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遊☆戯☆王Twin Deaths【月一更新】/第2話:悪霊退治、はじめます 作:とうかいりん

 午前1時30分。この時間になると週2日だけ「死神集会」が開催され、各自がどのエリアに潜む悪霊を退治するのかが決められる。ブラック階級の亜利沙がその場を仕切ることになるのだが、流石階級がトップなだけあって皆からの信頼も厚く、視線は全て彼女に釘付けだった。


「いいか!私達が死神として活動を開始してから早3年。脱獄した悪霊共もようやく半分までは捕獲した。しかし!未だに雲隠れを続けている輩もまだまだ多い。今後はより一層、悪霊退治に魂を賭けろ!!」
「「「ハッ!!!」」」





「そういえば、まだお前にデッキを渡していなかったな。受け取れ」
「ど、どうも……」


 集会が終わってから20分。遊良と亜利沙は現世に降り立ち、悪霊を退治するための準備に取りかかっていた。その際に渡されたデッキだが、遊良の知らない『憎悪の勇者(ヘイトレッドハート)』というカード群によって構成された戦士族のものだった。


「少年、お前は、名前とは裏腹に恐ろしいほどの復讐心が宿っているようだな。やはりあの両親か?」
「…まあ、あの2人を許す義理なんかありませんからね。いつか復讐してやろうと思ったんですけど、その前に俺が朽ち果てたんで……」
「勘違いしないでもらいたいが、我々が退治するのは悪霊のみだ。ま、仮にお前の両親が悪霊と契約していたならば話は別だがな」
「契約?」
「奴等も我々と同様、元は死んだ人間だ。遺伝子レベルで密接に関係しているからこそリンクが可能なのだが、人間もこれに易々と応じるのだから余計に質が悪い」


 悪霊とは本来、遊良たち死神が存在する「未極」と呼ばれる世界で悪事を働いている魂のことだ。善き行いをしたものが行く天国と、悪しき行いをしたものが行く地獄の両方にも該当せず、未練を残したものが留まる世界。未極は天国か地獄のいずれかに行けるよう導くための場所であり、半分以上の魂は未練を片付けて天国へ逝くことが約束されている。しかし、全ての魂が善良な感情を持っていないことは亜利沙もよく知っており、「死んだことを受け入れられない者」や「天国へ行けなかった者」、現世で大罪を犯したが故に「望んで地獄へ行きたがった者」の魂が暴走し悪霊へと変貌する。
 歪んだ方向へと進んだ魂を再び正すことは非常に困難であり、半ば強引にでも地獄へたたき落とすしか道はなかった。そのため永遠に開けることの許されない禁断の牢獄「パンドラ・プリズン」が数百年前に作られ、これまでに何億もの魂がそこへ誘われたのだ。


「奴等は生きた人間に取り憑くことで現世でも本来の力を発揮することができる。しかし我々が干渉できるのは死人のみ。そこで……」
「この『神の手』を使って人間と悪霊を分離させる…」
「そうだ。取り憑かれた人間には悪いが、その件に関する記憶は全て消去させてもらっている。この戦いに現世の人間は無関係だからな」


 悪霊が起こした問題は死神が片をつける。その問題を生きている人間に知られてしまっては幾つもの超常現象に真実味が増すばかりか、人間に見えない「霊」そのものの存在も認知されかねず、現世でも大きな騒ぎとなってしまう。「より隠密に」を生業としている未極の住人にとってそれは命よりも重い罪と同等だ。


「さて、そろそろ悪霊を探しに行くぞ。雑魚相手でいきなりやられるような真似は許さんからな」
「押忍!」







「はふぅ…。この時間に食べる肉まんって、罪深いけど美味しいよね~」


 こんな深夜にも関わらず、空腹を紛らわそうとコンビニで買った肉まんを満面の笑みで頬張る少女がいた。桃色の髪をツインテールで纏めている彼女の名は「四阿 いつき(あずまや-)」。遊良の通っていた中学の同級生であり、病気がちな彼を心配してはよくお見舞いにも行っていた。彼が亡くなって暫くはふさぎ込んでいたが、遊良の分まで強く生きようと決心してからは明るく振る舞うようになり、クラスでも人気者になっていた。
 そんな彼女も今となっては高校生活の終わりを迎えつつあり、第一志望の大学に無事合格したが、3年の歳月が流れても尚、彼のことを思い続けていた。故に遊良の命日が近づくと、こうして彼の好物の肉まんをお供え物として墓前に届けているのだ。


