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遊戯王 ーDuelーDualーAriseー/12話 紫色の猛者たち 作:コングの施し

東雲中からおよそ4kmほどの距離の山肌に位置する、私立光妖中学。

走り去るように1週間が過ぎ、遊大たち東雲中決闘部は、その校門をくぐった。

校舎までは苔がむした石畳の道が続いており、進めば進むほど周辺の緑は深く、影は濃くなっていく。

阿原「くっらいなここ。」

そう阿原が呟いたとき、影の奥、校舎の方から声がした。

「まあ古い学校だし、古臭いしょうがねえだろ〜?」

野太く男気溢れる声が校舎の方から響き、遊大たちは目を凝らした。

暗く紫の和服を彷彿とさせるブレザーをまとった女子が2人、その奥に目をキラキラさせた巨大なクマぬいぐるみが見える。

「やあ。東雲中の皆さん、今日はヨロシク。」

明らかに女の声ではない。奥に構えるクマがそう言った。

遊大・嬢「え…?」

遊大「なんでクマのぬいぐるみがいんだ?」

クマ「ああ?ぬいぐるみじゃあねえよ、モノホンのクマだし、名前はキャンデだ。そんなジロジロ見ないでくれよ〜。」

クマ、いや、キャンデの表情は変化しない。しかし身振り手振りで感情は表現出来るようだった。

嬢「いやあの、先輩方、なんでそんなに平然としてるんです?」

嬢はソワソワしながら、いつもどおりにリラックスしてる阿原と律歌の袖を引っ張る。

律歌「ああ。キャンデは2年だから、私たちもう慣れちゃってさ…。」

遊大「こ、これは慣れるとかそういうもんなのかね…?」

阿原「こいつにツッコんでるとキリがねえぞ。さっさと案内しろよクマ野郎。」

キャンデ「な〜んか当たりが強いなあお前ら。まあついてこいよ。」

校舎を横目に、風情ある石畳の道を光妖中のメンバーについて行くこと5分程度、デュエル部が所有しているという巨大な決闘場についた。


キャンデ「まあ、今日は4人対4人だし?ちょうどいい。フルードレギュレーションの団体戦でもやらないか?」

フルードレギュレーション、5人対5人の団体戦のことだが、遊大は不思議に思った。

遊大「フルードレギュレーションってたしか、5人対5人の団体戦ッスよね?」

阿原「ああ。だがまあ、3戦目にタッグデュエルを入れなきゃならねえから、最低3〜4人でも戦えるが…。」

はて、キャンデの口からは4人対4人というワードが出た。しかし、光妖中には明らかに3人しかメンバーがいない。

遊大「そっち3人しかいなくね?」

手を挙げて遊大がそう言うと、クマのキャンデの背後で腕組をしている少女が不機嫌そうに言った。

「レギュラー入りしてるもう1人が遅刻してるのよ。ボクたちを待たせるなんていい度胸だわ。」

少女は薄いピンクの頭髪に、大きなリボンをつけている。鼻は少々高く、日本人と誰かのハーフであるようだった。

「…」

その少女の傍ら銀色の長髪の女の子は終始黙りこくっており、黒い瞳をじっと下に向けている。

キャンデ「はは。こいつらもあんまり愛想がなくてな。我慢してくれよ新入生。」






団体戦の前は、各チームが陣を組んで、誰が何番手で決闘するかの会議を行う。

5人対5人のレギュレーションを4人で行うため、当然全員戦う羽目にはなるのだが、それでも遊大は、なんとなく1〜2番手で出たい願望があった。

嬢「普通、こういうのって強い人から順に出る方がいいんですよね。最初に3勝したチームが勝ちだし…。」

律歌「そうだね。でもこの部活、キャンデ以外だと、どの人が強いかとかまだわかんないな…。」

遊大「お、俺、1か2番手で出たいんですけど!」

阿原「馬鹿言え。律歌とオレが決めたほうが普通にいいだろ。」

律歌「う〜ん…。」

それぞれ違う考えで頭を抱えていると、ましろが割って入ってきた。

ましろ「私に作戦がある。お前ら円陣を組め。」

皆、その作戦とやらに耳を傾けるのであった。













ましろ「これより、東雲中対光妖中の試合を開始する。各チーム、1番手および2番手の決闘者は位置につけ。」


1番手、東雲中からは1年のドラグニティ使い、龍剛院 嬢が、光妖中からは黙りこくっていた銀髪の少女が選抜された。

2番手、東雲中からは部長の律歌、光妖中からは熊のキャンデが向かい合う。

両者デュエルディスクを構え、同じ言葉を叫ぶ。

『デュエル!』




『嬢vsレイン』

その言葉を叫ぶといよりかは呟いた銀髪の少女は、何かを思い出したように俯いた顔を前に向けた。

「…忘れていた。名前は、レイン恵。1年…。あと、先攻はあげる… 。」

嬢「よ、よろしくお願いします!(ええ…!ここで自己紹介するのかこの人、な、なんかペースが乱されるー!)」

嬢は困り顔で、デッキからカードを5枚、手札に加える。

(初手はまずまず…!最初にシンクロモンスターを揃えて、反撃の隙は与えない!)

嬢「私のターンですっ!
私は、手札より《調和の宝札》を発動しますっ!手札の《ドラグニティーファランクス》を墓地に送り、カードを2枚ドロー!」

(これで手札は整った!新しいシンクロモンスターを出せる!)

「私は《ドラグニティードゥクス》を召喚ですっ!」

風が巻き起こり、鳥の面を被った戦士がフィールドに舞い降りた。
さらに風が黒い槍を彼の手の中に生み出だす。

ドラグニティードゥクス
☆4
風属性/鳥獣族
1500→1700/1000

「ドゥクスの効果で、墓地のファランクスを装備!」

遊大「よっしゃ!初手は上々!やっちまえ!」

嬢「ファランクスの効果で装備されている自身を特殊召喚しますっ!

