６話 発動！ アンデットワールド　作：3D

音質の悪いチャイムが鳴り響く教室の中、そそくさと帰ろうとする都築の背に向かって音無が話しかける。

音無「おい都築、今日も帰るのか？ せっかく新しいメンバーが加わったんだから、挨拶ぐらいしてやれよ」

都築「…悪いな。今日も帰るぜ。フレンドシップカップに向けてやる事が山積みなんだ」

これは決して嘘ではない。実際デッキの調整もしているし、ショップに通ってコモンズである都築でも手に入れられるレベルではあるが、シンクロモンスターも数枚入手した。しかし、やらねばならない事はこれだけではない。そのまま手を振って家に帰るふりをして図書に向かい、30分ほど読書した後、職員室に向かう。

都築「先生、居るんだろ？」

ドアの前でそう呟くと、すぐに扉が開き、都築と音無の担任であるノボル先生が出てくる。と言うのも、この高校はかなり小さく、教員もまともに雇えないため、ノボル先生と校長先生の二人だけで運営されている。

ノボル先生「オウ、これはこれは都築君ですか。何か用ですかね？」

都築「フレンドシップカップの事で質問だ。単刀直入に言う。…これは仕込まれた物なのか？」

ノボル先生「ノンノン、信じられないと言うのはよく分かりますが、これも真実なのです。たまには音無君みたいに素直に喜んだらどうですか？」

即座にそう返答したノボル先生に、都築は一枚のカードを突きつける。音響戦士 ギータスのカードだ。

都築「目的はこのペンデュラムカードか…？」

それが決定打となったのか、そこからしばらく沈黙が続く。そして、ため息と共にノボル先生が口を開く。

ノボル先生「…オーケー、分かりました。デュエルで決着を付けましょう。私が負けたら、知っていることを全て話しましょう。その代わり、私が勝ったら、変な詮索はやめて大人しくフレンドシップカップに出るのです」

都築「今のでアンタが何か知ってるって事を自白したようなもんなけどな。…まぁいいぜ、やってやる」

そして、学校に備え付けてあるこじんまりとしたデュエルスペースに移動する。一応リアルソリッドビジョンシステムが搭載された部屋だが、それに接続するデュエルディスクが無いため使用されたことのない部屋だ。

ノボル先生「ヘイ、とりあえず今回は予備のデュエルディスクを貸しますので、これを付けなさい」

都築「…いや、必要ねぇよ」

そう言って腕にデュエルディスクを装着する都築。音無から、と言うよりはまだ見ぬ新メンバーの氷川が作ったデュエルディスクだ。音無から受け取っていたのだ。

ノボル先生「オウ、まさか持っていましたとは。まぁいいでしょう。では、始めますよ…？」

都築、ノボル先生「「デュエル！」」

都築「俺が先攻をもらう！ …俺は、モンスターをセットしてターンエンド」

都築 LP8000 手札4
フィールド セットモンスター1体
セットカード 無し
Pゾーン 無し

ノボル先生「威勢が良い割りに消極的ですね。私のターン！ ドロー！」
手札5→6

ノボル先生「私はゾンビ・マスターを召喚！」

ゾンビ・マスター
星4 アンデット族 闇 攻1800/守0

ノボル先生「バトル！ ゾンビ・マスターで、セットモンスターを攻撃！」

都築「甘いぜ！ セットモンスターは音響戦士 サイザス！」

ゾンビ・マスター
攻1800
↓
音響戦士 サイザス
守1900

ノボル先生「オウノォっ！」
LP8000→7900

都築「リバースしたことにより、音響戦士 サイザスのモンスター効果を発動するぜ。デッキから音響戦士を1体手札に加える。…俺は音響戦士 ベーシスを手札に加える」

ノボル先生「オーケー、少しはやるようですね。私はカードを1枚伏せて、ターンエンドです」

ノボル先生 LP7900 手札4
フィールド ゾンビ・マスター
セットカード 伏せ1枚
Pゾーン 無し

都築「…アンデットデッキか、随分陰湿なデッキを使うんだな。俺のターンだ、ドロー」
手札5→6

都築「俺は、音響戦士 ベーシスを召喚！」

音響戦士 ベーシス
星1 機械族 風 攻600/守400

都築「行くぜ…！ 俺は、音響戦士 サイザスに、音響戦士 ベーシスをチューニング！ シンクロ召喚！ 現れよ、マジカル・アンドロイド！」

マジカル・アンドロイド
星5 サイキック族 光 攻2400/守1700

都築「バトル…！ マジカル・アンドロイドでゾンビ・マスターを攻撃！」

マジカル・アンドロイド
攻2400
↓
ゾンビ・マスター
攻1800

ノボル先生「アウチ…！」
LP7900→7300

都築「俺はこれでターンエンドだ。この瞬間、マジカル・アンドロイドのモンスター効果が発動。自分のエンドフェイズ、俺のフィールドのサイキック族モンスターの数×600ポイントライフを回復するぜ」
LP8000→8600

都築 LP8600 手札5
フィールド マジカル・アンドロイド
セットカード 無し
Pゾーン 無し

都築「俺でもシンクロ召喚ぐらいできんだよ。油断しすぎると次のターン辺りでアンタ死ぬぜ…？」

ノボル先生「ノンノン、いくらシンクロモンスターでも、そんな誰でも持ってるような安物では私のデッキは倒せません。私のターン！ ドロー！」
手札4→5

ノボル先生「オーケー、では見せてあげましょう。私のアンデットデッキの真価を！ まずは、今ドローしたアンデットワールドを発動！」

アンデットワールドが発動されたことにより、二人の周りには不気味な死者の世界が広がって行く。

ノボル先生「このカードの効果で、都築君のフィールド、墓地のカード、そして私のフィールド、墓地のカードは全てアンデット族となります」

都築「…マジカル・アンドロイドの回復効果が無くなったか」

ノボル先生「そんなことのためだけにアンデットワールドを発動したわけ無いじゃないですか。私は、手札の傀儡虫を捨てて効果発動！ 相手の悪魔族またはアンデット族モンスター1体のコントロールをエンドフェイズまで得ることができるのです！ アンデット族となったマジカル・アンドロイドをいただきましょう」