「凪くん、今年も大好きな肉まん届けてあげるから、待っててね」
「だったら、今からソイツの所に送ってやろうかァ?」
「っ…!」


 暗闇の中から突如として現れた、人間離れしたような筋肉質の大男。真夜中に紅く光る眼光と獣のように研がれた長い爪での威嚇は、いつきの腰を抜かすには充分すぎる材料だった。一歩、また一歩と迫り来る悪夢を前にして「逃げなきゃ」、と本能で察知したのだが足が竦んで全く動けない。助けを呼ぼうにも恐怖の余りに声も出ない。
 何も出来ぬまま心臓を貫かれそうになった刹那、2つの影が彼女を守った。


「なんとかっ…!間に合いましたね、ホヅミ先輩」
「全くだ。雑魚の分際でこのような女子を襲うとは、よっぽど投獄されたいようだな」
「…嘘。その声……まさか、凪くん?」
「「な?!」」


 霊や死神は生きている人間には見えないと事前に知らされた遊良にも、現世で活動してからここ数年は誰にも姿を見られることはなかった亜利沙にも、いつきの存在はイレギュラー極まりなかった。


(何でこの人は俺達が見えてるんですか?!しかも俺のこと知ってるみたいですし)
(分からん!だが、この女に我々の正体を知られては面倒だ。こいつは私に任せろ。その間に神の手で悪霊を引っ剥がせ)
(押忍!)
「おい、そこの女」
「は、はい!」
「…本当に私たちが見えるんだな?」
「は、はい…」
「2つ話がある。まず1つ目。そこの少年は、お前の知る『凪くん』とは無縁だ。そして2つ目。私達のことは決して誰にも言いふらすな。さもなくばお前の首を刈る」
「え…えと…じゃ、じゃあこれで、勘弁してください……」


 3年前のいつきは年齢と反比例して幼く、これといった特徴もない地味な子だった。しかし高校入学を期に自分を変えようと髪を染め、美容や健康にも人一倍気を遣った結果、2年生の時に校内のミスコンでも優勝するほど様変わりしたのだから、遊良が彼女の正体に気付けなかったのも無理はないだろう。
 遊良の墓にお供えするはずだった肉まんで見逃してもらおうと「オンベイ シラマンダヤ ソワカ」と早口で何度も唱えながら目にも留まらぬ速さで退散していった。「その呪文を私に言われても困るのだが…」と亜利沙がぼやいたが、いつきが唱えたのは死神ではなく悪霊に効果があるとされている呪文だったのだ。尤も、現世に蔓延っている悪霊を退治するためにはデュエル以外の方法が存在しないのだから彼女の行為は徒労に終わったのだが。


「とっととプリズンに戻してやる。喰らえ『神の手』!!」
「グッ…グアァァァァァ!!!」


 いつきを逃がしたのと丁度同じタイミングで、遊良は取り憑いていた悪霊を引き剥がし終えた。「神の手」は人体に直接腕を挿入することで悪霊を引き剥がす代物だが、死神として活動を開始して間もない彼でも扱えるように亜利沙が改良を施しており、器にされた人間に後遺症が出ないよう安全性を最優先しつつも確実に引き剥がせるよう抜群の安定性をほこる優秀な武器だ。
 亜利沙は悪霊の正体を知った途端に目を丸くした。何故なら其奴は、彼女がこれまでパートナーとして戦いを共にしてきた仲間を葬った悪霊だったからだ。


「こ、こいつは……」
「ホヅミ先輩、知ってるんですか?」
「…専ら初心者狩りしか行わない、質の悪いヤツでな。私の仲間も、何人もこいつに倒された」


亜利沙を含む上位階級の死神は「Dna」と呼んでいるが、これは取り憑く際、その人間の遺伝子情報を一部だけ書き換え、強制的に強化させることに由来する。事実、引き剥がされた元の人間はいつきを襲った時とは異なり身長も遊良より一回り低く、骨格がまだ出来上がっていない中学生の少年だったのだ。
 少年にどんな事情があったのかは知る由もないことだが、このままDnaを野放しにするのは危険だと判断した亜利沙はアンカーを取り出し、デュエルを挑もうとしたのだが……先に挑まれたのは遊良のほうだった。


