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遊戯王WW(ワンダーワールド)/SideAmuse:がらんどうの2人 作:名無しのゴーレム










とある日の昼下がり、ツィルクスの休業日。俺は机に向かい文書作成に取り組んでいた。無論ツィルクスとしてでなく、傭兵ギルドとしての。






「あー、暇だなぁ」
「…………」
「おいアスタ、暇ならデュエルしてくれよ。俺、もっと強くなりたいんだ。だからさ……」
「暇じゃないから断る。この前の事件について、報告書をまとめているんだ」
「この前のって……あぁ、あの機械が暴走したやつか?」
「そうだ。数日経ってようやく復旧も一段落したが、あの事件は不審な点も多い。ゼロが出張している間に、俺が調査をするよう命じられていたからな」
「ゼロか……確か、フォーチュンシティに行ってるんだよな?」
「要人の護衛任務でな。ついでに本部にも顔を出してくると言っていたが……もうすぐ戻ってくる頃だろう」



ただの任務なら、わざわざ支部長であるゼロが動く必要はない。となれば……



「ふーん。で、不審な点ってなんだよ?」
「挙げようと思えば色々あるが……そもそも、何故あの機械……コントラはあそこに保管されていたのか。これは地下デュエルの管理者から、今後賭けデュエルの対戦相手として導入予定だったとのことだ」
「ゲッ、あんなのを戦わせるつもりだったのかよ……?」
「賭けデュエルと言えど、相手の命を取るのはご法度だ。だからより過熱したデュエルを提供するため、壊れても問題ない機械を用意した……まあ、そんなところだろう。だが、それは本題じゃない」
「……本題?」
「結局のところ、一番の謎は……何故あの機械は暴走したのか。それに尽きる」



あの一件で、地下デュエル場は完全に閉鎖された。つまり地下デュエル側にあんなことをするメリットはない……しかし、何のきっかけもなく偶然に複数台のコントラが暴走する訳もない。コントラが致命的な欠陥を有していたか、あるいは……



「確たる証拠はないが、俺の推測としては……」









「お邪魔するわ」









話を遮るように、テントの中に1人の女性が入ってきた。確か、彼女は……



「アミューズ自警団のバイラよ。ツィルクス……いえ、傭兵ギルドアミューズ支部。この前の事件について事情聴取を行わせてもらうけれど、構わないわね?」
「はぁ? 事情聴取って……俺たちが何をしたってんだよ!!」
「落ち着けエン。いいだろう、ちょうど俺たちもあの件について調査していたところだ。情報交換というならこちらも拒否する理由はない」
「……そう。話が早くて助かるわ」



実際のところ、彼女は傭兵ギルドの犯行を疑っているのだろう。だが、コントラが暴走したことと俺たちは一切無関係。誤解を生まないためにも、ここは協力的な態度を取らざるを得ない。



「それじゃ、まずはあなたたちが地下デュエル場に居た理由は?」
「警備のためだ。あそこの管理者に依頼を受けた。依頼書を持ってきてもいいが」
「いえ、その必要はないわ。あちらと証言が一致しているし」



あちら……つまり、地下デュエル場の管理者とは既に話を済ませているということか。



「次に、警備体制について説明してもらおうかしら」
「分かった。まず……」






当日警備に当たっていた人数、そしてその配置……こちらの機密事項に当たる内容以外のほぼ全てを伝えた。






「……こんなところだな」
「なるほどね……コントラが保管されていた倉庫には、誰も配置されていなかったと」
「そもそも、俺たちはあの機械のことを知らされていなかった。少なくとも、あの日に賭けデュエルに出そうとしていたとは考えられない」
「……そうね。でも、ならどうしてあんなことが……?」
「……これは、あくまで俺の私見だが」
「いいわ、話してみて。もちろん信じるとは限らないけど」
「それで構わない。俺もこの事件を調べていたが、やはり複数台の機械が同時に暴走したことに引っ掛かった」
「……つまり、単純なミスで起こったとは考えられないと?」
「ああ。最初は地下デュエルの管理者を疑ったが、あんな事件を引き起こす動機がない。事実、こうして貴重な稼ぎ場を失ったわけだからな」



