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遊☆戯☆王V☆S(ファイブスター)/Episode48:希望の行方 作:カズ

~現在の状況~
NOZOMI→LP:3800 手札:2 デッキ:31 Mゾーン:0 M・Tゾーン:0 Fゾーン:1 Pゾーン:0

V S

Z→LP:8000 手札:1 デッキ:30 Mゾーン:4 M・Tゾーン:2 Fゾーン:0 Pゾーン:0


 前のターン、希は絶望の一歩手前の段階まで心を折られそうになった。親友達との思い出ともいうべき『No.』に加え、希も知らなかった『希望皇ホープ』モンスターである『No.93 希望皇ホープ・カイザー』まで呼び出されたのだ。しかも、依然として親友達の洗脳は解ける兆しがない。絶望の恐怖と隣り合わせになりながらも、希は最後まで希望を持って戦う以外の選択肢はないのだ。

*TURN07
「私の、ターン!」

 希はドローしたカードを見た後、目を閉じた。どうすればこの状況を打破出来るのか、熟考しているのだ。しかし、この少ない手札では出来ることも限られている。20秒が経過したが、最初に取った行動はホープ・カイザーの効果を確認することだった。デュエルディスクに映されたZの盤面をズーム、タップし、ホープ・カイザーの効果をじっくり時間をかけて把握した。
 ここで、希が動いた。

「手札から魔法カード『ガガガ学園の緊急連絡網』を発動!お願い、『ガガガマジシャン』!!」


〇ガガガ学園の緊急連絡網(通常魔法)
相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合に発動できる。デッキから「ガガガ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。このカードを発動するターン、自分はエクシーズ召喚以外の特殊召喚ができない。「ガガガ学園の緊急連絡網」は1ターンに1枚しか発動できない。

「さらに『ガガガシスター』を通常召喚して、効果発動!デッキから『ガガガボルト』を持ってきて、そのまま発動!じゃあ……私から見て左側の伏せカードを破壊!」

 2人の魔法使いがそれぞれの手を取り合い、バチバチと稲妻が迸り、Zの伏せカードを破壊しようとした。しかし、Zはそのカードを発動した。

「ダイソン・スフィアを対象に、速攻魔法『RUM-クイック・カオス』を発動します!これでダイソン・スフィアは更なる進化を遂げます!」
「あ、相手ターン中にランクアップ?!そんなカードが……」


〇RUM-クイック・カオス(速攻魔法)
①:「CNo.」モンスター以外の自分フィールドの「No.」Xモンスター1体を対象として発動できる。その自分のモンスターよりランクが1つ高く、同じ「No.」の数字を持つ「CNo.」モンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてエクストラデッキからX召喚する。



「天空を覆う星よ、森羅万象をその内に宿し、今、ここに降臨せよ!カオスエクシーズ・チェンジ!!『CNo.9 天蓋妖星カオス・ダイソン・スフィア』!!」


〇CNo.9 天蓋妖星カオス・ダイソン・スフィア(ランク10 光)
機械族/エクシーズ/効果
攻3600/守3200
レベル10モンスター×3
このカードが相手モンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずにそのモンスターをこのカードの下に重ねてエクシーズ素材とする事ができる。1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材の数×300ポイントダメージを相手ライフに与える事ができる。また、このカードが「No.9 天蓋星ダイソン・スフィア」をエクシーズ素材としている場合、以下の効果を得る。●1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を任意の数だけ取り除いて発動できる。その数×800ポイントダメージを相手ライフに与える。



 この世界には『RUM』というものにあまりなじみがない。というのも、使用者がごく一部の物に限定されているからだ。希のように【希望皇ホープ】を使用する者、凛の兄、翼のように【RR】を使用する者、『RUM-アージェント・カオス・フォース』を取り入れる【ギミック・パペット】、あるいは『超銀河眼の光波龍』をエクストラデッキに投入した場合の【ギャラクシー】。せいぜいこれくらいだ。『ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン』と『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』が存在しないどころか、この世界にあまり出回ってすらいない【幻影騎士団】や、異端すぎるが故に受け入れられなかった赤い星のカードは最早論外である。
 しかし、先ほどZが使用した『RUM』は元来、赤い星のカード。どうやって彼が入手したかは謎だが、ランク10という超弩級のモンスターを前にして希の対策は通じるのか。


