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虹彩竜と歩むもの/第98話:遺托 作:光芒





「俺は超重荒神スサノ-Oを守備表示でシンクロ召喚! こいつは超重武者モンスターとして扱い、こいつも守備表示のまま攻撃ができる!」
「つまり攻撃力3800のモンスターも同然ということですね」
「だが、スサノ-Oの強みはそれだけじゃない! スサノ-Oの効果を発動! 俺の墓地に魔法・罠カードが存在しない場合、相手の墓地にある魔法・罠カードを俺のフィールドにセットできる! 俺はあんたの墓地の死者蘇生を貰うぜ!」

 スサノ-Oの力によってダンのデュエルディスクから死者蘇生のカードが引き出され、陸のフィールドにセットされる。
 そのデッキの仕様上魔法・罠カードを一切入れることのできないフルモンスター型の【超重武者】であるが、全く使うことができないわけではない。相手の使った魔法・罠カードをスサノ-Oによって奪うことが可能であり、それが死者蘇生のようにデッキを選ばずに発動できるカードであればよりその効果が活かされるのだ。

「そして俺はセットした死者蘇生を発動!」
「させません。ヘラクレイノスの効果で手札1枚をコストに魔法・罠カードの発動を無効にして破壊します」
「まあ通してくれるとは思ってないけどな。スサノ-Oの効果でセットしたカードは発動後にゲームから除外されるぜ。バトルだ! スサノ-Oでエーディトルを攻撃!“クサナギソード・斬”!」

超重荒神スサノ-O DEF3800 VS 剣闘獣総監エーディトル DEF3000

「一度ならず二度までもエーディトルをあっさりと処理されますか」
「そいつを残させはしないさ。俺のためにも留奈ちゃんのためにもな! 俺はこれでターンエンドだ!」


陸 LP7900 手札1枚
デッキ:29 モンスター:1(超重荒神スサノ-O)魔法・罠:0 墓地:7 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラ:14(1)

留奈 LP2800 手札1枚
デッキ:30 モンスター:0 魔法・罠:0 墓地:9 Pゾーン:青/赤 除外:1 エクストラ:13(1)

ダン LP4500 手札2枚
デッキ:29 モンスター:2(剣闘獣ヘラクレイノス、剣闘獣ダリウス)魔法・罠:0 墓地:7 Pゾーン:青/赤 除外:1 エクストラ:13(0)


☆TURN14(留奈)


「わたしのターン、ドロー!!……わたしはこのカードにかける! デッキトップのカードを10枚除外して魔法カード、貪欲で強欲な壺を発動する!」
「貪欲で強欲な壺……いいでしょう。ヘラクレイノスの効果は発動しません」
「そして2枚のカードをドローする!」

 ドローカードを見た留奈は何かを悟ったかのような穏やかな表情を見せる。きっといいカードを引けたのだろう、と安堵する陸であったが、留奈の行動は彼の予想の斜め上を行くものであった。

「私は手札からこのカードを発動させてもらう。魔法カード、“エクスチェンジ”だ!」


※エクスチェンジ
通常魔法
お互いのプレイヤーは手札を公開し、それぞれ相手のカード1枚を選んで自分の手札に加える。


「はぁっ!? エクスチェンジ!?」
「……これは予想外と言わざるを得ませんね。ヘラクレイノスの効果は発動しません」

 エクスチェンジは相手と自分のカードを1枚ずつ交換するという特殊な効果を持ったカードだ。このバトルロイヤルルールにおいては、発動したプレイヤーが交換する相手一人を選び、そのプレイヤー同士で手札を交換するという処理が行われる。そしてどのカードを交換したか、というのはカード交換をした当人しか確認することができない。
 普通のデュエルではまず見られることのないカードであるが、バトルロイヤルやタッグデュエルといった変則ルールのデュエルにおいては時に勝敗を分けかねない働きをすることもあるカードだ。

「エクスチェンジの対象はおまえだ、陸! さあ、カードをこうかんするからこっちにこい!」
「マジか……わかったよ」

 想像だにしないカードを発動されたことに陸はがっくりと肩を落としながら留奈の下へと向かう。留奈は両手を腰に当て、いかにも得意そうな顔をしているが、この時点で陸は何故留奈がそんな顔をしているのかがわからなかった。

