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第15話 襲い来る殺 意 作:風鼠
DJ「yo~♪」
遊華「わ~♪」
遊樹「騒ぐな、お前ら!ここで、英たちと合流するんだから!」
バット「まったく、この人たちは、にぎやかですね」
遊樹達は英たちと合流するため、DJ曰く街のシンボルである鉄塔付近にある喫茶店にて合流することに。
昼ごろになったというのに平日ということも影響しているのか、喫茶店には自分たち以外には若い男女のカップルが1組いるだけで、決して繁盛しているとはいえず、白毛が混じったオールバックの高齢のマスターは暇そうに大口をあけ欠伸すらしている。
喫茶店のラジオではちょうど男性が国会の不正などの昼間のニュースを単調に話している。
喫茶店から見渡せる鉄塔下の広場にも、晴天であるが犬の散歩や健康のためのヨガやランニングなどの初老の方々がチラホラ見かけるだけで、怪しい人影は見当たらない。
英達を待つ間、喫茶店にてこの世界で初めての食事を取る。
といっても、この喫茶店のメニューに載っているのはコーヒーやコーヒーに合ったアイスやお菓子などが中心であり、メニューも産地の名前以外には俺たちの世界とは一見差を感じられない。
DJ「マスター、おいらはいつものね」
遊華「あ、私もDJ君と同じので♪」
DJは『いつもの』で通じるほどこの店の常連で、マスターとは親しい仲であるらしく、『いつもの』メニューを注文し、遊華も便乗して
『いつもの』メニューを注文する
マスターは『あいよ』と呟くと手慣れた手つきでコーヒー牛乳にアイスがトッピングされたメニューがDJと遊華の2つの分が現れる
メニューには載っていない。恐らくはマスターが子供であるDJに配慮したメニューであろう。
その配慮を知ってか知らずかDJと遊華は俺たちが座る店外に設置されたカラフルのパラソルの下にあるテーブル席からカウンター席に移動しおいしそうに満面な笑顔を浮かべながら食べ始める。
バット「今のところ、仲間集めのほうは順調のようですね」
遊樹「あぁ。」
異世界に移動後、2,3日で2名の実力があるといわれる仲間候補2名の確保。
確かに順調であることは確かだったが、胸には不安が立ち込め始める。
DJをスカウトする際に来た蓮次狼という人物、さらに英達の方でも昨晩現れた部隊が現れたらしい。
一回は退けたものの、その後襲撃してくる気配は感じられない。
こうしている間にも、魔王軍は着々とこの世界への侵略行為を始めているはずだが、喫茶店のBGMとして流れるラジオのニュースからは謎の部隊の襲撃や有名デュエリストの誘拐といったニュースが流れる気配がない。
魔王軍はまだ準備をしているのか、はたまた…
遊華「遊樹ぃ~、何考えてるのぉ~?遊樹も何か食べなよ~♪マスターの『いつもの』おいしいy…ひゃあ!?」
遊華は魔王軍の動向を考えている俺に満面な笑顔を向け、アイスを食べているとアイスを食べる用の小さなスプーンからアイスがすべり落ち、ふとももの上へと落ちる。
その光景を見た俺とバットはため息を吐き、DJは大口をあけ店内に響き渡るように天真爛漫に笑う。
遊華は不服そうにほほを膨らませ、太ももに落ちたアイスをマスターから受け取った白色のタオルでふき取る。
英「…樹君の言ってた店はここ…かな。あ、いた。」
そうしているうちに英達がメモを片手に大柄でサングラスをかけた筋骨隆々の男を連れ、喫茶店に訪れる。
英がこちらの存在に気づき、視線をこちらに向けこちらに近寄ってくる。
喧竜「お、このガキがお前さん達のリーダか?」
大柄の男は口角をあげニヤリと笑いサングラスごしに俺の顔を覗き込む。
笑顔の反面サングラスごしにのぞかせる男の瞳は真剣だった。
遊樹「…悪いね。俺は副リーダーだ。リーダーはカウンター席でアイス食べてる女だ」
俺は、店内のカウンター席でアイスを食べる遊華を親指で差し示す
喧竜「…ん?あいつは…」
サングラスの男は一瞬遊華を見た後、少しあきれた表情を浮かべたあと何かに気づいたように遊華たちに近づいていく。
喧竜「…よぉ。やっぱりDJじゃねえか!」
DJ「yo?…あ、喧竜さんじゃないかyo。」
DJとその男はだいぶ親しい仲であるらしく、男とDJがハイタッチした後、男がアイスをこぼさないようにしつつDJを軽々と持ち上げ肩車をする。