「『ガガガマジシャン』の効果で、自身のレベルを2に変更して、『ガガガシスター』の効果発動!レベル2の『ガガガマジシャン』と『ガガガシスター』のレベルを合計し、その2体のレベルを4にする!そして、この2体でオーバーレイ!希望は決して捨てない!それが、勝利という答えへの道標だから!!もう一度お願い、『No.39 希望皇ホープ』!!」


 どんなに窮地に追い込まれても希望を捨てない。ホープは正に希自身といってもいいモンスターだ。だが、時に希望は自らを極限まで追い詰めてしまうこともある。


「私は『No.39 希望皇ホープ』でオーバーレイネットワークを再構築!世界の秩序が乱れし時、全ての希望が結束し、我は唯一無二の輝きへと昇華する!!シャイニングエクシーズ・チェンジ!!『SNo.39 希望皇ホープONE』!!」

 ホープは更なる輝きを増して新たな姿へと生まれ変わったが、その効果は諸刃の剣。使いどころを間違えれば、ほんの少しのダメージを受けただけでお陀仏になる。
 希がターンを進行させるうえで最も悩まざるを得なかった場面がここなのだ。今のところ、希はホープONEの効果を使用できる圏内にいる。しかし効果を使用したところで、ホープ・カイザーを破壊できるわけではない。だが、攻撃力はほんのわずかだか上回っているため戦闘での破壊は可能だ。

(一か八かだけど……やるしかない!)
「『希望皇ホープONE』の効果発動!オーバーレイユニットを3つ全て使い、私の残りライフを10にするのと引き替えに、相手の特殊召喚したモンスターを全て破壊し、除外する!パンドラ-ズ・フォース!!」

 Zが前のターンで特殊召喚したホープ・カイザー以外の全ての『No.』が一瞬で塵と化し、フィールドの状況をイーブンにまで持ち込んだ。さらに、これまで全く減らなかったZのライフを900減らすことに成功した。しかし、希のライフはたったの10。Zとのライフの差は7090もある。これだけのハイリスクにもかかわらず、ハイリターンは得られなかった。


「やれやれ。貴方という人は理解できません。希望を語っておきながら、逆に自らを追い込むような真似をするとは……」
「違う。私は、皆を解放したの!まがいものの希望を名乗った哀れな王様からね!バトルよ!!ホープONEでホープ・カイザーを攻撃!ホープ剣ッ!シャイニング・スラッシュ!!」

 光り輝くホープの剣がホープ・カイザーを切り裂いた。攻撃力の差はフィールド魔法に蓄積されたカウンターのおかげとはいえ610だが、それでも希にとっては大躍進だった。しかし、完全に窮地を脱したわけではなく寧ろ崖っぷち。もしもZの伏せカードが効果ダメージを与えるものならば、希は最短でも次のターンで敗北するが、彼女には「ある確信」があった。

「私は、カードを1枚伏せてターンエンド!」
NOZOMI→LP:10 手札:0 デッキ:28 Mゾーン:1 M・Tゾーン:1 Fゾーン:1 Pゾーン:0



*TURN08
今度はZが全てのモンスターを失う形となったが、彼の墓地には『No.98 絶望皇ホープレス』が残っている。その効果を使えば、今度こそZの勝利が決定する。

「私のターン。そして、墓地から絶望皇ホープレスの効果発動!」
「もう絶望なんかに屈しない!速攻魔法『禁じられた聖衣』を発動!」


〇禁じられた聖衣(速攻魔法)
①:フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時までそのモンスターは、攻撃力が600ダウンし、効果の対象にならず、効果では破壊されない。