……そう、この事件の一番の謎は動機だ。アミューズの人間がわざわざ街を荒らすような真似をして何の得にもならない。なら、残る可能性は……



「……疑うべきは、コントラの製造者。そもそも暴走するように設定されてアミューズへ持ち込まれた可能性がある」
「え……いや、そんなことをして何の得になるのよ!? 第一、こんなことになれば製造者だって信用が……」
「コントラの製造元は一切明らかになっていない。搬入経路を洗ったが、いくつかの商会を経由して巧妙に大元を隠蔽していた。つまり、誰も責任を追及しようがない」
「ま、まさか……性能実験に使われたとでも!?」
「その可能性は否定できない……情報を整理した結果、俺はその結論に至っただけだ」
「そんな、でも……」



困惑の声をあげながら、手元の資料を確認するバイラ。一通り見直したようだが、俺の推論を否定する材料は見つからなかったらしい。



「…………いいでしょう。ともかく、これであなたたちへの取り調べは終わりにしておくわ」
「分かった」
「……ええ、『あなたたち』には……ね」






ガッ!!






突如、距離を詰めてきたバイラは俺の胸倉を掴んだ。



「おいっ、テメェ!!」
「よせ、エン。……何の真似だ」
「何の真似ですって? よく言うわ。あなた……よくも、舞を泣かせたわね……!!」
「……なるほど、あいつの知り合いか」
「知り合いなんかじゃない、大親友よっ!! あの子が機械に襲われた時、あなたは途中で追い付いたんでしょっ!? なんで……なんで、何もしなかったのよっ!!」
「…………」
「答えなさいっ!! 返答次第では……」



剥き出しの敵意を見せつけるバイラ。彼女にとって舞がどんな存在なのかは知らないが……



「……俺が到着した頃には、既に舞はコントラとデュエルを行っていた。必要であれば手を貸すと言ったが、あいつがそれを拒んだ。それだけだ」
「拒んだって……なんでそのまま放っておいたのよ!! 戦うのが傭兵の仕事なんじゃないの!?」
「そうだ。しかし、傭兵とて他者の戦いを横取りするような真似はしない。依頼であればその限りではないが……」
「っ、もういいわ!! やっぱり、あんたたちが悪いのよ……平和だったこの街に、あんたたちが争いを持ち込んだんだ!!」



感情的な物言い……薄々感づいてはいたが、彼女は傭兵ギルドそのものに敵意を示しているようだ。しかし……



「……平和だった、か。そりゃあ、争いから目を背ければどんな戦場だって平和だろうよ」
「なん、ですって……!?」
「お前がどんな風に生きてきたかは知らない。だがな、本当の平和なんてどこにもないんだよ。それでも平和だなんてほざく人間は、たまたまその視界に争いが写っていないだけだ」
「なっ……」
「お前の言うとおり、戦うのが傭兵の仕事だ。だから戦いたくない人間は戦場に出るな。……どんな思いを持っていようと、戦場に居るならそいつは戦士だ。そいつを守ってやるのは俺たちの仕事じゃない」
「で、でもっ…………」



……そもそも、俺と彼女ではデュエルに対する考え方が根本から異なる。よってこの会話は平行線、両者が納得する妥協点など存在するはずもない。



「もういいだろう。この話はこれで終わりだ。用が無ければさっさと……?」



バイラを追い払おうとテントの出口を指差そうとした、その時。俺はそこに存在する人影に気付いた。



「お前は……」
「え? ……まさか、どうして!?」



つられるように後ろを振り向いたバイラも、驚きの声をあげる。つまり、彼女の意図するところではない……ということか。






「…………」






『彼女』は申し訳なさそうに俯いたまま、テントの出口から動こうとしない。



「舞、いつからそこに居たの……!?」
「……ごめんね、バイラちゃん。実は、こっそり後ろをついて行ってたの」
「そ、そんな……!!」
「……用があるなら入ってこい」
「ちょっと、待ちなさいよ……」
「そんなところに居てもどうにもならないだろう。さあ、選べ。進むか、戻るか」
「っ……」



