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遊戯王WW(ワンダーワールド)/SideAmuse:守るべきもの 作:名無しのゴーレム










「うーん、やっと休憩かぁ~」



稽古場を出て、ぐーんと背筋を伸ばす。次の公演まで日もないからみんな頑張ってるけど、長時間の練習になるとどうしても疲れが出てしまう。だからこうして外の空気を吸いに来たのだけれど……



「……バイラちゃん、何してるんだろうなぁ」



いつも通り一緒に稽古場まで来たのに、その後1人でどこかへ行ってしまった。最近こんなことが多くなったけど……聞いても教えてくれないってことは、秘密にしたいことなのだろうか?



「…………考えてもしょうがないか。さーて、そろそろ戻らないと……?」



稽古場へ引き返そうとしたとき、周囲の異変に気付いた。よく見ると、いくつもの人影がこちらの方へ走ってきている。まるで、何かから逃げるみたいに……






「……ろ!! ……が……て…ぞ!!」






何か叫んでいるみたいだけど……








「……逃げろ!! 機械が暴走して、こっちへ向かって来てるぞ!!」








「……え? 機械……?」






状況はよく分からないけれど、この人たちは機械から逃げているらしい。でも、こっちへ走っているということは……






「……このままじゃ、稽古場のみんなが!!」



でも、既に遠くから轟音が聞こえてきている。今から稽古場に戻っても、全員の避難は……



「ど、どうしたら……!?」









「はぁぁぁぁ!!!」






カキーン!!






「!? 今の、音は……?」






女性の叫び声と、響き渡る金属音。まさか……!?






「くっ……止まり、なさいっ!!」






ガキーン!!






「っ……はあっ、はぁっ……」





……間違いない。数メートルはありそうな巨体を持つ暴走機械に対して、女性は単身で攻撃を仕掛けている。しかも、彼女は……






「ナターレさん!?」
「え……っ!!」



私の呼び掛けに振り向こうとしたナターレさんだったが、その瞬間に機械のアームによって弾き飛ばされてしまった。危険な行為と分かっていても、思わず彼女の元へ駆け寄る。



「そんな……ナターレさん!!」
「だい、丈夫です……そんなことより、舞がどうしてここに!? 早く逃げないと……」
「す、すぐそこに私たちの劇団が使ってる稽古場があって、このままじゃみんなが……!!」
「くっ……!!」



よく見ると、暴走している機械はあちこちに傷がついている。特に足へのダメージが大きいようで、移動もどこかぎこちない。これを、全てナターレさんが……?



「あの機械は、一体なんなんですか……!?」
「私も、詳しくは知りませんが……どうやら、どこかの団体が保有していたもののようです。それが何らかの要因で暴走したらしく、現在街中にあれと同じような機械が複数体出現しています」
「複数、ですか!?」
「はい。デュエルで倒してしまうのが一番手っ取り早い方法ではありますが、複数体を止めるには時間がかかりすぎます。なので、こうして機動力を奪おうとしているのですが……」



ゆっくりと立ち上がり、再び剣を構えるナターレさん……



「……ナターレさん。ここは私に任せてください」
「なっ……!? 舞、何を言っているのですか!?」
「デュエルに持ち込めば、あの機械は止まる……ですよね?」
「それは、そうですが……でも!!」
「大丈夫です。例え勝てなくても、みんなが逃げられるだけの足止めが出来ればいいんですから。だから、ナターレさんは他の機械を止めに行ってください」
「…………」
「ここは私が守ります! だから……早く行ってください!!」
「!! ……どうか、ご武運を!!」






一瞬で姿を消してしまったナターレさん。そして、ゆっくりと迫り来る機械……もはや、迷っている暇はない。






「……私が相手です。さあ、かかってきてください!!」
『ピピピ……デュエルディスクを検知。『コントラ-03』、デュエルモードに移行』






コントラ……というのが、あの機械の名前なのか。ともかく、予想通りデュエルに持ち込むことに成功したようだ。あとは……















「『デュエル!!』」









舞 LP8000 手札5
コントラ LP8000 手札5



「先攻は貰います! 私のターン!」



相手のデッキの動きが分からない以上、まずは守りを固めなきゃ……



「……『律礼の歌舞姫 璃々奈』をペンデュラムスケールにセット! 璃々奈のペンデュラム効果発動、デッキからレベル3以下の歌舞姫モンスター1体を手札に加えます! そして今手札に加えた『花野の歌舞姫 柚子』をペンデュラムスケールにセット!」
『ペンデュラムスケール解析……1と2、現状ペンデュラム召喚は不可能』