「くそっ…!」
「卑怯者!この少年が見習いだと知っててデュエルを仕掛けたな!!」
「誰が好んでブラック階級、それも最強と名高い八月一日 亜利沙を相手にするかよ。今からこの青二才も地獄に叩き落としてやるから、そこで大人しくしてるんだなァ」


 亜利沙の実力が広く知られている以上、まともな成果を上げたことのない遊良が狙われるのは当然である。加えて、死神が現世で行動する際には必ず2人組、尚且つその内1人はゴールド階級以上でなければならないという掟がある。札だけでは後始末を執り行えないような高レベルの悪霊を発見した場合、どうしてもサイズが必要になるのだが、その所持を認められているのはゴールド階級以上の死神のみだからだ。そのルールを知っていたからこそ、Dnaはより階級の低い遊良を獲物にしたのだ。
 初仕事でいきなりとんでもない怪物を退治しなければならなくなったが、このデュエルに勝たなければ生き残れない。死神としての務めを全うするため、遊良は二度と引き返せない道への第一歩を踏み出した。


「「デュエル!!」」

Dna→LP:8000 手札:5 デッキ:35 メインモンスターゾーン:0 魔法&罠ゾーン:0 フィールドゾーン:0 墓地:0 除外:0


 V S


遊良→LP:8000 手札:5 デッキ:35 メインモンスターゾーン:0 魔法&罠ゾーン:0 フィールドゾーン:0 墓地:0 除外:0



「…んん?フィールドの配置が変わってる?!」
「言い忘れていたが、お前が死んでからデュエルのルールやレギュレーションも変わってな。今はこの新マスタールールが基本だ」
「そういう肝心なことはデュエルの前に言ってもらえませんか?!」
「基本的なルールは把握していると最初に言ったのはお前だろう。だが心配するな。多少ルールが変わったくらいでこのデッキは負けん!」



*TURN01
(ホヅミ先輩って無鉄砲が装束着て歩いてるような人だけど、言葉に嘘はないって断言できる。その人が負けないって言ったんだから、俺は負けない!)
「『憎悪の勇者ベディヴィエール』を特殊召喚!このカードはエクストラモンスターゾーンに自分のモンスターがいない時、手札から特殊召喚できる。この方法でベディヴィエールが特殊召喚されたことで、相手のメインモンスターゾーン1箇所を指定し、デッキからレベル4以下の『憎悪の勇者』1体を、そこと同じ縦列の自分フィールドに特殊召喚できる。来い!『憎悪の勇者ボールス』!」


 どうにかルールは把握できたものの、駆け出しの彼に与えられたのは40枚のメインデッキのみであり、主流とされるエクストラデッキから特殊召喚できるモンスターは1枚もない。しかし亜利沙が「負けない」と豪語した【憎悪の勇者(ヘイトレッドハート)】を使いこなせれば、初陣からいきなり大手柄だ。


「更に俺は、『憎悪の勇者ガラハッド』を特殊召喚!このモンスターは自分フィールドにヘイトレッドハートが存在するとき、手札から特殊召喚できる」
「クククッ。折角レベル3のモンスターが2体揃ったのに、エクストラデッキがねぇんじゃエクシーズ召喚も出来ねぇなあ。死に急いだか?」
「…お互いもう死んでるだろ?速攻魔法『ヘイトレッドハート・ラッシュ』を発動!自分フィールドのモンスターのレベル×200のダメージをくれてやる!」
「グァッ…!」
Dna→LP:5800


 レベル3のガラハッドとボールス、そしてレベル5のベディヴィエールが暗黒剣を重ね合わせ、Dnaの心臓めがけて稲妻を放出した。攻撃できない1ターン目から2000オーバーものダメージを与えられるカードがしっかりと組み込まれていたのだから、亜利沙の読みは今のところ外れてはいない。しかし相手は遊良より断然格上の悪霊「Dna」。どんな手を講じてくるのか分からない以上、この程度で浮かれては簡単に足下を掬われてしまうだろう。


