DRAW:２０８〝エクストラ・マジック〟　作：人喰い

(208)




ーーーー神星樹突入前。

〜YAGAMI本社ビル・司令室〜


火群「ーーーーEXマジック…！？」

戒「……ああ、昨日……デュエルポリス本部で拘束中の『ドロシー=ワルツ』から聞き出したんだ。
なんでも、その使用法、能力全てが謎に包まれている未知のカードらしい」

雫「…名前からして…、EXデッキと何か関係があるんでしょうか……」

鈴華「ちょっとっ、名前以外の事が何にも分かってないんじゃ、打つ手がありませんわよ！ ツンデレポリスさん！」

戒「…うるさい、ゴスロリ娘。そんな事俺に言われても困る」

鈴華「…むきーっっ！ 何よその言い方ぁ！」

明日人「ま、まぁまぁ落ち着いて西蓮寺さん！」

メアリー「…コホンっ。
情報が少ないのは残念だけれど、逆に『何が起こるかわからない』っていう緊張感は、決闘において常に慎重な立ち回りを要求される事になるワ」

火群「……！」

メアリー「そういう状況下では普段以上の力が出せるってものなのヨ。
胸が躍るデショ？」

栗須「なるほど……、流石メアリーさんっス。胸……うん、胸…胸が……躍りますね。それはもうブルンブr」

ｺﾞｷﾞｬｯ!

メアリーの胸部を凝視しながらブツブツと念仏の様に言う栗須に、メアリーからのゲンコツが下されたのが午前５時２２分。

直後に戸を開けて入ってきたシルバにより作戦が伝えられ、皆は神星樹の内部へと突入して行ったーーーーー















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:２０８ーーー
《〝エクストラ・マジック〟》















【Side 火群】

〜生命の樹 内部・基礎の間〜


火群【LP 6700】
(モンスター)
『炎王神獣 アニマ・フェニックス』[ATK 2200]
伏せ:0
手札:4
墓地:バロンx1 ガネーシャx1 クリシュナx1 ヴィシュヌx1


真和【LP 5300】
(モンスター)
『ブンボーグ００３』[ATK 1000]
『ブンボーグ００２』[ATK 500]
(P)
『ブンボーグ００５』[♦︎10]
『ブンボーグ００６』[♦︎1]
(EX)
『ブンボーグ００６』
伏せ:0
手札:2
墓地:0


◉TURN ０３◉


ニクス『ーーーーーホムラ。
お前は成すべき事を成せ』



今、自分が成すべき事。

それは、皆との約束を果たせずここで朽ち果てる事でもなければ。
真和の命の灯火を吹き消し、皆の為に先に進む事でもない。


火群「……俺のーーーターンッッ！！」[手札 5]

勢いよくカードを引き、そのままスタンバイフェイズへ。

火群「……このスタンバイフェイズ、前のターンに破壊されたバロンの効果で、デッキから『炎王輪廻』を手札に加える！！」[手札 6]

火群「……メインフェイズ、『炎王獣 ダンディライオン』を召喚！！」[ATK 1300]

現れると共に、小獅子は雄叫びを上げ、周囲の綿毛がチリチリと音を立てる。

火群「ダンディライオンの効果発動！！」


《炎王獣 ダンディライオン》＊Ph.X Original Cards
効果モンスター
星４/炎属性/獣族/攻 1300/守 200
このカード名の①②の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できず、①②の効果を使用するターン自分は炎属性モンスターしか特殊召喚できない。
このカードのカード名はルール上「ダンディライオン」としても扱う。
①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、またはこのカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。自分フィールドに「綿火トークン」（植物族・炎・星１・攻／守０）１体を守備表示で特殊召喚する。「綿火トークン」はフィールドに存在する限り「綿毛トークン」としても扱い、「綿火トークン」がカードの効果で破壊された場合自分はデッキから１枚ドローする。
②:このカード以外の自分フィールドのモンスター１体と自分の墓地の「炎王獣」モンスター１体を対象として発動できる。対象の自分フィールドのモンスターを破壊し、対象の墓地のモンスターを特殊召喚する。


