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第7話 初陣:入場 作:にしん
サーカスでは今まさに、名物であるデュエル大会が行われている。ほぼ満席の観客が見つめる中、あるデュエリストはエンタメデュエルを、あるデュエリストはアクションマジックを使わないガチデュエルを。それをサーカス所属と一般参加、たまにサーカス団員が相手となってデュエルを行っていた。エンタメデュエルを選択したデュエリストは相手となる一般参加や団員もエンタメデュエルを選択するようで、どうやらミスマッチは起こらないようだ。
舞台側の壁には大きなカーテン・・・入場口があり、そこからデュエルが盛り上がっている音がひっきりなしに聞こえてきていた。舞台の様子は入場口横にあるモニターで見れる。今はエンタメデュエルをしているようで、フィールドがソリッドビジョンによって華やかに、かつ目まぐるしく変化していた。
「フィールド魔法を発動するとちゃんと舞台が変わるのか・・・」
俺のつぶやきに、翔くんが反応する。
「俺は基本的にフィールド魔法使わないからなぁ。ああいうフィールド魔法と絡めたエンタメもしてみたいんだ」
ちりばめられているアクションマジックもフィールドの変化によって消滅、生成されている。その時、一般参加のデュエリストがアクションマジックに触れた。なるほど、触れると内容が表示されて発動の選択ができるのか。
サーカス舞台の入場口にある待合室ではこれからデュエルしに行くデュエリストや、すでに終えてノートにメモしたり片づけをしたりしているデュエリストがいた。
入場口のカーテンからローラさんが顔を覗かせてきた。
「次、翔くんの番ですよー。そろそろ始まるのでそこの枠の中に立って、登場のスタンバイをお願いします」
「おっ、ついに来たな。今日も俺のRRたちで盛り上げてやるぜ」
翔くんはデュエルディスクを左腕に装着し、1枚のカードを手に持つ。サーカスで団員たちが行っていたように、モンスターと共演して入場するのだろう。次の番になり、舞台が静かになる。その時、翔くんは1体のモンスターを召喚した。現れたのは、<RR-アーセナル・ファルコン>。大きい、入場口ギリギリの大きさのモンスターが召喚され、翔くんはその背に飛び乗った。
「遊飛!こういう登場もありってこと、覚えておいてくれよ!」
「なるほどー・・・参考にするよ」
司会である団長が次に登場するデュエリストをコールした。その時、入場口のカーテンが一気に開く。その瞬間、アーセナル・ファルコンと共に翔くんは一気に入場し、舞台を一周するように飛行し、壇上のプレイヤーゾーンに降り立った。突然のRRの飛行により、会場は驚きの声が上がり、直後に歓声に変わった。さすが翔くん。エンタメデュエリストだ。俺は気持ちが熱くなる。俺もエンタメをしなきゃ。
「あっ、虹くん虹くん」
突然入場口にいたローラさんに呼びかけられた。
「何ですか?」
「虹くんは挑戦者枠として扱うから、最初の入場は普通に入場してね。いきなり覇王烈竜出さないでよ?」
「りょ、了解です」
流石にいきなり覇王烈竜と入場したら観客はビビる。どころか恐怖するだろう。いくら美しく変わったとはいえ、覇王烈竜は覇王烈竜だ。
「では次のデュエルはエンタメデュエル!黒き鳥たちの華麗なる舞、黒羽 翔選手とー・・・一般参加、職業はなんとエンタメデュエリストの講師!鈴木 光選手です!それではレーーーッツ・・・」
「「デュエル!!」」
・・・
翔くんと一般参加枠のエンタメデュエルが終了する。団員とエンタメデュエル研究会と呼ばれる組織の人が採点をし、総合結果を出した。デュエルの勝敗は一般参加のデュエリストが僅差で勝ったものの、エンタメ系の得点で翔くんが逆転して僅差で勝った。なるほど、ああやって最終的な勝敗を決めるのか。お互いすごいエンタメデュエルをしていたけど、ちゃんと評価をしているようだ。これは厳しそうだ。
「お前のエンタメも楽しかったぜ!じゃあなっ!」
そう言って、翔くんは入場した時とは違うモンスター、<RR-ラスト・ストリクス>を呼び出し、颯爽と入場口へと戻っていった。そして俺たちの横で華麗に着地を決め、モンスターをカードにしまう。
