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LEGENDS・1 作:ガーベージ・ドーロ





 にじり寄る週刊誌の記者の前に立ちはだかったのは病院内で出会った女性だった。その時は帽子にサングラスと顔を隠していた女性であるが、今はそれらのものを全て外し、素顔を晒していた。そして、その素顔を見た遊宇と週刊誌の記者たちは皆同じように唖然としていた。

「あなたは……辰己 遊月(たつみ ゆづき)さん……?」

 辰己 遊月。恐らくこの国においてデュエルモンスターズに少しでも触れたことがある人間において彼女はその名を知らない者はいないと言っていい有名人だった。
 若干10歳でデュエルモンスターズの才能を開花された彼女は、結婚を機に引退するまで15年以上もの間世界トップクラスのデュエリストであり続けた存在であり、その卓越したデュエルタクティクスと愛らしさと気品を兼ね備えた美貌に、引退から10年以上経った今でも彼女に憧れているデュエリストは多いのだ。

「まさかこのようなところで日本のレジェンドデュエリストの一人にお会いできるとは思ってもいませんでしたよ。ですが、いくらあの辰己 遊月と言えども我々の取材を妨害していい理由なんてないと思うんですがねぇ」

 しかし、週刊誌の記者たちはこの女性が遊月と知って怯むような人間ではない。時にマスメディアというものは知る権利を盾に常識を逸脱した行為に及ぶものだ。

「取材? あなたたちのそれは果たして取材と呼べるものではないでしょう? 一人の女の子を集団で寄ってたかって脅迫しているようにしか見えなかった」
「脅迫だなんて人聞きの悪い。我々は国民の知る権利のため、被害に遭われたウェイブレット・ネットワークの利用者およびその親族のために動いているんですよ? 正義は我々にあるのです。それともあなたは同じデュエリストとしてそこの犯罪者を庇うというのですか?」
「……彼女がこの一件にどこまで絡んでいるかは私は知らない。ですが、何もわかっていないのに犯罪者呼ばわりされる謂れはないと思います。私は一人の人間として、このような人間の尊厳を傷つけるような取材を見過ごすわけにはいきません」

 遊月からしてみれば、なんとかして話し合いで遊宇を守りたいと思っていた。事を荒立てずに収められればそれに越したことはないからだ。しかし、彼らの意志かそれとも上からの指示か。何の収穫もなしに引き下がって貰えるような相手ではないようだった。

「そうですか。あくまで我々の邪魔をするのであれば、報道の自由を侵害するのであれば我々も実力行使に出るしかありませんね」

 そう言って週刊誌記者の代表・加藤は携帯型のデュエルディスクを展開する。相手が遊宇ならともかく、遊月を相手取るのはリスクが大きすぎるのではないかと週刊誌側にも動揺が走る。
 しかし、遊月はデュエルモンスターズの一線から身を引いて久しいことから、今現在のデュエルモンスターズを知らないのではないか、と加藤は判断したようだった。

「そうですか。わかりました、そちらが望むのであれば私は受けないわけにはいきませんね」

 遊月は加藤が臨戦態勢に入ったのを見て、少し不服そうにデュエルディスクを展開する。

「辰己さん……」
「大丈夫。あなたは私が守るから」

 そう言って微笑みを浮かべながら、遊月はデュエルに臨むのであった。


先攻:加藤
後攻:遊月

加藤 LP8000 手札5枚
D:35 F:0 M:0 G:0 B:0 EX:15
遊月 LP8000 手札5枚
D:35 F:0 M:0 G:0 B:0 EX:15


「では先攻はになりますね。私は王立魔法図書館を召喚」

 加藤が召喚したモンスターは魔法使い族のモンスターである王立魔法図書館。攻撃力0のモンスターではあるが、魔法カードを使用する度に魔力カウンターを1つ乗せることができ、そのカウンターを3つ取り除くことでデッキからカードを1枚ドローできる効果を持っている。

「王立魔法図書館……そういうことですか」

 そのモンスターを見て、遊月はやや渋い表情を浮かべる。加藤のデッキがこのカードを主に使用するあるデッキである可能性が一気に高まったからだ。

(王立魔法図書館を使うデッキなんて私はあのデッキしか知らない……あのカードを揃えられてしまうといくら遊月さんでも……!)
「私は手札から魔法カード、トゥーンのもくじを発動。デッキからトゥーンカード1枚を手札に加えます。加えるのは2枚目のトゥーンのもくじ。そして魔法カードを発動したことで王立魔法図書館に魔力カウンターが1つ乗ります」

王立魔法図書館 魔力カウンター:0→1

「更に2枚目のトゥーンのもくじを発動。3枚目のトゥーンのもくじを手札に加え、図書館に魔力カウンターを1つ乗せる。更に3枚目のトゥーンのもくじを発動。トゥーン・ヂェミナイ・エルフを手札に加えますよ」

王立魔法図書館 魔力カウンター:1→3

「王立魔法図書館の魔力カウンターを3つ取り除き、効果を発動。デッキからカードを1枚ドローします。速攻魔法、手札断殺を発動。互いに手札2枚を捨て、デッキからカードを2枚ドロー」

王立魔法図書館 魔力カウンター:0→1

「……」

 互いにカードを2枚ドローし、2枚を捨てる。ここまでドローを加速させ、手札交換をするのであれば加藤の狙いは誰の目にも明らかだった。

「エクゾディアパーツは引けましたか?」
「……それを教える義理はありませんね。ですが、このターンであなたが負ける可能性は非常に高いとだけ言っておきましょう」
「そうですか」
「魔法カード、強欲で謙虚な壺を発動。このターンの特殊召喚権を失う代わりに、デッキトップから3枚を確認し、1枚を手札に加えます。私が加えるのは……闇の誘惑にしておきましょうか」

王立魔法図書館 魔力カウンター:1→2

「そして、闇の誘惑を発動。デッキからカードを2枚ドローし、手札の闇属性モンスター1体をゲームから除外します。私はクリボーを除外。王立魔法図書館に3個目のカウンターが乗ります」

王立魔法図書館 魔力カウンター:2→3

「では王立魔法図書館の効果を再度発動します。魔力カウンターを3つ取り除いて1枚ドローを」

王立魔法図書館 魔力カウンター:3→0

「王立魔法図書館の効果にチェーンして手札から罠カード、無限泡影を発動。王立魔法図書館の効果を無効にします」
「無限泡影ですか。ですが、既に発動している効果は無効にできません。よって1枚ドロー……!」
「エクゾディアパーツは完成しましたか?」
「……ターンエンドです」






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