「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
遊良→LP:8000 手札:1 デッキ:34 EXモンスターゾーン:0 メインモンスターゾーン:3(中央とその両隣) 魔法&罠ゾーン:1 フィールドゾーン:0 墓地:1 除外:0



*TURN02
「ドロー。手札から『剛鬼スープレックス』を召喚。このカードが召喚に成功した時、手札の剛鬼を特殊召喚できる。『剛鬼ツイストコブラ』を特殊召喚だァ!」
「…悪霊がプロレスモンスターって、アリかよ」
「ケッ。死神の分際でナマ言うな。手札の『剛鬼ヘッドバット』の効果発動!手札から『剛鬼ハッグベア』を捨て、自身を守備表示で特殊召喚!そしてスープレックスの攻撃力をターンの終わりまで800アップさせる」



○剛鬼スープレックス(Lv4 地)
戦士族/効果
攻1800/守0
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札から「剛鬼」モンスター1体を特殊召喚する。②:このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「剛鬼スープレックス」以外の「剛鬼」カード1枚を手札に加える。


○剛鬼ツイストコブラ(Lv3 地)
戦士族/効果
攻1600/守0
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:自分フィールドの「剛鬼」モンスター1体をリリースし、自分フィールドの「剛鬼」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、リリースしたモンスターの元々の攻撃力分アップする。この効果は相手ターンでも発動できる。②:このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「剛鬼ツイストコブラ」以外の「剛鬼」カード1枚を手札に加える。


○剛鬼ハッグベア(Lv6 地)
戦士族/効果
攻2400/守0
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが召喚または「剛鬼」カードの効果で特殊召喚に成功した場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで元々の攻撃力の半分になる。②:このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「剛鬼ハッグベア」以外の「剛鬼」カード1枚を手札に加える。


○剛鬼ヘッドバット(Lv2 地)
戦士族/効果
攻800/守0
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが手札にある場合、このカード以外の「剛鬼」モンスター1体を手札から墓地へ送り、自分フィールドの「剛鬼」モンスター1体を対象として発動できる。このカードを手札から守備表示で特殊召喚し、対象のモンスターの攻撃力をターン終了時まで800アップする。②:このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「剛鬼ヘッドバット」以外の「剛鬼」カード1枚を手札に加える。



 Dnaはマルチデッカーであり、その日の気分や天候によってデッキを変更する。他にも【オルターガイスト】や【サブテラー】【魔弾】など強力なものを幅広く使いこなすが、いずれも自らを退治しようと挑み敗れた死神から奪い取ったものであり、この【剛鬼】もその1つだ。
 スープレックスやコブラツイストなど、モンスターの名前がプロレス技を由来としているこのデッキは、一度回り出すとなかなか手の付けられない代物であり、初心者、ましてや新ルールを把握してから間もない相手を倒すことなど造作もないのだ。


「これが今流のデュエルだァ!現れよ、地獄へ誘うサーキット!召喚条件は剛鬼2体。ヘッドバットとツイストコブラをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!!リンク召喚!リンク2『剛鬼ジェット・オーガ』!!」
「これが……リンク召喚」
「驚くのはまだ早い。フィールドから墓地へ送られた2体の剛鬼の効果発動!デッキから『剛鬼再戦』と『剛鬼死闘(デスマッチ)』を手札に加える」
「なっ?!そんなのありかよ!!」



○剛鬼ジェット・オーガ(LINK2 地)
戦士族/リンク/効果
攻2000
【リンクマーカー:左/下】
「剛鬼」モンスター2体
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:1ターンに1度、自分フィールドの「剛鬼」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、フィールドのモンスターを全て表側攻撃表示にする。②:このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。自分フィールドの「剛鬼」モンスターの攻撃力はターン終了時まで500アップする。


○剛鬼再戦(通常魔法)
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:自分の墓地のレベルの異なる「剛鬼」モンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。


○剛鬼死闘(フィールド魔法)
①:このカードの発動時の効果処理として、このカードにカウンターを3つ置く。②:自分の「剛鬼」モンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した場合に発動する。このカードのカウンターを1つ取り除く。③:このカードの効果でこのカードに置かれているカウンターが全て取り除かれたバトルフェイズ終了時に、自分はこの効果を発動できる。手札・デッキから「剛鬼」モンスターを可能な限り特殊召喚する(同名カードは1枚まで)。その後、このカードにカウンターを3つ置く。



