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情報駆け引き戦 作:エスカル
「ラドリーちゃん、どうぞ」
「ありがとうですの」
楠葉ちゃんがラドちゃんにメロンソーダを渡す。
はじめて見るのか興味津々な眼だ。
ここはファミレス。
学校の皆には話しづらいということでやってきたのだが、ここも人目はある。
それなのにラドちゃんがいたら皆驚かないのだろうか。
「大丈夫、コスプレということで押し通せるから」
そうだろうか?
確かにアカデミアは『デュエルモンスターズ』をよく知ってる学生が多いから察せられたけど、知らない一般人から見たらただ可愛い子がドラゴンのコスプレをしてるだけにしか見えないだろう。
でも普通に目立つと思うんだけど……楠葉ちゃんの考えがまだ読めない。
「にしてもすごいですの、あらかじめ料金を払っておくだけでこんな飲み物が飲み放題なんて考えられないですの」
ドリンクバーのことだろう。
楠葉ちゃんがラドちゃんの分のお金を出すことを約束し、私もドリンクバーとパンケーキを注文した。
不破君のほうはお金がきついのか、水だけを飲んでおり一切注文していなかった。
「さてと、いろいろと話をしてもらおうかな。昨日、僕をカードショップに置き去りにして2人で一体何をしていたのか」
……そうか、岬君と仲良くなりたいと嫉妬している女の子がいる中に楠葉ちゃんを置き去りにしてしまった形になったのか。
それじゃ確かに怒るのも無理は無いかもしれない。
「とりあえず本屋に行く」
「ふんふん」
「公園によって2人でクレープを食べる」
「へぇ……」
不破君が正直に話し始めたけど、クレープを食べるといったところで楠葉ちゃんがニヤニヤ笑い出した。
「普通仲が良い男女でも無い限り一緒に甘いものなんて食べないよ、ねぇ」
「クレープ? うらやましいですの」
一方ラドちゃんは目を輝かせ、クレープに対して反応を示していた。
「このファミレスにもあるかな」
楠葉ちゃんがいったん話を中断させ、メニューを見始める。
そしてチョコクレープがあったのを確認し、注文の呼び鈴を押す。
「お待たせしました」
「チョコクレープ2つ追加お願いします」
「かしこまりました」
女性店員はちらりといったんラドちゃんを見たけど、何も言わずそそくさと持ち場へと戻っていく。
「普通の社会人ならお客様に対してその格好は何ですかって尋ねないよ。さすがに破廉恥や不審すぎる格好なら尋ねられるけどね」
楠葉ちゃんはそこまで考えて……
「これ、口の中がシュワシュワはじけるですの」
そしてラドちゃんはメロンソーダをこくこく飲みながらそんな可愛らしすぎる感想を漏らす。
そしてストローを使ってぷくぷくと空気を入れて泡をはじけさせる。
その様子を私も含めて全員が微笑ましく見守る。
いやまあ食べ物で遊ぶのはよろしくないけども。
「で、2人でクレープを食べるラブラブっぷりはおいといて」
「出来ればずっと放置しといてくれ。で、その公園でいきなり時空門が開き、そこから『ドラゴンメイド・ラドリー』と『エーリアン・リベンジャー』に変身した宇宙人が公園に光臨したんだ」
「不破君それどこのなろう系小説の設定?」
ニヤニヤ顔から一転して『何訳分からないこと言ってるんだこいつ』みたいな顔になる。
私だって当事者じゃなければ同じ感想を抱いていただろう。
「で、俺が変身してその宇宙人を撃破、で、ラドちゃんは愛流さんに保護してもらって、ラドちゃんは助けてもらった恩返しでメイドさんをやってるわけ。以上、説明終わり」
「変身って何だい変身って。そんな話でこの僕を騙せると思ってるのかい?」
「本当か嘘か信じるか楠葉さんしだいだ。俺は本当のことだけを話した」
不破君、正直に話しすぎだよ。
でも、変身に必要な『χ Card』や『時空門』、それからラドちゃんの正体である『Card Spirit』に関することは一切話していない。
「…………」
そこで不破君は私に笑みを向ける。
そしてここまで喋った意図がなんとなく分かった。
傍から見たらどう考えても創作物語の内容的なものとしか思えないから、しゃべってもどうせ信じてもらえないと思ったのだろう。
他の人だってどうせ『なんか中二病患った人が友達相手に妄想物語を話してる』程度しか思わないだろう。
