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ep.4 暗闇に咲く白百合IV 作:イツとき
緊張から解放されたイツキの体は積み重なった疲労に耐え切れずその場にへたり込む
イツキ「はぁ、本当なんだったんだ…?」
もちろんその言葉はハクアやあの男、マキナに向けてのものでもある
だが、それは先ほどの精神世界の中で起こった出来事にも向けられていた
イツキはそっと目を閉じその世界のことを思い出す
XXX
マキナの鎖に拘束されたイツキはうなだれていた
マキナに体を乗っ取られてから必死にもがいてみたが鎖は一向に外れる気配がない
一刻も早くこの鎖を解かなければ
そう焦れば焦るほどに鎖はさらにきつくなっていく気がした
ガチャガチャと鎖の当たる音が虚しく響き続けやがてその音すら消える
見れば多少は動くだけの余裕のあったはずの鎖が今はピンと張り詰めビクともしない
長いため息を吐いたイツキは何となく周りの景色を眺める
やはり大地と凪いだ海以外何一つとして物のない空間
さっきまでと何一つと変わらない空間にイツキは今、僅かに懐かしさを感じている
イツキ(この景色…どこかで?)
イツキはバラバラになった記憶を何とか繋ぎ合わせ辿っていく
イツキ(確か…俺が5歳の頃、父さんにこのロケットを貰った日)
突如、イツキの頭に映像が浮かぶ
この空間と同じように、白亜の大地に凪いだ海
そして体中に鎖の巻かれ座り込む一人の女性
その口元の小さな微笑み
記憶の中の映像はそこで途切れる
その後に続く記憶は硬い革のシートと揺れる視界
イツキ(確か気づいたら父さんの車の後部座席で寝てたんだっけか…
てことはこれはあの時見てた夢…?
でも、あの時は思い出せなかった…それが何故今になって?)
そしてもう一つ、思い出す
(そうだ、確かあの日は母さんの命日。
そしてこのロケットは…)
しばらく記憶の海を漂っていたイツキを現実に引き戻したのは耳に響く、ゴォォという音だった
イツキは素早く音の鳴る方へ視線を動かす
そこには鎖を伝って迫ってくる炎があった
イツキ(おいおい、マジかよ!)
見れば炎は四肢を拘束するすべての鎖から迫る
イツキ(俺を完全に消すつもりか!?)
炎はどんどん迫ってくる、イツキは何とかして逃げようとするがピンと張られた鎖はビクともしない
そしてついに炎はイツキの手首に巻きつく鎖に到達した
イツキ(!あっつ…くない?)
確かに炎は手首や腕や足に巻きつく鎖を飲み込んでいる
だが炎に触れているはずのイツキの肌は熱を感じず、そこに炎が燃え移ることもない
炎はただ鎖だけを燃やしていた
イツキ(なんだ?!どうなってる?!)
イツキが困惑する間に炎は鎖を溶かしていきついにはイツキを縛っていた鎖が全て焼き切れる
空中に吊られていたイツキはバランスを崩しながら地面に這いつくばる
イツキ(何がなんだかわからないが、助かったってことでいい…のか?)
鎖を燃やし尽くした炎は見る見るうちに消えていく
だがゴォォという耳鳴りは消えない
イツキ(この音、後ろから?)
