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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第四話 ラストバトル!遊香と仲間

第四話 ラストバトル!遊香と仲間 作:サクラ

DEATH-T4は海馬の弟のモクバとの『カプセル・モンスターズ』での戦いだった。遊戯も闇遊戯となり全力で戦いに挑む。しかし、モクバの細工によって雑魚モンスターしか使えない状態になった遊戯だったが、同士討ちコンボと進化マスによる強化コンボでモクバのモンスターを全てやっつけた。
 
(遊戯頼む!ゲームの悪魔に取り憑かれた兄サマを元の優しい兄サマに戻してくれ!)
 
モクバは最後のステージに向かって行く遊戯の背中に心の中で叫ぶ。
遊戯は海馬への怒りのボルテージを上げつつエレベーターに乗っていく。
 
チン!
 
エレベーターの到着の合図と共に扉が開く。
 
「やぁ遊戯君。待っていたよ」
「遊香さん!?なんで遊香さんがここに!?海馬は!?」
「海馬君はそこにいるだろう?とは言っても彼の魂は私が管理しているがね」
「どういうこと!?遊香さん!君は一体……!?」
「ふふっ私は野崎遊香だよ。遊戯君。ここまでの経緯を教えてやろう」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ふぅん。さて、遊戯が来るまでモニタリングでもしているか」
 
DEATH-T開始の宣言をした海馬はDEATH-Tの中を進む遊戯達を見て楽しむ為にモニタリングを始める。
遊戯とはあまり面識がなかったが、先日の亀のゲーム屋での出来事。自分に屈辱を負わせた双六と遊戯達を苦しめる為に、元々剛三郎に対して使おうと思っていたDEATH-Tを起動させた。
 
「ふふふ。皆が頑張っている中、君は高みの見物かい?」
「!?誰だ!」
 
不意に声がする方に振り返る。そこには海馬にとって信じられない物を見た表情を浮かべる。
 
「な、何故お前が!?」
「いや、私はずっとここにいたさ。モニターに映っているのは私の見せている幻想さ」
「幻想だと!?ふざけるな!そんな非科学的なものは信じんぞ!おい、奴を放り出せ!」
「はっ!!」
 
黒服の男達が遊香を取り囲む。
 
「ご覚悟を」
「悪いが、そうはいかないんでな!」
 
黒服が一気に突っ込んでくるのを華麗に躱す遊香。そして、黒服達に向かって一言。
 
「罰ゲーム!」
 
黒服達は苦しみだすと、口から光の玉を出して倒れ込む。
出て来た光の玉はいつも通り遊香のスカートのポケットに入っていく。
 
「ぐっ!」
「何も警戒する必要はないさ。あの時の決着をつけようと思っただけだ。お互いどちらが最強のデュエリストか……まだ決まってないだろう?」
「クハハ!この僕にデュエルモンスターズで勝負をするつもりかい?馬鹿め、さっき見せただろう?今の僕のデッキには史上最強の《青眼の白龍》のカードが三枚入っているってね!あの時とは明らかにデッキパワーが何倍にも膨れ上がっているのさ!」
「ふふ。海馬君。まさかあの時の私が本気を出していたと思うかい?あんなのまだまだ序の口さ。本当の私の力はあんなもんじゃないぞ?」
「ふぅん……では、そんなハッタリを完膚なきまで叩き潰してあげるよ!来い!」
 
海馬と遊香はガラスケースの中に入るとデッキを交換してカットアンドシャッフルをする。
海馬は自信に満ち溢れた表情を浮かべ、遊香は何を企んでいるのか分からない顔をみせる。
 
「ルールはさっきのじじいの時と同じ!敗者は勝者に一番高レアリティなカードを渡す!野崎遊香!お前のカードなどいらない、恐らくはき捨てる程あるだろうからな。お前が負けたらお前の父親に俺用のカードを作ってもらうように交渉しろ!」
「ほう?随分と面白い事を考えるな海馬君。だが、勝つのは私だ」
 
