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第2話「竜ヶ峰遊牙」 作:吉田
遊牙と星矢のデュエルが開始してすぐに、見物しようと人集りができた。彼らはどうやらこの二人にデュエルを楽しみにしてたらしい。
「…へ!相変わらず硬そうな奴だ!」
「波動竜騎士ねぇ。毎度毎度やりにくい奴だ。動きはそこそこ早くて、んでもって力もあると来た」
二人は顔を見合わせると、力を溜めて走り出した。
「普通のデュエルもいいけど、これはこれで楽しいよなぁ!?」
「知らねえよ。ちゃんと戦わねえと痛い目見るぞ」
お互い、全力でぶつかり合うどこか楽しげな二人。連続で激しく激突する。あまりの勢いに周りに衝撃が走る。
「オイオイオイオイ、いつになく熱いんじゃない!?」
「変わらねえだろ別に。よそ見してっと危ねえぞ!」
言葉が終わると同時に遊牙は機械の右腕をガトリングに変形させた。
「ち!殺しにかかってきたな…!」
しかし星矢は素早い動きでそれを軽々しく避けてみせた。
「…じゃあこれはどうだ!」
また右腕を変形させる。次は巨大な剣になった。上へ振りかぶり勢い良く振り下ろす。星矢は槍で受け止めるが、遊牙の方が力が強く押し切られそうになる。
「…っ!クソ!このままじゃ…」
「オイオイ、そんなもんかよ!」
遊牙はそのまま腕のブースター機構を発動させる。タダでさえ押し切られそうだったのにブースター付きとなれば耐えられるはずもない。
「クソ!」
槍を上手く使いなんとか受け流す。反撃で蹴りを入れるが、鈍い金属音がしただけで遊牙には全くダメージがなかった。むしろ蹴った星矢の方が痛かった。
「っつー…!!」
「バカじゃねえの?俺の身体は鋼鉄なんだから当たり前じゃん?」
そう言いながら歩み寄ると、腕の剣を振り下ろす。
「わ!危ねえ!」
「ち、避けたか…まぁいいさ」
そう言うと右手を元の状態に戻し、バックパックのブースターを起動する。一気に距離を詰めると、鋼鉄でできた爪で攻撃を始めた。
「な!?お前そんな速く動けたのかよ!?」
「フン、隠し玉だぜ。あとな…もう一つ隠し玉があるんだ」
言い終わると同時に反転して四つ足で立つ遊牙。顔を上に向け口を開ける。すると何やらエネルギーのようなものが集まって来る。よく分からないが、それでも危険を察知した星矢は急いで逃げ出す。だが…
「もう遅い!」
遊牙の口から大きな光線が発射される。着弾と同時に大きな爆発を起こし、決着がついた。
「…で?なんで勝手にデュエルスペースを使用したの?」
担任の教師に言い寄られ、思わず尻込む遊牙と星矢。元はと言えば流れでデュエルを始めたのだ。理由がない。
「はぁ…。反省文書いてもらうからね!?」
「「はーい」」
戦いを終え疲れた二人に、教師の言葉が重くのしかかった。
ーーー
次の日。休日なので遊牙はとりあえず外に出る事にした。外には人間の他に、モンスター達がちらほら見える。一部はモンスターと一体化してる者もいるようだ。
「昔は40枚のデッキを組んで、普通のカードゲームをしてたって話だけど…信じられねえよな…。今じゃ人間がモンスターとシンクロする時代だし」
シンクロというのは召喚方法ではなく、モンスターと一体化することを指す。別段デュエルの時だけしか使えないという訳ではなく、日常で有効活用する者も多くいる。遊牙もその一人で、良く遅刻しそうな時などはシンクロしてブースターを使って高速移動していたりする。
「賑やかなのは良いんだか…いささか血気盛んすぎる気がするなぁ」
道端…というよりもはや街の中でデュエルを始める者も居て、この街はいつでもうるさいのである。静かなのが好きな遊牙にとって、これほど苦痛なものはなかった。
「…はぁ」
溜息をつく遊牙に静かに歩み寄る者がいた。それは周りの騒がしさを利用し足音を消して近ずくと、後ろから思い切り遊牙の頭を叩いた。
「っつーーー!?!?!?」
「おはよう遊牙!…大丈夫?」
彼の頭を叩いたのは、同い年で同じ学校の同じ科目に通う幼馴染の虹村竜子であった。
「おま!お前アホなんじゃねえの!?」
「そ、そんな痛かった…?ごめん」
遊牙は確かに硬い。だがそれはデュエル中の話でありむしろ生身は痛がりだったりするのだ。