どうにかホープレスの効果に引っかかることは阻止できたが、その代償としてホープONEの攻撃力は元に戻ってしまった。しかしZは手札が悪かったのか、モンスターを裏守備表示でセットしただけでターンを終了した。今まで立て続けに手札からモンスターを消費したので、燃料が切れたのだろう。
Z→LP:6490 手札:1 デッキ:29 Mゾーン:1 M・Tゾーン:1 Fゾーン:0 Pゾーン:0


*TURN09
「私の、ターン!ドローを行わない代わりに、墓地の『RUM-アストラル・フォース』の効果発動!このカードを墓地から手札に加え、発動!!」

 ホープドラグーンを召喚する際のコストで墓地へ送ったカードをここで呼び戻した。この効果を発動したターン、アストラル・フォースの効果でしかモンスターを特殊召喚できない副作用があるが、今はそれが狙いなのだ。





「どれだけ傷つき、倒れようとも、囚われの友を救うためならば、我は限界を遙かに超越する!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!!『No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ』!!」



 胡桃の洗脳を解除するためのデュエルで勝利をもたらした、現時点での希の切り札だ。生憎Zのフィールドに表側表示のモンスターはいなかったため、ビヨンドの効果を活かすことは出来なかったが、カウンターが4つも溜まっていることが功を奏し、素の打点では圧倒的に優位に立つことができた。
 伏せたモンスターが何なのか分からないが、もし希の確信が当たっていたとしたら、攻撃してもこちらにデメリットはない。なぜなら、Zが使用しているデッキは希とほぼ同じであり、希のデッキにはリバース効果を発動するモンスターは1体もいない。

「ビヨンド・ザ・ホープで、裏守備表示モンスターを攻撃!!ホープ剣ッ!ビヨンド・ザ・スラァァァッシュ!!」

 希の魂が込められた一撃で破壊したモンスターは『ガガガシスター』だった。攻撃力も守備力も低かったため、その場しのぎの要因としては特に問題はなかっただろう。しかし、ダメージを与えられなかった点では、希にとって非常にまずい状況だ。

(皆、待っててね!あともう少しの辛抱だから!)
「はぁ、はぁ…...私はこれで、ターンエンド!!」
NOZOMI→LP:10 手札:0 デッキ:28 Mゾーン:1 M・Tゾーン:0 Fゾーン:1 Pゾーン:0

 その時、希の右手の甲にうっすらと青い数字が浮かび上がったが、彼女はそれに気づくはずもなかった。



*TURN10
 最後まで諦めない姿勢を貫く希のデュエルにだんだんと苛立ちを感じてきたのか、普段から平常心だったZにも心の揺らぎが現れ始めた。

「私のターン!もう一度絶望しなさい!ホープレスの効果発動!!」
「絶望なんか、もう二度としないって言ってるでしょ!ビヨンド・ザ・ホープの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、自らを除外することで、墓地から『SNo.39 希望皇ホープONE』を蘇らせる!そして私は1250ポイントのライフを回復する!」


 ホープレスの効果を凌ぐ手立ては、希にはまだ残っていたのだ。ホープレスが蘇るためには、「フィールドの『希望皇ホープ』モンスターを対象に取る」こと。魔法カードの効果で対象に取らせないことや、その対象を自ら消してしまうような大胆な策でも通用する。しかも、一度蘇生に失敗すれば、そのターン中、ホープレスは復活しない。しかし、いつまでもそれらに甘えるわけにもいかない。ホープレスを復活させないことは希にとって不可能に近いことであり、偶然呼び寄せたカードの連携のおかげでここまで戦えているにすぎないのだ。次のターンで奇跡でも起きない限り、希の敗北は決定したも同然なのだ。

「勝負はすでに決まっているというのに……往生際が悪すぎますねぇ。私は手札から装備魔法『ガガガリベンジ』を発動し、墓地から『ガガガシスター』を特殊召喚します。続いて『ガガガマジシャン』を通常召喚。『ガガガシスター』の効果発動!4+2で、2体のレベルを6にします!」

