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参符「ロストプライド」 作:ツバサ
(レミリアの奴・・・一体どんな手を使ってくる・・・?)
あっさりとネオタキオンを破壊させたレミリア。
これが前座というのは魔理沙にも理解できる。しかし、それにしてはあっけなさすぎる。
攻撃力4500のネオタキオンを維持すれば、このデュエルを制することも不可能ではないはずだが・・・。
「・・・どのみちやることは無いな。
私はこれでターンを終了させるぜ」
ターン終了を宣言したと同時に――。
レミリアが、不気味な笑みを浮かべた。
「・・・リバースカード、オープン!!
速攻魔法・・・『染まる幻想』!!」
「・・・!?」
聞いたことのないカード名を聞き、魔理沙は思わず言葉を失う。
仮に「幻想絆」関連だとしても、そんなカードは無かったはず――
「ふふ・・・このカードは自分フィールド上のモンスターが破壊されたターン、破壊された自分のモンスターの中で最も攻撃力が高いモンスター1体を除外して発動する。
デッキから・・・攻撃力の合計が除外したモンスターの攻撃力以下になるよう『幻想絆』モンスターを抜き出し、カードを1枚ドローする!!」
「な・・・なんだよその効果!?
発動条件が軽いうえ、最低でも2枚分の手札アドを稼げるカードだと!?なんでそんなカードが・・・」
明らかに規制されかねない効果のカードだ。
プライドの高いレミリアが、そんなカードを平気で使うとは思えないのだが・・・今のレミリアの表情に、そのプライドは欠片も感じられなかった。
「使えるものは使う・・・当然でしょう?
どのみち止めるカードが無いのなら・・・このまま処理させてもらうわよ?
私が除外するのは当然、攻撃力4500のネオタキオン。
そしてデッキからは・・・攻撃力1300の『幻想絆・小悪魔』と・・・そうね、ここは攻撃力2800の『幻想絆・レミリア』を手札に確保しておきましょうかね・・・」
レミリアが抜き出して見せる2枚。
間違いなく「幻想絆」カード。やはりレミリアは「幻想絆」カードによる悪影響を受けているようだ。
そしてレミリアはカードを1枚ドロー。4枚だった手札はいきなり7枚に。この状況は少々厳しいと言えるか。
(・・・ようやく理解したぜ。これまでのレミリアの行動の理由が。
レミリアは「染まる幻想」の効果範囲を広げるため、あえてダークナイトではなく攻撃力4500のネオタキオンを呼び出したんだ・・・。
そしてネオタキオンの効果を使うことなく攻撃を行ったのは・・・破壊されても早めに「染まる幻想」のトリガーになること、仮にこのターンで破壊されなければ、次の奴のターンで効果を使って攻め立てることも可能だったからだ・・・。
ちっ、かなり滅茶苦茶だが、意外と計算されてやがる・・・運命でも見たんじゃないだろうな)
とはいえ、この状況で魔理沙ができることは無い。
諦めてそのままレミリアにターンを渡した。
「私のターン・・・私は『幻想絆・小悪魔』を通常召喚!」
レミリアのフィールドに、長い赤髪、頭と背中に生えた悪魔のような羽が特徴的な小悪魔が出現。
この紅魔館の図書館の主が呼び出した使い魔だ。
攻撃力は先ほど言われた通り1300。
「お注射天使リリー」の攻撃力は、「進化する人類」の効果で2400、効果を発動すれば5400にまで上昇する状態。そんな中で召喚するメリットと言えば・・・。
「このカードが召喚されたことで、モンスター効果が発動。
墓地、デッキから『幻想絆・パチュリー』を1枚手札に加える。
デッキから手札に加えさせてもらうわね・・・」
さらにカードが増えたことで、レミリアの手札は8枚に維持されたまま。
下手したらこのままラッシュを仕掛けられてしまうと魔理沙は覚悟したが・・・。
「さらにカードを2枚伏せ、ターン終了よ」
なんと仕掛けることなくターンを終えた。
小悪魔は相変わらず無防備のままである。いくらなんでも露骨すぎだ。
(・・・くそ、さっきからこっちを惑わしやがって・・・いや、落ち着け私。デュエルはまだ始まったばかりだぜ。
確実な一手を仕掛けるのが一番だ)
「・・・私のターン!」
手札は4枚。しかし手札6枚のあちらと比べるとそれなりに頼りない枚数。
だが魔理沙も、今の自分が打てる最善の手を打つしかない。まずは手札の1枚に手をかけた。
「私は『魔装戦士 アルニス』を召喚するぜ!」
新たに魔理沙の場に現れたのは、紅い竜のような鎧に身を包んだ戦士。
攻撃力1700。相手モンスターの攻撃で破壊されれば、デッキから攻撃力1500以下の魔法使い族1体を攻撃表示で特殊召喚できるモンスターだ。
・・・が、その性能は生かされることは無かった。
「・・・罠カード、『激流葬』!!」
「・・・はっ?」
魔理沙の間抜けな声が漏れると同時に、フィールドに文字通りの激流が流れ始めた。
「激流葬」はモンスターの召喚、反転召喚、特殊召喚時に発動し、フィールドのモンスター全てを破壊する罠カード。
つまり、「幻想絆・小悪魔」を含む全モンスターが消滅するわけである。
アルニスは勿論のこと、攻撃力2400のリリーは、「進化する人類」もろとも流され、そのまま破壊されてしまった。
・・・フィールドは伏せられた魔法、罠カード以外存在しな殺風景なものとなった。
「・・・水の流れが苦手なんだろ?よくそんなの入れたな?」
「使えるものは使う・・・よ?
