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HOME > 遊戯王SS一覧 > 神楽坂姉妹とアルフレッド

神楽坂姉妹とアルフレッド 作:はにわ改

 
「ーー『ガブリエル』か・・・お姉さまったら、相手の心を折りにいく作戦かしら」

ーー再び、観客席。

刹那のガブリエルを召喚した様をサングラスを下にずらして目にしながら、久遠は呟いた。

「いや、2体目の『四大天使』を出させただけでも、大したもんだよ、透矢は。
ーーまぁ、でも状勢はやっぱり辛いね」

「遊戦名くんの場にはリバース・カードがない・・・。
あの『アリアス』が最後の生命線、というわけですね」

久遠に続いて炎魅子、地影が口を開く。
二人もはっきりとは口にはしないが、やはり形勢は刹那乗りである。

「彼が炎魅子たちアカデミア四天王を倒した・・・えっとーー」

「透矢だよ」

日本に戻ったばかりの久遠は刹那から少し聞いていただけで、透矢の事はまだ認知していない。
名前が出てこず、咄嗟に炎魅子がフォローする。

「ああ、そうそう、透矢・・・くん?
実際、炎魅子たちはデュエルしてみてどうだったの?」

「そうだねぇ・・・センスとか、構築力は度外視しても、それを補ってあまりある『引き』がウリかな 」

「もう、炎魅子さん!
それじゃ遊戦名くんがただの引き運頼みのデュエリストに聞こえますよ?」

「そんなつもりで言ったんじゃないよ。
ま、負けたあたしが言うのもなんだけど、将来性は期待できるんじゃないか?
何より『熱い』しな!」

「そうですね。
デュエルには関係ないかもしれませんが、友達を大事にするあの性格は、なんていうか好印象、です」

「かははっ!
なぁに照れてんだよ、地影!
好きなら好き、ってはっきり言っちまえよ!」

「す、好きと好印象は別物です!」

「ふぅん・・・」

久遠が聞く炎魅子や地影から見た透矢の印象。
それは概ね好評価。
透矢と炎魅子たちが出会ってまだまだ間もないという話であり、それでそんな印象を持っているということに、久遠は少し意外そうな面持ちである。

「まぁ、どうあれ今、刹那お姉さまと戦ってるわけだし・・・。
でも、彼、レッドの制服着てるけどーー」

「それはその・・・デュエルの成績はいいんですけど・・・、筆記の方が冴えない、というかーー」

「実戦タイプ、か・・・」

久遠の疑問に、地影が何故か困ったように笑いつつオブラートに包んだような物言いで対する。
久遠も察したか、以前、炎魅子が口にしたのと同じ感想を漏らした。

「まぁ、でも今のデュエルの状勢は、風前の灯火、といったところね」

「ま、刹那が相手だからさ・・・なんて言いたくはないけどね」

「心情的には、勝てないまでも・・・食らいついてほしいです」

「(ふぅん・・・炎魅子と地影がここまで入れ込むデュエリスト・・・か)」

刹那の実力をよく知るはずの二人が劣勢の彼を見て、こんな言い方をするーー。
あの透矢という男にそう言わせるような素質が秘められているのか、あるいは単に見込み違いか。
久遠は首を傾げていた。

「このまま終わらないよ、透矢は」

「え?」

「お姉ちゃん・・・」

そこへ口を開いたのは、真希。
デュエル場の方を真剣な眼差しで見据えたまま、はっきりとそう言い切った。
久遠が不意をつかれたような表情を見せ、千鶴が真希を見る。

「このまま終わったりなんかしない、透矢は」

そしてもう一度繰り返す。
その言葉の根拠とはーー。

「あたしの・・・頼れる自慢の幼馴染み、だからね」

久遠に強気な笑みを見せながら、そう告げた真希。
聞いただけでは何の根拠もないその言葉には、不思議な説得力が備わっていた。
そしてそれを見た炎魅子、地影が一度顔を見合わせると、小さく笑顔を見せてから、一つ頷く。

「そうだよねぇ、このまま終わったりなんかしないよね」

「はい・・・遊戦名くんなら、きっと刹那さんにもーー」

「ワンチャン、ある・・・」

炎魅子、地影、そして久遠に抱えられている水花までもが続いた。
今でこそ国を隔てて別れてはいるが、それまでは共にデュエリストして仲を育んだ『四天王』。
その彼女たちが言うのだ。
あの刹那に対抗出来る、と。