「「デュエル!」」
 
「僕は《ブラッド・ヴォルス》召喚!攻撃力1900!カードを3枚伏せさせてもらうよ」
「私のターン、ドロー。ふふ、《クルセイダー・オブ・エンディミオン》召喚。共に1900」
「相打ち狙いかい?君という者がそんな愚策を執るとはね!」
「ふふ。そう思うか?私は装備魔法《スーペルヴィス》を装備する。《スーペルヴィス》を装備したモンスターは再召喚扱いになる。これが最新のカードシリーズ、デュアルモンスターだよ海馬君。デュアルモンスターはフィールドと墓地では通常モンスターとなるが、再召喚する事で隠された特殊効果を得ることが出来るのさ!そしてこの《スーペルヴィス》のカードは再召喚扱いにする事ができるカードだ」
「ほう。デュアルモンスターの難点である再召喚のデメリットを補うサポートカードか。憎たらしいが流石だと言っておこう。だがまだ攻撃力は互角だそれでは相打ちにしかならないよ?」
「再召喚された《クルセイダー・オブ・エンディミオン》は1ターンに1度、魔力カウンターを置けるカードに魔力カウンターを乗せることが出来る。が、残念ながら自身には乗せられない。私は《魔導師の力》を発動。これにより、《クルセイダー・オブ・エンディミオン》の攻撃力はターン終了時まで1000攻撃力が上がる。これで2900になり、君に大ダメージが入るぞ」
「やれるものならやってみるがいいさ!野崎遊香!」
 
海馬の余裕な表情。2000ライフによるデュエルで900のダメージはかなり痛手の筈だ。ということは後ろのカードは罠だろう。
遊香は思い出す。海馬のデッキの罠カードを。そして、1つの結論が出た。
 
「まぁいい。それはそれでこちらとしてもやりやすいからな。《クルセイダー・オブ・エンディミオン》の攻撃!」
「ふはは!!かかったな!攻撃宣言時!魔法カード《収縮》!これで《ブラッド・ヴォルス》の攻撃力を下げ、バトルステップにて罠カード《死のデッキ破壊ウイルス》!」
「やはりか!」
「はは!これが最強のウイルスコンボだ!《死のデッキ破壊ウイルス》は攻撃力1000以下のモンスターを媒体に相手のフィールドと手札のカードの攻撃力1500以上のモンスターを全て破壊し、デッキのモンスターを3体まで墓地に送らせるカード!これでお前の魔術師供は消え去った!だが、このカードのデメリットとして次の僕のターン終了時までお前の受けるダメージは全て0になってしまうがね……」
「私はこのカード達を墓地に送る。だが、それは見抜いていたぞ海馬君?」
「何!?」
「《スーペルヴィス》が墓地に送られた事で墓地の通常モンスターを蘇生する。蘇れ。《魔法剣士トランス》」
「なるほど、《死のデッキ破壊ウイルス》で墓地に送っておいていたわけか」
「海馬君は自ら《ブラッド・ヴォルス》を墓地に送ってしまった事でフィールドはガラ空きだな?随分あっけなかったが、トドメを刺させてもらおうか」
「そうはさせないよ!《カウンター・ゲート》!これで攻撃を無効にし、そして僕はカードを引く!このカードがモンスターなら召喚できる!……モンスターではないが、いいカードを引いた」
「……私はカードを伏せて終了だ」
「ははは!!漸くだ!この僕が初めてこのゲームで引き分けて以来、野崎遊香。お前の事を忘れた事はない!最強のデュエリストは二人もいらない。そして、俺は漸く最強の地位に戻る事ができる!ドロー!」
 
海馬の目付きが変わる。
 
「ク、クククッ……フハハハハッ!!!来た!!来たぞ!!これで僕の勝利は絶対のものとなった!!」
「勝利だと?このターンまでは私は全てのダメージを受けないぞ?」
「ああ。だが、それもこのカードで解決された!」
 
遊香の瞳がピクリと動く。
(海馬は何を引いたんだ?青眼か?いや、あの自信は恐らくお爺さんを倒したあのカードか……!)
 