機械とデュエルするのは初めてだけど、こんな風に解析してくるのか……



「ペンデュラム召喚はしませんよ、まだ……柚子のペンデュラム効果発動! ライフを800払うことで、デッキからXCM(エクシードチェンジマジック)を手札に加えます。その後、柚子は手札に戻ります」


舞 LP8000→7200


「手札から『英花の歌舞姫 薺』をペンデュラムスケールにセット!」
『ペンデュラムスケール解析……1と9、現状レベル2から8までのペンデュラム召喚が可能』
「ええ、その通り! 舞台を彩れ、可憐なる姫君! ペンデュラム召喚、『花野の歌舞姫 柚子』!」



先攻1ターン目には私のデッキも全力を出せない。まずは、次のターンに繋げないと。



「私はこれでターンエンドです」



舞 LP7200 手札4 ペンデュラムゾーン 律礼の歌舞姫 璃々奈、英花の歌舞姫 薺 モンスターゾーン 花野の歌舞姫 柚子(表側守備表示)
コントラ LP8000 手札5



『私のターン、ドロー』



私のフィールドには守備モンスター1体のみ、それほど固い守りではない。もし、これを突破するだけの展開力があるなら……



『カードを1枚セットして、ターンエンド』
「……え?」



カードを伏せただけで、ターンエンド? モンスターすら出さないなんて……よほど手札が悪いということ?



舞 LP7200 手札4 ペンデュラムゾーン 律礼の歌舞姫 璃々奈、英花の歌舞姫 薺 モンスターゾーン 花野の歌舞姫 柚子(表側守備表示)
コントラ LP8000 手札5 魔法・罠ゾーン 伏せカード1枚



「……私のターン、ドロー!」



気になるのはあの伏せカード……逆に言えば、それ以外に私を妨害する手段はないはず。



「璃々奈のペンデュラム効果発動、デッキからレベル3以下の歌舞姫を手札に加えます。そして『黒花の歌舞姫 椿』を召喚!」
『レベル3のモンスター2体、チューナーは存在せず……エクシーズ召喚の兆候を検出』
「正確な分析ですね。私はレベル3の柚子と椿の2体でオーバーレイ! エクシーズ召喚、『立華の歌舞姫 椿』!」
『エクシーズ召喚を確認。脅威値を算定中……』
「椿の効果発動! 自身のオーバーレイユニットを1つ取り除いて、デッキから歌舞姫モンスター2体を手札に! ペンデュラム召喚! 現れて、『花信の歌舞姫 葵』『艶悪の歌舞姫 凛花』『有心の歌舞姫 詩音』!」



これでモンスターが4体……それでも、まだ足りない。



「私はレベル4の葵と凛花でオーバーレイ! エクシーズ召喚、『才華の歌舞姫 葵』!」
『2体目のエクシーズ召喚……対象の脅威値を更新。最適なアルゴリズムを検索中……』



葵が存在する限り、自身以外の歌舞姫は2回攻撃できる。少しくらいの妨害なら、その上を乗り越えてライフを削りきれるはず……



「バトル! 私は……」
『バトルフェイズ移行時、手札の『反攻襲器―ポイズンガス』と『反攻襲器―マイン』の効果発動。自身を裏側守備表示で特殊召喚』
「そんな……っ!?」



相手ターンに、手札からモンスターを特殊召喚!? だから、さっきのターンにモンスターを出さなかったのか……



「……葵で、裏側守備表示のモンスターを攻撃!」
『攻撃を受けるセットモンスターを対象に、リバースカードオープン。通常罠『潜伏する反攻襲器』。このターン対象のモンスターは戦闘で破壊されず、裏側守備表示のモンスターは相手の効果の対象とならない。そして攻撃を受けたポイズンガスのリバース効果発動。椿の効果を無効にし、攻撃力を0にする』


