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HOME > 遊戯王SS一覧 > 零符「予兆、異変の始まり」

零符「予兆、異変の始まり」 作:ツバサ

自然が多く残る幻想郷には、重要な施設が存在する。
その一つが博麗神社。妖怪退治を生業とする博麗の巫女が住む神社であり、また、幻想郷を覆う博麗大結界の管理を行える場所でもあるからだ。
そこに住まう現博麗の巫女は――


「・・・暇ね」

――賽銭箱の隣に腰を掛けながら、退屈そうに神社の鳥居の先を見ていた。
彼女が現博麗の巫女、「博麗霊夢」。
赤と白を基調とし、脇を大きく開けた巫女装束に身を包み、その黒髪は大きなリボンで結われている。
が、仕事が無いときはこうして神社でのんびりとしており、巫女らしさはほとんど感じられない。

「――霊夢ー!茶をもらいに来たぜー!」

「帰れ」

そんなあっさりした会話が繰り広げられる。
茶をもらいに来たその主は、博麗神社上空から箒に乗りつつ降りてくる。
白黒を基調とした服に身を包み、金髪の頭に魔法使いのような大きな帽子をかぶっている。
彼女の名は「霧雨魔理沙」。人間でありながら魔法をそれなりに使える少女だ。
帰れと言った霊夢だが、腰を上げてそのまま神社に入る。
魔理沙も慣れた様子で箒から降りながら縁側の方に移動しているあたり、このやり取りはほぼ日常的なようだ。

霊夢から出されたお茶をすすりつつ、魔理沙は霊夢に話しかける。

「なあ、本当にあれやらないのか?」

「やる必要なんてないでしょ。別に異変が解決できるわけでもないし」

彼女らが話しているのは、今の幻想郷で流行っているカードゲーム、デュエルモンスターズに関することである。
魔理沙もはまっているほどに広まっているのだが、霊夢は一向に興味を示さない。
勿体ないなぁ、と魔理沙は呆れた表情を見せるが、霊夢はどこ吹く風である。
そんな中、二人の前に降り立ったもう一人の少女。

「おや、魔理沙さんもいらっしゃったのですね」

「ん、早苗じゃないか。どうした?」

白と青を基調とした、こちらも大きく脇を開けた巫女装束を身にまとう緑髪の少女は、こことは別の神社、守矢神社の巫女、「東風谷早苗」。
いわばライバルではあるのだが、こうしてしょっちゅう博麗神社に遊びにくる仲ではある。

「決まってます!さあ霊夢さん、あなたも一緒にデュエルモンスターズで満足しましょう!」

「そんなことより賽銭入れなさい」

即座に真っ二つとなる早苗の勧誘。
流石に彼女もしょぼんと頭を項垂れていた。

「はは、そう簡単にこいつが始めないってのは嫌というほどわかってたんだがな。仕方ないから私とやろうぜ?霊夢、参道を使わせてもらうぜ?」

「罰当たり・・・は今更か。好きにしなさい。見物させてもらうから」




「さあ始めるぜ!決闘陣、展開!!」

「参ります!決闘陣、展開!!」

二人がそう宣言を行うと、二人の間に巨大な陣が出現。
二人の腰の辺りまで浮かんでおり、それぞれ近くに40枚のカードの束、デッキをセットすると、陣がさらに強く光り出す。
これこそ、この幻想郷でデュエルモンスターズによる決闘、デュエルを行う際に使用する魔法陣、決闘陣である。
この決闘陣にカードを置くことで、モンスター達が幻影として出現。臨場感のある勝負を楽しむことが可能となるのだ。
そして二人は、高らかに叫ぶ。


――デュエル!!


