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HOME > 遊戯王SS一覧 > 17話 強さの証明

17話 強さの証明 作:いちごT

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前回のあらすじ。

エントリーデュエルを受けるため、校舎に急ぐ一果だが、勝負に負けて逆恨みする土門宇月の卑劣な罠により、デュエルを余儀なくされる。
うまく相手の効果も利用して優位に進めていくが…

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ーデュエルアカデミア地下1階ー

繭「……着いた。」


ちよ「ま…繭ちゃ……あ…あり……がと…」


息も絶え絶えのちよに肩を貸し、なんとかアカデミアカップのエントリー会場であるシミュレーションルーム前に到着する。
ちよは行方不明になった靴を探す一果の代わりに急いでここに向かっていたが、体力の無さゆえに途中でへばっているところを繭に拾われたのだった。


繭「……平気。」


ちよ「繭ちゃん? 顔…赤いけど大丈夫? ごめんね。肩かしてくれたから疲れちゃったよね……」


自分もそうだが顔を真っ赤にしている繭を心配そうに覗き込むちよ。


繭「………大丈夫。これは…違うから。」


ちよ「へ?」


遊飛「おー! ちよと繭じゃんか!どうした?2人とも赤い顔して。」


ちよ「ゆ、遊飛くん。こ、これはね…」


エントリーデュエルの列に並ぶためにやってきた遊飛と景介に、状況を説明する。


遊飛「靴がねぇ…そんで一果はまだ道場にいるかもしれないってことか。」


ちよ「うん…もうこっちに向かってるかもしれないけど…」


景介「ま、とにかく連絡してみよう。」


景介は懐からPDAを取り出し、一果へと繋ぐ。



ー道場裏ー

一果「どうする? まだアンタのターンだよ?」


宇月「ぐ……ターン終了だ。」



●一果 LP4000 手札1
モンスター:『犬闘士レスリバー』『犬闘士ジークフンド』
魔法、罠:『ドッグ・クロスガード』

●宇月 LP3600 手札4
モンスター:『怒れる類人猿』『怒れる類人猿』
魔法、罠:『バナナスリップ』


一果「アタシのターン! ドロ…」


デッキの上の1枚に手を添えた瞬間、一果のPDAが鳴り、その動きは止まる。


一果「ん? 景介か? 今ちょっと取り込み中で……あ?ああ、靴は見つかったけど…」


これまでの経緯をPDAの奥の景介に簡潔に伝える。


一果「……まあそういうわけ。すぐ行くからさ、じゃあ後で。」


通話が終わり、一果はPDAを懐にしまう。


宇月「ええい貴様! 真剣勝負の際中に電話するんじゃない!」


一果「卑怯な真似しておいて何が真剣勝負だ! ドロー!」


一果「アタシはレベル4のレスリバーにレベル3のジークフンドをチューニング!」


一果「シンクロ召喚! 『犬闘士トサショウリュウ!!』」
・犬闘士トサショウリュウ ☆7 地 2500/1800


土佐犬の力士が現れ、四股を踏んでその存在を示す。


宇月「ぐ…シンクロ!?」


一果「トサショウリュウは素材となった犬闘士の白星カウンターを引き継ぐ! 」


一果「さらに『ジークフンド』の効果! シンクロ素材として墓地へ送られた時、フィールド上の表側のカード1枚を効果を無効にして破壊する! アタシが破壊するのはバナナスリップ!」


