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HOME > 遊戯王SS一覧 > ロボ18 冷笑と海と退職

ロボ18 冷笑と海と退職 作:トマトところてん

 冷笑とは一生懸命頑張っている人を馬鹿にして笑う、あざ笑うことであって熱血体育会系とは反対の位置にあるものだと思われる。先に結論を言うと少しは冷笑も必要だろうという感じ。
 冷笑とはそもそもネットにある人を馬鹿にして見下したような風潮ではなく、心理学の防衛機制の一つでブラック企業なんかに勤めて酷い扱いをうけて哀しんだ時にそれ以上傷つかないために、「僕みたいな下っ端の扱いはぞんざいでまいっちゃって勘弁してほしくて笑っちゃいましたよ、ハハッ」という感じで辛いのに笑って自分を誤魔化しあざ笑うのが冷笑。嘆き笑い。
 酷い相手と一緒に自分の事もあざ笑って自虐ネタなんかにしてしまう人も。冷笑する人は自己肯定感が低い場合が多い。「僕なんてダメで何回も失敗しちゃいました。」とかウルフルズの「笑えれば」の歌詞にでてくる、「情けない帰り道ハハハと笑えれば」というものも自虐的な引き笑いで皮肉が含まれている。
 だからといって皆がみなネガティブになっている風潮はよくないんですが(暗い日本)、冷笑するのは人としてある程度は当たり前で必要だと思われる。話し相手が「クレーンゲームに何万円使った」とか、「競馬で負けた」とかこちらが笑っていいのか反応に困るものの、「やめといた方がいい」だとか、「やらかしてる」とかつい返してしまう。
 熱血体育会系への反発もある。国会答弁する政治家はすぐに、「それでいいんですか? 呆れます。」と冷笑する。遊戯王でもメタビートを冷笑したり(環境に抗ってないで環境デッキを使えよ)弱いデッキを使う相手への冷笑も動画配信では笑いのタネや話題になる。
 海外の人には日本の冷笑文化と呼ばれて、このサイトのカード評価でも冷笑を誘うものは多い。遊戯王というゲームで相手より優位に立って笑うことはよくある。
 結局、人を笑うなよってどうなの? という感じで。健康的になるための笑いのほとんどがこの冷笑ばかりだと残念だけど、笑点なんかも司会者いじりは人気。自虐ネタ。
 少し話は変わって、楽しいことは長く続かないと思っていた。習慣化できていない。自分が飽きてしまわないで新しい発見がある、そしてその行為を努力できること。続けること。基本努力は反復練習で同じことを繰り返す。これがルーティンになっていれば別に苦でもなく、やっていないと落ち着かなくなって気が済まなくなって楽しくなってくると。
 人生なんてずっと反復練習で、その行為をやっているのにハマって見てくれる人や応援してくれる人が居たら嬉しいけれど、馬鹿にして冷笑する人が居たら辛いね。ってところでしょうか。
 まあそんな感じで冷笑の話は占めて、少し休憩してください。

 次は自分の苦手な人の話。苦手な人イコール嫌いな相手と言っても良いが、ユングの心理学でシャドー(影)というもの。人は相手の中に自分の認めたくない部分を投影してしまう。堂々としている人を見ると嫌な気持ちになる人は、本当は自分も堂々としたいと思っているのに出来ていないとか、どうせお金儲けの為だろと相手を信じない人は実は自分がお金儲けをしたかったり、中々決断できない優柔不断な相手を見ると、本当は弱くて情けない自分が強がっているのを相手から投影して見えてしまう。本当は弱い見たくない自分が、苦手な相手から、よくある人はみな鏡というもの。相手を見ることで自分の好き嫌いが見えてしまう。なので相手を完璧に理解しなくてもいいし無理に好きにならなくてよい。
 と、ここまでウダクダ述べたところで本編

