雷電城の機兵工廠

黒壱(クロイツ)
「段々と戦争が近付いてきました。

※

エルドリッジの地下……現在遥か空の上にある雷電城の下層区域にあるその場所は、かつて大罪人テスラの研究施設及び工廠として知られていた場所だ。
彼女が収監されて以降誰も足を踏み入れなかったこの施設は、新しい主を得て俄かに怪しげな活気を取り戻していた。
「うわ……何か凄いことになってるねぃ」
ルクスはそこに知人を訪ね、あまりの別世界感にたじろいだ。
まるで原理のわからない奇妙な形の機械群が黒々と巨人のように立ち並び、大小高低様々な騒音が暗がりに響き渡っている。
「あら、ルクスさんではありませんか」
その不気味な空間から、場違いな雰囲気の幼女が現れ、ルクスに声をかけた。
長い黒髪に、黒い修道服。白皙の肌が闇に浮かび、笑顔のまま変化の無い表情も相まって人形染みた不気味さがある。
「マリちゃん、これ何を作ってるのさ？」
機械音に負けないよう叫ぶと、幼女はふふん、と胸を張った。
「お人形さんを作っておりますの」
示される方を見れば、明かりの灯されたベルトコンベアの上を、無数の小機械が次々に運ばれ、自動で組み立てられていく様があった。
「機兵ですわ。地上で活動できない雷電城の方たちの代わりに働いてくれる、可愛い可愛い子供たち。きっとお役に立てると思いますわ」
「へ、へぇ。これ、何ができるの？」
「パーツの付け替え次第で何でも、ですわ。第1ロットでは、ひとまず情報収集を目的とした機体を主に生産してますの。貴女の負担も、だいぶ軽減できると思いますわ」
ルクスは微妙な顔をした。確かに仕事が減るのは嬉しいのだが、こんな怪しげな存在にとって変わられるのは些か良い気分ではない。
「ワット卿に、何か言われた？」
「何かとは？ わたくしもこの城に居候する身ですので、何もせずにいるというのは心苦しかったのですわ。閣下には亡命の許可を得る為にお世話になりましたし、こうして技術力を提供するのが一番かと」
「うーん、そこには文句無いんだけど……」
「ルクスさんにも恩返しがしたいのですわ。こんなちんちくりんの義体に入っているので、あまり大したことも出来ませんが」
彼女は自らの身体を見下ろした。人間の身体にしか見えないそれは、しかし動くたびにきりきり音を立てる球体関節を持つ人形のそれである。
元々はきちんとした大人の女性の姿をしていたらしいが、生国が滅んだ際に訳あってこんな状態で生き延びたと彼女は話していた。
「マリちゃんは良い子だねぃ。でも、無理することは無いんだよ？」
「無理なことではありませんわ。わたくしにとって機械を動かすのは、呼吸をするのと大して変わりませんもの」
天使のような微笑。
ルクスは溜息を隠しながら、彼女の頭を撫でた。
「ありがとね、マリちゃん。機会があれば、偶には外に出て遊ばない？ 陛下にも紹介しておきたいし」
「うふふ、お気遣いありがとうございますわ。この開発がひと段落したら、お言葉に甘えさせていただきます」
ルクスが工廠を去ると、彼女はひらり踵を返した。
組み上がっていく機械人形たちの間をくるくると優雅に踊りながら、歌うように言った。
「もうすぐ、もうすぐ会えますわ。美しい方、愛しい方。わたくしの、ノエル様」
まるで時計仕掛けの人形のように、ぴたり、踊る姿勢のままに動きを止めて、彼女ーー滅びた平和主義共和国の聖女、マリエル・ハイランディアは虚空に想い人の姿を描いた。
自分の胸に刃を突き立てた、黒騎士の少女の姿を。
「うふふふふ。待っていて下さいましね。貴女はわたくしと共に、永遠となるさだめなのですわぁ」

」(2016-09-22 00:32)

ランペル
「地上での情報収集用の機兵がマリちゃんことマリエルさんがお作りになっていますね。テスラさんの使っていた工廠を使っての機兵作り。自動で作られたりしているところを見るとマリエルさんは相当機械関係に強いというか詳しいんでしょうね。まぁ、そうじゃないと作ってないね（再確認）
恩返ししてくれるええ子や…笑顔がまぶしいその容姿は人間にしか見えないけれど、人形の部分も多々あるみたいですね。訳ありですなぁ…。そんな中マリエルさんはノエル様という人？との再会を楽しみにしてる感じですね。一体誰なのか。そして人形作りは恩返しの為だけなのか…？
効果は墓地の雷電カード1枚をデッキに戻してのトークン生成効果。そして墓地へ送られた時のマリエルさんかテスラさんのどちらかをサーチする効果。①のトークン生成効果は墓地のカードをトークンに変えれる感じに使えますね。そしてデッキの戻るので帯電カウンターを乗せれる効果の発動にも貢献できる（よね？）と便利！マリエルさんとテスラさんがどんな効果なのか気になるところです。
着々と地上に降り立つ準備が進む一方で戦争も近づいてきているということですね…。今後はどうなっていくのか…」(2016-09-22 05:07)

名無しのゴーレム
「アイエエエ！ ハイランディア！？　ハイランディアナンデ！？　ぶっちゃけあんまり覚えてないけどハイランディアというだけでヤバいことだけは確か。とりあえずノエル超逃げて。」(2016-09-22 23:15)

名無しのゴーレム
「うっかりストーリーの感想だけ書いて投稿しちゃったぜ☆　まあ、それくらい内容が衝撃的だったということでお許しください……
緩いコストのトークン製造装置。デッキに戻せばシャッフルしなければいけないのでカウンターも貯まる……やっぱりコストがコストしてませんねぇ。
②はこれまた緩々なトリガーで発動するサーチ効果。さーいと言うことはシャッフルしなければいけないので（ry」(2016-09-22 23:19)

黒壱
「ランペルさん＞
マリエル・ハイランディアは既にオリカとして投稿されているので、そちらも宜しければ参照下さい。
機械に詳しいというか、機械の化身そのものなので。ちなみにノエルもカード化済み。先のハイランディア大戦に関しては、ストーリーとしては明確にされてないのですが。」(2016-09-22 23:36)

黒壱
「名無しのゴーレムさん＞
というわけで、ルクスが拾ってきた亡命者はハイランディアの聖女様でした。
結構伏線はばらまいてましたが、まぁ気付かないと思います。
地上への執着心は並々ならぬものがありますよー。」(2016-09-22 23:39)