宇月「ちぃ! バナナスリップが墓地へ送られた時、デッキから類人猿モンスター1体、私は『悲しむ類人猿(グリービングゴリラ)』を手札に加える!」


一果「トサショウリュウの攻撃力はフィールドの白星カウンターの数×100アップする!」

・犬闘士トサショウリュウ 攻2500→攻2600

宇月「何っ!?」


一果「バトルだ! トサショウリュウで怒れる類人猿を攻撃! 『突っ張り乱舞!!』」


目にも留まらぬ突っ張りの雨を浴び、怒れる類人猿は爆散する。


宇月「くああ!!」

宇月 LP3600→LP3000


一果「トサショウリュウの効果でさらに白星カウンターが1つ乗る。」

・犬闘士トサショウリュウ 白星カウンター 1→2 攻2600→攻2700


宇月「くっ! フィールドで類人猿モンスターが破壊されたとき、『悲しむ類人猿』を手札から特殊召喚する!」

・悲しむ類人猿 ☆4 地 2000/1000


一果「この調子でさっさと終わらせてやる、ターンエンドだ。」


宇月「くそっ!ドロー!」


宇月は劣勢の怒り故か、乱暴にカードを引き抜く。


宇月「ちっ、私は『喜ぶ類人猿(ハッピーゴリラ)』を守備表示で召喚!」

・喜ぶ類人猿 ☆4 地 2000/1000


宇月「このカードはフィールドに他の類人猿モンスターがいる場合のみ、攻撃ができるモンスターだ。そして……怒れる類人猿を守備表示に…」


怒れる類人猿が防御姿勢をとるや否や、四散する。


一果「ま、無駄にダメージ受けるよりはマシだもんな。」


宇月「おのれ工藤一果! 一度ならず二度までもこちらの効果を逆手にとって…許さん!」


一果「単に裏目に出てるだけだろうが!逆ギレすんな!」


宇月「ぐぬぬぬ…私はカードを1枚伏せてターン終了だ。」



●一果 LP4000 手札2
モンスター:『犬闘士トサショウリュウ』
魔法、罠:

●宇月 LP 3000 手札4
モンスター:『悲しむ類人猿』、『喜ぶ類人猿』
魔法、罠:伏せカード×1


一果「アタシのターン、ドロー。」


一果「よし!トサショウリュウで悲しむ類人猿に攻撃!!」


再び見舞われる突っ張りの雨の前に、悲しむ類人猿も散っていく。


一果「カードを1枚伏せてターンエンド。押し切られる前にサレンダーした方がいいんじゃないのか?」


宇月「うるさい! ドロー! 」


宇月「そんなメタボの犬っころ、こいつで粉砕してくれる! 行け、『嫉妬する類人猿(エンヴィーゴリラ)』召喚!!」

・嫉妬する類人猿 ☆4 地 2400/1000


宇月「『嫉妬する類人猿』は自身よりレベルの高いモンスターにしか攻撃できない。」


一果「それじゃあ返り討ちだ。来るなら来なよ。」


宇月「ふん、策も無しに召喚する訳ないだろう。魔法カード『ドラミング』発動!」


2頭のゴリラが一斉に胸を叩き始め、その振動がフィールド全体に伝わる。


宇月「このカードはゴリラ達の攻撃力を500アップする。また全ての相手モンスターの攻撃力は500ダウンする!」
・嫉妬する類人猿 攻2400→攻2900
・喜ぶ類人猿 攻2000→攻2500

・犬闘士トサショウリュウ 攻2700→攻2200


一果「なっ!?」


宇月「『喜ぶ類人猿』を攻撃表示にしてバトルフェイズ! 『嫉妬する類人猿』で攻撃!」


一果「うわああぁぁぁ!?………なんてな。リバースカード『分断の壁!』」


宇月「なんだと!?」


一果「相手モンスター1体につき攻撃力が800ダウンする!」
・嫉妬する類人猿 攻2900→攻1300
・喜ぶ類人猿 攻2500→攻900


殴りかかってくるゴリラのその拳が届くより先にトサショウリュウの突っ張りが炸裂する。


宇月「ぐああ!?」

・宇月 LP3000→LP2100


一果「戦闘ダメージを与えたことでトサショウリュウに白星カウンターが乗る。」

・犬闘士トサショウリュウ 白星カウンター2→3 攻2200→攻2300


一果「迂闊に突っ込みすぎだな。もっと頭使え。」


宇月「◎△$♪×¥●&%#?!!!」


一果「ど…どうした…」


天に向かって声にならない叫びをあげ、そのまま硬直する宇月に困惑し、一果は顔をひきつらせる。


一果「ったく……で、どうすんの?」


宇月「…………」


一果「おい。」


宇月「ターン……終了。」



●一果 LP4000 手札2
モンスター:『犬闘士トサショウリュウ』
魔法、罠:

