カサンドラのデーモン ラプラス

黒壱(クロイツ)
「ちと強すぎるかもです。
とりあえずみんな、デッキトップに絶望神（笑）さんを乗せよう。


※

「君たちに、私の友人を紹介しておこうか。是非仲良くしてくれたまえよ」
ヘレノスの影から、ぬうっと無色の怪物が体を起こした。
「ひっ……」
アヤメが息を飲む。
それは虚無そのものだった。蠢く透明な体は夜の闇をそのまま透かし、風景を歪めている。その中にぼうっと揺らめくふたつの灯火が、ノエルとアヤメを見下ろしていた。
「ラプラスという。世界の運命を知る魔物、と『人に定義された』存在だ」
「どういう、こと……？」
歯を食い縛りながら、ノエルが尋ねる。全身に食い込んだ紙片が、鋼の杭のように少女の身体を樹に縫い付けている。何とか引き抜こうとするも、関節や腱の隙間を狙って固定されているせいで、力を入れることができない。
「ラプラスは人間の想念、幻想から生まれたのさ。『この世界を構成する全てを知るものは、この世界の運命すら知ることができる』……屁理屈の類だがね。『そうである』と多くの人間が認識することで、彼は悪魔としての形を得た。まぁご覧の通りーー」
説明しながら無形の影を指し示す。
「この世界に顕現するには、ちょっと概念の規模が大き過ぎてね。こんな影みたいな形でしか出て来れないわけだけども」
「そいつが、あんたらの作りたかったものなの？」
ノエルの問いに、ヘレノスは笑って首を振る。
「彼は私が進めている研究の、言わば余禄みたいなものさ。便利ではあるけどね。本来の研究目的は別にある。『世界線を収束させる』それが私たちに与えられた命題さ」
言いながら、ヘレノスは血塗れで荒い息を吐くアヤメの元に近付く。
「待て、何する気だ！？」
「鋼牙忍者の魂は、長い転生によって限りない経験を重ねていると聞く。ラプラスの器としてその身体を、餌としてその魂を頂いて行こうと思ってね」
ノエルは愕然とし、だがすぐに気をとり直して身体を杭から引き抜きにかかる。傷口に体重をかけることになるため肉が裂ける感触があるが、絶鳴騎士は痛みをほとんど感じない。
それでも吹き出す血潮で、地面に黒い水溜りが出来ていく。
「わ、私が」アヤメが苦痛に喘ぎながらヘレノスを見上げる。「私が投降すれば、ノエルちゃんや、他のみんなも、助けて、くれますか？」
「アヤメ！？」
「ああ、約束しようか？ こちらからは決して手を出さない。君がこちらにいる限りね」
「アヤメ、耳を貸さないで！ こいつらに約束を守るなんて気は無い！」
ノエルの叫びに、アヤメは弱弱しく首を振る。
「この人は嘘をついてないよ。それに、この身体じゃ逃げられない。だから、交渉で少しでもみんなを守らなきゃ」
「だからと言って！」
「お願い、ノエルちゃん。お姉ちゃんには、ごめんねって、伝えて欲しいな」
「やめろおぉっ！？」
「ではお嬢様、我が城にご案内しましょう」
ヘレノスが芝居がかった礼をする。
どぼん、とアヤメの姿がラプラスの中に沈み、消えた。最後に、アヤメとノエルの目が合う。ノエルの喉から押し殺し切れない悲鳴が漏れた。
「約束だから、君らには手を出さないでおくよ。ーーまぁ、我々の目的を阻もうとするなら話は別だけどね」
「ヘレノス、僕はお前を許さない！」
ノエルの血を吐くような叫びに、ヘレノスは穏やかに笑った。
「『言うだけなら何とでも言える』、だよ。ーーでは、また会おう。君たちとは再び相見えることになると、予言が告げている」

潮が引くように、速やかな撤退が行われた。悪魔たちが煙めいて消えた後には、死屍累々たる有様が広がっていた。
ノエルはようやく足一本を紙片の杭から引き抜くことに成功した。幹に足掛け踏ん張ると、全身を一息に引き剥がす。裂けて地に落ちた左腕を抱え込み、ノエルは痛みではなく失意に膝をついた。
「何も出来なかった……この僕が！ アヤメ、ごめん……」
涙も流せぬ身が辛く、しかし今はそれが最後の支えだ。しばらくしてから、ずるずると身体を引き摺り周囲の生存者をまとめにかかった。

」(2015-10-05 08:39)

夏将軍
「トリシューラnkrsも大概だけどこれもおかしい…おかしい？
１…戦闘破壊耐性は勿論、リリース封じは帝相手だと頼れる耐性になります。デメリットじゃない（極論）
２…対象を取らないデッキバウンスが裏側除外の次に怖いんだって！再利用？知らn
３…デメリットがない。外したときの方がいいような気がして
４…１から３の効果と見劣りしますが、デッキトップ操作としてはなかなかの性能。３枚ですから。効率としては一番いいですが、狙おうとすると事故が怖くなるのでどうでしょう。
毎ターンアドを稼げるのに出しやすいレベル８。餌は用意しやすいのでさっさと出したいですね」(2015-10-05 10:41)

黒壱（クロイツ）
「夏将軍さん＞
デッキトップに乗せても再利用されちゃう云々は、ライザーが出た時に散々言われたみたいですね。
③はデメリットつけた方が良かったかなぁ。まぁいっか！」(2015-10-05 11:34)

名無しのゴーレム
「なるほど、「ラプラスの悪魔」が現実に出てきてしまったというわけですか。予知をテーマとするこのカテゴリにはうってつけですね。手痛い敗北を受けた連合軍がどう立ち向かっていくかも楽しみです。
③ヤバイ。毎ターンドロー出来るよ！救いは効果で破壊しても即座にひどい目にはあわないところか…」(2015-10-05 18:21)

黒壱（クロイツ）
「③はドローを選ぶか攻撃力を選ぶか、という感じですね。守備にしてひたすらドローエンジンにするのもアリ。
次も儀式モンスターの予定。カサンドラのターンはもうちょっとだけ続くんじゃ。」(2015-10-05 20:13)