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遊戯王 -Duel-Dual-Arise-/16話 リベリオス・ソウル 作:コングの施し



輝久「それでツァン、僕が5番手なんだって?」

輝久は軽薄な笑みを浮かべ、ツァンの方へと目を向ける。
終始呆れてものも言えないツァンは、ため息をひとつ吐いて、頷くあまりだった。

輝久「そかそか。ってことは2勝2敗?ってことだよね。」

終始笑みを浮かべた輝久は、肩にぶら下げた黒いポーチから、また黒く無骨な液晶式のデュエルディスクを取り出した。

輝久「まあ彼女たち相手に2勝もしてるってなら、君たちにも相応の『才能』がある。ってことでいいのかな?」

才能、という言葉に遊大の肩がピクっと動いた。聞きなれないワード。デュエルと才能、そのふたつのどこにつながりがあるのか、そして遊大はあまりいい気がもてず、眉間に少し皺を寄せた。

遊大「『才能』?デュエルって才能絡まないだろ?」

曇りたかった思いのまま、遊大もデュエルディスクを腕に取り付ける。

対する輝久は、その言葉を聞いて塞いだ口から笑みを漏らしていた。

輝久「…ぷ、くはは。君はわかってない。世の中にはいるんだよ。君の想像も絶するような才能を持った決闘者が。」

輝久のスリーブには、刀を日本合わせたような刻印が黒く掘られている。

輝久「どんな化け物がいるかなんて怯えて損したよ。君なら問題なく勝てそうだ。才能の重みを解ってない。」

遊大は愚弄され、さらに表情が歪む。

遊大「お前、決闘者なんだったらそういうのはデュエルで語れよ。」

その言葉を聞くと、輝久は今まで抑えていた笑いのタガを外し、満面の笑みを浮かべた。

輝久「ははははっ!面白いねえ君。」

輝久の笑い声が低く、どす黒い響きへと変化していく。

「言われずとも、今から潰してやるから安心しろよ。」

その声に遊大は半歩ジリッと後退りをした。冷たい汗がつーっと背筋を流れるのを感じていた。

『デュエル!!』

輝久「僕のターン!僕は手札から、《忍者マスター HANZO》を通常召喚!」

煙玉が音を立てて弾けると、黒装束の忍び
フィールドに姿を現した。
HANZOは懐から巻物を1本取り出し、宙へと放り投げる。それは光と共に、1枚のカードとなって輝久の手の中に落とされた。

輝久「HANZOが通常召喚に成功した時、デッキから《忍法》カード1枚を手札に加えることができる。じゃあ僕は、デッキから《忍法 空蝉の術》を手札に加える。」

輝久はさらに手札から2枚のカードを魔法・罠ゾーンにセットした。



外野にいた律歌は、阿原や嬢と共にそのデュエルを見届ける。

律歌「阿原…彼、知ってるよね。」

晴れない表情の律歌が阿原に尋ねた。

阿原「ああ。まだ1年、しかしあれはゴールデンエイジの元メンバーだ。たしか昨年のTC市大会をベスト4とかで通過したんだったよな。」

嬢「ええ!?そんなに強い人なんですか!?」

律歌「…忍者の血を脈々と継いできた斬隠家の長男、そして血脈とともに継がれた《忍者》デッキの使い手。家柄もそうだけど、あの才能に固執する感じ…。」

阿原「少なくとも自負がある位にはデュエルの才能ってやつが備わってるのかもしれねえな。」



輝久「初動はまあまあってところかな。僕はこれでターンエンド。あまり期待はしてないけど、まあせいぜい頑張ってみてよ。」

その言葉を聞いて、ただでさえ曇っだ遊大の表情に、さらにモヤが立ち込める。

遊大「お前…さっきからなんなんだよ!?
俺がお前になんかしたか!?俺のターン!
俺は手札から2枚の永続魔法《金剛真力》と、《一点着地》を発動!」

遊大のフィールドに2枚の永続魔法が発動された。

「さらに俺は、金剛真力の効果を発動!相手フィールドにのみモンスターが存在するとき、手札からデュアルモンスター1体を特殊する!来いッ!《竜影魚レイ・ブロント》!」

渦潮の中からレイブロントが甲高い咆哮をあげる。


竜影魚レイ・ブロント
☆4
水属性・魚族/デュアル/効果
1500/1000


輝久「おおっ?デュアルモンスターなんて珍しいカードを使うんだね!それって強いの?見せてよ〜!」

遊大「ンなこと言われなくてもたっぷり見せてやるよ!俺は手札からモンスターを特殊召喚したことで、永続魔法《一点着地》の効果を発動!デッキからカードを1枚ドローする!さらに、《エヴォルテクター・エヴェック》を通常召喚!」


エヴォルテクター・エヴェック
☆4
炎属性・戦士族/デュアル/効果
1500/1000



光妖サイドの外野にて、レイン恵が小さくつぶやく。

レイン「…レベル4モンスターが2体…。彼は…エクシーズの使い手…」

ツァン「そうね。ボクたちとの戦いでも使ってた。《No.59 背反の料理人》…だっけ?」

キャンデ「ああ。自身のフィールドに存在するモンスターが背反の料理人のみの場合に全ての効果をシャットアウトする強力なモンスターだったな。おまけに自身以外の自分フィールドのモンスターを全て破壊して打点を上げる効果もあった。
だが、いま遊大のフィールドにはモンスターが存在しないし、残して起きたい永続魔法も存在してる。背反の料理人を出すのに適した盤面には見えねえな…。」



遊大「俺は、レベル4の《竜影魚レイ・ブロント》と《エヴォルテクター・エヴェック》でオーバーレイ!2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築!」