「さぁ見せてやろう!このバーチャル・シュミレーター・ボックスで再現された《青眼》の恐ろしさはとてつもないぞ!精神崩壊を起こさないように気をつけるんだね!魔法カード《青き眼の激臨》!!全てのカードを取り除き、デッキから《青眼の白龍》を3体呼び出す!!さぁ!今こそ轟臨せよ!僕の《青眼の白龍》!!!」
 
海馬の後ろから一気に3体の青眼の白龍が現れる。なるほど、あのお爺さんが耐えられない訳だ。遊香は海馬の作り上げたバーチャル・リアリティの青眼の白龍を見て冷や汗が一筋流れる。まるで海馬を守るかのように後ろでこちらを睨みつけているようだ。
 
「ふつくしい……はは!!スゴイぞー!カッコいいぞー!!これぞ、僕の《青眼》だ!!」
「だが、このターンはダメージはない。出したところで君はどうする事も出来んだろう」
「ふぅん。言ったハズだ。それも解決済みだと!魔法カード《時の女神の悪戯》!」
「何!?」
「これで1ターン後のバトルフェイズとなり、ウイルスカードの守りは無くなった!やれ!!《魔法剣士トランス》を粉砕しろ!!『滅びのバースト・ストリーム』!!」
「ぐわぁ!!」
 
そのあまりの迫力に遊香は椅子ごと後ろに倒れてしまう。
魔法剣士トランスが破壊され、遊香は400のダメージを負う。
 
「早く席に戻ってくれるかな。下着が丸見えだぞ?みっともない!」
「くっ!まさか、私がここまで追い込まれるなんてね……」
「これでわかったろう?野崎遊香!お前は僕には勝てないのさ!今の僕は史上最強のモンスターと史上最強の盤面を作り上げた!今の僕に勝てるものなどいやしない!」
 
海馬は立ち上がると、高笑いをする。遊香はゆっくり立ち上がると椅子を立たせて座り直す。
 
「ふふ。だが、まだまだ勝負は分からんぞ?まだ負けと決まった訳じゃないんだからな」
「そうだな。ではもう二度とその薄ら笑いが出来ないように完膚なきまでの敗北を叩きつけてやる!やれ!《青眼の白龍》達!一斉攻撃!『連続滅びのバースト・ストリーム』!!」
 
2体の青眼の白龍の口から白銀の光線が発射され、遊香を飲み込んだ。遊香のフィールド一面に爆風と煙に包まれる。
 
「ふぅん……いささかオーバーキルだったが、あの癪に触る女の散りザマが見えたし、よしとするか」
 
海馬は再び遊香に勝利しただろう事に高笑いを決めようとした時だった。
 
「く、ふふふ……」
「!?ば、馬鹿な!?」
「誰の散りザマだって?海馬ぁ」
「あ、ああ……こ、こんな事ありえん!!なぜお前は普通に座っている!お前のライフは消し飛び、その勢いで再び無様な姿を晒しているハズ!」
「ふふ。なら、私のライフポイントゲージを見てみなよ……」
 
海馬はモニターに映し出されている遊香と自分のライフポイントゲージを確認した。
 
「な、7600だと!?そんな馬鹿な!!」
「驚くのも無理はないさ……海馬君の《青眼》の連続攻撃が私に届く瞬間に、このカードを発動させてたからね」
「レインボー……ライフ……ハッ!?」
「そうだとも《レインボー・ライフ》は手札1枚をコストにあらゆるダメージを回復させる効果だ。よって、君の《青眼の白龍》の連続攻撃は私を消し飛ばすどころか私のライフ回復に貢献してくれたわけだ!」
「お、おのれ……!」
「君の手札と墓地は0。《青眼の白龍》も攻撃宣言をした為、表示形式変更も出来ない。ターンエンドの宣言をしてもらおうか」
「ぐっ!ターンエンド」
 
海馬は悔しさで押しつぶされそうだったが、それでも余裕がまだ残されていた。いくら遊香のライフが膨大でもこちらにはまだ3体の青眼がいる。どんな壁を出してこようと、青眼の前には無力だと。
 