「陸、すまんな。とつぜんのことでおどろいただろう」
「全くだよ。で、どのカードを交換するの? 言っておくけど俺の手札は1枚しかないぜ」
「かまわん。だが、わたしのカードは2枚あるからそのなかからえらぶんだぞ。これが―――わたしの手札だ」

 留奈は陸にしか見えないように自分の手札を見せる。留奈の現在の手札を見た陸は唖然とした。留奈の手札の2枚のカードのうち1枚は【ムーンライト】とは何のシナジーもないコンボ向けのカードだったからだ。

「留奈ちゃん、なんでこんなカード入れてんだよ! このカードは留奈ちゃんのデッキじゃ……」
「ああ。まずやくにたたないカードだ。だが、おまえのデッキならばどうなる?」
「まさか……俺に発動させるために?」
「そうだ。このカードはおまえのデッキだからこそそのしんかをはっきする。さあ、うけとれ」
「……サンキュー。留奈ちゃんの思い、伝わったぜ」

 互いにカードを1枚ずつ交換し、元の位置に戻る陸と留奈。陸は留奈から受け取ったカードを大事に握りしめてダンと向かい合った。この状況を打破するために発動した貪欲で強欲な壺であるが、引いたのはいずれも陸をサポートするために入れたもの。それが何を意味するかを彼は理解していた。

(……留奈ちゃんは、負けるつもりだ)
「わたしは手札から魔法カード、死者蘇生を発動する! 墓地のモンスター1体を……」
「エクスチェンジに使わなくて正解でしたね。その死者蘇生にチェーンしてヘラクレイノスの効果を発動します」


チェーン2(ダン):剣闘獣ヘラクレイノス
チェーン1(留奈):死者蘇生


「手札1枚をコストに死者蘇生の発動を無効にして破壊します」
「くっ……ターンエンドだ」
「待った! ターン終了時に俺はスサノ-Oの効果を発動する! ダンさん、あんたの墓地のブラック・ホールを俺のフィールドにセットするぜ!」
「むっ……ブラック・ホールをですか」
(―――いや、違う。負けて……勝つつもりだ)


陸 LP7900 手札1枚
デッキ:29 モンスター:1(超重荒神スサノ-O)魔法・罠:1 墓地:7 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラ:14(1)

留奈 LP2800 手札1枚
デッキ:19 モンスター:0 魔法・罠:0 墓地:12 Pゾーン:青/赤 除外:11 エクストラ:13(1)

ダン LP4500 手札1枚
デッキ:29 モンスター:2(剣闘獣ヘラクレイノス、剣闘獣ダリウス)魔法・罠:0 墓地:7 Pゾーン:青/赤 除外:1 エクストラ:13(0)


☆TURN15(ダン)


「私のターン、ドローです。さて、お嬢様……」
「みなまでいうな。わたしののこりライフは2800。おまえがなにをねらっているのかはわかっている」
「では……」
「だが、ひとつおまえにいっておくことがある! そのみみをかっぽじってよくきいておけ!」

 表現の汚さは別として、ダンは自分が手塩にかけて育ててきたデュエリストの言葉に耳を傾ける。

「このデュエルはまだおわらない。なぜなら陸がいるのだからな! さあ、こい!」
「承知致しました。ではバトルフェイズに移らせて頂きます。剣闘獣ダリウスでお嬢様にダイレクトアタックです」

剣闘獣ダリウス ATK1700

留奈 LP2800→1100

「そして……ヘラクレイノスで追撃です」

剣闘獣ヘラクレイノス ATK3000


(……ここまでか、あとはたのんだぞ、陸)


留奈 LP1100→0


「留奈ちゃん!」
「……バトルフェイズを終了。この瞬間、ダリウスの効果を発動します。ダリウスをデッキに戻し、デッキからベストロウリィを特殊召喚します。特殊召喚に成功したベストロウリィの効果で国広様のセットカードを破壊します」

 ダリウスの効果によって特殊召喚されたベストロウリィによって、ダンの墓地から奪ったブラック・ホールが破壊される。もちろんダンはこのカードがブラック・ホールであることは知っているため、ベストロウリィもしくはガイザレスの効果でこれを破壊するか、ヘラクレイノスの効果でこのカードの発動を無効にするか。陸はその二つの効果のいずれかで防いでくる、と踏んでいた。
 ただここでダンがベストロウリィの効果によってブラック・ホールを除去したことで、陸は彼が今後どのような手法を使ってくるかを察知することができた。ベストロウリィが出てくるということは、当然のことながらあのモンスターが現れるということなのだから。

