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HOME > 遊戯王SS一覧 > 【DAY2】カゼミネと開戦

【DAY2】カゼミネと開戦 作:ギガプラント






~あの頃の話~





俺はあの人と2人でナンパ男3人組に勝利し追い払う事に成功した。
…いや「2人で」とは言えない。俺はただそこに居ただけだ。

「大丈夫か…?」

彼女は笑顔で答える。

「『大丈夫』と信じれば『大丈夫』はやってくるのです!って…安心してね本当になんともないから。」

声をかけはしたが大丈夫なのは俺自身も分かっていた。

なんせ3人を倒したのは実質的には彼女だ。仮に俺がデュエルに参加していなかったとしても軽く連中をのしていたことだろう。寧ろ俺が足を引っ張ったまであるかもしれない。
華麗に3人分の攻撃を凌ぎ、鋭く3人分攻撃を仕掛ける。
人数差など物ともせず一人ずつ確実に倒していくその様はただただ圧巻で、そして……とても美しかった。

「君も大丈夫?ごめんなさい巻き込んじゃったみたいで。」
「いや、俺の方もなんとも…。」

勝ったにも関わらず胸にぽっかり穴が空いたかのような感覚が残る。あの時と同じ…大会でこの人に負けたあの瞬間の記憶と感覚が再び俺の中を駆け巡った。

俺は悔しかったのだ。
あまりに負け知らずだった為か、今の今まで自分でも気がつかなかった。
心の奥底から絶えず湧き上がっていた「勝ちたい」という欲求をそこで初めて知覚した。
味方として戦った今でさえそれが分かる。
直接的でないにしろ、俺がこの人よりデュエルの腕で劣っている事は明確に感じられた。

だから



「なぁ、俺とまたデュエルしてくれないか?」



姉以外で唯一俺を負かした彼女。
姉には一度も勝てなかったが今度は違う。

この日から俺の目標はこの人を超える事になった。





~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~





ShinTokyo-Duelist Museum(シントーキョー・デュエリストミュージアム)


遊路と美羽の二人は、ミュージアム内の控室に居る。
まだ授賞式まではかなり時間があるのだが、相変わらず美羽は落ち着かない様子。

美羽「ふぅ…。」

遊路「美羽、大丈夫か…?」

美羽「うん。体調が悪いとかじゃないんだけど…やっぱり緊張するよぅ。」

掌に書いた「人」を飲み込んだり、そわそわと部屋を行ったり来たりしている。

美羽「ねぇ遊路、何かお話して。なんでもいいから気を紛らわせたくて…。」

遊路「ふむ……」

遊路は頭の中で話題を探し出し、そして自身が気になっていた事を思い出す。

遊路「そういえば、もう一人の受賞者の事知ってるんだよな。どんな人なんだ?」

雑誌にも載っていたもう一人の受賞者。天才若手デザイナー『みねこ』
名門お嬢様校、国立フィーリス女学園を中退している経歴からみて只者では無さそうのが見て取れる。
齢はまだ17歳との事で、遊路や美羽よりも遊季都達の方がまだ歳が近いという若さである。

遊路「まさか美羽よりも若いデザイナーとはな。」

美羽「みねこちゃんはね、デザイナー特集の取材で初めて会ったんだ。」

美羽「どういえばいいんだろう?凄く芸術家気質っていうのかな?なんていうか深く考えずに感覚だけでサラサラ~って絵を描き上げちゃうの。」

遊路「所謂天才肌ってやつか。」

美羽「というより天才そのものだと思う。……ただちょっと癖が強いというか」

遊路「癖?デザインの癖って事か?」

美羽「まぁそれもなんだけど、本人のキャラも少し……いやかなり癖が強くて」

遊路「本人もってどう…」


遊路が訊きかけたその時だった


少女「るぅちゃあああぁぁぁん!!!」

遊路&美羽「「!!?」」


ノックもせずに控室の扉が開かれた。
ベレー帽にエスニックな洋服を纏った少女が満面の笑みを浮かべて部屋に駆け込んでくる。

少女「わあ~!!!」

唐突な来客者は、美羽の姿を見つけるなり一気にその身体を飛びつかせた。
美羽程ではないが小柄なその少女は目を輝かせながら話し始める

美羽「きゃっ!?」
少女「ホントにるぅちゃんだああ!ハロハロ~♪元気してた~?うんうんみねこは元気だよ~!」

少女は小動物を相手にするが如く、美羽に頬ずりし始める。

美羽「あのえっとその、みねこちゃん…?」

遊路「え?この人が……。」

美羽「う、うん……。」

みねこ「きゃほほ~い!るぅちゃんと一緒に受賞できるなんて、マジマジハッピーマジハッピーだぞーん!」

美羽「みねこちゃ…放して、苦し…。」

みねこ「WOW!?ごめんねるぅちゃん!!」

がっしりとホールドしていた腕を解き、美羽は解放される。



遊路(この人が天才若手デザイナー『みねこ』……確かに癖が強いな…物凄く。)


