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遊戯王GX~邪龍の狂宴~/第八話 闇からの誘惑VS??? 作:鈴木颯手

 ブルー寮にも慣れ、それなりの時間が経過した。龍吾はカイザー亮を倒したことから一目置かれる存在となり、彼を成り上がり者と蔑む者は消えたが代わりに3年生の先輩からデュエルを申し込まれる事が増えていた。というのも亮と同じ学年である彼らはその実力を知っているだけにいずれは超えるべき相手として頑張ってきたがそれを1年生が降したという事で注目されるようになっていたのだ。

「バトル。“永遠邪龍-インフィニティ・カオスドラゴン”で直接攻撃。終末のカオス・ストリーム」
「う、うわぁぁぁぁぁっ!!!!」

 エースモンスターによる直接攻撃を決めて本日の6連勝目を達成した。敗れた3年生の周りには同じように敗北した同族たちが転がっており、龍吾の圧倒的な力を示していた。

「ふん」
「お疲れ龍吾」
「今日も3年生に挑まれたのね」

 デュエルコートを降りてきた龍吾にねぎらいの言葉をかけたのはラーイエロー時代からの付き合いである三沢大地と最近話をすることが増えた天上院明日香だ。元々明日香とは万丈目と十代のアンティルールによるデュエルの際に顔を見せていたがそれ以外ではほとんど話す機会はなかったが兄が亮の友人という事で交友関係があった為に亮との戦いの後に話す機会を設けるようになっていた。

「これで何人目だ?」
「6人目だ。合計で30人ほどになるな」
「30……。随分と挑まれているのね」

 明日香は予想外の人数に苦笑する。三沢もそのすべてを見たわけではないためにその人数に正直に驚いていた。

「どれもこれも丸藤先輩に遠く及ばなかった」
「それはそうだろう。彼はカイザーの称号を持つアカデミア最強のデュエリストだ。いくら3年生とはいえそこまでの実力を持つ者はほとんどいないだろう」
「でもこの調子だと暫くは続きそうね」

 そんな会話をしながら龍吾は三沢と明日香と別れてブルー寮へと戻っていく。最近とある事情で増えたカードの調整をしたいという事もあり真っすぐに向かっているとふと、その足を止めて森のある方角を見た。

「……」

 そして龍吾は何かに導かれるように森の中に入っていくと、開けた場所に出た。しかし、そこはいまだ日が昇っているにも関わらず薄暗く、黒い霧が立ち込めていた。

「……来テクレルト信ジテイタヨ」

 そんな開けた場所には一人の男が立っていた。いや、男と呼ぶべきなのかさえ分からない。男はフード付きのコートを羽織り、顔を般若のお面をつけており、顔の確認は出来なかった。

「お前が俺を呼んだのか?」
「ソノ通リ。本当ハモット後カラ接触スルツモリダッタケド予想以上ニ順調ミタイダカラ確認ノ為ニネ」
「何の話だ?」
「別ニ気ニスル必要ハナイヨ。ソレジャ早速始メヨウカ。言ッテオクケド今更逃ゲル、ナンテ出来ナイカラネ?」
「……なるほど。お前が何者かは知らないが敵である事は確定しているな」

 そういうと龍吾はデュエルディスクを起動する。そんな龍吾の足には黒い霧が絡みついており不気味に龍吾を拘束していた。般若の人物も黒い霧を左腕に集め漆黒のデュエルディスクを作り出し準備を整えた。

「「デュエル」」
「先行ハ私ノヨウダネ。ドロー!」

般若の人物
手札5枚→6枚

「私ハ手札カラ“電気海月-フィサリア-” ヲ召喚スル。ソシテコノカードノ効果ニヨリデッキカラ“伝説の都アトランティス” ヲ墓地ニ送ル事デ手札カラ水属性モンスターヲ特殊召喚出来ル。私ガ呼ビ出スノハ“超古深海王シーラカンス”ダ!」