ふふ・・・それに、破壊されたことで『幻想絆・小悪魔』の効果が発動!
手札1枚とライフ500をコストとして、手札から『幻想絆・パチュリー』1体を守備表示で特殊召喚できる!!」
少女が一人、宙からふわりと降り立つ。
紫髪、縦縞のゆったりした服を着たその少女こそ、小悪魔を呼び出した魔法使い、パチュリー・ノーレッジである。
守備力は1200、攻撃力ですら2100と若干頼りない数値だが、通常召喚を行った後の魔理沙が戦闘で破壊する術は無かった。
「・・・ターンを終了させるぜ」
「なら・・・私のターン」
レミリアが静かにカードをドローし、手札を5枚にするところを見ながら、魔理沙は一人思考する。
(・・・私が伏せたカードは「ピンポイント・ガード」。
相手の攻撃宣言時、墓地のレベル4以下のモンスター1体を守備表示で召喚し、このターンのみそのモンスターに戦闘、効果破壊耐性を与える罠カードだ。
奴が攻撃しようものなら、「お注射天使リリー」をこのカードで復活させて、次のターンで反撃するつもりなんだが・・・嫌な予感がするぜ)
その予感は、悪い意味で見事的中することとなる。
レミリアは2枚の手札を抜き出し、魔理沙に見せつけた。
「『幻想絆・パチュリー』の効果発動!
1ターンに1度、異なる属性のモンスターを2枚まで捨てることで、7つ存在する効果のうち対応した効果を発動する!
私は・・・水属性の『幻想絆・チルノ』と、風属性の『幻想絆・大妖精』を手札から捨てるわ!」
「チルノに大妖精・・・近くで回収したのか?あの二人は見当たらないが・・・」
ひょっとしたら二人も紅魔館で保護されているのかもしれない。
が、それを心配する余裕は無かった。パチュリーは呪文を詠唱し、まずはレミリアの周囲を泡で包み込む。
「水属性モンスターを捨てた場合、私のライフを1000回復する。
私のライフは6600、よって7600に。
そして・・・風属性を捨てた場合の効果を発動!」
続いて呪文を唱えるパチュリー。
魔術書から放たれた旋風は、魔理沙が伏せていた罠カード・・・「ピンポイント・ガード」をズタズタに斬り裂き、消滅させてしまった。
「・・・魔法、罠1枚を除外する効果かよ・・・!?」
「いいカードを葬ったわね・・・これで心置きなく攻撃できる・・・と言いたいところだけどね。
効果を発動したターン、パチェは攻撃できないのよね・・・だからここでさらに通常召喚、『幻想絆・美鈴』!!」
スタっと音を立てながら決闘陣に降り立ったのは、華人服に身を包む赤髪ロングヘアーの女性、紅美鈴。
攻撃力1600と純アタッカークラス。しかしこの状況ではその攻撃力でも少々辛い。
「行きなさい・・・美鈴でダイレクトアタック!!」
勢いよく走り、そのまま強烈な飛び蹴りを魔理沙にぶちかます美鈴。
もろに受けた魔理沙は吹っ飛び、そのライフを4400にまで減少させた。
「ぐっ・・・いてて。
やっぱダメージも実体化してるんだな・・・こりゃ負けるわけにはいかないぜ」
胸のあたりを押さえながら立ち上がる魔理沙。
リリーの効果によるライフコストが地味に効いてきたところだ。
軽視されがちなLPだが、やはり勝敗を分ける重要な要素。軽々しく扱うことはできない。
「このままターン終了・・・これで終わりになるのかしらねぇ?」
「なんの・・・私のターンだ!」
半ばやけくそのようにカードをドローする魔理沙。
が、ドローしたカードを見ると・・・即座に真面目な表情に戻る。
「・・・どうしたのかしら?