「チクショー…最近いい事ねえ」
「ねえそれ今の含んで言ってる?」
「当たり前だろーが!」
竜子と一緒に歩いていると、遊牙の目的地である研究所についた。
「研究所…?」
「あぁ、少し身体の検査を受けなきゃならなくてな。見てくか?」
遊牙に言われ、素直に見ていく事にした竜子。研究所に入るとすぐ、部屋に案内された。どうやら顔パスのようだ。
「来たわね…ん?その子は?」
部屋に入るとそこには女性の研究者がいた。ネームプレートには「長嶋玲」と書かれている。
「見学者です。さっきばったり会ったんでついでに見学してったら?と…」
「あ、あの!なんの検査をするんですか!?」
竜子が素朴な疑問を投げつける。玲は真剣な顔をすると、静かに話し始めた。
「彼のシンクロ率についてよ。シンクロ率については知ってるわよね?本来人間がモンスターとシンクロすると、ある程度はモンスターに持ってかれるのよ。間単に言うと身体が変わったり性格が変わったり…。シンクロ率が高い程モンスター側に近づくのよ。で、普通だったらそのシンクロ率が50%なんだけどね、遊牙君は何故か常人よりもシンクロ率が高いの」
玲の話に若干ついていけてない竜子。そこで遊牙がフォローに入る。
「あー…要は、俺は周りよりもおかしいところがあるって事だ。普通が50%なのに、俺は80%もある」
「え…!?80!?」
「うーんとね、80%がどれだけヤバイかご存知?」
「い、いえ…ただ異常な数値と言うのはわかります!」
完全に理解しきった訳ではないが、どうやら伝わったらしい。
「80%なんて数値、実は私も見た事ないの。普通の人間だったら70%の時点でモンスターに殆ど持ってかれて理性を失うのだけれど…。でも彼は80%でも理性を保つどころかこうやって何一つ影響なく過ごしているわ。もしかしたら上がりすぎたシンクロ率を抑えることができるかもしれないって事で彼に協力してもらっているのよ。」
玲の話を聞き終えると、竜子はすぐさま遊牙の方を向き、心配そうな顔を見せる。
「まー大丈夫だろー。こうやって生活できてるんだ。きっと大丈夫さー」
「え…でも…!」
「ふー…。えーと…竜子ちゃんだったかしら?何も影響がないってことは急な変化は起こらないって事よ。今は安心して頂戴」
「は、はい…。」
話の後、すぐに検査が始まった。シンクロ率は以前よりも上がってるらしいがやはり影響は無いと言う。
「遊牙君、今日もありがとう。次の検査は来月に行うわ。詳しい日程は月が変わったら教えるね」
「ハイ。研究に何か進展があるといいですね」
そう言って研究所を後にする。この時点では誰も想像がつくなかっただろう。
まさかこの男がのちに世界を変える事になるとは。
ー次回予告ー
?「あのー…モンスターとの交流要素はどこに…?」
遊牙「次回に持ち越すぞ〜」
ーーオマケーー
竜ヶ峰遊牙のスペック
竜ヶ峰遊牙(りゅうがみね ゆうが)
17歳:男 178cm
シンクロカード「機械龍 フルメタルドラゴン」
髪型:少し長めのストレート。左右でもみあげの長さが違い、右の方は肩まで伸び、左は耳たぶを少し超える程度。後ろは首が隠れるか隠れないかギリギリのライン
説明:めんどくさがりで皮肉屋な高校二年生。今の人間の進化に全く納得していない。ルックスが良く、女子にモテそうだが性格などが災いしてあまり人気はない。面食いには最高の人物。
シンクロ時:異名は「歩く殺戮兵器」
身体の一部が機械・鋼鉄へと変化する。また鋼鉄の翼が生え、長い尻尾も生える。基本は二本足で立っているが一部攻撃で四つん這いになることも。
身体中に武器を搭載しており、圧倒的火力と硬さで敵を粉砕する。なおボディパージが可能で、パージすると機械部分が外れ、鋼鉄の部分のみ残る。火力は下がるが通常の10倍以上の速さで動けるようになる。
細かな搭載武器は省くが、メインの武器は以下の通り。
ガトリング・大剣・ミサイル・ビーム砲・ナパーム弾・小型マシンガン・ブースター・サテライトビーム
「…へ!相変わらず硬そうな奴だ!」
「波動竜騎士ねぇ。毎度毎度やりにくい奴だ。動きはそこそこ早くて、んでもって力もあると来た」
二人は顔を見合わせると、力を溜めて走り出した。
「普通のデュエルもいいけど、これはこれで楽しいよなぁ!?」
