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HOME > 遊戯王SS一覧 > 006:繋がる力

006:繋がる力 作:天2

006:繋がる力

「エクストラデッキからリンク召喚されたリンクモンスターは、エクストラモンスターゾーンに特殊召喚される」

リンク召喚された《ダークコード・トーカー》は、メインモンスターゾーンの前に2つあるエクストラモンスターゾーンの片方に降り立つ。



《ダークコード・トーカー》
リンク・効果モンスター(オリジナル)
リンク3/闇属性/サイバース族/攻2300
【リンクマーカー:上/左下/右下】
闇属性モンスターを含む効果モンスター2体以上
(1):このカードの攻撃力は、このカードのリンク先のモンスターの数×500アップする。
(2):このカードのリンク先にサイバース族モンスターが召喚・特殊召喚された場合、墓地の闇属性モンスター1体を対象に発動できる。 そのモンスターをこのカードのリンク先に守備表示で特殊召喚する。



「リ、リンク召喚だと? 知らねェ! そんな召喚方法なんざ、聞いたこともねェぞ!?」

ユーイのスキルを見た時以上に物真似師は狼狽していた。

この《ダークコード・トーカー》は今まさにユーイがスキル『ストーム・アクセス』により生み出した新たなモンスターである。物真似師が知らないのも無理はない。

しかしーーーリンク召喚は違う。

まただ、とユーイは目を細める。
またユーイの記憶と物真似師の態度に食い違いを感じる。
物真似師の困惑は演技ではないだろう。彼の目には未知のものに対する本物の怯えが見える。人は理解できないものに本能的な恐怖を感じるようにできている。これまであれほど威勢を見せていた物真似師に、今更恐怖を演じる理由などあるまい。物真似師は本当にリンク召喚という概念を知らないのだ。
だがユーイの記憶には確かにリンク召喚に対する知識が含まれていた。

「リンク召喚は、リンクモンスターをエクストラデッキから特殊召喚する召喚方法だ。そしてリンクモンスターは、リンクマーカーを通して他のモンスターと繋がることで力を発揮する」

《ダークコード・トーカー》のカードには、他のモンスターにはないリンクマーカーという矢印が記されている。先ほど3体のサイバースモンスターが吸い込まれた矢印がそれだ。

「《ダークコード・トーカー》は自身のリンクマーカーが示す先のモンスターゾーンにいるモンスター1体につき、攻撃力を500アップする」

現在、《ダークコード・トーカー》のリンクマーカーの先にいるモンスターは1体。それは他でもない物真似師のモンスターゾーンにいる《青眼の白龍》の1体だった。3つある《ダークコード・トーカー》のリンクマーカーの内、上向きのマーカーは対戦相手である物真似師のモンスターゾーンを指し示しており、そこには元より《青眼の白龍》が召喚されていたのだ。

「リンクモンスターだか何だか知らねェが……その効果を認めるならテメェの《ダークコード・トーカー》とかいうモンスターの攻撃力は2800ってことだ。だがまだ《青眼の白龍》の方が上だッ!」

「それはどうかな? リンク素材として墓地に送られた《スタック・リバイバー》の効果発動! 《スタック・リバイバー》はリンクモンスターのリンク素材となった場合、共にリンク素材となったレベル4以下のサイバース族モンスター1体を墓地から特殊召喚できる!」

リンク召喚の素材となったモンスターは墓地に送られる。
《スタック・リバイバー》はそうして墓地に送られることで効果を発揮するモンスターだった。

「俺は墓地から《サイバース・ウィザード》を《ダークコード・トーカー》のリンク先に特殊召喚!」

《スタック・リバイバー》と同じく《ダークコード・トーカー》のリンク素材となった《サイバース・ウィザード》が墓地から甦る。そして立ったのは《ダークコード・トーカー》の右後ろーーリンクマーカーの先だ。
これで《ダークコード・トーカー》の攻撃力は更に500アップし、遂に《青眼の白龍》の攻撃力を上回った。
しかし《サイバース・ウィザード》が《ダークコード・トーカー》のリンク先に特殊召喚された意味はそれだけではない。

「《ダークコード・トーカー》のリンク先に《サイバース・ウィザード》が特殊召喚されたことで、そのもう1つの効果が発動するぜ! 《ダークコード・トーカー》のリンク先にサイバースモンスターが召喚・特殊召喚された場合、墓地の闇属性モンスター1体を空いているこのカードのリンク先に守備表示で特殊召喚できる! 甦れ、《サイバース・カーサー》!」

