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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第62話:鎖を絶つ獣

第62話:鎖を絶つ獣 作:

地球に向かう超巨大隕石型モンスターを打ち破るための計画≪セカンド・コラプス≫。
そのためには、ドミノタウンの地下に眠る、空間に裂け目を入れる装置≪パラドックス・ブリッジ≫を起動し、現実世界にモンスターを召喚可能とすることが必須条件だ。
パラドックス・ブリッジは6基に分かれており、ニーズヘッグはその内の5つの鍵を手にしている。
しかし、この装置を解放すればドミノタウンは14年前のコラプスと同様に崩壊し、空間の裂け目から数々のモンスターが現れることで、世界中の人の命が危険に晒されることとなる。

遊次達はこの計画を知り、オスカーとオースデュエルにより対決するもあえなく敗北。
彼らの計画に干渉することができなくなってしまう。

そしてニーズヘッグのルーカス・ヴラッドウッドは、最後の鍵は物理的な物質ではなく、ある特定の人物による生体認証であることを突き止めた。
その人物とは、大統領マキシム・ハイドと、DTDL副所長クロム・ナイトシェイド。
クロムは記録上は死亡しているものと思われていたが、数々の状況証拠から、イーサン・レイノルズとして名前と顔を変えていることを知る。

また、ジェンの調査によって、ハイドとクロムは14年前のパラドックス・ブリッジ建造の見返りとして"特権"を与えられていたことがわかった。
オスカーは大統領マキシム・ハイドに対して、自分達の計画に従うように伝えるが、会談の途中で大統領公邸に映像投影用ドローンが届く。
映像を再生すると、そこには縛り付けられた七乃瀬美蘭の姿が。
そして映像に表れた花の仮面を被った謎の人物「フラワー」から、20億サークの仮想通貨の送金と、ここ1ヵ月のオースデュエルによる契約解除を要求される。
美蘭の首元にはナイフが突き付けられ、一刻の猶予も禁じ得ない事態に、オスカーはフラワーの要求を飲むことを決意した。

オスカーとの契約が解除されたことで、遊次らNextは再びニーズヘッグに立ち向かうことができる。
4人は改めて覚悟を決め、メインシティへと向かった。
先の遊次の敗北を受けて、まずはオスカー以外のニーズヘッグのメンバーと戦い、イーサンの生体認証とニーズヘッグが持つパラドックス・ブリッジの鍵を交換条件に、オースデュエルをする作戦に。

しかしメインシティへ向かう道中、突如としてニーズヘッグのジェンが襲来。
イーサンは生体認証を、ジェンは鍵の1つを賭け、オースデュエルが始まる。


「デュエル!」
イーサンのデュエルディスクのランプが灯る。

「俺のターン。自分フィールドにモンスターがいない時、『ヴォルタンク・インダクタ』は手札から特殊召喚できる」

■ヴォルタンク・インダクタ
 効果モンスター
 レベル3/光/雷/攻撃力1000 守備力1500
 このカード名の、②の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
 ③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 ①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
 お互いのデッキがシャッフルされる度に、このカードに雷カウンターを1つ置く。
 ②:自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
 ③:自分メインフェイズに発動できる。
 デッキから「ヴォルタンク」モンスター1体を墓地へ送る。


現れたのは青いコイル形状のモンスター。
金属装甲の外殻に銅線が幾重にも巻きつき、中央では青白い電流が迸っている。

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/4LXtcBt
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能


「さらにフィールドにヴォルタンクがいる時、『ヴォルタンク・モーター』は手札から特殊召喚できる」

■ヴォルタンク・モーター
 効果モンスター
 レベル2/光/雷/攻撃力1100 守備力1500
 このカード名の、②の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
 ③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 ①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
 お互いのデッキがシャッフルされる度に、このカードに雷カウンターを1つ置く。
 ②:自分フィールドに「ヴォルタンク」モンスターが存在する場合、
 このカードは手札から特殊召喚できる。
 ③:フィールドの雷カウンターを2つ取り除いて発動できる。
 「ヴォルタンク・モーター」以外の「ヴォルタンク」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。


現れたのは青いモーター形状のモンスター。
外殻は精密な歯車とねじ部品が露出し、中央部に大型の回転軸が設けられている。

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/3jDG7gK
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能


「ヴォルタンク・インダクタの効果発動。1ターンに1度、デッキから『ヴォルタンク』モンスター1体を墓地に送る。
『ヴォルタンク・ポテンショメータ』を墓地へ」

イーサンがデッキから1枚のカードを墓地へ送ると、デュエルディスクによりデッキは自動でシャッフルされる。

「シャッフルが発生した時、ヴォルタンクの共通効果により、2体のモンスターに雷カウンターが1つずつ置かれる」

2体のモンスターに雷が落ち、蒼いボディの上に光が灯る。

雷カウンター 0→2

「さらに墓地へ送られた『ヴォルタンク・ポテンショメータ』の効果発動。
墓地へ送られた場合、デッキから『ヴォルタンク』罠カードを1枚手札に加える」

「俺は『ヴォルタンク・レールガン』を手札に加える。この時、デッキからシャッフルされたことで雷カウンターが置かれる」

雷カウンター 2→4

「ヴォルタンク・モーターの効果発動。雷カウンターを2つ取り除き、デッキからヴォルタンクを特殊召喚できる。
『ヴォルタンク・エンジン』を特殊召喚」

雷カウンター 4→2


■ヴォルタンク・エンジン
 効果モンスター
 レベル4/光/雷/攻撃力1800 守備力1200
 このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 ①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
 お互いのデッキがシャッフルされる度に、このカードに雷カウンターを1つ置く。
 ②:このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
 デッキから「ヴォルタンク・エンジン」以外の「ヴォルタンク」モンスター1体を手札に加える。