「知らねえよ。ちゃんと戦わねえと痛い目見るぞ」
お互い、全力でぶつかり合うどこか楽しげな二人。連続で激しく激突する。あまりの勢いに周りに衝撃が走る。
「オイオイオイオイ、いつになく熱いんじゃない!?」
「変わらねえだろ別に。よそ見してっと危ねえぞ!」
言葉が終わると同時に遊牙は機械の右腕をガトリングに変形させた。
「ち!殺しにかかってきたな…!」
しかし星矢は素早い動きでそれを軽々しく避けてみせた。
「…じゃあこれはどうだ!」
また右腕を変形させる。次は巨大な剣になった。上へ振りかぶり勢い良く振り下ろす。星矢は槍で受け止めるが、遊牙の方が力が強く押し切られそうになる。
「…っ!クソ!このままじゃ…」
「オイオイ、そんなもんかよ!」
遊牙はそのまま腕のブースター機構を発動させる。タダでさえ押し切られそうだったのにブースター付きとなれば耐えられるはずもない。
「クソ!」
槍を上手く使いなんとか受け流す。反撃で蹴りを入れるが、鈍い金属音がしただけで遊牙には全くダメージがなかった。むしろ蹴った星矢の方が痛かった。
「っつー…!!」
「バカじゃねえの?俺の身体は鋼鉄なんだから当たり前じゃん?」
そう言いながら歩み寄ると、腕の剣を振り下ろす。
「わ!危ねえ!」
「ち、避けたか…まぁいいさ」
そう言うと右手を元の状態に戻し、バックパックのブースターを起動する。一気に距離を詰めると、鋼鉄でできた爪で攻撃を始めた。
「な!?お前そんな速く動けたのかよ!?」
「フン、隠し玉だぜ。あとな…もう一つ隠し玉があるんだ」
言い終わると同時に反転して四つ足で立つ遊牙。顔を上に向け口を開ける。すると何やらエネルギーのようなものが集まって来る。よく分からないが、それでも危険を察知した星矢は急いで逃げ出す。だが…
「もう遅い!」
遊牙の口から大きな光線が発射される。着弾と同時に大きな爆発を起こし、決着がついた。
「…で?なんで勝手にデュエルスペースを使用したの?」
担任の教師に言い寄られ、思わず尻込む遊牙と星矢。元はと言えば流れでデュエルを始めたのだ。理由がない。
「はぁ…。反省文書いてもらうからね!?」
「「はーい」」
戦いを終え疲れた二人に、教師の言葉が重くのしかかった。
ーーー
次の日。休日なので遊牙はとりあえず外に出る事にした。外には人間の他に、モンスター達がちらほら見える。一部はモンスターと一体化してる者もいるようだ。
「昔は40枚のデッキを組んで、普通のカードゲームをしてたって話だけど…信じられねえよな…。今じゃ人間がモンスターとシンクロする時代だし」
シンクロというのは召喚方法ではなく、モンスターと一体化することを指す。別段デュエルの時だけしか使えないという訳ではなく、日常で有効活用する者も多くいる。遊牙もその一人で、良く遅刻しそうな時などはシンクロしてブースターを使って高速移動していたりする。
「賑やかなのは良いんだか…いささか血気盛んすぎる気がするなぁ」
道端…というよりもはや街の中でデュエルを始める者も居て、この街はいつでもうるさいのである。静かなのが好きな遊牙にとって、これほど苦痛なものはなかった。
「…はぁ」
溜息をつく遊牙に静かに歩み寄る者がいた。それは周りの騒がしさを利用し足音を消して近ずくと、後ろから思い切り遊牙の頭を叩いた。
「っつーーー!?!?!?」
「おはよう遊牙!…大丈夫?」
彼の頭を叩いたのは、同い年で同じ学校の同じ科目に通う幼馴染の虹村竜子であった。
「おま!お前アホなんじゃねえの!?」
「そ、そんな痛かった…?ごめん」
遊牙は確かに硬い。だがそれはデュエル中の話でありむしろ生身は痛がりだったりするのだ。
「チクショー…最近いい事ねえ」
「ねえそれ今の含んで言ってる?」
「当たり前だろーが!」
竜子と一緒に歩いていると、遊牙の目的地である研究所についた。
「研究所…?」
「あぁ、少し身体の検査を受けなきゃならなくてな。見てくか?」
遊牙に言われ、素直に見ていく事にした竜子。研究所に入るとすぐ、部屋に案内された。どうやら顔パスのようだ。
「来たわね…ん?その子は?」
部屋に入るとそこには女性の研究者がいた。ネームプレートには「長嶋玲」と書かれている。
