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遊戯王デュエルモンスターズEXS(イクス)/第六十二話「プラクサスの怪人」 作:イクス

第六十二話「プラクサスの怪人」


ユイが遊太達のデュエル仲間となって、更に月日が過ぎていっていた。プラクサスは既に夏の様相を見せており、段々と暑くなっていた。
後一か月くらいで小学生達は夏休みという中、デュエリストの間でこんな噂が広がっていた。
「なあなあ知っているか? 例のデュエル怪人のこと」
「知ってる知ってる。被り物被って草デュエルを挑んでくるんだろ?」
「ふざけた格好や言動なのに、デュエルは強いんだからすげえよな」
「傍から見りゃ、おかしな奴なんだけどな」
無論、この噂を遊太達も既に聞き入れており……。
「めっちゃ凄そう! そのデュエル怪人!」
「おお、案の定の反応じゃん遊太」
「だってさ、今まで何人もやられてるんでしょ? ということは、物凄く強いってこと! なら、デュエルするしかないよ!」
といったことを、学校の帰り道に知多から聞いていた。
「で、どこ行けばソイツに会えるの!?」
「さあ? 神出鬼没でどこにでも現れるから、デュエルするには運とかが絡むんじゃないかじゃん?」
「あ……そ。じゃあいつものゲームショップ烏間にでも行って、菊姫達と一緒に色々やろう」
「ま、今日もそんなとこだろうね。ダークネスカードのこととか色々言われているけど、そんなに変わんないよねえ。そんじゃまた、ゲームショップでね!」
「じゃん!」


家へと戻ってきた遊太。玄関を開けると、ユイがキッチンで洗い物をしているのが見えた。
「あっ、おかえりなサイ遊太サン。今日もゲームショップ烏間デスか?」
「あ、うん。皆と約束したからね。今日も皆と一緒にデュエルする予定だからさあ」
「では、洗い物が終わったらワタシも一緒に行きマスね」
「……なんか最近、僕がどっか行く時必ずついてくよね。ユイ」
「いけマセンか?」
「いや、全然。ユイがいるから、最近は菊姫や真薄君もいつも以上に楽しそうだし、僕のデュエルも新しい作戦が見えそうな気がするんだよ」
「そうなのデスか?」
「んじゃ、行こうか」
「ハイ。行きましょうか」