本編

 誰もよそから訪れない離島の海岸の砂浜で主人公の9号とラスボスの予定だったニートの10号は二人、海を眺めていた。
「今日は一日中海を眺めるぜ。海は青いぜ。」
 潮の満ち干き。ザアザアとした白い波の音を聞いて朝から晩まで過ごす。9号は
「マスターデュエルのビーチパラソルのメイトはほとんど動かないですよね。あのようなビーチチェアとビーチパラソルを用意しました。疲れてきたらパラソルの下に避難しましょう」
 ギラギラと照りつく太陽。そして時間が経つにつれてもくもくと大きくなってくる入道雲。天気は変わりやすく、すぐに雨が降るかもしれなかった。9号と10号は砂浜に座って近くの波を眺めていた。
「なあ9号。俺たちって本当はバチバチデュエルするんじゃなかったのか? ライバル同士でさ」
「そうですね」
 デュエルの勝敗でパーツを手に入れて懸賞金になっているような世界では皆好きなデッキを使って戦えないか。
「ま、そういう細かいところは気にするなよ。不思議なことを信じられなくなったら俺はたいそう大人になっちまったもんだってがっかりするもんさ」
「いつでも子供には戻れますよ。今日だって一日中海を眺めているんですから」
 ロボットなので食事や休憩がない。一徹。何かに一筋に取り組む職人としてのロボットなわけだが。
「なあ、なんで海を一日中眺めるんだ? ワンピースのエンディングであるよな。仲間が増えていってずっと海の向こうを眺めてるやつ」
 さざなみの音がするたび涼しい。波の近くの砂浜はひんやりとしていて心地いい。ザザザと満ちては干いていく。
「本当はどこからかやってきたのでしょう人間様は。本当の故郷を見つけられますか? 感じられますか? 魂の故郷とかスピリチュアルな話になってしまいますね」
「なつかしい感じがするかどうか、わかんねぇや」
「そうですね」
 ボッーと海を眺めていた。しばらくすると遠くに離島と本島の間を行き着する巨大なフェリーが見えた。離島の港に着いておでんの1号の運転するキッチンカーなどを載せて本島と行き着するフェリーだ。
「意外と何もないと思っても何かあるよな。俺たちだって海で遊んでもいいわけだ。座ってボッーと眺めてさ。いてもたってもいられなくなるんだったらここから離れてもいいんだよな。」
「何かやるべきことがあるのですか? 」
「そうだよな。ゴールを。目標を決めてさ。やっぱり何も考えずだらだら、いや何かを我慢して目標まで走るやつが偉いんだろうな」
 目標まで走ったそいつにしか語れないものを知りたかったようだよ
「そうですね」
 9号と10号は海を眺めて一日を過ごしたのだった。

回想 退職の日

 現場監督だった10号。退職する日。最近流行りの退職代行に頼んで退職届も出来た。あとはお世話になった同僚や部下に感謝してお菓子でも配って去る。といってもロボットだからお菓子は食べられない。
「とりあえず潤滑油としてワセリンを贈ればいいか。高圧洗浄機や洗剤なんかでもいいな。」
 10号はお世話になったロボットにそれらを渡していった。
「今日で最後です。ありがとうございました」
 10号は仕事を終え、あいさつを済ませると最後に上司から花束を渡されたのだった。
「次の職場でも元気でね。」
 上司がそんなことを言って10号は花束を受け取ったのだった。

回想終わり

旅立ち

「決めたぜ。旅に出るぜ。」
 と10号。9号は
「そうですか」
「退職金でちょっとこの島を飛び出してみるぜ。でも不安だぜ。この離島と違って友達も職場の同僚も居ないぜ。新しい友達が出来るか、うまくやってけるか不安だぜ。」
「そうですか」
 モニターで海岸にいる9号と10号を見守る男はつぶやく。
「10号、現場監督をやめてニートになったのは意外だがいつだってお前は私の誇りだ。」
 9号は
「不安になったら、そうですね」
 あなたの未来は誰にもわからない。何故だかわかるかい? あなたの未来はあなたが作っていくからだ。
「お土産でも買ってきてください」
「おっ、そうだな実はメモを用意しておいたんだ。俺が出発したら見てくれ。しばらくの間会えなくなるが忘れないでくれよ」
「忘れません。頑張って」
 10号は9号にメモを渡すと出発する準備に取りかかるのだった。今日海を眺めたのはその決心の為かもしれなかった。10号の残したメモにはこう書かれていたのだった。


「マドルチェを組んどいてください。ティロフィナーレ 10号」

続く

 6月から投稿できるか謎なのでここまで一旦読んでくれた方ありがとうございました

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