火群「召喚成功時、場に『綿火トークンを生成する」[DEF 0]

火群「続けてダンディライオンのもう一つの効果！！」

対象
場:『綿火トークン』
墓地:『炎王獣 ガネーシャ』

火群の場と墓地にそれぞれ炎が灯ると同時に、真和の場のブンボーグ００３の腕部に装着された定規が光り輝く。

真和「ーーーーッこの瞬間、ブンボーグ００３の効果発動！！」

(2)：１ターンに１度、自分フィールドの「ブンボーグ」モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで、
自分フィールドの「ブンボーグ」カードの数×５００アップする。
この効果は相手ターンでも発動できる。


真和「……この効果で００３の攻撃力をーーーー」

しかしこのターンで攻め切るために、火群はそれを許すわけにはいかない。

火群「ーーーーさせるかッ！！ ヴィシュヌから受け継がれた炎はまだ消えちゃいない！
ヴィシュヌの効果で得たアニマ・フェニックスの効果発動！！」


⚫︎1ターンに1度、相手がカードの効果を発動した時に発動できる(ダメージステップでも発動可能)。その効果は、「お互いに500ダメージを受ける」となる。


真和「ーーーーッッ…！！」

００３の周囲を再び白い炎が囲い、互いのプレイヤーに弾け飛ぶ。

真和「……がっ…！」【LP 5300→4800】

火群「……ッ…！」【LP 6700→6200】

火群「そしてその後、ダンディの効果で場の綿火トークンを破壊して、墓地の『炎王獣 ガネーシャ』を特殊召喚！！」[ATK 1900]

綿火トークンが効果により破壊された事で火群は一枚ドローし、更なる展開のためにカードを切る。

火群「ーーー手札から速攻魔法『炎王輪廻』を発動ッ！！」


《炎王輪廻》＊Ph.X Original Cards
速攻魔法
このカード名のカードは、１ターンに１度しか発動できない。
①:自分の墓地の「炎王」モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターの元々のレベル・ランクの数だけ自分のデッキの上からカードをめくり、その中の炎属性モンスターを任意の枚数選んで破壊し、残りのカードとこのカードの発動時に選択したモンスターをデッキに戻しシャッフルする。
「炎王神獣」モンスターを対象としてこのカードを発動した場合、このカードの発動に対して相手はカードの効果を発動できない。
この効果を使用するターン、自分は炎属性モンスターしか特殊召喚できない。
②:墓地のこのカードを除外して発動できる。
自分の場の炎属性モンスター１体を選んで破壊し、デッキから「炎王」モンスター１体を手札に加える。この効果は相手ターンでも発動できる。


火群「対象は墓地のレベル５『炎王獣 ヴィシュヌ』！
よってデッキの上から５枚のカードをめくり、その中の炎属性モンスターを破壊する！！」


『補給部隊』
『死者蘇生』
『炎王転輪』
『炎王獣 ガネーシャ』→破壊
『炎王神獣 ガルドニクス』→破壊


真和「……不死鳥…ッ」

地に堕ちゆく不死鳥の姿を見て、真和は僅かに眉を寄せ、額からは汗が伝う。

火群「…そして残りのカードと対象にしたヴィシュヌをデッキに戻す！！」

３枚のカードがデッキに、墓地のヴィシュヌはEXデッキへと帰って行く中で、ガネーシャの炎が地中から燃え上がった。

火群「ーーーー破壊されたガネーシャの効果！
墓地より現れろ…！！『炎王神獣 ガルドニクス』ッ！！」


舞い上がった炎はやがて不死鳥の身体を生み出し、フィールドに降り立ったニクスは紅蓮の翼を広げた。


ニクス『……行くぞホムラ！！』[ATK 2700]

