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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第一話 デュエルアカデミア入試実技試験

第一話 デュエルアカデミア入試実技試験 作:鈴木颯手

 そこは何処までも暗かった。そこは上も下もなく自分が今きちんと立っているのか座っているのかしゃがんでいるのかそれすらも分からなかった。
 まるで手先足先からゆっくりと溶けていくような感覚に襲われるがそう感じるたびにとても心地が良くなっていく。まるで母親の中で眠る赤子のように眠りへと誘われているようだ。
 そう感じていると意識が朦朧として来る。頭の中ではこれ以上は危険だと感じていたが俺の体は全く動かない。もしかしたら俺がそう思っているだけで俺には体なんて物がないのかもしれない。だったら、このまま快楽の中に意識を落としてもいいのかもしれない。
 俺はそう考えてゆっくりと意識を手放した。





 童実野町にある海馬ランドの一角にあるドームではデュエルアカデミア高等部の実技試験が行われていた。受験生たちは各試験官と対峙し自分の本気を出して挑んでいた。そしてそれを見守るように観客席からデュエルアカデミアの学生が見ていた。彼らは今年の試験で有望な者がいないか見定めに来ていた。
 そんな中、試験番号一番の三沢大地はある一人の男に釘付けになっていた。いや、一部の者も三沢と同じように見ていた。
 デュエルアカデミアの生徒のように赤や黄色、青と言った制服を着ている訳でもない。ましてや様々な中学校の征服を着ている訳でもなかった。その男は黒いコートを着込み同じように黒い手袋をはめ黒いズボン、黒い靴と全身真っ黒ないでたちをしておりデュエル場で行われるデュエルに興味がないのか腕を組み、目を瞑っていた。学ランの様な黒さではなく何処までも深い闇を思わせるような黒さであった。

『試験番号五番、黒木龍吾はデュエル場に来てください』

 そのアナウンスが聞こえると全身真っ黒の男、黒木龍吾は目を開き立ち上がるとデュエル場へと向かって行った。その様子から三沢は黒木龍吾が彼であると内心理解したがふと疑問に思った。

「(黒木龍吾?何処かで聞いたことがある名前だな)」

 そう思い三沢は頭をひねるがそれ以上は全く思い出せなかった。仕方なく彼は自分の番が来るまで彼のデュエルを見る事にした。





「君が黒木龍吾君だね?早速始めようか」

 黒木龍吾は指定された場所までくると既に試験官の教員が待機していた。温和そうな見た目をしている教員はディスクを構えてデュエルを何時でも始められるようにしていた。

「……よろしくお願いします」

 龍吾も自らの左手に装着されたディスクを起動して挨拶を簡素に済ませる。そして両方の準備が整うとデュエルが始まった。

「先行は受験生からと言う決まりになっている。君の先行だ」
「……ドロー」

 教員はそう答えるが龍吾は特に反応を示さずにカードを一枚引く。

龍吾
手札5枚→6枚

「俺は“邪龍の卵”を召喚する」
「(“邪龍の卵”? 聞いた事がないモンスターだな)」

邪龍の卵(闇/ドラゴン族 星1)
ATK150 DEF100

 教員は聞いた事もないモンスター名に困惑するがフィールドにはそのモンスターらしき卵が出現したため新規のモンスターか?と無理やり納得させてデュエルに集中する。

「手札から“生け贄|人形《ドール》”を発動。“邪龍の卵”をリリースして手札から“エビルナイト・ドラゴン”を特殊召喚する」

エビルナイト・ドラゴン(闇/ドラゴン族 星7)
ATK2350 DEF2400

 龍吾の言葉に合わせて現れたのは中国の龍のような細い体を持ったドラゴンであった。そのドラゴンは教員も知っていたが態々このような手を使って召喚するようなモンスターではなかった。

「(“エビルナイト・ドラゴン”はおそらく布石か何か・となると本命は……)」
「更に、リリースされた“邪龍の卵”の効果を発動する。手札、デッキからレベル8以下のドラゴン族モンスター一体を特殊召喚する。俺は“炎龍”を召喚する」

炎龍(闇/ドラゴン族 星8)
ATK 3200 DEF1000

 地面を破棄するようにマグマが噴き出す。その穴より巨大なドラゴンが出現した。全身に血管のような赤い線が走った黒き龍は不気味さを醸し出しておりデュエルを見ていた者達は一様に驚き、中には恐怖する者もあらわれていた。

「(攻撃力3200!? 狙いはこれか!)」
「“炎龍”の効果発動、特殊召喚成功により1000のダメージを与える」
「何!? ぐぅっ!?」

 “炎龍”からマグマの如きブレスが放たれ、教員を飲み込む。ソリッドビジョンによる映像とは言え衝撃が走る仕様となっており教員に少なくない衝撃を与えていた。

教員
LP4000→3000

―1ターン目でいきなり1000のダメージか。今年の新入生は手ごわいな
―あれは一体何のモンスターなんだ? 初めて見たぞ
―この時点で2000オーバーのモンスターが二体。これは厳しいな