DJもまんざらではなく、男の頭の上でアイスを食べ始める
遊華「DJ君、その人だれ?」
DJ「喧竜だyo。プロレスラーで、この町じゃ屈指のデュエリストだyo♪」
喧竜「喧竜だ。よろしくな、嬢ちゃん。」
遊華「よろしくね♪喧竜さん」
DJはその喧竜に肩車をされたまま、口周りにアイスをつけた顔で笑顔を浮かべながらノリノリな口調で話す。
喧竜が少し遊華を見定めるかのような笑顔を浮かべ、左手を差出し、遊華と握手をかわす。
英「…で、どうするんだい、今後は。」
遊樹「…とりあえず、どっかの密室でこいつをこってりと搾り上げなきゃな」
遊樹は地面に置いていた大きなギターのケースを取り出し、少しギターケースを開け、手足を縛られ、口をタオルにて塞いで拘束していた蓮次狼を一瞬に英に見せ、再びケースを閉じる。
英「…まったく、君は…でも、それしかなさそうだね。」
英はため息をはきつつも、納得したように遊樹を見る。
遊華「遊樹~♪みんな集まったね~♪次どうする~♪」
遊華はほほにアイスをつけ、満足げな笑顔を浮かべ、近づき遊樹の対面の席へと座る。
DJ達も遊華に続いてテーブルを囲むようにして座り始める。
遊樹「…まずは、お互いの自己紹介といこうか。俺は、小鳥遊一樹、こいつが言ってる通り、遊樹と呼んでくれていい。」
遊華「私は遊井春華♪遊華でいいよ♪遊樹ともどもよろしくね、喧竜さん♪」
喧竜「あぁ…そっちの嬢ちゃんがリーダーでいいのかい?副リーダー」
遊樹「あぁ。俺が副リーダで、遊華がリーダーでいい。」
遊華「え、私がリーダーでいいの♪」
遊樹「あぁ。お前が言い出したんだ。この旅はよ。」
遊華「やったぁ♪」
遊華はガッヅポーズをする。
DJ「おいらはDJだyo。この街でクラブやってるyo」
喧竜「俺は喧竜だ。プロレスラーやってる。大体の話はこっちの若造から聞いた。」
お二人が皮切りに自己紹介をはじめ、順に自己紹介を始める。
英「…で、どうすんだい?今後は?」
遊樹「やることを3つ。1つは、行動拠点の確保。2つ、魔王軍の情報、3つ、他の有力な仲間の確保、だな」
喧竜「行動拠点は俺の家じゃだめか?」
英「…喧竜さんは有名人だし、マスコミの連中が張ってる可能性があるから、避けたほうがいいでしょう。」
遊樹「なるべく、人目につかないところが良い。」
DJ「じゃあ…おいらのクラブが入ってる廃ビルじゃだめ?」
遊華「う~ん…でも、そこじゃ満足にお風呂入れないよぉ…」
ホクバル「同感じゃ。設備が不足しすぎじゃ。」
遊樹「…だが、廃ビル故部屋数もあるし、あの廃ビルの場所故に人目にも付きにくい。ま、設備が整うまでお風呂は喧竜さんの別荘で過ごそう。」
英「それに秘密を隠すには秘密の場所ってことね。2つ目の情報は、楽観的に考えてもいいんだね。」
英は遊樹の意見に同意する
遊華「え、あてがあるの?」
遊華の問いに対し、遊樹は『あぁ』とつぶやき、視線を黒いギターのケースに一瞬視線を移す。
遊樹「…俺とDJ、ホクバルと英で、廃ビルの拠点化始める。遊華と狼一は喧竜さんの別荘で休んでいてくれ」
英「了解、副リーダー。で合流場所は、喧竜さんの別荘」
喧竜「嬢ちゃん、俺の別荘でアイスでも食べるかい?」
遊華「食べる~♪」
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
遊樹チーム
ホクバル「いろいろ足りんのう。ワシが開発するにはもっと電力がひつようじゃというのに…」
英「それに、防音性や耐震性が高くないね。拠点にするんだったら多少手を加えないとね。」
遊樹「俺たち以外が入れないようのパスワード式自動ドア、窓も外部から見えないようにする特別仕様の窓も欲しい。」
DJのクラブが入った廃ビルに到着した遊樹たちは、合法、非合法問わず他の施設が入っていない階であまり損傷が見られない部屋を見つ
け、拠点化に向け改装の計画を始める
DJ「yo~…SFチックな話だyo…」
バット「普通はそうでございます。ですが、現実の話でございます。ご理解ください」
DJは改装の準備を進める間、バットに現状と自身達の話を説明するが、DJはどこか信じていない口調で説明を聞き続ける。
英「それにしても、ここを本格的に改造するのかい?一瞬しかいないかもしれないのに。」