青いエンジンを模したモンスターは、金属光沢のある深い青色の体を持つ。
胴体は直方体に近い形状で、表面には複数のランプや操作盤のような装飾が施され、冷たい光を放つ。

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/nb09OhR
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

「この瞬間、デッキがシャッフルされたことでモンスター3体に雷カウンターが置かれる」

雷カウンター 2→5

「さらに特殊召喚されたヴォルタンク・エンジンの効果発動により、デッキから『ヴォルタンク・コイル』を手札に加える。
これによりさらに雷カウンターが3つ置かれる」

雷カウンター 5→8

「魔法カード『ヴォルタンク・ブースト』発動。
雷カウンターを4つ取り除き、2枚ドローする」


■ヴォルタンク・ブースト
 通常魔法
 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 ①:フィールドの雷カウンターを4つ取り除いて発動できる。
 自分はデッキから2枚ドローする。
 ②:このカードが墓地に存在し、自分の手札が0枚の場合に発動できる。
 このカードを自分フィールドにセットする。
 この効果でセットしたこのカードはフィールドを離れた場合に除外される。

雷カウンター 8→4

イーサンは2枚のカードを引く。
3体の下級モンスターが並んだ状態で、手札は6枚と潤沢だ。
好調な滑り出しに、遊次も安心感を覚えた。

「俺はヴォルタンク・インダクタとヴォルタンク・エンジンをリンクマーカーにセット。
サーキットコンバイン!」

リンクマーカーが次々と輝き、空間に青白いサーキットが展開する。
インダクタとエンジンの輪郭が光の粒となり、線で結ばれていく。

「光より現れし摩天、集いし雷は更なる牙城を呼び起こす」

「リンク召喚!リンク2、『ヴォルタンク・ライトニングロッド』!」


■ヴォルタンク・ライトニングロッド
 リンクモンスター
 リンク2/光/雷/攻1800
 【リンクマーカー:下/左】
 雷族モンスター2体
 このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 ①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いのデッキがシャッフルされる度に、
 このカードおよびこのカードのリンク先のモンスターに雷カウンターを1つ置く。
 ②:このカードがリンク素材として墓地に送られた場合、
 墓地の「ヴォルタンク」モンスター1体を対象として発動できる。
 そのカードをデッキに戻し、自分はデッキから1枚ドローする。
 ③:フィールドの雷カウンターを2つ取り除き、
 フィールドのカード1枚を対象として発動する。
 そのカードを破壊する。


回路が完成すると同時に、二体の光が奔流となって中央へと収束した。
眩い蒼が爆ぜ、雷鳴のような轟きとともに、天へ貫く巨大な光柱が立ち上がる。
青いボディと、飛び出た大きないくつものネジが特徴的だ。

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/bK4xj8i
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能

「さらに手札からヴォルタンク・コイルを召喚」

■ヴォルタンク・コイル
 効果モンスター
 レベル1/光/雷/攻撃力500 守備力500
 このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 ①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
 お互いのデッキがシャッフルされる度に、このカードに雷カウンターを1つ置く。
 ②:自分・相手メインフェイズに発動できる。
 このカードを含む自分フィールドのモンスターを素材として、
 「ヴォルタンク」Lモンスター1体をL召喚する。
 ③:墓地のこのカードを除外して発動できる。
 デッキから「ヴォルタンク」カード1枚を除外する。


現れたのは、銅線を密に巻いた円柱形のコイルを胴体に持つモンスター。
上下を青いフレームが挟み込むように固定しており、四隅には太い支持脚が直角に張り出している。

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/ELLKy2k
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能


「フィールド魔法『ヴォルタンク・カレントコレクター』発動」
周囲に無機質な無数のアンテナが張り巡らされる。

■ヴォルタンク・カレントコレクター
 フィールド魔法
 このカード名の③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 ①:このカードがフィールドゾーンに存在する限り、
 お互いのデッキがシャッフルされる度に、このカードに雷カウンターを1つ置く。
 ②:自分フィールドの「ヴォルタンク」モンスターの攻撃力は、
 フィールドの雷カウンターの数×300アップする。
 ③:自分フィールドの「ヴォルタンク」モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、
 代わりにこのカードの雷カウンターを1つ取り除く事ができる。


「さらに永続魔法『ヴォルタンク・リファインドサーキット』を発動」


■ヴォルタンク・リファインドサーキット
 永続魔法
 このカード名の①②③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 ①:フィールドの表側のカード1枚を対象として発動できる。
 フィールドのリンクマーカーの数だけ、そのカードに雷カウンターを置く。
 ②:フィールドの雷カウンターを2つ取り除いて発動できる。
 このターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、
 自分メインフェイズに「ヴォルタンク」モンスターを1体を召喚できる。
 ③:雷カウンターが乗ったカードがフィールドを離れた場合、
 フィールドの表側のカード1枚を対象として発動できる。
 墓地へ送られたそのカードに置かれていた数だけ、
 雷カウンターを対象のカードに置く。

カードの発動と共に、地面に白いサーキットが張り巡らされる。

「仕上げといこう。
俺はヴォルタンク・モーターと、ヴォルタンク・ライトニングロッドをリンクマーカーにセット。
サーキットコンバイン!リンク2のライトニングロッドは2体分の素材となる!」

ライトニングロッドは半透明の分身を作り、3体のモンスターが地面に現れたサーキットへと入ってゆく。

「顕現せし強固なる城塞、今ここに天をも穿つ雷鳴を轟かせよ!」

「リンク召喚!『ヴォルタンク・スパークキャッスル』!」


■ヴォルタンク・スパークキャッスル
 リンクモンスター
 リンク3/光/雷/攻2300
 【リンクマーカー:右/左/下】
 雷族モンスター2体以上
 このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 ①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いのデッキがシャッフルされる度に、
 このカードおよびこのカードのリンク先のモンスターに雷カウンターを1つ置く。
 ②:相手モンスターが効果を発動した時、
 フィールドの雷カウンターを3つ取り除いて発動する。その発動を無効にして破壊する。
 ③:フィールドの雷カウンターを2つ取り除き、墓地の「ヴォルタンク」モンスター1体を対象として発動できる。
 そのモンスターをこのカードのリンク先に特殊召喚する。