「私のターン。ドロー」
 
遊香はドローしたカードを確認すると海馬の方を見る。
 
「なんだ!何もしないなら早くターンを終了しろ!」
「いや、私の勝ちだ」
「なんだと!?この盤面を突破すると言うのか!?」
「その通り。よく頑張ったと褒めてやろう海馬君。しかし、《青眼の白龍》に執着し過ぎて周りが見えていなかったな……」
「どういうことだ?」
「《青き眼の激臨》は手札、フィールド、墓地の全てのカードを犠牲に《青眼の白龍》を呼び出すカードだ。確かに強力だが、唯一の弱点が存在する」
「弱点だと?」
「それは相手の場に《青眼》を超えるモンスターの出現した場合さ。防御札も何もかもを犠牲にして出された《青眼》に守る力は残されているかな?」
「《青眼》を超えるモンスターだと!?そんなカード、存在するわけが……」
「魔法カード《円融魔術》発動!このカードはフィールドか墓地のモンスターを除外し、魔法使い族融合モンスターを呼び出す。私は墓地の《クルセイダー・オブ・エンディミオン》、《魔法剣士トランス》、《闇紅の魔導師》、《魔導獣 マスターケルベロス》、《召喚師アレイスター》をゲームから除外」
「五体の魔法使い族の融合だと!?」
「顕れろ!我が最強の魔術師!《クインテット・マジシャン》!」
 
上空一面に巨大な魔法陣が現れ、5人の魔術師が取り込まれていく。すると、魔法陣の中から1人の大柄な魔術師が降臨した。
 
「こ、攻撃力4500だと!?」
「更に《クインテット・マジシャン》は5種類の魔法使い族を素材にした場合、相手のカードを一掃する!例えそれが伝説の《青眼》でもなぁ!やれ!『クインテット・ブレイク』!」
 
クインテット・マジシャンの手を前に出すと、5つの魔導陣が現れ巨大な魔力の塊を作り出し放った。
青眼の白龍達はその塊に押しつぶされ消滅した。
 
「僕の……《青眼》が……」
「終わりだ。《クインテット・マジシャン》の攻撃。『絶対魔術波』」
「うわぁあああ!!」
 
海馬は攻撃を受けると、呆然と遊香を見つめていた。
 
「海馬君。君の負けだ。そして分かっているだろう?敗者には罰ゲームが待っているのさ」
「くっ!」
「罰ゲーム!『魂の牢獄』」
 
遊香が海馬に指を指すと、海馬はピクリとも動かなくなった。
会場全体の子供達の罵声が飛んでくるが、遊香には聞こえない。
 
「ふふ。海馬君、君は遊戯君と戦うためのダシになってもらう。だからこれまでの罰ゲーム『魂の吸収』はしないでおいてあげるよ。遺憾だが、私の心の中の牢獄で精々後悔するといい」
 
遊香は残された海馬の体から4枚目の《青眼の白龍》を抜き取る。
 
「約束通り、君の持つ中で一番レアなカードを頂いて行くよ。ああ、後少しばかりここで待たせてもらうよ。もうすぐ遊戯君が来るはずだからね」
 
そして、現在にもどる。
 
 
「遊香。アンタは……」
「私は君と同じさ。武藤遊戯君。いや、もう一人の遊戯君」
「何!?ということは君も俺と同じ闇の住人!?」
「ふふ。その通りだ遊戯君。さぁ、ゲームを始めよう。いや、その前に海馬君との約束があったね。海馬君はそこで魂を失っているから私がそれを引き継ごう」
「ゆ、遊戯……」
「じーちゃん!しっかりしてくれ!」
 
遊香は海馬から奪い取ったリモコンのボタンを押して双六を解放する。遊戯はすぐに双六の元に駆けつける。
 
「遊香さんは恐ろしい娘じゃ……あの海馬君の3体の《青眼の白龍》を物ともせずに倒してしまったんじゃ……」
「なんだって!?あの《青眼》を!?」
「遊戯……これを使え……ワシの魂のデッキじゃ。このデッキであの娘を倒し、本当のデュエルの心を教えてあげるのじゃ……頼む……ぞ……」
「じーちゃん!!」
「そこのスタッフ。あの爺さんを病院に運べ。さもないとコイツをどうするかな?」
「わ、分かった……!」
 