ホクバル「英の言う通りじゃ。ここは簡易的な設備にして本拠点は遊樹の家を改造したほうが早いかもしれん。」
遊樹「…この状況じゃそうするしかないな。ここはあくまで情報収集と宿泊の両方だけを兼ねた最低限な設備にしよう。」
英「りょーかい。じゃあとりあえず、ここの掃除からはじめますか。」
ホクバル「そうじゃの。」
遊樹「俺はとりあえず…こいつから、魔王軍の情報でも先に聞き出しておくか」
蓮次狼「く…」
英とホクバルは簡易的な拠点化にむけ、各々ができる内容の作業を開始する
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
遊華「ろぉ~いちくん、もう食べないの~?」
狼一「お、おれはもう…限界です…」
喧竜「だらしねぇな、これぐらいの量で…」
狼一(むりだろ…漫画でしかみたことない上半身より高く盛られたカレーライスなんて…)
遊華たちが山盛りのカレーライスを食べる中、狼一は苦しそうにソファーで横になる。
喧竜「それにしてもよ、お前ら、本当に魔王軍とやらと戦おうとしてるのか?」
遊華「うん、そうだよ~♪」
喧竜「それにしては、リーダのくせに緊張感ねぇなぁ…」
遊華「えへへ♪まぁ、実質的なリーダは遊樹だからねぇ」
喧竜「だろうな。あっちは…それなりの修羅場くぐってそうだしな。」
狼一「俺たちの世界でも、怒らせるとやばい奴ってすごく有名っすよ。裏社会にも顔が利くって噂も聞くし…」
遊華「ふ~ん…確かに遊樹、いろんな人とお知り合いみたいで、いろんな所にタダでいけるし、どんなものでもすぐに手に入れられるよ♪」
遊華は口の周りをカレーをつけながら思い出すように遊樹のことをはなす。
喧竜「あと英っていう医者もそれなりにやばそうだな。」
遊華「あの人ね、私初めて会ったんだ~。遊樹の知り合いみたいだけど…」
狼一「あ、俺少し聞いたけど、普段はフリーの医者で、依頼を受けて手術したり講師したりしてるらしいっすよ」
遊華「ふ~ん、英さんってすごい人なんだね~。」
喧竜(それだけじゃない。奴からは…血の匂いが漂ってるぜ)
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
遊樹「…聞くことはたくさんあるが…まず、3つある。1つ目、魔王軍の目的は。2つ目、魔王軍の兵力は。3つめ、魔王軍の本拠地はどこにある」
蓮二郎「…悪いね。そのすべてにノーコメントだ。…ぐ」
遊樹は英達が改装の準備を行う中、適当な椅子に四肢を縛り付け、蓮次狼の拷問を始める。
遊樹は蓮次狼が言い終わると同時に、持ってきていた500万Vまでの電流が流れるように違法改造した警棒型のスタンガンにて廉二郎の首元に向かって振り下げる
遊樹「…拷問の手段だったら、これ以外にもあるんだ。」
英「君、知ってること早く話したほうがいいよ。彼がまだ道具を使ってる分、手加減してるってことだからね~」
蓮次狼「…悪いね、本当に何も知らないんだ。下っ端の雇われ兵なもんでね」
遊樹「…じゃあ、下っ端でもこの世界で何を目的に活動するか、少しでも聞いてるだろ」
蓮次狼「…お前たちもなんとなく分かってるだろうが、俺たちに指示されたのは、この世界で実力のあるデュエリストの誘拐さ。今頃俺たち下っ端部隊が世界中の街で、誘拐事件が多発してるはずさ。上の隊長格は別のなにかを探してるみたいだけどな」
遊樹「…『なにか』?」
蓮次狼「…俺に聞いても無意味だぜ。それに関しては、何も聞かされてないんだ。」
英「…これ以上は聞き出せないだろうね」
ホクバル「その『何か』の正体がわかれば、いいわけじゃな。」
バット「当面はそれを探ることも目的ですね」
バットたちも自身の作業をしつつも、蓮次狼からの拷問を続ける。
英「…で、そいつはどうするんだい?」
遊樹「…ホクバル、例のやつできてるかい」
ホクバル「あぁ。小型カプセル型空間物質圧縮保存装置じゃろ。まだ数個しかできとらんが…」
DJ「…??ど、どう言う道具なんだyo」
ホクバルはポケットから数個白色を基調としたカプセルを取り出し遊樹へと手渡す
ホクバル「すごく簡単にいうとな、ワシらがいるこの廃ビルもこのカプセルの中にいれて携帯することができるんじゃ」
DJ「へ~」
遊樹「今は1個あればいい。カプセルの中にこいつを入れる。今後役に立つかもしれんからな。」