光とともに現れたのは蒼き巨大な城。
両端には巨大なネジが突き刺さっており、天守の部分は避雷針となっている。


モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/FtT734v
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「この瞬間、L素材となったライトニングロッドと、永続魔法『ヴォルタンク・リファインドサーキット』の効果発動。
リファインドサーキットにより、雷カウンターが置かれたカードがフィールドを離れた時、置かれていた雷カウンターを別のカードへと移す。
L素材となったヴォルタンク・エンジンに置かれていた4つの雷カウンターをフィールド魔法へと移す」

4つの光の玉が浮き上がり天へ上ると、周囲のアンテナに4度の雷が落ち、光が灯る。

「チェーン1のライトニングロッドの効果により、L素材となったことで、
墓地の『ヴォルタンク・インダクタ』をデッキに戻し、シャッフルする。その後、1枚ドローする」

「デッキがシャッフルされたことで、フィールド魔法と俺のモンスターに雷カウンターが置かれる。
スパークキャッスルのリンク先のヴォルタンク・コイルには、さらに1つカウンターが置かれる」

雷カウンター 4→8


「さらに永続魔法『ヴォルタンク・リファインドサーキット』の効果発動。
フィールドのリンクモンスター1体のリンクマーカー分、フィールドのカードに雷カウンターを置く。
スパークキャッスルのリンクマーカー3つ分、この永続魔法に雷カウンターを置く」

地面に迸る白きサーキットに3度の雷が落ちる。

雷カウンター 8→11

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド。
フィールド魔法『ヴォルタンク・カレントコレクター』により、俺の場のヴォルタンクの攻撃力は、雷カウンターの数×300攻撃力がアップする」

ヴォルタンク・スパークキャッスル ATK5600
ヴォルタンク・コイル ATK3800

-------------------------------------------------
【イーサン】
LP8000 手札:3

①ヴォルタンク・スパークキャッスル ATK5600(雷カウンター:1)
②ヴォルタンク・コイル ATK3800(雷カウンター:2)

フィールド魔法:ヴォルタンク・カレントコレクター(雷カウンター:4)
永続魔法:ヴォルタンク・リファインドサーキット(雷カウンター:4)
伏せカード:1

【ジェン】
LP8000 手札:5
--------------------------------------------------

ジェンは目の前の蒼き要塞を見上げ、思考する。

(フィールド魔法により、奴のモンスターは高い攻撃力と1度の破壊耐性を持つ。
さらにあのLモンスターは1タ―ンに1度のモンスター効果無効を有する。
そして相手ターン中にL召喚を行う下級モンスター。現れるモンスターの性能は未知数…)

ジェンは2時間前のルーカスとの電話を思い出した。
その声は、どこか切羽詰まったように聞こえた。

(兄さんの思いを、決断を…無駄にするな。
命を懸けて、使命を全うしろ)

ジェンは鋭い眼差しで前を向く。

「イレギュラーは排除する。それが私に課せられた使命だ」
その眼は、ただ命令を遂行するための機械のように、ひどく冷徹だった。

「私のターン、ドロー。
手札から『絶鎖獣 スクラッチキャット』を召喚」


■絶鎖獣 スクラッチキャット
 効果モンスター
 レベル4/地/獣/攻撃力1700 守備力800
 このカードの①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 ①:自分メインフェイズに発動できる。
 デッキからレベル4以下の「絶鎖獣」モンスター1体を特殊召喚する。
 この効果に対して相手は効果を発動できない。
 ②:このカードをリリースして「絶鎖獣」モンスターがA召喚した場合に発動できる。
 このカードを手札に戻す。
 

現れたのは、鋼の装を纏った黒猫だった。
鋭く光る双眸は警戒と闘志を宿し、口元からは短く鋭い牙が覗く。
肩から前脚にかけては硬質の装甲が重なり、金属の縁をなぞるように紋様が刻まれている。

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/RUI5qpK
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そのモンスターの効果を瞬時に把握したイーサンは、デュエルディスクに触れる。

「永続罠『ヴォルタンク・レールガン』発動。
デッキがシャッフルされる度に、相手モンスター1体に雷カウンターを置くことができる」

■ヴォルタンク・レールガン
 永続罠
 このカード名の②③の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
 ①:自分または相手のデッキがシャッフルされた場合、相手モンスター1体を対象として発動できる。
 そのモンスターに雷カウンターを1つ置く。
 ②:フィールドの雷カウンターを任意の数取り除いて発動できる。
 取り除いた雷カウンターの数×300ポイントのダメージを相手に与える。
 (最大3000まで)
 ③:フィールドの雷カウンターを任意の数取り除き、相手モンスター1体を対象として発動できる。
 そのモンスターの攻撃力は、取り除いた雷カウンターの数×300ポイントダウンする。


蒼い閃光が走り、イーサンの背後に地を震わせて鋼の巨砲が姿を現す。
滑らかな装甲に幾筋もの導電ラインが走り、中心の砲身は青白く脈動するエネルギーを帯びていた。
冷たい金属光沢の機構が音もなく展開し、まるで意思を持つ兵器のようにゆっくりと砲口を敵へと向ける。


「スクラッチキャットの効果発動。
1ターンに1度、デッキからレベル4以下の『絶鎖獣』モンスターを1体特殊召喚する。
この効果に対して相手はカード効果をチェーンできない。
現れよ、『絶鎖獣 チップモール』」