更に《ダークコード・トーカー》の左後ろのリンク先メインモンスターゾーンに、序盤に《青眼の白龍》の攻撃で打破された《サイバース・カーサー》が守備表示で甦ってくる。

これで《ダークコード・トーカー》のリンク先は全て埋まった。

「《ダークコード・トーカー》の攻撃力はリンク先のモンスターの数×500アップする。“パワー・インテグレーション”!!」

《ダークコード・トーカー》のリンク先には3体のモンスター。その攻撃力は合計で1500アップする。


ダークコード・トーカー
ATK2300→3800


《ダークコード・トーカー》が気合いを入れると、まるで膨れ上がるようにその周囲の闇のオーラが濃くなる。

「こ、攻撃力3800……ッ!!」

物真似師は悔しげに顔を歪める。
まさかあんな雑魚モンスターを束ねた如きで、これほどの攻撃力を叩き出すとは。

「リンクモンスターは他のモンスターとリンクすればするほど強くなる! どんなに弱いモンスターでも、繋がることで力を与えることができる! それが俺の【サイバース・リンク】デッキだッ!」

《サイバース・ウィザード》の攻撃力は1800。《サイバース・カーサー》に至っては500しかない。
しかしそれらのモンスターがリンク先にいるだけで《ダークコード・トーカー》に力を与え、その力を《青眼の白龍》を凌ぐほどのものにする。
モンスター同士が繋がることで新たな力を得る。それこそがリンクモンスターの最大の特長であり、ユーイのデッキコンセプトでもあった。

物真似師は歯噛みする。
《ダークコード・トーカー》の最大出力は確かに《青眼の白龍》を上回っている。それを目の当たりにすれば、流石に認めざるを得ない。ユーイを魔力の低い弱小デュエリストだと、サイバースモンスターをレベルも攻撃力も低い雑魚モンスターだと、そう侮っていたことを。

しかし一方で打算も働く。
《ダークコード・トーカー》の攻撃力は確かに脅威的だが、それで《青眼の白龍》が1体やられたところで受けるダメージは僅か800。返しのターンで《ダークコード・トーカー》を何とか除去できれば、残り2体の《青眼》でゴリ押しは可能だと。

だがユーイはそんなチャンスを与えるほど甘いデュエリストではない。

「まだ俺のメインフェイズは終わっちゃあいないぜ! 《サイバース・ウィザード》のモンスター効果! 相手モンスター1体を守備表示にし、サイバース族モンスターがそのモンスターを攻撃する場合は貫通ダメージを与える! “サイバース・アルゴリズム”!!」

《サイバース・ウィザード》の杖が輝き、それに指された1体の《青眼の白龍》が守備表示となる。


青眼の白龍
ATK3000→DEF2500


「更に《サイバース・カーサー》のモンスター効果! 相手モンスター1体をターン終了時までリンクモンスターとして扱い、その守備力を0にする!」

「な、なにィ!?」

守備表示になっていた《青眼の白龍》が苦しげに呻く。
《サイバース・カーサー》の呪術により、体組織がリンクモンスターのそれへと作り替えられているのだ。そしてリンクモンスターとなったその体の耐久力は著しく低下していた。


青眼の白龍
DEF2500→0


スキル、リンク召喚、攻撃力3800、貫通ダメージ、守備力0。
次々に突きつけられる事象に、その先に待ち受ける未来を察して物真似師の顔が青くなる。

「あ……う……こ、これは……」

見る見る内にその表情から覇気が消えていく。
当然それは大量の魔力を消費したことに起因する疲労だけが原因ではない。ユーイが何を企てているのか、それに気付いたからだ。

「《青眼》3体の壁は厚い。それを全て崩そうなんて、今の俺には土台無理な話だ。だから俺は一転突破に賭けた。この鋒(きっさき)をお前に届かせるには、それしかなかったからな」

ユーイは初めから《青眼》3体を全滅させることなど考えてはいなかったのだ。ユーイの思考は、最初から《青眼》ではなく、まるでスナイパーの銃口のようにその先の物真似師のみを狙って動いていた。
その研ぎ澄まされた強い戦意が物真似師の心臓を射抜く。

物真似師は息荒く汗をだらだらと流しながら後退る。その表情に最早戦意はなく、ユーイが強い視線で縫い止めていなければすぐにでも背を向けて逃げ出してしまいそうだった。

「はっきりさせておくが、俺はお前を逃がしはしないし、情けをかける気もない! お前はその浅ましさから海馬を侮辱した! それを許すわけにはいかない! 報いは受けてもらうぜッ!!」

気圧されて仰け反る物真似師に構わず、ユーイはバトルフェイズに入る。

「行けッ《ダークコード・トーカー》!! 守備表示の《青眼の白龍》に攻撃ッ!!」

《ダークコード・トーカー》が全身に纏う闇のオーラを、振り上げた大剣に集める。地鳴りがするほどのパワーが集まったその剣の放つ気は、それが渾身の一撃であることを物語っていた。

そしてその《ダークコード・トーカー》渾身の剣をユーイはこう呼んだ。


「“ダークコード・エンド”ッ!!」


攻撃力3800の《ダークコード・トーカー》の剣は、守備力0の《青眼の白龍》の体を易々と斬り裂いた。
そして《サイバース・ウィザード》の“サイバース・アルゴリズム”により、その差分が貫通ダメージとなって物真似師を襲う。