「見学者です。さっきばったり会ったんでついでに見学してったら?と…」
「あ、あの!なんの検査をするんですか!?」
竜子が素朴な疑問を投げつける。玲は真剣な顔をすると、静かに話し始めた。
「彼のシンクロ率についてよ。シンクロ率については知ってるわよね?本来人間がモンスターとシンクロすると、ある程度はモンスターに持ってかれるのよ。間単に言うと身体が変わったり性格が変わったり…。シンクロ率が高い程モンスター側に近づくのよ。で、普通だったらそのシンクロ率が50%なんだけどね、遊牙君は何故か常人よりもシンクロ率が高いの」
玲の話に若干ついていけてない竜子。そこで遊牙がフォローに入る。
「あー…要は、俺は周りよりもおかしいところがあるって事だ。普通が50%なのに、俺は80%もある」
「え…!?80!?」
「うーんとね、80%がどれだけヤバイかご存知?」
「い、いえ…ただ異常な数値と言うのはわかります!」
完全に理解しきった訳ではないが、どうやら伝わったらしい。
「80%なんて数値、実は私も見た事ないの。普通の人間だったら70%の時点でモンスターに殆ど持ってかれて理性を失うのだけれど…。でも彼は80%でも理性を保つどころかこうやって何一つ影響なく過ごしているわ。もしかしたら上がりすぎたシンクロ率を抑えることができるかもしれないって事で彼に協力してもらっているのよ。」
玲の話を聞き終えると、竜子はすぐさま遊牙の方を向き、心配そうな顔を見せる。
「まー大丈夫だろー。こうやって生活できてるんだ。きっと大丈夫さー」
「え…でも…!」
「ふー…。えーと…竜子ちゃんだったかしら?何も影響がないってことは急な変化は起こらないって事よ。今は安心して頂戴」
「は、はい…。」
話の後、すぐに検査が始まった。シンクロ率は以前よりも上がってるらしいがやはり影響は無いと言う。
「遊牙君、今日もありがとう。次の検査は来月に行うわ。詳しい日程は月が変わったら教えるね」
「ハイ。研究に何か進展があるといいですね」
そう言って研究所を後にする。この時点では誰も想像がつくなかっただろう。
まさかこの男がのちに世界を変える事になるとは。
ー次回予告ー
?「あのー…モンスターとの交流要素はどこに…?」
遊牙「次回に持ち越すぞ〜」
ーーオマケーー
竜ヶ峰遊牙のスペック
竜ヶ峰遊牙(りゅうがみね ゆうが)
17歳:男 178cm
シンクロカード「機械龍 フルメタルドラゴン」
髪型:少し長めのストレート。左右でもみあげの長さが違い、右の方は肩まで伸び、左は耳たぶを少し超える程度。後ろは首が隠れるか隠れないかギリギリのライン
説明:めんどくさがりで皮肉屋な高校二年生。今の人間の進化に全く納得していない。ルックスが良く、女子にモテそうだが性格などが災いしてあまり人気はない。面食いには最高の人物。
シンクロ時:異名は「歩く殺戮兵器」
身体の一部が機械・鋼鉄へと変化する。また鋼鉄の翼が生え、長い尻尾も生える。基本は二本足で立っているが一部攻撃で四つん這いになることも。
身体中に武器を搭載しており、圧倒的火力と硬さで敵を粉砕する。なおボディパージが可能で、パージすると機械部分が外れ、鋼鉄の部分のみ残る。火力は下がるが通常の10倍以上の速さで動けるようになる。
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ガトリング・大剣・ミサイル・ビーム砲・ナパーム弾・小型マシンガン・ブースター・サテライトビーム
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まさか本当にリアルファイト物だとは思わず、驚きましたw こういう路線の作品はあまりないので、とても楽しみにしております。 (2017-06-29 18:02)
>まさか本当にリアルファイト物だとは思わず、驚きましたw こういう路線の作品はあまりないので、とても楽しみにしております。
ええリアルファイト物です。他では絶対あり得ないと思います(白目)
本当はデュエルものが書きたかったんですが、どうにもグダグダしたものしか作れなくて試行錯誤した結果こうなりました。
楽しみにしてもらえて光栄です! (2017-06-29 19:09)