「私はヘラクレイノスとベストロウリィをデッキに戻し、ガイザレスを三度融合召喚します。そしてガイザレスの効果を発動。国広様のスサノ-Oを破壊させて頂きます」
「だったらガイザレスの効果にチェーンしてスサノ-Oの効果を発動! 留奈ちゃんの墓地から死者蘇生を俺のフィールドにセットするぜ!」

 留奈のライフはとっくに0であるが、このデュエルが続いている間はフィールド・墓地などのものは残り続ける。故に既にライフが0になっている留奈の墓地からカードを奪うこともできるのだ。


チェーン2(陸):超重荒神スサノ-O
チェーン1(ダン):剣闘獣ガイザレス→超重荒神スサノ-O


 ガイザレスの一撃がスサノ-Oの鋼鉄の身体を切り裂く。轟音と共に崩れ落ちるスサノ-Oだが、チェーンの逆順処理の関係で破壊される前に自身の効果を発動させたため、ただ破壊されるだけではなく、しっかりと置き土産を残した上で消えていった。結果的に陸は独自ルールを上手く利用した形で次の自分のターンへと道を繋いだのである。

「ルールを上手く活用されましたか。お見事でございます。ですが、死者蘇生を奪ったからと言って安心するのはお早いですよ」
「そんなんわかってるぜ。俺だって何の考えもなしにカードの効果を発動することはないさ」
「……私はこれでターンエンドです」


陸 LP7900 手札1枚
デッキ:29 モンスター:0 魔法・罠:1 墓地:8 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラ:14(1)

留奈 LP0 手札1枚
デッキ:19 モンスター:0 魔法・罠:0 墓地:11 Pゾーン:青/赤 除外:11 エクストラ:13(1)

ダン LP4500 手札1枚
デッキ:29 モンスター:1(剣闘獣ガイザレス)魔法・罠:0 墓地:7 Pゾーン:青/赤 除外:2 エクストラ:13(0)


「舞原さん……」
「不安そうな顔をしてはダメよ、高海くん」
「えっ?」
「私たちは見守ることしかできない。でも見守る私たちが信じ続ける限り、それが彼の、国広くんの力になるのよ」
「……わかりました。俺は、陸を信じます」


☆TURN16(陸)


「俺のターン、ドロー!……っ、ダメだ。このカードじゃ……!?」

 陸のドローしたカードは【超重】とは無関係のモンスターであった。属性・種族のシナジーがある、ということだけで入れたカードである。そもそも超重デッキは魔法・罠カードを必要としないデッキであるため、その枠にモンスターを多めに入れることができるのだが、入れるモンスターの種類に迷うことが多々あった。
 一時期は種族や戦法に共通点のある【水晶機巧】を入れたり、シンクロ召喚に繋げやすくするという点でサイバー・ドラゴンや太陽風帆船などのカードを試したりもした。しかし、現時点でその枠を固定できずにいたのもまた事実である。故にその日の気分や普段デュエルをしていて気づいたことを試すためにカードを日常的に入れ替えていたのだ。

(待てよ、こいつの効果なら……!)
「行くぜ。俺は“スクラップ・リサイクラー”を召喚!」


※スクラップ・リサイクラー
効果モンスター
星3/地属性/機械族/攻900/守1200
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、自分のデッキから機械族モンスター1体を選択して墓地へ送る事ができる。1ターンに1度、自分の墓地に存在する
機械族・地属性・レベル4モンスター2体をデッキに戻す事で、自分のデッキからカードを1枚ドローする。


「スクラップ・リサイクラーの召喚に成功した時に一つ目の効果を発動! デッキから機械族モンスター1体を墓地に送る! 俺が墓地に送るのはレベル4の“カラクリ守衛参壱参”だ!」
「【スクラップ】に【カラクリ】……機械族という共通点しか見出せませんが」
「共通点なんて無理に作る必要はないんだよ。俺と留奈ちゃんだって共通点はデュエリストであることくらいだし。でもそのたった一つの共通点が俺たちを強くしてくれた! スクラップ・リサイクラーのもう一つの効果を発動! 墓地の機械族・地属性・レベル4モンスター2体をデッキに戻すことでカードを1枚ドローする! 俺はジシャ-Qとダイ-8の2体を戻して1枚ドロー! そしてセットしていた死者蘇生を発動! 墓地のカラクリ守衛参壱参を特殊召喚だ!」


