DRAW:３３ “弱さ”　作：人喰い

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『……何？ この騒ぎは』


騒ぎを聞きつけて図書室から出てきた千愛と和泉は、職員室の周りに人だかりができているのを見て、ただどうするでもなく立ち尽くしている。
千愛の場合は浮いているのだが。

「…ま、まさか市瀬くんが問題起こしたとかじゃないよね…」

和泉は心配そうにつぶやく。

『ちょっと聞いてみましょう』

千愛がそう促すが、和泉は顔をほんのり赤くして泣きそうな表情でうつむいてしまう。

「…だ、だいじょーぶかなぁ。私の腕、こんなだし、気味悪がられたりしないかなぁ…」

『…そっか。ごめんね和泉ちゃん』

千愛は和泉の頭の上に手を置き、優しく撫でた後、『じゃあ私が聞いてきてあげるわ』と言うと、


「そ、それだけはやめてぇっ！」


と和泉に止められてしまうのであった。












遊戯王 Ph.X DRAW:３３
《“弱さ”》












市瀬 火群【LP 1300】
場:『炎王獣 ヤクシャ』[攻 1800]
伏せ:なし/手札:4枚


美 好【LP 1400】
場:『中華料理人-娘娘』[攻 1900]＊オリカ
伏せ:なし/手札:4枚


◉TURN:０４◉


好「アタシのターン！ ドロー！」【手札:5枚】


ニクス（…前のターン、あの女の場には生け贄要員である『中華料理食材-金華』が攻撃表示で棒立ちしていたのにも関わらず、あの女はわざわざサーチした『神秘の中華なべ』を伏せずに、元から握っていた『次元幽閉』のみを伏せた…）

ニクス（2枚とも伏せなかったのには、大嵐などの全体除去をを警戒しての意と、完全に油断した火群の攻撃を誘い罠に嵌めるという2つの意図があったのか…！）



好「…アタシは、『中華料理人-美美』を攻撃表示で召喚！！」


『中華料理人-美美』[攻 1500]


《中華料理人-美美》＊オリカ
☆３/風/戦士族/攻 1500/守 1200
このカードはリリースできない。自分のモンスターが「神秘の中華」と名のついたカードを発動するためにリリースされた時、自分の手札、墓地に存在するこのカードを特殊召喚できる。また、このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、手札の「神秘の中華」と名のついた速攻魔法カード１枚を相手に見せることで、デッキから「中華料理」と名のついたモンスター１体を墓地へ送る。


好「美美のモンスター効果発動！ 手札の『神秘の中華なべ』を見せることで、デッキの『神秘の中華料理-神龍包(シェンロンパオ)』を墓地へ送る！」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ



火群「…！」


ニクス「…何だ…？ あの女の墓地から響く轟音は…！？」


好「…あっはははは！ 神龍包が疼いているんだよ…！！ 私も、“こいつ”も、デュエルは久方ぶりだからねぇ」


火群「………！ 墓地へ送ったそのカードが、先生のエースモンスターか…！」


好「…でもアンタが決闘者としてすでに腐っているんだったら、この子の出番は無いかもね……さあ魅せてみなよ！ バトルフェイズ！！」


火群「…っ！」【LP 1300】


ニクス（火群の場に伏せカードは無く、居るのは攻撃力が娘娘よりも劣るヤクシャ１体のみ。ここまでか…？）


好「『中華料理人-娘娘』で『炎王獣 ヤクシャ』を攻撃！〝娘鼓・拍子切り〟！！」


『中華料理人-娘娘』
[攻 1900]
ーーーVSーーー
[攻 1800]
『炎王獣 ヤクシャ』


火群「…ぐぁ……！」【LP 1300→1200】


好「娘娘が相手に戦闘ダメージを与えた事により、デッキから『神秘の中華釜』を手札に加える！ …でももう関係ないかナ…？」【手札:5枚】


勝利を確信したような口振りで、先生は次の攻撃の準備をする。


火群（ーーーまだ終わらせない！）



火群「………！ 破壊されたヤクシャのモンスター効果！ 俺は手札の『ダンディ・ライオン』を破壊する！！」


ニクス「……！」


好「…へぇ……♫ まだ煮込み足りなかったか…。でも、そうこなくっちゃね」


シニカルに笑い、先生は言う。「煮込み足りなかったか」というその表現、言い方はまるで、未知の食材でも相手にしているかのようだった。


火群「…ダンディ・ライオンが墓地へ送られた時、場に２体の『綿毛トークン』を残していく」


『綿毛トークン』[守 0]

