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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第9話 戦士達の攻防

第9話 戦士達の攻防 作:氷色

《M・HERO 烈火》のマスクが輝き出した。
輝きはやがて全身へと広がっていく。

そしてそれが爆ぜるような閃光となった時、そこから現れ出たのは《烈火》とは違うHEROの姿だった。



《M・HERO 剛火》
融合・効果モンスター
星6/炎属性/戦士族/攻2200/守1800
このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
このカードの攻撃力は、自分の墓地の「HERO」と名のついたモンスターの数×100ポイントアップする。


新たに現れた《M・HERO 剛火》は、細身だった《烈火》に比べると幾分逞しい姿。同じ赤を基調としたスーツもより戦闘的になり、燃え立つ炎を彷彿とさせるようなデザインだ。
そして何よりその全身からたぎるような熱いオーラが噴出しているのが、その力強さを象徴している。

「《M・HERO 剛火》は、墓地の「HERO」モンスター1体につき攻撃力を100ポイントアップする!よってその攻撃力は2300だ!」


剛火/攻2200→2300


《剛火》のモンスター効果は墓地の「HERO」モンスターの数×100ポイントの攻撃力アップを可能にする永続効果。
今、遊緋の墓地には「HERO」モンスターは《M・HERO 烈火》1体のため、《剛火》の攻撃力は100ポイントアップの2300となる。上昇値としては微々たるものだが、塵も積もれば山となるし、この100ポイントの差がデュエルの勝敗を左右することもある。

「素材1体で融合モンスターを出すだとぉ……!?チィ、《コンボマスター》の攻撃はキャンセルだ!」

一度攻撃宣言を行った後、フィールドのモンスター数に増減があった場合、攻撃をキャンセルすることができる。攻撃モンスターである《コンボマスター》の攻撃力を《剛火》のそれが上回ったので、龍のその判断は致し方ないだろう。

「俺のターンは終了だ」

そのままターンを終了する龍。

そんな龍に遊緋は心中で首を傾げる。
なんだかあまりにもあっさりした闘い方に過ぎる気がする。実力がその程度しかないと言うのならばそうなのかもしれないが、心理攻撃をしつこい程に仕掛けてきたわりにデュエルではその執念のようなものが感じられないのがどうにも気になる。何か別の策を企んでいるのかもしれない。


龍/LP4000・手札4
モンスター
コンボマスター/攻2200


遊緋/LP4000・手札4
モンスター
剛火/攻2300
魔法・罠
セットカード×1


とは言え、まだ様子見なのはお互い様だ。


ーーーこの辺でちょっとギアを入れてみるか。


遊緋はカードをドローする。

「ボクのターン、ドロー」

遊緋は引いたカードを確認すると、そのまま手札に加える。
そしてそれ以上手札には触らず、デュエルディスクを操作した。

「ボクはまず《M・HERO 剛火》が得た効果を発動する!」

「《剛火》が“得た”効果だと?」

「ああ!《マスク・チェンジ》によって《剛火》へと変身したけど、《烈火》にはフィールドを離れた時に発動するもう一つの効果があったのさ。その効果により、今の《剛火》は1ターンに1度デッキから「チェンジ」速攻魔法をサーチすることができるんだ!」

「なんだと……!?」

M・HEROデッキにおいて「チェンジ」速攻魔法はその力を発揮するためのキーカードだ。当然それを如何に手札に加えるかが重要となってくる。これらのサーチこそデッキの最重要効果なのだ。

「なるほど、下級M・HEROはエンチャンターというわけね」

紅羽には遊緋のデッキの構造が大体読めてきた。
下級M・HEROは変身することによって、変身後の上級M・HEROに新たな効果を付与させる効果を持っているのだろう。
《マスク・チェンジ》自体には変身元の指定は「HERO」モンスターとしてしか定められてはいない。ということは、上級M・HEROには下級M・HERO以外のHEROモンスターも変身
すること自体は可能なのだ。
しかし下級M・HEROは変身することで、上級M・HEROの元々持っている効果に更に効果を上乗せすることができる。それが他のHEROにはないM・HEROだけの利点なのだ。