そしてやって来た、ゲームショップ烏間。遊太はユイと一緒に来ていた。
「皆、来たよ~!」
「こんにちは~皆サン」
「やあ、来たわね遊太君とユイちゃん。皆いるわよ」
「うん、菊姫、知多君、真薄君。それと岩ノ井君に鏡山君も!」
「でも、今日はそれだけじゃないのよね~」
「え?」
「あーっ、遊太君だ!」
「遊太さんだぁ~!」
「え? え?」
遊太の周りに、沢山の自分と同じくらいの子供や、自分より幼い子供がたくさん現れた。
「実は、あなたとデュエルしたい。デュエルを教えて欲しいという子供達が噂を聞きつけて沢山来ちゃったみたいなのよ。だから、以下よろしく~」
「ああもう。こういうのはあなたがやるべき仕事なのに、僕任せ? なんでこうなっちゃうのさ~。ま、良いけど。さて、まずは誰からやりたい?」
「オイオイ。遊太とやりあいたいなら、まずアタシらを通してくれなきゃ困るぜ?」
「ちょっと待ってよ菊姫。今回は皆が僕を求めているんだから、僕がやんなきゃダメでしょ? 君達じゃ駄目だよ。ここは、僕がやんなきゃ意味がない。だから……ねっ?」
「なんだよ……しょうがねえなあ」
「ま、いいんじゃん? それならさあ」
「遊太くんもこういうのは好きですからね」
「遊太サン、ワタシもお手伝いさせてくだサイ。ワタシもデュエルについてならお手伝いできそうデスから」
「それじゃあ皆、順番だからね~……アレ?」
皆に囲まれる遊太が目にしたのは、店の隅っこから遊太をじっと見つめている女の子であった。見た感じは、遊太と同じくらいか。
「…………」
その子は、ゲームが並んでいる棚から半分だけ顔を出し、こっちを見つめていた。
(どうしたんだろう? ただじっとこっちを見つめて……)
「あっ、そこのアナタ、一緒にどうデスか~?」
ユイが声をかけるが、その子は声をかけられると同時に棚の後ろに顔を隠してしまった。
「アノ……良ければ、コチラへどうぞ?」
ユイがそう言っても、女の子は隠れたまま出てこない。
それに業を煮やしたのか、子供達は遊太に言う。
「あの子変な子でね、僕達がデュエルしているのをずーっと向こうから見てるの」
「でも声をかけたら隠れちゃうし、なーんにも言わないしで気味悪いんだよ。ほっといて良いよ」
「……いいの?」
「いいのいいの、じゃあやろうよ!」
「……じゃあ、やろうか?」
そうして、遊太は子供達相手にデュエルをする。
「『イクスロードナイト・アルファ』で、ダイレクトアタック! ブラック・ロードソード!」
「ああっ、負けたぁっ!」
「攻めの前傾姿勢なデッキだね。確かに攻めは良いんだけれど、守りが手薄で一気に攻められると崩されやすいから、デッキのカードにちょっとでもいいから守りのカードを入れた方が良いよ」
「あっ、そおかあ」
「で、そっちの君も、コンボを決めたいならコンボカードを引きやすくするカードをもっと採用してみたらどう?」
「なるほど……」
「で、君のデッキは……」
「なあ遊太、そこはコレにした方が良いんじゃねえのか? コッチの方が」
「菊姫、ちょっと黙ってて! 面白半分で口出しするのはやめて!」
デュエルをしながら、子供達のデッキやデュエルを見て改善策を提案する遊太。隣で見ている菊姫も、デュエルを見てちょくちょく横槍を入れてくる。
そんなことをしながらも、遊太は一つ気になっていたことがあった。
それは、店の隅っこで遊太達のことをじっと見ている女の子であった。その子が隠れながらこっちをじっと見ているのが、遊太は気になってしょうがないのであった。
ただ何をするまでも無く、ただじっとこちらを見ているのが、遊太にはわからなかった。「なんでそんなことしているの?」という言葉を、遊太は言いたかった。
だが、今は子供達にデュエルを教えるのが先決な為、一先ずは後回しにしているのであった。


そうして、全員に教えて回った遊太であった。
「ふーっ、やっと終わった……」
「お疲れ様デス、遊太君」
「すげえなお前、的確に教えただけじゃなく強化までしやがって。すげえじゃねえか。とてもデュエル始めて二三か月の人間とは思えねえな」
「そういうなら、菊姫もちょっかい出すの止めてよ……ホント多かったんだから……」
「そうですね……三十人以上は教えていたと思いますよ。本当に多かったですね」
「あー、ホントに疲れた……やっぱり皆に手伝ってもらった方が良かったかなあ……?」
「僕を求めて来たんだから、僕がやるべきだって言ったの、誰だっけ? 遊太君」
「……僕だよ。からかわないでくださいよ烏間さん」
「そういえば、遊太君が気にかけていたあの子、いつの間にか消えていたわよ」
「いつ?」
「本当にいつの間にか」
「そうなの? まるでわかんなかったなあ」
「アタシらも見ていたけど、アイツいつの間にか消えていたんだよなあ」
「俺も、全然わかんなかったじゃん? ホントに気が付いたらいなくなってたじゃん」
「僕も本当に……分からなかったです」
「ああ、そうなんだ……」
「たまにいるのよね。ああいう風に、輪に入りたいけど入れないっていう子供。なんとかして、入れてあげたいと思うんだけど、ああいう子は恥ずかしがりなもんだから……」
「うん……そうなんだ……」
「あら、残念そうね?」
「だって、できるなら一緒にデュエルしたかったんだもの。できるなら……」
「へえ……」


