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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第五話 オベリスクブルーへの道 VS三沢

第五話 オベリスクブルーへの道 VS三沢 作:鈴木颯手

 黒木龍吾が十代とデュエルを行ってから約二週間後、遂に試験の日を迎えた。龍吾の成績や実技の腕前からオベリスクブルーへの昇級は確実と言われておりテスト前日にはラーイエローで軽くお祝いがされた程だ。とは言え嫉妬を向ける者もいるがそう言った者には龍吾は関わろうとはしていなかったため直接何かをされたという訳ではなかった。

「デワ! これよりシニョール黒木とシニョール三沢のデュエルを始めるノーネ!」

 実技試験の会場で音頭を取ったのは実技担当最高責任者であるクロノス教諭だ。独特な顔と口調から誰もが一発で顔と名前を覚えるだろうその人物によってデュエルが開始された。
 龍吾と向き合う三沢は不敵な笑みを浮かべている。

「ついにこの日が来たな。君と戦える日を楽しみにしていたよ」
「……ああ」

 ただ一言のみ返す龍吾に三沢は持ち前の頭脳で肯定している事やあちらも楽しみにしていた事を理解する。彼の頭脳のみならず、ここまで良く付き合いが長かったのも要因の一つだろう。

「デュエル!」
「……デュエル」
「先行は貰うぞ。ドロー!」

三沢大地
手札5枚→6枚

「俺は手札から“おろかな埋葬”を発動する! これによりデッキからモンスターを墓地に送る」
「……」

 一見するとカード名の通りに愚かな行為だが墓地に送る事がどれだけの可能性を引き出すのかを知っている者は三沢が何を墓地に送ったのかを見た。しかし、送ったカードは直ぐに判明する事になる。

「そして俺はこの効果で墓地に送った“ライトパルサー・ドラゴン”の効果発動! 手札から闇属性、光属性のモンスターカードを一枚ずつ墓地に送る事で特殊召喚する! いでよ! “ライトパルサー・ドラゴン”!」

ライトパルサー・ドラゴン(光/ドラゴン族 星5)
ATK2500 DEF1500

「更に俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

―通常召喚はなしか
―手札事故か?
―いや、おそらくだが先行だからここで止めたんだろうな

 観客席では生徒たちが考察している。一方の三沢は笑みを浮かべたまま龍吾の動きを注視している。そんな状況で龍吾は特に気にも留めずにデュエルを開始する。

「俺のターン、ドロー」

黒木龍吾
手札5枚→6枚

「俺は“邪龍の魔剣士”を召喚。“邪龍の魔剣士”の効果発動。召喚成功時にデッキからこのカードより元々のレベルが低い邪龍モンスター一体を手札に加える。俺は“邪龍の卵”を手札に加える」

邪龍の魔剣士(闇/戦士族 星4)
ATK1500 DEF1000

「更に、手札から“邪龍の生誕”を発動する。この効果により“邪龍の魔剣士”を手札に戻し、このカードより元々のレベルが低い邪龍モンスター一体を特殊召喚する。俺は、“邪龍の卵”を特殊召喚する」

邪龍の卵(闇/ドラゴン族 星1)
ATK150 DEF100

「(厄介だな。次のターンでもう一度“邪龍の魔剣士”の効果でデッキからサーチが出来る。更に“邪龍の卵”の効果も発動されたら……)」
「……残念だが、この効果で特殊召喚されたモンスターの効果はエンドフェイズまで無効化される。故に卵が孵る事は無い」
「……そうか」

 三沢は龍吾の答えに安堵する。これで“邪龍の卵”の効果まで発動出来ていたのなら龍吾のペースに呑まれていた可能性が高かった。
 このデュエルは入学してから学んだことを最初に生かす場だが龍吾にとってはオベリスクブルーへの昇級がかかった大事な試験である。その障壁として三沢は龍吾の対戦相手に自薦した。筆記試験一位で通過し、実技試験でも十分な成績を残した三沢の維持と、龍吾の力を少しでも近くで見てみたいという思いからくるものだった。