みねこ「おおぉ?そっちのおにーさんは……そっか!みねこピコンと閃きました!あなたが『かぜみねぷろ』ですね!」

遊路「あ、あぁ。初めまして。」

みねこ「知ってます!みねこ知ってます!すっごくデュエルが強いチャンピヨンさんで、るぅちゃんのダーリン!」

ビシッと遊路に指を突き付ける。

美羽「みねこちゃん…少し落ち着いて。」

みねこ「あれあれ?違いました??」

美羽「いや違ってはいないけど…。」

遊路(『ダーリン』って言い方きょうび聞かないなぁ…。)


遊路「あぁそうだ。俺がダーリンの風峰遊路だ。宜しくな、みねこさん…でいいのかな?」

内心色々と思うところはあるがとりあえず返事しておいた。

みねこ「はい!みねこはみねこって言います!初めましてです!」

そうして次は右手で勢いよく敬礼を始める。
終始ニコニコ顏を崩さないその振る舞い、そしてやたら個性的な喋り方、先に感じた只者じゃない感は既に存分に感じられた。

遊路「はは、そっちは全く緊張してなさそうだな。」

美羽「ちょっと羨ましいかも…。みねこちゃんももう着いてたんだね。」

みねこ「はい!るぅちゃんと一緒の授賞式なんてみねこメッチャクッチャ楽しみ!」

美羽「うん、私も嬉しいよ。」

因みに今更語るまでも無いが、彼女の言う「るぅちゃん」とは美羽の事である。
恐らく美羽のデザイナーとしての名前「Lucia」から取ったのだろう。

遊路「そうだ。みねこさん、そっちのカテゴリを使うプロデュエリストの人ももう来てるのか?」

デザイナーが来ているのだとすればデュエリストの方も来ていておかしくはない。
自身が戦う事になる相手に対しての興味も徐々に湧きあがっていた。

みねこ「らんじろー君ですかぁ?うーんみねこにはよく分からないです。ごめんなさいペコペコ。」

美羽「あれ?もしかしてみねこさんその人と面識ないの?」

みねこ「えーっと、らんじろー君とは打ち合わせの時に初めてご挨拶したんだけどーそれっきりかなぁ。みねこ、ハイターッチ!パンッ!ってやろうとしたんだけどスルーされちゃった。ガックシシクシク…。」

遊路「ん?その時にしか会ってないのか。」

遊路と美羽の打ち合わせ日は昨日だったが、みねことエキシビションマッチの相手『三宅 蘭次郎(みやけ らんじろう)』プロは別日だったらしい。
その時に初めて顔を合わせ、それ以外では碌に話した事すら無いという。
カテゴリのデザイナーとそれを使用するプロデュエリスト。必ずしも知り合いという訳では無いらしい。

遊路「そうか。じゃあ知らなくてもおかしくないよな。すまなかった。」

美羽「てっきり知り合いなんだと思ってた。」

みねこ「ううん。ぜーんぜん知らなかったよ。エキシビションマッチに出るって決まったのも今週だし。」

遊路「今週!?俺はひと月前くらいにはもうオファー来てたぞ?」

美羽「そっちは凄くバタバタしてたんだね。」

みねこ「みねこが描いた『メルティスケイル』は日本じゃまだお披露目されたばっかりだから~。使ってる人全然いないんだよね。」

みねこ「そんでそんで~外国で使ってくれた~って人がいたから急遽決まったんだって~。パチパチパチ~♪」

遊路「日本産カテゴリなのに海外先行って事か…。なんか珍しいな。」

美羽「あぁ、それはね…」


桜庭「ああああああ!!!見つけましたよみねこさん!!」

みねこが開きっぱなしにしていたドアの外から大きな声があがる。
桜庭瑛路(さくらば えいじ)。打ち合わせの時にも居たスタッフである。


桜庭「到着したら連絡下さいって言ったじゃないですか~!途中で事故にでも遭ったのかと思って心配しましたよ~。」

みねこ「いっけない!みねこうっかり忘れんぼしちゃった。てへっ。」

桜庭「てへじゃないですよぉ…勘弁してくださいぃ。ちょっとあちらでお話があるそうなんで一緒に来てください。」

みねこ「はいは~い!…じゃあるぅちゃん、ダーリンさん、またあとでねん。」

遊路「あぁ。…でもその呼び方はあらぬ誤解を招きそうだから勘弁してくれ。」

美羽(ブンブン!)←めっちゃ頷く音

みねこ「ほえ?えっとじゃあ……ゆーじさんで!アディオスー!」


みねこは桜庭に連れられ部屋を後にした。




遊路「…想像以上に癖の強い娘だな。」

美羽「悪い娘じゃないんだけどね…あはは。」



その後、式が始まるまで遊路達は三宅プロと顔を合わせる事は無かった。


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司会「本日の司会進行を務めます、私……」


そうして授賞式は始まった。
あらゆる照明が消され暗闇が広がったホールの中、司会の女性ただ一人にスポットライトが当てられる。
司会の自己紹介、アワードの実行委員会の紹介と進み、段々と美羽達の出番が近づいてくる。
客席では遊月達風峰家の家族に遊季都達チャレンジャーZ、そしてクイーンフォースの面々も座っている。