彼女が何を思ってここへ来たのかは知らないが……話があるというなら、こちらはそれに応えるだけだ。



「……失礼します」



ゆっくりと、舞はテントへと足を踏み入れた。その様子からするに、世間話をしに来たというわけではないだろう。



「……ようこそ、ツィルクスへ。それで、今日はどうした」
「アスタさん、私は……この前のことを、謝りに来たんです」
「謝る……?」



あの事件で、彼女から謝るようなことがあっただろうか。むしろ対応の不備を攻められれば、俺が謝る立場となる気もするが。



「あの時……私は、ただ劇団のみんなを守りたいって一心で。でも、戦う覚悟なんて持ってなくて……本当なら、あの場はアスタさんに任せるべきだったんだって思って」
「……そんなことを言いに、わざわざここまで来たのか?」
「ち、違うんです! わ、私は……」



彼女の様子は普段とはまるで違う。ここまで言い淀むということは、よほど……



「……あの事件からずっと考えてたんです。今まで私は、みんなを笑顔にしたいと思って頑張ってきました。でも、『全部』を笑顔にすることは無理なんじゃないかって……」
「舞……」
「…………」



誰かを守ることは、誰かを守らないということ。俺の言葉が、彼女をここまで悩ませていたのか。



「なら、お前は……」
「それでも、私は諦めたくないって思ったんです。今の私には出来なくても、いつかは……だから」






一旦言葉を区切り、舞は大きく息を吸う。そして……






「……私、強くなりたいんです!! 強くなって、私の知らなかった世界を見たい。アスタさん、お願いです! 私にデュエルの稽古をつけてください!!」
「なっ、な……何を言ってるの舞!? 大体、どうしてこいつなのよ! デュエルなら私が……」
「バイラちゃん……ごめんね。でも、やっぱりアスタさんにお願いしたいの。アスタさんなら、きっと私の知らないデュエルを教えてくれるから……いい、ですか?」
「……全く、何を言うかと思えば」



つまり、自分を弟子にしろと言っているのか?



「…………断る。俺に他人の面倒を見ている時間なんてない」
「……そう、ですよね。ごめんなさ……」









「全く、つれねぇこと言うなよな。ま、お前ならそう言うと思ってたが」



この声、まさか……!?



「ゼロ!? 一体、いつ戻って……」
「今さっきだよ。面白い話をしてたから、ついつい聞き入っちまった」
「……盗み聞きなんて趣味が悪いわね。さすがは傭兵ギルドの支部長といったところかしら?」
「そっちこそ、人の家で盗み聞きされて困るような話をするな。っと、そんなことはどうだっていいんだ。アスタ、次の依頼が来たぞ」
「依頼……?」



フォーチュンシティから戻ってきて間もないはずのゼロが持ってきたということは……



「依頼の内容は? いや、まずは場所を移して……」
「このままでいいさ。まずは経緯だが、俺とマスクドドラグーンはフォーチュンシティからアミューズまでとある技術者を連れてきた。目的は勿論、破壊されたエンタメデュエル用機器の修理だ」
「あの機械を、直すですって……!?」
「昨日の夜にアミューズへ戻って、すぐに見てもらったんだがな。残念ながら、その技術者でもお手上げでな。しかし技術的な問題というよりも、修理に必要な素材が足りてないらしい」
「それなら商会にでも取り寄せてもらえばいいじゃねえか」
「そんな簡単にはいかないんだよ、エン」



商会でも用意できない機械の素材……まさか。



「調べたところ、その素材はインダストにしかないんだとよ。かなり特殊な合金だとか言ってたが……ともかく、そう簡単に行ける場所じゃない」
「つまり、依頼内容はその素材の確保……?」
「その通り。技術者を連れてインダストまで行く必要がある以上かなり難易度の高い依頼になるが、お前ならこなせるだろう」
「……分かった。それで、出発はいつだ?」
「なるべく早くってことだから、準備が整い次第だな」



確か、現在のインダストは技術者の殆どが逃げ出すような独裁状態と聞いている。それを護衛対象も連れて行くとは……穏便に済ませるにはかなりの手間がかかりそうだ。



「あ、あの……」
「ん、どうした? えっと、お前の名前は……」
「あっ、私は舞って言います。それで、お願いなんですけど……私も、一緒に連れていってください!!」
「!?」
「なっ、なんですって!?」
「……へぇ」



こいつ……この依頼がどれだけ危険なのか分かっていないのか!?