■絶鎖獣 チップモール
 効果モンスター
 レベル4/地/獣/攻撃力1700 守備力1200
 このカードの①の効果は1ターンに1度しか使用できず、
 ②の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
 ①:自分メインフェイズに発動できる。
 デッキから「絶鎖獣」モンスター1体を手札に加える。
 この効果に対して相手は効果を発動できない。
 ②:自分・相手エンドフェイズに発動できる。
 このカードを墓地から特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。
 ③:このカードをリリースして「絶鎖獣」モンスターは以下の効果を得る。
 ●このカードは相手の効果で破壊されない。


現れたのは、鋼の装甲をまとったモグラの戦士だった。
全身を覆う板金は緻密に組み上げられ、関節の動きに合わせて金属音を響かせる。
額には灯具が固定され、透明なレンズの奥で淡い光が脈打つ。
前脚の鉤爪は厚く鋭く、硬質な刃のように先端まで研ぎ上げられていた。

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/H14LBYd
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「デッキがシャッフルされたことで、フィールド魔法と俺のモンスターに雷カウンターが置かれる。
スパークキャッスルのリンク先のヴォルタンク・コイルには、さらに1つカウンターが置かれる」

イーサンのフィールドに、同時に4本の雷が落ちる。

雷カウンター 11→15

「さらに永続罠『ヴォルタンク・レールガン』の効果発動。
デッキがシャッフルされた時、相手モンスター1体…スクラッチキャットに雷カウンターを置く」

イーサンの背後の電磁砲が、スクラッチキャットにレーザーを放つ。
スクラッチキャットは雷に打たれたように身を震わせると、その頭上に1つの光が浮かんだ。

雷カウンター 15→16

雷カウンターが増えたことで、イーサンのモンスターの攻撃力も上昇する。

ヴォルタンク・スパークキャッスル ATK7100
ヴォルタンク・コイル ATK5300


「チップモールの効果発動。1ターンに1度、デッキから絶鎖獣モンスター1体を手札に加える。
この効果に相手はチェーンできない」

スクラッチキャットと同様、このモンスターもチェーン不可の効果を持つ。
ジェンのデッキの特徴が段々と見えてきた。

(またチェーンできない効果か…。これじゃスパークキャッスルのモンスター効果無効を使えねえ)
遊次はイーサンの背後で腕を組む。

「私は『絶鎖獣 スナップハウンド』を手札に加える」

「この瞬間、シャッフルが発生したことで再び俺の場のカードに雷カウンターが置かれる。
さらにヴォルタンク・レールガンの効果発動。お前のチップモールに雷カウンターを置く」

フィールドには数多の雷が落ち、チップモールには電気のビームが浴びせられる。

雷カウンター 16→21

ヴォルタンク・スパークキャッスル ATK8600
ヴォルタンク・コイル ATK6800

イーサンのモンスターは尋常でない攻撃力を叩きだしている。
しかしジェンは動じることなく淡々とデュエルを進める。

「フィールドに絶鎖獣が存在する場合、このモンスターは手札から特殊召喚できる。
現れよ『絶鎖獣 スナップハウンド』」

■絶鎖獣 スナップハウンド
 効果モンスター
 レベル5/地/獣/攻撃力2200 守備力1400
 このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
 ②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 ①:自分フィールドに「絶鎖獣」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
 ②:自分フィールドの「絶鎖獣」モンスター1体をリリースして発動できる。
 デッキから「絶鎖獣」永続魔法カード1枚を選んで、自分の魔法&罠ゾーンに置く。
 この効果に対して相手は効果を発動できない。
 ③:このカードをリリースして「絶鎖獣」モンスターがA召喚した場合、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象に発動できる。
 そのカードを破壊する。


現れたのは、黒鉄の装甲を纏った、筋骨たくましい漆黒の猟犬だった。
体表は深い闇色の毛皮で覆われ、肩、背中、そして四肢の主要な箇所には、鋭利な角を持つ硬質のプレート装甲が重ねられている。
装甲の表面には、くすんだ黄金の縁取りと菱形の紋様が、重厚な意匠として深く刻み込まれていた。
鋭く光る赤橙色の双眸は獰猛な力を宿し、大きく裂けた口元からは、獲物を引き裂く長く鋭い牙が剥き出しになっている。

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/PUnpOF7
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「スナップハウンドの効果発動。
フィールドの絶鎖獣1体をリリースし、デッキから「絶鎖獣」永続魔法を1枚、フィールドに置くことができる。
この効果もチェーン不可。スクラッチキャットをリリースし、デッキから『絶鎖獣の先導』を置く」


■絶鎖獣の先導
 永続魔法
 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 ①:相手ターンに発動できる。
 「絶鎖獣」モンスター1体をA召喚する。
 この効果に対して相手は効果を発動できない。
 ②:自分メインフェイズに発動できる。
 デッキからレベル7以上の「絶鎖獣」モンスター1体を手札に加える。
 その後、そのモンスターを召喚することができる。


スクラッチキャットがリリースされたことで、置かれていた雷カウンターが1つ消える。
雷カウンター 21→20

「シャッフルが発生したことで、フィールドに雷カウンターが置かれる。
さらにヴォルタンク・レールガンによりスナップハウンドに雷カウンターを置く」

雷カウンター 20→25

ヴォルタンク・スパークキャッスル ATK9800
ヴォルタンク・コイル ATK8000


(あの男のモンスターは、どれもアドバンス召喚のためにリリースされた場合の効果を持っている。
つまり、奴の本命はアドバンス召喚…)

イーサンは、ジェンのフィールドの雷を纏う2体のモンスターを見つめ思考する。

(ヴォルタンク・コイルの効果で能動的にリンク召喚し、
リンク4のヴォルタンク・プラズマウェイブタワーを召喚すれば、雷カウンターが置かれたモンスターをデッキへ戻すことができる。
だが永続魔法『絶鎖獣の先導』によって、その効果にチェーンして手札からアドバンス召喚されてしまう。
そうなれば、俺はただアドバンテージを失うだけだ)

