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0.5-3話:学園に落ちる雷撃 作:ドクダミ2号
「走れ走れ走れ!!」
球場にて、大きな声が響く。
「セーフセーフ!!」
どうやら野球をやっているようだ。心地良い打球の音と、選手達の激励の声が響く。
「4番、セカンド、雷くん。」
ウグイス嬢の声が聞こえる。
「しっかり頼むぞ!ここで打てば逆転勝ちだ!お前にかかってる!」
「はい!わかりました!」
そうして雷はバッターボックスに向かっていった。
「んが!」
急に体がガクンとなる。さっきまで野球をしてたような……
「雷ー、部活で疲れてんのは分かるが授業中に寝るなー。」
「え?あ、すみません!」
授業中……だった。どうやらいつの間にか眠ってしまったようだ。それにしても夢でも野球をやるなどよほどあの時のことを後悔してるようだ。……あの時と言うのは………。
1年ほど前……
雷達、聖決闘高校野球部は何と甲子園の決勝まで勝ち進んでいた。しかし、決勝戦の相手は予想以上に強く苦戦を強いられていた。何とか追いつき、次の雷の打席でホームランを出せば逆転勝ちと言う状態だった。雷はなんとか粘り、ホームランを狙ったが……結果はアウト。チームは負けたのだった。
「あの時……打つことが出来たなら………。」
後悔が募るばかりだった。
数日後、あの対戦校との練習試合が予定された。無論、雷も参加していた。
「勝てるのか……?」
「弱気になると逆に勝てなくなるわよ、集中なさい。」
応援に来ていた櫻に鼓舞され、疑心暗鬼ながらも試合に向かう雷。どうやらかなり疑っているようだ。
試合の方はお互い順調に点を取り合い、同点で9回を迎えていた。……が9回表、何と相手にホームランを許し、1点差となった。
「あの夏と同じような状況になったな……。」
雷がそう呟くと、チームメイトがそれは違うと言いだした。何が違うのか雷には分からなかったが、とにかく今は試合に集中する事にした。
そして9回裏。チームメイトがヒットを放ち、1塁に出る。次は雷の打順である。
「俺に……打てるのか?」
バッターボックスに立ち、息を整え集中する。ピッチャーをよく見て………、今ピッチャーがボールを投げ始める。1球目。
「うわ!」
少し危ないボールだった。とっさに避けピッチャーを睨む。相手ピッチャーは悪いとハンドサインを送る。故意でないのなら仕方ない。2球目、ど真ん中ストライク。全く反応できなかった。3球目はバットに当てたものの、ファール。これであとは無くなった。……良く見ればあのピッチャー………あの時と同じピッチャーの様だ。どうやら本当にあの時と同じになっている様だ。
「ふふっ」
自然と笑みがこぼれてくる。何だか力が抜けて、より集中できる様になった。4球目。
「そこだぁ!」
カッキーン……と音が鳴り響く。ボールはバットの芯にあたり勢いよく飛んだ。
「キャ!」
飛んで行ったボールは観客席まで届き、櫻同様応援に来ていた六花の近くに落ちた。
「……は!ホ、ホームラン!!ホームラン!!」
「ぃよっしゃぁ!!雷ーー!!!」
やった……!そう心の中で雷が思う。それにしても、本当に打てるとは………櫻に鼓舞されなかったらきっと打ててなかっただろう。
「やった……!やった!!」
「流石ね、雷君。あのホームランは大したものだわ。」
「い、いやぁ〜。それ程でも………。」
「カッコよかったよ!雷君!」
「凄いよ!ボク、尊敬しちゃうなぁ。」
櫻と六花、凛に褒められ、顔を赤くして照れる雷。しかしその眼は既に次のステップを見据えていた。
「これで終わりません。今回はただの練習ですから!……次は試合で打てる様にしないと…。」
そう言いながら、帰り道を歩いていると櫻達のデッキに異変が起きる。
「ふぇ!?な、何よこれ!?」
「ちょちょちょ!か、カードが!!」
「ボクのデッキが……!?何で!?」
急に3人のデッキが宙に浮かび、その中から1枚のカードを取り出し始める。
「な、何で!?俺のデッキは何も………!」
3つのデッキから取り出された3つのカード。それは、3人がそれぞれの時手に入れた、龍のカードだった。
「ダークネスウィング!?」
「ガイアアイズ!?」
「ブラストクロー!?」
それぞれのカードが急に光り出し、辺りを照らす。あまりの眩しさに、思わず目を伏せる。
「!!………な!?」
光が消えるとそこには3体の龍がいた。それぞれの龍がカードではなく実際に具現化して現れていた。
ーーー龍の洗礼を受けし者よ。時は満ちたり。
ーーーさぁ今こそ手を取り合う時………。
ーーー我ら4体、貴方達に忠誠を誓いましょう。悪なる者どもを打ち倒しましょうぞ……!