司会「それでは最優秀デザインカテゴリ賞の発表です。」

そしてその時はやって来た。

司会「今年の最優秀カテゴリ賞は……Luciaさんで『S・HERO』。そしてみねこさんで『メルティスケイル』です!」

会場から優しく暖かい拍手が届けられ、二人の受賞者を迎え入れる準備が整う。

ステージの上手側からやや硬い顔のままの美羽と相変わらずニコニコ顔のみねこが入場する。


遊月(美羽様……緊張していらっしゃいますね…。)


司会「それではLuciaさんの方から、今回の受賞についてコメントをお願い致します。」

美羽「は、はい!」

たどたどしくもマイクの前まで移動する。
授賞式後半のエキシビションマッチまで出番のない遊路はステージ袖から美羽を見守っている。

遊路(頑張れ、美羽。)

美羽は大きく一度深呼吸すると、少しだけ緊張がほころんだ様子で口を開いた。


美羽「この度はこのような素晴らしい賞を頂き、誠にありがとうございます。」

美羽「もうご存知の方も居るかもしれませんが、今回受賞させて頂いたS・HEROは子供向けのカテゴリとして作られたという背景があります。」

美羽「最初はほんの軽い気持ちで企画し始めたのですが、多くの人からのご支援、そしてデュエルファンの皆様からの応援の甲斐ありまして、こんな素晴らしい賞を頂けるものとなりました。」

美羽「改めましてこのカテゴリに携わって下さった皆様に心から感謝致します。ありがとうございました。」

マイクの前で深々と礼をする。

遊路(心配いらなかったみたいだな。)

美羽「えと、ありがたいことに今回のカテゴリを始めとして、新たな子供向けカテゴリ、特定の層のデュエリストに向けたカードの開発が色々な場所で進んでいるとのことです。」

美羽「それを通して今後もデザイナー界、デュエル界が更なる繁栄を遂げる事を願っています。」


遊季都(わぁ…!)
梓(素晴らしいですわ…。)
盛雄(やっぱすげぇ人なんだなぁ。)


司会「Luciaさんありがとうございました。では続きましてみねこさんお願いします。」



美羽と交代でマイクの前に立ったみねこは大きく右手を上げる。

みねこ「はいは~い!みねこで~す!」

みねこ「えっとぉえっとぉ…」


遊季都(あれが天才デザイナーのみねこさん……なの?)
梓(えっと……大丈夫ですの?)


みねこ「みねこ昔っからデュエルのモンスターが大好きでぇ、いっぱいいっぱい考えて描いてました。」

みねこ「ただ好きで描いてただけなのに、こうしてお仕事にさせてくれて、そしてるぃちゃんと一緒にこんなすっごい賞を貰えてすっごいすっごいハッピーです!!」

みねこ「みねこの描いたカードを気に入ったよ!っていう人が居てくれたらどんどん使ってね!ありがとーございましたぁ!!」


みねこの挨拶は短くまとめられておりあっさりと終わった。しかしあのテンションを続けられると聞いてる側も滅入りそうなので、このくらいで良かったのかもしれない。
美羽の典型的ながら感動させるコメントからのみねこの気の抜けたお花畑コメントでいい感じにバランスが取れたような印象だ。
遊路は自分も気張らねばなと気を張るのであった。




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司会「では皆様お待ちかね!デュエルモンスターズ・カテゴリアワード恒例!エキシビションマッチの時間となりました!!」

客席から大きな歓声が上がる。
授賞式という事で本来はこんな歓声は上がらないのだが、このコーナーにはおいては特別らしい。

司会「では早速、熱い戦いを見せてくれる二人のデュエリストに入場して頂きましょう!先ずはこの方!」

司会「最年少で世界リーグ全制覇を達成に加えデュエリンピックV2覇者!今も尚伝説を作り続ける世界最強と言われるデュエリスト!WDO日本支部特別顧問も務めています!」

司会「国民的大スターデュエリスト!!ニューサニーアップ事務所所属、風峰遊路さんです!!」

授賞式とは思えない莫大な歓声に包まれ、遊路が入場を始める。

「来たああああああ!!!」
「風峰プロオオオ!!こっち向いてえええ!!」
「絶対勝てよおおおお!!」


盛雄(ほ、ほげぇ…。)
遊季都(これだけの歓声……流石風峰プロ。)
梓(恐らく風峰プロ目当ての方もいらっしゃるんでしょうね…。)