ジェンのデッキにはチェーン不可の効果が多いとはいえ、全ての効果がそうではない。
スパークキャッスルのモンスター効果無効が有効な場合も存在する。

さらにヴォルタンク・コイルのフリーチェーンでのリンク召喚効果を残しておけば、相手の意表を突くことや、対象に取られた場合に回避することも可能だ。
これによってリンク4のプラズマウェイブタワーを呼び出せば、雷カウンターの乗った相手モンスターをバウンスできる。
この効果は今使用してもジェンの永続魔法によって回避されてしまう一方、相手がアドバンス召喚したモンスターに対して使えば、有効打となりうる。

(ここでコイルの効果を使っても意味がない。ここはひとまず様子見だ)
イーサンは僅かの間に思考を巡らせ、結論を出した。

「永続魔法『絶鎖獣の先導』の効果発動。
1ターンに1度、デッキからレベル7以上の絶鎖獣モンスターを手札に加える。
デッキから『絶鎖獣 レンドウルフ』を手札に加え、さらに永続魔法の効果によりアドバンス召喚を行う!」

ジェンは手札に加えたレンドウルフのカードを高らかと掲げる。

「私は、チップモールとスナップハウンドをリリースし、アドバンス召喚!」

2体のモンスターは瞬く間に、まばゆい光の粒子となって砕け散る。
その無数の光は、大地から吹き上がる荒々しい風に乗り、一つの渦となって天へと昇華した。
これから始まる力の解放に、デュエルフィールドの空気が張り詰める。
2体のモンスターに置かれていた雷カウンターも、宙へと霧散する。

雷カウンター 25→23

「何人も縛り得ぬ獰猛なる狼よ、その大牙で運命の鎖を嚙み千切れ!」
光の柱が立つその場所で、次に現れる巨躯が世界を圧するかのように、生々しい獣の咆哮が響き渡る。

「アドバンス召喚!現れよ『絶鎖獣 レンドウルフ』!」


■絶鎖獣 レンドウルフ
 効果モンスター
 レベル7/地/獣/攻撃力2700 守備力2500
 このカードの①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 ①:フィールド上のカード1枚を対象として発動できる。
 そのカードを破壊する。このカードがA召喚している場合、
 その後、この効果の発動時に積まれていたチェーン上の、全ての相手カードを破壊する。
 この効果に対して相手は効果を発動できない。
 この効果は相手ターンでも発動できる。
 ②:自分の墓地の「絶鎖獣」モンスターを3体まで除外して発動できる。
 このカードの攻撃力は除外したモンスターの数×1000アップする。
 この効果に対して相手は効果を発動できない。
 ③:このカードをリリースして「絶鎖獣」モンスターがA召喚した場合に発動できる。
 全ての相手モンスターの攻撃力・守備力を0にする。
 この効果に対して相手は効果を発動できない。


閃光の中から、青銅色の鋼を纏った巨大な狼が重々しく大地を踏みしめて出現する。
鋭利なトゲと板金で補強された甲冑を全身に纏っている。。
眼窩に燃える灼熱の瞳は獲物を射貫き、分厚い肉体と巨大な鉤爪が、爆発的な破壊力を内に秘めていることを示す。

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/Jx7zHBp
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レンドウルフはまるで鎖を断ち切ったかのようにその身を振るいながら、大きく咆哮した。
今この場に解き放たれた力そのものが、空間そのものを捻じ曲げるかのような重圧を放った。
イーサン達には一目でわかった。このモンスターこそが、ジェンの切り札であると。

「…永続魔法『絶鎖獣の先導』の効果でデッキがシャッフルされたことで、俺のカードに雷カウンターが置かれる」
雷カウンター 23→27

「アドバンス召喚のためにリリースされた『絶鎖獣 スナップハウンド』の効果発動。
相手の魔法・罠カードを1枚破壊する。フィールド魔法『ヴォルタンク・カレントコレクター』を対象とする」

「ヴォルタンク・レールガンの効果発動。
デッキがシャッフルされたことで、お前のレンドウルフに雷カウンターを1つ置く」

レールガンから放たれた青白い電撃がレンドウルフの巨躯を直撃するも、煩わしげに身を一つ振り払っただけで、その強烈な電流を打ち破った。
直後、その電撃の残滓が、レンドウルフの頭上を漂うように一つの光に収束する。

雷カウンター 27→28

「チェーン1のスナップハウンドの効果により、貴方のフィールド魔法は破壊される」

スナップハウンドの影が、イーサンとジェンの周囲を一瞬にして駆け巡った。
その影は、視認できないほどの超高速の残像となり、場に残された無数のアンテナを次々と切り裂く。
周囲から甲高い金属の砕ける音が連続で響き渡った瞬間、アンテナの群れは、鋭い破片となって宙に舞い、一斉に砕け散った。

雷カウンター 28→20

これに伴い、上昇していたイーサンのモンスターの攻撃力も元に戻る。

ヴォルタンク・スパークキャッスル ATK2300
ヴォルタンク・コイル ATK500

(攻撃力は戻ったけど、イーサンにはまだ手数がある。全然戦えるよね)
灯は胸の前で強く拳を握り、闘いの行く末を見守る。

「永続魔法『ヴォルタンク・リファインドサーキット』の効果発動。
フィールドのカードが場から離れた時、置かれていた雷カウンターを別のカードへと移す。
フィールド魔法に置かれていた8つの雷カウンターを、お前のレンドウルフに置く」

遊次はイーサンの後ろで、次の動きを考える。

(雷カウンターを溜めれば、レールガンでレンドウルフの攻撃力を下げられるはずだ。
こんだけカウンターがありゃ、余裕で攻撃力は0にできる…!)