火群「…ああ！！」

この盤面、地上でのデュエルであれば、更にXモンスターであるガルド・デストロイヤーまで展開できたのだが、この神星樹の内部ではそうもいかない。
八神コウとマインが死闘を繰り広げたYAGAMI本社ビル・神託の間と同じく、精霊界と繋がる時空の歪んだこの地では、決闘システムにも大きな影響を及ぼすのだ。
EXデッキから特殊召喚する際はEXモンスターゾーンと呼ばれる専用の場所にしか召喚できず、そのEXモンスターゾーンは互いに一箇所ずつしか使用できない。
それはEXデッキから様々な召喚法を用いてモンスターを召喚する為には莫大なエネルギーを必要とし、地上では受けられていた精霊王による加護をこの地では。ほとんど受けられない為である。


火群「ガルド・デストロイヤーまで繋げることはできない…………けど、打点は足りてる…！
ーーーーバトルだ！！」

ここで火群はバトルフェイズへの移行を宣言。
火群の場のモンスターは４体。

EXゾーン
『炎王神獣 アニマ・フェニックス』[ATK 2200]

メインゾーン
『炎王神獣 ガルドニクス』[ATK 2700]
『炎王獣 ガネーシャ』[ATK 1800]
『炎王獣 ダンディ』[ATK 1300]

対する真和の場に伏せカードは無く、低攻撃力のモンスターが２体。

メインゾーン
『ブンボーグ003』[ATK 1000]
『ブンボーグ002』[ATK 500]

真和「……！」


火群「ダンディライオンでブンボーグ002を攻撃！！」


『炎王獣 ダンディライオン』
[ATK 1300]
ーーーVSーーー
[ATK 500]
『ブンボーグ００２』


小獅子が鬣から放った火の粉が００２を焼き払い、その火の粉は真和にも降りかかる。

真和「…ぐ……っ…！」【LP 4800→4000】

真和「００２が場を離れた事で…００２の効果により上昇していた００３の攻撃力は元に戻るーーーー」

『ブンボーグ003』[ATK 1000→500]

火群「次だ！！ ガネーシャで００３を攻撃！！」


『炎王獣 ガネーシャ』
[ATK 1800]
ーーーVSーーー
[ATK 500]
『ブンボーグ００３』


攻撃力上昇の無い００３は一瞬で焼き切られ、超過ダメージが真和を襲う。

真和「……ガァァ！！」【LP 4000→2700】

よろめく真和。キッチリと七三に分けられた髪も僅かに崩れ、闇の決闘による闘いの激しさを物語っていた。

火群「……俺はここでくたばるつもりもないし、先生を殺すつもりもないーーーー」

真和「……何……？」

火群「…俺たちの炎は……ただ破壊するだけの悲しい炎じゃないんだ！！」

傷付きながらも立ち続ける真和の姿を見て、火群は僅かに目に涙を浮かべながら叫ぶ。


火群「……俺は欲張りだからさーーーー例えどんなに許せない相手でも…ッ…見殺しにして何かを得ようなんて思えないんだよッッ！！」

同じ思いを持つニクスも、叫びに応じ口内に炎のエネルギーを溜め始める。

火群「周りの闇ごと……全部焼き払ってやれ！！ ニクス！！ ダイレクトアタックだ！！
ーﾊﾞ-ﾆﾝｸﾞ・ｲﾚｲｻﾞ-ー
〝業火炎の抹焼熱線〟！！」


拳が突き出されると同時に、炎を纏った熱線が真和へと放たれた。

真和「…………っーーーーー」


炎が迫り来るその一瞬。真和が炎の中に見たのは、“あの日”の情景。

計算では覆せないほど圧倒的で絶対的な存在ーーーーマインと出会った時の景色だ。

偶然マインに出会ってしまった彼は、マインの放つ殺意に屈服すると同時に酷く心酔した。
人生における道筋のほぼ全てを計算して立ててきた彼の目の前に突如として現れた、『計算外』。それは彼の内に眠る“何か”を大きく震わせたのだ。
人生最大の不運といってもいいその邂逅。
逃げられないと悟った。
殺されるのだろうと察した。
しかし不思議なことに、「生きたい」とも「殺してくれ」とも思わず、真和は咄嗟に「自分の頭脳をあなたのために使わせてくれ」と懇願。
マインは今までに葬ってきた中で見たことのないタイプの人間である真和に可能性を感じ、「お前の命は預ってやる」と言って真和を終焉の焔に招き入れたのだ。


