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渚の堕天使 イシュタム

内視鏡さん の作成したオリジナルカードです。


渚の堕天使 イシュタム
種類・種族 カテゴリー名
【天使族/効果】 第252回オリカコンテスト
属性 レベル 攻撃力 守備力
10 2500 2900
このカード名の①の効果では1ターン1度しか特殊召喚できず、②③の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。①自分フィールドの「渚の堕天使」モンスター2体、または元々の持ち主が相手となるモンスター1体を墓地へ送る事で、このカードは手札・墓地から特殊召喚できる。②相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象に発動できる。手札から「渚の堕天使」カードまたは天使族モンスター1枚を捨て、そのモンスターのコントロールを得る。この効果でコントロールを得たモンスターは相手エンドフェイズに墓地へ送られる。③自分フィールドの元々の持ち主が相手となるモンスター1体を墓地に送って発動できる。自分はデッキからカードを2枚ドローする。
作者 作成日時
内視鏡さん 2022/07/25 11:58



内視鏡
「元ネタはカード名の通り。


商社で働く私は、仕事の関係で南米のとある国に出張で来ていた。慣れない土地での生活は疲労が溜まる一方で、仕事も思うように成果が出せずにいた。こんな場所に来るんじゃなかった。私は故郷に帰れる日を待ち侘びる様になっていた。両親とはもう随分疎遠になってしまったが、おぼろげな顔の記憶に涙が滲んだ。

その日も地獄の様な暑さだった。まともにクーラーも効かない粗末なアパートを抜け出し、私は近くの浜辺に涼を取りに来た。浜辺と言っても人が来るような場所ではなく、切り立った崖に面したそこは昼間でも薄暗かった。だが、涼を取る分には問題ない。私は何をするでもなく、打ち寄せる波の飛沫を眺めていた。

「御一人なのですか?」
背後からの突然の呼び掛けに、私の背筋は硬直した。振り向いた私は更に衝撃を受ける事になる。そこには今まで見たことも無いような美しい女性が佇んでいた。高名な造形師が作った彫刻の様な完璧な曲線美。息づく度に揺れ動く豊満な肉感が、それが彫刻でない証となっていた。褐色ですべらかな肌には傷一つ無く、その身に纏った黒と白の水着は彼女の肌の色と合わさり魅惑的なコントラストを生み出す。綺羅びやかな宝飾は高貴なる品格を与え、それはまさに唯一無二の芸術作品だった。

「少し、御話しませんか?」
その言葉に対し、自分が何と返事をしたのかも分からなかった。見た目の印象と裏腹に、深く響くような声は大人の女性を思わせた。しかし、その微笑みはまるで少女の様にあどけなく、私の心は奪われていった。慈愛に満ちた瞳に見つめられると、彼女以外の何も考えられなくなる。話す度に返ってくる甘い声に、私の脳髄は痺れていた。

「さあ、楽しみましょう」
彼女が近くに擦り寄ってくる。どこを見ても扇情的なその体に、私は視線を置ける場所が無かった。私の明け透けな視線に対し、むしろ彼女はそれを面白がっているかの様だった。人生で初めて愛の喜びを感じていた。そうだ、彼女は俺を愛しているんだ。彼女は俺のものなんだ! 彼女の体から生えてきた黒い翼が、私を優しく包み込んでいく。


数日後、男の家族の元に、男が出張先の地で行方不明となった事が告げられた。」(2022-07-25 11:58)

幽騎
「すごくクトゥルフ神話っぽいアトモスフィアが。
テーマ的に麗しい美女または美少女になりがちなところを、妖艶かつホラーなテイストにまとめ上げたのはお見事です。
あと普通に文才で負けました(泣)」(2022-07-25 20:14)

ファンデッカス4号
「「誰かがやる」を最速で行く姿勢に加点したい。
この「渚の堕天使」は掌編小説のタイトルですね……」(2022-07-25 21:02)