都築「マジカル・アンドロイドのコントロールを奪われた…！？」

ノボル先生「まだまだ行きますよ！マジカル・アンドロイドをリリースして、真紅眼の不死竜をアドバンス召喚！」

真紅眼の不死竜
星7 アンデット族 闇 攻2400/守2000

ノボル先生「真紅眼の不死竜はアンデット族モンスターをリリース素材とする場合、1体のリリースでアドバンス召喚できるモンスターなのです。さあ、バトルです！ 真紅眼の不死竜でダイレクトアタック！」

都築「くっ……！」
LP8600→6200

ノボル先生「私はこれで、ターンエンド」

ノボル先生 LP7900 手札2
フィールド 真紅眼の不死竜
セットカード 伏せ1枚
Pゾーン 無し

都築「ちっ、流石に強いな…！ 俺のターン…！」
手札5→6

都築「来たか…！ 俺は、音響戦士 ギータスをペンデュラムゾーンにセット！」

ノボル先生「ワオ！ 出ましたね！ ペンデュラムカード！」

都築「その鬱陶しい喋り方も黙らせてやるぜ！ 俺は、手札を捨てて音響戦士 ギータスのペンデュラム効果を発動する！ デッキから、音響戦士 マイクスを特殊召喚！」

音響戦士 マイクス
星5 機械族 風 攻2300/守1100

都築「さらに、音響戦士 ピアーノを通常召喚！」

音響戦士 ピアーノ（チューナー）
星3 機械族 風 攻900/守1300

都築「俺は、音響戦士 マイクスに、音響戦士 ピアーノをチューニング！ 集いし願いが、新たに輝く星となる！ 光差す道となれ！」

ノボル先生「オーノゥ…まさか、この感じは…！」

都築「シンクロ召喚！ 飛翔せよ！ スターダスト・ドラゴン！」

スターダスト・ドラゴン
星8 ドラゴン族→アンデット族 風 攻2500/守2000

ノボル先生「バット、それは甘いです！ 私は、トラップカード、奈落の落とし穴を発動！ 相手が攻撃力1500以上のモンスターを召喚、特殊召喚した時、そのモンスターを破壊してゲームから除外します！ そのドラゴンには消えてもらいましょう！」

都築「なら、こいつの効果を教えてやる！ スターダスト・ドラゴンのモンスター効果発動！ このカードをリリースすることで、『カードを破壊する効果』を無効にして破壊する！」

ノボル先生「ワッツ…！？ そんな効果が！？」

都築「そして、俺のエンドフェイズにスターダスト・ドラゴンは墓地から舞い戻る。 さらに俺は、死者蘇生を発動！ マジカル・アンドロイドを墓地から特殊召喚！ さらに、音響戦士 ドラムスを通常召喚！」

音響戦士 ドラムス
星2 機械族→アンデット族 風 効700/守700 チューナー

ノボル先生「ノーノー！ 都築君は既に音響戦士 ピアーノに通常召喚権を使っています！ よって反則行為で私の勝ちですね！」

都築「ふっ、それは間違いだ。音響戦士 マイクスには、召喚、特殊召喚されたとき、このターン俺はもう一度通常召喚を行えるって効果がある」

ノボル先生「アンビリーバボー！ そんな効果があったとは…！」

都築「続けるぜ？ 俺は、墓地の音響戦士 ベーシスをゲームから除外して効果を発動する！ 俺の手札の枚数分だけ、フィールドの音響戦士モンスター1体のレベルを上げる！ 俺は音響戦士 ドラムスを選択！」

音響戦士 ドラムス
星2→3

ノボル先生「まさか…、もう一度シンクロ召喚を行うつもりですか！？」

都築「その通りだ！ 俺は、マジカル・アンドロイドに、音響戦士 ドラムスをチューニング！ シンクロ召喚！ 来い！ メンタルスフィア・デーモン！」

メンタルスフィア・デーモン
星8 サイキック族→アンデット族 闇 攻2700/守2300

ノボル先生「オウ、何かと思ったら格安シンクロモンスターですか。そんなモンスター、効果も忘れてしまいましたよ」

都築「なら思い出させてやるぜ！ メンタルスフィア・デーモンで、真紅眼の不死竜を攻撃！」

メンタルスフィア・デーモン
攻2700
↓
真紅眼の不死竜
攻2400

ノボル先生「マイモンスターが…！」
LP7900→7600

都築「そして、メンタルスフィア・デーモンの効果発動！ 戦闘で破壊したモンスターの攻撃力分のライフを回復するぜ」
LP6200→8600

都築「これでライフは互角だな。そしてエンドフェイズ、スターダスト・ドラゴンは俺のフィールドに舞い戻る」

都築 LP8600 手札2
フィールド スターダスト・ドラゴン、メンタルスフィア・デーモン
セットカード 無し
Pゾーン 音響戦士 ギータス





あとがき
ここまで読んでいただきありがとうございます！
ただ今免許の合宿に来ていて、更新速度がガタッと落ちてます。免許も欲しいですが、こちらの方も気を抜かずに執筆を続けます！