「M・HEROから変身することで、融合M・HEROの隠されていた力が解放されるんですよ。カッコいいですよね」

遊緋は目をキラキラさせてデッキからサーチしたカードを引き抜く。

「まぁこの効果使うと通常召喚ができなくなっちゃうんですけどね。ボクはデッキから《フォーム・チェンジ》を加えます。さぁ、バトルです!」

遊緋の言葉に呼応して《剛火》はジャンプ一番飛び上がる。

「行くよ!《剛火》で《コンボマスター》に攻撃ッ!“スパイラル・フレイム”!!」

宙に浮かんだ《剛火》が両手を突き出すと、螺旋状に炎が照射された。その炎は意思を持ったように《コンボマスター》に襲い掛かる。


剛火/攻2300○
 ↓
コンボマスター/攻2200×


《コンボマスター》は素早いジャブを繰り出し炎を払おうと試みるが、攻撃力は《剛火》の方が上だ。敢えなく炎に飲み込まれ、断末魔と共に焼き尽くされてしまった。


龍/LP4000→3900


「くっ……」

《剛火》の発した炎の熱に炙られて龍が顔をしかめる。

しかしーーー

「まだ終わりじゃないよ」

遊緋が追撃の手を切る。

「更に手札から速攻魔法《フォーム・チェンジ》を発動!」



《フォーム・チェンジ》
速攻魔法
(1):自分フィールドの「HERO」融合モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをエクストラデッキへ戻し、そのモンスターの元々のレベルと同じレベルでカード名が異なる
「M・HERO」モンスター1体を、「マスク・チェンジ」による特殊召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。



「《フォーム・チェンジ》は、融合HEROを同じレベルの別の融合M・HEROに更に変身させる!」

「なんだとッ!?」

《剛火》の全身が輝く。と同時に今まで《剛火》が身に纏っていたマスクやスーツが弾け飛ぶようにして外れる。
そして光の中から新たなM・HEROが現れた。

「変身召喚!現れろ、黒き法の番人!!レベル6、《M・HERO ダーク・ロウ》!!」

黒いオーラを纏って現れたのは、今までとは異質なHEROだった。
全身を包むスーツは黒く、マスクはまるで獣のように獰猛なフォルム。正義のヒーローというより、闇の力を纏ったダークヒーローといった雰囲気だ。



《M・HERO ダーク・ロウ》
融合・効果モンスター
星6/闇属性/戦士族/攻2400/守1800
このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手の墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される。
(2):1ターンに1度、相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた場合に発動できる。相手の手札をランダムに1枚選んで除外する。



「ダークヒーローもカッコいいね」

「くっ……」

あくまで能天気な遊緋にいい加減頭にくる。
しかし龍に対抗手段はない。

「さぁ、行け《ダーク・ロウ》!邪魔者はいない、ダイレクトアタックだ!!」

バトルフェイズ中に攻撃表示で特殊召喚されたモンスターにも攻撃権はある。相手フィールドにモンスターがいなければ、相手プレイヤーに直接攻撃が可能だ。

《ダーク・ロウ》がその凶暴なる爪を振り上げた。

「“ダークネス・ジャッジメント”!!」

そしてそのまま龍を袈裟斬りに切り裂いた。

「ぐああああッ!!」


龍/LP3900→1500


龍が大袈裟に喚いてその場に崩れ落ちる。
そのあまりに真に迫った演技にさしもの遊緋も少し心配になった。

「大丈夫ですかーーー」

「ーーー遊緋くん!」

歩み寄ろうとした遊緋を、紅羽が呼び止める。
紅羽に振り返った遊緋の顔にはクエスションマーク。

その一瞬の間に、龍は立ち上がっていた。
しかしその顔は青ざめている。


ーーーなんだ?


何かがおかしい。
このバトルで遊緋は完全に優勢となった。こう言ってはなんだが、龍のデュエリストとしての実力は遊緋に遠く及ばない。このまま続ければ普通に遊緋は勝てるはずだ。

しかし何かまだD・ゲームとデュエルモンスターズで異なる未知の何かがあるような気がする。
それが何かは分からないが、このデュエルの勝敗を左右するものでなければいいのだが。

何か腑に落ちない表情の遊緋に気付いたのか、龍が笑う。
しかしその笑みにも先程までの力はない。

「ククク、そうかまだ知らないんだったな」

「知らない?」

「ああ、そうさ。お前はまだ分かっちゃいないんだよ、このD・ゲームの本当の恐ろしさってやつを」

「どういうこと?」

いつになく遊緋が会話に食いつきを見せる。しかし、龍はそれ以上話を続ける気はなさそうだ。

「すぐに分かるさ」

そう言ってにやりと笑った。

一抹の不安は残るが、ここはデュエルを続けるしかない。

「ボクはこれでターンエンド」


遊緋/LP4000・手札5
モンスター
ダーク・ロウ/攻2400
魔法・罠
セットカード×1


龍/LP1500・手札4
モンスター
なし


「俺のターン、ドロー」

龍がカードを引く。
その仕草は徐々に元の力を取り戻してきている。

龍は笑う。
そんなに良いカードを引いたのだろうか。

「D・ゲームで初のデュエル……ここまでは楽しくプレイできたか?だがサービスタイムは終わりだ。ここからは俺の時間だぜ」

まるで今までは手加減していたとでも言わんばかりの言葉。
そんな見え見えの威嚇に臆する遊緋ではないが、それでも警戒はしなくてはならない。

龍がデュエルディスクにカードを挿入する。

「まずはこいつだ、《モンク・ファイター》を召喚!」

現れたのは、銀色の髪をした痩身の空手家のようなモンスターだった。



《モンク・ファイター》
効果モンスター
星3/地属性/岩石族/攻1300/守1000
このカードが戦闘を行う事によって受けるコントローラーの戦闘ダメージは0になる。