 Zも希を倒すべく、最後の仕上げに入ろうとしていた。お互いの「ガガガ」モンスターのレベル変更コンボを有効活用し、強力なエクシーズモンスターを呼び出そうとした。これで決まってしまうのか。

「私はレベル6となった『ガガガマジシャン』と『ガガガシスター』でオーバーレイ!エクシーズ召喚!ランク6『先史遺産アトランタル』!!そして、エクシーズ召喚されたアトランタルの効果で、墓地のダイソン・スフィアを装備!」
「うっ…!このままじゃ、まずいかも」

 アトランタルがダイソン・スフィアを装備したことによって、攻撃力は1500アップしている。それだけではなく、『ガガガリベンジ』の効果でさらに300上がっているため、アトランタルの総合攻撃力は4400。カウンターが溜まっているホープONEをも優に超えているのだ。いくら希のライフがビヨンド・ザ・ホープのおかげで1260まで回復しているとはいえ、この攻撃を受けてしまえば再び絶体絶命のピンチに陥る。

「バトル!アトランタルよ、希望皇ホープONEを滅ぼしてしまいなさい!!ディヴァイン・パニッシュメント!!」
「ぐぅっ……きゃああぁぁ――っ!!!」
NOZOMI→LP:370


 希望を抱き、ここまで諦めずに全力で戦ってきた少女も、どうやらここまでのようだ。後ろに大きく吹き飛ばされ、体の至る所から出血している。そのせいか、希は体中がズキズキと痛んだ。さすがに対戦しているZも見苦しくなったのか、希にサレンダーを促した。しかし、希は「イヤ!」の一点張り。互いに譲れないものが懸かっているのだ。


「おとなしくサレンダーすればよかったものを……。私はこれでターンエンドです」
Z→LP:6490 手札:1 デッキ:28 Mゾーン:1 M・Tゾーン:1 Fゾーン:0 Pゾーン:0


*TURN11
 頼みの綱であったホープONEも破壊され、残されたライフはたったの370。モンスターはおろか、手札も無い。普通のデュエリストならばとっくに心が折れている状況だが、希はまだ諦めていなかったのだ。どんなに絶望が襲ってこようが、最後の最後まで希望を見いだして戦い、勝利を掴む。そのプレイスタイルによって、今、希に最後の奇跡が訪れようとしていた。


「私の……ターン!!」


 その瞬間、希自身にも変化が現れた。前の攻撃で受けたはずの傷が完治し、彼女から暖かいオレンジ色のオーラが見えるようになったのだ。しかし、当の本人はそれに気づく様子も無く、デュエルを進めた。

「私はオノマトピアに溜まったカウンターを2つ使い、デッキから『ゴゴゴゴースト』を特殊召喚!そして、ゴーストの効果で、墓地から『ゴゴゴゴーレム』を特殊召喚!!」


 残された最後の力を振り絞り、希はエクストラデッキから3枚目の『No.39 希望皇ホープ』を召喚し、即座に『CNo.39 希望皇ホープレイ』へと繋げた。今なら希のライフは1000を下回っているためホープレイの効果を使用できるが、覚醒した希の力はその程度では終わらない。


「私は手札から魔法カード『RUM-ヌメロン・フォース』を、捨てて!ホープレイをシャイニングエクシーズ・チェンジ!!」 


 希が右手を空に仰ぐと、あちこちから白い光が希にめがけて飛んできて、それらが彼女を優しく包み込んだ。同時に、希の右手には白いカードが創造されていた。この世界では誰も知らない、新たな力が目覚めようとしているのだ。やがてそのカードは黒く彩られ、名前や効果など、全ての情報が浮き彫りになった。




