「駄目だ。現在のインダストは世界トップクラスの危険地帯だ。お前のような足手まといを連れて行く余裕はない」
「そ、そうよ!! 命がいくつあっても足りないような場所なのよ!?」
「危ないことは分かってます! でも、ちゃんと知りたいんです……私たちが生きる、この世界のことを!!」
「!!」
「いいじゃねえか。アスタ、連れてってやれよ」
「ゼロ……!?」



彼は何を言っている……まさか、本気で面白がってるだけじゃないだろうな!?



「あんたね、ふざけたこと言ってんじゃ……」
「悪いがふざけてるつもりはないんだ。フォーチュンシティから来た技術者ってのは結構若い女の子でな、護衛がアスタだけってのは心もとないと思ってたんだ。そいつなら人当たりも良さそうだし、外部との交渉なんかにも役立つかなって」
「いや、だが……」
「そんなの却下に決まってるでしょ!? 舞が行くって言うなら、代わりに私が行くわよ! 私の故郷はインダストに近いし、道案内もこなせるわ!」
「バイラちゃん……」
「あー……実は、お前は行くことが確定してるんだよな」
「……へ?」



バイラが行くことが、確定しているだと……!?



「インダストまでのルートをマスクドドラグーンと相談してたんだが、やっぱりフィアンマを経由するしかないってことになってな。フィアンマ出身のバイラを連れていけば何かと楽だろうって、あいつからの許可も出てる。ほら、これがお前への依頼書だ」
「な、何よそれ……」



わなわなと震えながらも、手渡された依頼書へ目を通すバイラ……つまり、この依頼は3人で遂行しろと言っているのか。



「……はっ! なら、舞が行く必要ないじゃない!!」
「いやぁ、だってな……お前とアスタの2人とか、絶対喧嘩別れするに決まってるじゃねえか」
「…………」
「…………」
「あー、なるほどな」



静まり返るテントの中、エンの納得する声だけが響く。……認めたくはないが、その可能性は否定できない。



「くっ……わ、私だってアミューズ自警団の一員よ!? 仕事に私情を持ち込むなんて……」
「ともかく、傭兵ギルドアミューズ支部としては舞を連れて行くことに反対しない。……あとは、本人次第だ」
「あ……」



ゼロに視線を向けられ、はっとする表情を見せる舞。



「……行きたいです!! お願いします、私も連れて行ってください!!」
「よし、決まりだな。ほら、2人ともさっさと準備して来い。一旦ここで集まってすぐに技術者と合流、そのまま出発だ。移動手段は馬車を用意するが、インダストまではかなり距離がある。数日はかかると思って支度するようにな」
「はいっ、分かりました! 行こう、バイラちゃん!」
「えっ、いや、だから私は……!!」



言いたげにしていたバイラだったが、舞に引っ張られテントから連れ出されてしまった。






「……さて。お前もさっさと準備しな、アスタ」
「ああ、でも……1つ、聞きたいことがあります」
「ん、どうした?」
「……何故、舞を連れて行くことにしたんです?」
「そりゃあ、さっき説明しただろ」
「そんな『建前』のことを言ってるんじゃない。どう考えても足手まといにしかならない奴を依頼に連れて行く理由として、あれではあまりにも杜撰すぎる」



俺の知る限り、ゼロは依頼の遂行に関して誰よりもシビアな物の見方をする人間だ。つまり、舞を連れて行くことに明確なメリットが無ければあんなことを言い出すはずがない。



「……いいや、建前なんかじゃないさ。お前とバイラじゃ、絶対に上手く行かない。特に今回の依頼をスムーズに遂行させるには、フィアンマ出身のバイラの協力が必要不可欠だ。そういう意味じゃ、あいつに期待している役割は……『楔』といったところか」
「俺とバイラを繋ぎ止める、そのためだけだと……?」
「そうだ。護衛対象が増えるデメリットよりもそのメリットの方が大きいと判断した、それだけだ」
「…………」



……ゼロの言葉は信用できない。しかし、これ以上追及しても得るものはないだろう。



「……分かった。俺も、準備をしてくる」
「おう、忘れ物がないようしっかりやれよ」


















「……そうだ。エン、ちょっといいか?」
「どうした? 俺にも依頼があるのか?」
「それは違うんだが……しばらくアスタが不在になるからな。その間のデュエルショー、お前がやってみないか?」
「……いいのか!?」
「お試しってことでな。地下デュエル場でのデュエルを見てたが、まあまあよかったと思う。それに、お前もずっとやりたがってただろ?」
「おう! あっ、じゃあ早速練習しねぇとな! ゼロ、付き合ってくれよ!」
「もちろんだ。荷物を片付けて行くから、お前は先に舞台の方へ行っといてくれるか?」
「分かった! よーし、今度こそゼロに一泡吹かせてやるぜー!!」