「ふう~、手札の回りがイマイチだったぜ」
「お疲れ、翔くん」
「サンキュー。さて、次は遊飛の番だな!見させてもらうぜ」
さっきと同じようにローラさんがカーテンをめくって覗く。俺の番だ。俺は入場口目の前にある枠の中に入る。・・・最初は普通に入場でいいんだよな。なんだか燃えてきたけど緊張もしてきた。
俺はデュエルディスクにデッキをセットして待機する。準備が整ったのか、カーテンの向こうから団長の声が聞こえてきた。
「では次が本日、最後のデュエルです!我がサーカス団を目指す挑戦者の登場です!!それでは入場をどうぞ!」
目の前の大きなカーテンが一気に開く。そこに広がっていた光景は、まるでデュエル大会を行うスタジアムの中。上から照らされるライトが眩しくて熱い。観客として、テレビで見る上からの景色とは違い、まさに今からデュエルをするという熱い気持ちにさせてくれるようだ。
流れるファンファーレと舞う紙吹雪と共に俺は舞台中央にある壇上のデュエルスペースに向かって歩き出す。舞台に入った途端、大歓声が沸き起こった。もっと緊張してきた。でも、やるべきことはやらないと。俺は自分を紹介するように周りに手を振りながら壇上への階段を上り、プレイヤーゾーンへと着いた。
団長のジェスチャーで歓声がゆっくりと収まり静まり返った時、突然会場が暗くなる。
「今回、この熱い挑戦者に挑む我が団員はー・・・」
団長の声掛けにより、突然スポットライトが、俺が入場した入り口とは反対側の入場口に照らされる。そして、カーテンが一気に開く。
「我がサーカス団のチアリーダー、ミミカちゃんです!!」
大歓声と共にスポットライトに照らされたのは、まさにサーカス入り口で見た、ピンクでツインテールの髪をしたチアリーダーの格好をした少女。その少女は流れる音楽に合わせて4体のモンスターを召喚し、一緒に踊るように入場する。それに合わせてスポットライトや他のライトも様々な色、動き、模様で演出していた。
そして俺の対角線上のプレイヤーゾーンに立った時、手に持っていたボンボンを踊りながらポーズを決め、腰に取り付けるとそのボンボンが突然光り、腰装着型のデュエルディスクに変身した。
これもソリッドビジョンによる演出なのか・・・衣装を変化させるEMSカードの時点ですごいと思ったが、本当に色々なことができるようだ。
「朝ぶりだね、新人さん!あたしの事は“ミミカちゃん”でいいからね☆」
「りょ、了解!」
「今回の挑戦者はいかにも熱そうな少年!果たしてどんなデュエルを・・・エンタメを見せてくれるのだろうか!!ではまずはこのフィールド魔法!」
団長は1枚のカードを掲げた。すると、どこからもなく声が聞こえた。
「フィールド魔法“エンタメステージ”」
その瞬間、舞台がソリッドビジョンによって変化していき、まるで俺たちデュエリストを中心にしたサーカスのセットが現れた。俺はそばでふわふわと浮いている風船に触れてみる。どうやら実体があるようだ。周辺を見渡すと、所々にアクションマジックと思われるカードが張り付いてあった。
「すげえ・・・どうやろうかな・・・てかアクションマジックの内容教えてもらってないなぁ」
「新人さんっ!初回だからあまり意識せずに自分らしいエンタメデュエルしていいよ☆だけど・・・あたしのエンタメも、ばっちり見せちゃうから!覚悟してねー!」
「よ、よーし!」
気合を入れる。と思ったらどこからもなく団長が俺の横に降り立った。
「うわっ!?」
「おっと、集中を高めていたところかな。説明し忘れたけど、そのデュエルディスクに思いを込めるだけでこのフィールド魔法・・・サーカスシステムは応えてくれるよ」
「わかりました!自由に演出できるってことか・・・」
団長は俺にアドバイスをくれた後、2体の天使のようなモンスターを召喚し、虹色の魔法なのか、不思議な力で浮いた。
「ではデュエル形式はエンタメデュエル!両者、準備はいいかな!?」
「はーい☆」
「・・・よしっ!!よろしくお願いします!」
