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遊☆戯☆王V☆S(ファイブスター)/Episode17:地獄の猛特訓 作:カズ

「え、えー、只今より、ジュニアライセンス獲得プログラムを開始します!」
突然始まった謎のプログラム。名前の通り、ライセンスを1ヶ月で取れるようにするためのプログラムだろう。ちなみに花奈がこのプログラムを考案したそうで、彼女いわく
「皆さんがより力をつけるため」だそうだが、そもそもお前もライセンス持ってないだろと遊弥が心の中でツッコミを入れたのは内緒だ。すると命慈が軽く溜息をつき、
「っていうか精一、僕らってもうライセンス取ってるよね?何でこれやろうなんて言い出したの?」
学園のルールとして、3年の夏までには必ずジュニアライセンスを取得していなければならないそうで、2人はそれを既に取得している。
ではなぜ、わざわざこのプログラムをやろうとしたのか、それは…
「遊弥くん、紅葉さん、凛さん、花奈さんに1ヶ月間だけ地獄を見せるためだよ…フフッ」
…く、黒いっ!精一さんがもの凄く黒いっ!なんか目が笑ってないんですけど?!
精一以外の5人は突然彼から溢れ出した謎のオーラに恐怖を感じた。
「おっといけない…つい40%位冗談が混ざってしまった…今のは気にしないでね。」
と精一が軽くお詫びを言った。でも…それって残り半分以上は本気ってことですよね?
遊弥は心の中でそう呟いた。おそらく紅葉、凛、花奈の3人も同じことを思っただろう。
すると、見た感じ執事であろう人が部屋にやってきて、教科書のようなものを持ってきて、
「こちらは、精一様が皆様のために準備いたしました教材でございます。頑張ってくださいませ。」
と言って、そのまま部屋から退出した。
その教材の中身はやはり、ライディングデュエルに関するものだった。見出しには「10日で完成!ジュニアライディングデュエル 最新版」と書かれているが、試験は1ヶ月後。どうやらこれを繰り返し解いてくようだ。

そんなわけで1日目が始まった。遊弥は早速教材の第1講を見てみたら…
「Sp-(スピードスペル)の基礎」と書かれて…待てい!!初っ端から何でこれなの?!スピードスペルって何?!
遊戯王5D’sを見たことある人はご存知だと思うが、「スピードスペル」とはライディングデュエルでのみ使用出来る特殊な魔法カードのことである。通常の魔法カードとは違い、ターンが回る毎に溜まる「スピードカウンター」がないと使えないものがほとんどだ。また、ライディングデュエル中にスピードスペル以外の魔法カードを使用した場合、ペナルティとして2000ポイントのダメージを受けてしまう。

このルールが来年度の大会から適用されることになり、従来使っていた「スピード・ワールド・ネオ」から「スピード・ワールド・NEX(ネックス)」に変更されるらしい。その効果はまだ明らかにされていないが、今までよりも高度な戦術が要求されるのは間違いないだろう。
遊弥がぱっと見で分かったのは、「Sp-エンジェル・バトン」や「Sp-ジ・エンド・オブ・ストーム」、「Sp-シンクロ・パニック」くらいだった。

Sp-エンジェル・バトン
通常魔法
自分用スピードカウンターが2つ以上ある場合に発動する事ができる。 デッキからカードを2枚ドローする。その後、手札1枚を墓地へ送る。

Sp-ジ・エンド・オブ・ストーム
通常魔法
自分用スピードカウンターが10個以上ある場合に発動する事ができる。 フィールドに存在する全てのモンスターを破壊する。 その後、この効果で破壊し墓地へ送られたモンスター1体につき、 そのモンスターのコントローラーは300ダメージを受ける。

Sp-シンクロ・パニック
通常魔法
自分用スピードカウンターが7つ以上ある場合に発動する事ができる。 このデュエル中に自分フィールド上にS召喚したモンスターと同名モンスターをエクストラデッキから可能な限り特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効になり、攻撃力は0になる。


むむむむ…これは厄介だな。まだまだたくさんスピードスペルはあるみたいだし、これは繰り返しやって定着させた方が良さそうだな。遊弥がそう考えていると、精一が
「あ、今日はスピードスペルを最低でも半分は覚えてもらうから、そこのところよろしくね。」と注釈を加えた。
…マジかよ。ざっと見ただけで40種類あったぞ。
「ま、まあ私にはこの程度、朝飯前ですわ。」と花奈が強がりを言っているが、明らかな死亡フラグとなるのは目に見えている。だっていつもの花奈からは想像もつかないくらい汗が…。

今日はスピードスペルを20個覚えるので精一杯だった。スピードカウンターの溜まるタイミングだったり、状況によって使い分ける練習もしたりで、もう目が回るほど忙しかった。最後にライディングデュエルの基本中の基本ともいうべき「スタート合図」を答えられたら終了だったんだけど…花奈が珍回答を連発したせいで全っ然終わらなかった。やっぱ人間誰しも弱点ってあるんだな…。