遊路「えー、風峰遊路です。本日はこの場に呼んで頂き、誠にありがとうございます。」

遊路「今回使わせて頂く『S・HERO』は変形・合体をするロボットという事で男のロマンの塊みたいなカードとなっております。」

遊路「全国のロボットファン、そしてデュエルを愛するチビッ子達の為にも、絶対勝ちます!!応援宜しくお願いしま~す。」

拳を振り上げての決意表明に会場は湧きあがる。
今回に関してはあくまでも自分は主役ではないからか、簡単にカードの紹介をするだけに留めた。

司会「ありがとうございました。お次はこちら!」

司会「アジアを中心に海外で数々の大会を飛び回っていたプロデュエリストが今日の為に帰ってきてくれました!!」

司会「あらゆるデッキを使いこなす技量が世界で注目を浴びています!グローバルデュエルプロモーション所属、三宅蘭次郎さんです!!」

続いて青年がステージに現れる。
身長は遊路より一回り大きく、歳も5つ以上は上だろう。
やや威圧的な雰囲気を感じさせながら、ズケズケとマイクの前まで歩き出す。

遊路(この人が対戦相手か。)

式が始まるまでに一度も相まみえなかった為、遊路にとっても正真正銘初見となる。

美羽(なんだかちょっと怖い人……。)


三宅プロはスタンドから乱暴にマイクを取り外すと、声を張り上げた。



三宅「三宅蘭次郎だ!!!いいかよく聞け!!」


遊季都(うわっ…!!)
梓(耳が…!)
盛雄(声が大きすぎるんだぁ!!)


美羽(ううぅ…。)
遊路(………。)



三宅「デザインなんざどうだっていい。要は力だ!!」

三宅「真に強ぇデュエリストは札を選ばねえ!」

三宅「誰が王者にふさわしいか此処で証明してやるよ風峰遊路!」

言いながら露骨に遊路の方に向きなおり睨みつける。





司会「え、えーと………お互い気合十分という事ですね!!では四名にはデュエルフィールドのある別室に移動して頂きます!」

授賞式が行われているのはミュージアム内に設置されたイベント用ステージなのだが、デュエルは隣接した別室にある特殊なデュエルフィールドで行われる事になっている。
デュエルの模様はネット配信等で全国に中継され、予め設置されている録画機材やカメラで視聴者達にカードやソリッドビジョンの映像がより鮮明に伝わりやすくなっている。
因みに会場からは大型のモニターからデュエルの様子が見られるようになっている。





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美羽「…私あの人嫌い。」





美羽は露骨に嫌悪感を露にする。

遊路「まぁ落ち着け……といいたいところだが、確かに褒められたものではないな。」

美羽「カテゴリアワードのエキシビションマッチって事分かってるのかな。あれじゃまるでプロレスのパフォーマンスだよ。」

遊路「試合の意図が理解できていないと見えるな…。」

美羽「…なんであんな人呼んできたんだろう。みねこちゃんも可哀想。」

式の様子も全国に中継されている。

カテゴリアワードはカテゴリとその受賞者に賞を与える式であり、エキシビションマッチもカテゴリのお披露目としての意味合いが強い。
その舞台においてこともあろうに「デザインなんざどうだっていい」と口走ったのである。
子供から老人まで、そして受賞者やカテゴリのファンが見ている場においてあの挨拶はあまりにも非常識と言わざるを得ない。


二人は相手方ペアの方を見やる。


みねこ「らんじろー君!がんばってねー!!」

三宅「るっせんだよ黙ってろガキが!」

みねこ「相手はあのかぜみねゆーじプロ!手ごわい相手だけどきっと勝てる筈!!なんとなく!!」

三宅「あぁ喧しい…!いいからあっち行ってろ!!」

みねこ「大丈夫!みねこはらんじろー君を応援するよ!!がんばれーって!!」

三宅「話を聞けっつってんだろ!!!」



遊路「…渡り合っている。」

美羽「流石みねこちゃん…。」



浜池「おはようございます。Luciaさん。」

美羽「あ、館長さん。」

遊路「おはようございます。」

浜池「デザイナーの二人と一緒に解説役を務めさせて頂くことになりました。宜しくお願いします。」

美羽「こちらこそ宜しくお願いします。」

浜池「私達はあちらの席となりますので、準備が整い次第移動をお願いしますね。」

美羽「あ、はい。……絶対勝ってね遊路。」

遊路「あぁ、勿論負ける気はさらさら無いさ。美羽と雛里の作ったカードなら百人力だ。」

美羽「うん。あの人も…デュエルの方はちゃんとしてくれると良いんだけど。」

美羽が心配しているのは遊路だけでなく受賞式そのものでもある。
三宅プロは先の一件からか、デュエル中に激昂しだしてリアルファイトに持ち込むような人間に見えない事も無い。
仮にそんな行動を起こされれば授賞式どころではなくなる。


浜池「…海外でもあのような荒っぽいスタイルだったとは聞いていますが、公式戦で問題を起こした歴は無いようですよ。」

美羽「うーん、ならいいんですけど…。」

美羽はイマイチ不安が取り除けない様子。

浜池「ここは信じましょう。きっと大丈夫です。『大丈夫』と信じれば、『大丈夫』は…」

遊路「えっ……?」

浜池「い、いえなんでもありません。もうそろそろ移動をお願いできますかLuciaさん。」

美羽「はい。じゃあ遊路またあとでね。」

遊路「あ、あぁ…。」



遊路(今のって………。)