※カラクリ守衛 参壱参(サイザン)
チューナー(効果モンスター)
星4/地属性/機械族/攻600/守1800
このカードは攻撃可能な場合には攻撃しなければならない。フィールド上に表側表示で存在するこのカードが攻撃対象に選択された時、
このカードの表示形式を変更する。このカードの戦闘によって自分が戦闘ダメージを受けた時、自分フィールド上に表側表示で存在する「カラクリ」と名のついた全てのモンスターの攻撃力・守備力は、エンドフェイズ時まで800ポイントアップする。
また、このカードはフィールド上に表側攻撃表示で存在する限り戦闘では破壊されない。


「そして俺はレベル3の機械族モンスター、スクラップ・リサイクラーにレベル4の機械族チューナー、カラクリ守衛参壱参をチューニング!“疾きこと風の如く! 静かなること林の如し! 音無く忍び、仇なる者を刺せ!”シンクロ召喚! 出でよ!“超重忍者シノビ-A・C”!」


※超重忍者シノビ-A・C(ア・シー)
シンクロ・効果モンスター
星7/地属性/機械族/攻1200/守2800
機械族チューナー+チューナー以外の機械族モンスター1体以上
このカードはルール上「超重武者」カードとしても扱う。
(1):このカードは表側守備表示のままで攻撃できる。その場合、このカードは守備力を攻撃力として扱いダメージ計算を行う。
(2):自分の墓地に魔法・罠カードが存在しない場合に発動できる。このカードの元々の守備力はターン終了時まで半分になり、このターンこのカードは直接攻撃できる。
(3):このカードが効果で破壊され墓地へ送られた場合、次のスタンバイフェイズに発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。


超重忍者シノビ-A・C DEF2800

「超重忍者シノビ-A・Cは墓地に魔法・罠カードがない時、守備力を半分にしてダイレクトアタックができる!」

超重忍者シノビ-A・C DEF2800→1400

「ガイザレスを破壊せずに直接攻撃……ですか」
「バトルだ! 超重忍者シノビ-A・Cでダイレクトアタック!“超重・隠密苦無”!」

超重忍者シノビ-A・C DEF1400

ダン LP4500→3100

「……この程度。小手先の技ばかりではデュエルには勝てませんよ」
「いや、このデュエルは既に俺の勝ちだ。何故ならまだ俺のバトルフェイズはまだ終了してないんだからな」
「……どういう意味でしょうか。既にあなたのモンスターは攻撃済み。攻撃権を増やすカードがあるならともかく、守備力を下げてまで直接攻撃をするようでは何も変わりません」
「守備力を下げて直接攻撃、か。でも俺はそうせざるを得なかった。留奈ちゃんの託してくれたこのカードを発動するためにはな!! 手札から速攻魔法発動!!―――」










―――“狂戦士の魂(バーサーカー・ソウル)”!!―――










「狂戦士の魂!?」


※狂戦士の魂(バーサーカー・ソウル)
速攻魔法
「狂戦士の魂」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分フィールドのモンスターが直接攻撃で相手に1500以下のダメージを与えた時、手札を全て捨てて発動できる。
自分のデッキの一番上のカードをめくり、それがモンスターだった場合、そのモンスターを墓地へ送り、相手に500ダメージを与える。
その後、モンスター以外がめくられるまでこの効果を(最大で7回)繰り返す。めくったカードがモンスター以外だった場合、そのカードをデッキの一番上に戻す。


「俺のモンスターが直接攻撃で相手に1500以下のダメージを与えた時、手札を全て墓地に送ることで効果を発動できる。自分のデッキの一番上のカードをめくり、それがモンスターだった場合そのモンスターを墓地へ送って相手に500のダメージを与えるぜ!」
「……どうやらそのカードがお嬢様から渡されたカードということですか。確かに狂戦士の魂の効果でモンスターを引き続ければ、私のライフを0にはできますが……そのような確率はとても……」
「おいおい、何勘違いしてるんだ? あんた?」
「む、勘違……っ!!」