人の物とは思えない声が、脳に響く。しかし……
「4体……?そこには3体しかいないじゃない……!」
櫻が言った通り目の前には3体の龍しかいない。するとまたあの声が聞こえ始める。
ーーー確かに今は3体しかいない。だが、もうすぐ……いや、今到着した様だ。
声の言う通り、空から雷撃の如くカードが降って来る。そこには「雷神龍ライジングフォース」と書かれていた。そして先ほどと同じ様に光を放つと、龍に変身した。
ーーー遅れて申し訳なかった。只今到着した。さぁ俺の主になる決闘者は誰だ?
ーーー落ち着け、そこの少年だ。
「ま……待てよ!?俺が龍の主に!?何言ってるかわかんねぇんだけど!?」
雷の言う事はごもっともだった。しかしその言葉を気にすることはなく、龍は話を続ける。
ーーー……此奴等に我々を従わせる程の技量は無さそうだが………。良いだろう、認めてやる。
ライジングフォース……と思われる龍がそう言うと、4体の龍は一斉にカードへ戻った。
「……何が起こってるの………?」
櫻がそう言う。他の3人も同意する様に頷く。すると遠くから今度は人間の声が響く。
「やっと時がきたか!随分とかかったな!」
その声は……櫻と六花にとってとても聞き覚えのある声だった。
「「ふぇ!?お父さん!?」」
次回に続く。
球場にて、大きな声が響く。
「セーフセーフ!!」
どうやら野球をやっているようだ。心地良い打球の音と、選手達の激励の声が響く。
「4番、セカンド、雷くん。」
ウグイス嬢の声が聞こえる。
「しっかり頼むぞ!ここで打てば逆転勝ちだ!お前にかかってる!」
「はい!わかりました!」
そうして雷はバッターボックスに向かっていった。
「んが!」
急に体がガクンとなる。さっきまで野球をしてたような……
「雷ー、部活で疲れてんのは分かるが授業中に寝るなー。」
「え?あ、すみません!」
授業中……だった。どうやらいつの間にか眠ってしまったようだ。それにしても夢でも野球をやるなどよほどあの時のことを後悔してるようだ。……あの時と言うのは………。
1年ほど前……
雷達、聖決闘高校野球部は何と甲子園の決勝まで勝ち進んでいた。しかし、決勝戦の相手は予想以上に強く苦戦を強いられていた。何とか追いつき、次の雷の打席でホームランを出せば逆転勝ちと言う状態だった。雷はなんとか粘り、ホームランを狙ったが……結果はアウト。チームは負けたのだった。
「あの時……打つことが出来たなら………。」
後悔が募るばかりだった。
数日後、あの対戦校との練習試合が予定された。無論、雷も参加していた。
「勝てるのか……?」
「弱気になると逆に勝てなくなるわよ、集中なさい。」
応援に来ていた櫻に鼓舞され、疑心暗鬼ながらも試合に向かう雷。どうやらかなり疑っているようだ。
試合の方はお互い順調に点を取り合い、同点で9回を迎えていた。……が9回表、何と相手にホームランを許し、1点差となった。
「あの夏と同じような状況になったな……。」
雷がそう呟くと、チームメイトがそれは違うと言いだした。何が違うのか雷には分からなかったが、とにかく今は試合に集中する事にした。
そして9回裏。チームメイトがヒットを放ち、1塁に出る。次は雷の打順である。
「俺に……打てるのか?」
バッターボックスに立ち、息を整え集中する。ピッチャーをよく見て………、今ピッチャーがボールを投げ始める。1球目。
「うわ!」
少し危ないボールだった。とっさに避けピッチャーを睨む。相手ピッチャーは悪いとハンドサインを送る。故意でないのなら仕方ない。2球目、ど真ん中ストライク。全く反応できなかった。3球目はバットに当てたものの、ファール。これであとは無くなった。……良く見ればあのピッチャー………あの時と同じピッチャーの様だ。どうやら本当にあの時と同じになっている様だ。