電気海月-フィサリア-(水/水族 星4)
ATK1400 DEF1700

超古深海王シーラカンス(水/魚族 星7)
ATK2800 DEF2200

「“超古深海王シーラカンス” ノ効果発動! 1ターンニ1度手札ヲ1枚墓地ニ送ル事デデッキカラレベル4以下ノ魚族モンスターヲ可能ナ限リ特殊召喚出来ル! 私ハコノ3体ヲ特殊召喚スル!」

揺海魚デッドリーフ(水/魚族 星4)
ATK1500 DEF1600

フィッシュボーグ-プランター-(水/魚族 星2)
ATK200 DEF200

キラー・ラブカ(水/魚族 星3)
ATK700 DEF1500

「……墓地のモンスターをデッキに戻し、ドローする“デッドリーフ”にデッキトップのカード次第で墓地から特殊召喚出来る“フィッシュボーグ-プランター-”、そして墓地から除外する事で攻撃を防げる“キラー・ラブカ”か」
「カードハ知ッテイルヨウダナ? オ前ノ言ウ通リコレラハ墓地デ効果ヲ発揮スルモンスタータチダ。“超古深海王シーラカンス” ノ効果デ特殊召喚サレルモンスター達ハ効果ヲ無効ニサレテシマウノデネ」

 どれも厄介なカードであり、墓地に送る事を躊躇してしまいそうになるカードばかりだ。とは言え般若の人物はこれらを墓地に送る為に龍吾の動きを待つという行動はしなかった。

「私ハ手札カラ“二重召喚”ヲ発動スル! コノカードノ効果ニヨリ私ハ再ビ召喚ヲ行ウ事ガ出来ル。私ハ“超古深海王シーラカンス”ノ効果デ召喚シタ3体ノモンスターヲリリーススル事デ“海の大海獣-白鯨(モビーディック)” ヲアドバンス召喚スル!」

 3体のモンスターが合わさり、姿を現したのは一匹の巨大なクジラだった。そのクジラは白い体に覆われており有名な白鯨そのものであった。

「コノカードハ召喚スルノニ3体モノモンスターガ必要ナカードダガソノ分効果モ協力トナッテイル。我ガデッキノ切リ札サ」

海の大海獣-白鯨(水/魚族 星9)
ATK2850 DEF2150

「“海の大海獣-白鯨” ノ効果ニヨリ私ハデッキカラ“海”ヲ手札ニ加エル。“海”ハ優秀ナカードデネ。ルール上“海”トシテ扱ウカードガ大量ニ存在シテイル」
「先ほどの“アトランティス”もそうだな」
「ソノ通リ! ヨッテ私ハ“海”トシテ扱ワレルカード、“潜海奇襲Ⅱ(シー・ステルス ツー)” ヲ手札ニ加エテ発動スル! コレニヨリ私ノフィールドニハ海ガ発生シタ事ニナッタ!」

 般若の人物が言うとおりフィールドは海に覆われ、その中を白鯨が悠々と泳いでいる。その姿はどこか雄大さを感じさせ、生命が生み出す神秘的な光景を見せていた。

「私は手札を1枚セットしてターンエンドだ」

 長々とした般若の人物のターンは終わり、いよいよ龍吾のターンとなった。

「俺のターン、ドロー」

黒木龍吾
手札5枚→6枚

「……俺は手札から“邪龍の卵”を通常召喚する」

邪龍の卵(闇/ドラゴン族 星1)
ATK150 DEF100

「更に手札から“生け贄人形”を発動する。これにより“邪龍の卵”をリリースして“終末の竜騎兵”を手札から特殊召喚する」

終末の竜騎兵(闇/ドラゴン族 星7)
ATK2700 DEF2000

「“邪龍の卵”の効果発動。このカードが自身の効果以外でリリースされたとき、デッキからレベル8以下の邪龍モンスター1体を特殊召喚出来る。俺は“カラミティ・ドラッヘ”を特殊召喚する」