ドラグニティーファランクス
☆2
風属性/チューナー/ドラゴン族
500/1100

「そして、レベル4のドラグニティードゥクスに、レベル2のドラグニティーファランクスをチューニング!
白翼携えし静かなる烈風の勇者!《ドラグニティナイトーゲイボルグ》!」

嬢の周囲を取り巻く大気が背後に収束し、けたたましい雄叫びと共に白い竜が顕現する。

ドラグニティナイトーゲイボルグ
☆6
風属性/シンクロ/ドラゴン族
2000/1100

ゲイボルグの姿を見て、対戦相手であるレインは小さく呟いた。

レイン「そう…。あなたもシンクロモンスターを…」

嬢「(あなたも…?ってことはこの人もシンクロモンスターを?でも、ここで攻めを辞める理由にはならない!)さらに装備魔法《ドラグニティの神槍》をゲイボルグに装備させます!
装備モンスターは攻撃力がレベル×100ポイントアップし、デッキからドラグニティモンスターを装備できる!私は、ゲイボルグに《ドラグニティーコルセスカ》を装備させますっ!」

ドラグニティナイトーゲイボルグ
2000→2600/1100

ゲイボルグの騎乗するドゥクスの手に、2本の槍が舞い降りる。

「私はカードを1枚セットして、ターンエンドですっ!」





『律歌vsキャンデ』

キャンデ「あの嬢って子、1ターン目から中々飛ばすじゃないか。中々いい勝負になると思うぜ。それに比べてこっちの戦況はどう思うよ?ツァン?」

そう言って、キャンデはピンク色の髪の女の声のほうを振り返る。
どうやらピンク髪の少女は『ツァン』と呼ばれているようだった。

ツァン「知らないわよ。でもまあひとつ言わせて貰うと…なにやってるワケ?」

ツァンは呆れたようにキャンデを見つめ、小さく呟いた。

「これじゃあボクの4番手の出番が来ちゃうじゃない…。」

ポケットから1枚のカードを取り出し、見つめた。白い枠、赤黒い甲冑の鎧武者が、太刀を構えているようだ。

律歌vsキャンデのデュエルは、後攻1ターン目にして既に律歌の圧倒的優位な状況であり、キャンデの逆転の望みは限りなく薄くなっていた。

律歌「どうしたのキャンデ?まだまだ本気は出てないよ。」

律歌は静かに笑顔を浮かべた。フィールドの攻撃力が4900となったアークロードパラディオン、そして他のパラディオンモンスターがキャンデの方に構えている。

対するキャンデの盤面は、《No.14 強欲のサラメーヤ》のみであった。

キャンデ「いや〜、これはキツイだろ。おれもレギュラー入りしてるっちゃしてるのに、今年の1年が強くて参っちまうよ。」

アークロードパラディオンが大剣を振りかざし、強欲のサラメーヤを粉砕する。

律歌「天穹のパラディオンの効果で、戦闘ダメージは2倍。
でも、私は1年じゃないよ?キャンデ。」

キャンデ LP4000→0

キャンデ「お前は去年ベスト16だから別だろ〜。ま、負けちまった以上、観戦するしかないよな〜。」

キャンデはデュエルディスクをさっさとたたみ、嬢とレインのほうを向いて腰掛けた。





『嬢vsレイン』

レイン「……わたしのターン。…発動《アンデット・ワールド》…」

1枚のカードをフィールドゾーンに設置すると、重苦しく、どす黒い空気が辺りを包み込んだ。

同時に、ゲイボルグの様子が急変する。目は赤色に輝き、口からはヨダレをダラダラと垂らしている。

嬢「こ、これって…!?」

遊大「この寒気…何が起きてんだ…?」

レイン「そう…。これが、アンデットワールド。そして…、召喚…。《堕ち武者》…効果で、《ゾンビキャリア》を、墓地に…。」

頭だけになり、青ざめた顔の武者が青い炎と共に出現した。

堕ち武者
☆4
闇属性/アンデット族
1700/0

黒い瘴気がただようフィールドには絶えず不気味な笑い声が響いている。

嬢「ひっ…。」

レイン「…魔法《生者の書ー禁断の呪術ー》、発動…。ゾンビキャリアを蘇生して…ドラグニティーファランクスを除外する…。」

おぞましい怪物が、地を掘り返して姿を表す。

阿原「ファランクスを再び墓地から装備する芸当ができなくなったわけか。それに、あのモンスター…。」

レイン「…そう。ゾンビキャリアは…チューナー。」

ゾンビキャリア
☆2
闇属性/チューナー/アンデット族
400/200

嬢「チューナー!やっぱりそっちもシンクロ召喚を!」

レイン「レベル4の堕ち武者に、レベル2のゾンビキャリアをチューニング…。シンクロ召喚、《デスカイザー・ドラゴン》…」

辺りに漂う瘴気が、血の匂いを帯びて地面の一点に収束する。

脈に一つの穴を開けたように、地面から血が吹き出し、その龍は姿を現した。
白骨を思わせるフォルムには、鮮血が滴っている。

デスカイザー・ドラゴン
☆6
炎属性/シンクロ/アンデット族
2400/1500

嬢「こ、これが…」

遊大「レイン恵のエースモンスター…」

デスカイザードラゴンは、嬢のフィールドのゲイボルグをまっすぐに睨みつけた。

殺意までこもった深紅の瞳を見て、嬢の背筋に冷や汗が一筋流れた。



続く
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