●宇月 LP2100 手札3
モンスター:『喜ぶ類人猿』
魔法、罠:『伏せカード』


一果「ドロー。『犬闘士カラテリア』を召喚。」
・犬闘士カラテリア 地 ☆4 1500/1300


一果「こっちはあんたなんかにこれ以上付き合ってられないんだ。バトル! トサショウリュウで『喜ぶ類人猿』に攻撃!」


このデュエル何度目かの突っ張りの嵐が見舞われる。


宇月「………」

・宇月 LP2100→700


一果「これでトサショウリュウ、カラテリアにそれぞれカウンターが乗る。」
・犬闘士トサショウリュウ 白星カウンター3→4 攻2300→攻2400


一果「そしてカラテリアでダイレクト…」


カラテリアにトドメの指示をしかけたところでその動きを止める。
対戦相手、土門宇月が下を向いて微動だにしないのが目に入ったからだ。その様子に一果は心の中で舌打ちをする。


一果「…戦意喪失ってやつ?ま、早く終わる分には何でもいいけどさ。でも…」


一果「柔道で負けて、嫌がらせしてまでデュエルして、諦めて。」


一果「あんた、情けないね。挑んだからにはせめて最後までしゃんとしな!!」


宇月「……ッ!」


一果「行け!カラテリア! ダイレクトアタック!!」


拳が自らに迫る中、宇月はどうしてこうなったのか、なぜこんな説教をされるのか。混乱する頭の中で一つの強い思いだけが様々な考えを突き抜けて浮かび上がる。


宇月「……くない…」


宇月「私は!負けたく! なァい!!」


宇月「罠カード『闘争本能!』 手札の獣族モンスター1体を特殊召喚する! 来い、『怒れる類人猿!』」


宇月の咆哮とともに3度現れた怒れる類人猿も咆哮を放つ。


一果「く…攻撃ストップ! 」


一果「とどめはお預けか。早くみんなのところへ行きたいけど、諦められるよりは気分がいいね。ターンエンドだ。」


宇月「昔から…」


一果「うん?」


宇月「昔からよく言われてきた。柔道で…体が大きいから強くて当たり前、勝って当たり前だと。」


宇月「だが私はデカイだけで勝ってる訳じゃない! そう言われるのが嫌で、練習量もそこらのやつよりたくさん! そんな私が負けたらただの木偶の坊だ!!」


宇月「だからもう負けるわけにはいかない!私はデカイだけじゃない!それを証明するんだ!ドロー!!」


一果(……デュエルで勝ってもそれが証明されるとは思えないけど…あいつはあいつで色々抱えてるってわけか。)