そうして、ゲームショップ烏間を後にした遊太。隣にはユイが一緒にいた。
「残念デシたね……。遊太サン」
「ほーんと、なんかありそうだったのになあ」
そんな愚痴を言いながら、遊太は家へと帰る途中であった。普通だったら、このまま家へ帰るはずだったのだが、今日はちょっと具合が違った。
ボフンッ!
「うわっ!?」
「きゃあっ!?」
突如大きな煙が発生し、びっくりする遊太とユイ。すると、声が聞こえてきた。
「ハロー! ハロハロハロー!」
意気揚々とした、甲高い声。煙が晴れて声の主が見えてくる。見えてきたのは、遊太と同じくらいの身長の人物であった。
「え……?」
「ハイ……?」
煙が完全に晴れ、その姿がはっきりと認識できる。『キラートマト』の顔のように穴がくりぬかれたカボチャの被り物を頭に被り、その上に魔女が被るような三角帽子を乗せ、黒い衣装とフリフリのミニスカートを履いた、カボチャなのか魔法使いなのかわからない格好をした謎の人物がいた。何気にヒールの高いブーツを履き、左腕にはデュエルディスクをつけている。
その姿を見て、遊太は少し考えた。
「あれ……? これと同じような感じの人を、前に見かけたような気が……? 烏間さん……?」
「あ、アナタは何者デスか!」
「私の名前はクロウリー! デュエルを求めるカボチャの魔法使い!」
「ハッ、さては君が噂になっているデュエル怪人だな!?」
「キャハハハ! その通り! アタシは近頃有名になってるデュエルの亡者! でも、怪人っていうのは違うかな? アタシは魔法使いだも~ん!」
「どっちでもいいや。この状況なら、やるべきことは一つ! デュエルだね!」
遊太も自分のバッグからデュエルディスクを取り出し、左腕に装着した。
「あっ、遊太サン……いきなりそんな……」
「良いの! デュエルを挑まれて受けないのはデュエリストとしてダメさ! さあ、行くよ!」
「良いわ、来なさい!」

「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」
「「デュエル!」」


「先攻は僕が貰う、僕のターン!」

1・遊太のターン

「僕は手札から、速攻魔法『英雄騎士の緊急招集』を発動! このカードは、自分フィールドにモンスターがいない時発動でき、手札・デッキからレベル4以下の『ロードナイト』モンスターを特殊召喚できる! 僕はデッキから、レベル2の『ロードナイト・スター』を特殊召喚する!」(遊太手札5→4)(遊太墓地0→1)
「特殊召喚された、スターの効果発動。デッキから『ロードナイト』を特殊召喚できる! 僕はデッキから、レベル4の『ロードナイト・テラ』を特殊召喚する! そして、特殊召喚されたテラのモンスター効果発動。デッキから『英雄騎士』魔法カード1枚を手札に加えられる。僕が手札に加えるのは、速攻魔法『英雄騎士への覚醒』!」(遊太手札4→5)
「そして、僕は手札から『英雄騎士への覚醒』を発動! 自分フィールドの『ロードナイト』モンスター1体をリリースし、リリースしたモンスターと同じ属性を持つ『イクスロードナイト』モンスター1体をEXデッキから特殊召喚する! 今回リリースするのは、緊急招集で特殊召喚されたスター。スターは光属性な為、EXデッキから特殊召喚するのは、同じ光属性の『イクスロードナイト・ディアナ』!」(遊太手札5→4)(遊太墓地1→3)
三日月の意匠を持つ白き鎧を身に着けた、女騎士が現れる。手には三日月のような鎌を持っている。攻撃力は2700。
「そして、僕は手札から『ロードナイト・クリスティ』を召喚! 効果発動。このモンスターが召喚・特殊召喚された時、手札から『ロードナイト』を1体特殊召喚できる。手札より、『ロードナイト・ネクロ』を特殊召喚する」(遊太手札4→2)
「更に、特殊召喚されたネクロの効果発動。特殊召喚されたネクロは、墓地から『英雄騎士』魔法カード1枚を手札に加えられる。墓地から『英雄騎士への覚醒』を手札に加える」(遊太手札2→3)(遊太墓地3→2)
「もう一回、手札から『英雄騎士への覚醒』を発動! フィールドの、水属性であるクリスティをリリースし、水属性の『イクスロードナイト・ジエス』を特殊召喚する!」(遊太手札3→2)(遊太墓地2→4)
今回現れたのは、氷の弓矢を持つ水色の騎士。攻撃力は2600。
「カードを1枚セットして、ターンエンド」(遊太手札2→1)
(このターンに召喚したのは、どちらも相手ターンでも使える効果を持った『イクスロードナイト』。1000ポイントライフを支払って相手モンスターの攻守を0にするディアナ。そして、攻撃と効果を封じるジエス。さあ、この布陣をどうやって崩す?)

