EP:3 テスト その①　作：暁

レイチェル
LP:8000 H:5 D:35 EX:15 墓:0 除:0 場:無し
ユーリイット
LP:8000 H:5 D:35 EX:15 墓:0 除:0 場:無し

「先攻はいただきます。私のターン。《マジシャンズ・ロッド》を召喚し、効果発動。」
「へえ…《ブラック・マジシャン》か…」

《ブラック・マジシャン》は通常モンスターの「ブラック・マジシャン」を主力とし、それを強力にサポートする効果で相手とのアドバンテージを広げて戦っていく。個性的なのは魔術師らしくトリッキーな魔法・罠カードの使い方である。相手ターンに魔法・罠の効果を使用し、「ブラック・マジシャン」を特殊召喚して「黒の魔導陣」などといったカード効果を発動し、相手の戦力を挫いていく。

原作の遊戯王では、今回ユーリイットが使っている「青眼の白竜」の使い手、海馬瀬斗と「ブラック・マジシャン」使いの武藤遊戯がライバル関係あるため、ユーリイットからすれば随分面白い対戦カードである。恐らくレイチェルはこのことは知らないが。

「では、マジシャンズ・ロッドの効果で《黒魔導師の招来》を手札に加え、そのまま発動します。」
「え？何ですかそのカード？」

前世では見たことも聞いたこともないカードの登場に戸惑うが、よく考えればここは異世界なので前世になかったカードなど腐る程あるのは当然かもしれない、という結論に至った。

「知らないですか、効果読みます？」
「ああ、お願いします。」

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《黒魔導師の招来》
速攻魔法
このカードの①の効果は1ターンに1度しか発動できず、②の効果は墓地に送られたターンには発動できない。
①手札を一枚捨てて発動できる。自分の手札・墓地から「ブラック・マジシャン」を特殊召喚し、デッキからレベル7以下の魔法使い族モンスター1体を手札に加える。その後、デッキから「ブラック・マジシャン」のカード名が記された魔法・罠カード1枚を手札に加えることができる。
②墓地のこのカードを除外し、EXデッキの「ブラック・マジシャン」を融合素材とする融合モンスター1体を相手に見せて発動できる。自分・相手フィールドからそのモンスターの融合素材となるモンスターを墓地に送り、そのモンスターを融合召喚扱いで特殊召喚する。

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「何これ強い。」

カードゲームはアドバンテージの取り合いである。
相手にアドバンテージを損させるカードを使い、自分はアドバンテージを広げていく単純なゲームであり、基本的に一枚から複数枚になるカードがパワーカードになる。
このカードは自身と手札コストの2枚から3枚のカードになっている。
単純に考えても分かる途轍もないカードなのだ。

「使っててもそう思います。「マジシャンズ・ナビゲート」を捨て、《ブラック・マジシャン》を特殊召喚し、《幻想の見習い魔導士》と《永遠の魂》を手札に加え、永続魔法、《黒の魔導陣》を発動。デッキから3枚をめくり、ブラック・マジシャンのカード名が記されたカードを手札に加えます。」

めくったカード
黒魔導師の術式
ティマイオスの眼
マジシャンズ・エクステンド

「では、罠カードの《マジシャンズ・エクステンド》を手札に加え、カードを2枚伏せてターンエンドです。」

レイチェル
LP:8000 H:3 D:30 EX:15 墓:2 除:0 場:《ブラック・マジシャン》 《マジシャンズ・ロッド》 《黒の魔導陣》 《伏せカード》 《伏せカード》

「ぬぅ…僕のターン、ドロー」

状況的にはとても面倒くさい状況だ。

墓地の《マジシャンズ・ナビゲート》は除外することで、魔法・罠カードの効果を無効にできる。これで儀式魔法を止められたら目も当てられないし、《青眼の白竜》を召喚したところで恐らく伏せられている《永遠の魂》で《ブラック・マジシャン》を出されれば《黒の魔導陣》の効果で除外される。
戦闘破壊しようとするなら《幻想の見習い魔導士》で4500の《ブラック・マジシャン》と戦うことになる。

先程サーチされた《マジシャンズ・エクステンド》もどんな効果か分からないし、慎重に動かざる負えない。
まるで囚人の気分だ。四方八方が塞がれている。死刑執行中脱獄進行中とでも言ったところだろうか。

考えていても仕方ない。やれることをやろうと、手札からカードを引き抜く。

「魔法カード、《調和の宝札》！《伝説の白石》を捨て2枚ドロー！伝説の白石の効果で《青眼の白龍》を手札に加える！そして《青き目の護人》を召喚し、効果で《青き目の乙女》を特殊召喚して護人の効果発動！乙女を対象に、墓地に送って手札から《青眼の白龍》を特殊召喚！そして乙女の効果で2体目の青眼の白龍を特殊召喚！」
「では永続罠、《永遠の魂》を発動し、手札からブラック・マジシャンを特殊召喚して黒の魔導陣の効果で青眼の白龍を除外します。」