「俺はカードを二枚伏せてターンエンドだ」


三沢大地 LP4000
手札2枚
モンスター
ライトパルサー・ドラゴン
魔法、罠
セット

黒木龍吾 LP4000
手札3枚
モンスター
邪龍の卵
魔法、罠
セット
セット


「龍吾、君にしては消極的だな」
「……態々攻めると思っているのか?」
「全くそう思っていないよ」

 三沢は龍吾の返しに即答した。三沢も龍吾もお互いの性格を理解している。方や筆記一位の成績を出し、部屋中に方程式を書きまくっている理詰めのデュエルを行う三沢大地。方や、相手の動きを予測する事に長け、邪龍と呼ばれる未だ全貌がつかめないカテゴリのデッキを用いる黒木龍吾。一気に攻め込み返り討ちになる事を警戒して両者は力を温存していたのだ。
 しかし、それはこのターンで崩れる事になる。

「俺のターン、ドロー! ……よし!」

三沢大地
手札2枚→3枚

「手札にある“ダークフレア・ドラゴン”の効果を発動する! 墓地の闇属性、光属性のモンスターを一体ずつゲームから除外する事で特殊召喚する!」

ダークフレア・ドラゴン(闇/ドラゴン族 星5)
ATK2400 DEF1200

「さらに! 俺はセットカード“龍魂の城”を発動する。このカードは墓地のドラゴン族モンスター一体をゲームから除外する事で場のモンスターの攻撃力を700アップできるカードだがそれ以外にも効果はある」
「……」

 三沢の言葉に龍吾は同意するように頷いた。そして、この後何をするのか龍吾は悟っている様だった。

「俺は魔法カード“大嵐”を発動する! これによりお互いの魔法、罠カードを全て破壊する!」

 三沢が見せた大嵐のカードより風が吹く。その風はどんどん威力を増していき、やがてお互いの場にあった罠カードが破壊されていく。しかし、その瞬間空間が割けてそこからいっぴくのドラゴンが姿を現した。

「“龍魂の城”の効果発動! ゲームから除外されているドラゴン族モンスター一体を特殊召喚する。俺は“トライホーン・ドラゴン”を特殊召喚する!」

トライホーン・ドラゴン(闇/ドラゴン族 星8)
ATK2850 DEF2350

 割けた次元から現れたのは三本の角を生やしたドラゴンであった。フィールドへと降り立ったドラゴンは雄たけびを上げると敵である龍吾を睨みつけた。
 一方、それらを眺めていた観客たちは三沢の場にそろっているドラゴンに圧倒されていた。攻撃力2000を超える巨大なドラゴンは場を圧迫しているがそれだけの実力を持っていた。

「バトル! “ライトパルサー・ドラゴン”で“邪龍の卵”を攻撃!」

 “ライトパルサー・ドラゴン”が雄たけびを上げ“邪龍の卵”へと襲い掛かる。本来なら卵を守るわなカードは存在しない。“ライトパルサー・ドラゴン”は翼を広げ、飛翔すると卵の上に着地した。卵はそれだけで砕け散り粉々に消えた。

黒木龍吾
LP4000→1650

 卵を攻撃表示で出していた事が仇となり龍吾は大ダメージを受けた。しかし、三沢の場には攻撃可能なドラゴンがまだ二体存在している。このままいけば龍吾のオーバーキルは確定だった。
 三沢は不敵な笑みを浮かべた。

「どうやら今回は俺の勝ちのようだな。では、行くぞ! “トライホーン・ドラゴン”で龍吾に|直接攻撃《ダイレクトアタック》!」

 “トライホーン・ドラゴン”が雄たけびを上げて龍吾に突進する。自転車並みの速度で突進する“トライホーン・ドラゴン”の攻撃をまともにくらえば死んでも可笑しくはない。ソリッドビジョンではあるがそれなりの衝撃が龍吾を襲うだろう。
 しかし、それは龍吾が何もしなければの話である。