立華の歌舞姫 椿 攻撃力2000→0


「っ……詩音でもう1体のモンスターを攻撃!」
『攻撃を受けたマインのリバース効果発動。葵を破壊する』



マインを戦闘破壊したものの、こちらも葵が破壊されてしまった……間違いなく、相手のデッキは守りに重きを置いている。エクシーズモンスターはもちろん、オーバーレイユニットになっている歌舞姫たちもエクストラデッキに戻ることはない。このまま持久戦になれば……



「バトルフェイズ終了。私は詩音1体でオーバーレイ! エクシーズ召喚、『勇気の歌舞姫 詩音』!!」
『モンスター1体でのエクシーズ召喚……対象の特異性を検知』
「歌舞姫エクシーズモンスターは、メインフェイズ2に特定の歌舞姫1体を素材にすることでエクシーズ召喚できます。さらに速攻魔法『XCM-歌舞姫のがんどう返し』発動! 椿を素材にして、同じランクの歌舞姫エクシーズモンスターをエクシーズ召喚します! エクシーズ召喚、『華蓋の歌舞姫 柚子!』カードを2枚セットして、ターンエンドです!」



舞 LP7200 手札2 ペンデュラムゾーン 律礼の歌舞姫 璃々奈、英花の歌舞姫 薺 モンスターゾーン 華蓋の歌舞姫 柚子(表側守備表示)、勇気の歌舞姫 詩音 魔法・罠ゾーン 伏せカード2枚
コントラ LP8000 手札3 モンスターゾーン 反攻襲器―ポイズンガス



『私のターン、ドロー。ポイズンガスの効果発動、自身を裏側守備表示に変更』



再び裏側守備表示に……あれでは、リバース効果を再利用されてしまう。



『墓地の『潜伏する反攻襲器』の効果発動。裏側守備表示のポイズンガスと、墓地の自身を手札に戻す。モンスターをセット』



反攻襲器は自身の効果で相手バトルフェイズ開始時に手札から展開可能のはず。なのに、わざわざモンスターをセットしたということは……



『速攻魔法『偏在する反攻襲器』発動。セットした『反攻襲器―サイレン』を表側攻撃表示に変更し、その同名モンスターをデッキから手札に加える』
「柚子がオーバーレイユニットを持っている限り、相手は通常のドロー以外でデッキからカードを手札に加えることを封じます!」
『……サイレンのリバース効果発動、デッキから『反攻襲器―ベアトラップ』を裏側守備表示で特殊召喚。速攻魔法『進攻する反攻襲器』発動。ベアトラップを表側攻撃表示に変更し、その攻撃力に自身の守備力を加える』


反攻襲器ベアトラップ 攻撃力300→2300


『ベアトラップの効果発動。相手フィールドのモンスター1体のコントロールを得る』
「させません! 薺のペンデュラム効果、相手の攻撃力2000以上のモンスターは効果が無効化されます!」
『……バトルフェイズに移行。ベアトラップで柚子を攻撃』
「きゃっ……!!」
『バトルフェイズ終了。サイレンとベアトラップの効果発動、自身を裏側守備表示に変更。墓地の『偏在する反攻襲器』の効果発動。裏側守備表示のベアトラップと墓地の自身を手札に戻す。カードを2枚セットしてターンエンド』



舞 LP7200 手札2 ペンデュラムゾーン 律礼の歌舞姫 璃々奈、英花の歌舞姫 薺 モンスターゾーン 勇気の歌舞姫 詩音 魔法・罠ゾーン 伏せカード2枚
コントラ LP8000 手札3 モンスターゾーン 反攻襲器―サイレン(裏側守備表示) 魔法・罠ゾーン 伏せカード2枚