予想通りだ。あとは《マジシャンズ・ナビゲート》を防ぐだけ。

「僕はレベル8の青眼の白龍にレベル1の護人をチューニング！

【古より存在せし王たる白龍よ、青き目の魂に導かれその魂を昇華せよ！】

シンクロ召喚！《青眼の精霊龍》！」
「む…なるほど。」

《青眼の精霊龍》には墓地効果を1ターンに1度無効にする効果がある。
これで、気兼ねなく儀式できるということだ。

「儀式魔法、《カオス・フォーム》！墓地の青眼の白龍を除外して儀式を行う！

【古より存在せし龍よ、混沌なる力の一片をその身に宿し、強靭なる剣となれ！】

儀式召喚！《青眼の混沌龍》！」

青眼の白龍の魂が、カオス・フォームの作り出した暗闇の門へと舞い上がっていく。
門を潜り抜けた白龍は、その身体を禍々しい蒼に染め、溢れ出んばかりの力を感じる鋭い見た目となっている。混沌と呼ぶに相応しい美しさと無慈悲さ、そして力を感じる、強靭なる龍へと昇華した。

「くっ…戦闘においても強力で、効果で除去もできない…辛いですね。」
「こっちもですがね。バトルフェイズ！混沌龍でブラック・マジシャンを攻撃！そして効果発動！相手フィールドのモンスターの表示形式を全て変更し、攻守を0にする！‘滅亡のカオスストリーム’！」

青眼の混沌龍 ATK3000 VS ブラック・マジシャン DEF0

レイチェル:LP8000→5000

「貫通効果も持ち合わせていますか…やりますね。」
「精霊龍でロッドに攻撃！」

青眼の精霊龍 ATK2500 VS マジシャンズ・ロッド DEF0

「自分フィールドの魔法使い族モンスターが破壊された時、罠カード、《マジシャンズ・エクステンド》を発動。デッキから《マジシャンズ・ローブ》を特殊召喚します。そして効果で手札の《イリュージョン・マジック》を捨てブラック・マジシャンを特殊召喚します。」

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《マジシャンズ・エクステンド》
通常罠
このカードの②の効果は1ターンに1度しか発動できない。
①自分フィールドの魔法使い族モンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。デッキから破壊されたモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つモンスターを特殊召喚する。
②自分フィールドの魔法使い族モンスターが墓地に送られる場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

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2体のモンスターを除去したが、即座に後続の2体を召喚された。
盤面を返し、次のターンでの選択肢を極力減らしたがったが、結果はロッドがローブに変わり、3000ダメージを与えただけであり、あまり損害を与えられなかった。

「辛いですね…カードを2枚伏せてターンエンドです。」

ユーリイット
LP:8000 H:0 D:30 EX:14 墓:5 除:2 場: 《青眼の精霊龍》 《青眼の混沌龍》 《伏せカード》 《伏せカード》

「私のターン、ドロー。ではまず、墓地の招来の効果発動。《竜騎士ブラック・マジシャン》を見せ、ブラック・マジシャンと混沌龍で融合召喚！

【悠久の時を生きる黒き魔術師よ。龍とその身を一つとし、新たなる境地へと辿り着け。】

現れよ、《竜騎士ブラック・マジシャン》。さらにブラック・マジシャンとして扱う竜騎士ブラック・マジシャンが特殊召喚されたため、黒の魔導陣の効果発動、精霊龍を除外します。」
「精霊龍の効果発動、自身をリリースし、《蒼眼の銀龍》を特殊召喚！」

迂闊だった。
竜騎士ブラック・マジシャンの存在を忘れ、混沌龍を一瞬で失ったのは痛い。だが、早かっただけで失うのは想定内である。

混沌龍は、次への布石だ。

「永遠の魂の効果で墓地のブラック・マジシャンを特殊召喚します。」
「その効果にチェーンし、速攻魔法《青き目の征圧》を発動！墓地の混沌龍を除外し、デッキからドラゴン族儀式モンスターを儀式召喚扱いで特殊召喚します！この効果に対して相手はチェーンできません！」

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《青き目の征圧》
速攻魔法
このカードの①の効果はデュエル中に1度しか発動できない。
①自分フィールドのドラゴン族儀式モンスターが墓地に送られたターンに発動できる。そのモンスターを除外し、除外したモンスターと同じレベルを持つドラゴン族儀式モンスターをデッキから儀式召喚扱いで特殊召喚する。相手はこの効果に対してチェーンできない。この効果で特殊召喚したモンスターがフィールド上に存在する限り、自分は召喚・特殊召喚・反転召喚・セットできない。

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「なっ…！」
「墓地の混沌龍を除外し、デッキより降臨せよ！

【古より存在せし龍よ、その底なき力の欲望のままに、混沌なる怒りに触れ、神をも砕く無敵の雄々しき剣となれ。】

儀式召喚！《ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン》！」

勝負はここからだ。