遊太

ライフポイント8000
手札枚数1枚
モンスター4体
『イクスロードナイト・ディアナ』(攻撃表示・攻撃力2700・光属性・レベル8)
『イクスロードナイト・ジエス』(攻撃表示・攻撃力・2600・水属性・レベル8)
『ロードナイト・テラ』(守備表示・守備力1500・光属性・レベル4)
『ロードナイト・ネクロ』(守備表示・守備力1600・闇属性・レベル4)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数4枚
除外されているカード0枚


2・クロウリーのターン

「アタシのターン、ドロ~ッ!」(クロウリー手札5→6)
「アタシはモンスターを1体セット、カードを2枚セットしてターンエンド」(クロウリー手札6→3)
「えっ!?」
なんと、カードをセットしただけで終えてしまったクロウリー。何も事を起こさずターンを終えてしまったのだから、効果を発動することもできない。

クロウリー

ライフポイント8000
手札枚数3枚
モンスター1体
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数0枚
除外されているカード0枚


3・遊太のターン

「僕のターン、ドロー」(遊太手札1→2)
(派手な見た目の割に、随分と手堅いやり方をするんだな……攻撃を誘っている? だけど、事を起こさないっていうんなら、こっちが行くさ!)
「速攻魔法『英雄騎士の作戦変更』を発動! このカードは、フィールドの『ロードナイト』モンスター1体をリリースして、デッキからリリースしたモンスターとは違う属性の『ロードナイト』1体を特殊召喚する。僕はネクロをリリースして、風属性の『ロードナイト・スピーダー』を攻撃表示で特殊召喚する!」(遊太手札2→1)(遊太墓地4→6)
「特殊召喚されたスピーダーの効果発動。デッキから『ロードナイト』モンスター1体を手札に加える。僕は『ロードナイト・アクアス』を手札に加える」(遊太手札1→2)
「バトルフェイズに入り、ジエスで裏守備モンスターを攻撃! フリージング・アロー!」
氷の矢が、裏守備モンスターに向かって飛んでいく。攻撃はそのまま通り、モンスターは破壊される。
「なんだ? 罠カードでも発動すると思ったら、あっさり破壊されたなあ」
「別に、ただ破壊された訳じゃあないのよ。戦闘によって破壊された『ゴーストリックの雪女』の効果、はっつど~う! このモンスターを破壊したモンスターを、裏守備表示にするっ!」(クロウリー墓地0→1)
「何ッ!?」
墓地から現れた雪女が、凍える風を吹かしてジエスが裏守備表示になってしまう。
「やられた……」
「あ、言っておくけど、雪女の効果で裏になったモンスターは表にできないからね~」
「不用意に突っ込みすぎた……?」
「あ、後『ゴーストリック』が破壊された時、手札の『ゴーストリック・スペクター』の効果、はっつど~! このカードを手札から裏守備表示で特殊召喚して、デッキから1枚ドローするっ」
「だけど、第2、第3の攻撃は避けられないさ! ディアナで裏守備となっているスペクターを攻撃! ミッドナイト――」
「永続罠『ゴーストリック・ロールシフト』はつど~! このカードの効果はバトルフェイズ中にのみ発動できる。1ターンに1度、自分フィールドの裏守備表示モンスターを表側攻撃表示にして、相手モンスターを裏守備表示にするっ!」
どんでん返しによって、シーツを被ったようなオバケが現れると同時に、それによってディアナが裏守備表示になってしまう。
「まただ。また躱された! なら今度は、スピーダーでスペクターを――」
「『ゴーストリック』が攻撃される時、手札の『ゴーストリック・ランタン』の効果、発動っ! その攻撃を無効にして、このカードを裏守備表示で特殊召喚するっ!」(クロウリー手札3→2)
「くっそ~また躱された! しかし、裏守備のモンスターからどんどん現れるなんて……びっくり箱みたいなモンスター達だ。でも、ハロウィーンにはまだ早いんじゃない?」
「ウフフ~、ハロウィーンじゃなくても驚かせちゃうのよ~まだ何かあるぅ?」
「やりたいけど、今は方法が無い。ここは一旦タンエンドだ」
「あっそう、ターンエンド? なら永続罠『ゴーストリック・ナイト』を発動っ! フィールドに『ゴーストリック』モンスターがいる時、相手は反転召喚することはできないっ! これで、あなたの裏守備となったモンスターは封じられちゃったねぇ」
「ディアナとジエスを封じられたか……でも、僕のモンスターがいる限り、封じたとしても攻撃はできないでしょ?」
「それはどう、かっしら!?」
「!?」