「……これで、ここには俺とお前しかいない。そろそろ姿を見せたらどうだ、ミネルバからの使いっ走りさん?」
「…………気付いて、いたのですね」
「そりゃあ、こんな商売やってたら人の視線には敏感になるからな。アスタの奴も普段なら見抜いてただろうが、まああんな調子じゃ仕方ない。それで、何の用だ?」
「……ただの視察ですよ。この前の一件に、あなたたちが絡んでいたのかどうかを確認するための」
「それで、結論は出たのか?」
「あなたに言うとお思いで?」
「……ま、そりゃそうか。しかし、ミネルバ教会のエースがわざわざこんなところまで来るとはな。天下のミネルバも、平和ボケでよほど人が足りてないと見える」
「…………何故、あの3人を行かせようと?」
「なんだ、お前もその質問か? だから2人じゃまともに……」
「それならあなたが行けばいいでしょう。今のインダストの危険性を、あなたが知らないはずもないでしょう。そこへ、訓練も積んでいないような一般人を連れて行くなんて……正気の沙汰とは思えません」



いくら敵とはいえ酷い言われようだ。まあ向こうの方が正論を言っているのは間違いないが。



「正気で傭兵なんかやってるかよ。……似てるんだよ、あの2人は」
「似ているって……誰と誰が?」
「アスタと舞だ。色々取り繕っちゃいるが、あいつらの根本には……何もない」
「何も、ない……?」
「そう、空っぽなんだよ。さっきも言ったが、傭兵なんざ正気でやってられる仕事じゃねえ。自分で自分の死に場所を探し回るみたいなもんだからな……だが、アスタは違う。あいつは、傭兵として依頼をこなすことで生きる意味を見いだそうとしてる。だからこそ、どんな依頼だろうと淡々とこなしてみせる。生きるために、な」



仕事振りこそ俺に劣らないが、闘争本能は限りなく薄い。そういう意味じゃ致命的に傭兵に向いてないってわけだ。本人に面と向かって言うつもりはないが……



「……舞も、そうだと?」
「ああ。『みんなを笑顔にする』なんて言ってたが、そのために自分の命を捨てるような真似をする奴はまともじゃない。……あいつも自分が空っぽなことを分かって、それでも足掻いてる」



この世界の連中は、大なり小なり『やりたいこと』の1つや2つは持ってるものだ。だが、あの2人にはそれがない……その穴を埋めるために、身近なものにしがみついた。それから手を離してしまえば二度と取り戻せないと知っているからこそ、自分の命すら軽視する……難儀な生き方だ。



「……この依頼で、何かが変わるとでも?」
「そう願ってるだけだよ。旅の果てに辿り着いた、あいつらが出した答えが見たい……それだけだ」
「…………あなたがまともでないということは分かりました。それでは、私はこれで」






言いたいことだけ言って、ナターレは姿を消した。まだ俺たちの周囲を嗅ぎ回るつもりなのだろうか……見られて困るようなものもないが。















「……楽しみにしてるぜ、アスタ。お前がこの旅で、何を得るのかをな……」















~Side Amuse 完~






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けやぐ
あ、風鼠さんのカテゴリとデュエルせずに終わっちゃった(汗)
所で、俺の七星宿で風鼠さんの歌舞姫に勝てる気がしないのは何故だろうかww
えっ、まさか俺本人も気が付かない所で凄いコンボでもあると良いのか?(;―公―)?
えっ、待って怖いww
(2021-04-19 18:57)
名無しのゴーレム
けやぐさん、コメントありがとうございます。

【七星宿】と【歌舞姫】のデュエルは…どちらもデッキの組み方から考えないといけないからなぁ。一番強い動きをした方が勝つとは思いますが、豊富なサーチで安定した動きをする【歌舞姫】の方がやや有利かな、とは思います。
【七星宿】は未だに全容を把握しきれていませんので、全部使って上手いこと回せば面白そうなことになる…気はします。たぶん。 (2021-04-20 09:24)

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