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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第十話 闇夜での遭遇 VS巨人デュエリス

第十話 闇夜での遭遇 VS巨人デュエリス 作:鈴木颯手

 とある日の夜、龍吾は一人で森の中を歩いていた。別に龍吾が夜に森を散歩する趣味があるわけではない。彼自身基本的に用事がない限り18時までにはブルー寮に戻っているのが普通であり、こんな夜遅くに出歩くことはめったにない。
 ではなぜ龍吾が出歩いているのかと言えば昼間に十代達からお願いされた事がきっかけだった。今のデュエルアカデミアではブルーの生徒を狙った闇討ちデュエリストのうわさが広まっていた。そのデュエリストは闇夜の巨人と呼ばれるほどに体躯がでかく、更にはブルーの生徒を簡単に倒せる腕前をしていた。
 それを受けてクロノス教諭がレポート課題の提出免除を条件に十代に依頼したというのが流れであった。クロノス教諭としてはそんなデュエリストに十代が負ければいいと考えての行動であると同時に勝利するようならそれで構わないと考えての行動だった。
 とはいえそのデュエリストのターゲットはブルーの生徒である。自分たちがいくら探しても会える可能性は低いと判断した十代たちはブルーの生徒で気軽に話が出来る龍吾に囮役をお願いするにいたったのだ。
 龍吾としてもそのデュエリストの噂は耳にしており、気にはなっていたために了承。早速その日の夜から囮役を始めたのである。

「……」

 しかし、デュエルディスクに表示される時刻は日を跨ごうとしており、これ以上粘ってもエンカウントする可能性は低かった。何よりいつもなら既に寝ている時間であり、それなりの眠気に襲われつつあり、今日はここまでにしようと十代に連絡しようとした時だった。

「……オベリスクブルーだな?」
「……」

 幸か不幸か、龍吾の目の前にまさに噂通りの巨人が立っていた。龍吾は十代手早くメールをうつとその巨人と相対した。

「だったらどうした?」
「俺とデュエルしろ」
「……いいだろう。で? アンティルールでやるのか?」

 巨人はアカデミアでは禁止されているアンティルールを用いてデュエルを仕掛けてくる。大半のブルーの生徒は巨人が持つレアカードにつられて敗北しているという話だった。

「勿論だ。俺が負けたらこのカードをやろう。ただし、俺が勝ったらお前の“永遠邪龍-インフィニティ・カオスドラゴン”は俺の物だ」
「……それでいい。始めようか」

 龍吾としては最初から負けるつもりなどないし巨人が提示したカードに興味もなかったがデュエルを受け入れてお互いにデュエルディスクを起動した。

「デュエル!」
「デュエル」
「先行は俺だ。ドロー!」

巨人
手札5枚→6枚

「俺はまずは“強欲で金満な壺”を発動する。このカードの効果により融合デッキのカードを6枚裏側で除外する事で除外したカード3枚につきデッキから1枚ドローする。俺は6枚除外したので2枚ドローする」

巨人
手札5枚→7枚

「俺は“ゴブリンエリート部隊”を召喚する!」

ゴブリンエリート部隊(地/悪魔族 星4)
ATK2200 DEF1500

「更にフィールド魔法“悪霊住み着くアルビオン”を発動する!」

 フィールド魔法の出現により、周囲の形式は一変する。真っ白な崖上のようなそこで、巨人のフィールドのゴブリンたちは力を増したようにオーラを放ちだした。

「このカードの効果によりフィールドのゴブリンと名の付くモンスターの攻撃力・守備力は500アップする」

ゴブリンエリート部隊
ATK2200→2700
DEF1500→2000

「続けて永続魔法“物乞いゴブリン”を発動。手札を2枚セットしてターンエンドだ」
「俺のターン、ドロー」

 黒木龍吾
手札5枚→6枚

「……」

 龍吾は自身の手札を見て眉を潜める。現状では巨人の動きに対応出来るカードはなかった。それどころかまともに相手すら出来ない可能性があった。久しぶりにみた手札事故だ。

「……俺は手札から“大魔術師・バスク”を守備表示で召喚する」

大魔術師・バスク(闇/魔法使い族 星4)
ATK1000 DEF1000

「俺はカードを2枚伏せてエンドフェイズに入る。“大魔術師・バスク”の効果により手札を1枚墓地に送りデッキから1枚ドローする」

黒木龍吾
手札3枚→2枚→3枚


巨人 LP4000
手札2枚
モンスター
ゴブリンエリート部隊
魔法・罠
悪霊住み着くアルビオン(フィールド魔法)
物乞いゴブリン(永続魔法)
セット
セット

黒木龍吾 LP4000
手札3枚
モンスター
大魔術師・バスク
魔法・罠
セット
セット


 手札が悪かったとはいえ盤面だけを見れば巨人の方が優勢に見えるだろう。“悪霊住み着くアルビオン”で攻撃力が上がっている“ゴブリンエリート部隊”がたとえ攻撃を行い守備表示になったとしてもその守備力は2000。並大抵のモンスターでは突破する事は困難な数値だった。