遊太

ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター4体
『イクスロードナイト・ディアナ』(裏守備表示・守備力1800・光属性・レベル8)
『イクスロードナイト・ジエス』(裏守備表示・守備力・1800・水属性・レベル8)
『ロードナイト・テラ』(守備表示・守備力1500・光属性・レベル4)
『ロードナイト・スピーダー』(攻撃表示・攻撃力1800・風属性・レベル4)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数6枚
除外されているカード0枚


4・クロウリーのターン

「アタシのターン、ドローっ!」(クロウリー手札2→3)
「アタシは手札から、永続魔法『闇の護封剣』を発動っ! このカードの発動時、相手フィールドのモンスターを全て裏守備表示にするっ!」(クロウリー手札3→2)
「何っ!?」
突如降り注いだ護封剣によって、遊太の残るモンスターが裏守備になってしまう。これで、遊太に場には表側表示モンスターがいなくなってしまった。
「僕のモンスターが、全て裏に……」
「ここからが『ゴーストリック』の本領発揮よぉ~っ! 魔法カード『テラ・フォーミング』を発動っ! これによって、アタシはフィールド魔法『ゴーストリック・ハウス』を手札に加えるわっ!」(クロウリー墓地1→2)
「そして手札から、フィールド魔法『ゴーストリック・ハウス』をはっつど~!」(クロウリー手札2→1)
クロウリーのフィールドが、古びた洋館となる。それはまるで、お化け屋敷のようなボロ洋館。そのフィールドは、カボチャ頭のクロウリーにとっても似合っていた。
「このフィールドって……」
「ようこそ、『ゴーストリック』のお屋敷へっ! このフィールド魔法がある限り、互いに裏守備モンスターを攻撃できず、モンスターゾーンに裏守備モンスターしかいないプレイヤーにはダイレクトアタックができるっ」
「なんだって!? そんな効果が……」
「ただし、『ゴーストリック』と名の付いたモンスターがいなきゃ、全てのダメージは半分になっちゃうけどね」
「ええっ!?」
「そして、裏守備表示となっているスペクターとランタンを反転召喚! 現れて!」
攻撃表示となったモンスターは、カボチャのランタンとシーツのオバケ。攻撃力は800と600でそんなに強くない。だが、この状況においては……! 
「バトルフェイズ……といきたいけど、まだ準備があるんだよねぇ~。私は、レベル1のランタンとスペクター2体を素材として、エクシーズ召喚! 現れて、ランク1『ゴーストリック・デュラハン』!」
現れたのは、馬にまたがる首無し騎士。攻撃力はたった1000と、エクシーズした割には低い。
「デュラハンの効果、このモンスターの攻撃力は自分フィールドの『ゴーストリック』カードの数×200ポイントアップするわっ。今フィールドにいるのは、デュラハン含め4枚の『ゴーストリック』カード。よって攻撃力は800アップ!」(デュラハン攻撃力1000→1800)
「マジか……」
「バトルフェイズ! デュラハンで、相手プレイヤーにダイレクトアタック! ゴーストリック・サプライズ!」
攻撃宣言時、モンスターが消える。
「な、なんだ……?」
「バァッ!」
「うわああっ!」(遊太ライフ8000→6200)
いきなり背後から現れたデュラハンにびっくりしてしまい、ライフを減らしてしまう遊太。
「キャハハハ! ビックリした?」
「くっそ~なんて攻撃だ!」
「遊太サ~ン!」
「だけど、ダメージを受けた事で、手札から『ロードナイト・ボルカ』を特殊召喚する!」(遊太手札2→1)
「ボルカが特殊召喚された時、相手フィールドのモンスター1体を対象として破壊して、1000のダメージを与えることができる! 僕はデュラハンを破壊して、1000のダメージを与える! ……でも、今はフィールド魔法の効果で、半分に……なるんでしょ?」
「うぐっ……やるねえ~。でも、デュラハンは墓地へ送られた時、デッキから『ゴーストリック』カードを1枚手札に加えられるわ。アタシが手札に加えるのは、モンスターカードの『ゴーストリック・マリー』」(クロウリー手札1→2)(クロウリーライフ8000→7500)(クロウリー墓地2→5)
「バトル終了。アタシはカードを1枚セットして、ターンエンド。あ、一応言っておくけど、永続魔法『闇の護封剣』がある限り、あなたのモンスターは表示形式は変更できないわよぉ~」(クロウリー手札2→1)