「これが私の最後の希望!!絶望に囚われし友を解放するため、我は今、道標となって無限の輝きへと誘おう!!『SNo.0 ホープ・ゼアル』!!!」



〇SNo.0 ホープ・ゼアル(ランク0 光)
戦士族/エクシーズ/効果
攻?/守?
同じランクの「No.」Xモンスター×3
ルール上、このカードのランクは1として扱う。このカードは手札の「RUM」通常魔法カード1枚を捨て、自分フィールドの「希望皇ホープ」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。①:このカードのX召喚は無効化されない。②:このカードのX召喚成功時には、相手は効果を発動できない。③:このカードの攻撃力・守備力はこのカードのX素材の数×1000アップする。④:相手ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このターン、相手は効果を発動できない。








 希のフィールドに、誰も知らない新たな『No.』が生み出された。次の瞬間、希がホープ・ゼアルと一体化し、希自身がモンスターになるという超常現象が起こった。さすがの彼女も、これには驚いたのか慌てふためいた。

「えええ?!な、何これ?!」
(落ち着け。君は今、互いの熱意によって我と全てを同調させているのだ)

 突然、希に青年のような凜々しい声をした誰かが語りかけてきた。これまでの流れから推測すると、おそらくホープ・ゼアルだろう。
モンスターとシンクロする、そのモンスターが直接脳内に語りかけてくるというように、漫画やアニメの世界でもない限り起こらないような話に希はついていけず、「う~!」と音を上げた。しかし、すぐに気を取り直し、希は真っ直ぐに立ち上がった。


「行こう、ホープ・ゼアル!アトランタルを攻撃!!ホープ剣……ゼアルスラッシュ!!」


 ホープ・ゼアルとなった希は、力強く地面を蹴り、親友を取り戻すべく光の剣でZのモンスターを斬りつけた。無数の爆発とともにアトランタルの散りゆく様を見た希の親友達は、一瞬だがその目に輝きが戻っていた。


「私はこれで、ターンエンド!」
NOZOMI→LP:370 手札:0 デッキ:27 Mゾーン:1 M・Tゾーン:0 Fゾーン:1 Pゾーン:0




*TURN12
 Zも、希がカードを創造することは前々から予想はしていたが、まさかそのモンスターと合体することまでは想定していなかった。おまけにそのモンスターの力も未知数。警戒せざるを得ないが、ゼアルの前ではそれさえも通じなかった。

「私のターン、ドロー!」
「この瞬間、私はホープ・ゼアルのオーバーレイユニットを1つ使い、効果発動!あんたはこのターン、一切の効果を発動することを禁じる!!」


 予想の遙か上を行く効果にZは絶句した。「効果を発動できない」ということは、そのターンの間は何も出来ないことと同意義なのだ。強力なモンスターを召喚するにしても、そのためには幾つかの過程を行わなければならない。それさえも許されないとなると、このターンもZは何も出来ないのだ。

「おのれっ!私はこれでターンエンドです」
Z→LP:5890 手札:2 デッキ:27 Mゾーン:0 M・Tゾーン:1 Fゾーン:0 Pゾーン:0



*TURN13
 一方、希もこれ以上の長期戦は禁物だと判断していた。ホープ・ゼアルはオーバーレイユニットの数によって攻撃力が変化する。ターンが経過する度に効果を使用すれば、その度に攻撃力は1000下がる。ただでさえ残りライフは370しか無い上に、Zがいつ反撃してくるかも分からないので、無闇にターンを長引かせれば希の方が不利になる。
 勝負をつけるなら、もうこのターンしかないのだ。

「私のターン!ドロー!!」


 ちょうどその時だった。胡桃が凛を連れて走ってきたのだ。凛も「希が頑張っているのに家でじっとしてられない」という理由で東京から駆けつけてきた。しかし、遠くから見てもはっきりと分かるほど、希の容姿は今まで見てきたものと異なっていた。

(あれって、希ちゃんなの?まるでモンスターと合体しているみたい...)