一果「よし来い!」


宇月「言われずとも!……『喜ぶ類人猿』を召喚し、魔法カード『二重召喚』発動。『怒れる類人猿』『喜ぶ類人猿』2体を生け贄に!」


宇月「出でよ私の最強モンスター! 『蹂躙する類人猿(デストロイゴリラ)!!』」
・蹂躙する類人猿 地 ☆10 4000/1000


キングコングを連想させる巨体に随所に見られる機械化の痕跡。片目にスコープ、胸にアーマー、左腕に砲身を携えて胸を打ち鳴らし、金属音を響かせる。


一果「攻撃力…4000!?」


宇月「攻撃力2000以上の獣族モンスター2体を生け贄に召喚される最強の類人猿。これで形勢逆転だ! 」


一果「余計なこと言わないでさっさと倒しておけば良かった……かな?」



ーデュエルアカデミア地下1階ー


遊飛「前、あと何人だ?」


景介「うーん、10人ちょいくらいかな。」


アカデミアカップのエントリーを受けるはずの一果を待つ遊飛ら4人は後ろに並ぶ生徒と整理券を交換してなんとか順番が来るのを逃れていた。


繭「……後ろ、多分もう並ばない…」


景介「だろうね。もうしばらく僕らが最後尾だし、あとは時間の問題か。」


ちよ「一果ちゃん…大丈夫かなぁ…」


景介「でも律儀だよね。デュエルなんて受けずに相手をぶっ飛ばして靴持ってこっち来れば話は早いのにさ。」


遊飛「おい景介、バカ言っちゃいけないぜ。」


ちよ「そ、そうだよ…ぶっ飛ばすなんて…」


遊飛「1度挑まれたデュエル、受けて立たなきゃ男じゃないぜ!」


ちよ「そうそう……じゃなくて伴くん! 女の子だよ!」


繭(そういう問題じゃない気もするけど…)


遊飛「仕方ない…ちょっくら迎えに行ってくるか。」


ちよ「う、うちも!」


景介「ちよさんは…やめた方がいいよ。遊飛君と一果さんに介抱されて連れて来られるのオチだよ。」


ちよ「う…」


繭「……デリカシー…ない。」


運動能力のなさを鑑みてちよを制止する景介に繭の冷たい視線が刺さる。


景介「え…僕は心配しただけなのに…」


遊飛「ハハハ、まあ一人で大丈夫。んじゃ行ってくるぜ!」


ちよ「き、気をつけてね!」


遊飛「おう。景介は負けんなよ?」


景介「平気さ、僕のデッキは考えに考え抜いた究極の対策不可能なデッキだからね。」


遊飛「そりゃあ期待できるな!」


そう言うと遊飛はその場を後にする。



ー道場前ー


宇月「バトルだ! 『蹂躙する類人猿』の攻撃! 『類人猿砲撃(ゴリラキャノン)!!』」


左腕の砲身からエネルギーの塊が打ち出され、トサショウリュウが飲み込まれる。


一果「くっ!!」

・一果 LP4000→LP3200


一果「あれ? ライフがあんまし減ってないな…」


宇月「『蹂躙する類人猿』の与える戦闘ダメージは悲しいかな半減してしまうのだ…む?」


爆風の中に揺らぐ影を見て宇月は目を凝らす。そこにはトサショウリュウが傷つきながらも直立していた。


一果「トサショウリュウは白星カウンターを2つ以上持っている時、戦闘では破壊されない。でも戦闘ダメージを受けたことで白星カウンターは1つ取り除かれる…」

・犬闘士トサショウリュウ 白星カウンター4→3 攻2400→攻2300


宇月「まあいい! さらに『蹂躙する類人猿』は全てのモンスターに1度ずつ攻撃が可能! 『犬闘士カラテリア』にも攻撃だ!!」


一果「ちょっ! それは反則だろ! うわあぁぁ!!」


再び砲撃が炸裂し、カラテリアは跡形もなく消し飛んでしまう。


宇月「凄かろう! さらにコイツは相手のカードの効果の対象にもならない…無敵なのだ!」


一果「くっそ…とんでもないモンスターだ…」

・一果 LP3200→LP1950


宇月「勝利は目前!ターン終了だ!」




●一果 LP1950 手札2
モンスター:『犬闘士トサショウリュウ』
魔法、罠:

●宇月 LP700 手札0
モンスター:『蹂躙する類人猿』
魔法、罠:


一果「ドロー! トサショウリュウを守備表示。ターンエンドだ。」


宇月「ドロー、カードを1枚伏せてターン終了だ。」


一果「守備表示にしてれば流石に手出し出来ないだろ?」


宇月「所詮は時間稼ぎ、すぐにどうにかしてくれるわ。」



●一果 LP1950 手札3
モンスター:『犬闘士トサショウリュウ』
魔法、罠:

