が上がらないからねぇ………。」
暫くして……もう夜の11時になろうとしてる頃、みんなでリビングで談笑してる時の事だった。笑い声に混じり何か声の様なものが聞こえてきた。
「何?今の……。」
「あら……?何かしら……?」
「……見てこよっか?」
翔が名乗りをあげる。他のみんなは特に意見がなく、仕方なく見に行く事になった。
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ター坊
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