その程度のデッキで、この局面を逆転できるとは到底思えないのだけどねぇ・・・」
「へへ、言ってな。
悪いが簡単にあきらめるつもりはさらさらないんでな・・・行くぜ!『幻想絆・魔理沙』を手札から通常召喚!」
箒に跨って現れる自身の分身、魔理沙。
攻撃力1400。分身にしては情けない攻撃力ともいえるか。
「ふん、そんなカードで何をしようっていうのかしら?」
「こうするっていうのさ。『幻想絆・魔理沙』のモンスター効果発動!」
すると「幻想絆・魔理沙」は唐突に目の前から姿をくらます。
訝しげな表情でその様子を見ていたレミリアだったが・・・良くフィールドを見ると、魔理沙の場にさっきまでは存在しなかったセットカードが置かれているのが見えた。
「・・・そのカードは・・・!?」
「お前の墓地から魔法カードを1枚もらったぜ。
『幻想絆・魔理沙』は自身をリリースすることで、相手の墓地から魔法カード1枚を選択し、自分の場にセットできる効果を持つ。
いただいた魔法カードは・・・『染まる幻想』!!」
「・・・!!」
不利な状況下であきらめることなく、次の一手を打つ魔理沙。
レミリアを正気に戻すことはできるのだろうか・・・?
後書き
昨日は出かけていたので書けなかったツバサ。
さて、今回はようやく「幻想絆」が登場しました。
とはいっても、それをうまく活用したのはレミリアの方でしたがね。魔理沙は最後で効果発動しただけでした。
しかしこのペースじゃこのデュエル、いつ終わることやら・・・。
次回の更新もゆっくり待って行ってね!
あっさりとネオタキオンを破壊させたレミリア。
これが前座というのは魔理沙にも理解できる。しかし、それにしてはあっけなさすぎる。
攻撃力4500のネオタキオンを維持すれば、このデュエルを制することも不可能ではないはずだが・・・。
「・・・どのみちやることは無いな。
私はこれでターンを終了させるぜ」
ターン終了を宣言したと同時に――。
レミリアが、不気味な笑みを浮かべた。
「・・・リバースカード、オープン!!
速攻魔法・・・『染まる幻想』!!」
「・・・!?」
聞いたことのないカード名を聞き、魔理沙は思わず言葉を失う。
仮に「幻想絆」関連だとしても、そんなカードは無かったはず――
「ふふ・・・このカードは自分フィールド上のモンスターが破壊されたターン、破壊された自分のモンスターの中で最も攻撃力が高いモンスター1体を除外して発動する。
デッキから・・・攻撃力の合計が除外したモンスターの攻撃力以下になるよう『幻想絆』モンスターを抜き出し、カードを1枚ドローする!!」
「な・・・なんだよその効果!?
発動条件が軽いうえ、最低でも2枚分の手札アドを稼げるカードだと!?なんでそんなカードが・・・」
明らかに規制されかねない効果のカードだ。
プライドの高いレミリアが、そんなカードを平気で使うとは思えないのだが・・・今のレミリアの表情に、そのプライドは欠片も感じられなかった。
「使えるものは使う・・・当然でしょう?
どのみち止めるカードが無いのなら・・・このまま処理させてもらうわよ?