遊樹は手渡されたカプセルの中から1つを取り、蓮次狼へと近づく。
???「…そこまでにしてもらおう。」
遊樹がカプセル内に蓮次狼を転送し拘束しようと首筋にカプセルのスイッチを近づけた瞬間、遊樹たちの後方から低い声が聞こえる。
遊樹たちが振り返ると、遊樹たちが改装していた部屋の入口に軍服を着て口元を軍服の襟で隠し、帽子を深々とかぶった男性が静かに立っていた。
遊樹や英にはその姿には見覚えがあった。昨晩遊樹たちの前に偵察部隊とともに行動していた人物だ。
軍服の襟に襟にて口元が隠れており、表情はうまく読み取れないが帽子と襟の間から覗く鋭い眼光は冷静さと同時に獣が獲物を狙うかのように攻撃的な威圧を発している。
ホクバル「なんじゃ。貴様は」
英「ホクバルはまだ合ったことなかったね。確か、名前はバレットといったか」
???→バレット「…下っ端とはいえ、俺の部下だ。返してもらおう」
遊樹「…いやなら?」
バレット「…どんな手段を行使してでも…」
バレットの眼光から殺意の意識が混ざりこみ、バレット周辺の空気が捻じ曲がるようにみえるほどの錯覚を起こすほどバレットの雰囲気が完全に戦闘モードへと切り替わる
蓮次狼「…お前たちを盛り上げるなら…このお方は…魔王軍にとって『最上級』の存在。つまり…『何か』の存在を知っている人間だ。」
バット「!」
英「へぇ…それはいいことを聞いた」
遊樹「…気をつけろよ。ホクバル、バット。こいつは俺と英の二人でも骨が折れそうだ。」
英「…いや、遊樹。こいつはまずは僕ひとりで相手するよ。」
バレット「…ほう。いい覚悟だ。」
遊樹「いいのか?」
英「あぁ。僕が戦って、遊樹がDJ達を連れて逃げたほうがいいでしょ。」
バット「英様…」
英が遊樹たちの目の前に立ち、デュエルディスクにデッキを入れる
遊樹は英の覚悟をくみ、蓮次狼を残しDJやホクバル達を逃がしはじめる。
英「…君は残るのかい、遊樹」
遊樹「…お前が無様に負ける姿を見たいだけだ」
遊樹はホクバルたちを部屋から逃がした後、壁に背を持たれかける
バレット「…お前を倒したら、次はお前だ」
英「…まったく、甘く見られたものだね。」
少し舐められていると感じた英は、少し癪に障ったのか今までの穏やかな雰囲気から少し攻撃的な雰囲気にかえ、バレットと英との間に戦闘の火花がはじけ始める
英、バレット「…デュエル!」
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
そのころ遊華は…
遊華「ふあぁ…にゃんだか眠くなってきちゃった…」
喧竜「だったら、部屋のベットを使うか?」
遊華「ほぇ…いいの~…じゃあつかうぅ~…」
喧竜は遊華を軽く持ち上げ、客室と思われる一室へ遊華を連れていく
狼一(…向うは魔王軍の襲撃があったみたいだけど、とりあえず、『こっちは今は特に異常はなし。遊華=睡眠、喧竜=遊華を部屋に。』と)
狼一はホクバルから襲撃のメールを受け、自身たちの現状を送る
狼一「…!」
狼一がメールを送信した直後、狼一に獣のような殺 気が襲いかかる。
狼一は不意に襲ってきた殺 気に対して思わず臆してしまう。
放たれた殺 気が強く発せられた方向を見ると、そこには喧竜に匹敵するほどの筋骨隆々で黒人かと思うほどの褐色肌で、オレンジに近い金髪、サングラスをかけた男性がニヤリを笑いながらこちらに歩いてくる
???2「絶 望を届けに来たぜ」
狼一は本能的に即座に察した。男性が自身より数段階上の強者であることを。暴力的な手段すらいとわないことを。
狼一は本能的に湧き上がる恐怖を押し殺 しその男性の前に立ちふさがる
狼一「なな、何の用が、あ、あるかはしらねぇけど、ここ、こっから先には、い、いかせねえぞ」
???2「立ちふさがるなら、叩き潰すだけだ」
狼一、???2「デュエル!」
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
ぷちAW
遊華「わぁ~喧竜さんの家のお風呂、ひっろ~い♪」」
5分後
遊華「あぁあ足しっかり延ばせて気持ちいいぃ♪」
さらに10分後
遊華「わあぁ♪バブルジェット、初めて~♪でもちょっとつよいぃ…」
10分後
遊華「いい景色~♪」
しばらくして…
遊華「きゅ~…」