振り向いたイツキは目を見開く
その視線の先にいるのは全身に炎を纏った巨大な竜の形をした何か
イツキ「えーっと、今度は何が起こって…というかどちら様ですか?」
炎は何も喋らない。ただどうやら害意はないようだ
イツキ「どうやって現れたかはわからないけど、俺を元の世界に戻すことってできないか?」
炎はこちらを見つめるとその腕をイツキ目掛けて伸ばす
逃げようと立ち上がったイツキだったが炎の腕が目の前で止まるのを見てこちらもその動きを止める
炎の手のひらがゆっくりと開かれ、手を差し伸べるようにして静止する
イツキ「俺に乗れっていうことか?」
今度は炎も頷く…頷いた気がした
イツキ「なんかわからないが、助けてくれるってことでいいんだよ、な」
言いながら炎の手に飛び乗るイツキ
それを確認した炎はゆっくりとその腕を持ち上げる
イツキはその揺れにバランスを崩しそうになりよろめいたがなんとか立て直し上を見上げる
どうやらこの空間はドーム状になっていたようだ
炎の腕はその頂点に向けての伸びていく
そこからは光が放射状に溢れている
炎の腕はその光に到達しイツキがその光に触れた時、その体は光に包まれ霧散した
イツキの体は浮遊しながら光の筒の中を進む
どうやらここが意識の中枢らしく、今マキナの見ている世界が流れ込む
そこでは男の操るダークリベリオンが禍々しいマキナの竜から力を奪いとっていた
それに対してマキナも動きを見せる
それと同時に無数の光線が過ぎ去っていく中、ついにマキナの姿を捉える
イツキ「人の体で好き勝手してるんじゃねぇよ!」
伸ばした腕から先ほどのマキナの鎖と同じものが伸び、マキナを縛り付ける
マキナ「何!?…う…ぐ…あぁあぁぁあ!」
その鎖を辿ってマキナの元へ急ぐ
その姿をマキナの瞳がとらえた
マキナ「まさか!私の力に抗えるっていうの!?」
イツキは口角を吊り上げ笑う
マキナ「邪魔…しないで…」
マキナは鎖を振り払おうとする
がそれを辿り着いたイツキの腕が掴み食い止める
イツキ「それはこっちの…セリフだ!!」
鎖で拘束されたマキナの体をさっきまで自分のいた場所
あのドームの方へ投げ込む
マキナ「あぁ…あぁあぁぁあ!!!」
マキナは叫びをこだまさせながら筒の中を進みやがてドームの中に吸い込まれた
イツキ「ようやくこれで戻れるわけか」
最後にイツキは鼻で笑うと元の意識の中に溶けていく
XXX
イツキは閉ざされた目を開き、そこに広がる景色を小さく笑い飛ばし
イツキ「戻ってきたぜ、悪夢野郎」
XXX
ここから先は作者のコメントです。
読んでいただけると嬉しいです。
ということでこれにて「暗闇に咲く白百合」は終了となります。
ですが、この「遊戯王secret-A」が終わるわけではありません。
むしろこれまでのはプロローグのようなもので本編はこれから始まると思ってください。
そして、この度は大変長らくの間更新できなかったことを謝罪します。
今回の話を書いた私は高校生でして、元々の書くペースが遅いのに加え
私事ではありますが、インフルエンザやテストの追試などで続きを書く時間が取れなかったの原因です
申し訳ありませんでした。
皆さんには他にも色々と説明しなければいけないことも多々あり、この場では大変長くなってしまうため
某微生物ブログサイトでブログを公開しておりますので是非そちらを見て頂きたいです。
twitter(@yu_secret_a)にURLを記載しているのでそちらからよろしくお願いします。
それでは、皆様今後も遊戯王secret-Aをよろしくお願います。
イツキ「はぁ、本当なんだったんだ…?」
もちろんその言葉はハクアやあの男、マキナに向けてのものでもある
だが、それは先ほどの精神世界の中で起こった出来事にも向けられていた
イツキはそっと目を閉じその世界のことを思い出す
XXX
マキナの鎖に拘束されたイツキはうなだれていた
マキナに体を乗っ取られてから必死にもがいてみたが鎖は一向に外れる気配がない
一刻も早くこの鎖を解かなければ
そう焦れば焦るほどに鎖はさらにきつくなっていく気がした
ガチャガチャと鎖の当たる音が虚しく響き続けやがてその音すら消える
見れば多少は動くだけの余裕のあったはずの鎖が今はピンと張り詰めビクともしない
長いため息を吐いたイツキは何となく周りの景色を眺める
やはり大地と凪いだ海以外何一つとして物のない空間
さっきまでと何一つと変わらない空間にイツキは今、僅かに懐かしさを感じている
イツキ(この景色…どこかで?)
イツキはバラバラになった記憶を何とか繋ぎ合わせ辿っていく
イツキ(確か…俺が5歳の頃、父さんにこのロケットを貰った日)
突如、イツキの頭に映像が浮かぶ
この空間と同じように、白亜の大地に凪いだ海
そして体中に鎖の巻かれ座り込む一人の女性
その口元の小さな微笑み
記憶の中の映像はそこで途切れる
その後に続く記憶は硬い革のシートと揺れる視界
イツキ(確か気づいたら父さんの車の後部座席で寝てたんだっけか…
てことはこれはあの時見てた夢…?
でも、あの時は思い出せなかった…それが何故今になって?)
そしてもう一つ、思い出す
(そうだ、確かあの日は母さんの命日。
そしてこのロケットは…)
しばらく記憶の海を漂っていたイツキを現実に引き戻したのは耳に響く、ゴォォという音だった
イツキは素早く音の鳴る方へ視線を動かす
そこには鎖を伝って迫ってくる炎があった
イツキ(おいおい、マジかよ!)