「龍吾! 無事か!?」

 そんなタイミングで十代達が駆けつけてきた。十代達がいた場所から森の中までそれなりの距離があったようで龍吾の予測よりも大分遅い到着だった。

「デュエルは始まっているのか……。状況は……」
「龍吾さんの不利スか?」
「まだ始まったばかりみたいなんだな」

 お互いに最初のターンを終えたばかりであるが普段の龍吾のプレイングを見ている十代と翔はあまりにも動きがない龍吾に手札事故か何かが起きたのかと心配になり、十代達の中でお互いに初対面となる前田隼人だけは五分五分と予測を立てた。

「俺のターン、ドロー!」

巨人
手札2枚→3枚

 しかし巨人は十代達には目もくれずにデュエルを進めていく。

「……俺はリバースカードをオープンし、永続罠“追い剥ぎゴブリン”を発動する。そして手札の“ゴブリンロード”の効果を発動する。自分フィールドにゴブリンと名の付くカードが3枚以上存在する場合このカードを手札から特殊召喚する! 出でよ! “ゴブリンロード”!」

ゴブリンロード(闇/悪魔族 星1)
ATK0→500
DEF0→500

「更に永続魔法“補給部隊”を発動。更に装備魔法“ボーン・ハンマー”を“ゴブリンロード”に装備する! そして“ゴブリンロード”の効果を発動! “ゴブリンエリート部隊”を破壊する事でデッキから1枚ドローする。更に“補給部隊”の効果でさらに1枚ドローする!」

巨人
手札0枚→1枚→2枚

「“ボーン・ハンマー”の効果発動! 装備モンスター自身の効果でモンスターを破壊した場合、破壊したモンスターの攻撃力を吸収する事が出来る!」
「……厄介な」

ゴブリンロード
ATK500→3200

「更に手札から“キングゴブリン”を召喚する」

キングゴブリン(闇/悪魔族 星1)
ATK0→500
DEF0→500

「“キングゴブリン”はこのカード以外のフ悪魔族モンスター1体につき攻撃力を1000アップできる。よって攻撃力は1500となる」

キングゴブリン
ATK500→1500

「バトル! “キングゴブリン”で“大魔術師・バスク”を攻撃!」
「……」

 “キングゴブリン”の右ストレートを受けてあっけなく破壊される“大魔術師・バスク”。しかし、それで巨人の攻撃は終わりではなく、強化されたもう一体の王が待ち受けていた。

「続けて“ゴブリンロード”で直接攻撃!」
「リバースカードオープン。“ディメンション・ウォール”を発動する。これによりこの攻撃のダメージはお前が受ける事になる」
「なんだと!? ぐぅっ!!!」

 身の丈以上の巨大な骨のハンマーを龍吾へと振り下ろす“ゴブリンロード”だが二人の間にワープゲートが発生し、ハンマーはそれに吸い込まれていった。そして、そのゲートは巨人の前に産まれ、そこからハンマーが巨人へと襲い掛かった。

巨人
LP4000→800

「よし! 相手の高火力モンスターの攻撃を防ぎつつダメージを与えた!」
「いいぞ! 龍吾さん!」
「あ! 十代、あれを!」

 そして、ハンマーによって発生した爆風によって巨人がまとっていたブルーのコートがはがれ、巨人が正体を現した。

「あれって、ラーイエローの大原くん!?」

 翔が叫んだ通り巨人の正体はラーイエローに所属する大原だった。しかし、彼はデュエリストではなくカードデザイナーを目指しており、デュエルの腕はそこまで高くはなかった。それを十代達は昼間の捜索時に三沢から聞いていた三人は驚いていたが龍吾だけは違っていた。

「……もう一人、いるだろう。出てこい」
「っ!」
「え? もう一人って……」
「どうせ巨人の正体は判明したんだ。諦めて姿を表したらどうだ?」

 龍吾は大原の後方、それなりの岩がある場所を凝視しながら言った。翔達は理解できていない様子だったが十代だけは思い当たる節があるようで何も言わずに岩の方を見ている。

「……くそ。最初からバレていたのか」
「その男のプレイングはどこか間があった。何かの指示を受けて行動して言うような間がな」
「え!? 小原くん!?」

 現れた人物、ラーイエローの小原に翔はまたしても驚くが十代だけは納得していた。小原もまた昼間の捜索時に見つけた人物でデュエルの腕はあるが臆病ともとれる性格のせいで自分のプレイが出来ていなかった人物だった。しかし、本人は翔並みに背丈が低いために候補には上がっていなかったがこうして指示を出していたと考えれば納得が出来ていた。

「成程な。臆病な性格だから代わりに戦ってもらっていたってわけか」
「オシリスレッドが偉そうに! 俺たちの何が分かるんだ! お前もだ! 黒木龍吾! どうせ内心では俺たちの事を見下しているんだろう!」