遊香は海馬を掴み上げて黒服に見せつける。黒服達は急いで双六を運び込み、病院に連れて行く。
 
「遊香。始める前に答えてもらう。どうやってここに来た?」
「ああ、これの力さ」
「ピアス?」
「こいつは『千年ピアス』。君の持つそのペンダント『千年パズル』と同じ代物だよ。こいつには特別な力が色々あってね。その中の1つで幻覚を見せる事が出来るのさ。私は私の幻覚を作り出し、私本体はこのガラスケースの中に入っていたということさ。もちろん誰にも気付かれる事なく上の階に進ませてもらったよ」
「なんだと!」
「さぁこれで十分だろう?私に勝つ事が出来れば、海馬君の魂やこのDEATH-Tの中で私の幻覚を探し回っている仲間たちも解放してやろう。デュエルスタートだ」
「遊香!俺がお前の闇の人格を倒し、元に戻してやるぜ。そして海馬の魂も城之内君達もここから解放する!」
 
「「デュエル!」」
 
「私のターン。《デュミナイ・エルフ》召喚。攻撃力1900」
「俺のターン!ドロー!《グレムリン》召喚!そして装備魔法《一角獣のホーン》コンボ!これで攻撃力が700上昇!これで《デュミナイ・エルフ》の攻撃力を上回るぜ!いけ!《グレムリン》!」
 
グレムリンのツノが伸び、攻撃力が2000になった。グレムリンはデュミナイ・エルフに向かって突進し、デュミナイ・エルフを貫いた。
 
「お見事。私は100のダメージだ」
「カードを一枚伏せターンエンド!」
「再び私のターン、ドロー!私は《闇紅の魔導師》召喚。このカードは召喚時に魔力カウンターを2つ乗せる」
「魔力カウンター!?」
「魔力カウンターの乗った《闇紅の魔導師》は1つにつき攻撃力が300アップする。よって攻撃力は2300だ。いけ、《闇紅の魔導師》。『闇紅衝撃波導』」
 
闇紅の魔導師の杖から魔法が放たれる。グレムリンの体に直撃すると、そのまま砕け散った。
 
「300のダメージだ。そして装備魔法《一角獣のホーン》はフィールドから墓地に送られた事でデッキトップに戻る。君の次のドローカードが決まってるからある意味安心だな。カードを伏せてターンエンド」
「俺のターン!ドロー(俺の今の手札に遊香の《闇紅の魔導師》を上回る攻撃力を持つカードはない……!ここはこのカードを使って手札交換をするしかない….…!)俺は魔法カード《手札抹殺》を発動!お互いの手札を全て捨て、捨てた枚数ドローする!」
 
遊戯は3枚、遊香も3枚ドローした。遊戯は交換した手札を見て口元を緩める。
 
「引いたぜ!来い!《デーモンの召喚》!」
「悪魔族でも最高クラスの攻撃力を誇るデーモンを召喚か。やるな遊戯君。でも、私がそう簡単にそんな強力なモンスターを召喚させると思うかい?罠カード《強制脱出装置》発動!」
「何!?」
「《強制脱出装置》はモンスター1体を手札に戻すカードだ。《デーモンの召喚》は手札に戻ってもらおうか」
「くっ!カードを伏せてターンエンド」
 
遊戯の顔は険しい。折角遊香の《闇紅の魔導師》を超えるモンスターを召喚したのに回避されてしまったのだ。遊香は笑ってみせる。
 
(遊戯、君の戦術は読めている。この戦いで私が君に勝ったなら海馬の魂といっしょにこのカードに吸収してやるよ)
 