 リンク召喚とそれを駆使して戦いのリングを整える剛鬼のポテンシャルの高さに驚愕した遊良だが、まだまだリンク2のモンスターを呼び出しただけ。Dnaは『剛鬼再戦』を発動し、墓地からツイストコブラとハッグベアを特殊召喚した。ハッグベアには「剛鬼」カードの効果によって特殊召喚された時、相手モンスター1体の攻撃力を半減する効果を持っている。その効果を使い、ベディヴィエールの攻撃力を1000にまでダウンさせた。


「ジェット・オーガの効果発動!ツイストコブラを破壊し、フィールドのモンスター全てを表側攻撃表示にする」
「くそっ…!ならボールスの効果発動!このカードをリリースし、ベディヴィエールの攻撃力をターン終了時まで1000ポイントアップさせる。これでプラマイゼロ……」
「その程度で止められると思うなぁ!再び現れろ、地獄へ誘うサーキット!召喚条件は剛鬼2体以上。ハッグベアとリンク2のジェット・オーガをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!!リンク召喚!『剛鬼ザ・グレート・オーガ』!!」



○剛鬼ザ・グレート・オーガ(LINK3 地)
戦士族/リンク/効果
攻2600
【リンクマーカー:左下/下/右下】
「剛鬼」モンスター2体以上
①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、フィールドのモンスターの攻撃力は、そのモンスターの元々の守備力分ダウンする。②:このカードが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードのリンク先の自分のモンスター1体を破壊できる。



 ボールスの効果でハッグベアの効果分を取り返そうとベディヴィエールの攻撃力を上昇させたが、Dnaはその手を無にするために攻撃力を守備力分だけダウンさせる効果を持つリンクモンスター「ザ・グレート・オーガ」をリンク召喚した。ベディヴィエールの守備力は1800もあるため、高い守備力が却って裏目に出てしまったのだ。


「くそっ…ベディヴィエールの攻撃力が200しかない!」
「ふは、ふはははは!そんな時代遅れのデッキじゃ剛鬼は倒せない!墓地に送られたジェット・オーガの効果により、剛鬼モンスターの攻撃力はターンの終わりまで500アップ。そしてハッグベアの効果で『剛鬼スープレックス』を手札に加える」


 次のターンでの展開を約束するスープレックスを確保し、万全の状態で攻撃を仕掛けてきた。お互いにモンスターは2体ずつだが、いずれもジェット・オーガの効果によって全て攻撃表示となっている。モンスターの攻撃力を下げられた遊良はこのターンでの大量ダメージを免れることは不可能だが、彼の伏せたカードが布石となるだろうか。


「フィールド魔法『剛鬼死闘』を発動し……さあ、バトルだ!まずはグレート・オーガでベディヴィエールを攻撃!!」
「ぐぅっ…!」
「続けてスープレックスでガラハッドを攻撃!」
「この瞬間、速攻魔法『トリスタンの悲運』を発動!相手フィールドのモンスターの数が自分より多い時、このターン自分フィールドのモンスターは戦闘及び効果で破壊されず、戦闘ダメージは……互いが受ける!!」
「何だと?!」
遊良→LP:2500
Dna→LP:3100


 早くもお互いにライフが激減したが、【憎悪の勇者】の最大の特徴は「ダメージをお互いが受ける」効果を持つカードが多いことにある。この効果は自分のライフポイントが少なければ少ないほど不利に立たされるが、憎しみをぶつけるかの如く相手を徹底的に叩き潰すことができる、正に遊良の奥底に秘めている感情を具現化したデッキなのだ。
 3年にわたって初心者狩りを続けてきたDnaでさえもこの効果は未知であり予想外だったため、全身を真っ赤に染めて激昂した。


「これでターンエンド!初心者の分際でよくもやりやがったな……」
Dna→LP:3100 手札:3 デッキ:31 EXモンスターゾーン(右):1 メインモンスターゾーン:1(中央) 魔法&罠ゾーン:0 フィールドゾーン:1 墓地:5 除外:0