カラミティ・ドラッヘ(闇/ドラゴン族 星8)
ATK2900 DEF2400

「……邪龍モンスターデハナイヨウダガ?」
「“カラミティ・ドラッヘ”はルール上邪龍モンスターとして扱われるモンスターだ。そして“カラミティ・ドラッヘ”の効果を発動する。手札を1枚墓地に送り墓地に送ったカードの種類に適用される効果が変化する。俺が墓地に送ったのは“邪龍の魂”だ。それゆえに“潜海奇襲Ⅱ”を破壊する」
「成程。“潜海奇襲Ⅱ”ハフィールドノモンスターヲ守ル効果ヲ持ッテイルガ自身ノ防御ハナイカラネ」
「そして墓地に送られた“邪龍の魂”の効果を発動する。このカードをゲームから除外する事でデッキから“永遠邪龍-インフィニティ・カオスドラゴン”を手札に加える」
「来タカ! 君ノエースモンスターガ! ダガ君ノエースモンスターガ出ル事ハ出来ナイヨ。リバースカードオープン! “生け贄封じの仮面”」
「それは……」
「ソウ、コレデオ互イニイカナル場合モリリーススル事ハ出来ナクナッタワケダ。コレデ君ハエースモンスターヲ出ス事ハ出来ナイヨ」

 いきなり“永遠邪龍-インフィニティ・カオスドラゴン”を出す事は出来なくなった。既に“カラミティ・ドラッヘ”の効果は使い終えており、“生け贄封じの仮面”を破壊する事は出来なくなった。

「……バトル。“カラミティ・ドラッヘ”で“海の大海獣-白鯨”を攻撃する」
「これは私に使わせるための攻撃だね。良いよ。乗ってあげるよ。私は墓地の“キラー・ラブカ”をゲームから除外してその攻撃を無効にするよ。そして“カラミティ・ドラッヘ”の攻撃力は私のエンドフェイズまで500下がる」

カラミティ・ドラッヘ
ATK2900→2400

「……俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」


般若の人物 LP4000
手札0枚
モンスター
超古深海王シーラカンス
海の大海獣-白鯨
電気海月-フィサリア-
魔法・罠
生け贄封じの仮面(永続罠)

黒木龍吾 LP4000
手札1枚
モンスター
カラミティ・ドラッヘ
終末の竜騎兵
魔法・罠
セット
セット

 盤面的にはイーブンと言えるがエースモンスターの召喚を阻害された龍吾が若干戦術を崩されている状況だった。それに加えて般若の人物のフィールドには強力な効果を持つモンスターが2体存在している。そしてそんな般若の人物にターンが回ってきた。

「ソレジャ私ノターンダネ。ドロー!」

般若の人物
手札0枚→1枚

「……私ハデッキカラ“水の都-アトランティス-”を墓地に送り、手札から“エンシェント・シャークハイパー・メガロドン”を特殊召喚する!」

エンシェント・シャークハイパー・メガロドン(水/魚族 星8)
ATK2900 DEF1300

「リバースカードオープン。“漆黒の落とし穴”を発動する。攻撃力2000以上の相手モンスターの召喚・特殊召喚されたときにそのカードを破壊する」
「アララ、召喚ニハ失敗シタカ。ナラ続イテ“海の大海獣-白鯨” ノ効果ヲ発動スル! モウ一度“潜海奇襲Ⅱ”ヲ手札ニ加エテ発動スルヨ」

 再びフィールドが大海原となった。これによって白鯨などが活気を取り戻し始めた。

「ソレジャソロソロフィナーレト行コウカ。私ハ“海の大海獣-白鯨”デ“カラミティ・ドラッヘ” ヲ攻撃スル! 先ニ言ッテオクケドコノカードハ一度ノバトルフェイズニ2回攻撃デキル能力ヲ持ッテイルカラネ」
「ならばさっさと処理するだけだ。リバースカードオープン。“崩壊の守護竜”を発動する。フィールドの“カラミティ・ドラッヘ”をコストに“超古深海王シーラカンス”と“海の大海獣-白鯨”を破壊する」
「ッ! マダソンナカードヲ伏セテイタノカ……!」