狼一「…ながく入りすぎっすよ…」
遊華「わ~♪」
遊樹「騒ぐな、お前ら!ここで、英たちと合流するんだから!」
バット「まったく、この人たちは、にぎやかですね」
遊樹達は英たちと合流するため、DJ曰く街のシンボルである鉄塔付近にある喫茶店にて合流することに。
昼ごろになったというのに平日ということも影響しているのか、喫茶店には自分たち以外には若い男女のカップルが1組いるだけで、決して繁盛しているとはいえず、白毛が混じったオールバックの高齢のマスターは暇そうに大口をあけ欠伸すらしている。
喫茶店のラジオではちょうど男性が国会の不正などの昼間のニュースを単調に話している。
喫茶店から見渡せる鉄塔下の広場にも、晴天であるが犬の散歩や健康のためのヨガやランニングなどの初老の方々がチラホラ見かけるだけで、怪しい人影は見当たらない。
英達を待つ間、喫茶店にてこの世界で初めての食事を取る。
といっても、この喫茶店のメニューに載っているのはコーヒーやコーヒーに合ったアイスやお菓子などが中心であり、メニューも産地の名前以外には俺たちの世界とは一見差を感じられない。
DJ「マスター、おいらはいつものね」
遊華「あ、私もDJ君と同じので♪」
DJは『いつもの』で通じるほどこの店の常連で、マスターとは親しい仲であるらしく、『いつもの』メニューを注文し、遊華も便乗して
『いつもの』メニューを注文する
マスターは『あいよ』と呟くと手慣れた手つきでコーヒー牛乳にアイスがトッピングされたメニューがDJと遊華の2つの分が現れる
メニューには載っていない。恐らくはマスターが子供であるDJに配慮したメニューであろう。
その配慮を知ってか知らずかDJと遊華は俺たちが座る店外に設置されたカラフルのパラソルの下にあるテーブル席からカウンター席に移動しおいしそうに満面な笑顔を浮かべながら食べ始める。
バット「今のところ、仲間集めのほうは順調のようですね」
遊樹「あぁ。」
異世界に移動後、2,3日で2名の実力があるといわれる仲間候補2名の確保。
確かに順調であることは確かだったが、胸には不安が立ち込め始める。
DJをスカウトする際に来た蓮次狼という人物、さらに英達の方でも昨晩現れた部隊が現れたらしい。
一回は退けたものの、その後襲撃してくる気配は感じられない。
こうしている間にも、魔王軍は着々とこの世界への侵略行為を始めているはずだが、喫茶店のBGMとして流れるラジオのニュースからは謎の部隊の襲撃や有名デュエリストの誘拐といったニュースが流れる気配がない。
魔王軍はまだ準備をしているのか、はたまた…
遊華「遊樹ぃ~、何考えてるのぉ~?遊樹も何か食べなよ~♪マスターの『いつもの』おいしいy…ひゃあ!?」
遊華は魔王軍の動向を考えている俺に満面な笑顔を向け、アイスを食べているとアイスを食べる用の小さなスプーンからアイスがすべり落ち、ふとももの上へと落ちる。
その光景を見た俺とバットはため息を吐き、DJは大口をあけ店内に響き渡るように天真爛漫に笑う。
遊華は不服そうにほほを膨らませ、太ももに落ちたアイスをマスターから受け取った白色のタオルでふき取る。
英「…樹君の言ってた店はここ…かな。あ、いた。」
そうしているうちに英達がメモを片手に大柄でサングラスをかけた筋骨隆々の男を連れ、喫茶店に訪れる。
英がこちらの存在に気づき、視線をこちらに向けこちらに近寄ってくる。
喧竜「お、このガキがお前さん達のリーダか?」
大柄の男は口角をあげニヤリと笑いサングラスごしに俺の顔を覗き込む。
笑顔の反面サングラスごしにのぞかせる男の瞳は真剣だった。
遊樹「…悪いね。俺は副リーダーだ。リーダーはカウンター席でアイス食べてる女だ」
俺は、店内のカウンター席でアイスを食べる遊華を親指で差し示す
喧竜「…ん?あいつは…」
サングラスの男は一瞬遊華を見た後、少しあきれた表情を浮かべたあと何かに気づいたように遊華たちに近づいていく。
喧竜「…よぉ。やっぱりDJじゃねえか!」
DJ「yo?…あ、喧竜さんじゃないかyo。」
DJとその男はだいぶ親しい仲であるらしく、男とDJがハイタッチした後、男がアイスをこぼさないようにしつつDJを軽々と持ち上げ肩車をする。
DJもまんざらではなく、男の頭の上でアイスを食べ始める
遊華「DJ君、その人だれ?」