 小原は当たり散らすように龍吾に悪態をつくが一切取り合わずに無言を貫く。その態度に更に腹が立った小原だがデュエルに勝ってエースモンスターを奪ってやると思いなおした。

「後でお前たちも相手してやるがまずはお前からだ! だが俺は攻撃できるモンスターはいないからこれでターンエンドだ」
「俺のターン、ドロー」

黒木龍吾
手札3枚→4枚

「……俺は手札から“闇の誘惑”を発動する。これによりデッキから2枚ドローし、手札の“アックス・ドラゴニュート”をゲームから除外する」

黒木龍吾
手札3枚→5枚→4枚

「俺はフィールド魔法“竜の渓谷”を発動する。新たなフィールド魔法の発動により“悪霊住み着くアルビオン”は破壊される」
「くっ!」

ゴブリンロード
ATK3200→2700
DEF500→0

キングゴブリン
ATK1500→1000
DEF500→0

「更に“竜の渓谷”の効果を発動する。手札から“黒の凱旋”を墓地に送りデッキから“カンカナカムイ”を墓地に送る。そして“黒の凱旋”の効果を発動する。デッキから1枚ドローし、そのカードが闇属性ドラゴン族モンスターの場合特殊召喚が出来る。俺が引いたカードは“蛟龍”。よって特殊召喚する」

蛟龍(闇/ドラゴン族 星3)
ATK1300 DEF0

「そして墓地に送られた“カンカナカムイ”の効果を発動する。“蛟龍”をリリースする事で特殊召喚する」

カンカナカムイ(闇/ドラゴン族 星7)
ATK2600 DEF2300

「更に“蛟龍”の効果発動。ドラゴン族モンスターの効果でリリースされた事でデッキから1枚ドローする。そして引いたカードがドラゴン族モンスターの場合相手に見せる事でもう1枚ドロー出来る。俺が引いたカードは“闇黒の魔王ディアボロス”。よってもう1枚ドローする」

黒木龍吾
手札2枚→3枚→4枚

「そして“カンカナカムイ”の効果を発動する。自分フィールドのカード1枚をゲームから除外する事で除外したカードの種類に合わせた効果を発動する。俺は“竜の渓谷”をゲームから除外する事で相手フィールドの魔法・罠カード全てを手札に戻す」
「なんだと!?」

 “カンカナカムイ”がその大きな翼を羽ばたかせると巨大な風が巻き起こり、小原たちのフィールドの魔法・罠カードをすべて吹き飛ばしていった。それによりセットされていたカード、“聖なるバリア-ミラーフォース”も戻り、攻撃を防ぐ手段が消失した瞬間だった。

「そしてリバースカードオープン。“崩壊の守護竜”を発動する。“カンカナカムイ”をリリースしてお前の場の“ゴブリンロード”と“キングゴブリン”を破壊する」
「そ、そんな……!」

 一瞬にしてすべてのカードがフィールドから消え去るがまだ龍吾の動きは止まっていない。

「そして手札の“闇黒の魔王ディアボロス”の効果を発動する。自分フィールドのモンスターがリリースされたとき、手札・墓地よりこのカードを特殊召喚する」
「……」

闇黒の魔王ディアボロス(闇/ドラゴン族 星8)
ATK3000 DEF2000

 この状況でのモンスターの特殊召喚。それが意味する事はただ一つだった。

「バトル。“闇黒の魔王ディアボロス”で直接攻撃」
「くっ、ああぁぁぁっ!!!」

巨人→小原・大原
LP800→0

 全体を見れば龍吾は序盤こそ動けなかったもののその後は順調に進み、結果的に相手フィールドのカードを一掃したうえで勝利を掴んで見せた。龍吾の圧勝と言っていいデュエルだった。

「くそ! なんで……!」
「プレイングは悪くはなかった。強いて言うのであれば相手の魔法・罠カードを除去できる手段を持っておくべきだったな」

 実際、決め手は“ディメンション・ウォール”であり、あれがなければまだ決着はつかず、それどころか敗北していた可能性すらあった。

「……十代。俺は帰る。こいつらの処遇は好きにすればいい」
「……いいのか?」
「俺は囮役を頼まれただけだ。二人に恨みはない。ブルーの生徒が負けたことに関しても胡坐をかいて努力を怠ったせいだろう。第一、アンティルールを仕掛けられて乗る方が悪い。それで騒ぐようなら最初からしなければいいのだ」
「あ、あはは……。それもそうだな」

 十代は辛辣な龍吾の言葉に苦笑する。龍吾は眠気に襲われつつ後処理を十代達に任せて帰路へとついた。
 翌日、巨人の噂はなくなり、レアカードもブルーの生徒に戻っておりそもそも噂自体が出鱈目だったという事で一応の決着を迎える事になるのだった。
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