「というわけだ。俺、今月お小遣いピンチだから、話も終わったし帰るわ」
そしてお金が無いという学生らしいもっともな理由を付け、これ以上追求されないために帰るため席を立つ。
不破君、すっごい策士。
私じゃきっとしどろもどろに話して不審がられるだけだっただろう。
「というわけで女の子同士で楽しく話しなよ。男は退散するとします」
だが、ラドちゃんが立ち上がり、尻尾で不破君の体を巻きつけ、引き止める。
「ラドリーちゃん?」
怪訝そうな顔をするのも分かるよ。
実際もう不破君はここにいる理由も無いんだもん。
「前のご主人様は『食べ物は皆で食べるからおいしい、そして食べられない人がいたら分け合って、幸せを分かち合う』ということを教えてくれたですの。不破君はご家族がいなくて寂しいですから、ラドリーと一緒にクレープを分け合おうですの」
なんて素晴らしく尊い考え方……
そういや今日の朝食のときも私とお父さん、お母さんが揃ってから食べ始めたし、昨日だって不破君におせんべいを貰ったとき、私と一緒に分け合おうとしていた。
「でも楠葉さんがおごってくれるし、ラドリーちゃんが一人で味わえば」
だが不破君はラドちゃんのお願いを心を鬼にして断っている。
さっきまでの表情とは違って、明らかに躊躇っているのが分かるんだもん。
私だったら間違いなく席に戻ってラドちゃんの気が済むまで付き合うよ。
「不破君、家族がいないってどういうこと」
そして楠葉ちゃんがさっきまで以上までに真剣な顔で見てくる。
不破君が明らかに隠していた情報が明らかになって、それを問い詰めようという顔だ。
「俺が小学生のころに行方不明になったってだけだ」
「ラドリーたちと一緒にいるの、嫌ですの?」
「……嫌じゃねーよ、わーったよ!」
ラドちゃんが上目遣いで涙目で不破君を見てきた。
そのコンボを喰らい、さすがに心を鬼にすることが出来なくなったみたいだ。
まあそれでも断るようなら私が不破君をフルボッコしてでもこの場に留めるようにするつもりだったけど。
(……ラドリーちゃんにあんな顔されたら断れないし、もし仮に断れてたらそれ以上の災難が俺の身に襲い掛かってきたような気がする)
不破が内心そんなことを考えていたことをその場にいた誰も知らない。
そして不破が再び席に着いたのを確認し、楠葉が不破のほうをじっと見る。
「さてと、家族がいない事に関してはあんまり深く追求することは無いよ。そういったデリケートなところは話したくなったときでいいよ。でも、そのことをどうして公園で出会っただけのラドリーちゃんが知ってるかってことは知りたいかな」
楠葉ちゃんの顔つきは真剣そのものだ。
そして不破君はなんとか言い繕う言葉を捜してる感じだ。
「……ただ単に俺の家に2人を招いただけだ。ラドリーちゃんに事情を聞く必要もあったしな」
「そのときに家族のことを話したってこと?」
「そうそう、その通り」
「本当なの、ラドリーちゃん」
「その通りですの。不破さんは一切嘘はついてないですの」
ラドちゃんが正直に答えるが、実際不破君は一切嘘をついていない。
ただ、肝心なところを判明させて無いだけだ。
「ふーん……話を聞くという理由を口実に女の子を誰もいない家に招いたんだ。やらしいいねぇ」
「そういった意図は一切なかったが」
「ラドちゃん、本当? 不破君に何かいやらしい真似されてない?」
「大丈夫です。ラドリーがあらかじめ不破君に釘を刺しておいたですの。どちらかというとラドリーのほうが愛流お嬢様に」
「ちょ!?」
思わずラドちゃんの口を押さえると、店員さんがチョコクレープが乗った皿を持ってこちらへとやってきた。
「お待たせしました……えっと、お客様?」
「あ、なんでもないです」
不破君と楠葉ちゃんが全力で愛想笑いをすると、店員が疑問顔をしていたがやがて持ち場へと戻っていった。
あ、危なかった。
騒いだら店側から追い出されるところだったよ。
「で、ラドリーちゃんが愛流ちゃんに何をしたの?」
「えっと尻尾でスカートをめくっちゃって不破君の前でパンツを丸見えにさせちゃったですの」
……口を押さえるまもなく暴露されてしまった。
うぅ、思い出したくないのに~。
「へぇ、何色だった?」
「ラドリーは見て無いですの」
「そうなんだ、不破君のご感想は」
「生憎だが忘れちゃったな」
不破君、耳赤いよ。