「手札の“ダークリボー”の効果を発動。このカードを手札から墓地に送り“トライホーン・ドラゴン”を裏側守備表示にする」
「何!?」

 突進する“トライホーン・ドラゴン”の前に真っ黒なクリボーが現れその身を光らせると“トライホーン・ドラゴン”はうめき声を上げながら消えて言った。光が収まるとそこにはフィールドにセットされたカードがあるのみだった。
 勝てると思っていたところから龍吾の防御が決まった事に三沢は目を見開いて驚いているが直ぐに気を取り戻すと次の攻撃に移る。

「ならば! “ダークフレア・ドラゴン”で|直接攻撃《ダイレクトアタック》だ!」
「手札の“クリラグーン”の効果を発動! このカードを手札から墓地に送り“ダークフレア・ドラゴン”をデッキの上に戻す」
「馬鹿な!?」

 手札誘発のカードを二枚、手札に握っていた事はさすがの三沢も予想が出来なかったがそうしている間に“ダークフレア・ドラゴン”の前に現れた、何処かドラゴンのような姿をしたクリボーの捨て身の攻撃によりデッキの上に戻っていった。
 圧倒的に不利な状況を回避した龍吾に三沢は改めて感嘆する。ジュニアリーグで活躍していたプロデュエリストだっただけの事はあると。三沢は若干の諦めと共に呟く。

「……俺はこれでターンエンドだ」
「……俺のターン、ドロー」

黒木龍吾
手札1枚→2枚

「俺は“邪龍の魔剣士”を召喚する。このモンスターの効果で“幼邪龍”を手札に加える。更に、手札から“融合”を発動する」
「“融合”だと!?」

 三沢は驚く。何しろ、龍吾は今まで“融合”を使った事は無かった。それが出来そうな場面でも使っている様な事は無かったのだ。にも拘わらず、龍吾はこの場面で新たな手を見せてきたのである。

「自分フィールドの“邪龍の魔剣士”と手札の“幼邪龍”を融合。“魔空龍-シエル・カオス”を召喚」

魔空龍-シエル・カオス(闇/ドラゴン族 星8)
ATK2800 DEF2000

 現れたのはワイバーンのような姿をしたドラゴンだった。しかし、その体つきは禍々しく見る者を恐怖させる迫力があった。“シエル・カオス”はゆっくりとホバリングしながら地面に着地した。

「“魔空龍-シエル・カオス”の効果発動。自分フィールド、墓地の邪龍モンスター一体をゲームから除外する事で相手フィールド、墓地のモンスター一体をゲームから除外する。俺は“邪龍の魔剣士”をゲームから除外して“ライトパルサー・ドラゴン”をゲームから除外する」
「くっ!」

 “ライトパルサー・ドラゴン”の能力を警戒したのか龍吾は裏側守備表示になった“トライホーン・ドラゴン”ではなく“ライトパルサー・ドラゴン”を指名した。ゲームから除外された事により効果が発動する事は無かった。

「バトル。“魔空龍-シエル・カオス”で裏側守備表示の“トライホーン・ドラゴン”に攻撃」

 “魔空龍-シエル・カオス”は羽ばたくとそのまま飛び上がり“トライホーン・ドラゴン”の上に着地した。その衝撃で“トライホーン・ドラゴン”は破壊され着地したことによって発生した暴風が三沢に襲いかかった。しかし、守備表示になっていた為ライフが減る事はなかった。