私が除外するのは当然、攻撃力4500のネオタキオン。
そしてデッキからは・・・攻撃力1300の『幻想絆・小悪魔』と・・・そうね、ここは攻撃力2800の『幻想絆・レミリア』を手札に確保しておきましょうかね・・・」
レミリアが抜き出して見せる2枚。
間違いなく「幻想絆」カード。やはりレミリアは「幻想絆」カードによる悪影響を受けているようだ。
そしてレミリアはカードを1枚ドロー。4枚だった手札はいきなり7枚に。この状況は少々厳しいと言えるか。
(・・・ようやく理解したぜ。これまでのレミリアの行動の理由が。
レミリアは「染まる幻想」の効果範囲を広げるため、あえてダークナイトではなく攻撃力4500のネオタキオンを呼び出したんだ・・・。
そしてネオタキオンの効果を使うことなく攻撃を行ったのは・・・破壊されても早めに「染まる幻想」のトリガーになること、仮にこのターンで破壊されなければ、次の奴のターンで効果を使って攻め立てることも可能だったからだ・・・。
ちっ、かなり滅茶苦茶だが、意外と計算されてやがる・・・運命でも見たんじゃないだろうな)
とはいえ、この状況で魔理沙ができることは無い。
諦めてそのままレミリアにターンを渡した。
「私のターン・・・私は『幻想絆・小悪魔』を通常召喚!」
レミリアのフィールドに、長い赤髪、頭と背中に生えた悪魔のような羽が特徴的な小悪魔が出現。
この紅魔館の図書館の主が呼び出した使い魔だ。
攻撃力は先ほど言われた通り1300。
「お注射天使リリー」の攻撃力は、「進化する人類」の効果で2400、効果を発動すれば5400にまで上昇する状態。そんな中で召喚するメリットと言えば・・・。
「このカードが召喚されたことで、モンスター効果が発動。
墓地、デッキから『幻想絆・パチュリー』を1枚手札に加える。
デッキから手札に加えさせてもらうわね・・・」
さらにカードが増えたことで、レミリアの手札は8枚に維持されたまま。
下手したらこのままラッシュを仕掛けられてしまうと魔理沙は覚悟したが・・・。
「さらにカードを2枚伏せ、ターン終了よ」
なんと仕掛けることなくターンを終えた。
小悪魔は相変わらず無防備のままである。いくらなんでも露骨すぎだ。
(・・・くそ、さっきからこっちを惑わしやがって・・・いや、落ち着け私。デュエルはまだ始まったばかりだぜ。
確実な一手を仕掛けるのが一番だ)
「・・・私のターン!」
手札は4枚。しかし手札6枚のあちらと比べるとそれなりに頼りない枚数。
だが魔理沙も、今の自分が打てる最善の手を打つしかない。まずは手札の1枚に手をかけた。
「私は『魔装戦士 アルニス』を召喚するぜ!」
新たに魔理沙の場に現れたのは、紅い竜のような鎧に身を包んだ戦士。
攻撃力1700。相手モンスターの攻撃で破壊されれば、デッキから攻撃力1500以下の魔法使い族1体を攻撃表示で特殊召喚できるモンスターだ。
・・・が、その性能は生かされることは無かった。
「・・・罠カード、『激流葬』!!」
「・・・はっ?」
魔理沙の間抜けな声が漏れると同時に、フィールドに文字通りの激流が流れ始めた。
「激流葬」はモンスターの召喚、反転召喚、特殊召喚時に発動し、フィールドのモンスター全てを破壊する罠カード。
つまり、「幻想絆・小悪魔」を含む全モンスターが消滅するわけである。
アルニスは勿論のこと、攻撃力2400のリリーは、「進化する人類」もろとも流され、そのまま破壊されてしまった。
・・・フィールドは伏せられた魔法、罠カード以外存在しな殺風景なものとなった。
「・・・水の流れが苦手なんだろ?よくそんなの入れたな?」
「使えるものは使う・・・よ?
ふふ・・・それに、破壊されたことで『幻想絆・小悪魔』の効果が発動!
手札1枚とライフ500をコストとして、手札から『幻想絆・パチュリー』1体を守備表示で特殊召喚できる!!」
少女が一人、宙からふわりと降り立つ。
紫髪、縦縞のゆったりした服を着たその少女こそ、小悪魔を呼び出した魔法使い、パチュリー・ノーレッジである。
守備力は1200、攻撃力ですら2100と若干頼りない数値だが、通常召喚を行った後の魔理沙が戦闘で破壊する術は無かった。
「・・・ターンを終了させるぜ」
「なら・・・私のターン」
レミリアが静かにカードをドローし、手札を5枚にするところを見ながら、魔理沙は一人思考する。
(・・・私が伏せたカードは「ピンポイント・ガード」。
相手の攻撃宣言時、墓地のレベル4以下のモンスター1体を守備表示で召喚し、このターンのみそのモンスターに戦闘、効果破壊耐性を与える罠カードだ。
奴が攻撃しようものなら、「お注射天使リリー」をこのカードで復活させて、次のターンで反撃するつもりなんだが・・・嫌な予感がするぜ)
その予感は、悪い意味で見事的中することとなる。
レミリアは2枚の手札を抜き出し、魔理沙に見せつけた。
「『幻想絆・パチュリー』の効果発動!