遊次はイーサンの盤石な布陣に希望を抱いていた。
ヴォルタンク・レールガンは雷カウンターを取り除き、その数×300相手モンスターの攻撃力を下げる効果を持つ。
しかし当の本人であるイーサンは、様子を伺うかのようにジェンに視線を送っている。
そして、ジェンはそれに応えるかのように拳を握り、左腕を突き上げた。

「『絶鎖獣 レンドウルフ』の効果発動!お互いのターンに1度、フィールドのカード1枚を破壊する!
この効果に対して相手はチェーンできない。
私は『ヴォルタンク・スパークキャッスル』を破壊!」

(…意外と大したことねえな。警戒して損したぜ。
スパークキャッスルは破壊されちまうが、レールガンがありゃレンドウルフの攻撃力は0にできる。問題ねえ)

どんな強力な効果が飛んでくるのかと警戒していた怜央は、小さく息を吐く。
しかし、ジェンの切り札ともあろうモンスターが、これで終わるはずはなかった。

「レンドウルフがA召喚している場合、この効果と同一チェーン上にあるカード効果は、全て破壊される。
よって、リファインドサーキットは破壊され、雷カウンターを置く効果は適用されない」

「なんだって…!」

リファインドサーキットが破壊されたことで、地面に走っていた白いサーキットが砕け散る。
フリーチェーンでの破壊効果に、チェーン不可。さらには同一チェーン上のカードまで破壊してしまう。
その効果は抗えぬ暴力であった。

レンドウルフは、青銅の甲冑に覆われた剛腕を振り上げ、大地を割る勢いで地面に叩きつけた。
その一撃で発生した衝撃波が、スパークキャッスルの強固な外壁を貫通し、ひび割れさせた。
次の瞬間、レンドウルフは大地を駆け、鋼鉄の爪で城塞の核を正面から粉砕した。
スパークキャッスルは轟音と共に爆発的に崩壊し、巨獣の力の前で瓦礫の山と化した。

雷カウンター 20→15

1体のモンスターの降臨によって、溜まっていたカウンターは半分にまで落ちた。
しかし遊次は笑みを浮かべている。

「まだカウンターは15個ある。9個取り除いてレールガンの効果を使えば、レンドウルフの攻撃力は0だ。
下級モンスターのヴォルタンク・コイルすら倒せなくなる」

その事実は一目瞭然だった。しかしイーサンは険しい表情のままだ。
その理由は次なるジェンの行動によってすぐに明らかとなる。

「『絶鎖獣 レンドウルフ』の効果発動!
1ターンに1度、墓地の絶鎖獣を3体まで除外し、その数×1000、攻撃力を上げる。
墓地のスクラッチキャット、チップモール、スナップハウンドを除外し、攻撃力は3000ポイント上昇する!」

レンドウルフの青銅の鎧が、熱を帯びたように赤く鈍い光を放つ。
次の瞬間、レンドウルフはただ力を発散させるかのように低く吠えた。

絶鎖獣 レンドウルフ ATK5700

「これじゃ、レールガンを使ってもイーサンのモンスターは破壊されちゃう…」
灯は奥歯を噛む。

「バトル。『絶鎖獣 レンドウルフ』で『ヴォルタンク・コイル』に攻撃!」

レンドウルフは低く唸り、地を抉るように前脚を踏み込んだ。
全身の毛が逆立ち、紅い光を宿した瞳がイーサンを射抜く。

「…楔を打ち込むなら、ここしかない…!」
イーサンは眼前の巨獣を見つめながら、覚悟を決めたようにデュエルディスクに触れる。

「罠カード『ヴォルタンク・レールガン』の効果発動!
フィールドの雷カウンターを全て取り除き、その数×300、相手モンスター1体の攻撃力を下げる!」

雷カウンター 15→0

周囲に漂う光の球が、微かな震動とともにひとつ、またひとつと電磁砲の砲身へ吸い寄せられていく。
空気が帯電し、金属が軋むような高音が響く。
砲身の内部では青白い閃光が螺旋を描き、圧縮された電気の奔流が限界まで膨張した。
次の瞬間、眩い光線が放たれ、一直線にレンドウルフを貫く。
轟音とともに閃光が弾け、獣の全身を電撃が走り抜けた。

絶鎖獣 レンドウルフ ATK1200

「…なるほど。次なる展開のためにカウンターはいくつか残しておくと踏んでいたが、リスクを負ってでもレンドウルフの攻撃力を極限まで下げるとは。
しかし、ヴォルタンク・コイルの攻撃力は上回っている。攻撃は続行される!」

次の瞬間、巨体が弾けるように跳び、爪が閃光を描いて振り下ろされる。
鋭い衝撃が空気を裂き、その一撃は咆哮とともにヴォルタンク・コイルを粉砕した。

「ぐっ…!」
イーサン LP8000 → 7300

「私はカードを1枚伏せてターンエンド。
チップモールをリリースしてアドバンス召喚したレンドウルフは、相手の効果で破壊されない」

-------------------------------------------------
【イーサン】
LP7300 手札:3

永続罠:ヴォルタンク・レールガン

【ジェン】
LP8000 手札:4

①絶鎖獣 レンドウルフ ATK1200

永続魔法:絶鎖獣の先導
伏せカード:1
--------------------------------------------------

フリーチェーンの破壊効果と、同一チェーン上にあるカードの破壊。その効果に対してはチェーン不可。
まさにレンドウルフの効果は、何人も抗えぬ傍若無人といえる力だった。
イーサンは雷カウンターを全て消費することでなんとか抗ったものの、それと同時にヴォルタンクデッキの潤滑に必要なカウンターを失ったことを意味する。

遊次達はイーサンの背中を見つめる。
彼らは必ずイーサンには勝算があるのだと確信していた。
イーサンはデッキトップに指を置き、考えを巡らせる。

(相手のカードにチェーンし、そのチェーン上にあるカードまで全て破壊する…それがレンドウルフの効果。
だが、その効果も万能じゃない)