「私のターン、ドロー」
『サイレンを対象としてリバースカードオープン。通常罠『潜伏する反攻襲器』。このターン、サイレンは戦闘で破壊されない』



毎ターンあの罠カードが発動される限り、こちらの攻撃は届かない……このままではじり貧だ。



「……璃々奈のペンデュラム効果発動、デッキからレベル3以下の歌舞姫を手札に加えます。詩音の効果発動! オーバーレイユニットを取り除き、デッキから戦士族通常モンスターを特殊召喚します。来て、『花軸の歌舞姫 カンナ』! 薺のペンデュラム効果発動、ライフを800払って墓地のがんどう返しを手札に加えます」


舞 LP7200→6400


「その後、自身を手札に戻します。再び薺をペンデュラムスケールにセット! そして『花候の歌舞姫 杏奈』を召喚! レベル4のカンナと杏奈でオーバーレイ! エクシーズ召喚、『凛華の歌舞姫 杏奈』! 杏奈の効果発動、オーバーレイユニットを取り除き、墓地のカード5枚をデッキに戻して2枚ドロー。そして……バトル!」
『バトルフェイズ開始時に、手札の『反攻襲器―ベアトラップ』『反攻襲器―ポイズンガス』の効果発動、自身を裏側守備表示で特殊召喚』
「っ、杏奈でベアトラップを攻撃!」
『ベアトラップのリバース効果発動。杏奈のコントロールを……』
「この瞬間、リバースカードオープン! カウンター罠、『実事師の歌舞姫舞い』! 手札の歌舞姫モンスター1体を捨てることで、相手が発動した効果を無効化します!」



これでベアトラップは破壊した。次は……



「詩音でポイズンガスを攻撃! 杏奈が存在する限り、他の歌舞姫モンスターは貫通効果を得ます!」


コントラ LP8000→7350


『ダメージ軽微……ポイズンガスのリバース効果発動。杏奈の攻撃力を0にして、効果を無効化する』


凛花の歌舞姫 杏奈 攻撃力2500→0


「……バトル終了。そして手札から速攻魔法『XCM-歌舞姫のがんどう返し』発動! 杏奈を素材にして、同じランクの歌舞姫エクシーズモンスターをエクシーズ召喚します! エクシーズ召喚、『雪華の歌舞姫 カンナ』! カードを1枚セットして、ターンエンドです!」
『このタイミングで、リバースカードオープン。速攻魔法『偏在する反攻襲器』。裏側守備表示のサイレンを表側攻撃表示に変更し、デッキから同名モンスターを手札に加える。サイレンの効果発動、デッキから『反攻襲器―ニードル』を裏側守備表示で特殊召喚する』



舞 LP6400 手札4 ペンデュラムゾーン 律礼の歌舞姫 璃々奈、英花の歌舞姫 薺 モンスターゾーン 雪華の歌舞姫 カンナ、勇気の歌舞姫 詩音 魔法・罠ゾーン 伏せカード2枚
コントラ LP7350 手札4 モンスターゾーン 反攻襲器―サイレン、反攻襲器―ニードル(裏側守備表示)



『私のターン、ドロー。サイレンの効果発動、自身を裏側守備表示に変更する』
「なら、カンナの効果発動! オーバーレイユニットを1つ取り除き、相手フィールドにセットされたカード1枚をデッキに戻す!」



モンスターを増やし続けるサイレンを残しておく訳にはいかない。これで、相手の戦力を削いでしまえば……



『カンナの効果に対して、速攻魔法『激化する反攻襲器』発動。手札・フィールドのモンスターを素材として、機械族融合モンスターを裏側守備表示で融合召喚する』
「ここで、融合召喚……!?」
『フィールドのサイレン、そして手札の『反攻襲器―ショックスタン』と『反攻襲器―ニードル』を融合。融合召喚、『反攻襲器―アンダーグラウンド』』



こちらの効果をかわす形で現れた融合モンスター。しかも裏側守備表示ということは……



『モンスターをセット。そして『偏在する反攻襲器』の効果発動。今セットしたモンスターと墓地の自身を手札に戻す。そして速攻魔法『偏在する反攻襲器』発動。アンダーグラウンドを表側攻撃表示に変更する。アンダーグラウンドのリバース効果発動。相手フィールドに表側表示で存在する全てのモンスターの攻撃力を0にする』