「それでは皆さん、彼のデビュー戦へのカウントダウンをお願いします!!10、9、8・・・」
団長のカウントダウンによって観客全員、そしてミミカちゃんもカウントを読み上げる。それにつられて俺も大きな声で読み上げ、そしていよいよ0に近づき・・・
「「「デュエル!!」」」
舞台側の壁には大きなカーテン・・・入場口があり、そこからデュエルが盛り上がっている音がひっきりなしに聞こえてきていた。舞台の様子は入場口横にあるモニターで見れる。今はエンタメデュエルをしているようで、フィールドがソリッドビジョンによって華やかに、かつ目まぐるしく変化していた。
「フィールド魔法を発動するとちゃんと舞台が変わるのか・・・」
俺のつぶやきに、翔くんが反応する。
「俺は基本的にフィールド魔法使わないからなぁ。ああいうフィールド魔法と絡めたエンタメもしてみたいんだ」
ちりばめられているアクションマジックもフィールドの変化によって消滅、生成されている。その時、一般参加のデュエリストがアクションマジックに触れた。なるほど、触れると内容が表示されて発動の選択ができるのか。
サーカス舞台の入場口にある待合室ではこれからデュエルしに行くデュエリストや、すでに終えてノートにメモしたり片づけをしたりしているデュエリストがいた。
入場口のカーテンからローラさんが顔を覗かせてきた。
「次、翔くんの番ですよー。そろそろ始まるのでそこの枠の中に立って、登場のスタンバイをお願いします」
「おっ、ついに来たな。今日も俺のRRたちで盛り上げてやるぜ」
翔くんはデュエルディスクを左腕に装着し、1枚のカードを手に持つ。サーカスで団員たちが行っていたように、モンスターと共演して入場するのだろう。次の番になり、舞台が静かになる。その時、翔くんは1体のモンスターを召喚した。現れたのは、<RR-アーセナル・ファルコン>。大きい、入場口ギリギリの大きさのモンスターが召喚され、翔くんはその背に飛び乗った。
「遊飛!こういう登場もありってこと、覚えておいてくれよ!」
「なるほどー・・・参考にするよ」
司会である団長が次に登場するデュエリストをコールした。その時、入場口のカーテンが一気に開く。その瞬間、アーセナル・ファルコンと共に翔くんは一気に入場し、舞台を一周するように飛行し、壇上のプレイヤーゾーンに降り立った。突然のRRの飛行により、会場は驚きの声が上がり、直後に歓声に変わった。さすが翔くん。エンタメデュエリストだ。俺は気持ちが熱くなる。俺もエンタメをしなきゃ。
「あっ、虹くん虹くん」
突然入場口にいたローラさんに呼びかけられた。
「何ですか?」
「虹くんは挑戦者枠として扱うから、最初の入場は普通に入場してね。いきなり覇王烈竜出さないでよ?」
「りょ、了解です」
流石にいきなり覇王烈竜と入場したら観客はビビる。どころか恐怖するだろう。いくら美しく変わったとはいえ、覇王烈竜は覇王烈竜だ。
「では次のデュエルはエンタメデュエル!黒き鳥たちの華麗なる舞、黒羽 翔選手とー・・・一般参加、職業はなんとエンタメデュエリストの講師!鈴木 光選手です!それではレーーーッツ・・・」
「「デュエル!!」」
・・・
翔くんと一般参加枠のエンタメデュエルが終了する。団員とエンタメデュエル研究会と呼ばれる組織の人が採点をし、総合結果を出した。デュエルの勝敗は一般参加のデュエリストが僅差で勝ったものの、エンタメ系の得点で翔くんが逆転して僅差で勝った。なるほど、ああやって最終的な勝敗を決めるのか。お互いすごいエンタメデュエルをしていたけど、ちゃんと評価をしているようだ。これは厳しそうだ。
「お前のエンタメも楽しかったぜ!じゃあなっ!」
そう言って、翔くんは入場した時とは違うモンスター、<RR-ラスト・ストリクス>を呼び出し、颯爽と入場口へと戻っていった。そして俺たちの横で華麗に着地を決め、モンスターをカードにしまう。
「ふう~、手札の回りがイマイチだったぜ」
「お疲れ、翔くん」
「サンキュー。さて、次は遊飛の番だな!見させてもらうぜ」
さっきと同じようにローラさんがカーテンをめくって覗く。俺の番だ。俺は入場口目の前にある枠の中に入る。・・・最初は普通に入場でいいんだよな。なんだか燃えてきたけど緊張もしてきた。