遊香はスカートのポケットの中のカードをさする。
 
「私のターン!ドロー!遊戯君。このゲームの特徴を理解しているかい?」
「勿論だぜ!他のカードゲームに比べてコストの概念の薄いこのゲームは、手札の枚数によって戦術の幅が広がる」
「その通りだ。よって手札はこのゲームにとっての命。それを削られるとどうなると思う?」
「?……まさか!ハンデス!」
「その通りだ!《闇紅の魔導師》の効果発動!魔力カウンターを二つ取り除き、相手の手札をランダムに1枚捨てる!行け!」
 
闇紅の魔導師は左手で衝撃波を起こすと、遊戯の手札を1枚墓地に捨てさせた。
 
「魔力カウンターを取り除いた事で《闇紅の魔導師》の攻撃力は元に戻るが、これで十分だ!行け!ダイレクト・アタック!」
「させない!罠発動!《戦線復帰》!墓地のモンスターを守備表示で特殊召喚。あらわれろ!《カタパルト・タートル》!」
「何!?」
 
遊戯の場に巨大な亀の甲羅が現れた。カタパルト・タートルの守備力は2000。よって攻撃を中止し遊香は舌打ちをする。
 
「ターンエンド」
「俺のターン!ドロー!──────!?」
 
遊戯の動きが止まる。遊戯は引いたカードをまじまじ見つめている。遊香もそんな遊戯の動きに注目する。
 
(遊戯。何を引いたんだ?この時代の遊戯のデッキであそこまでの反応を示すとしたら……まさか!)
 
「カードを伏せてターンエンド」
「ドロー!(そうだ。そういえばこの時はまだあのカード達は捨てられていないはずだ。あの──────《エクゾディア》か!!)私は《魔導獣 キングジャッカル》召喚!(なら《エクゾディア》が揃う前に倒せば問題はない!)そしてバトル!《魔導獣 キングジャッカル》で《カタパルト・タートル》を攻撃!」
 
魔導獣キングジャッカルは、カタパルト・タートルに飛びかかると甲羅を噛み砕き破壊する。
 
「いいぞ!これでダイレクトアタックだ!《闇紅の魔導師》!」
「《ガード・ブロック》発動!カードをドローして戦闘ダメージを0に!」
 
遊香はますます心配になってくる。遊戯にドローをさせていくにつれ、エクゾディアに近づいている気がしてならないのだ。
一方遊戯も内心焦りを見せていた。
 
(遊香の場には強力な《闇紅の魔導師》と《魔導獣 キングジャッカル》がいる。ただでさえ攻撃力の高いモンスターが2体もいるこの状況で、俺はどうすれば……)
 
遊戯はガード・ブロックの効果でカードを引く。しかし、
 
(ダメだ、さっきからこんなカードばかりだ。これでは遊香のモンスターを倒す事は出来ない)
 
「ふ、しぶといな遊戯君。でもそれももうすぐ終わらせてあげよう。ターンエンド」
「くっ!俺のターン。ドロー!(これで時間を稼ぐ!)《光の御封剣》!三ターンの間、お前は攻撃できないぜ!」
「ほう。面白い。それでどうなるかな?」
 
遊香はどうにか大きく出ているが、今のところハッタリが大きい。遊香は1つ考えた。遊戯の手札をハンデスして行けばいい!という事だ。エクゾディアは手札にカードが揃わなければ効果は発揮されない。ならばハンデスコンボで遊戯の手札をボロボロにしてやればいい。
 
「私のターン。ドロー!」
 
遊香は《光の護封剣》の適用中にモンスターを並べ、一気に攻め込む準備をする。
 
「私は《魔導獣 マスターケルベロス》召喚。カードを伏せてターンエンド」
「俺のターンドロー!くっ!(やはりダメだ……。俺の手札には意味不明なカードが3枚。《光の護封剣》も時間稼ぎにしかなれてない……。俺の負けなのか……)」
『浮かない顔じゃのー遊戯……』
『じーちゃん!?』
 