1ターンに1度、異なる属性のモンスターを2枚まで捨てることで、7つ存在する効果のうち対応した効果を発動する!
私は・・・水属性の『幻想絆・チルノ』と、風属性の『幻想絆・大妖精』を手札から捨てるわ!」
「チルノに大妖精・・・近くで回収したのか?あの二人は見当たらないが・・・」
ひょっとしたら二人も紅魔館で保護されているのかもしれない。
が、それを心配する余裕は無かった。パチュリーは呪文を詠唱し、まずはレミリアの周囲を泡で包み込む。
「水属性モンスターを捨てた場合、私のライフを1000回復する。
私のライフは6600、よって7600に。
そして・・・風属性を捨てた場合の効果を発動!」
続いて呪文を唱えるパチュリー。
魔術書から放たれた旋風は、魔理沙が伏せていた罠カード・・・「ピンポイント・ガード」をズタズタに斬り裂き、消滅させてしまった。
「・・・魔法、罠1枚を除外する効果かよ・・・!?」
「いいカードを葬ったわね・・・これで心置きなく攻撃できる・・・と言いたいところだけどね。
効果を発動したターン、パチェは攻撃できないのよね・・・だからここでさらに通常召喚、『幻想絆・美鈴』!!」
スタっと音を立てながら決闘陣に降り立ったのは、華人服に身を包む赤髪ロングヘアーの女性、紅美鈴。
攻撃力1600と純アタッカークラス。しかしこの状況ではその攻撃力でも少々辛い。
「行きなさい・・・美鈴でダイレクトアタック!!」
勢いよく走り、そのまま強烈な飛び蹴りを魔理沙にぶちかます美鈴。
もろに受けた魔理沙は吹っ飛び、そのライフを4400にまで減少させた。
「ぐっ・・・いてて。
やっぱダメージも実体化してるんだな・・・こりゃ負けるわけにはいかないぜ」
胸のあたりを押さえながら立ち上がる魔理沙。
リリーの効果によるライフコストが地味に効いてきたところだ。
軽視されがちなLPだが、やはり勝敗を分ける重要な要素。軽々しく扱うことはできない。
「このままターン終了・・・これで終わりになるのかしらねぇ?」
「なんの・・・私のターンだ!」
半ばやけくそのようにカードをドローする魔理沙。
が、ドローしたカードを見ると・・・即座に真面目な表情に戻る。
「・・・どうしたのかしら?
その程度のデッキで、この局面を逆転できるとは到底思えないのだけどねぇ・・・」
「へへ、言ってな。
悪いが簡単にあきらめるつもりはさらさらないんでな・・・行くぜ!『幻想絆・魔理沙』を手札から通常召喚!」
箒に跨って現れる自身の分身、魔理沙。
攻撃力1400。分身にしては情けない攻撃力ともいえるか。
「ふん、そんなカードで何をしようっていうのかしら?」
「こうするっていうのさ。『幻想絆・魔理沙』のモンスター効果発動!」
すると「幻想絆・魔理沙」は唐突に目の前から姿をくらます。
訝しげな表情でその様子を見ていたレミリアだったが・・・良くフィールドを見ると、魔理沙の場にさっきまでは存在しなかったセットカードが置かれているのが見えた。
「・・・そのカードは・・・!?」
「お前の墓地から魔法カードを1枚もらったぜ。
『幻想絆・魔理沙』は自身をリリースすることで、相手の墓地から魔法カード1枚を選択し、自分の場にセットできる効果を持つ。
いただいた魔法カードは・・・『染まる幻想』!!」
「・・・!!」
不利な状況下であきらめることなく、次の一手を打つ魔理沙。
レミリアを正気に戻すことはできるのだろうか・・・?
後書き
昨日は出かけていたので書けなかったツバサ。
さて、今回はようやく「幻想絆」が登場しました。
とはいっても、それをうまく活用したのはレミリアの方でしたがね。魔理沙は最後で効果発動しただけでした。
しかしこのペースじゃこのデュエル、いつ終わることやら・・・。
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