 複数あるデュエルリングを囲むように存在する観客席から様子を見ていた者達はそれぞれの考察を行ったりして視線を龍吾たちのデュエルへと向けていた。その中にはアカデミア最強のカイザーこと丸藤亮や中等部から在籍する万丈目準と言った強者もいた。

「……俺はカードを二枚伏せてターンエンド」

 手札を一枚残して出し切った龍吾はターン終了の言葉を言い教員の出方を待つ。既に、成績優秀者としての実力をいかんなく発揮しているが教員はもっと実力を見るべく試験用のデッキに指を置く。

「私のターン、ドロー!」

教員
手札5枚→6枚

「私は“古のルール”を発動する! これにより、手札の“デビルゾア”を特殊召喚する!」

デビルゾア(闇/悪魔族 星7)
ATK2600 DEF1900

「更に私は“悪魔への貢ぎ物”を発動する! これにより“炎龍”をリリースして手札からレベル4の“デーモン・ソルジャー”を特殊召喚する」

 “炎龍”の下の地面が崩れ地下へと落ちていくと同時に教員のフィールドに悪魔の騎兵が姿を現した。

デーモン・ソルジャー(闇/悪魔族 星4)
ATK1900 DEF1600

 一気に場の態勢が教員へと傾いたが龍吾に慌てた様子は見られなかった。その理由を防カードにあると予測した教員は次なる手を打った。

「魔法カード“サイクロン”を発動! 右の伏せカードを破壊!」

 教員が発動した魔法カードにより龍吾の伏せカードが破壊された。ここでようやく龍吾の表情が変わる。しかし、それは焦りではなく歓喜の表情だった。

「この瞬間! “邪龍の再臨祭”の効果を発動する! デッキから『邪龍』モンスターを手札に加える」
「それだけ? いや、それだけのはずがない。全力を出さねばこちらがやられる……!」

 教員はそう判断した。今まで無表情でデュエルを行ってきた龍吾が見せた初めての表情。その意味が何を意味するのか教員には分からないがこのままではいけないという予測は出来ていた。故に、一気に勝負を決めにかかった。

「これでお終いにしよう! 私は“デビルゾア”で“エビルナイト・ドラゴン”に攻撃! デビル・エクス・シザース!」

 “デビルゾア”よりバツ字のビームが放たれる。“エビルナイト・ドラゴン”の攻撃力ではその攻撃の餌食となり破壊されるしかないがそれを龍吾が止めた。

「リバースカードオープン! “攻撃の無力化”!」
「何と! まさかそちらが本命だったか……!」

 読みが外れた教員は悔しそうな顔をするがこれ以上は何も出来ない為ターンの終了宣言を行った。

黒木龍吾 手札2枚 LP4000
フィールド
エビルナイト・ドラゴン

魔法、罠
なし

教員 手札1枚 LP3000
フィールド
デーモン・ソルジャー
デビルゾア
魔法、罠
なし

「俺のターン、ドロー」

黒木龍吾
手札2枚→3枚

「俺は“ダークワイバーン”を召喚する」

ダークワイバーン(闇/ドラゴン族 星4)
ATK1600 DEF1300

「そして、準備は整った」
「っ!?」

 龍吾のその言葉に教員は警戒するが時すでに遅しだった。龍吾のデッキの切り札が今召喚されようとしていた。

「“ダークワイバーン”、“エビルナイト・ドラゴン”、“デビルゾア”、“デーモン・ソルジャー”……。この四体をリリース」
「何だと!?」

 教員は予想外の言葉に驚くが龍吾の言葉に従い4体のモンスターが黒い球体に包まれ一か所に集まり一つの巨大な球体へと姿を変えた。禍々しい黒い球体に会場の誰もが息を吞む。

「4体の尊き犠牲の元、姿を表せ。“永遠邪龍-インフィニティ・カオスドラゴン”召喚」

 その言葉と共に球体は弾け飛び、中から一体の龍が姿を現した。しかし、それは龍というよりも魔王と呼ぶにふさわしい外見をしており見ている者全てを恐怖させる威圧を放っていた。
 地面へと降り立った龍はぎょろりと目を教員へと向けると鼓膜を破壊しかねない強大な咆哮を放った。

永遠邪龍-インフィニティ・カオスドラゴン(闇/ドラゴン族 星9)
ATK? DEF?

「このカードは特殊召喚されたターンに攻撃はできない。また、このカードの攻撃力、守備力はリリースに使用したモンスターの攻撃力、守備力どちらかの合計値となる」
「っ! という事は……」
「攻撃力を選択する。故に、攻撃力、守備力は6450となる」

永遠邪龍-インフィニティ・カオスドラゴン
ATK?→6450
DEF?→6450

「馬鹿な……」
「付け加えるのなら、このカードに魔法、罠は通用しない。破壊しようとするだけ無駄な事だ」

 その言葉は教員への死刑宣告に等しく、教員は龍吾のターン終了後にサレンダーを選択する事となった。
 こうして、龍吾のデュエルアカデミアにおける初戦を圧倒的な力で勝利をもぎ取り、強烈なインパクトを与える事となり周囲は龍吾に対し警戒や称賛などの様々な感情を向けていくことになるのだった。
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