やっぱりばっちり覚えてるんじゃない……男の子だからしょうがないと割り切りたいけどさぁ。
「まあ不破君がおいしい思いをしたのは置いておいて……正直なところ、今までの話を聞いてて疑わしいところしかないけど……僕は友達を信じたいんだ。クレープを食べ終わって、店を出てからでいいから、不破君の変身というのはどういうものかを私の目で見てみたい」
さっきまでのニヤニヤ顔ではなく、再び真剣な顔に戻っている。
不破君もまた真剣な顔に戻り、楠葉ちゃんと見合っている。
「いいだろう」
「感謝するよ」
「ほら、不破君と楠葉さん、それから愛流お嬢様の分のクレープを切り分けたですの。食べるですの」
どうやらあの話をしている間にラドちゃんは備え付けのナイフでクレープを切り分けていたようだ。
2人が真剣な顔で話をしている間でもマイペースだなぁ、この子は。
そこがまた可愛いんだけど。
「……じゃ、いただこうか」
「……そうだな」
楠葉ちゃんも不破君も表情を緩め、ラドちゃんが切り分けたクレープをそれぞれ掴む。
2つ注文していたうちの1つを切り分け、そして残り1つをラドちゃんがまるまるいただく。
私はパンケーキを食べて小腹が満たされていたが、ラドちゃんがせっかく切り分けたクレープ、いただかなければ絶対後悔する。
「甘くでおいしくて幸せな気持ちですの。皆もそうですよね?」
ラドちゃんの言葉に私も含めて同意していた。
確かに皆で食べればおいしさはひとしおだ。
そしてクレープを全員食べ終わり、代金も支払ってファミレスを出る。
そして次に移動したのは、楠葉ちゃんの家の近くらしい、廃工場の中だった。
この工場は捨てられて久しいらしく、人の出入りは無いらしい。
ゆえに本当に秘密にしたい話もここでなら出来るらしい。
「不破君、変身って奴を見せてみてよ。もし出来ないなら嘘をついてたってことになるよね」
楠葉ちゃんの目は真剣そのものだ。
そして不破君はため息を一回だけつき、カードを2枚取り出す。
『χ Card Master・ Huwa approval』
「異端よ、凍てつく存在と交わり、永遠なる氷獄を相手に」
『オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン』
『アイス・ブリザード・マスター』
あれ、この間の変身形態と違う!?
『Different・X・Cross』
不破君の下から氷山が現れ、一瞬で不破君を飲み込んだ。
「不破君、大丈夫!?」
「大丈夫ですの!?」
皆で心配して声をかけた瞬間、氷山がひび割れて壊れていき、中から氷の竜が現れた。
あ、あれが不破君……
『アイスドラグニック。この姿を俺はこう呼んでる』
オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴンに似てるけど……あわわわっ。
目つきがさらに鋭くなって、体の全身が美しい氷の結晶で出来てる。
それにオッドアイズ・アブソリュート・ドラゴンには存在してなかった、氷で出来た美しい4つの羽。
それが背中でクロスして『χ』の文字を作ってるように見える。
まさに『異端者』の存在に相応しいドラゴンに進化しちゃってるよ……しかも震え上がるほど冷たい……
「愛流ちゃん、抱きしめて大丈夫?」
「だだだだだいじょうぶこれぐらいドラゴン愛があればちゃーらーへっちゃらー」
『まあ確かに全力で抑えてるけど、本来この姿のとき周りの空気すら凍てつかせるから、絶対重度の凍傷起こすよ?』
と、凍傷が何よ。
こんな格好良くて『デュエルモンスターズ』で見たことが無いドラゴン、今ここで抱きつかなくていつ抱きつくというのか。
冷たさすらも乗り越えなければ……愛を語るなど片腹痛いというものだ。
「ところでドラゴン状態とはいえ不破君に抱きついて撫で回すなんてやるねぇ。やっぱりラブラブなんじゃない」
!?
いやいやいや、今の不破君はドラゴンそのもの。
だから男の人に自分から抱きつきにいってるわけじゃなななない。
あ、あれ?
なんか寒さすら感じなくて、むしろかっかと熱くなってきちゃったよ?
『とりあえずこれで俺が変身するのは納得してくれたか? 他にもあと2形態あるけど、1形態は愛流さんとラドちゃんが確認済みだし、もう1形態はここでやらかしたら第三次が起こる』
大惨事?