内視鏡
「>幽騎さん
ありがとうございます。イシュタム様の魅力を伝える為に頑張りました。まあ、本物の堕天使ですからね。

>ファンデッカス4号さん
堕天使をそのまま捉えるしかなかったというだけではあります。最初は失楽の方でネタに走ろうかと思いやめました。


イシュタム信仰の中で、自死は名誉ある最後であった。生者を冥界へと導き、永遠の安息を与えるというイシュタムの権能は、その時代を生きた人々にとって間違いなく祝福であったのだ。時代が変わる中で、いつしか自死を悪だとする倫理観が生まれ、やがてイシュタムは邪神として扱われる様になっていった。一説によるとイシュタムは絶世の美女であったとされるが、後世の創作である可能性が高く信憑性には欠ける。何故ならイシュタムを見たものは例外なく生きては戻れない筈なのだから。(民明書房:世界の女神大全より)


ではここで冥界に行った男にインタビューしたいと思います。

男「イシュタム様に抱かれて昇天するの、気持ち良すぎだろッ!」
今は冥界でイシュタムの下僕として働いているそうです。
(2022-07-26 00:24)

ガンドラP
「お疲れ様です。

コメント遅くなってしまって申し訳ない……。
ちょっと想定していたよりも立派な『文学』をなされておりましたもので、何をお話ししたら良いのやらと悩みまして……。
しかし『シチュエーションの説明』だけで誤魔化さずに文章力だけで殴りに来られるとは末恐ろしい。
書き出しでは『OLイシュタムさんの一人称かな?新しいな』なんてのほほんと勘違いブチかましておりましたが、モブおじさん視点かーと納得した直後。
背筋をつぅ。っと指でなぞられたような問いかけにゾッと来ましたね。
そのまま周りの湿度の高くねっとりとした空気モロともモブおじさんをジワジワと絡め取り、染み込んでいき、優しく優しく包んで……!
ラストを簡素に締めて、末路を察せるだけにとどめる点も実にオシャレです。
内視鏡さんの文章力半端ないって!

効果の方も、そんな哀れな男を絡め取って手駒にしていく様が実に恐ろしい……。
ですが、個人的にはなんだかヤンデレっぽい効果にも感じられてすこぶる興奮しましたわ……!
コントロールを奪いたい相手のために躊躇なく邪魔な女を手札から突き落とし、自分自身が墓地に行っても執念深く蘇ってくる……!
瑞々しく褐色に染まった肢体で湿度高めに迫られた日にはもう僕の中のドM心が魂レボリューションですわよ……!!
後ろからあすなろ抱きされて耳元でそっと『逃げたら許しませんわよ……♡と囁かれてぇ……!

本来のお話と逸れた妄想はすみません。
しかし湿度高めな物語と効果、ご馳走様でございました!」(2022-07-28 03:07)

らるかん
「イシュタムのダークな魅力の引き立つ素晴らしい文章を読めて嬉しいです。この男にとってイシュタムは「堕ちた天使」ではなく「堕とす天使」だった…と言った感じでしょうか?」(2022-07-28 03:32)

内視鏡
「>ガンドラPさん
お褒めの言葉ありがとうございます。イシュタム様を少しでも布教できたら何よりです。
自分視点で文章書くのが辛かったというのも有りw

>らるかんさん
死の神に心を奪われる事は すなわち死を意味する、的な(適当)
邪神化した所為で、冥界への送迎サービスも始めたのかもしれません。
そして生者を冥界に送るための手段とは、生者から全ての生命エネルギーを奪い取るという事であり、つまりその儀式の内容とは【全年齢版のため規制】」(2022-07-28 22:27)

紅月蓮華
「いつの間にか取り込まれていつの間にか昇天してるとかおっかねぇや……

いい感じの効果とそれにあったストーリー、グッドデザイン賞ですね。」(2022-07-29 06:09)

内視鏡
「>紅月蓮華さん
コメントありがとうございます。イシュタム様は別に特殊能力で魅了してる訳ではありません。ただ魅力がカンストしてる所為で結果的にそう見えるのです。」(2022-07-29 22:50)


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