遊路は何かモヤっとしたものを感じながら定位置まで歩き出した。






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司会「それでは始めて頂きましょう!!」



遊季都「風峰プロのエキシビションマッチ…!」


梓「しっかりと目に焼き付けましょう…!」


盛雄「よーし…!」



三宅「速攻で終わらせてやるよ…」


試合が本格的に始まるまで、二人の声は周りには聞こえない。


遊路「そいつは困るな。カードのお披露目ができなきゃエキシビションマッチの意味がない。」

三宅「はっ!手加減してくださいってか?」

遊路「まさか。たとえどんな事情であろうとデュエルは本気でやらなけらば面白くない。」

遊路「お前に言ってやりたい事は幾つかあるが、今クドクド言うのは野暮ってもんだ。だから一つだけ訊きたい。」

三宅「あん?」

遊路「お前はなんの為に戦ってるんだ…?」

三宅「けっ、んなもん…!」



司会「デュエルスタアアアアァァァート!!」



三宅「誰より強くなる為に決まってんだろ!!」


「「デュエル!!」」



司会「さぁ始まりましたエキシビションマッチ!!先攻はメルティスケイル・三宅プロです!」


三宅「俺のターン!自分フィールドにモンスターが存在しない時、このカードは手札から守備表示で特殊召喚できる!現れろ!『メルティスケイル・リザード』!」星5・DEF800

やや大型のトカゲが地面より飛び出す。

遊季都(あれが相手のカテゴリ…。)

大きく飛び上がり地面に着地した瞬間、その身体に変化が起きた。
なんとトカゲの身体が表面からドロドロに溶け始めたのである。
瞬く間に全身がドロドロになり、部分的には骨が露出するまでになった。
動物的な躍動感があった登場時とは違い、その姿は半分だけ腐ったゾンビのような風貌に変わった。


梓「ひっ…!」
盛雄「き、気持ち悪りぃだ…。」


遊路「これがメルティスケイル…。」


みねこ「わっほーい!おっきいソリッドビジョンで見られてみねこチョー感激ィ!!」

司会「こ、これはなんというか…また独特な……。」

浜池「メルティスケイルは日本ではまだ馴染みが薄いので、新鮮ですね……いろいろな意味で。」

司会「えーっと資料によりますと、日本での発売にあたりイラストの修正が必要だった為、国内での流通はごく最近となったとのことです。」

みねこ「うんうん。なんかねー、ちょっとグログロ過ぎるから直してねん!ってお願いされちゃったの。いやー全部直すの大変だったぞ。」

美羽「全部だったんだ…。」



~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~

盛雄「うーん…オイラそのメルティなんとかってデッキ、聞いたことねえんだけど…有名なのか?」

梓「確かに聞き覚えがありませんわね。」

美羽「あぁそれはね。メルティスケイルってちょっと色々事情があって日本での発売が遅れてるの。だから知らないのも無理ないと思うよ。」

~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~


盛雄「じゃあ昨日言ってた『事情』って…。」
梓「こういう事でしたのね…。」

遊季都(修正後でもあれって……。)
ラズベリー【元はあれよりグロかったってことよね…。】



三宅「そして俺はメルティスケイル・リザードをリリース!『メルティスケイル・アリゲーター』をアドバンス召喚!」星5・ATK2300


凶悪な顔をした鰐が大きく口を開き威嚇する。
その後先程と同じように全身が溶けだした。

三宅「アリゲーターの効果!召喚時にデッキから『メルティスケイル・パンドリン』を手札に加える!」

三宅「更に!メルティスケイルはアドバンス召喚のリリースに使われた時、墓地から守備表示で特殊召喚できる!蘇れ!『メルティスケイル・リザード』!」星5・DEF800

地面から再びトカゲが顔を出す。全身がドロドロになっている為、さながら墓場から這い出るゾンビと云った印象である。


みねこ「メルティスケイルはね~!夏のあっつ~い日にアイスクリーム食べてたら~、それが溶けちゃって~!それを見て思い付いたんだ~!」

美羽「アイスクリームからゾンビ…。」

浜池「さ、流石は天才と言われるデザイナーさん…発想も凡人のそれとは比べ物になりませんね…。」


三宅「俺はレベル5のメルティスケイル・リザードとメルティスケイル・アリゲーターでオーバーレイ!」



血に飢えた醜き魔竜よ!その身朽ち果てても尚、死せる大地を蹂躙せよ!


エクシーズ召喚!