カード紹介
○憎悪の勇者ベディヴィエール(Lv5 闇)
戦士族/効果
攻2000/守1800
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:EXモンスターゾーンに自分のモンスターが存在しない場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。②:このカードの①の方法でこのカードが特殊召喚に成功した場合、相手のメインモンスターゾーン1箇所を指定して発動できる。デッキ・墓地からレベル4以下の「ヘイトレッドハート」モンスター1体を選び、そのゾーンと同じ縦列の自分のメインモンスターゾーンに特殊召喚する。


○憎悪の勇者ガラハッド(Lv3 闇)
戦士族/効果
攻1200/守800
このカード名の①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しか行えない。①:自分フィールドに「ヘイトレッドハート」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。


○憎悪の勇者ボールス(Lv3 闇)
戦士族/効果
攻1000/守1500
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のモンスター及び除外されている自分のモンスターの内、「憎悪の勇者ボールス」以外の「ヘイトレッドハート」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。②:このカードをリリースし、自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで1000アップする。この効果は相手ターンでも発動できる。


○ヘイトレッドハート・ラッシュ(速攻魔法)
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:以下の効果から1つを選択して発動できる。
●自分フィールドのモンスターのレベル×200ダメージを相手に与える。
●自分フィールドの「ヘイトレッドハート」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、自分フィールドのモンスターのレベル×200アップする。


○トリスタンの悲運(速攻魔法)
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合に発動できる。このターン、自分のメインモンスターゾーンのモンスターは戦闘・効果では破壊されず、そのモンスターの戦闘で発生するダメージはお互いが受ける。②:自分フィールドの「ヘイトレッドハート」カードが墓地へ送られた場合、墓地のこのカードを除外し、自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターと同じ縦列の相手フィールドのカードを全て墓地へ送る。その後、お互いは400ダメージを受ける。



キャラ紹介
○四阿 いつき(Itsuki Azumaya)(高3・女)
遊良の通っていた中学の同級生。祖父が霊媒師であるためか普通の人より霊感が強く、これまで何度も幽霊を見た経験がある。悪霊や死神が見えるどころか触れることも可能だったため、亜利沙から「現世で最も厄介な女」に認定された。デュエル未経験者。
*個人情報
生年月日:2000年9月30日
年齢:18
身長:166cm
体重:54kg
スリーサイズ:90(F) 60 87
血液型:O



世界観設定
○現世
生きている人間や脱獄した悪霊が拠点とする世界。


○未極
天国と地獄の狭間に存在する。死神が拠点とする世界。





亜利沙の一言追伸
少年のことを覚えている人間が現世にいる以上、少年にも偽名を与えなければこの先大変かもしれない。
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光芒
ついに始まった死神としての初デュエル。憎悪の勇者はカードの名前から見るに聖騎士と同じアーサー王伝説からの出典ですね。あの物語も清濁併せ呑む感じなので、憎悪の勇者という触れ込みは結構合っているかもしれません。

そして相手はガチテーマの剛鬼。リンクモンスターも剛鬼を使っている分まだ現実的といったところでしょうか。しかし、ノーエクストラでガチデッキにどう相手するのかが楽しみです。 (2019-01-12 17:19)
とうかいりん
光芒さん
「憎悪の勇者」は同じアーサー王伝説をモチーフにしている「聖騎士」との差別化を図ろうとした結果、遊良の生前での境遇から芽生えた感情を表わしやすい「道連れ効果」になりました。また、今後登場するカードにはベディヴィエールのようにEXモンスターゾーンの自分のモンスターの有無も問われるので、新マスタールールにも対応した形になっています。
一方で相手の【剛鬼】は、トロイメアのパーツを組み込むほどガチゴチのガチでないとはいえ、十二分に強力なデッキです。エクストラデッキのない遊良が相手をするには厳しいですが、次回をお楽しみに。 (2019-01-12 22:46)
ヒラーズ
ノーエクストラですか…かなり辛いですね。
主人公の同級生…後々に関わってきそうです。 (2019-01-27 19:29)
とうかいりん
ヒラーズさん
エクストラデッキを「使わない」デッキもある中、遊良の場合はまだまだ見習いであるため「使えない」のが苦しいところです。逆転の秘策があるとすれば、前回の話でも触れられた「アレ」しかありませんが、どうなるのかはお楽しみに。
四阿いつきとの関係ですが、遊良は他界した時点で「15歳のまま永遠に歳を重ねない身体」になったので、同級生であっても同年齢ではないという現実。 (2019-01-27 22:18)

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