遊戯の心の中に双六が現れた。
 
『遊戯。もう諦めたのか?お前らしくないのう……。お前の組み立てた千年パズルの時の遊戯はどこに行ったんじゃ?あの時の最後まで諦めなかった時のお前は』
『千年パズル……!』
『よいか?この世に意味のない物などないんじゃよ。パズルのカケラのようにな……それはカードだって例外じゃないじゃ……』
『え……!?じーちゃん待って!』
 
双六はそのまま消えてしまった。遊戯は先ほどの双六の言葉を思い出し、考えてみる。
 
『意味のない物はない……パズルのように……カード……ハッ!!』
 
「エクゾディアか……!」
 
遊戯もその事に辿り着く。自分の手札にはエクゾディアの封印カードが既に3枚揃っている。残りの2枚はまだデッキに眠っているはず。ここはリスクがあるが、ドローのカードでエクゾディアのカードを引き込んだ方がいい。遊戯はそう考えると、
 
「魔法カード《強欲で貪欲な壺》発動!カードを10枚除外して2枚ドロー!」
「!?」
 
(なんだと!?強欲で貪欲な壺だと!?強力なドローカードだが、エクゾディアパーツが巻き込まれるリスクがあるはずなのに臆せず使うとは……これが、闇遊戯。なんという自信の現れだ!)
 
遊戯の目が見開く、遊香には何となく分かった。今の遊戯にはエクゾディアパーツが揃いつつあるということが!
 
「カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」
「その瞬間!罠カード《魔のデッキ破壊ウイルス》発動!《魔導獣 キングジャッカル》を媒体に、攻撃力1500以下のモンスターを破壊!そして、3ターンの間ドローしたカードを確認して1500以下なら破壊する!さぁ遊戯君。手札を見せてもらおうか!」
「何!?」
 
遊香は遊戯の手札を確認する。遊香はギョッとした。既に遊戯の手札にはエクゾディアパーツが4枚揃っていたのだ。遊香の顔から冷や汗がドッと湧き出る。それと同時に安心した。
 
「遊戯君。まさかこんなトンデモないカードを狙っていたとはね……」
「……」
「ふふ。流石だよ遊戯君。だが、勝負の世界は非情だ。これで君の敗北はほぼ確実になった。だが、悲しむことはない。私は君を讃えるよ。君は私が今まで戦ってきたなかで一番強かった。ただ、私はそれより強かっただけだったね」
「……」
「返事はなしか……。まぁいい、直ぐに楽にしてあげるよ」
 
遊香はカードをドローする。そのドローカードを確認すると、そのカードを場に出した。
 
「私が引いたカードは《円融魔術》。フィールドか墓地のモンスターを素材に魔法使い族融合モンスターを呼び出す。《魔導獣 マスターケルベロス》、《闇紅の魔導師》、《魔導獣 キングジャッカル》、《デュミナイ・エルフ》、《マジシャンズ・ヴァルキリア》を除外し融合!顕れろ《クインテット・マジシャン》」
 
再び上空の魔法陣が出現し、魔術師たちが取り込まれていく。そして、魔法陣の中から1人の大柄な魔術師が再び降臨した。
 
「攻撃力……4500……!」
「《クインテット・マジシャン》は5種類の魔法使い族を素材とした場合、相手のカードを全滅させる。《光の護封剣》は破壊された。これで《クインテット・マジシャン》は攻撃できる。これで終わりだ。《クインテット・マジシャン》の攻撃。『絶対魔術波』」
 
クインテット・マジシャンの衝撃波が遊戯に近づいてくる。そして遊戯に直撃した。
 
「武藤遊戯。君は強かったよ……認めてやる。君は最強のデュエリストだ」
 
遊香がカードを片付けようとしたその時だ。
 
「おい、まだゲームは終わってないぜ!」
「!?」
 
遊戯のライフポイントは減っていなかった。
 
「なんだと?なぜだ」
「このカードを発動させたからさ」
「そのカードは一番最初のターンとさっき伏せた……!まさか、ここまでの状況も分かっていたとでもいうのか!?」
「いや、そんな事はないぜ。お前の戦術は、はっきり言って俺の予想を遥かに上回るものばかりだった。そして俺は待っていたのさ!お前の切り札が出てくる瞬間を!」
 