這い出ろ!『メルティスケイル・ドラゴンゾンビ』!ランク5・ATK2500



エクシーズによって現れたのは分厚い脂肪に覆われた巨竜。そしてそれも例のごとく全身の鱗が溶解し、ドロドロのゾンビのような姿に成り果てる。
一瞬の内に醜く姿を変えた竜が欠伸でもするかの如く低く咆哮すると、不快な腐臭が漂ってきたかのような錯覚に陥る。

遊希都「うっ……」

梓「これまたなんというか…。」

盛雄「怖いんだな…。」



遊路「早速来たか。」

三宅「メルティスケイル・ドラゴンゾンビの効果!オーバーレイユニットを1つ使う事で、デッキからメルティスケイルモンスター1体を特殊召喚する!」

三宅「来い!『メルティスケイル・ローチ』!」星4・DEF1000

地表からドロドロに溶けかけた鯉が勢いよく飛び出す。

三宅「そして俺はカードを1枚セット!これでターンエンドだ。」


三宅「さぁ風峰遊路!てめえ強えんだろぅ…?全力でかかって来い!ぶっ潰してやらあよ!」


遊路「やれやれ…相変わらずか。仕方のない奴だな。」


遊路「俺のターン!ドロー。」

司会「さぁ次はS・HERO!風峰プロのターンです!」

遊路「恐い怪獣を倒す正義のヒーローの登場だ!魔法カード『ヒーローさんじょう!!』を発動!」

遊路「相手フィールドにのみモンスターが存在する時、手札1枚を捨てる事で、デッキからS・HEROモンスター2体を特殊召喚する!」

遊路「さぁ出動だ!『S・HEROランドイエロー』『S・HEROブルースカイ』!」
イエロー星3・DEF1800
ブルー星3・DEF200

遊路「そして手札より『S・HEROレッドファイヤー』を召喚!」星3・ATK1700


大和「3たいのヒーローがそろいました!」

司会「おぉっと!早速3体のロボットが揃ったぁ!S・HEROはこの3体を軸としたカテゴリということでしたねLuciaさん!」

美羽「は、はい。娘がお絵描きしたロボットがモチーフなんです。一人一人ではただの通常モンスターですが、色々な姿に合体して戦っていきます。」

みねこ「わぁ~お!格好良い~!!」

浜池「カードの特性としては、かなり自由なタイミングで合体・分解ができる素早いフットワークが特徴ですね。」


ラズベリー【へぇ、いきなり3体並べるなんて流石ね~】

梓「エキシビション用のデッキも完璧に使いこなしてますわ…。」

盛雄「前に竹子でも勝てたからあんまり強くないのかと思ってたけど、そんなことないんだなぁ…。」

遊季都(風峰プロ…やっぱり凄い…!)


遊路「それじゃあ此方も行かせてもらう!俺は3体のS・HEROを除外!」


フォーメーション!ブルー!イエロー!レッド!


融合合体!


『無敵HEROブルー・ユーシャ』!参上!! 星9・ATK2900


3体のロボットは空中で変形・合体を繰り返し一つになっていく。
そうしてブルースカイを軸としたスタイリッシュな機械ヒーローに生まれ変わった。



司会「出ました!合体形態『無敵HERO』の一つ、ブルー・ユーシャです!」


遊路「ブルー・ユーシャの効果発動!このカードの特殊召喚に成功した時、相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊し、更に相手フィールドのモンスター全ての攻撃力・守備力を1000ポイントダウンする!」

遊路「そしてこの効果に対し、相手はカードの効果を発動できない!」

三宅「チッ…!」

遊路「貫け正義の一閃!!サイクロン・スペシャル!」

主力となるドリルから放たれた衝撃が、モンスターとセットカード全てに襲い掛かる。


三宅「やってくれんじゃねえか…!」
ドラゴンゾンビATK2500→1500
ローチDEF1000→0


大和「ととさま!いっけー!!」

遊路「バトルフェイズ!無敵HEROブルー・ユーシャでメルティスケイル・ドラゴンゾンビを攻撃!」

司会「記念すべき初バトルフェイズだ!メルティスケイル、早速エースモンスターが倒されるか!?」

三宅「そう簡単に行くと思ったか!甘えんだよ風峰遊路!罠発動!」


遊季都「罠カード!?」

梓「伏せカードは先程全て破壊した筈ですわ!?」


遊路「………!」

三宅「てめぇがさっき破壊したセットカード『アドバンス・バース』の効果を発動させてもらうぜ!」

遊路「墓地から罠…成程、対策は万全という事か。」


梓「破壊したと思ったら墓地から効果を使ってくるなんて…。」

盛雄「やっぱプロはすげえんだなぁ。」

ラズベリー【死人に口有りって奴?いやこの場合、死人じゃなくて死罠かしら?】

遊季都(でも風峰プロ……全然動じてない。)