雪華の歌舞姫 カンナ 攻撃力2300→0

勇気の歌舞姫 詩音 攻撃力2250→0


『そしてアンダーグラウンドの攻撃力は、フィールドに表側表示で存在するモンスターの数×800アップする』
「薺のペンデュラム効果、攻撃力2000以上のモンスターの効果を無効にします!」


反攻襲器―アンダーグラウンド 攻撃力0→2400→0


『ニードルを反転召喚。ニードルのリバース効果発動、アンダーグラウンドの攻撃力を1000アップする』


反攻襲器―アンダーグラウンド 攻撃力0→1000


『バトルフェイズに移行。ニードルで詩音を攻撃』


舞 LP6400→5300


『アンダーグラウンドでカンナを攻撃』


舞 LP5300→4300


「くっ、リバースカードオープン! 通常罠『歌舞姫の残痕舞』発動! 歌舞姫モンスターが破壊されたとき、デッキからレベル4以下の歌舞姫モンスターを特殊召喚します。来て、『俊足の歌舞姫 一葉』!」
『ニードルの効果発動、自身を裏側守備表示に変更。墓地の『潜伏する反攻襲器』の効果発動。裏側守備表示のニードルと墓地の自身を手札に戻す。カードを2枚セットして、ターンエンド』



舞 LP4300 手札4 ペンデュラムゾーン 律礼の歌舞姫 璃々奈、英花の歌舞姫 薺 モンスターゾーン 俊足の歌舞姫 一葉 魔法・罠ゾーン 伏せカード1枚
コントラ LP7350 手札4 モンスターゾーン 反攻襲器―アンダーグラウンド 魔法・罠ゾーン 伏せカード1枚



「私のターン、ドロー!」



相手フィールドは攻撃力0のアンダーグラウンド1体。でも、手札には反攻襲器が蓄えられている……でも、その手の内はほとんど分かっている。このターンで、さらに相手のカードを消費させる。



「リバースカードオープン! 通常罠『ペンデュラム・バック』! 私がペンデュラム召喚可能なレベルのモンスター2体を、墓地から手札に加えます。璃々奈のペンデュラム効果発動、デッキからレベル3以下の歌舞姫モンスターを手札に加えます。ペンデュラム召喚! 手札から『花軸の歌舞姫 カンナ』『花信の歌舞姫 葵』『雪花の歌舞姫 藍』、そしてエクストラデッキから『勇気の歌舞伎 詩音』!!」



アンダーグラウンドの効果がある以上、安易にエクシーズ召喚はできない。ペンデュラムエクシーズモンスターの詩音が居るから攻撃力も何とかなるはず。このまま……



『アンダーグラウンドの効果発動。相手モンスターが特殊召喚されたとき、そのモンスターを破壊して自身を裏側守備表示に変更する』
「そ、そんなっ!?」



せっかくペンデュラム召喚した4体のモンスターが……



「手札から速攻魔法、『XCM-歌舞姫の廻り舞台』発動! 詩音を素材にして、『才華の歌舞姫 葵』をエクシーズ召喚!」



なんとかエクシーズモンスターは残せたけど、3体のモンスターが破壊されてしまった。しかもアンダーグラウンドが裏側守備表示になったから、攻撃を仕掛ければこちらのモンスターの攻撃力が0になってしまう。



「でも、そろそろ……」



このデュエルが始まってから、それなりに時間が経ったはず。もうすぐ、助けが……









「……舞!!」









!! この声は……






「アスタさん!!」






まるで想いが通じたかのように、彼は私の目の前に現れてくれた。






「舞、無事か?」
「はい、私は大丈夫です。ありがとうございます、アスタさん」
「礼はいい。それより、今はお前があの機械と戦っているのか?」
「はい。でも、アスタさんが来てくれたなら……」
「なんだ、俺が代わるのか? この状況ならこのまま勝てるだろう」
「え……?」
「なんだ、どうした?」
「あの、えっと……あの機械は暴走してるって、ナターレさんから聞いたんです。だから、デュエルで壊してしまわなくてもいいんじゃ……」