「俺のターン、ドロー!
手札から『ヴォルタンク・リレー』を召喚」


■ヴォルタンク・リレー
 効果モンスター
 レベル3/光/雷/攻撃力1200 守備力900
 このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 ①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
 お互いのデッキがシャッフルされる度に、このカードに雷カウンターを1つ置く。
 ②:このカードが召喚した場合、
 墓地のレベル4以下の「ヴォルタンク」モンスター1体を対象として発動できる。
 そのモンスターを特殊召喚する。
 ③:自分フィールドの「ヴォルタンク」モンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。
 このカードを手札から特殊召喚し、フィールドのモンスターの数だけ、
 フィールドの表側カードに雷カウンターを置く。


直方体の形状をしていた装置のような青色のモンスターが現れる。
前面中央には、固定された小型のボタンスイッチが配置され、両側にはそれぞれ金属製の端子が設置されている。

モンスターデザイン:ttps://imgur.com/a/J4rW1NM
※URLの最初に「h」を付けてURLを開くと画像を表示可能


「ヴォルタンク・リレーの召喚時、効果発動。墓地のレベル4以下のヴォルタンクを復活させることができる。
俺は墓地の『ヴォルタンク・エンジン』を選択」

イーサンは伺うようにジェンを見る。
ジェンはヴォルタンク・リレーの効果には何も反応しなかった。

(やはりそうだ。ただの下級モンスター1体にレンドウルフの効果は使わない)
イーサンの考えはさらに確信に変わりつつあった。

(奴がレンドウルフの効果を使用するのは、破壊に値する対象が現れた場合。
逆に言えば、それまでレンドウルフによって俺の展開が止められる可能性は低いってことだ)

チェーン上で連鎖する破壊。
しかしこの効果を有効活用する場合、1度の破壊でより多くイーサンにディスアドバンテージを与えたいとジェンは考える。
発動タイミングが1度である以上、ジェンの視点に立てば、この効果を軽々しく使うのはリスキーだ。
イーサンにはまだ手札に十分なリソースがある以上、この初動にレンドウルフを使うのは安直な選択といえる。

レンドウルフの破壊効果は、リンクモンスターなどの、破壊することでイーサンのアドバンテージを大きく削ぐことができる場合に使用するべきである。
イーサンは相手の視点に立ち、その考えに辿り着いた。

(俺が考えるべきは…奴が破壊したいと思えるカードがない間に、いかに動くかだ)

「ヴォルタンク・リレーの効果により、墓地からヴォルタンク・エンジンを特殊召喚する」
複数のランプや操作盤を露わにした蒼き光沢をもつモンスターが再び姿を現す。

「ヴォルタンク・エンジンの特殊召喚時の効果発動。
デッキから『ヴォルタンク・コンデンサ』を手札に加える。
この時シャッフルが発生したことで、俺の2体のモンスターに雷カウンターが置かれる」

リレーとエンジン、2体の下級モンスターに雷が落ちる。
雷カウンター 0→2

「さらに永続罠『ヴォルタンク・レールガン』の効果発動。
シャッフルが発生した時、相手モンスター1体に雷カウンターを1つ置く。対象はレンドウルフだ」

レールガンから青白い電撃が放たれ、レンドウルフを貫通する。
レンドウルフの体は電気を纏い、頭上には白い光の球が1つ浮かび上がる。

雷カウンター 2→3

「魔法カード『ヴォルタンク・リブート』発動。
墓地のヴォルタンクを復活させる」


■ヴォルタンク・リブート
 通常魔法
 このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 ①:自分の墓地の「ヴォルタンク」モンスター1体を対象として発動できる。
 そのモンスターを特殊召喚する。
 ②:このカードが墓地に存在する場合に発動できる。
 墓地のこのカードをデッキに加えてシャッフルする。
 その後、自分はデッキから1枚ドローする。

「再び現れよ『ヴォルタンク・スパークキャッスル』!」

イーサンの前に、再び蒼き巨大な城塞が姿を現す。
リンク3のモンスターが現れたが、ここでもジェンは破壊効果は使用しなかった。
そしてジェンがそう判断することもイーサンには読めていた。

(俺の場のモンスターはすでにレンドウルフの攻撃力1200を上回っている。このまま攻撃すればレンドウルフを倒せるかもしれない。
だが、奴には伏せカードもある。無策で攻撃するより、ここはちゃんと準備する方がいい)

イーサンは冷静に状況を分析する。

「スパークキャッスルの効果発動。雷カウンターを2つ取り除き、墓地のヴォルタンクをリンク先に特殊召喚する。
現れろ『ヴォルタンク・モーター』」

雷カウンター 3→1

精密な歯車とねじ部品が露出した蒼き小さなモンスターが現れる。

-------------------------------------------------
【イーサン】
LP6200 手札:2(コンデンサ)

①ヴォルタンク・リレー ATK1200
②ヴォルタンク・エンジン ATK1800
③ヴォルタンク・スパークキャッスル ATK2300
④ヴォルタンク・モーター ATK1100

永続罠:ヴォルタンク・レールガン

【ジェン】
LP8000 手札:4

①絶鎖獣 レンドウルフ ATK1200(雷カウンター:1)

永続魔法:絶鎖獣の先導
伏せカード:1
--------------------------------------------------

「一気にモンスターが4体並んだ。これなら1回のシャッフルでもやべえほどカウンターが溜まる。
そうなりゃ、レールガンで今度こそレンドウルフの攻撃力は0にできる」

怜央はフィールドを見つめ、静かに口角を上げる。

「イーサンの狙いはそれだ。こんだけモンスターを並べられたら、どのカードを破壊してもイーサンの展開は止められねえ。その状態で雷カウンターを溜めれば、レンドウルフの攻撃力を0にできるってわけだ」