三宅「アドバンス・バースは墓地から除外する事で、モンスター1体をアドバンス召喚できる。」

三宅「俺はメルティスケイル・ローチをリリースし、『メルティスケイル・パンゴリン』をアドバンス召喚!」星5・ATK2300

地面から素早く大きめセンザンコウが飛び出す。
空中で体制を整えると全身の鱗をヘドロ状に変え、手裏剣の如くブルー・ユーシャに投げつける。


三宅「メルティスケイル・パンゴリンは召喚に成功した時、フィールドのカード1枚を破壊する!!沈めぇ!!」


美羽「相手ターンで召喚して迎撃に入る……トリッキーですね。」

みねこ「うん!なんかよくわかんないけどらんじろー君すごーい!」

浜池「アドバンス召喚のディスアドバンテージを補う共通効果なので、あのような召喚サポートを絡めて戦うのが特徴ですね。」


遊路「そう簡単に沈むわけにはいかないな。ブルー・ユーシャ!合体解除!」

ブルー・ユーシャが元の3体のS・HEROに分裂し、パンゴリンの攻撃を回避する。

遊路「このカードをEXデッキに戻す事で、除外された素材モンスター3体を全て特殊召喚!」
レッド星3・DEF1000
ブルー星3・DEF200
イエロー星3・DEF1800

三宅「逃げやがったか…。リリースされたローチの効果!アドバンス召喚のリリースに使われた時、墓地から守備表示で特殊召喚できる!」星4・DEF1000

遊路「まだまだこんなものじゃないぞ。再び3体のS・HEROを除外!」



フォーメーション!レッド!ブルー!イエロー!


融合合体!


『無敵HEROレッド・ユーシャ』!参上!! 星9・ATK3500


みねこ「おぉ~!また合体した!ガシャーンガシャーンって!」

美羽「これがこのカテゴリの強みですね。」


遊路「次は受けきれるかな?レッド・ユーシャでメルティスケイル・ドラゴンゾンビを攻撃!!」

三宅「無駄無駄ァ!ドラゴンゾンビの効果発動!」

三宅「闇属性モンスター1体をリリースする事で、相手モンスター1体の攻撃力をエンドフェイズまで0にし、その効果を無効にする!」

三宅「ローチをリリース!レッド・ユーシャを無力化しろ!コロージョン・ブレス!!!」

ドラゴンゾンビは口から猛毒のような酸のような劇物のような液体を放射する。

遊路「っ!レッドユーシャ!合体解除!」


遊季都「オーバーレイユニットを使わない効果も持ってたのか!?」

梓「モンスターをリクルートして、そのモンスターをコストに効果が使える…単体で完成した強力なモンスターですわね。」


遊路「レッド・ユーシャをEXデッキに戻し、除外された素材モンスター3体を全て特殊召喚!」
レッド星3・DEF1000
ブルー星3・DEF200
イエロー星3・DEF1800

三宅「どうした!これで終わりか!!」

遊路「まさか、ここまで来たら最後の1体も見せなきゃ視聴者の方々に失礼だろう?」

三宅「ケッ…客なんざ知るかよ。」

遊路「行くぞ!俺は三度(みたび)3体のS・HEROを除外!」



フォーメーション!イエロー!レッド!ブルー!


融合合体!


『無敵HEROイエロー・ユーシャ』!参上!! 星9・ATK2500



遊路「イエロー・ユーシャでメルティスケイル・ドラゴンゾンビを攻撃!!」

三宅「無駄だって言ってんだろうが!ドラゴンゾンビの効果発動!パンゴリンをリリースしてイエロー・ユーシャを無力化する!コロージョン・ブレス!!!」

遊路「イエロー・ユーシャ!効果発動!」

三宅「ハッ!また分裂で逃げるか!」

遊路「いいや、今度は逃げも隠れもしないさ。」

遊路「攻撃表示のこのカードを守備表示に変更し、次のターン終了時までこのカードは相手のカードの効果を受けない!絶対防護・無敵モード!」DEF3500

イエロー・ユーシャが守りの体勢に切り替える同時に身体中から半透明のバリアが展開する。
ドラゴンゾンビの毒液はバリアに阻まれ、機体に届くことは無かった。


遊路「バトルフェイズは終了だ。俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ。」


悪役甚だしいビジュアルのドラゴンゾンビを倒す事はできなかったが、三種類の無敵HEROの登場に会場は沸きあがっていた。


盛雄「あんなに沢山攻撃したのに、全部はやっつけらんなかったんだな…。」

遊季都「やっぱり相手もプロという事ですね。」

梓「ですが連続攻撃によって相手のカードを消費させました。現状は風峰プロが優勢でしょう。」



三宅「俺のターン…。」

三宅「無敵モードだぁ…?そんなもん屁でもねぇって教えてやらぁよ!」

三宅「俺はメルティスケイル・ドラゴンゾンビの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使う事で、デッキからメルティスケイルモンスター1体を特殊召喚する!」