一体どんな変身をするというのだろうか。
『とりあえず変身解除するわ』
その瞬間、しゅううと氷が溶けていく音が聞こえ、不破君に戻っていく。
ああ、ドラゴン状態が終わっちゃうなんて……残念だけど離れよう。
「これで納得してくれた?」
「うん。でも、どうして2人にあらかじめ見せた形態を僕に見せてくれなかったの?」
「変身するといっても1形態は単に魔術師の服を着たコスプレに見えなくも無いし、分かりやすく変身という形をとるならこのドラゴンの姿のほうが最適だったというわけだ」
「なるほどね。でも、ドラゴンだったら抱きついてくれるっていう確信があったんじゃないの?」
楠葉ちゃんがニヤニヤしながら尋ねる。
なんか今日、楠葉ちゃんこんな感じの顔しかしてないよね。
「そこはノーコメントでよろしく」
「じゃそこは信じるよ。で、ラドリーちゃん」
「何ですの?」
「君もひょっとして『ドラゴンメイド・フルス』になれるんじゃないの?」
「あ、さすがに分かってたみたいですの」
ラドちゃんが手を掲げると、水の渦巻きがラドちゃんを飲み込み、そこからフルちゃんになってその場で飛翔する。
あ、フルちゃんの姿になっても額に鉢巻を巻いてるんだね。
『これでいいですの?』
「そっか、ありがと。元に戻ってもいいよ」
『分かりましたの』
フルちゃんがゆっくりと降下していき、再び水を纏ってラドちゃんの姿に戻る。
「とりあえず僕の知らない間にいろいろなことがあったみたいだね……ところでドラゴンになれる秘密が不破君がさっき手にした灰色のカードなら、そのカードを愛流ちゃんが欲しがりそうなものだけど、何かあるのかな?」
楠葉ちゃん、鋭い。
あのカードがなければ不破君は両親を探す手がかりがなくなる。
だから欲しいという気持ちは抑えてたのに。
「まあ両親の行方の手がかりになる、とだけ言っておく」
「なるほどね……まあ疑問はある程度解けたよ。ところでラドリーちゃんってデュエルできるの?」
楠葉ちゃんが真剣な顔を崩し、ふわっとした優しい顔でラドちゃんを見る。
あんな顔されたら誰も警戒しないだろう。
「うん、出来るですの。でも、ラドリーのデュエリストレベルはまだちょっと未熟ですの」
デュエリストレベル?
初めて聞いた。
「デュエリストレベルって何?」
「ラドリーが元いた世界では『デュエルモンスターズ』をするものにはデュエリストレベルが定められるですの。そして数多くデュエルをこなすなりしてレベルを上げないと仕えないカードがあるですの。ラドリーはまだ未熟なドラゴンメイドだったから使えないカードがあるですの」
ラドちゃんはおずおずと何枚かのカードを取り出す。
確かに融合モンスターである『ドラゴンメイド・ハスキー』や『ドラゴンメイド・シュトラール』、他にも何枚かが色がくすんでおり、ラドちゃんが出現させたデュエルディスクじゃ反応しなかった。
「ちょっと待ってて、私の持ってる『ドラゴンメイド』のカードなら」
「デッキでも無いのに何で持ち歩いてるの?」
楠葉ちゃんのツッコミは流し、カバンからカードを取り出しラドちゃんのデュエルディスクにカードを置く。
だがデュエルディスクは拒否反応を起こし、一切実体化しなかった。
そして私のデュエルディスクをラドちゃんに貸してラドちゃんに使わせても結果は同じだった。
「だから昨日のデュエル、EXデッキが1枚もなかったのか」
「うん……そんなときにあの化け物に襲われて、ラドリーも前のご主人様もデュエリストレベルが未熟で、歯も立たず負けて前のご主人様は殺され、ラドリーは逃げるしか出来なかったですの」
そういう事情があったんだ。
だから昨日のデュエルのとき、ハスキーとか見られると思ったのに見られなかったのはそういう理由だったんだ。
「でもなんで『デュエリストレベル』なんてものがあるんだろうな?」
不破君の疑問はもっともだ。
自由にカードを組み合わせてデッキを作れるようにすれば楽しいはずなのに。
「ラドリーのご主人様いわく『初心者が最初から強すぎるカードを使えてもカードパワーだけに頼ってしまってようになり、真の意味での実力は身に付かない。最初は負ける悔しさを味わってつらいかもしれないが、実力がついて勝てれば嬉しさもひとしおだし、新しいカードが使えていく楽しみも味わえる』というのが理由らしいですの」
なるほどねぇ。
異世界にはそんな理もあるのか。
改めて世界の広さというのがよく分かる。
「昨日不破君とデュエルして、家に帰ってからもお嬢様ともデュエルをしたですけどもレベルはアップしなかったですの」
「ふーん……カードの精霊みたいな存在もいろいろ大変なんだね。よし、じゃ僕がラドリーちゃんのレベルをアップさせるのに協力しよう」
楠葉ちゃん。
ラドちゃんが顔をぱっと明るくする。
「ありがとうですの!」
「構わないよ。それにこの廃工場だったらリアルソリッドビジョンをある程度大きくしても問題ない広さだ」
「楠葉さんがどんなデッキを使うのか楽しみですの」
ラドちゃんがワクワクしてる。
確かに『デュエルモンスターズ』の楽しみとして相手がどんなデッキを使ってくるのか、それを予想するのも楽しみの1つだ。
そしてデュエルが始まり相手が未知の戦術を繰り広げてくる。
自分が知らないことを知ることは何物にも換えがたい喜びだ。
「よし、では行こうか」
「はいですの」
「「デュエル」」
ラドリー LP8000 VS 葛木 楠葉 LP8000
「ありがとうですの」
楠葉ちゃんがラドちゃんにメロンソーダを渡す。
はじめて見るのか興味津々な眼だ。
ここはファミレス。
学校の皆には話しづらいということでやってきたのだが、ここも人目はある。
それなのにラドちゃんがいたら皆驚かないのだろうか。
「大丈夫、コスプレということで押し通せるから」
そうだろうか?