クロウリー

ライフポイント7500
手札枚数1枚
モンスター0体
魔法・罠ゾーンのカード3枚
発動しているカード4枚
『ゴーストリック・ハウス』(フィールド魔法)
『ゴーストリック・ロールシフト』(永続罠)
『ゴーストリック・ナイト』(永続罠)
『闇の護封剣』(永続魔法)
墓地の枚数5枚
除外されているカード0枚


5・遊太のターン

「僕のターン」
(あの永続魔法のせいで、表示形式は封じられている。それに、フィールド魔法のせいで攻撃表示にして攻撃しても、ダメージがロクに与えられない。それに、モンスターを多く出したせいでロック気味になっている。あの永続罠のせいでどうあっても反転召喚できないからね。どうする?)
(まあ何事も、ドローしてから考えないと)
「ドロー!」(遊太手札1→2)
(遊太サン……)
「魔法カード『英雄騎士の増援』を発動! デッキから、『ロードナイト』モンスター1体を手札に加える。僕はデッキより、レベル7の『ロードナイト・ブラスト』を手札に加える」(遊太墓地6→7)
「そして、僕は裏守備となっているモンスター2体をリリースして、レベル7『ロードナイト・ブラスト』をアドバンス召喚する!」(遊太手札2→1)(遊太墓地7→9)
2体のモンスターによって召喚されたのは、炎の剣を持つ紅い騎士。攻撃力は2500。
「バトルフェイズ! お前のフィールドにモンスターがいないため、ロールシフトの効果は使えないだろ! ブラストでダイレクトアタック! フレイム・ブラスト! フィールド魔法の効果で与える戦闘ダメージは半分になるけど、ブラストの効果発動! 戦闘を行うダメージステップ開始時、ブラストの攻撃力分のダメージを与えることができる!」
「痛いっ。更に戦闘ダメージって……!」(クロウリーライフ7500→6250→5000)
「だけど、こっちだって手札のモンスター効果発動っ! ダメージを受けた時、手札の『ゴーストリック・マリー』の効果、発動っ! このカードを手札から捨てて、デッキから『ゴーストリック』モンスターを裏守備表示で特殊召喚するっ! アタシは『ゴーストリック・キョンシー』を特殊召喚っ!」(クロウリー手札1→0)(クロウリー墓地5→6)
「くそっ。また特殊召喚……これじゃあ、攻撃してもロールシフトの効果で封じられるだけ……。なら、僕はメインフェイズ2に入り、ボルカを守備表示にしてターンエンド」

遊太

ライフポイント6200
手札枚数1枚
モンスター4体
『イクスロードナイト・ディアナ』(裏守備表示・守備力1800・光属性・レベル8)
『イクスロードナイト・ジエス』(裏守備表示・守備力1800・水属性・レベル8)
『ロードナイト・ブラスト』(攻撃表示・攻撃力2500・炎属性・レベル7)
『ロードナイト・ボルカ』(守備表示・守備力200・炎属性・レベル4)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数9枚
除外されているカード0枚