三宅「『メルティスケイル・ピラルク』を特殊召喚!」星5・ATK2000

新たな魚モンスターが召喚される。身体は平べったく帯のように長い。
凶悪な魚といった印象だが、鱗がとろけだしてからは妖怪か化け物にしか見えない。

三宅「更に俺は墓地の『メルティスケイル・ローチ』を除外して効果発動!2体目をデッキから特殊召喚する!」星4・DEF1000

三宅「まだまだ!俺はローチをリリース!『メルティスケイル・リザード』をアドバンス召喚!」星5・ATK2200

三宅「そしてリリースされたローチを特殊召喚!」星4・DEF1000


みねこ「すっご~い!ぞろぞろってドロドロが出てきたぁ!」

浜池「…しかしイエロー・ユーシャをどうやって。」


三宅「沈めてやる!バトルだ!俺はメルティスケイル・ピラルクで、無敵HEROイエロー・ユーシャを攻撃!!」



遊季都「攻撃力2000で攻撃を!?」

梓「イエロー・ユーシャにはあらゆる効果が効きませんわ。一体何を…!」





遊路「……攻撃、か。」





遊路「攻撃力2000ではイエロー・ユーシャには届かない。このまま耐え抜け!」

三宅「ハッハァ!馬鹿めが!メルティスケイル・ピラルクの効果!コイツが相手モンスターに攻撃する時、ダメージ計算時のみその攻撃力は、相手モンスターの攻守高い方の半分だけアップする!」

三宅「そいつの守備力3500の半分、1750ポイントアップだぁ!消えちまいな!」ATK2000→3750

凶悪な形相になったピラルクが巨大化する。
その大口でイエロー・ユーシャを頭から咥え込むと、そのまま胴体ごと噛み砕いてしまった。



遊季都「攻撃力を超えてきた…!?」

盛雄「さっきみたいに分解はできねえのか!?」

梓「…このタイミングでは不可能ですわ。既にダメージ計算に入っています。」

遊季都(一斉攻撃が来る…!)


司会「お~っとこれはマズい!絶対無敵と思われた無敵HEROが巨大魚に捕食されてしまったあああ!!!」

「おい!マジかよ!」
「これじゃがら空きじゃないか。」
「絶対破られないと思ったのに…。」


美羽(う、何度見てもあのモンスター達慣れないなぁ…。)

みねこ「らんじろー君……!!」



三宅「良い様だぜチャンピオン!!このままボロボロにしてやらぁ!メルティスケイル・ドラゴンゾンビでダイレクトアタッ………」




三宅プロが直接攻撃を宣言した瞬間の事であった……




突如フィールドのソリッドビジョンが全て消失する。
遊路たちは勿論の事、会場全体に動揺が走る。

三宅「何っ!?」

遊路「っ!?」

遊路(一体これは…また何か発動させたのか…?)

三宅「な、なんだこりゃあ…!?てめぇ何しやがった!!」

遊路「なっ…!?俺は何もしてないぞ!?」

三宅「すっとぼけやがって、一体何のカードを……うおっ!?」


突如デュエルフィールドの中央あたりから青白い光が立ち昇った。
そのまま部屋内の広い壁に向けて一気に照射される。どうやらホログラム光らしい。
映画でも映すかのように、壁一面に片仮名だけで構成された不気味な文字が現れた。







三宅プロ「な、」







カゼミネ







遊季都「これって…」







オレト







みねこ「ほえほえほえ!!?」








タタカエ







梓「なんですの!?」







遊路「なんだこれは…。」

壁一面に映し出された
『カゼミネ オレト タタカエ』
の文字。
その場にいた全員が言葉を失っていた。


司会「えっ!?あの……これは、なんですか?演出…ではない?じゃ、じゃあ…」

なんとか取り繕うと司会が頑張っている間に、新たな文章が次々に表示されていく。





カゼミネ オレト タタカエ

シンヤ0ジニ ハジマリノバショデ マッテイル

コンドコソ オレガ オマエヲタオス


美羽「果たし状!?」

遊路「いいや…これは…。」


コナカッタバアイハ

コノビジュツカンヲバクハスル

コレハオドシデハナイ


遊路「脅迫状だ…!」

美羽「爆破!?」

浜池「そんな……!」


ヒノウミヲ ミタクナケレバ スナオニクルコトダ

コンヤアオウ

―ネバギバチャレンジャー―




司会「えーと…一回止めて!カメラも!」





一時熱狂に包まれていたエキシビションマッチは、誰もが予想しなかった結末を迎えた。






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ター坊
みねこにらんじろーと濃いキャラが続々と。みねこみたいなウザカワって好きですね。そしてエキシビジョンをぶつ切りにされての果たし状。ここから事件が本格化するのですね。 (2019-07-16 18:14)
ギガプラント
コメントありがとうございます。
話の都合上オリキャラ多めですが、濃いめの味付けとなっております。
みねこは書いてるうちにどんどんと変な方向に行きますねw
事件らしいテイストは次回あたりからでてくるかもです。 (2019-07-16 19:19)
tres(トレス)
子供向けカテゴリと子供には見せられないカテゴリの勝負、デザイナーの個性が存分に出てるような気がします。
遊路君が劣勢に立たされてどうなるのかと思いきや、突然の脅迫状…このあと遊路君はどう対応するのでしょうか。送り主も気になります。 (2019-07-17 23:01)
ギガプラント
コメントありがとうございます。
お話としてはこの犯人を探すのが主軸となります。次デュエルするのはかなり後になりますが、それまではひたすら推理系なノリ……の予定です。 (2019-07-17 23:07)

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