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永炎なる眼・1 作:ガーベージ・ドーロ






「はあっ……はあっ……!」

 荒れ果てた、廃墟のような世界を息を切らしながら一人の少女が走っていた。そんな少女を追いかけるのは真っ黒なボロ布のようなものを纏ったもの。それに手足はおろか顔もない。例えるならば、お化けのようなそれは、うめき声のようなものを上げながら少女を確実に追い詰めていた。

「っ……!」

 それには心はない。一度狙いを定めた獲物であれば、例え泣きわめいたとしても、命乞いをしたとしても容赦はしないのだ。それの目に映る命あるものは何者であろうとも捕食対象と言っていいだろう。
 もちろん、追われる側の少女もそれを知らないわけはない。彼女はこの世界にそんな魑魅魍魎が跋扈していることを知っていた。知っているからこそ、敢えてこの世界に足を踏み入れたのだ。

「……まいったなあ。こんなところで消されるわけにはいかないのに」

 少女の脳裏に浮かぶ優しい、まるで春の暖かな太陽のような笑顔。もうその笑顔を見ることは叶わないのだろうか。もし空の上で、もしくは地の下かもしれないが、再会できたのであればなんと詫びるべきだろうか。少女が全てを諦め、全てを受け入れようとした。その最中である。

「……何故ここに人がいる?」

 少女を追い詰めていたそれの興味は、すっかり少女から声の主に移っていた。恐る恐る目を開けた少女の視界の先にいたのは、一人の少年だった。年齢はだいたい自分と同じくらい、もしくは少し下だろうか。赤い髪が炎のように逆立っている、そんな少年の左腕にはデュエルディスクが取り付けられていた。

「……気になることは色々とあるが、今は目の前の“リーパー”をデリートするまでだ」

 リーパー、と呼ばれたそれは少年がデュエリストであることを改めて認識すると自身も左腕にデュエルディスクを発現させる。こんな荒廃しきった世界でもデュエリスト同士の雌雄はデュエルでつけるというルールは通用するようだった。

「デュエル!!」


少年 LP4000 H:5
D:35 F:0 M・T:0 G:0 B:0 EX:15
リーパー LP4000 H:5
D:35 F:0 M・T:0 G:0 B:0 EX:15


「……!」

 先攻を取ったのはリーパーの側だ。リーパーは言葉を発しないため、カードの発動の有無でしか行動を把握することができない。顔も声もない相手とのデュエルの難しさは相当なものだろう。

「……竜の霊廟か」

 リーパーが発動したのは魔法カード、竜の霊廟。デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送り、そのモンスターが通常モンスターならば更にもう1体のドラゴン族を墓地へ送ることができるカードだ。

(相手のデッキはドラゴン族……!)

 最も抗する手立てがないわけではない。相手の使用カードからデッキを推測することができるからだ。

「墓地に送ったのは通常モンスターの青眼の白龍。そして追加効果で墓地へ送ったのは太古の白石か。お前のデッキは【青眼の白龍】だな?」

 青眼の白龍は効果こそ持たない通常モンスターであるが、通常モンスター故にサポートが豊富であり、また3000という高い攻撃力を活かしたパワーデュエルを得意としている。
 そして、そんな豊富なサポートの一つが更にリーパーが発動した魔法カード、復活の福音だ。レベル7・8のドラゴン族しか対象ではないものの、墓地からの特殊召喚が可能であり、更に自身を除外することで一度だけドラゴン族の破壊を無効にすることができる。デッキこそ選ぶが、万能蘇生の代名詞ともいえる死者蘇生以上の効果を発揮するカードだ。

「青眼の白龍をあんなにも早く……」
「ターンエンドか。そして太古の白石の効果で2体目の青眼の白龍。随分と力任せのデュエルをするんだな」


少年 LP4000 H:5
D:35 F:0 M・T:0 G:0 B:0 EX:15
リーパー LP4000 H:3
D:32 F:2(青眼の白龍×2)M・T:0 G:3 B:0 EX:15


「俺のターン、ドロー」

 後攻の少年にターンが回り、少年はデッキからカードをドローする。リーパーは魔法・罠カードこそセットしていないが、フィールドには2体の青眼の白龍。小細工のない、単純な力の塊であったとしても攻撃力3000という壁は見た目以上に大きいと言っていいだろう。
 しかし、少年の顔に焦りはない。むしろ髪と同じ赤い色をした瞳には炎が宿っていた。目の前の敵を屠り、焼き尽くさんとする烈火が。

「俺のフィールドにはモンスターが存在しない。よってこのモンスターは手札から特殊召喚できる。現れろ“永炎の燈火”」

 少年のフィールドに現れたのは小さな火の玉のようなモンスター。少女は見たことのないモンスターを目にして目を白黒させる。

(なにあのモンスター……あんなモンスターみたことがない)

 少女はすぐにそのカードのデータを検索した。しかし、カードのデータベースに永炎の燈火なるモンスターの名前は存在していても、完全にそのカードのことを知ることはできなかった。


永炎の燈火(エタニティ・ランプ)
効果モンスター(オリジナルカード)
星4/炎属性/アンデット族/ATK1600/DEF1100
「永炎の燈火」の効果はそれぞれ1ターンに1度までしか発動できない。
自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「永炎」カード1枚を選んで墓地に送る。
②:このカードが×××のためにリリースされ、墓地に送られた場合に発動できる。自分のデッキから「永炎」カード1枚を選んで手札に加える。


「特殊召喚に成功した永炎の燈火の効果を発動。デッキから「永炎」カード1枚を選んで墓地へ送る。俺はデッキから“永炎の鬼火”を墓地へ送る。そして墓地に存在する永炎の鬼火の効果を発動」


永炎の鬼火(エタニティ・ウィスプ)
効果モンスター(オリジナルカード)
星4/炎属性/アンデット族/ATK900/DEF1800
「永炎の鬼火」の効果はそれぞれ1ターンに1度までしか発動できない。
①:このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「永炎の鬼火」以外の「永炎」モンスターが存在する場合に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。
②:このカードが墓地からの特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「永炎」カード1枚を墓地へ送る。
③:このカードが×××のためにリリースされ、墓地に送られた場合に発動できる。相手フィールドに存在するカード1枚を選んで破壊する。


「自分フィールドに同名カード以外の永炎モンスターが存在することでこのカードを墓地から特殊召喚する。そして墓地からの特殊召喚に成功した永炎の鬼火の効果を発動。デッキから更に永炎カード1枚を墓地へ送る」
「こっちも墓地肥やし……だけど、下級モンスター2体じゃ青眼の白龍は……」
「……気が早い。誰が青眼の白龍をこのモンスターたちで相手すると言った?」
「えっ?」
「このデュエルは俺の勝ちだ。さあ地の底より舞い上がれ!!」

 少年がそう宣言した瞬間、少年のデュエルディスクから天高く火柱が舞い上がった。そしてその火と共に現れたのは深紅の骨格のような鱗を纏った1体のドラゴンだった。




―――永炎眼の翔生竜(エタニティアイズ・ライジング・ドラゴン)!!―――







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コングの施し
はじめまして!
読ませて頂きました!
かっこいいオリカですね!xxxも明らかになるのかな?次回も楽しみにしてます! (2021-06-23 22:31)
ガーベージ・ドーロ
コングの施し様
初めまして、ガーベージ・ドーロと申します。
閲覧およびコメントの方、ありがとうございました。今回の話で隠れている×××の部分は次の話で明らかになりますのでお楽しみにして頂ければ幸いです。
(2021-06-27 17:19)

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