DJ「喧竜だyo。プロレスラーで、この町じゃ屈指のデュエリストだyo♪」
喧竜「喧竜だ。よろしくな、嬢ちゃん。」
遊華「よろしくね♪喧竜さん」
DJはその喧竜に肩車をされたまま、口周りにアイスをつけた顔で笑顔を浮かべながらノリノリな口調で話す。
喧竜が少し遊華を見定めるかのような笑顔を浮かべ、左手を差出し、遊華と握手をかわす。
英「…で、どうするんだい、今後は。」
遊樹「…とりあえず、どっかの密室でこいつをこってりと搾り上げなきゃな」
遊樹は地面に置いていた大きなギターのケースを取り出し、少しギターケースを開け、手足を縛られ、口をタオルにて塞いで拘束していた蓮次狼を一瞬に英に見せ、再びケースを閉じる。
英「…まったく、君は…でも、それしかなさそうだね。」
英はため息をはきつつも、納得したように遊樹を見る。
遊華「遊樹~♪みんな集まったね~♪次どうする~♪」
遊華はほほにアイスをつけ、満足げな笑顔を浮かべ、近づき遊樹の対面の席へと座る。
DJ達も遊華に続いてテーブルを囲むようにして座り始める。
遊樹「…まずは、お互いの自己紹介といこうか。俺は、小鳥遊一樹、こいつが言ってる通り、遊樹と呼んでくれていい。」
遊華「私は遊井春華♪遊華でいいよ♪遊樹ともどもよろしくね、喧竜さん♪」
喧竜「あぁ…そっちの嬢ちゃんがリーダーでいいのかい?副リーダー」
遊樹「あぁ。俺が副リーダで、遊華がリーダーでいい。」
遊華「え、私がリーダーでいいの♪」
遊樹「あぁ。お前が言い出したんだ。この旅はよ。」
遊華「やったぁ♪」
遊華はガッヅポーズをする。
DJ「おいらはDJだyo。この街でクラブやってるyo」
喧竜「俺は喧竜だ。プロレスラーやってる。大体の話はこっちの若造から聞いた。」
お二人が皮切りに自己紹介をはじめ、順に自己紹介を始める。
英「…で、どうすんだい?今後は?」
遊樹「やることを3つ。1つは、行動拠点の確保。2つ、魔王軍の情報、3つ、他の有力な仲間の確保、だな」
喧竜「行動拠点は俺の家じゃだめか?」
英「…喧竜さんは有名人だし、マスコミの連中が張ってる可能性があるから、避けたほうがいいでしょう。」
遊樹「なるべく、人目につかないところが良い。」
DJ「じゃあ…おいらのクラブが入ってる廃ビルじゃだめ?」
遊華「う~ん…でも、そこじゃ満足にお風呂入れないよぉ…」
ホクバル「同感じゃ。設備が不足しすぎじゃ。」
遊樹「…だが、廃ビル故部屋数もあるし、あの廃ビルの場所故に人目にも付きにくい。ま、設備が整うまでお風呂は喧竜さんの別荘で過ごそう。」
英「それに秘密を隠すには秘密の場所ってことね。2つ目の情報は、楽観的に考えてもいいんだね。」
英は遊樹の意見に同意する
遊華「え、あてがあるの?」
遊華の問いに対し、遊樹は『あぁ』とつぶやき、視線を黒いギターのケースに一瞬視線を移す。
遊樹「…俺とDJ、ホクバルと英で、廃ビルの拠点化始める。遊華と狼一は喧竜さんの別荘で休んでいてくれ」
英「了解、副リーダー。で合流場所は、喧竜さんの別荘」
喧竜「嬢ちゃん、俺の別荘でアイスでも食べるかい?」
遊華「食べる~♪」
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
遊樹チーム
ホクバル「いろいろ足りんのう。ワシが開発するにはもっと電力がひつようじゃというのに…」
英「それに、防音性や耐震性が高くないね。拠点にするんだったら多少手を加えないとね。」
遊樹「俺たち以外が入れないようのパスワード式自動ドア、窓も外部から見えないようにする特別仕様の窓も欲しい。」
DJのクラブが入った廃ビルに到着した遊樹たちは、合法、非合法問わず他の施設が入っていない階であまり損傷が見られない部屋を見つ
け、拠点化に向け改装の計画を始める
DJ「yo~…SFチックな話だyo…」
バット「普通はそうでございます。ですが、現実の話でございます。ご理解ください」
DJは改装の準備を進める間、バットに現状と自身達の話を説明するが、DJはどこか信じていない口調で説明を聞き続ける。
英「それにしても、ここを本格的に改造するのかい?一瞬しかいないかもしれないのに。」
ホクバル「英の言う通りじゃ。ここは簡易的な設備にして本拠点は遊樹の家を改造したほうが早いかもしれん。」