「ふふっ」
自然と笑みがこぼれてくる。何だか力が抜けて、より集中できる様になった。4球目。
「そこだぁ!」
カッキーン……と音が鳴り響く。ボールはバットの芯にあたり勢いよく飛んだ。
「キャ!」
飛んで行ったボールは観客席まで届き、櫻同様応援に来ていた六花の近くに落ちた。
「……は!ホ、ホームラン!!ホームラン!!」
「ぃよっしゃぁ!!雷ーー!!!」
やった……!そう心の中で雷が思う。それにしても、本当に打てるとは………櫻に鼓舞されなかったらきっと打ててなかっただろう。
「やった……!やった!!」
「流石ね、雷君。あのホームランは大したものだわ。」
「い、いやぁ〜。それ程でも………。」
「カッコよかったよ!雷君!」
「凄いよ!ボク、尊敬しちゃうなぁ。」
櫻と六花、凛に褒められ、顔を赤くして照れる雷。しかしその眼は既に次のステップを見据えていた。
「これで終わりません。今回はただの練習ですから!……次は試合で打てる様にしないと…。」
そう言いながら、帰り道を歩いていると櫻達のデッキに異変が起きる。
「ふぇ!?な、何よこれ!?」
「ちょちょちょ!か、カードが!!」
「ボクのデッキが……!?何で!?」
急に3人のデッキが宙に浮かび、その中から1枚のカードを取り出し始める。
「な、何で!?俺のデッキは何も………!」
3つのデッキから取り出された3つのカード。それは、3人がそれぞれの時手に入れた、龍のカードだった。
「ダークネスウィング!?」
「ガイアアイズ!?」
「ブラストクロー!?」
それぞれのカードが急に光り出し、辺りを照らす。あまりの眩しさに、思わず目を伏せる。
「!!………な!?」
光が消えるとそこには3体の龍がいた。それぞれの龍がカードではなく実際に具現化して現れていた。
ーーー龍の洗礼を受けし者よ。時は満ちたり。
ーーーさぁ今こそ手を取り合う時………。
ーーー我ら4体、貴方達に忠誠を誓いましょう。悪なる者どもを打ち倒しましょうぞ……!
人の物とは思えない声が、脳に響く。しかし……
「4体……?そこには3体しかいないじゃない……!」
櫻が言った通り目の前には3体の龍しかいない。するとまたあの声が聞こえ始める。
ーーー確かに今は3体しかいない。だが、もうすぐ……いや、今到着した様だ。
声の言う通り、空から雷撃の如くカードが降って来る。そこには「雷神龍ライジングフォース」と書かれていた。そして先ほどと同じ様に光を放つと、龍に変身した。
ーーー遅れて申し訳なかった。只今到着した。さぁ俺の主になる決闘者は誰だ?
ーーー落ち着け、そこの少年だ。
「ま……待てよ!?俺が龍の主に!?何言ってるかわかんねぇんだけど!?」
雷の言う事はごもっともだった。しかしその言葉を気にすることはなく、龍は話を続ける。
ーーー……此奴等に我々を従わせる程の技量は無さそうだが………。良いだろう、認めてやる。
ライジングフォース……と思われる龍がそう言うと、4体の龍は一斉にカードへ戻った。
「……何が起こってるの………?」
櫻がそう言う。他の3人も同意する様に頷く。すると遠くから今度は人間の声が響く。
「やっと時がきたか!随分とかかったな!」
その声は……櫻と六花にとってとても聞き覚えのある声だった。
「「ふぇ!?お父さん!?」」
次回に続く。
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