俺はデュエルディスクにデッキをセットして待機する。準備が整ったのか、カーテンの向こうから団長の声が聞こえてきた。
「では次が本日、最後のデュエルです!我がサーカス団を目指す挑戦者の登場です!!それでは入場をどうぞ!」
目の前の大きなカーテンが一気に開く。そこに広がっていた光景は、まるでデュエル大会を行うスタジアムの中。上から照らされるライトが眩しくて熱い。観客として、テレビで見る上からの景色とは違い、まさに今からデュエルをするという熱い気持ちにさせてくれるようだ。
流れるファンファーレと舞う紙吹雪と共に俺は舞台中央にある壇上のデュエルスペースに向かって歩き出す。舞台に入った途端、大歓声が沸き起こった。もっと緊張してきた。でも、やるべきことはやらないと。俺は自分を紹介するように周りに手を振りながら壇上への階段を上り、プレイヤーゾーンへと着いた。
団長のジェスチャーで歓声がゆっくりと収まり静まり返った時、突然会場が暗くなる。
「今回、この熱い挑戦者に挑む我が団員はー・・・」
団長の声掛けにより、突然スポットライトが、俺が入場した入り口とは反対側の入場口に照らされる。そして、カーテンが一気に開く。
「我がサーカス団のチアリーダー、ミミカちゃんです!!」
大歓声と共にスポットライトに照らされたのは、まさにサーカス入り口で見た、ピンクでツインテールの髪をしたチアリーダーの格好をした少女。その少女は流れる音楽に合わせて4体のモンスターを召喚し、一緒に踊るように入場する。それに合わせてスポットライトや他のライトも様々な色、動き、模様で演出していた。
そして俺の対角線上のプレイヤーゾーンに立った時、手に持っていたボンボンを踊りながらポーズを決め、腰に取り付けるとそのボンボンが突然光り、腰装着型のデュエルディスクに変身した。
これもソリッドビジョンによる演出なのか・・・衣装を変化させるEMSカードの時点ですごいと思ったが、本当に色々なことができるようだ。
「朝ぶりだね、新人さん!あたしの事は“ミミカちゃん”でいいからね☆」
「りょ、了解!」
「今回の挑戦者はいかにも熱そうな少年!果たしてどんなデュエルを・・・エンタメを見せてくれるのだろうか!!ではまずはこのフィールド魔法!」
団長は1枚のカードを掲げた。すると、どこからもなく声が聞こえた。
「フィールド魔法“エンタメステージ”」
その瞬間、舞台がソリッドビジョンによって変化していき、まるで俺たちデュエリストを中心にしたサーカスのセットが現れた。俺はそばでふわふわと浮いている風船に触れてみる。どうやら実体があるようだ。周辺を見渡すと、所々にアクションマジックと思われるカードが張り付いてあった。
「すげえ・・・どうやろうかな・・・てかアクションマジックの内容教えてもらってないなぁ」
「新人さんっ!初回だからあまり意識せずに自分らしいエンタメデュエルしていいよ☆だけど・・・あたしのエンタメも、ばっちり見せちゃうから!覚悟してねー!」
「よ、よーし!」
気合を入れる。と思ったらどこからもなく団長が俺の横に降り立った。
「うわっ!?」
「おっと、集中を高めていたところかな。説明し忘れたけど、そのデュエルディスクに思いを込めるだけでこのフィールド魔法・・・サーカスシステムは応えてくれるよ」
「わかりました!自由に演出できるってことか・・・」
団長は俺にアドバイスをくれた後、2体の天使のようなモンスターを召喚し、虹色の魔法なのか、不思議な力で浮いた。
「ではデュエル形式はエンタメデュエル!両者、準備はいいかな!?」
「はーい☆」
「・・・よしっ!!よろしくお願いします!」
「それでは皆さん、彼のデビュー戦へのカウントダウンをお願いします!!10、9、8・・・」
団長のカウントダウンによって観客全員、そしてミミカちゃんもカウントを読み上げる。それにつられて俺も大きな声で読み上げ、そしていよいよ0に近づき・・・
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