遊香の顔は驚愕していた。クインテット・マジシャンが消えて行く。遊戯が使ったカードは、
 
「《リミット・リバース》!そして《黒魔族復活の棺》!遊香!お前の《クインテット・マジシャン》の召喚時にこの二枚のカードを適用させた!《リミット・リバース》によって《封印されしエクゾディア》を蘇生。そして《黒魔族復活の棺》で魔法使い族の《エクゾディア》と《クインテット・マジシャン》を墓地に送り、現れろ!!《ブラック・マジシャン》!!」
「まさかここで《ブラック・マジシャン》だと!?だが!《クインテット・マジシャン》の全体破壊効果は残されている!これで《ブラック・マジシャン》は破壊だ!」
「最後のリバースカード《禁じられた聖衣》。これで《ブラック・マジシャン》は攻撃力を600下げることで効果破壊耐性を付与!」
「そんな……」
 
遊香は呆然とブラック・マジシャンを見つめる。もはや遊香に出来る事はない。
 
「俺のターン。遊香、俺の勝ちだ。やれ!《ブラック・マジシャン》!『黒・魔・導』!!」
 
ブラック・マジシャンの手からの衝撃波を受け、遊香のライフは0となった。
 
「私の……負け……か」
「遊香。お前の負けだ。そして負けた者への罰ゲーム!!遊香、海馬の魂もこのDEATH-Tの中のみんなを返してもらうぜ!罰ゲーム!『マインド・クラッシュ』」
「ぐあぁああ!!」
 
遊香は短い発狂と共に倒れ込んだ。
遊戯は遊香を見つめる。これで遊香の中の闇の住人は死んだ。もう恐らくあの闇の遊香は現れないだろう。すると、遊香の耳から何かが落ちた。『千年ピアス』だ。遊戯はそれを拾い上げると、自分のポケットの中に入れた。
 
「遊戯!」
「城之内くん、本田くん、杏子も!」
「遊戯、海馬の奴とのデュエルは──────って遊香!?」
「みんな。実は……」
 
遊戯は自分のが遊戯の中のもう一人の人格であること、そして遊香も同じような存在に操られていた事を説明した。
 
「じゃあ今の遊香は……」
「ああ、恐らく本当の遊香が目を覚ますと思う。それに遊香は自分の中に海馬もいると言っていた。恐らく海馬も同じように罰ゲームを受けた筈だ」
「兄サマ……」
「モクバ。今海馬は闇の中で自分の『心』のかけらを拾い集めている。バラバラになった『心のパズル』をもう一度作り直してるんだよ。全て組み終わった時、奴は戻ってくるさ」
「オレ、いつまでま待つよ……兄サマを……いつまでも……」
 
モクバは海馬の隣に座ると、昔の思い出話を海馬に嬉しそうに話し続けた。
 
 
翌日
 
「野崎さん!」
「え!?あ、はい!えーっと貴方達は?」
「僕、武藤遊戯って言います!」
「俺は城之内克也だ!」
「俺は本田ヒロト!」
「あたし、真崎杏子!」
「ああ、よろしく。えーっと……貴方達は一体……」
 
遊戯達は顔を見合わせてから、笑顔で野崎遊香の方をみる。
 
「僕たちは、野崎さんの友達さ!!」
 
野崎遊香はこの日、初めて友達が出来た。
現在のイイネ数 96
作品イイネ
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ター坊
まさかDEATH-T編ラスボスの海馬を先に倒して遊戯と対決するとは。闇の住人は取り払われたものの、彼女は何が狙いだったのか。古いカードと新しいカードの混合はなかなか燃えますね。遊戯らしいブラマジ〆も良かったです。
さて原作通りだと確か獏良のM.W編、王国編と続くわけですが果たして…。 (2018-09-19 01:15)
サクラ
ター坊さん
またまた感想ありがとうございます。そうですね。実はとある目的があって遊香はこのように動きました。それは次回以降に分かると思います。闇人格は完全に消滅させない限りまた現れるので、、、 (2018-09-19 22:45)

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