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HOME > 遊戯王SS一覧 > 最終幕 誰が為に戦うのか

最終幕 誰が為に戦うのか 作:名無しのゴーレム



「……和希!! とっとと起きろ!」
「わ、わぁ!? 義暁、いきなり叫ばないでよ~!」
「何言ってんだ。早くしないと遅刻だぞ?」
「へ? ……あ、そうだった。今日試験だったっけ。」
「正解だ。さあ、さっさと顔洗って着替えろ。二次試験に遅刻して入学出来ませんでしたなんて、彩葉ちゃんが悲しむぞ。」
「分かってるよ~! 朝ご飯は?」
「車の中で食えるようなやつにしといた。準備が終わったら俺の車に乗れ。港まで送ってやる。」
「ホント!? 義暁ありがとう!!」
「礼はいいから早くしろ。間に合わなくなるぞ。」
「は~い!!」



ブーン……



ムシャムシャ……


「……本当に、よく食うよな。誰に似たんだか。」
「義暁に似たんでしょ。」
「……それもそうか。忘れ物はないな?」
「もちろん! 受験票に、地図に、……それにデッキ!」
「……まぁ、最悪それさえあればなんとかなるだろう。昨日も遅くまでデッキ調整してたのか?」
「うん。結局ほとんど変わってないけどね。」
「……大丈夫だよ。お前の両親が託したそのデッキを、俺の指導を受けたお前が使うんだ。必ず上手く行く。」
「そう……だよね。……あ、電話だ。もしもし? ああ、彩葉じゃん。どうしたの? 今? 義暁の車で港に向かってるけど……うん、分かった。」


和希が携帯を操作する。


『……えーと、義暁さん、聞こえていますか?』
「ん、彩葉ちゃんか? どうした?」
『港まであとどれくらいですか?』
「……んーと、あと10分てところかな。」
『テレビで見ましたが、その辺りで事故があったそうで……大丈夫ですか?』
「マジで!? ……本当だ、前で渋滞起きてる。」
『……間に合いそうですか?』
「……キツいな。どうしたもんか……」
『心配ないですよ。多分そろそろ……』
「ねえ義暁、あれって拓人さんじゃない?」
「何? ……うわ。」


外には、猛烈な勢いで自転車を漕ぐ拓人の姿があった。


「うおぉぉぉ!! ……フゥ、ようやく見つけたぞ。」
「た、拓人さん……すごい汗だけど。」
「そりゃそうだ。家から漕いできたんだからな。」
「嘘だろ!? どうしてそんなことを……」
「決まってんだろ。事故があったって聞いたから、どうせこんなことになってるだろうと思ったんだよ。和希ちゃん、後ろに乗りな。車じゃ間に合わない、俺が港まで送ってやる。」
「で、でも……」
「……行け。大丈夫だ、お前なら出来る!」
「……うん! 行ってきます!」
「ああ、行ってこい!」



渋滞が解消され、俺が港に着くころには船は既に出港していた。



「……はぁ、行っちまったか。」
「残念だったな、義暁。まあ、和希ちゃんはやる気満々だったし、きっと大丈夫さ。」
「……だといいんだが。知ってるだろ? あいつ、筆記は一番下の成績で通過したんだぞ?」
「そうだったな。だったら二次試験の実技は頑張らないとな。」
「……大丈夫かねぇ?」
「あんたが信じなくてどうするのよ!」
「うわ! ……渚か。いきなり大声を出すなよ。」
「そりゃ大声も出すわよ! 必死に努力してきた自分の子供も信じられないなんて、それでも親なの!?」
「……悪い。渚の言う通りだな。」
「……まあ、よっしーの気持ちも分からなくはないわよ。たっくんだって3年前に同じようなこと言ってたし。」
「……そうだったか?」
「そうだった。それでもって彩葉ちゃんが合格だったって言うと、死ぬほど喜んでたじゃない。」
「……覚えてないな。」
「別にいいけどね。彩葉ちゃんはもう高等部行きは決まってるのよね?」
「ああ。中等部からエスカレーター式でな。だから今回の試験も会場で見れるんだと。」
「へぇ~、なら和希のデュエルも生で見れる訳か。出来れば中継して欲しいもんだが。」
「結果は本人から聞きな。明日には帰ってくるんだ、楽しみにしとけよ。」
「何が楽しみだか。今日は眠れそうにねぇや。」
「ハッ、すごい親バカになったもんだなあ?」
「お前には負けるさ、拓人。」


「……それにしても、まさか2人ともプロデュエリストの登竜門、デュエルアカデミアに行くなんてね~。やっぱり2人からしたら嬉しいものなの?」
「どうだろうな。別にデュエルアカデミアに入学したからって全員がプロデュエリストになるわけでもないし。……でもまあ、彩葉がデュエルのことを好きだってだけで、嬉しいことではあるな。」
「さすがは『現』世界チャンピオンだな。言うことが違う。」
「……義暁。和希ちゃんがデュエルアカデミアに入ったら、本格的にプロに復帰するんだろう? 俺はお前のおこぼれのチャンピオンなんかじゃない、本物になりたいんだよ。」
「……すまない。まだ完全に復帰出来そうには無いんだ。」
「……それはまた、どうして。お前も知っているはずだ。俺がどれだけお前との再戦を心待ちにしているのか。」
「これだよ、俺が復帰出来ない理由は。」


俺は拓人に、あるメールを見せた。


「ん? 佐久間さんからか。……なっ!?」
「『近頃、奴らのものとおぼしき兆候を発見した。出来るのならば調査に協力してほしい。』だとさ。見過ごすわけにもいかない、しばらくは佐久間と調査を行うつもりだ。」
「……ねぇ、和希ちゃんは大丈夫なの? デュエルアカデミアは全寮制、よっしーの近くには置いとけないわよ?」
「心配ない。あそこの校長は『その辺りのこと』にも精通している。事前に話も通してあるから、きっと注意を払ってくれるはずだ。」
「ならいいんだけど……」
「……和希ちゃんには何も言ってないのか?」
「……ああ。あいつがデュエルアカデミアを卒業したら、すべて話すつもりだ。」


自分の両親の本当の死因、自分が異世界の敵に狙われていること……今のあいつに話すには、この話はキツすぎる。


「そうか。じゃあ、俺はすべて終わるまでプロを続けてるさ。必ず戻って来いよ。」
「当たり前だろ? それまでチャンピオンの座は守っとけ。」
「まあ頑張るさ。……正直さ、お前には憧れるよ。」
「ん? そりゃどうしてだ?」
「お前は和希ちゃんの為にすべてを費やした。チャンピオンの座も、危険な橋だって何度も渡って……俺には出来ないよ。」
「……ハ。そんなに大したことじゃないさ。別に俺は、何も和希の為に費やしたつもりも無いしな。」
「……? どういう意味だ?」
「簡単な話だ。俺は俺のしたいことをしてるだけだ。なら、何も辛いことは無いだろう?」
「……なんだ、よっしーも立派に保護者出来てるじゃない。」
「そうかねぇ? あんまりそんな気はしないが。」



――和希、試験、絶対受かれよ。そしてお前はデュエルアカデミアでいろんなものを見て、知って、経験するんだ。そうしてお前は自分の夢に、現実に立ち向かう強さを持つんだ。それまでは俺が、俺たちが守ってやる。



「……さて、始めるか。」
「始めるって、何を?」
「決まってんだろ。」






「他の誰でもない、俺の為の闘いだ。」
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