確かにアカデミアは『デュエルモンスターズ』をよく知ってる学生が多いから察せられたけど、知らない一般人から見たらただ可愛い子がドラゴンのコスプレをしてるだけにしか見えないだろう。
でも普通に目立つと思うんだけど……楠葉ちゃんの考えがまだ読めない。
「にしてもすごいですの、あらかじめ料金を払っておくだけでこんな飲み物が飲み放題なんて考えられないですの」
ドリンクバーのことだろう。
楠葉ちゃんがラドちゃんの分のお金を出すことを約束し、私もドリンクバーとパンケーキを注文した。
不破君のほうはお金がきついのか、水だけを飲んでおり一切注文していなかった。
「さてと、いろいろと話をしてもらおうかな。昨日、僕をカードショップに置き去りにして2人で一体何をしていたのか」
……そうか、岬君と仲良くなりたいと嫉妬している女の子がいる中に楠葉ちゃんを置き去りにしてしまった形になったのか。
それじゃ確かに怒るのも無理は無いかもしれない。
「とりあえず本屋に行く」
「ふんふん」
「公園によって2人でクレープを食べる」
「へぇ……」
不破君が正直に話し始めたけど、クレープを食べるといったところで楠葉ちゃんがニヤニヤ笑い出した。
「普通仲が良い男女でも無い限り一緒に甘いものなんて食べないよ、ねぇ」
「クレープ? うらやましいですの」
一方ラドちゃんは目を輝かせ、クレープに対して反応を示していた。
「このファミレスにもあるかな」
楠葉ちゃんがいったん話を中断させ、メニューを見始める。
そしてチョコクレープがあったのを確認し、注文の呼び鈴を押す。
「お待たせしました」
「チョコクレープ2つ追加お願いします」
「かしこまりました」
女性店員はちらりといったんラドちゃんを見たけど、何も言わずそそくさと持ち場へと戻っていく。
「普通の社会人ならお客様に対してその格好は何ですかって尋ねないよ。さすがに破廉恥や不審すぎる格好なら尋ねられるけどね」
楠葉ちゃんはそこまで考えて……
「これ、口の中がシュワシュワはじけるですの」
そしてラドちゃんはメロンソーダをこくこく飲みながらそんな可愛らしすぎる感想を漏らす。
そしてストローを使ってぷくぷくと空気を入れて泡をはじけさせる。
その様子を私も含めて全員が微笑ましく見守る。
いやまあ食べ物で遊ぶのはよろしくないけども。
「で、2人でクレープを食べるラブラブっぷりはおいといて」
「出来ればずっと放置しといてくれ。で、その公園でいきなり時空門が開き、そこから『ドラゴンメイド・ラドリー』と『エーリアン・リベンジャー』に変身した宇宙人が公園に光臨したんだ」
「不破君それどこのなろう系小説の設定?」
ニヤニヤ顔から一転して『何訳分からないこと言ってるんだこいつ』みたいな顔になる。
私だって当事者じゃなければ同じ感想を抱いていただろう。
「で、俺が変身してその宇宙人を撃破、で、ラドちゃんは愛流さんに保護してもらって、ラドちゃんは助けてもらった恩返しでメイドさんをやってるわけ。以上、説明終わり」
「変身って何だい変身って。そんな話でこの僕を騙せると思ってるのかい?」
「本当か嘘か信じるか楠葉さんしだいだ。俺は本当のことだけを話した」
不破君、正直に話しすぎだよ。
でも、変身に必要な『χ Card』や『時空門』、それからラドちゃんの正体である『Card Spirit』に関することは一切話していない。
「…………」
そこで不破君は私に笑みを向ける。
そしてここまで喋った意図がなんとなく分かった。
傍から見たらどう考えても創作物語の内容的なものとしか思えないから、しゃべってもどうせ信じてもらえないと思ったのだろう。
他の人だってどうせ『なんか中二病患った人が友達相手に妄想物語を話してる』程度しか思わないだろう。
「というわけだ。俺、今月お小遣いピンチだから、話も終わったし帰るわ」
そしてお金が無いという学生らしいもっともな理由を付け、これ以上追求されないために帰るため席を立つ。
不破君、すっごい策士。
私じゃきっとしどろもどろに話して不審がられるだけだっただろう。
「というわけで女の子同士で楽しく話しなよ。男は退散するとします」