『綿毛トークン』[守 0]


好「…美美で綿毛トークンを１体撃破！」


バシィィィン！


火群「…何とか凌いだか…」


好「…でもアンタの場には綿毛トークンが１体のみ。お得意の『炎王の急襲』の発動条件を満たしていない。…カードを1枚伏せ、ターンエンド！」



美 好【LP 1400】
場:『中華料理人-娘娘』[攻 1900]
『中華料理人-美美』[攻 1500]
伏せ:1枚/手札:4枚


市瀬 火群【LP 1200】
場:『綿毛トークン』[守 0]
伏せ:なし/手札:3枚



◉TURN:０５◉



火群（…あの伏せカード、妙だな…。場にリリースできないモンスターが２体の状況で、サーチした『神秘の中華』カードをセットするとは考えにくい。だけどさっきの次元幽閉の件もある…。くそ…っ、どうしたら…）



火群「俺のターン…！ ドロー！！」【手札:４枚】


…バチッ！


好（ーーー？ なんだ…？ 今、市瀬の指先から火花が散ったように見えたが…）


火群「………！ 手札から、魔法カード『一時休戦』を発動！！ お互いにデッキからカードを１枚引き、次のターンの終了時まで、お互いのプレイヤーが受ける全てのダメージを０にする…！」


火群「…ドロー…ッ！」【手札:４枚】
好「ドロー！」【手札:５枚】



火群「…っ、カードを１枚伏せて、ターンエンド…！」


ニクス（…あの火群が完全に守りに入らなくてはいけないほど追い込まれている…。いや、ただ火群の“弱さ”が大きく露見しただけなのか…？ ）



市瀬 火群【LP 1300】
場:『綿毛トークン』[守 0]
伏せ:１枚/手札:３枚


美 好【LP 1400】
場:『中華料理人-娘娘』[攻 1900]
『中華料理人-美美』[攻 1500]
伏せ:１枚/手札:５枚



◉TURN:０６◉



好「…アタシのターン、ドロー！」【手札:６枚】


火群「……くっ…（栗須とのデュエルの時は平気だったのに、今は何でこんなに苦しいんだ…！ くそっ…！ ガルドニクス……っ）」


好「………っ」



ニクス（ーーー火群の弱さは、ガルドニクスという切り札に頼りすぎるところだ）


ニクス（故に、相手によって除去された悔しさから、絶望感に打ちひしがれ、やがては戦意を喪失してしまう）


ニクス（そのメンタルの弱さこそが、火群の倒さなくてはいけない最大の敵……！）



好「………さて、と」

好（このターンはまだ一時休戦の効果でダメージを与えられない……なら…）


好「アタシは、『中華料理食材-金華』を守備表示で召喚！


『中華料理食材-金華』＊オリカ
[守 2000]


火群「またあの食材モンスターか…！」


好（綿毛トークンは残しておいた方がよさそうネ…）

好「カードを２枚伏せてターンエンド」



美 好【LP 1400】
場:『中華料理人-娘娘』[攻 1900]
『中華料理人-美美』[攻 1500]
『中華料理食材-金華』[守 2000]
伏せ:３枚/手札:３枚


市瀬 火群【LP 1300】
場:『綿毛トークン』[守 0]
伏せ:１枚/手札:３枚



◉TURN:０７◉



火群「…俺のターン…！ ドローォ！！」


ゴォオオォオッ


ニクス（……あまり熱くなりすぎるなよ、火群…っ…！）


好「……！ 炎…？ あは…♫」


好「……あっははははっ！」



好「…熱くなってきたあああっ！！」



ニクス「…！」


火群「…スッキー先生…！？」

好「このスタンバイフェイズ時に、伏せカードオープン！ 速攻魔法『神秘の中華なべ』！」

好「場の金華を生贄に捧げ、アタシは2000ポイントのライフを回復する！」【LP 1400→3400】

好「そして金華の効果によりお互いに800ポイントのダメージを受ける！」


火群「…くっ…！」【LP 1300→500】

好「……っ！」【LP 3400→2600】


ニクス「…互角だったライフに一瞬で差が…！」



好「……… お待ち遠さま。 アタシの《招牌菜單》…！ ご賞味あれ♫」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ



火群「……！」


ニクス「…っ！ これは、さっき感じたのと同じもの……？」



好「…『神秘の中華』と名のついた速攻魔法カードの発動コストとして自分のモンスターが生贄に捧げられた事により、墓地の『神龍』が復活する…！」


火群「………ッ！」



好「ーーーその力で全てを包み、溢れる波動は天地を揺るがす！ 来な！『神秘の中華料理-神龍包』！！」



神龍包『パォオオァアアアァアアゥゥ！！！』[攻 2800]



好「…市瀬。アンタが本気でWDCSで優勝したいってんなら、アタシとのデュエルでアンタは自分に足りないものを学ぶ必要がある」



火群「ーーーこのデュエルから、俺が学ぶもの……？」


好「まあそれに関しては、アタシよりもあの金髪ポニーテールの方がよく分かってるかもしれないけどネ…♫」


ニクス「………！」


火群「…ニクス……？」


ニクス「…火群。１つだけ言っておく。良く聞け」


火群「…ん…？ あぁ」




ニクス「ーーー諦めるな、立ち止まるな、前へと進め」




火群「ーーー！」



好「……さあ来な、市瀬。次はアンタのメインフェイズだ…！」









ーーー-ーーー-ーーー-ーーー-ーーーTo Be Continued…


〜おまけ〜


. . 人人人.人人人.人人人.人人人.
＜教えて！ スッキーせんせー！＞
. . Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y


＊このコーナーは、読者のみんな(少数)から寄せられた質問(多分無い)に、『美 好先生(以下スッキー先生)』が一刀両断！ 快刀乱麻の回答をしていくコーナーだ！！
質問が無い場合は自問自答をしていく痛々しいコーナーになるから気をつけな！(ドン☆)

質問待ってるぜ！！(切実)
＊荒らしはスルーで



《第一回》


好「記念すべき第一回目の質問者は……(`≖ ≖)」


和泉「…ハイ！ 私です！
(✿౪_౪)/」

好「…おぉ桜庭か ``(≖ω≖′j)黒髭中学での生活には慣れてきたか？
( ′≖ω≖`)/」

和泉「…え、えと、はい(//౪ ౪///)まだ少し道に迷ったりしますけど…(✿౪ω౪)9☆……っていうか先生！ 質問しにきた私が質問されてちゃあこのコーナーの意味がないじゃないですか！！(✿౪□౪)シ」

好「それもそうだな(≖ω≖`) それじゃあ質問を頼む」

和泉「…あっはい！(౪-౪✿)…《『美 好先生』は、どうして『スッキー先生』と呼ばれているのですか？》(✿౪-౪)？」

好「…む(≖ω≖`)なるほど、そういえば桜庭は転校して来て日が浅いから知らなくても無理はないな
(II≖ω≖)」

好「…アタシの名前、『メイ ハオ』と読むんだが、漢字で書くと『美 好』と書くんだ(≖ω≖`)」

和泉「…はい(✿౪ ౪)」

好「それが、生徒たちの中では『メイ先生』とも『ハオ先生』とも呼びづらいらしくてな。語呂が悪くて(′≖ ω ≖｀)」

和泉「…なるほど(✿౪ ౪)」

好「そこで何かいい呼び名がないかと生徒たちの中で会議が行われた結果…… (｀≖□≖)」



会議中…

． 　 ∧,,∧ . …… ∧,,∧
　∧ (´・ω・) (・ω・｀) ∧∧
(　´・ω)　Ｕ) ( つと ﾉ(ω・｀ )
｜　Ｕ (　　・) (・｀　　) と ﾉ
　ｕ-ｕ （l 　　 ) (　　　ﾉu-ｕ
　　　　 `ｕ-ｕ’.　`ｕ-u’


好「…アタシの『好』の字を『すき』と読んでそれを愛称っぽく変えて『スッキー』、先生を足して『スッキー先生』となったのだ…(｀≖ ω ≖′)」


和泉「……(౪_౪ ; )



(✿౪□౪)無理やりだーーーっっっ！！！ あと何でわざわざAA使ったし！




続く…(？)






《次回予告》



「ーーー今のままじゃアンタは、“勝つ”事はできても“勝ち続ける”事はできない」



次回、『遊戯王 Ph.X』
DRAW:３４ 焔の中で…