激しい衝撃波が最早涙目の物真似師を直撃した。

「ぎ、ぎゃあああァァァァーーーッ!!」


物真似師
LP3700→0


吹っ飛ばされて地面をバウンドする物真似師は既に白目を剥いていた。

おそらくもう聞こえていないであろう、そのぐったりと倒れる姿にユーイははっきりと宣言する。

「他者から奪った力で悦に浸るお前に、デュエリストを名乗る資格はない」

ユーイの完全勝利であった。


☆☆☆


デュエルの決着がついたことで、フィールドに顕現していたモンスター達が煙のように消えていく。
魔力の供給がなくなれば、モンスターはその姿を維持できない。

それは物真似師のフィールドに残された2体の《青眼の白龍》も同様だ。
徐々に消えていく《青眼》の瞳に、ユーイに対する敵意はもうない。むしろ物真似師の手から解放してもらえたことに、感謝のようなものすら感じるようだ。

「いや、流石にそれは都合良く捉えすぎか……」

消えていくモンスター達を見送りふと倒れたままの物真似師に視線を向けると、その傍らにしゃがみこみその懐をごそごそと漁る金髪の姿が見えた。

「見事じゃったの」

いつの間にかドールが近付いてきており、ユーイに賛辞を送る。

「デュエルに関する知識を取り戻したとは言え、スキルもリンク召喚もあそこまで使いこなすとは、素直に感心したぞ」

「本当に俺のこと色々知ってそうだな。とにかく邪魔者は取り除いたんだ、色々教えてもらうぜ?」

ドールの言葉は、まるでユーイがスキルを使えることもリンク召喚の使い手であることも最初から知っていたような口振りだ。

ドールは悪戯げに薄く笑う。

「儂の教えられる範囲のことならば、の。しかし、その前にーーー」

「お、あったあった!」

ドールの言葉を遮るように声が上がる。
見ると、金髪が目当ての物を見つけたらしく、こちらに手を振っている。

「誰だ? キミの仲間か?」

「冗談ではない。主にはあれと儂が同輩に見えるのか?」

ドールは憮然とした態度を隠そうともしていない。
まぁ、確かに手を取り合う仲には見えない。

「悪ぃ悪ぃ、待たせたな!」

「別にぬしなど待ってはおらぬ。ぬしが遅れを取るなら容赦なく置いていくわ。だが約束した以上、ぬしには儂らにきっちり協力はしてもらうぞ」

「おーおー、何回も言われなくても分かってるって」

金髪は軽薄に手を振る。
その手に手錠は既になく、拘束は解かれている。代わりにさっきまで物真似師が使っていたデュエルディスクが握られていた。

「オレもデュエリストだからな、一緒に闘うならやっぱデュエルディスクは要るよな。アイツが使ってたのが丁度使い慣れた海馬コーポレーション製で助かったぜ」

ユーイがデュエルディスクに注目しているのに気付いて、金髪がそれを掲げる。
見ると、確かに海馬コーポレーションを表すKCのロゴが刻まれている。

「じゃがデッキはなかろう?」

「それもアイツから拝借させてもらった。アイツ色んなデッキを懐に忍ばせてたんだぜ。そこから自分に合いそうなヤツを1つ頂いてきた」

「ちゃっかりしておるというか、節操がないというか微妙なところじゃな。まぁ彼奴とはデュエル前にこちらが勝ったら『命』を貰うと約しておったし、問題なかろう」

「……命を貰うとかコエー約束してんなよ」

デュエルディスクとデッキは、確かにデュエリストにとって命そのもの。
この世界ではデュエルに賭けられた物は、負ければ必ず差し出さなければならない。その約束を反故にすることは、そもそもシステム的に不可能なのだ。例えそれが本当の命であっても。
金髪にデュエルディスクとデッキを奪われた物真似師は、形としてその契約を守ったことになるわけだ。

「一緒に闘う? ちょっと待ってくれ。話が見えないんだが、そもそもキミは誰なんだ?」

何やらドールと金髪の間では約束事があり、それに沿って今後のことが共有されているらしいが、ユーイはそれに着いていけていない。1人蚊帳の外で話が見えない。

ユーイがまずはっきりさせておきたかったのは、突如現れたこの金髪の素性。
確かサテライト行きの集団の中に見た顔だ。どうやら敵という訳ではなさそうだが、だからといってすぐに信用できるという訳でもない。

金髪ががりがりと頭を掻いて詫びる。

「悪い悪い、そういやまだ名乗ってなかったなーーー」

そして快活な笑みでユーイを真っ直ぐに見つめる。


「オレは『城之内 カツヤ』。これからオメーらと行動を共にさせてもらうことになった。ヨロシクな!」


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ドール
遂に初戦が決着じゃーーー!!
長かったのォ……。読者諸君には申し訳ないことじゃった。次戦からはもそっとサクサク進むよう作者にキツく釘を刺しておくでの。
引き続き応援ヨロシクなのじゃ!

次回、遊戯王LOTD
『サテライトへ』
でまた会おうぞ♪ (2020-11-04 18:36)

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