そうして二人がデュエルを行う様子を、霊夢は再び賽銭箱の横に腰かけながら眺める。
こうして見る分には楽しめる。モンスター同士がぶつかり合う光景は、何度見ても飽きない。
ただ、霊夢はそれだけだった。
それ以上にこのデュエルモンスターズに興味を惹かれることが無い。
ルールの複雑さもあるが、得にならないこのゲームに惹かれる理由が無かったのだ。

そしてデュエルは終盤。早苗の場には「霞の谷のファルコン」、「閃珖竜 スターダスト」の2体が並んでいるのに対し、魔理沙の場にはモンスターが存在しない。
明らかに魔理沙が不利な状況だ。
が、早苗の表情にも余裕はない。LPは2400とまだ少しながら余裕はあるのだが、この数値ですら一瞬で削り取られるのがデュエルだ。
魔理沙のLPは2100。そんな逆境に立たされてなお、魔理沙は楽しそうにドローを行う。
そして・・・。

「・・・よっしゃ!引いてやったぜ!
私は『お注射天使リリー』を通常召喚だ!」

「こ、この局面でそのカードを引いたんですか!?」

魔理沙が召喚したのは、やたらと巨大な注射を持った白衣の天使。
その攻撃力は400。一見頼りないが、恐るるに値する能力を備えた強力なカードだ。

「こいつが戦闘を行う場合、ライフを2000払えばダメージ計算時のみ、このカードの攻撃力が3000アップする。
つまり、これで3400の攻撃力になるわけだ。
さらに装備魔法、『進化する人類』を装備させるぜ!」

「ちょ!?あなたのライフが私のライフを下回っていれば装備モンスターの元々の攻撃力が2400になるっていうカードですよねそれ!?
てことは・・・合わせて5400になるんですか!?」

「カードを消耗しすぎたなー、これでジ・エンドだぜ!
私は・・・!?」

力を得て生き生きとするリリーに攻撃宣言を支持しようとした魔理沙は、ある異常に気付いた様子。
対戦相手の早苗、傍観者の霊夢は、訝しげな表情で魔理沙を見る。
すると魔理沙は突然決闘陣の中に入り込み・・・。

リリーの肩に、手を置いた。

「え、魔理沙さん・・・どうしたんですか?」

(・・・ん?決闘陣って・・・確か幻影を生み出すものだって言ってたわよね・・・?
でも魔理沙は・・・ん?)

「・・・やっぱりな。
おい、このモンスター達・・・実体化してるぜ?」

「・・・はい?」

首をかしげつつ早苗も決闘陣に入り、ファルコンの肩に手を置く。

「・・・ここここれは!?モンスターに触れてます!
一体何が起きてるんでしょう!?私たち、何かしたわけでもないですし・・・」

あーだこーだ言いながら、本来起こり得るはずのない現象について話し合う二人。
霊夢は霊夢で、この現象を一人考察していた。

(幻影を生み出す決闘陣。その決闘陣から生み出された幻影が、確かな実体を持って具現化・・・これって決闘陣のシステムが書き換わったんじゃないかしら。
じゃないとどうにも説明つかないのよね・・・単なる干渉で実体化なんて簡単にできないし・・・)




3人がそんなことを考えている中、幻想郷上空では雲がかかっていた。
その雲はゆっくりと渦を描き、そして一瞬だけ赤くなったかと思うと・・・。
その中心から、いくつもの「何か」を地上にばら撒いた。
「何か」は幻想郷のいたるところへと散らばっていき、そのすべてが地上に落ちると同時に・・・渦も掻き消えていった。

幻想郷に訪れる新たな異変。
この異変は、これまでとは異なることを、この時点での霊夢が知る由は無かった。




後書き

さて、こうして書きました。東方とデュエルモンスターズを組み合わせた小説。
とはいっても、こうして予兆を書くくらいのものなんですがね。
強いて言うなら、まだはっきりとした形で「幻想絆」カードも出てないですし・・・次の話で登場はさせる予定です。
ここでは初投稿ということで、行の間等は後々工夫していきます。
では、次回の投稿まで気長に待っててくださいな。
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