 2人が来たことにも気づかぬまま、希はターンを進行した。

「私は、オノマトピアのかっとビングカウンターを2つ使い、デッキから『ゴゴゴゴースト』を特殊召喚!そして、墓地から『ゴゴゴゴーレム』を特殊召喚し、オーバーレイ!!エクシーズ召喚!最後に力を貸して!『ガガガザムライ』!!」


 希のフィールドを見て、凛と胡桃は改めて驚いた。普通ならば、召喚されたモンスターはプレイヤーの前にいるはずなのだが、『ガガガザムライ』は横に立っている。つまり、オレンジ色のオーラを纏った謎のモンスター=希ということになる。そして、そのモンスターから希の声が聞こえてきた。

「『ガガガザムライ』の効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、このカードは2回攻撃できる!これでトドメよ!『ガガガザムライ』で、ダブルダイレクトアタック!!」



侍は2本の剣を交差し、そのままZを何度も連続で斬りかかった。その攻撃には、まるで希の強い思いが宿っているようだった。それに呼応するように、『ガガガザムライ』が剣を振るうスピードも段々と速くなっている。
この攻撃だけでもすでにZは満身創痍だったが、まだ希の最後の攻撃が残っている。



「これで最後!ホープ・ゼアルで、ファイナルダイレクトアタック!!ホープ剣!!ゼアル!スラッシュ!!」


 希とホープ・ゼアルは互いの気持ちが完全に1つとなり、彼女が握りしめた光の剣はより一層、輝きを増した。「絶対に勝って皆を取り戻す」とデュエルを始める前に誓った約束を成し遂げるため、希は持てる力の全てを使い、Zを打ち倒した。



「ぬおおぉぉっっ!!!」
Z→LP:0






「はぁ…はぁ…」

 長きにわたる激闘を終え、希もホープ・ゼアルとの合体が解除された。その間に疲労がとてつもなく蓄積されていたのか、ドサッと座り込んだ。そして、新たにエクストラデッキに追加された仲間を取り出し、「ありがとう」とお礼を言った。


「希ちゃん!」

 凛の呼びかけに気づいた希だったが、親友を懸けた大一番に勝利し安堵したのか、彼女の意識は闇の中へと落ちていった。その間に、Zは約束通り、うらら、小町、カレンの洗脳を解除し、凛に存在を悟らせないように姿を消した。
 次に希が意識を取り戻したときには、5人の親友が顔をのぞき込んでいた。皆、希が目覚めるのをずっと待っていたのだ。希がゆっくり起き上がると、親友達は一斉に彼女に抱きついた。


「えっ、ちょっ、何~?!」


 どうしてこうなったのかさっぱり把握できていない希は、皆からの優しい洗礼を揉みくちゃにされながら受けることしか出来なかった。だが、彼女は親友達を取り戻せたことと、またこうしてずっといられることに満面の笑みをこぼしていた。
 しかし、希はすぐに切り替え、凛に「あるお願い」を持ちかけた。


「凛ちゃん、あのね……」














次回予告(by凛)
いよいよ呪縛竜復活まで、あと1日まで来てしまった。もう私達に出来ることは限られているけど、絶対に勝って、世界を守ってみせるんだから!でもそんな時、とんでもないニュースが流れてきたの……。嘘でしょ?!


次回 Episode49:悪夢の決戦前夜
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5 Episode63:光と闇の花 187 3 2017-03-20 -
7 Episode64:渇望と葛藤 176 2 2017-03-23 -
5 Episode65:麗しき孤月 149 2 2017-03-29 -
44 Episode66:月夜のイリュージョン 223 2 2017-04-21 -
15 Episode67:常闇に消える月華 292 1 2017-05-05 -
10 Episode68:模索者たち 107 4 2017-07-22 -
12 Episode69:純黒の反逆者 119 0 2017-07-27 -
8 Episode70:紅と黒の禁呪 118 2 2017-08-07 -
7 Episode71:希望は往く 116 3 2017-08-17 -
9 Episode72:リリーの過去 103 2 2017-08-24 -
5 Episode73:異次元の亡霊 96 2 2017-09-13 -
4 Episode74:覚醒の鼓動 91 3 2017-09-22 -
5 Episode75:挑戦者の儀 96 0 2017-10-05 -
3 Episode76:神速の決闘 65 2 2017-11-14 -

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