 全てを理解したダンの顔が青ざめる。留奈が陸に狂戦士の魂のカードを渡したのは明確な理由があったのだ。

「確率も何も知ったこっちゃねえ! なんてったって俺のデッキは【フルモンスター】なんだからな!!」

 陸のデッキはフルモンスター型の【超重武者】。魔法・罠カードの類を一切入れていない。つまり、狂戦士の魂の効果でモンスターカード以外のカードを引くこと自体があり得ないことなのである。
 しかし、このカードの効果を発動するために陸が狂戦士の魂をデッキに入れてしまっては2枚目以降の狂戦士の魂を処理中にめくってしまうというリスクがあった。それを考慮した留奈は、自分のデッキのカードを削ってまでこのカードを入れたのだ。スサノ-Oの効果で敢えて奪わせるか、エクスチェンジの効果で自ら渡すか。いずれにしても、陸にこのカードを発動させるために。

「お嬢様!? まさかお嬢様はそこまで考えて……」
「これでわかったか、ダン。わたしはむかしのわたしではないということを!」
「っ……」
「さあ行くぜ、まず1枚目! モンスターカード、増殖するGを墓地に送り、500のダメージだ!」

ダン LP3100→2600

「2枚目! 超重武者ジシャ-Qを墓地に送り、さらに500!」

ダン LP2600→2100

「3枚目! 超重武者装留バスター・ガントレット!」

ダン LP2100→1600

「4枚目! 灰流うらら!」

ダン LP1600→1100

「5枚目! 超重武者装留イワトオシ!」

ダン LP1100→600

「6枚目! 巨大ネズミ!」

ダン LP600→100

「そして7枚目!!―――超重武者ビッグベン-K!!」
(……お嬢様は狂戦士の魂やエクスチェンジといったカードで自分が苦しくなるのも厭わず他者を助けるカードを入れた……そして国広様はそんなお嬢様の心に気付き、それに全力で応えた……)

ダン LP100→0

(……私の完敗ですね)











「よっしゃあ! 俺の勝ちだ!」
「りくうううぅぅぅー!!」

 留奈のカードを使い、勝利を掴み取った陸。その長身を伸縮させてガッツポーズを決める陸に留奈は笑顔で飛びついた。デュエルの後で色々と昂っている陸であるが、留奈に飛びつかれたことで一気に我に返る。

「ちょっ、留奈ちゃん! そんな勢いよく飛びついたら色々とアレだから!」
「アレ? なにがアレなんだ?」
「ええと……それは……えっと、危ないから! 転んじゃうから!」
「そっか、それもそうだな!」

 上手く誤魔化して飛びついた留奈を降ろす陸。身長差も相まってその様はまるで仲の良い父娘のように見える。そんな二人の下に普段見せているようなポーカーフェイスを浮かべて歩み寄るダン。

「お嬢様、国広様。見事なデュエルでございました」
「ふん、それほどでもあるがな!」
「しかし、結果的にお嬢様はライフを失いました。国広様のおかげで私のライフを0にしたとはいえ、お嬢様が勝ったことにはなりませんな」
「ちょっ……待ってくれよ! でもデュエルには勝ったから……」
「いいんだ、陸。このけっかをみてりょうしんがどのようなはんだんをするかはわたしたちのおよぶところではない。ダン、おまえはおもうがままをつたえろ。そこでどんなはんだんになってもわたしはこうかいしない」
「……承知仕りました。それではお嬢様、お元気で。お身体にお気をつけ下さい」

 ダンは留奈と陸に深々と一礼すると、アカデミアを去っていった。後日、留奈の下に一本の電話がかかってきた。電話の相手はアメリカにいる両親である。両親からはダンが留奈をこのように評していたということを聞いた。



―――留奈のデュエリストとしての才覚は本物であり、デュエリストとしての道を閉ざすのは留奈のためにならない、と。



「……なんだ、これ」

 留奈がアカデミアに残ることが決まった次の日である。陸のロッカーには一通の手紙が入っていた。筆で書かれた妙に太い「はたしじょう」という文字を見て、彼はこの手紙の出し主をすぐに察知する。

「えっ、果たし状?」
「随分と古風な手口だな。だが、この字……誰が書いたのかすぐわかる」
「うん、まあそういうことだろうね。取り敢えず、今から体育館裏に行ってくるわ」

 遊大と仁にそう笑いかけた陸は急ぎ、体育館裏に向かう。辿り着いた体育館裏には如何にも待ちぼうけを食らっていたかのようにふくれっ面の留奈がいた。果たし状の送り主である留奈は、陸を「おそい!」と一括する。しかし、それっきり顔を真っ赤にしたまま何も言おうとしなかった。