真和「…僕は『生きる』選択肢も『死ぬ』選択肢も捨て、『人として死にながら生きる』道を選んだ。
この手を、この頭脳を汚す覚悟を……あの瞬間に決めたんだ」

火群「……何を言って……っ…！？」


真和「……市瀬……、お前も本当は分かっているはずだーーーーー」


言い切る前に不死鳥の炎が真和の場を飲み込み、激しく爆発。基礎の間一帯に爆煙が立ち込める。

火群「……ッ…！！ 先生…ッッ！！」

腕を交差させ煙を防ぐ火群。閉じていた目を僅かに開き煙の中に見えたのはーーーーー




真和「………」【LP 2700→5400】




ニクスが攻撃する前から減っていないどころか、回復している真和のライフ。

火群「……っ！？」

目を見張る火群をよろめきながら見据え、真和は左手の人差し指で眼鏡を持ち上げる。


真和「ーーーー何かを犠牲にしなくては、本当に守りたいものは何一つ守れない。
……お前は美先生に何を教わったんだ？」


火群「……！！」

火群の脳裏に、病院にて横たわる美 好の姿が浮かんだ。


火群「…スッキー先生……！」

好は明日人と栗須をーーーー生徒たちを助けるために、真和を捉えることを放棄した。
学校に眠る精霊のカードを犠牲にしたのだ。


真和「初めからどちらかを選ぶ覚悟を決めていたからこそ、美先生は僕の計算を覆す事ができたんだ」

「しかし」、と真和は続ける。

真和「……市瀬。今のお前にはその覚悟が足りていない。
故に僕の問題を解くことはできない…ッ！」

火群「…ッ…！！」


事実を突きつけられ表情を僅かに歪ませる火群。真和は周囲に立ち込める煙を左手で振り払うと、真和の場には火群にも見覚えのある影が４つ、ゆらゆらと不気味に揺れていた。



『黒焔トークン』[DEF 0]

『黒焔トークン』[DEF 0]

『黒焔トークン』[DEF 0]

『黒焔トークン』[DEF 0]



火群「……あれは…ッ…黒焔トークン……！！？」


速攻魔法『終焉の焔』により特殊召喚されるトークンが、真和の場にはニクスの攻撃で破壊され霧散したものを含めると５体特殊召喚されていた。

火群「……なんでだ…！？ 伏せカードもなかったはずーーーーー」

そこで火群はハッとし、先程『栄光の間』にて倒した機兵が散り際に言ったこと、そしてこの神星樹に来る前に戒から聞いていたことを思い出す。

火群「……っ…まさかーーーー」




真和「ーーーー僕が発動したカードは、
ーーーー『EXマジック:終焉の焔』ーーーー」



そのカードは火群の予想通り、EXデッキから発動されていた。

火群「……エクストラ……マジック…ッ…！」

真和「……このカードは相手モンスターの攻撃宣言時、自分のEXデッキから１枚を裏側で除外しーーーーEXデッキから発動する事ができる」

カード枠やテキスト表記は普通の魔法カードと変わらないようだが、何か不思議な妖気の様な様なものがカードを覆っている事が火群にも分かった。

火群「……っ……！！」

真和「そしてその効果は、攻撃モンスターの攻撃力分のライフを回復し、回復した数値５００につき１体の黒焔トークンを特殊召喚する！！」

真和の回復したライフはガルドニクスの攻撃力分、２７００。
よって５体の黒焔トークンが生成されたというわけだ。

真和「その後、自分の墓地のモンスター１体と同名のモンスター１体をデッキから手札に加えるか墓地へ送る」

言いながら、真和は手札に加えた『ブンボーグ００３』を公開する。

真和「……更に…！ このカードを発動したターン、僕が受ける全てのダメージは半分となる！！」

火群「……何…ッ…！？」

真和「……ただし、この効果で特殊召喚した黒焔はバトルフェイズ終了時に破壊されるがな」

それでもこのターンを凌ぐには十分だ。と、真和は腕を下ろす。

火群「……っ…」

火群はまず落ち着いて考え、必死に思考を巡らす。
火群の場には、まだ攻撃を行っていないアニマ・フェニックス。手札には『炎王炎環』。墓地には『炎王輪廻』。
アニマの攻撃の後、炎王炎環でガルドニクスを破壊して墓地のクリシュナを蘇生。場の炎王の破壊をトリガーに手札の幼炎王獣を特殊召喚し２体で黒焔を攻撃。
次に炎王輪廻の墓地効果で場のアニマを破壊しデッキからバロンをサーチ。