遊樹「…この状況じゃそうするしかないな。ここはあくまで情報収集と宿泊の両方だけを兼ねた最低限な設備にしよう。」
英「りょーかい。じゃあとりあえず、ここの掃除からはじめますか。」
ホクバル「そうじゃの。」
遊樹「俺はとりあえず…こいつから、魔王軍の情報でも先に聞き出しておくか」
蓮次狼「く…」
英とホクバルは簡易的な拠点化にむけ、各々ができる内容の作業を開始する
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
遊華「ろぉ~いちくん、もう食べないの~?」
狼一「お、おれはもう…限界です…」
喧竜「だらしねぇな、これぐらいの量で…」
狼一(むりだろ…漫画でしかみたことない上半身より高く盛られたカレーライスなんて…)
遊華たちが山盛りのカレーライスを食べる中、狼一は苦しそうにソファーで横になる。
喧竜「それにしてもよ、お前ら、本当に魔王軍とやらと戦おうとしてるのか?」
遊華「うん、そうだよ~♪」
喧竜「それにしては、リーダのくせに緊張感ねぇなぁ…」
遊華「えへへ♪まぁ、実質的なリーダは遊樹だからねぇ」
喧竜「だろうな。あっちは…それなりの修羅場くぐってそうだしな。」
狼一「俺たちの世界でも、怒らせるとやばい奴ってすごく有名っすよ。裏社会にも顔が利くって噂も聞くし…」
遊華「ふ~ん…確かに遊樹、いろんな人とお知り合いみたいで、いろんな所にタダでいけるし、どんなものでもすぐに手に入れられるよ♪」
遊華は口の周りをカレーをつけながら思い出すように遊樹のことをはなす。
喧竜「あと英っていう医者もそれなりにやばそうだな。」
遊華「あの人ね、私初めて会ったんだ~。遊樹の知り合いみたいだけど…」
狼一「あ、俺少し聞いたけど、普段はフリーの医者で、依頼を受けて手術したり講師したりしてるらしいっすよ」
遊華「ふ~ん、英さんってすごい人なんだね~。」
喧竜(それだけじゃない。奴からは…血の匂いが漂ってるぜ)
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
遊樹「…聞くことはたくさんあるが…まず、3つある。1つ目、魔王軍の目的は。2つ目、魔王軍の兵力は。3つめ、魔王軍の本拠地はどこにある」
蓮二郎「…悪いね。そのすべてにノーコメントだ。…ぐ」
遊樹は英達が改装の準備を行う中、適当な椅子に四肢を縛り付け、蓮次狼の拷問を始める。
遊樹は蓮次狼が言い終わると同時に、持ってきていた500万Vまでの電流が流れるように違法改造した警棒型のスタンガンにて廉二郎の首元に向かって振り下げる
遊樹「…拷問の手段だったら、これ以外にもあるんだ。」
英「君、知ってること早く話したほうがいいよ。彼がまだ道具を使ってる分、手加減してるってことだからね~」
蓮次狼「…悪いね、本当に何も知らないんだ。下っ端の雇われ兵なもんでね」
遊樹「…じゃあ、下っ端でもこの世界で何を目的に活動するか、少しでも聞いてるだろ」
蓮次狼「…お前たちもなんとなく分かってるだろうが、俺たちに指示されたのは、この世界で実力のあるデュエリストの誘拐さ。今頃俺たち下っ端部隊が世界中の街で、誘拐事件が多発してるはずさ。上の隊長格は別のなにかを探してるみたいだけどな」
遊樹「…『なにか』?」
蓮次狼「…俺に聞いても無意味だぜ。それに関しては、何も聞かされてないんだ。」
英「…これ以上は聞き出せないだろうね」
ホクバル「その『何か』の正体がわかれば、いいわけじゃな。」
バット「当面はそれを探ることも目的ですね」
バットたちも自身の作業をしつつも、蓮次狼からの拷問を続ける。
英「…で、そいつはどうするんだい?」
遊樹「…ホクバル、例のやつできてるかい」
ホクバル「あぁ。小型カプセル型空間物質圧縮保存装置じゃろ。まだ数個しかできとらんが…」
DJ「…??ど、どう言う道具なんだyo」
ホクバルはポケットから数個白色を基調としたカプセルを取り出し遊樹へと手渡す
ホクバル「すごく簡単にいうとな、ワシらがいるこの廃ビルもこのカプセルの中にいれて携帯することができるんじゃ」
DJ「へ~」
遊樹「今は1個あればいい。カプセルの中にこいつを入れる。今後役に立つかもしれんからな。」
遊樹は手渡されたカプセルの中から1つを取り、蓮次狼へと近づく。
???「…そこまでにしてもらおう。」