「留奈ちゃん? 何があったのかは知らないけどそろそろなんで呼んだのか教えてくれない?」
「そ、そ、そうだな!」
「……留奈ちゃん? 顔が赤いけど……熱?」
「ね、ねつなどないぞ! そうだ! わたしはへいねつだ!」

 いつにも増して不審な様子の留奈。本当に体調が悪いのではないか、と陸が留奈に近寄ろうとした瞬間。留奈は陸の目の前に立っては、潤んだ瞳で彼を見上げた。

「る、留奈ちゃん?」
「いいか。陸、いちどしかいわないぞ! いちどしかいわないからな!!」









―――おまえのことがすきだ!! わたしの……かれしになってくれ!!―――









 この後、放心状態で戻った陸およびそんな彼と手を組みながら戻った留奈をパーティーの準備をして皆が出迎えたのは言うまでもない。







○後書き
リマスター版の再放送までには書き上げたかったんですけど、上手く行かないですね。該当シーンではぜひあのBGMを流しながら読んでみて下さい。



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ター坊
丁寧な口調でしたが、完全にあのクダリでしたね。そして陸のデッキがフルモンと気付いたダンのしまった感が伝わってきます。
果たし状と書いてラブレターと読みますね(漢字テスト0点)。まさか陸に春が訪れるとは誰が予想したのか。進展しない遊大に代わって陸×留奈のイチャラブに期待です。 (2018-05-17 07:03)
ヒラーズ
ついに勝利しましたね。やはり超重デッキは強いですね(ウチも採用しようかな・・・(迷))。
さて、次回のイチャラブ回を待ってます。 (2018-05-17 08:13)
から揚げ
超融合+スターヴにも驚きましたが、エクスチェンジと狂戦士の魂まで出てきたとは、意表を突かれました!留奈ちゃんがこれらのカードをチョイスしていた辺り、ダンさんと陸くんのデッキの戦術を把握した上で、それらのデッキのメタやシナジーまで考慮に入れていた事が伝わり、留奈ちゃんの成長振りを実感出来まして嬉しいです!これもひとえに留奈ちゃんの弛まぬ努力と仲間達との熱い絆の賜物ですね!

それにしても、色恋沙汰と一番無縁そうな留奈ちゃんが陸くんに告白していた所にも驚きました!陸くん共々幸せになってほしいです!私もイチャラブ(意味深)を楽しみにしております!

留奈ちゃんの様な普段強気な女の子がしおらしくしていたり、赤面する様は本当に愛らしいですね!これは、留奈ちゃんが美鈴ちゃんに恋のアドバイスをするという展開もありそうですね! (2018-05-19 14:41)
光芒
ター坊さん
口調こそ礼儀があっても、デュエリストならあの流れを忘れることはできないという。実を言うといつか作中で狂戦士の魂を使ってみたかったのですが、その不純な動機のために作られたのがこの話でした(殴
ただ、陸と留奈は構想当初からくっつけようと思っていたのは事実です。ちなみにこの二人は言うほどイチャイチャしなかったり。単にイチャイチャシーンを尺の都合でカットすることになりそうですが。

ヒラーズさん
超重武者デッキは決して弱くないんですよね。魔法・罠カードを一切入れられないためサーチとか蘇生とかの手段が少ないのは難点ですが。でもモンスターで固められるので手札誘発モンスターを枠を気にせず入れられるのも強みですね。

から揚げさん
いくらバトルロイヤルルールだからとはいえ、フルモンデッキに狂戦士の魂をエクスチェンジ……というご都合的な流れは予想できなかったはず。でも留奈が陸のデッキがフルモンスターということを知っているためにできた戦術でもあるので、そこは紛れもなく彼女の成長ですね。

>それにしても、色恋沙汰と一番無縁そうな留奈ちゃんが陸くんに告白していた所にも驚きました!陸くん共々幸せになってほしいです!私もイチャラブ(意味深)を楽しみにしております!
一番色恋沙汰に無縁そうなキャラにそういう展開を歩ませるというのも読者の皆様方の予想を裏切るという。でも今回一話に収めるのが厳しかったので、次回は二人の告白シーンの裏側を番外編として書きます。本編までの箸休めとして。決してまだ原稿ができあがっていないわけではないです(白目
(2018-05-19 23:43)