だが、ラドちゃんが立ち上がり、尻尾で不破君の体を巻きつけ、引き止める。
「ラドリーちゃん?」
怪訝そうな顔をするのも分かるよ。
実際もう不破君はここにいる理由も無いんだもん。
「前のご主人様は『食べ物は皆で食べるからおいしい、そして食べられない人がいたら分け合って、幸せを分かち合う』ということを教えてくれたですの。不破君はご家族がいなくて寂しいですから、ラドリーと一緒にクレープを分け合おうですの」
なんて素晴らしく尊い考え方……
そういや今日の朝食のときも私とお父さん、お母さんが揃ってから食べ始めたし、昨日だって不破君におせんべいを貰ったとき、私と一緒に分け合おうとしていた。
「でも楠葉さんがおごってくれるし、ラドリーちゃんが一人で味わえば」
だが不破君はラドちゃんのお願いを心を鬼にして断っている。
さっきまでの表情とは違って、明らかに躊躇っているのが分かるんだもん。
私だったら間違いなく席に戻ってラドちゃんの気が済むまで付き合うよ。
「不破君、家族がいないってどういうこと」
そして楠葉ちゃんがさっきまで以上までに真剣な顔で見てくる。
不破君が明らかに隠していた情報が明らかになって、それを問い詰めようという顔だ。
「俺が小学生のころに行方不明になったってだけだ」
「ラドリーたちと一緒にいるの、嫌ですの?」
「……嫌じゃねーよ、わーったよ!」
ラドちゃんが上目遣いで涙目で不破君を見てきた。
そのコンボを喰らい、さすがに心を鬼にすることが出来なくなったみたいだ。
まあそれでも断るようなら私が不破君をフルボッコしてでもこの場に留めるようにするつもりだったけど。
(……ラドリーちゃんにあんな顔されたら断れないし、もし仮に断れてたらそれ以上の災難が俺の身に襲い掛かってきたような気がする)
不破が内心そんなことを考えていたことをその場にいた誰も知らない。
そして不破が再び席に着いたのを確認し、楠葉が不破のほうをじっと見る。
「さてと、家族がいない事に関してはあんまり深く追求することは無いよ。そういったデリケートなところは話したくなったときでいいよ。でも、そのことをどうして公園で出会っただけのラドリーちゃんが知ってるかってことは知りたいかな」
楠葉ちゃんの顔つきは真剣そのものだ。
そして不破君はなんとか言い繕う言葉を捜してる感じだ。
「……ただ単に俺の家に2人を招いただけだ。ラドリーちゃんに事情を聞く必要もあったしな」
「そのときに家族のことを話したってこと?」
「そうそう、その通り」
「本当なの、ラドリーちゃん」
「その通りですの。不破さんは一切嘘はついてないですの」
ラドちゃんが正直に答えるが、実際不破君は一切嘘をついていない。
ただ、肝心なところを判明させて無いだけだ。
「ふーん……話を聞くという理由を口実に女の子を誰もいない家に招いたんだ。やらしいいねぇ」
「そういった意図は一切なかったが」
「ラドちゃん、本当? 不破君に何かいやらしい真似されてない?」
「大丈夫です。ラドリーがあらかじめ不破君に釘を刺しておいたですの。どちらかというとラドリーのほうが愛流お嬢様に」
「ちょ!?」
思わずラドちゃんの口を押さえると、店員さんがチョコクレープが乗った皿を持ってこちらへとやってきた。
「お待たせしました……えっと、お客様?」
「あ、なんでもないです」
不破君と楠葉ちゃんが全力で愛想笑いをすると、店員が疑問顔をしていたがやがて持ち場へと戻っていった。
あ、危なかった。
騒いだら店側から追い出されるところだったよ。
「で、ラドリーちゃんが愛流ちゃんに何をしたの?」
「えっと尻尾でスカートをめくっちゃって不破君の前でパンツを丸見えにさせちゃったですの」
……口を押さえるまもなく暴露されてしまった。
うぅ、思い出したくないのに~。
「へぇ、何色だった?」
「ラドリーは見て無いですの」
「そうなんだ、不破君のご感想は」
「生憎だが忘れちゃったな」
不破君、耳赤いよ。
やっぱりばっちり覚えてるんじゃない……男の子だからしょうがないと割り切りたいけどさぁ。