遊樹がカプセル内に蓮次狼を転送し拘束しようと首筋にカプセルのスイッチを近づけた瞬間、遊樹たちの後方から低い声が聞こえる。
遊樹たちが振り返ると、遊樹たちが改装していた部屋の入口に軍服を着て口元を軍服の襟で隠し、帽子を深々とかぶった男性が静かに立っていた。
遊樹や英にはその姿には見覚えがあった。昨晩遊樹たちの前に偵察部隊とともに行動していた人物だ。
軍服の襟に襟にて口元が隠れており、表情はうまく読み取れないが帽子と襟の間から覗く鋭い眼光は冷静さと同時に獣が獲物を狙うかのように攻撃的な威圧を発している。
ホクバル「なんじゃ。貴様は」
英「ホクバルはまだ合ったことなかったね。確か、名前はバレットといったか」
???→バレット「…下っ端とはいえ、俺の部下だ。返してもらおう」
遊樹「…いやなら?」
バレット「…どんな手段を行使してでも…」
バレットの眼光から殺意の意識が混ざりこみ、バレット周辺の空気が捻じ曲がるようにみえるほどの錯覚を起こすほどバレットの雰囲気が完全に戦闘モードへと切り替わる
蓮次狼「…お前たちを盛り上げるなら…このお方は…魔王軍にとって『最上級』の存在。つまり…『何か』の存在を知っている人間だ。」
バット「!」
英「へぇ…それはいいことを聞いた」
遊樹「…気をつけろよ。ホクバル、バット。こいつは俺と英の二人でも骨が折れそうだ。」
英「…いや、遊樹。こいつはまずは僕ひとりで相手するよ。」
バレット「…ほう。いい覚悟だ。」
遊樹「いいのか?」
英「あぁ。僕が戦って、遊樹がDJ達を連れて逃げたほうがいいでしょ。」
バット「英様…」
英が遊樹たちの目の前に立ち、デュエルディスクにデッキを入れる
遊樹は英の覚悟をくみ、蓮次狼を残しDJやホクバル達を逃がしはじめる。
英「…君は残るのかい、遊樹」
遊樹「…お前が無様に負ける姿を見たいだけだ」
遊樹はホクバルたちを部屋から逃がした後、壁に背を持たれかける
バレット「…お前を倒したら、次はお前だ」
英「…まったく、甘く見られたものだね。」
少し舐められていると感じた英は、少し癪に障ったのか今までの穏やかな雰囲気から少し攻撃的な雰囲気にかえ、バレットと英との間に戦闘の火花がはじけ始める
英、バレット「…デュエル!」
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
そのころ遊華は…
遊華「ふあぁ…にゃんだか眠くなってきちゃった…」
喧竜「だったら、部屋のベットを使うか?」
遊華「ほぇ…いいの~…じゃあつかうぅ~…」
喧竜は遊華を軽く持ち上げ、客室と思われる一室へ遊華を連れていく
狼一(…向うは魔王軍の襲撃があったみたいだけど、とりあえず、『こっちは今は特に異常はなし。遊華=睡眠、喧竜=遊華を部屋に。』と)
狼一はホクバルから襲撃のメールを受け、自身たちの現状を送る
狼一「…!」
狼一がメールを送信した直後、狼一に獣のような殺 気が襲いかかる。
狼一は不意に襲ってきた殺 気に対して思わず臆してしまう。
放たれた殺 気が強く発せられた方向を見ると、そこには喧竜に匹敵するほどの筋骨隆々で黒人かと思うほどの褐色肌で、オレンジに近い金髪、サングラスをかけた男性がニヤリを笑いながらこちらに歩いてくる
???2「絶 望を届けに来たぜ」
狼一は本能的に即座に察した。男性が自身より数段階上の強者であることを。暴力的な手段すらいとわないことを。
狼一は本能的に湧き上がる恐怖を押し殺 しその男性の前に立ちふさがる
狼一「なな、何の用が、あ、あるかはしらねぇけど、ここ、こっから先には、い、いかせねえぞ」
???2「立ちふさがるなら、叩き潰すだけだ」
狼一、???2「デュエル!」
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ぷちAW
遊華「わぁ~喧竜さんの家のお風呂、ひっろ~い♪」」
5分後
遊華「あぁあ足しっかり延ばせて気持ちいいぃ♪」
さらに10分後
遊華「わあぁ♪バブルジェット、初めて~♪でもちょっとつよいぃ…」
10分後
遊華「いい景色~♪」
しばらくして…
遊華「きゅ~…」
狼一「…ながく入りすぎっすよ…」
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