私の言葉を静かに聞くアスタさん。しかし、その表情はどこか……



「……つまり、お前は俺にあいつを破壊することなく捕らえろとでも言うのか?」
「ナターレさんがやっていたみたいに、足を壊してしまえば周りに危害を加えることも……」
「舞。俺がそんなことをするメリットがどこにある?」
「……え、何を言って……?」
「いいか。あの機械は現に街へ多大な被害を与えている。重傷者こそ居ないが、避難の際に軽傷を負った者は多数だ。そんな状況で、誰がアレを守ることを望む?」
「で、でも……」
「そもそも、お前は何のために戦っている? 人を守るためではないのか?」
「私は……」









『……デュエル中断。間もなくデュエルモードを終了します……』






デュエルモードを終了……それって、また暴走するってこと……!?



「……だそうだ。舞、早く選べ。俺に任せるか、自分でケリをつけるか……何にせよ、この機械は破壊する。それが俺の仕事だからだ」
「…………っ」






…………私がどうしても、あの機械は守れない。なら、私に出来ることは……






「……デュエルを、続行します」
「…………そうか。お前のことは俺が守る、だから心配するな」



続きを促すように、アスタさんは私の後方へと歩いていく。私を守ると言ってくれたのは嬉しい、けど……



「……墓地の『実事師の歌舞姫舞い』の効果発動! 自身を除外することで、墓地の歌舞姫モンスターを特殊召喚します。甦れ、『花候の歌舞姫 杏奈』!」
『デュエルの反応を検知。デュエルモードを続行します』
「私はレベル4の一葉と杏奈でオーバーレイ! エクシーズ召喚、『疾風の歌舞姫 一葉』! そして通常魔法『歌舞姫の演技稽古』発動! 一葉の攻撃力を800アップします!」


疾風の歌舞姫 一葉 攻撃力1900→2700


「一葉の効果発動! 自身のオーバーレイユニットを1つ取り除き、自分のモンスター1体に相手へ直接攻撃できる効果を付与します。そしてこの効果にターン制限はありません……私はオーバーレイユニットを2つ取り除いて、一葉と葵に効果を付与!」



葵が存在することで、一葉は2回攻撃ができる。反攻襲器のリバース効果も伏せられた罠カードも、ダイレクトアタックに対抗することはできない。これで……



「……バトル! 一葉でダイレクトアタック!」


コントラ LP7350→4650


「オーバーレイユニットを持った葵が存在する限り、他の歌舞姫モンスターは2回攻撃が可能! 続けて一葉でダイレクトアタック!」


コントラ LP4650→1950


『被害甚大……出力低下します』



自立していた機械が、倒れ伏すように地面に崩れ落ちる。こんな状態では歩くこともままならないはず。……それでも、このデュエルを止める訳にはいかない。



「っ……葵、で……ダイレクト、アタック!!」






『敗北を回避する方法を検索中……存在せず。勝敗が、確定しました』






コントラ LP1950→0


















『ピピピ……機能停止まで、残り……』












歪んだ音声を発しながら、カメラ部分の光が消えていき……やがて、完全に動かなくなってしまった。









「…………」
「よくやった。これで、この一帯の人々の暮らしは守られた」
「そう、ですね……」
「……覚えておけ。何かを守るということは、何かを守らないということだ。他者を傷つける覚悟もないのなら、戦場に出ようと思うな。その甘えは自分だけでなく、他人すら危険に巻き込む」
「…………」



……分かっている。アスタさんの言葉は正しいのだろう。戦いになれば全てが無事なんてことはない。何を守り、何を切り捨てるのか……選ばなければ、全てを失ってしまう。彼が生きてきたのは、きっとそういう世界なんだ……



「……後始末をする。ここへもすぐに応援が来るから、お前は休んでおけ」
「あ……」



何か言葉をかける暇もなく、アスタさんは走り去ってしまった。



「…………」






「舞!!」






「あ、バイラちゃん……」



アスタさんと行き違うように、バイラちゃんがこちらへと駆けてきた。



「良かった……舞が、無事で……!!」
「バイラちゃん……うん、私は大丈夫だよ。だから、泣かないで……」
「大丈夫って……なら、なんでこんなところに居るのよぉ……」
「それは……」
「危ないことはしないでっていつも言ってるわよね!? あなたに何かあったら、私は……私は……!!」
「バイラちゃん……ごめんなさい」