「くそっ。思ったよりダメージを与えられなかった……」
「キャハハハ! 面白~い!」
(コイツ……カボチャなのか魔法使いなのかわからないふざけた格好してるのに、すっごい強い! 噂通りの男? いや、女? どっちでもいいや。全国だけじゃなく、この町にもまだまだ凄いデュエリストが沢山いるんだ……面白い! 楽しい! 大会で優勝したとはいえ、まだまだこんなに楽しい! ちょっと前までは辛いデュエルだったから、余計に!)
「戦いはこれからさ! ちょっとやられたけど、まだまだデュエルは始まったばかりさ!」
「キャハハハ! たーのしー!」
「遊太サン……! アナタ、凄く楽しそうデス!」
「さあ、次は君の――」
こんなにも楽しいデュエルなのだが、何故かこういうデュエルには、妨害がつきものなのである。
「あら? あなたなんでそんな格好しているんですか? 静さん」
「ちょっ……!」
「えっ、カリンちゃん!? いつの間に!?」
デュエルの最中に、いつの間にか現れたカリンに驚く遊太、それとクロウリー。
「え、静って……?」
「しばらく見ないと思ってたら、なんでそんな妙な格好してデュエルしているんですか? ハロウィーンはまだしばらく先ですわよ?」
「あっ、えっと……ゴ、ゴメン!」
懐から取り出した煙玉を爆発させ、煙を発生させるクロウリー。ディスクは勝手に終了してしまった。
「あっ、ちょっと……!」
煙が晴れる。もうすでにクロウリー……というか、静? は消えていた。
「あ、あれえ……? 消えちゃった……」
「ハァ……相変わらず人と対面するとすぐ逃げるのは変わってないですわね……」
「え、カリンちゃん知り合いなの? アイツと?」
「知り合いですわ。ま、立ち話でもなんですからちょっと、そこの公園にでも行って座りましょうか」
「うん。じゃあ、ユイも一緒にいこ?」
「ハ、ハイ!」


そうして、近くの公園でベンチに座る遊太達。遊太を間に、ユイとカリンが挟んでいる。
「で、どういうことなの?」
「ああ、静は私と知り合いですわ。以前会社ぐるみのパーティで知り合いました。デュエルはできるようで、結構やれるんですわよ。下手すると完封されかねない」
「確かに、凄いよ。ちょっと苦戦しちゃったけど」
「ですけど恥ずかしがり屋なんです、あの子は……私だって仲良くなるには相当かかりましたし……どうにも人と眼を合わせると顔を紅くしてマトモに喋れなくなってしまうのですわ」
「それであんな格好してデュエルしてくるの?」
「ええ。直接見なきゃ大丈夫ってでも思っているのでしょうね。そこんとこは私もわかりませんは」
「はあ……実は僕もゲームショップ烏間であの子を見たんだけど、眼を合わせたらすぐ隠れちゃって……」
「そうなのですか。私もなんとかしてあげたいと思っているのですが」
「そうなの……それを聞くと僕も、なんとかしてあげたいと思うなあ」
カリンから、怪人の謎を聞いた遊太達。それに対し、どうにかできないものかと考えるが、妙案は中々浮かばないものだった。


一方、逃げてしまったクロウリーこと静はというと。
「ハァ……どうしよう。逃げちゃった……」
カボチャの被り物を頭から外し、人のいないことを確認する。
「まさかカリンちゃんに出会うなんて……しかもバレちゃったみたい……」
よりにもよって、知り合いであるカリンにばれてしまったことで、おどおどし始める。
「流石にカリンちゃんに限って正体バラすなんてことしないだろうけど、もし皆にこのことが伝わったりしたら……あ~、恥ずかしいぃ~」
顔を赤くしてうずくまる静。もしこんなことをしているのがばれたら、それこそ恥ずかしいどころではすまないのだが、彼女は今の事が気になってしょうがないのであった。
すると。
「おやおや、随分お困りのようですねえ」
「!?」
いきなり背後に現れた、黒いローブを羽織る何者か。顔はフードに隠れて良く見えない。
「あなたは今、悩んでいる。そうですね?」
「何よ……あなた誰よ」
「ご心配なく。あなたのお悩みは、すぐにでも解決しますから……これで!」
懐から取り出されたのは、どす黒い色をした絵の書かれていないエラーカードのようなカード。そのカードが宙に浮くと、何者かは。
「さあ、このダークネスカードを使い、あなたの心を解放するのです」
「な、なにっ!? い、いや……きゃああああ!」
少女の声が、響き渡った。