次の日からは、学校から直接精一さん達の家で夜遅くまで猛勉強。残りのスピードスペル18個と、ゲームセンターに置いてあるようなDホイールもどきで実践練習もしたり、問題集もどんどん進めて、とにかく色々あったけど、本番まであと1週間になった。その日は筆記試験の過去問を解いて、みんなで見せ合うことになったんだが…
「じゃあ一斉に見せるよ。せーのっ…はい!」
精一の合図に合わせ、一斉に点数を公開した。その結果は…
遊弥:80点、紅葉:86点、凛:93点、命慈:94点、精一:99点、花奈:74点
凛と霧野兄弟は合格点に達しているが、遊弥と紅葉もあともう少しのところまで来ていた。問題は花奈だった。点数は比較的悪くはないのだが基本の問題で何問か落とし、点数配分の高い応用問題が原因で上手く得点に繋げられていないのだ。
まさか自分が最下位だとは思わず、目にうっすらと涙を浮かべたあと、すぐに5人のもとから離れてしまった。
「花奈!どこ行くんだよ〜?!」
急いで遊弥があとを追った。


(私は世界を守らなければならないのに…このままではっ…!)
花奈はベランダにいた。誰にも今の自分を見せたくなかったのだ。そこに息が上がりながらも遊弥が来た。
「はぁ…はぁ…お前…意外と足速いな…」
「……グスン…何の用ですか?探してくれなどとは言ってませんわ。」
意地を張っても、泣いていることくらい、震えた肩を見ればすぐに分かるのに…なんでかなぁ。
「あのさ…花奈。お前って、意地っ張りっていうか…負けず嫌いっていうか…なんだろ、完璧を求めすぎってヤツ?」
完璧を求めすぎ、確かに彼女は初等部ナンバーワンデュエリストであり、自分は常に一番でいなければならないとどこかで強く思っていた。だが女の子には非常に神経質な子がいるので、核心を突かれると怒ってしまうことがある。花奈もその一人だ。
「っ…!あなたに何が分かるんですか?!」
「…分かる。今のお前は、完璧であることに囚われてるんだ。別にさ…完璧じゃなくてもさ、楽しめたらそれでいいんじゃないか?」
「駄目です!駄目なんです!私が皆さんの足を引っ張ってるからっ…ヒッグ…私が…もっとしっかりしなくてはっ…グスン…」
ホントに面倒なお嬢様だな、こいつは。っていうかさ…。
トドメと言わんばかりに、遊弥が言った。
「あのさ…お前って一応、皆からみたら後輩なんだぜ。自分だけで引っ張ろうとしないで、もっと仲間を信じろよ。それに俺だって、お前のこと尊敬してるんだぜ?」
「…私を、ですか?」
「ああ。お前と同じ頃の俺なんか、初等部のトップどころか底辺近くだったんだぜ?絶対努力したんだろうなって思うんだ。でなきゃ、俺とか精一さん達に勝てるわけないよ。」
初めて自分の実力でなく、努力という裏の部分を見てくれた。花奈はその事に涙を流した。
が、当の遊弥はうっかり年下の女の子を泣かせてしまったという部分が強かったのか、慌てながらも謝罪しようとした。
「あっ…いや、その…え〜っと…とにかく、要するに俺が言いたかったのは、もっと俺たちを信用してくれってこと!以上!」
「ふふっ…遊弥さんって、不器用なんですね。でもそういうの、嫌いじゃありませんわよ♪ だから紅葉さんも…」
どうにか泣き止んでくれたので遊弥は胸をなでおろした。最後に紅葉がどうとか聞こえたが、下手に聞こうとはしなかった。
「ありがとうございました、遊弥さん。お詫びといってはなんですが…受け取ってください♪ では。」
花奈から渡された封筒の中に入っていたのは、1枚のエクシーズモンスター、「リトルスター・ドラゴン」だった。あとは1通のメッセージがあった。

[遊弥さん。このカードが、あなたのデュエルをより進化させるでしょう。近いうちに役に立つかもしれませんので、早めに入れておいてください。 by花奈]
…ありがとう、花奈。大切使わせてもらうよ。



あの日から5日後、試験前日に俺たちはもう一度過去問を解いた。その結果は…
遊弥:92点、紅葉:91点、凛:95点、命慈:98点、精一:100点、花奈:93点
見事、6人全員が合格点を突破し、これで万全の状態になった。これで後は本番だけだ。
果たして、一人も欠けずに筆記試験に合格することは出来るのだろうか…。


次回予告(ver.花奈)
いよいよ明日は本番ですわ。自分が持っている全てを出し切れば、不可能などありません。皆さん、一緒に頑張りましょう!あと…もう一度遊弥さんにはお礼を言わなければ…

次回 Episode18:関門



※ちょっと今回タイトル詐欺だったかもしれません。

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ター坊
遊弥くん、今度は小学生に浮気かい?紅葉に続き花奈ちゃんにもフラグを建てる主人公。やっぱり主人公はこうでなくっちゃ!(私のSSでも現在はバリバリの恋愛編です) (2015-09-06 21:48)

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