攻撃力は《ダーク・ロウ》に遠く及ばない1300。このモンスターで逆転を狙う気なのか。

「パワーアップはお前の専売特許じゃないぜ。俺は《モンク・ファイター》をリリースし手札からこのモンスターを特殊召喚だ!」

龍が更にモンスターカードを挿入すると、《コンボファイター》の時と同じく《モンク・ファイター》がリリースされ、それが成長したような姿のモンスターが現れた。



《マスターモンク》
効果モンスター
星5/地属性/岩石族/攻1900/守1000
このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上に存在する「モンク・ファイター」1体を生け贄に捧げた場合のみ特殊召喚する事ができる。
このカードは1ターンに2回攻撃をする事ができる。



銀色の髪や髭が伸び、鍛え抜かれた身体はまるで鋼のようだ。厳しい修行を耐え抜いたのだろう、その姿には風格すら漂う。

だがその攻撃力は1900。まだ《ダーク・ロウ》の攻撃力には及ばない。

「更に俺は装備魔法《怒りのドラゴンパンチ》を発動!《マスターモンク》に装備させる!」



《怒りのドラゴンパンチ》(オリジナル)
装備魔法
(1):装備モンスターの攻撃力は500ポイントアップする。
(2):装備モンスターが相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。自分の墓地からレベル5以下のモンスター1体を手札に加える。



《マスターモンク》の拳に竜の形のオーラがまとわりつく。それに伴って《マスターモンク》から放たれる威圧感も大きくなった気がする。


マスターモンク/攻1900→2400


これにより《マスターモンク》の攻撃力は《ダーク・ロウ》に並んだ。

「装備魔法で攻撃力強化か。だけどそれでもまだ《ダーク・ロウ》と並んだだけ。それじゃあ相討ちだよ?」

攻撃力の同じモンスター同士がバトルすると、ダメージはなしでお互いのモンスターが破壊される。
龍がこのモンスターを作り出すのに消費したカードは3枚。これで相討ちなら手札2枚分の損失となる。それではあまりにもマイナスの大きい駆け引きになってしまう。

「そいつはどうかな!?バトルだ!!行け《マスターモンク》!《ダーク・ロウ》に攻撃!!」

「えっ!?」

構わず龍は《マスターモンク》に攻撃指令を出す。
《マスターモンク》が大きく拳を振りかぶり《ダーク・ロウ》に突進する。

「くっ、迎撃だ《ダーク・ロウ》!」

それに呼応して《ダーク・ロウ》も構えから得意の爪を繰り出した。
両者の攻撃が激突し、激しいスパークが起きる。
普通ならこの攻撃は両者ノックダウンとなるはずだ。


マスターモンク/攻2400△
 ↓
ダーク・ロウ/攻2400△


普通ならーーー。

しかしその予想に反して、吹っ飛ばされたのは《ダーク・ロウ》だった。

「な、なんでーーー!?」

吹っ飛ばされた《ダーク・ロウ》が地面に叩きつけられる。
その胸にはくっきりと竜の顔形にひびが入っていた。《ダーク・ロウ》は苦悶の声だけを残して消滅する。

このデュエル中、初めて遊緋の顔に困惑が浮かぶ。
《マスターモンク》にもその装備魔法《怒りのドラゴンパンチ》にも、こんな現象を引き起こす要因はない。また龍がそれ以外のカードを発動した様子もない。

しかし龍にとってこれが予想外の現象ではないことは、彼の表情からも分かった。
龍ははっきりと嗤っていた。

「い、一体何が起こったんだ……?」

遊緋にはこれが何を意味するのか、全く理解できない。
分かることは、この無知がこのデュエルを決するに足る致命的な差であるということだけだった。
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カズ
ここまですんなりと事が運びすぎたのも、全て龍さんの計算の内だった...だと?!
普通なら相討ちになるはずのバトルでしたが、D・ゲームならではのルールでもあるのでしょうか?謎がまた1つ増えましたが、次回も楽しみです。
(2017-02-17 14:11)
氷色
〉カズさん
龍が狡猾というより遊緋がまだD・ゲームの闘い方を知らないんですよね。
D・ゲームのデュエルはある要素によって普通のデュエルとは違うのです。ヒントはデュエルリンクスです。 (2017-02-17 14:49)

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