ここに来て、未だ半信半疑ではあるが、久遠の瞳に真剣さが宿った。

ならば見届けてやる、と。
本当に『選ばれる』に相応しいデュエリストなのかどうかを。

「ーーそれにしても、『T・Fモンスター』の使い手、なんて。
これはライバル登場、かもね?フレッド」

と、ここまで話して久遠が『連れ』に話を振る。
フレッドことアルフレッドという名の、久遠が留学しているワシントン・アカデミアの生徒。
横並びに座る久遠の後ろの席に着いた彼は今までの話を聞いていたのだろうか。
久遠の質問にも無言。

ただ最初は刹那を真っ直ぐ見つめていたが、今は透矢の方へ視線が動いている。

アルフレッドについては、炎魅子と地影、水花は去年の『大会』で知った仲であるが、
真希や千鶴は初めての顔合わせ。

炎魅子と久遠の説明によると、彼はワシントン・アカデミアに於いて久遠と並ぶ屈指の実力者であるという。
そしてそんな彼と透矢の共通点、それが『T・Fモンスター』を操るということ。

「ねえ、フレッド?
もし彼がお姉さまに勝ったら・・・どうする?」

「・・・さぁな」

「お姉さまも、彼に相当入れ込んでいるみたいだけど・・・気にならないの?」

「・・・」

久遠の含んだような表情から繰り出される問いかけ。
アルフレッドは敢えてそうしているのか、久遠と視線を合わせない。

「なんだい、アルフレッド!
まだ刹那の尻、追っかけてたのか?」

「ちょ、ちょっと、炎魅子さん・・・」

すると炎魅子が席を立つと、アルフレッドの隣に座り肩に手を掛けながら馴れた口調で話しかける。
炎魅子もそうだが、『事情を知る』地影はアルフレッドを気遣ってか炎魅子を制止するような声を上げた。

「ははは、俺は1度、振られているからな」

今まで強張った真顔を見せていたアルフレッドだが、ここで甘いマスクがはにかんだ。

「でもさ、刹那とは離ればなれなわけじゃん?
それに比べて近くにいる久遠とは、どうなのさ」

「ふふ、相変わらずだね、炎魅子は。
そういう風にストレートに話してくれると、むしろこっちも話しやすいよ」

「もう、炎魅子さんたら・・・」

遠慮なしの炎魅子に地影は頭を抱える。
ただアルフレッド自身、その言葉通り嫌悪みたいなものは、微塵にも感じていないようだ。

「それがね、炎魅子?
もう一年半も一緒にいるのに、からっきし、てんでなしのつぶて?って言うのかしら。
どうしてもお姉さまじゃなきゃ、駄目なんだって」

「へぇ、見た目に似合わず一途なとこあるじゃないか!」

「もう、炎魅子さん!」

つん、とふてくされたような久遠の言葉に、馴れ馴れしくアルフレッドの肩を叩く炎魅子。
目に余る光景に地影が身を乗り出して非難の声を上げる。

「あ、でもさ。
アルフレッドには悪いけど、刹那はもう売却済みかもね」

「売却済み?」

アルフレッドが聞きなれない日本語に反応して、聞き返す。

「ああ、聞いてくれよ。
あの刹那がさ、この間透矢とさ、でー・・・」

と、そこまで言い掛けた時。
炎魅子の頭上に雷のような勢いで地影のげんこつが振り下ろされた。
周囲に爽快な音が鳴り響いた。

「痛ったーーっ!!
何すんのさ、地影!」

「もう、馬鹿炎魅子!・・・さんっ。
デリカシー無さすぎです!」

「な、何さ、デリカシーって。
あたしはただ刹那と透矢がでー・・・」

「まだ言うかーーっ!」

「ぐえぇっ!?
く、首を締めるのは、は、反則・・・っ!」

炎魅子と小競り合いを始めてしまう地影。
そんな二人を見て久遠はおかしそうに笑い、アルフレッドも自然と笑みを溢していた。
すると荒れた雰囲気の中、まだアルフレッドとまともに言葉を交わしてもいない真希が、彼の姿を不思議そうに見ていた。

「(なんで、かな・・・?
どことなく、似てる感じがするのは・・・)」

アルフレッドを一瞥して、今度はデュエル場の透矢の方を見る。
真希が感じた不思議な感覚。
それは感じた本人も正体が掴めずにいた。
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