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40 第44話:条件 404 3 2017-06-03 -
30 1万アクセス記念企画のお知らせ 579 5 2017-06-04 -
48 第45話:幻影 456 4 2017-06-08 -
24 第46話:黒牙 408 2 2017-06-14 -
31 遊大たちが7月制限について語るようです 478 2 2017-06-14 -
29 第47話:終幕 511 4 2017-06-17 -
31 第48話:宣誓 443 2 2017-06-22 -
30 サブキャラクター紹介・2 409 2 2017-06-24 -
34 第49話:編入 397 6 2017-06-29 -
29 第50話:理由 458 4 2017-07-03 -
24 番外編:七夕 413 6 2017-07-07 -
33 第51話:一歩 508 5 2017-07-12 -
34 第52話:修練 400 4 2017-07-17 -
24 第53話:自信 378 5 2017-07-20 -
61 第54話:克服 392 4 2017-07-24 -
23 第55話:猛攻 382 6 2017-08-02 -
25 第56話:障壁 301 3 2017-08-08 -
19 第57話:意地 293 3 2017-08-13 -
22 第58話:提案 381 3 2017-08-17 -
23 第59話:来訪 362 3 2017-08-27 -
35 第60話:交錯 373 3 2017-09-04 -
26 第61話:諜報 333 3 2017-09-11 -
78 遊大たちが10月制限について語るそうです 478 5 2017-09-14 -
26 第62話:暴露 301 2 2017-09-21 -
28 第63話:決意 381 4 2017-09-25 -
16 第64話:結束 351 4 2017-10-02 -
17 第65話:渇望 496 3 2017-10-07 -
24 第66話:証明 314 4 2017-10-13 -
21 第67話:空想 304 2 2017-10-16 -
25 第68話:魔鎖 323 2 2017-10-23 -
16 第69話:喝采 278 2 2017-10-27 -
23 第70話:胸愛 349 3 2017-11-01 -
25 第71話:点火 313 4 2017-11-07 -
17 第72話:誘惑 295 3 2017-11-15 -
23 第73話:憤怒 287 5 2017-11-18 -
22 第74話:反攻 233 2 2017-11-22 -
9 第75話:夢追 305 2 2017-11-27 -
15 第76話:剣閃 257 2 2017-12-02 -
9 第77話:膠着 203 2 2017-12-09 -
18 遊大たちが1月制限について語るようです 336 4 2017-12-11 -
11 第78話:豹変 216 2 2017-12-17 -
15 第79話:親心 246 4 2017-12-22 -
8 第80話:疾風 210 2 2017-12-30 -
11 番外編:隠想 303 3 2018-01-01 -
9 第81話:異能 224 2 2018-01-08 -
19 第82話:要塞 182 2 2018-01-13 -
13 第83話:相反 220 3 2018-01-17 -
12 第84話:特異 270 5 2018-01-22 -
7 第85話:忌避 321 4 2018-01-29 -
7 第86話:転生 347 4 2018-02-06 -
13 第87話:変貌 315 4 2018-02-14 -
15 第88話:祭典・1 233 4 2018-02-22 -
8 第89話:祭典・2 281 4 2018-02-28 -
8 第90話:祭典・3 235 4 2018-03-10 -
13 18年4月制限について語るようです 376 4 2018-03-14 -
12 第91話:閉幕 261 4 2018-03-22 -
9 第92話:令嬢 212 4 2018-03-31 -
7 第93話:共闘 216 4 2018-04-07 -
8 第94話:古豪 184 3 2018-04-15 -
5 第95話:護心 198 2 2018-04-19 -
5 番外編:裏話 295 4 2018-04-29 -
12 第96話:転機 220 4 2018-05-03 -
5 第97話:敬意 145 0 2018-05-13 -
6 第98話:遺托 232 4 2018-05-17 -
3 番外編:青春 184 2 2018-05-23 -
6 第99話:疾駆 163 6 2018-06-12 -
9 遊大たちが18年7月制限について語ります 147 0 2018-06-14 -
2 第100話:戦士 122 0 2018-06-19 -
4 第101話:懐古 132 2 2018-06-24 -
5 第102話:降竜 110 0 2018-06-30 -
2 第103話:乱入 120 3 2018-07-06 -
2 第104話:奮起 71 0 2018-07-15 -