●宇月 LP700 手札0
モンスター:『蹂躙する類人猿』
魔法、罠:『伏せカード』


一果「ドロー!……ターンエンドだ。」


宇月「私のターン、ドロー! 装備魔法『メテオ・ストライク!!』」


一果「メテオ…?」


宇月「これを装備した私のモンスターは守備モンスターに攻撃した時、貫通ダメージを与える!」


一果「おい!もう対策してくんのかよ!」


宇月「すぐにどうにかするといっただろ! 行け!『類人猿砲撃!!』」


一果「わあっ!?」

・一果 LP1950→LP850

宇月「どうだ!? あと1発だぞ!!」


一果「く…まだまだ!」

・犬闘士トサショウリュウ 白星カウンター3→2 攻2300→攻2200


宇月「だが次の私のターンで確実に終わりだ。ついにリベンジがなされる時!」


一果「まだまだ…そう簡単にやられるもんか!」



●一果 LP850 手札4
モンスター:『犬闘士トサショウリュウ』
魔法、罠:

●宇月 LP700 手札0
モンスター:『蹂躙する類人猿』
魔法、罠:『メテオストライク』『伏せカード』


一果(とは言ってもこのターンでどうにかしないと負けは確実…)


一果「ドローッ!!」


そのカードを確認するとともに一果の口角が上がり、白い歯がのぞく。


一果「次のあんたのターンで終わりか…」


宇月「どうした? 諦めるのは情けないと言ったのはお前だぞ?」


一果「勘違いすんな。ただ…」


宇月「ただ?」


一果「次のあんたのターンは来ない……このアタシのターンで終わりだ!」


宇月「バカな…『蹂躙する類人猿』に勝てるはずがない。」


一果「見てりゃ分かるよ! 魔法カード『業火犬乱』発動! 手札を1枚捨て、捨てた分だけ墓地の犬闘士を特殊召喚する! 来い!『犬闘士ジークフンド』 」

・犬闘士ジークフンド 地 ☆3 1100/300


一果「この効果で召喚されたジークフンドに白星カウンターが1つ乗る。そしてレベル7トサショウリュウにレベル3ジークフンドをチューニング!!」


一果「誇り高き闘犬よ!遥か高みに君臨し、王者の風をなびかせろ!! シンクロ召喚!現れろ! 『犬闘士マスター・マスティフ!!』」

・犬闘士マスター・マスティフ 地 ☆10 3000/2000


宇月「ここで切り札か!? だが貴様の魂胆は見えているぞ…墓地に送ったチューナーの効果で表側のカード…つまり『蹂躙する類人猿』を破壊しようというのだろうがそうはいかん!」


宇月「『蹂躙する類人猿』は相手の効果の対象にならん…無駄打ちだったな。」


一果「はあ? 誰が効果で破壊するって言ったよ? 正面からぶっ飛ばすんだよ!」


一果「そして永続魔法『犬火常闘(けんかじょうとう)!』。発動時にフィールドの犬闘士に1つずつ白星カウンターを置く。素材となったモンスターから引き継いだ分を合わせてマスティフに4つのカウンターが置かれる!」