……私はただ、みんなの笑顔を守りたかっただけだった。なのに、こうして親友のバイラちゃんを泣かせてしまっている。どうしてこうなってしまったのだろう。









私は、どうしたら良かったのだろうか……















キャラクター紹介


コントラ
モチーフ:【反攻襲器】 作者様:kaTe様
アミューズの地下に保管されていたデュエル用ロボット。
本来は拠点防衛を目的として設計されたが、度重なる改造の末原型を留めない形となっている。
複数体製造されており、その製造元は不明。



【反攻襲器】の使用許可をくださったkaTe様、本当にありがとうございました!






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kaTe
反攻襲器の使用、こちらこそありがとうございました!
守るために作られ、壊すために動いてしまったロボット。相手もまた、守るために壊すことを強いられた若者。その勝利に喜びは無く、なんだかやるせない結末に。続きがあるなら、笑顔でエンディングを迎えられますように。 (2021-04-01 09:08)
名無しのゴーレム
kaTeさん、コメントありがとうございます。

この世界におけるデュエルは命のやり取り、ということが改めて示される回となりました。
娯楽都市のはずなのに登場人物が曇る展開しかしていないアミューズ。次回で最終回ですが、少しは救いのある終わりにしたいところですね… (2021-04-02 13:28)
風鼠
歌舞姫の使用ありがとうございます。
やはり女子力(物理)だったか…(戦慄 (2021-04-08 16:22)
名無しのゴーレム
風鼠さん、コメントありがとうございます。
【歌舞姫】は一切手加減無しだと後攻ワンキルが普通に狙えるくらいには攻撃性能高めですからね…
今回は使うカードをかなり制限しましたが、それでもここまで暴れてくれました。 (2021-04-09 07:54)

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50 オリカまとめ7 481 2 2019-05-13 -
37 オリカまとめ8 363 0 2019-05-18 -
57 オリカまとめ9 481 2 2019-05-18 -
55 24話 凍てつく世界 470 2 2019-06-19 -
61 25話 時空の賢者 472 4 2019-06-26 -
30 26話 救世を拒む復讐の剣 506 4 2019-06-29 -
59 27話 燃え尽きぬ憎悪の炎 525 4 2019-07-03 -
44 28話 運命の選択肢 419 4 2019-07-07 -
68 29話 雪下の約束 410 4 2019-07-11 -
36 30話 再出発 317 2 2019-07-15 -
47 オリカまとめ10 552 4 2019-07-19 -
41 オリカまとめ11 397 4 2019-07-19 -
43 31話 新たな刺客? 367 4 2019-07-21 -
48 32話 忍びの流儀 509 4 2019-07-24 -
27 33話 雪の国の守護者 309 2 2019-07-28 -
38 34話 鉄壁の守護騎士 368 2 2019-08-01 -
25 35話 妖精の導き 353 2 2019-08-05 -
33 オリカまとめ12 421 4 2019-08-08 -
26 オリカまとめ13 385 2 2019-08-08 -
36 36話 温泉街フィアンマ 375 4 2019-08-11 -
33 37話 傭兵と行商人 330 2 2019-08-15 -
34 38話 時空を越えし英雄 397 2 2019-08-19 -
40 39話 燻る炎 380 2 2019-08-26 -
72 40話 張り巡らされた罠 365 2 2019-09-20 -
50 41話 一瞬の勝機 351 4 2019-09-29 -
27 42話 万物焼き尽くす業火 371 4 2019-10-05 -
26 43話 強者の孤独 378 2 2019-10-23 -
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37 オリカまとめ15 337 0 2019-11-13 -
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24 45話 王を目指す者 245 2 2020-02-17 -
20 46話 君臨者と反逆者 305 4 2020-03-12 -
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10 50話 無双の姫君と反逆の機械 227 4 2020-08-05 -
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