「……俺はこれでターンエンドだ」


三沢大地 LP4000
手札1枚
モンスター
なし
魔法、罠
なし

黒木龍吾 LP1650
手札0枚
モンスター
魔空龍-シエル・カオス
魔法、罠
なし


 龍吾の不利だと思われていた盤面からそれを防ぎ、それどころか自身のターンで形勢は一気に逆転した。外部入学者上位の二人のデュエルはまだまだ続きそうであった。

「俺のターン! ドロー!」

三沢大地
手札1枚→2枚

「龍吾、まさかここまでされるとは思わなかったよ」
「……そうか」
「だが! 俺は諦めない。俺は手札からり“輝白竜 ワイバースター”の効果を発動する! 墓地の闇属性モンスター、“トライホーン・ドラゴン”をゲームから除外してこのカードを特殊召喚する! 更に! “ワイバースター”をリリースして“ダークフレア・ドラゴン”を守備表示でアドバンス召喚する」

輝白竜 ワイバースター(光/ドラゴン族 星4)
ATK1700 DEF1800

 前のターンでデッキの上に戻ってしまった“ダークフレア・ドラゴン”が再び召喚された。“ダークフレア・ドラゴン”は雄たけびを上げて龍吾を睨みつけている。デッキの上に戻されたのがそれほど嫌だったのだろうか。

「“輝白竜 ワイバースター”の効果発動。このカードがフィールドから墓地に送られた時にデッキから“暗黒竜 コプラサーペント”を手札に加える。そして“輝白竜 ワイバースター”をゲームから除外して“暗黒竜 コプラサーペント”を特殊召喚する。守備表示だ。俺はこれでターンエンドだ」

暗黒竜 コプラサーペント(闇/ドラゴン族 星4)
ATK1800 DEF1700

 三沢は打つ手が無くなったのかそれだけを行いターンを終了させた。“魔空龍-シエル・カオス”の効果と攻撃で二体が破壊されるのは確実だった。それでも、この状態ならダメージを受ける事は無い。勿論、このままの状態だったのならだが。

「俺のターン、ドロー」

黒木龍吾
手札0枚→1枚

「“魔空龍-シエル・カオス”の効果発動。墓地の“幼邪龍”をゲームから除外して“暗黒竜 コプラサーペント”をゲームから除外する」

 “魔空龍-シエル・カオス”の咆哮と共に“暗黒竜 コプラサーペント”は消えていった。それを見届けた“シエル・カオス”はぎょろりと“ダークフレア・ドラゴン”を睨みつける。“ダークフレア・ドラゴン”は負けるものかと咆哮をあげた。

「バトル。“魔空龍-シエル・カオス”で“ダークフレア・ドラゴン”に攻撃」

 淡々とした龍吾の言葉に“魔空龍-シエル・カオス”がブレスを放つ。“ダークフレア・ドラゴン”は悔し気な声を上げながら破壊されていった。

「……俺はターンエンド」


三沢大地 LP4000
手札0枚
モンスター
なし
魔法、罠
なし

黒木龍吾 LP1650
手札1枚
モンスター
魔空龍-シエル・カオス
魔法、罠
なし


 もはや三沢に勝てる見込みはないだろう。“魔空龍-シエル・カオス”の効果は後一度使う事が出来る。それが発動されれば三沢がモンスターを召喚してもゲームから除外されるだろう。しかし、この状況に陥っても三沢は冷静に対応する。

「……俺のターン、ドロー」

三沢大地
手札0枚→1枚

 三沢は何を引いたのか、悲し気な表情をすると龍吾の方を見て言った。

「ターンエンドだ……」

 事実上敗北宣言に近いその言葉を言った三沢の心境はどうなのであろうか。

「……俺のターン、ドロー」

黒木龍吾
手札1枚→2枚

「……俺は“アックス・ドラゴニュート”を召喚」

アックス・ドラゴニュート(闇/ドラゴン族 星4)
ATK2000 DEF1200

「“アックス・ドラゴニュート”、“魔空龍-シエル・カオス”の二体で|直接攻撃《ダイレクトアタック》」
「……」

 三沢は龍吾の攻撃を抵抗なく受け入れた。

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