「そうなったらあのジェンって人は、レールガンにチェーンして破壊効果を使うしかない。それでもまだイーサンにはいっぱいモンスターがいるから、展開には困らないよね」

遊次と灯もイーサンの戦略に気付いたようだ。

イーサンは前のターン、全てのカウンターを消費してレールガンの効果でレンドウルフの攻撃力を下げた。
それによって、このターンは雷カウンターをたった6個消費すれば、レンドウルフの攻撃力は0にすることができる。
これは前のターン、展開の要であるカウンターを全て消費し、レンドウルフの攻撃力を下げる判断をしたイーサンの機転によるものだ。
あそこでカウンター消費を渋っていれば、このターンにレールガンを破壊され、レンドウルフは高い攻撃力を維持していただろう。そうなればコストとして消費したカウンターだけが消える結果となってしまう。

「いくら強力なモンスターといえど、たった1体で俺の雷電を止めることはできない。
ここからは好きにやらせてもらう」

イーサンの言葉に、ジェンは静かに言葉を返す。

「…一片の歪みすらも許すわけにはいかない。
我らの計画にも、このデュエルにも」

ジェンは左腕のデュエルディスクをゆっくりと掲げ、魔法&罠ゾーンカードに触れる。

「永続罠発動。『絶鎖獣の覇気』!」

■絶鎖獣の覇気
 永続罠
 このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 ①:相手フィールドの全てのモンスターは以下の効果を得る。
 ●相手がモンスター効果を発動した場合に発動する。
 このカードの攻撃力は半分となる。
 ②:自分フィールドにレベル7以上の絶鎖獣モンスターが攻撃対象となった場合に発動できる。
 その相手モンスターを破壊する。

「この永続罠は、全ての相手モンスターにある効果を与えるカードだ」

「相手モンスターに…効果を与える?」
遊次は眉をしかめ警戒を強める。

「この罠カードによって、今貴方の全てのモンスターは、
『相手モンスターが効果を発動した場合に発動し、自身の攻撃力が半分となる』強制効果を得た」

一見、ただ攻撃力が下がるだけのように思える。
しかし、その恐ろしさに遊次達が気付かないはずがなかった。

「やべえぞイーサン!もし、アイツが今"別の"モンスター効果を発動できるとしたら…!」
イーサンは一瞬後ろを振り向いた後、その言葉の意味を瞬時に理解し、再び前を向く。

そしてジェンはすでに、手札のある1枚のカードを表側に向けていた。

「手札の『絶鎖獣 グライズバット』の効果発動。
自分・相手メインフェイズに、このカードを手札から特殊召喚できる」


■絶鎖獣 グライズバット
 効果モンスター
 レベル3/地/獣/攻撃力800 守備力600
 このカードの①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 ①:自分・相手メインフェイズに発動できる。
 このカードを手札から特殊召喚する。
 ②:自分フィールドの「絶鎖獣」カードが破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。
 この効果に対して相手は効果を発動できない。
 ③:このカードをリリースして「絶鎖獣」モンスターは以下の効果を得る。
 ●このカードは戦闘で破壊されない。


「この瞬間、『絶鎖獣の覇気』によって得ている貴方のモンスター効果は、強制的に発動する!」

イーサンのフィールドのヴォルタンクが一斉に震え始め、光を放つ。
デュエルディスクに映し出されるヴィジョンには、チェーンが大量に積み上がっている。

そして、このあと何が起きるかは一目瞭然だった。

「『絶鎖獣 レンドウルフ』の効果発動。
罠カード『ヴォルタンク・レールガン』を破壊」

レンドウルフは深く息を吸い込むと、全身の鋼鉄の甲冑が軋むほどの雄叫びを上げた。
巨獣は一瞬にして獲物を狙う獣の如く前傾姿勢へと移行し、その鋭利な鉤爪には、赤黒い破壊の奔流が一気に凝縮される。

「この効果にチェーンはできない。
そして、同一チェーン上の全ての相手カードを破壊する」

イーサンは目を見開く。
しかしまともに驚く間すら与えず、爆発的な推進力でレンドウルフが飛び出すと、その鉤爪が渾身の力を込めて空間を斬り裂くように振るわれた。
直後、凄まじい衝撃波が雷鳴のように響き渡り、イーサンの布陣を跡形もなく蹂躙する。

下級のヴォルタンクモンスターは、まるで激しい暴風に晒された砂粒のように宙へと舞い上がり、破壊された。
スパークキャッスル─蒼き要塞の巨大な躯体には巨大な鋭い爪痕が走り、一瞬にして砕け散る。
その破壊の余波は、後方に展開されていたレールガンも容赦なく砕き散らした。

「なっ…」

イーサンのフィールドのモンスターは一瞬にして全滅し、レンドウルフへの有効打であったレールガンも、あっけなく破壊されてしまった。
その凄惨な光景に、遊次たちもただ絶句するほかなかった。

ジェンは、レンドウルフの巨大な側躯の傍らに立つ。
巨獣の体躯から放たれる力の余熱が、周囲の静寂をかき乱していた。

「"獣"の掟はただ一つ。仇なす者は、全て蹂躙する」

レンドウルフが再び雄叫びを上げた。
その轟音は、イーサンたちの思考を一瞬で白く塗り潰し、絶対的な絶望を刻みつけた。


第62話「鎖を絶つ獣」 完



イーサンは全壊したフィールドを立て直そうとするも、絶鎖獣の猛攻は止まらない。
ジェンは新たな上級モンスターを呼び出し、さらに勝利へと駒を進める。
しかし、何度追い詰められようとも、イーサンの闘志は消えなかった。

ジェンは目の前の男に、かつての自分を重ねる。
冷徹に、理知的に、ただ目的だけを果たそうとする…クロム・ナイトシェイドはそのような人間だったはずだと。

何が彼を変えたのか。
ジェンの問いに、イーサンは答える。
「俺は何も変わっちゃいない」と。

「たとえ世界が滅んでも、この小さな希望だけは消させない」


次回 第63話「愚者の道」
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