宇月「それがどうしたというんだ?」


一果「マスティフはフィールドの白星カウンター1つにつき、攻撃力を200アップさせる。」

・犬闘士マスター・マスティフ 攻3000→攻3800


宇月「だがそれでもわずかに届かない! 残念だな。」


一果「それはどうだろうな? バトルだ! マスター・マスティフの攻撃! マスタアアァァァ…パァンチ!!」


宇月「血迷ったか!?」


一果「いーや? 血迷ってないよ! 『犬火常闘』の効果! 犬闘士は戦闘を行う相手モンスターのレベル×100、攻撃力がアップする!!」


宇月「何ぃ!?」


一果「相手が強ければ強いほど、秘めた力を爆発させる! それが戦士!それが格闘家! 行っけええぇぇぇ!!!」

・犬闘士マスター・マスティフ 攻3800→攻4800


宇月「くっ! 伏せカード発動! 『炸裂装甲!』 攻撃モンスター1体を破壊するゥ!!」


一果「小細工は通用しない!! マスター・マスティフは白星カウンターを3つ以上持っている時、カードの効果では破壊されないっ!!」


宇月「何だと!? くっそおぉぉ!!」


マスティフが炸裂装甲をものともせずに突っ込んでいく。蹂躙する類人猿はそれを迎撃せんと左腕の砲身からエネルギー弾を発射するが、直撃してもなおマスティフは突き進む。
そしてマスティフに目の前に迫られた類人猿は、破れかぶれに右腕を振り下ろすが軽々と左腕で止められ、そして渾身の右ストレートが腹部アーマーをぶち砕いた。
類人猿は白目を剥いてその場に崩れ堕ち、消滅する。


宇月「…またしても…私の力がねじ伏せられるなんて……」

宇月 LP700→LP0


一果「ぃよっしゃあ!!」


宇月「どうすれば…どうすれば私は貴様に勝てるんだ?……そ、そうだ! 次は腕相撲でしょうぶっ!?」


一果「アホか!!」


膝をつきながらも次の勝負を懇願する宇月の脳天に一果はチョップを食らわす。


宇月「な、なにをするんだ…」


一果「あんたさぁ…勝てれば何でもいいわけ? ジャンケンでもするか? 違うだろ!」


一果「一度負けたって悔しい、また強くなって挑戦しよう。それだけのことだろ? 別の方法で勝ったところであんたが証明したいもんが証明されんのか?」


一果「アタシならいつでも勝負を受けてやるよ。時間があればな。それまでにちゃんと練習しとけバカ!」


怒涛の説教に口をポカンとあけて一果を見上げる宇月。そして校舎に向かおうとその姿に背を向けた時、1台の自転車がこちらへ向かってきた。


遊飛「おーい! 一果〜!!」


一果「ゆ、遊飛!」


目の前でキキーッと止まるや否や、遊飛がくるりと自転車を180度回転させ、荷台に手を置く。


遊飛「早く乗れ! 順番来ちまうぞ!」


一果「……サンキュー!」



荷台に一果を乗せ、遊飛はひたすらペダルを漕ぐ。


一果「ほんと助かったよ…でもこの自転車どうしたんだ?」


遊飛「ちょっとな、優しいセンパイが貸してくれたんだ。」


一果「そうなのか。じゃあそのセンパイにもお礼言っとかないとな。」


そして走れば10分ほどの距離を数分で校舎前に着くことに成功する。


遊飛「よぉし、一果は先に行けよ。俺は自転車返してくるから。」


一果「ん、分かった。ほんとサンキューな。」


一果が校舎に入ったのを見送った瞬間、遊飛の背後で大声が響く。


???「あ、テメェこのレッド野郎!!」


遊飛「げっ!?」


ラーイエロー生徒「レッドの1年坊!急いでるだのすぐ返すだの言って強引に俺のチャリを奪いやがって! どういうつもりだコラァ!!」


即座に胸倉を掴まれ体を揺さぶられてしまう。


遊飛「ぐぇぇ…これにはワケが…」



ーアカデミア地下1階ー


シミュレーションルームの前にたどり着いた一果をちよ、繭の2人が出迎える。


ちよ「い、一果ちゃん! 良かったぁ!!」


繭「……ギリギリ…セーフ。」


一果「マジ! やったぁ! 遊飛にマジ感謝だなぁ!」


ちよ「うん! あ、大場くんが丁度デュエルしてるんだよ。」


一果「そうか、景介のやつ。どうなってるかな。」


ちよ「い、一応対策できない最強のデッキって言ってたけど…」


そして景介がデュエルしているモニターを見た3人はその光景に驚愕する。



ドガーン!

景介「ウィンちゃん!?」


ドガーン!!