第六十二話。終わり。
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19 第十七話「本戦開始!」 277 0 2018-04-06 -
63 第十八話「知多と遊太」 274 0 2018-04-13 -
66 第十九話「僕のヒーロー」 312 0 2018-04-17 -
56 第二十話「僕のヒーローは」 290 0 2018-04-21 -
55 第二十一話「対決! 遊太VS菊姫!」 335 2 2018-04-25 -
61 第二十二話「菊姫の切り札」 330 2 2018-04-29 -
39 第二十三話「覚醒を封じられた先に……!」 298 2 2018-05-09 -
54 第二十四話「プラクサス大会、決勝戦!」 290 0 2018-05-12 -
16 第二十五話「真の究極竜と、カオスMAX」 298 2 2018-05-16 -
57 第二十六話「決着、そして……!」 354 2 2018-05-18 -
15 第二十七話「ロードナイトの話」 194 0 2018-05-26 -
30 第二十八話「カリンと遊太」 274 2 2018-05-28 -
16 第二十九話「日傘の女の子」 236 0 2018-06-07 -
61 第三十話「ヒーローショーを見に行こう!」 299 0 2018-06-11 -
54 第三十一話「忍び寄る侵略の影」 256 0 2018-06-23 -
42 第三十二話「侵略の一手」 228 0 2018-06-24 -
16 第三十三話「帝国への招待状」 228 0 2018-07-03 -
47 第三十四話「いざ、帝国へ!」 239 0 2018-07-12 -
58 遊戯王EXSキャラ紹介 その1 371 2 2018-07-14 -
44 第三十五話「GAME START」 226 0 2018-07-22 -
18 決闘者の帝国における、特殊ルール 260 2 2018-07-22 -
70 第三十六話「まずは一つ」 267 0 2018-07-29 -
16 第三十七話「菊姫とアキラ」 192 0 2018-08-05 -
22 第三十八話「実力勝負!」 206 0 2018-08-12 -
43 第三十九話「エンジョイデュエル!」 235 0 2018-08-23 -
12 第四十話「プレイヤーキラー、動く!」 172 0 2018-09-07 -
20 第四十一話「闇を打ち砕け、遊太!」 225 0 2018-09-15 -
22 第四十二話「ユニオンロボ&宇宙のヒーロー 180 0 2018-09-29 -
16 第四十三話「侵攻するワーム」 164 0 2018-10-06 -
48 第四十四話「ヒーロー覚醒!?」 232 2 2018-10-14 -
31 第四十五話「血の刻印」 219 2 2018-10-27 -
13 第四十六話「二つの竜」 188 2 2018-11-08 -
16 第四十七話「共鳴、そして目醒め」 200 2 2018-11-19 -
43 第四十八話「思わぬ敵」 253 2 2018-12-02 -
30 第四十九話「救いと絶望」 192 0 2018-12-09 -
48 第五十話「ロベルトを救う者」 224 0 2018-12-17 -
36 第五十一話「決戦! 闇の王と遊太」 158 0 2019-01-17 -
21 作者よりお知らせ 185 0 2019-01-27 -
17 第五十二話「突き抜ける意志」 137 0 2019-02-05 -
17 第五十三話「神帝現る」 133 0 2019-02-12 -
21 第五十四話「帝国の終焉」 155 0 2019-02-22 -
22 特別編『超次元! 世界を越えた絆』1 160 0 2019-03-07 -
19 特別編『超次元! 世界を越えた絆』2 143 0 2019-03-14 -
11 特別編『超次元! 世界を越えた絆』3 171 0 2019-03-22 -
8 第五十五話「休息の時」 97 0 2019-04-07 -
17 第五十六話「彼女との再会」 122 0 2019-04-20 -
10 第五十七話「マダムの危ない罠」 120 0 2019-05-01 -
5 第五十八話「ストアブレーカー」 83 0 2019-05-19 -
14 第五十九話「闇のカード」 148 0 2019-06-04 -
9 第六十話「変わり始める生活」 75 0 2019-07-18 -
5 第六十一話「ユイのデュエル」 75 0 2019-08-04 -
6 作者よりお知らせ2 110 0 2019-08-11 -
6 第六十二話「プラクサスの怪人」 56 0 2019-09-11 -

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