「まあ不破君がおいしい思いをしたのは置いておいて……正直なところ、今までの話を聞いてて疑わしいところしかないけど……僕は友達を信じたいんだ。クレープを食べ終わって、店を出てからでいいから、不破君の変身というのはどういうものかを私の目で見てみたい」
さっきまでのニヤニヤ顔ではなく、再び真剣な顔に戻っている。
不破君もまた真剣な顔に戻り、楠葉ちゃんと見合っている。
「いいだろう」
「感謝するよ」
「ほら、不破君と楠葉さん、それから愛流お嬢様の分のクレープを切り分けたですの。食べるですの」
どうやらあの話をしている間にラドちゃんは備え付けのナイフでクレープを切り分けていたようだ。
2人が真剣な顔で話をしている間でもマイペースだなぁ、この子は。
そこがまた可愛いんだけど。
「……じゃ、いただこうか」
「……そうだな」
楠葉ちゃんも不破君も表情を緩め、ラドちゃんが切り分けたクレープをそれぞれ掴む。
2つ注文していたうちの1つを切り分け、そして残り1つをラドちゃんがまるまるいただく。
私はパンケーキを食べて小腹が満たされていたが、ラドちゃんがせっかく切り分けたクレープ、いただかなければ絶対後悔する。
「甘くでおいしくて幸せな気持ちですの。皆もそうですよね?」
ラドちゃんの言葉に私も含めて同意していた。
確かに皆で食べればおいしさはひとしおだ。
そしてクレープを全員食べ終わり、代金も支払ってファミレスを出る。
そして次に移動したのは、楠葉ちゃんの家の近くらしい、廃工場の中だった。
この工場は捨てられて久しいらしく、人の出入りは無いらしい。
ゆえに本当に秘密にしたい話もここでなら出来るらしい。
「不破君、変身って奴を見せてみてよ。もし出来ないなら嘘をついてたってことになるよね」
楠葉ちゃんの目は真剣そのものだ。
そして不破君はため息を一回だけつき、カードを2枚取り出す。
『χ Card Master・ Huwa approval』
「異端よ、凍てつく存在と交わり、永遠なる氷獄を相手に」
『オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン』
『アイス・ブリザード・マスター』
あれ、この間の変身形態と違う!?
『Different・X・Cross』
不破君の下から氷山が現れ、一瞬で不破君を飲み込んだ。
「不破君、大丈夫!?」
「大丈夫ですの!?」
皆で心配して声をかけた瞬間、氷山がひび割れて壊れていき、中から氷の竜が現れた。
あ、あれが不破君……
『アイスドラグニック。この姿を俺はこう呼んでる』
オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴンに似てるけど……あわわわっ。
目つきがさらに鋭くなって、体の全身が美しい氷の結晶で出来てる。
それにオッドアイズ・アブソリュート・ドラゴンには存在してなかった、氷で出来た美しい4つの羽。
それが背中でクロスして『χ』の文字を作ってるように見える。
まさに『異端者』の存在に相応しいドラゴンに進化しちゃってるよ……しかも震え上がるほど冷たい……
「愛流ちゃん、抱きしめて大丈夫?」
「だだだだだいじょうぶこれぐらいドラゴン愛があればちゃーらーへっちゃらー」
『まあ確かに全力で抑えてるけど、本来この姿のとき周りの空気すら凍てつかせるから、絶対重度の凍傷起こすよ?』
と、凍傷が何よ。
こんな格好良くて『デュエルモンスターズ』で見たことが無いドラゴン、今ここで抱きつかなくていつ抱きつくというのか。
冷たさすらも乗り越えなければ……愛を語るなど片腹痛いというものだ。
「ところでドラゴン状態とはいえ不破君に抱きついて撫で回すなんてやるねぇ。やっぱりラブラブなんじゃない」
!?
いやいやいや、今の不破君はドラゴンそのもの。
だから男の人に自分から抱きつきにいってるわけじゃなななない。
あ、あれ?
なんか寒さすら感じなくて、むしろかっかと熱くなってきちゃったよ?
『とりあえずこれで俺が変身するのは納得してくれたか? 他にもあと2形態あるけど、1形態は愛流さんとラドちゃんが確認済みだし、もう1形態はここでやらかしたら第三次が起こる』
大惨事?