景介「雷電娘々ちゃん!!?」


ドガーン!!!

景介「ドリアードちゃぁぁん!!!?」


3体のモンスターが次々と爆殺され、景介のライフは一気にゼロとなり、涙を流しながらその場に両手をつく。


景介「ひ、酷い…どうしてこんな酷いことが出来るんだ!! あの可憐な少女たちに攻撃するなんて…… それでも人間か!! う…うぅ…」


ちよは目が点になり、口をぽっかりとあけている。一果、繭はそれはそれは冷たい視線で彼を見つめていた。あとはとめどない景介の涙が流れ出るばかりであった。




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次回予告

遊飛「いよいよエントリーデュエルも終わって、あとはアカデミアカップに向けて特訓するのみだぜ! え? 遠丹愛華が退学? 俺まだデュエルしてねーよ! 俺とやるまで絶対退学なんてさせないからな!!」

遊飛「次回『遠丹愛華、退学!?』 デュエルスタンバイ!!」
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半年ぶりの投稿になってしまいました。特に忙しかったわけでもないのに…
一応本格的にこの話書いたのが9月入ったくらいなのでノリに乗ってれば筆は早くなるんだなと実感しましたね。

ちなみにこの半年で多くの子供達にスピードルールでの遊戯王を布教していました。青眼使い、真紅眼使い、ブラマジ使いなどの少年デュエリストが多く誕生し、それらをサクリファイス で寝とる日々でした。


気づいたんですが一果を1文字ずつずらすと宇月になるんですよね

いちか
うつき

1歩後ろを行く運命なんだろうか…



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ギガプラント
業火犬乱に犬火常闘…この感じ好きですホント。
終わりそうで終わらない熱いデュエルでした。ゴリラのバリエーションが想像以上に多くて面白いw
景介氏…そのアイドルカードデッキは流石に強さが伴わないぞ…。 (2018-09-06 21:40)
いちごT
ギガプラントさん、いつもコメントしていただき本当にありがとうございます。
AURAのほう、コメントは最近しておりませんでしたが、いつも拝見させてもらってます。

熱いデュエルとお褒めに預かり、大変光栄です。
ゴリラは怒ってるやついるなら泣いたり笑ったりしてるのもいて良いよね!という次第でございましたw
ほぼ全員がデメリットアタッカーですね。

景介くんのデッキは可愛いは正義!でしたがまあ当然こうなりますね… (2018-09-07 06:29)
ター坊
体育会系らしいラストになりましたね。小細工なしの火力勝負で見てて楽しかったです。それにしても悲しみのや喜びの類人猿…ゴリラデッキの時代来るか?
景介…勝てるアイドルデッキなら蟲惑魔で行こうぜ…。 (2018-09-07 12:42)
いちごT
ター坊さん、コメントありがとうございます。
なんか熱い感じになってますが最初は宇月ってただの嫌なやつで終わるつもりだったんですよね。なんでこうなったのか…
ゴリラの時代…自分も心の隅で祈っておきます笑

蟲惑魔は……ぶっちゃけその時代現役じゃなかったので全然知らないんですよね…
まあ景介くんも守備範囲が広いので色んな萌えモンスターに手を出してるのですよ… (2018-09-07 20:58)
tres(トレス)
久々の更新ですね。闘犬vs類人猿は闘犬の勝利となりました。さすが闘う犬ということだけありますね。普通に炸裂装甲を発動したのにはちょっと笑いました、いやおかしくは無いんですけどね…
景介君のデッキは一部のプレイヤーには攻撃を躊躇わせる効果がありそうです。 (2018-09-08 22:44)
いちごT
tresさん、コメントありがとうございます。
本当に久々です…
まあこの宇月というキャラは脳筋に見えて卑劣な面もありますからね。この場面でも平気でやりますよ。
景介、相手がAIじゃなくて女好きの人間だったら絶対に勝ててたのに……残念です笑 (2018-09-10 06:12)

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