 “カラミティ・ドラッヘ”が体を崩壊させながら白鯨達に突撃する。白鯨達は咆哮を上げながら海に潜り回避しようとするが間に合わずに両方と共に破壊された。

「コレデ私ノフィールドノモンスターハ“電気海月-フィサリア-”ダケトナッテシマッタナ。コイツノ攻撃力ハオ前モモンスターノ足元ニモ及バナイ。私ハメインフェイズ2ニ入リ“揺海魚デッドリーフ”ノ効果ヲ発動スルヨ。墓地ノコノカードヲ除外シテ“海の大海獣-白鯨”ト“超古深海王シーラカンス”、“フィッシュボーグプランター”ヲデッキニ戻シテシャッフル。ソシテ1枚ドロースル」

般若の人物
手札0枚→1枚

「……仕方ナイ。私ハカードヲ1枚セットシテ“電気海月-フィサリア”ヲ守備表示ニ変更シテターンヲ終了スルヨ」
「俺のターン、ドロー」

黒木龍吾
手札1枚→2枚

「……“終末の竜騎兵”で“電気海月-フィサリア”を攻撃」

 “終末の竜騎兵”が投擲した騎乗槍に貫かれて破壊される“電気海月-フィサリア”。これにより般若の人物のフィールドにモンスターはいなくなり無防備な姿をさらしていた。

「“カラミティ・ドラッヘ”で直接攻撃」
「コレハ不味イ……! ナンテネ? 私ハリバースカードオープン! “暗岩の海竜神(リバイアサン)”ヲ発動スルヨ! コノカードノ効果ニヨリ“海”トナッテイル“潜海奇襲Ⅱ”ヲ墓地ニ送リ、デッキカラ“海竜(リバイアドラゴン)-ダイダロス”ト“大要塞クジラ”ヲ守備表示デ特殊召喚スル!」
海竜-ダイダロス(水/海竜族 星7)
ATK2600 DEF1500

大要塞クジラ(水/魚族 星7)
ATK2550 DEF2350

「……攻撃相手を再指定して“カラミティ・ドラッヘ”で“大要塞クジラ”を攻撃する」
「クッ……!」
「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」


般若の人物 LP4000
手札0枚
モンスター
海竜-ダイダロス
魔法・罠
生け贄封じの仮面(永続罠)

黒木龍吾 LP4000
手札0枚
モンスター
終末の竜騎兵
カラミティ・ドラッヘ
魔法・罠
セット


 未だお互いにダメージはないが着々と般若の人物は追い詰められていた。そして、何よりも“海竜-ダイダロス”の効果を発動するのに必要な“海”は相当数が墓地に行ってしまっている。デッキにまだ入っている可能性もあったがこの場面で引ける可能性はほぼないだろう。
 それゆえか、般若の人物はカードを引くことはなかった。そして般若の人物を包むように黒い霧がまとわりついていく。

「……なんだ?」
「イヤァ、予想以上ニ成長シテタミタイダネ。今ノ私ノデッキデハチョット勝テナイカラ今日ハコノ辺デ失礼サセテモラウヨ」
「……」
「ア、言ッテオクケド後ヲツイテコヨウトカ思ワナイコトダヨ? ドウセ出来ナイダロウケド迷子ニナラレテモ困ッチャウカラネ」

 般若の人物がそういうと黒い霧が完全に包み込み一瞬にして霧散するとそこに般若の人物の姿はなかった。

「ソノ調子ナラ近イウチニマタ会エルヨ。決着ハソノ時ニツケヨウネ」
 森中から聞こえてくるような般若の人物の声に龍吾はデュエルディスクを仕舞い、森の出口に向かって歩みを進めた。森を出た龍吾はまるで直前までの記憶がないかのようにあたりを見回すとやがて諦めたのかブルー寮へと歩き出すのだった。
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