見れば炎は四肢を拘束するすべての鎖から迫る
イツキ(俺を完全に消すつもりか!?)
炎はどんどん迫ってくる、イツキは何とかして逃げようとするがピンと張られた鎖はビクともしない
そしてついに炎はイツキの手首に巻きつく鎖に到達した
イツキ(!あっつ…くない?)
確かに炎は手首や腕や足に巻きつく鎖を飲み込んでいる
だが炎に触れているはずのイツキの肌は熱を感じず、そこに炎が燃え移ることもない
炎はただ鎖だけを燃やしていた
イツキ(なんだ?!どうなってる?!)
イツキが困惑する間に炎は鎖を溶かしていきついにはイツキを縛っていた鎖が全て焼き切れる
空中に吊られていたイツキはバランスを崩しながら地面に這いつくばる
イツキ(何がなんだかわからないが、助かったってことでいい…のか?)
鎖を燃やし尽くした炎は見る見るうちに消えていく
だがゴォォという耳鳴りは消えない
イツキ(この音、後ろから?)
振り向いたイツキは目を見開く
その視線の先にいるのは全身に炎を纏った巨大な竜の形をした何か
イツキ「えーっと、今度は何が起こって…というかどちら様ですか?」
炎は何も喋らない。ただどうやら害意はないようだ
イツキ「どうやって現れたかはわからないけど、俺を元の世界に戻すことってできないか?」
炎はこちらを見つめるとその腕をイツキ目掛けて伸ばす
逃げようと立ち上がったイツキだったが炎の腕が目の前で止まるのを見てこちらもその動きを止める
炎の手のひらがゆっくりと開かれ、手を差し伸べるようにして静止する
イツキ「俺に乗れっていうことか?」
今度は炎も頷く…頷いた気がした
イツキ「なんかわからないが、助けてくれるってことでいいんだよ、な」
言いながら炎の手に飛び乗るイツキ
それを確認した炎はゆっくりとその腕を持ち上げる
イツキはその揺れにバランスを崩しそうになりよろめいたがなんとか立て直し上を見上げる
どうやらこの空間はドーム状になっていたようだ
炎の腕はその頂点に向けての伸びていく
そこからは光が放射状に溢れている
炎の腕はその光に到達しイツキがその光に触れた時、その体は光に包まれ霧散した
イツキの体は浮遊しながら光の筒の中を進む
どうやらここが意識の中枢らしく、今マキナの見ている世界が流れ込む
そこでは男の操るダークリベリオンが禍々しいマキナの竜から力を奪いとっていた
それに対してマキナも動きを見せる
それと同時に無数の光線が過ぎ去っていく中、ついにマキナの姿を捉える
イツキ「人の体で好き勝手してるんじゃねぇよ!」
伸ばした腕から先ほどのマキナの鎖と同じものが伸び、マキナを縛り付ける
マキナ「何!?…う…ぐ…あぁあぁぁあ!」
その鎖を辿ってマキナの元へ急ぐ
その姿をマキナの瞳がとらえた
マキナ「まさか!私の力に抗えるっていうの!?」
イツキは口角を吊り上げ笑う
マキナ「邪魔…しないで…」
マキナは鎖を振り払おうとする
がそれを辿り着いたイツキの腕が掴み食い止める
イツキ「それはこっちの…セリフだ!!」
鎖で拘束されたマキナの体をさっきまで自分のいた場所
あのドームの方へ投げ込む
マキナ「あぁ…あぁあぁぁあ!!!」
マキナは叫びをこだまさせながら筒の中を進みやがてドームの中に吸い込まれた
イツキ「ようやくこれで戻れるわけか」
最後にイツキは鼻で笑うと元の意識の中に溶けていく
XXX
イツキは閉ざされた目を開き、そこに広がる景色を小さく笑い飛ばし
イツキ「戻ってきたぜ、悪夢野郎」
XXX
ここから先は作者のコメントです。
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ですが、この「遊戯王secret-A」が終わるわけではありません。
むしろこれまでのはプロローグのようなもので本編はこれから始まると思ってください。
そして、この度は大変長らくの間更新できなかったことを謝罪します。
今回の話を書いた私は高校生でして、元々の書くペースが遅いのに加え
私事ではありますが、インフルエンザやテストの追試などで続きを書く時間が取れなかったの原因です
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