2体のモンスターは、それぞれ赤と青の閃光へと姿を変え、共に光の渦へと吸い込まれていく。

「エクシーズ召喚!砕けることのない金剛の鋏!最強の砦となれ!《No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング》!!」

大地が砕け、ダイヤモンドに包まれた巨大な蟹のモンスターが地の底から這い上がってくる。ダイヤモンドクラブキングは、まるで要塞のように後ろにドッシリと構え、両腕の鋏で遊大を包み庇った。


No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング
★4
地属性・岩石族/エクシーズ/効果
0/3000


嬢「あれって!新しいエクシーズモンスターですよね!!」

嬢は目をキラキラさせながらダイヤモンドクラブキングを指さして言った。

ましろ「ああ。まだ1週間とはいえ、アイツもアイツなりにデッキを強化してきたらしいな〜。」


遊大のエクシーズ召喚を見た輝久は、終始笑みを止めることなく、手をぱちぱちと叩いていた。

輝久「お見事〜!そのモンスター、攻撃力が0だけど、エクシーズモンスターだもの、ORUを使った何かしらの効果があるんでしょ?戦闘補助?制圧?見せてごらんよ!」

少々見透かされたような遊大の表情はまた少し曇った。

遊大「ダイヤモンドクラブキング、攻撃態勢!ORUを1つ使うことで、効果を発動!守備力を0まで下げることで攻撃力を3000にする!カラットチェンジ!」

クラブキングの口元にORUが吸い込まれ、内部で儚く弾ける。
そして体表のダイヤモンドはいっそう輝きを増し、鋭利なものへと音を立てて変わってく。

「バトルだ!ダイヤモンドクラブキングで、忍者マスターHANZOを攻撃!」

巨大な鋏がHANZOを押しつぶさんとすしたとき、煙がボンと弾けてその攻撃が空を切った。

遊大「あ!?」

輝久「僕は2枚の永続罠《忍法 空蝉の術》と《忍法 変化の術》を発動させてもらった。1つ、空蝉の術は戦闘による破壊を無効にし、2つ、変化の術はフィールドの忍者モンスターを、自身よりもレベルが3つまで上の昆虫族・獣族・鳥獣族モンスターに変化(へんげ)させる!」

煙が鋏によって切り裂かれると、そこには鉄の爪を腕にはめ込み、獣のオーラを放つ黒装束の男が構えていた。

輝久「忍者マスターHANZOは、《黒竜の忍者》に姿を変える!さあ、もっと見せなよ、君の力、才能をさ!」


黒竜の忍者
☆7
闇属性・獣族/効果
2800/1600


遊大(黒竜の忍者…攻撃力2800!いきなりエース級のモンスターだが、今のダイヤモンドクラブキングなら越えられる!)
「バトル続行!ダイヤモンドクラブキングで、黒竜の忍者を攻撃!」

そう叫ぶ遊大を見て、輝久はまた、不敵に笑みを漏らした。

輝久「戦闘なんかで突破できたら、僕がこんなモンスターを展開するはずないだろ?黒竜の忍者の効果発動!1ターンに1度、手札及び自分フィールドから《忍者》モンスター1体と《忍法》カード1枚を墓地に送ることで、フィールド上のモンスター1体を除外する!竜脈忍術『黒霧』!」

遊大「相手ターンにモンスターを除外するだってェ!?」

黒竜の忍者がその赤いマフラーを靡かせると、フィールドを黒い靄が包み込んだ。
一瞬、その爪がギラっと光ったのち、ダイヤモンドクラブキングは、既にフィールドから姿を消していた。

その異様かつ強力な戦術に、遊大は汗を1滴垂らした。

輝久「はは、いい表情だ。わかったかな?これが『才能』だよ。正直いって、僕には君のデュエルの流れって物がだいたい掴めてるし 、逆に君はそれが出来ないから僕の手の中で踊るしかない。手札を3枚も使って召喚したエクシーズモンスターも、結局は何の役にも立たない紙クズ同様だったってワケだ。」

遊大「…は?」

遊大は、その「紙クズ」という言葉が、自分の腹を煮えたぎらせていることをその瞬間に感じた。同時に、目の前の軽薄な男1人に、自分の全力が為す術なく打ちひしがれている現実に対し、それ以上にない屈辱が湧き上がってくることも実感していた。

遊大「俺は…カードを1枚伏せて、ターンエンドだ。」

震える手でカードをセットする遊大と、それを見て輝久はまた軽口を叩いた。

輝久「どうしたんだよ?そんなにブルブル震えちゃってさ!怖いなら怖いって言えよ!サレンダーくらいなら許してあげるからさあ!クズのクズらしい情けないサレンダーをさあ!」

輝久は高らかに嘲け笑い、俯いた遊大を見下した。

遊大「…ねェ。」

輝久の笑いがようやく収まり、フィールドが沈黙に包まれたとき、低く、力みで震えた遊大の声が小さく響いた。

輝久「…え?よく聞こないよ、樋本遊大!もう1回言ってごらんよ!」

遊大「お前みたいな、人の決闘を否定する輩は、絶対に許さねェって言ったんだよ…!」

遊大の中での屈辱と怒りは混じり合い、さらに強く濁りきった感情へと変化していた。強すぎる負の感情がその言葉を生み出し、煮えたぎる腹から声となってフィールドに響いていた。

輝久の笑みは消え、まるで獲物を狩る肉食獣のように冷徹で、情の宿らぬ瞳で遊大を睨みつけた。

輝久「…言うじゃん。やってみろよ。ロクな才能もねえ紙クズデュエリストが。」

2人の反骨心と意地が交錯するとき、デュエルはさらに混沌たる領域へと突入していく。



続く
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