火群（……S召喚されたアニマは効果で破壊された場合に、自分フィールドのモンスターを全て破壊して墓地からガルドニクスを復活させる事ができる……）

それで自分の場をリセットしつつガルドニクスを蘇生。
その時破壊されたクリシュナと幼炎王獣の効果にチェーンしてバロンの効果で自身を特殊召喚。幼炎王獣でアニマを蘇生。クリシュナでガネーシャをサルベージ。
アニマの特殊召喚時、①の効果で手札のガネーシャを破壊してダメージを受け、それをトリガーにアニマの②の効果で真和のライフを１０００失わせる。これで真和の残りライフは４４００。
その後アニマの攻撃力は３５００になり、バロンで最後のトークンを破壊したとして、盤面に残る打点はアニマの３５００とニクスの２７００……計６２００。
与えられるダメージは半分なので３１００。これだけの動きをしても後１３００のライフを残してしまう。

火群（…このターンじゃ…どうやっても先生のライフを削りきる事が出来ない……っ…なら、わざわざこの盤面を崩す意味も無い…っ…！）


火群「……俺はバトルフェイズを終了し、メインフェイズ２へーーーー」


真和「…この瞬間、僕の場の黒焔トークンは破壊される」

火群「…カードを１枚伏せて、ターンエンドだ。
……そしてこのエンドフェイズ時、ガネーシャの効果で蘇生したガルドニクスは破壊されるーーーー」[手札 5]


◉TURN ０４◉


地に沈みゆく不死鳥を見やりながら真和は哀れむように言う。

真和「……お前が僕を救うために、不死鳥の再生の炎によるトドメに拘らなければ、あのタイミングでもう少し思考する事ができていたなら……、
恐らく手札に握っているであろう『炎王炎環』と合わせてこのターンで僕に勝利する事ができたんじゃないのか…？」

火群「…！」

真和の言う通り、伏せカードが無いという安心感から、迷わずに攻撃力の低いモンスターで真和のブンボーグを戦闘破壊し、真和をガルドニクスによる攻撃で救おうとした。
ニクス・アニマでブンボーグを攻撃し多くの超過ダメージを与えていれば、終焉の焔による壁も全て打ち砕き、真和のライフを削りきる事も可能だったのだ。

ニクス『好き勝手言うな…！！
私たちはEXマジックのテキストを知らなかった……っ…そんなものは結果論でしかないだろう！！』

真和の口ぶりに苛立ちを見せるニクス。
それに対し火群は唇を震わせ、

火群「………先生の…言う通りだ」

俯き、そう言った。

ニクス『…！！』


火群「…結果、どうなっていたかなんて、その時になってみないとわからないーーーーけど……ッ…、行動する前に、“少し考える”ぐらいの事は……できたはずなんだ…ッッ…！
それなのに……俺はーーーーーッ」


火群は溢れる涙をぬぐい、嘆いているだけではいけない、と前を向く。
ニクスもそんな火群の成長した姿を見て、どこか安心したように目を閉じた。

後悔の後は、それを次にどう活かすか。
この時こそが、決闘者としての力量が試される瞬間なのだ。


火群「………もう一度、チャンスを下さい。先生。
ーーーーー覚悟、決めました」


燃えるような瞳の輝き。その純粋無垢な火群の姿勢を前に、


真和「…生徒に追試を志願されたのは、初めてだなーーーーー」


真和は初めて火群に対し、僅かながらの笑みを浮かべた。






To Be Continued…






《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:２０９ 最後の授業






＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