一体どんな変身をするというのだろうか。
『とりあえず変身解除するわ』
その瞬間、しゅううと氷が溶けていく音が聞こえ、不破君に戻っていく。
ああ、ドラゴン状態が終わっちゃうなんて……残念だけど離れよう。
「これで納得してくれた?」
「うん。でも、どうして2人にあらかじめ見せた形態を僕に見せてくれなかったの?」
「変身するといっても1形態は単に魔術師の服を着たコスプレに見えなくも無いし、分かりやすく変身という形をとるならこのドラゴンの姿のほうが最適だったというわけだ」
「なるほどね。でも、ドラゴンだったら抱きついてくれるっていう確信があったんじゃないの?」
楠葉ちゃんがニヤニヤしながら尋ねる。
なんか今日、楠葉ちゃんこんな感じの顔しかしてないよね。
「そこはノーコメントでよろしく」
「じゃそこは信じるよ。で、ラドリーちゃん」
「何ですの?」
「君もひょっとして『ドラゴンメイド・フルス』になれるんじゃないの?」
「あ、さすがに分かってたみたいですの」
ラドちゃんが手を掲げると、水の渦巻きがラドちゃんを飲み込み、そこからフルちゃんになってその場で飛翔する。
あ、フルちゃんの姿になっても額に鉢巻を巻いてるんだね。
『これでいいですの?』
「そっか、ありがと。元に戻ってもいいよ」
『分かりましたの』
フルちゃんがゆっくりと降下していき、再び水を纏ってラドちゃんの姿に戻る。
「とりあえず僕の知らない間にいろいろなことがあったみたいだね……ところでドラゴンになれる秘密が不破君がさっき手にした灰色のカードなら、そのカードを愛流ちゃんが欲しがりそうなものだけど、何かあるのかな?」
楠葉ちゃん、鋭い。
あのカードがなければ不破君は両親を探す手がかりがなくなる。
だから欲しいという気持ちは抑えてたのに。
「まあ両親の行方の手がかりになる、とだけ言っておく」
「なるほどね……まあ疑問はある程度解けたよ。ところでラドリーちゃんってデュエルできるの?」
楠葉ちゃんが真剣な顔を崩し、ふわっとした優しい顔でラドちゃんを見る。
あんな顔されたら誰も警戒しないだろう。
「うん、出来るですの。でも、ラドリーのデュエリストレベルはまだちょっと未熟ですの」
デュエリストレベル?
初めて聞いた。
「デュエリストレベルって何?」
「ラドリーが元いた世界では『デュエルモンスターズ』をするものにはデュエリストレベルが定められるですの。そして数多くデュエルをこなすなりしてレベルを上げないと仕えないカードがあるですの。ラドリーはまだ未熟なドラゴンメイドだったから使えないカードがあるですの」
ラドちゃんはおずおずと何枚かのカードを取り出す。
確かに融合モンスターである『ドラゴンメイド・ハスキー』や『ドラゴンメイド・シュトラール』、他にも何枚かが色がくすんでおり、ラドちゃんが出現させたデュエルディスクじゃ反応しなかった。
「ちょっと待ってて、私の持ってる『ドラゴンメイド』のカードなら」
「デッキでも無いのに何で持ち歩いてるの?」
楠葉ちゃんのツッコミは流し、カバンからカードを取り出しラドちゃんのデュエルディスクにカードを置く。
だがデュエルディスクは拒否反応を起こし、一切実体化しなかった。
そして私のデュエルディスクをラドちゃんに貸してラドちゃんに使わせても結果は同じだった。
「だから昨日のデュエル、EXデッキが1枚もなかったのか」
「うん……そんなときにあの化け物に襲われて、ラドリーも前のご主人様もデュエリストレベルが未熟で、歯も立たず負けて前のご主人様は殺され、ラドリーは逃げるしか出来なかったですの」
そういう事情があったんだ。
だから昨日のデュエルのとき、ハスキーとか見られると思ったのに見られなかったのはそういう理由だったんだ。
「でもなんで『デュエリストレベル』なんてものがあるんだろうな?」
不破君の疑問はもっともだ。
自由にカードを組み合わせてデッキを作れるようにすれば楽しいはずなのに。
「ラドリーのご主人様いわく『初心者が最初から強すぎるカードを使えてもカードパワーだけに頼ってしまってようになり、真の意味での実力は身に付かない。最初は負ける悔しさを味わってつらいかもしれないが、実力がついて勝てれば嬉しさもひとしおだし、新しいカードが使えていく楽しみも味わえる』というのが理由らしいですの」
なるほどねぇ。
異世界にはそんな理もあるのか。
改めて世界の広さというのがよく分かる。
「昨日不破君とデュエルして、家に帰ってからもお嬢様ともデュエルをしたですけどもレベルはアップしなかったですの」
「ふーん……カードの精霊みたいな存在もいろいろ大変なんだね。よし、じゃ僕がラドリーちゃんのレベルをアップさせるのに協力しよう」
楠葉ちゃん。
ラドちゃんが顔をぱっと明るくする。
「ありがとうですの!」
「構わないよ。それにこの廃工場だったらリアルソリッドビジョンをある程度大きくしても問題ない広さだ」
「楠葉さんがどんなデッキを使うのか楽しみですの」
ラドちゃんがワクワクしてる。
確かに『デュエルモンスターズ』の楽しみとして相手がどんなデッキを使ってくるのか、それを予想するのも楽しみの1つだ。
そしてデュエルが始まり相手が未知の戦術を繰り広げてくる。
自分が知らないことを知ることは何物にも換えがたい喜びだ。
「よし、では行こうか」
「はいですの」
「「デュエル」」
ラドリー LP8000 VS 葛木 楠葉 LP8000
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切り札ってほんとここ一番に出てくるから切り札だし、印象に残るんですよね。その思いがあの一言に集約されています。
これからも応援していただければ幸いです。ではまた。 (2020-09-15 22:23)